説明

コネクタ

【課題】 本係止位置に保持されたリテーナが、誤挿入された端子金具に押されて仮係止位置に戻ってしまうことを防止できるコネクタを提供する。
【解決手段】 リテーナ30には、このリテーナ30が本係止位置にあるときにキャビティ22内に突出して、このキャビティ22内への端子金具10の進入を規制する進入規制部37が、係止突部36よりも後方に設けられている。これにより、リテーナ30が本係止位置にある状態で、誤って挿入されかけた端子金具10は、係止突部36に突き当たるよりも前に進入規制部37に突き当たって進入が規制される。したがって、端子金具10の先端が係止突部36に突き当たることが回避され、リテーナ30が仮係止位置に戻ってしまうことを確実に防止できる。また、端子金具10の先端がリテーナ30に至ってから比較的早期に誤挿入であることに気付くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハウジング内に収容した端子金具を抜け止めする手段として、ハウジングの側面からリテーナを差し込んで端子金具に直接に係止するサイドリテーナを備えたコネクタが知られている(例えば特許文献1参照)。リテーナは、端子金具を係止する係止部を備え、この係止部がキャビティの側方に退避してキャビティ内への端子金具の挿抜を許容する仮係止位置と、係止部がキャビティ内に進入して端子金具を係止する本係止位置とでそれぞれ保持可能とされている。このコネクタは、リテーナが仮係止位置に保持されている状態で、キャビティ内に後方から端子金具を挿入し、その後、リテーナを本係止位置へと押し込むと、リテーナの係止部が端子金具における角筒部の後端縁に係止し、端子金具を抜け止めするようになっている。
【0003】
ところで、この種のリテーナにおいては、端子金具と係止する係止部の後端にテーパ面が設けられている場合がある。これは、端子金具にかしめ付けられている電線の端末がリテーナと干渉しないよう、逃げを作っておく必要があること、あるいは、係止部の後端縁があまり切り立っていると、端子金具がキャビティ内に振られながら挿入された場合、その先端が係止部の後端縁に引っ掛かるなどしてスムーズに挿入できないこと、等の理由からである。
【特許文献1】特開平6−325814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この種のコネクタでは、その使用目的によっては必ずしも全てのキャビティに端子金具が装着されるわけではなく、一部のキャビティが空き状態となる場合がある。このような場合に、リテーナが本係止位置に保持された状態で、未だ端子金具の装着が終了していないものと誤って、空きキャビティに端子金具を挿入しようとしてしまうことがある。このとき、上記のようにリテーナにテーパ面が設けられていると、このテーパ面に端子金具の先端が当たることによってリテーナの挿入方向に沿った方向の分力が働き、リテーナが仮係止位置まで押し戻されてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、本係止位置に保持されたリテーナが、誤挿入された端子金具に押されて仮係止位置に戻ってしまうことを防止できるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、端子金具を挿入可能なキャビティを備えるコネクタハウジングと、このコネクタハウジングの一側面から前記キャビティを横切る方向に差し込まれて前記端子金具を係止するリテーナとを備えるとともに、前記リテーナには前記端子金具と係合可能な係合部が設けられるとともに、前記リテーナが、前記係合部が前記キャビティの側方に退避して前記端子金具の挿抜を許容する仮係止位置と、前記係合部が前記キャビティ内に突出して前記端子金具と係合する本係止位置との間で移動可能とされているコネクタであって、前記リテーナには、このリテーナが本係止位置にあるときに前記キャビティ内に突出してこのキャビティ内への前記端子金具の進入を規制する進入規制部が設けられているところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記進入規制部が前記係合部よりも前記端子金具の挿入方向後方に設けられているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0008】
<請求項1の発明>
請求項1の発明によれば、リテーナには、このリテーナが本係止位置にあるときにキャビティ内に突出して、このキャビティ内への端子金具の進入を規制する進入規制部が設けられている。このような構成によれば、リテーナが本係止位置にある状態で誤って端子金具を挿入しようとしても、その端子金具は進入規制部に進入を規制される。したがって、端子金具の誤挿入によりリテーナが仮係止位置に戻ってしまうことが防止される。
