コネクタ
【課題】衝撃を受けても基板とカード型電子装置との接触が不安定になりくいコネクタを提供する。
【解決手段】一対のアームを有し、基板上に実装され、カード型電子装置が配置されるベース3と、このベースに絶縁状態で保持された複数のコンタクト7と、前記カード型電子装置を前記コンタクトに押し付けるカバー9と、前記一対のアーム37,38と前記カバーとのうちの一方に設けられた一対の軸部95,96と、前記一対のアームと前記カバーとのうちの他方に設けられ、前記一対の軸部を回転可能に支持して前記カバーを前記ベースに回転可能に連結する軸受部37a、38aとを備え、前記一対のアームのうちの少なくとも一方のアーム37が前記軸部の軸線方向へ弾性変形可能であり、少なくともこの弾性変形可能なアーム37に、前記基板に固定される固定部43が設けられていることを特徴とするコネクタ。
【解決手段】一対のアームを有し、基板上に実装され、カード型電子装置が配置されるベース3と、このベースに絶縁状態で保持された複数のコンタクト7と、前記カード型電子装置を前記コンタクトに押し付けるカバー9と、前記一対のアーム37,38と前記カバーとのうちの一方に設けられた一対の軸部95,96と、前記一対のアームと前記カバーとのうちの他方に設けられ、前記一対の軸部を回転可能に支持して前記カバーを前記ベースに回転可能に連結する軸受部37a、38aとを備え、前記一対のアームのうちの少なくとも一方のアーム37が前記軸部の軸線方向へ弾性変形可能であり、少なくともこの弾性変形可能なアーム37に、前記基板に固定される固定部43が設けられていることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコネクタに関し、特にプリント基板に実装され、カード型電子装置とプリント基板とを電気的に接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベースインシュレータ(ベース)と複数のコンタクトとカバー部材(カバー)とからなるコネクタが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
ベースインシュレータはほぼトレー状である。ベースインシュレータは一対の側壁を有する。一対の側壁には長孔状の軸受部が形成されている。ベースインシュレータ上にカード(カード型電子装置)が配置される。
【0004】
複数のコンタクトはベースインシュレータに等間隔に配置されている。コンタクトは接触部と端子部とを有する。接触部はカードの端子に接触する。端子部はプリント基板のパッドに半田付けされる。
【0005】
カバー部材は一対のレールと一対のアームとを有する。カバー部材は一対のレール部によってカードを保持する。カバー部材に保持されたカードはカバー部材に対してレール部の長手方向へ挿抜可能である。アームは板状であり、弾性変形可能である。アームには軸部が設けられている。軸部は軸受部に回転可能且つベースインシュレータの前後方向へ移動可能に支持されている。カバー部材はベースインシュレータに、開位置と閉位置との間を回転可能に連結されているとともに、ベースインシュレータの前後方向に沿ってロック解除位置とロック可能位置との間を移動可能に連結されている。
【0006】
カバー部材が開位置にあるとき、カバー部材はベースインシュレータの開口から離れ、ベースインシュレータの開口が開放されている。このときカバー部材に対するカードの挿抜が可能になる。カバー部材が閉位置且つロック解除位置にあるとき、カバー部材に保持されたカードはコンタクトに軽く押し付けられる。カバー部材が閉位置且つロック可能位置にあってカバー部材がベースインシュレータにロックされているとき、コンタクトの接触部がカードの端子部に接触し、カードとプリント基板とが導通状態になっている。
【0007】
カバー部材をベースインシュレータに組み付けるとき、アームの一対の軸部の間隔はベースインシュレータの一対の軸受部の間隔よりも狭いので、カバー部材のアームを弾性変形させて一対の軸部の間隔を軸受部の間隔以上に広げ、軸部を軸受部に挿入する。
【特許文献1】特開2005−302334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、従来のコネクタでは、カバー部材の軸部をベースインシュレータの軸受部に挿入するために、カバー部材のアームを弾性変化可能にした。
【0009】
このため、例えば、このコネクタを備えた電子装置を落下させた場合、衝撃によりカバー部材のアームが弾性変形してカバー部材がベースインシュレータから浮き上がり、カードとプリント基板との接触が不安定になる。
【0010】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は衝撃を受けても基板とカード型電子装置との接触が不安定になりくいコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するため請求項1の発明は、一対のアームを有し、基板上に実装され、カード型電子装置が配置されるベースと、このベースに絶縁状態で保持された複数のコンタクトと、前記カード型電子装置を前記コンタクトに押し付けるカバーと、前記一対のアームと前記カバーとのうちの一方に設けられた一対の軸部と、前記一対のアームと前記カバーとのうちの他方に設けられ、前記一対の軸部を回転可能に支持して前記カバーを前記ベースに回転可能に連結する軸受部とを備え、前記一対のアームのうちの少なくとも一方のアームが前記軸部の軸線方向へ弾性変形可能であり、少なくともこの弾性変形可能なアームに、前記基板に固定される固定部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
上述のように、この弾性変形可能なアームに、基板に固定される固定部が設けられているので、コネクタを基板に実装し、固定部が基板に固定されると、アームは弾性変形できなくなる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1記載のコネクタにおいて、前記軸受部が前記アームの長手方向へ移動可能に前記軸部を保持する長孔であることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項2記載のコネクタにおいて、前記カバーが前記ベースを覆った状態で前記アームの長手方向へ所定距離だけ移動したとき前記カバーを前記ベースにロックするロック機構を備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項3記載のコネクタにおいて、前記カバーを前記ベースにロックしたとき及び前記カバーが前記ベースにロックされた状態を解除したとき、前記カバーの操作者にクリック感を与えるクリック機構を備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載のコネクタにおいて、少なくとも前記弾性変形可能なアームと前記固定部とが金属板で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、衝撃を受けても基板とカード型電子装置との接触が不安定