【0009】
<請求項2の発明>
請求項2の発明によれば、進入規制部が係合部よりも端子金具の挿入方向後方に設けられている。このような構成によれば、誤って挿入されかけた端子金具が、係合部に突き当たるよりも前に進入規制部に突き当たって進入が規制される。したがって、端子金具の先端が係合部に突き当たることが回避され、リテーナが仮係止位置に戻ってしまうことを確実に防止できる。また、端子金具の先端がリテーナに至ってから比較的早期に誤挿入であることに気付くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図1〜図4によって説明する。
【0011】
図1には、本実施形態のリテーナ30がハウジング20に装着される前の状態を示す縦断面図を、図2には、リテーナ30が仮係止位置に保持されている状態を示す縦断面図を、図3には、リテーナ30が本係止位置に保持されている状態を示す縦断面図を、図4には、リテーナ30が本係止位置に保持されている状態を示す平断面図を示した。
【0012】
本実施形態のコネクタ1は、端子金具10と、この端子金具10が挿抜されるハウジング20(本発明におけるコネクタハウジングに該当する)と、このハウジング20に組み付けられるリテーナ30とを備えている。なお、このコネクタ1は大小2種類の端子金具を収容するハイブリッド形式であるが、以下では主に、小型の端子金具10に係る部分について説明し、大型の端子金具に係る部分については適宜に説明を簡略化するか省略する。
【0013】
以下、各構成部材において、ハウジング20に対する端子金具10の挿入方向を前方とし、図2の上側を上方、下側を下方とする。また、図4の上側を左方、下側を右方として説明する。
【0014】
小型の端子金具10は、所定形状に打ち抜いた金属板を曲げ加工し、全体として前後方向に細長い形状に形成され、その前側は相手側端子金具のタブ(図示せず)が前方から進入可能とされる略角筒状の本体部11、後側は電線Wを圧着するバレル部12とされている(図2参照)。
【0015】
本体部11の下面には、ハウジング20に設けられたランス21に対して係止可能な一次係止部11aが孔状に形成され、また、本体部11の後端縁は、後述するリテーナ30に係止される二次係止部11bとされている。本体部11の一方の側壁13において一次係止部11aより後方部分は、その下端が本体部11の底壁よりも下方へ延出された形状に形成されるとともに、その上端においてほぼ中央部分は上方へ突出され、その突出形状は前側の辺が上端に対し切り立った略台形状とされている。また、この側壁13には、前後に1個ずつ係合孔14が開口されている。なお、この側壁13の上下の突出部分は、端子金具10がキャビティ22内に挿入される際に、キャビティ22内の案内溝(図示しない)に進入されるようになっている。
【0016】
本体部11内には、上下方向に弾性変形可能とされた弾性接触片15が形成されている。この弾性接触片15は、その長さ方向の前側部分を頂点とする山形状に形成され、その後端側は、底壁において内側に膨出形成された受け部16に当接されている。この本体部11内に前方から相手側端子金具のタブ(図示せず)が進入されるのに伴い、弾性接触片15は下方へ変位し、挿入された相手側端子金具のタブは、この弾性接触片15と、本体部11の上壁において弾性接触片15に接近する向きに膨出形成された張出部17との間に狭圧されるようになっている。この弾性接触片15は、側壁13に開口された係合孔14に差し込まれる突片を備え、この突片と係合孔14とが弾性接触片15の過度の変形を規制している。
【0017】
一方バレル部12は、前後に一対ずつのカシメ片18を備えている。前側のカシメ片18aは電線Wの端末に露出した芯線W1を、後側のカシメ片18bは電線Wの被覆W2をそれぞれ締め付けることで電線Wを接続している。
【0018】
ハウジング20は合成樹脂製であり、全体として横長断面の略直方体状をなしている。このハウジング20には、端子金具10を収容するための複数のキャビティ22が上下2段に分かれて形成され、その幅方向における両側のキャビティ22は、大型の端子金具が収容されるキャビティ22Lとされている。各キャビティ22は前後方向に形成され、後方から端子金具10が挿入可能とされている。そして、ハウジング20の前壁において、各キャビティ22に対応する位置には、相手側端子金具のタブを挿入するためのタブ挿入口23が設けられている。このタブ挿入口23の前側の孔縁には、全周にわたって略擂鉢状をなす誘導面が形成され、相手側端子金具のタブの進入動作が円滑に誘導されるようになっている。また、各キャビティ22内における底面には、端子金具10の一次係止部11aを係止するランス21が、前方に向けて片持ち状に延出されている。このランス21の下方には、前方に開口した撓み空間24が形成されており、ランス21はこの撓み空間24に向けて撓み変形可能とされている。
【0019】
ランス21の形成位置の少し後方、言い換えるとハウジング20の前後方向においてほぼ中央部には、図1に示すように、後述するリテーナ30が下方から装着されるリテーナ挿入口25が設けられている。このリテーナ挿入口25は横長形状をなし、ハウジング20の底面から上方に向けキャビティ22を貫通して形成されている。このリテーナ挿入口25の下端は、リテーナ挿入口25よりやや広く開口したリテーナ挿入口縁26とされている。
【0020】
このリテーナ挿入口25上面の左右両端には、リテーナ30に設けられた側板38が挿入される溝状の側板挿入部27が下方に開口して設けられている。両側板挿入部27において後側の側縁には前方に向かって突設された仮係止突起27aが設けられるとともに、前側の側縁においてこの仮係止突起27aより少し上方の位置には、後方に向かって突設された本係止突起27bが設けられている。そして、仮係止突起27aおよび本係止突起27bの下端は、それぞれリテーナ30の挿入方向に対して傾斜した誘導斜面とされ、上端はリテーナ30の挿入方向とほぼ直交する係止面とされている。
【0021】
ハウジング20のリテーナ挿入口25に下方から差し込まれるリテーナ30は合成樹脂製であり、全体としてリテーナ挿入口25にほぼ緊密に挿入可能な横方向に細長い形状とされている。このリテーナ30には、前後方向に貫通された複数の貫通孔31が形成されている。この貫通孔31は、リテーナ30がハウジング20に装着されると、ハウジング20に設けられたキャビティ22のうち、下段の各キャビティ22とそれぞれ連通するように形成されている。そして、貫通孔31の天井となっている上板部32の上方の空間は、ハウジング20の上段のキャビティ22と対応し、この上板部32における上側の面には、その各キャビティ22を仕切る隔壁の位置にあわせて仕切壁33が設けられている(図4参照)。また、貫通孔31の底面となっている下板部34の下方には、下板部34よりもやや面積が大きく、リテーナ挿入口縁26に嵌合可能な基板部35が設けられている。
【0022】
そして、上板部32の上面および下板部34の上面、つまりリテーナ30がハウジング20に装着された状態で上段および下段の各キャビティ22の底面と面一となる面には、各キャビティ22と対応した位置ごとに、係止突部36(本発明における係合部に該当する)および進入規制部37が形成されている。
【0023】
係止突部36は、下板部34の上面および上板部32の上面の前端に設けられるとともに、下板部34の上面における各隔壁間および上板部32の上面における各仕切壁33間においてほぼ左側半分を占める幅に形成されている。そして、係止突部36の後部は、下板部34の上面および上板部32の上面からそれぞれ前方に向かって上り勾配となったテーパ面とされている。これにより、端子金具10にかしめ付けられている電線Wの端末は係止突部36と干渉することがなく、また、端子金具10がキャビティ22内に振られながら挿入されても、その先端が引っ掛からないようになっている。
【0024】
この係止突部36の後方には、進入規制部37が設けられている。この進入規制部37は、リテーナ30の後端位置であって、幅方向において係止突部36から右側へずれた位置に形成されるとともに、その右側面と、それに対向する貫通孔31を仕切る隔壁および仕切壁33との間には所定の間隔が開けられている。この進入規制部37の右側の後端角は、後端がそれ以外の部分の幅に比べ少し幅狭になるように切り欠かれている。そして、進入規制部37の後端面は、上下方向に垂直に、すなわち端子金具10の挿入方向とほぼ直交する向きに形成されるとともに、リテーナ30の後端面と面一に形成されている。また、進入規制部37における上側の面は、段差などが設けられず滑らかな平面とされている。
【0025】
リテーナ30の左右両端には、リテーナ挿入口25の両端に設けられた側板挿入部27に挿入される一対の側板38が立てられている。両側板38の上部には、図1に示すように、それぞれ前後一対の仮保持アーム38aと本保持アーム38bとが、ほぼ同じ高さまで上向きに突出する形態で形成され、互いに背中合わせの姿勢で内側に撓み変形可能に形成されている。後側に設けられた仮保持アーム38aは、その上端から後方に向かって突出形成された仮保持突部39aを備え、一方前側に設けられた本保持アーム38bは、その上端から前方に向かって突出形成された本保持突部39bを備えている。仮保持突部39aおよび本保持突部39bの上面は、リテーナ30の挿入方向に対して傾斜した誘導斜面とされるとともに、下面はリテーナ30の挿入方向とほぼ直交する係止面とされている。本保持突部39bの上下方向の長さは、仮保持突部39aの上下方向の長さに比べ小さく形成されており、本保持突部39bの係止面は、仮保持突部39aの係止面より上方に位置している。
【0026】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用および効果について説明する。
【0027】
まず、リテーナ30をハウジング20に仮係止状態に取り付ける。下方からリテーナ30をリテーナ挿入口25に押し込むと、後側の仮保持アーム38aが誘導斜面に案内されつつ仮係止突起27aに乗り上げて前方へ弾性撓みする。そして、仮保持突部39aが仮係止突起27aを乗り越えると、仮保持アーム38aが弾性復帰すると同時に、その仮保持突部39aの下面の係止面が仮係止突起27aの上面の係止面に対して係止し、リテーナ30は仮係止位置に保持される。このとき、本保持アーム38bの本保持突部39bの誘導斜面は本係止突起27bの誘導斜面に下から当接した状態になっている。
【0028】
こうしてリテーナ30が仮係止位置に保持されたハウジング20のキャビティ22に、後方から端子金具10を挿入する。このとき、リテーナ30が仮係止位置に保持された状態では、係止突部36および進入規制部37が、それぞれ対応するキャビティ22より下方に退避し、キャビティ22への端子金具10の挿入を許容し得るようになっている。このため、挿入された端子金具10は、進入規制部37および係止突部36の上方を通過することができる。そして、端子金具10は、キャビティ22の底面に設けられたランス21を下方へ撓み変形させつつさらに押し込まれる。端子金具10が正規位置まで押し込まれると、ランス21が復元変形し、端子金具10の下面に設けられた一次係止部11aに嵌まって、端子金具10は一次係止される。
【0029】
そして、大型の端子金具を含め必要な端子金具すべてを同様にしてキャビティ22内に挿入した後、仮係止位置に保持されているリテーナ30を上方へ押し込む。すると、前側の本保持アーム38bが誘導斜面に案内されつつ本係止突起27bに乗り上げて後方へ弾性撓みする。そして、本保持突部39bが本係止突起27bを乗り越えると、本保持アーム38bが弾性復帰すると同時に、その本保持突部39bの下面の係止面が本係止突起27bの上面の係止面に対して係止するとともに、リテーナ30の基板部35がハウジング20のリテーナ挿入口縁26に嵌合され、リテーナ30は本係止位置に保持される。このとき基板部35の下面はハウジング20の下面とほぼ面一状に揃えられる。こうして、リテーナ30が本係止位置に保持された状態では、係止突部36および進入規制部37がキャビティ22内に突入し、係止突部36の前面がそれぞれ対応する端子金具10の二次係止部11bに当接して端子金具10は二次係止される。
【0030】
ここで、必ずしもすべてのキャビティ22に端子金具10が装着されているわけではなく、一部のキャビティ22が空き状態となっている場合がある。そこで、空きキャビティ22を未だ端子金具10の装着が終了していないものと誤って、そこに端子金具10を挿入しようとしてしまうことがある。このとき、誤って挿入された端子金具10の先端が、リテーナ30における係止突部36のテーパ面に突き当たると、その押し込み力によりテーパー面には下向きの分力が発生し、その分力によってリテーナ30が仮係止位置まで押し戻され、その状態で留め置かれてしまうおそれがある。
【0031】
しかし、本実施形態では、誤って挿入された端子金具10の先端は、リテーナ挿入口25位置に達すると同時に、そこに設けられた進入規制部37の後端面に突き当たってそれ以上の進入を規制される。これにより、端子金具10の先端がリテーナ30における係止突部36のテーパ面に突き当たってリテーナ30が仮係止位置まで押し戻されるという事態を回避できる。特に本実施形態では、進入規制部37が係止突部36の後方に設けられているから、端子金具10が誤って挿入されても、その端子金具10は係止突部36に突き当たる前に、進入規制部37によって挿入を規制される。これにより、リテーナ30が仮係止位置まで押し戻されるという事態が確実に回避される。また、比較的早期に端子金具10を誤って挿入したことに気付くことができる。なお、進入規制部37において端子金具10の挿入方向における後端側の面は、この挿入方向とほぼ直交する向きに形成されているから、リテーナ30を下方に押し下げるような分力は発生しない。したがって、進入規制部37が誤挿入された端子金具10に押されても、リテーナ30が仮係止位置に戻されることはない。
【0032】
なお、進入規制部37はリテーナ30の後端位置に設けられており、このリテーナ30が仮係止位置にある状態では、この進入規制部30の後端面とリテーナ挿入口25においてこれと対向する面とがほぼ隙間なく密接している。したがって、端子金具10がキャビティ22内に首を振りながら挿入されることがあっても、進入規制部37の後端面と、ハウジング20においてこの後端面に対向する面との間には、端子金具10の先端が引っ掛かるような隙間がない。また、端子金具10が通過する側の面は段差等のない滑らかな平面である。これらより、進入規制部30の後端面を、本係止状態で端子金具10を確実に規制できるように切り立った面としていても、仮係止状態では端子金具10がこの後端面に引っ掛かることなくスムーズに挿入される。
【0033】
以上のように本実施形態によれば、リテーナ30には、このリテーナ30が本係止位置にあるときにキャビティ22内に突出して、このキャビティ22内への端子金具10の進入を規制する進入規制部37が、係止突部36よりも後方に設けられている。これにより、リテーナ30が本係止位置にある状態で、誤って挿入されかけた端子金具10は、係止突部36に突き当たるよりも前に進入規制部37に突き当たって進入が規制される。したがって、端子金具10の先端が係止突部36に突き当たることが回避され、リテーナ30が仮係止位置に戻ってしまうことを確実に防止できる。また、端子金具10の先端がリテーナ30に至ってから比較的早期に誤挿入であることに気付くことができる。
【0034】
本発明の技術的範囲は、上記した実施形態によって限定されるものではなく、例えば、次に記載するようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。その他、本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。
【0035】
(1)本実施形態では、進入規制部37は所定の幅と所定の奥行きとを備えた形状とされているが、これに限らず、端子金具の挿入を規制できる形状であれば良く、例えば、その形状は棒状であっても良い。
【0036】
(2)本実施形態では、進入規制部37が下板部34の上面および上板部32の上面の後端に設けられているが、これに限らず、後端より前側の位置に設けられていても良い。
【0037】
(3)本実施形態では、非防水のコネクタ1に適用した例を説明したが、本発明は、防水コネクタに適用しても良い。
【0038】
(4)本実施形態では、雌型の端子金具10をハウジング20に収容した雌側のコネクタ1に適用した例を説明したが、本発明は、雄型の端子金具をハウジングに収容した雄側のコネクタに適用しても良い。
【0039】
(5)本実施形態では、端子金具10はハウジング20に形成した樹脂ランス21により一次係止されるが、これに限らず、端子金具の一部を切り起こして形成した金属ランスによって一次係止されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態のリテーナがハウジングに装着される前の状態を示す縦断面図
【図2】リテーナが仮係止位置に保持されている状態を示す縦断面図
【図3】リテーナが本係止位置に保持されている状態を示す縦断面図
【図4】リテーナが本係止位置に保持されている状態を示す平断面図
【符号の説明】
【0041】
1…コネクタ
10…端子金具
20…ハウジング(コネクタハウジング)
22…キャビティ
30…リテーナ
36…係止突部(係合部)
37…進入規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子金具を挿入可能なキャビティを備えるコネクタハウジングと、
このコネクタハウジングの一側面から前記キャビティを横切る方向に差し込まれて前記端子金具を係止するリテーナとを備えるとともに、
前記リテーナには前記端子金具と係合可能な係合部が設けられるとともに、
前記リテーナが、前記係合部が前記キャビティの側方に退避して前記端子金具の挿抜を許容する仮係止位置と、前記係合部が前記キャビティ内に突出して前記端子金具と係合する本係止位置との間で移動可能とされているコネクタであって、
前記リテーナには、このリテーナが本係止位置にあるときに前記キャビティ内に突出してこのキャビティ内への前記端子金具の進入を規制する進入規制部が設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記進入規制部が前記係合部よりも前記端子金具の挿入方向後方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−185759(P2006−185759A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378430(P2004−378430)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】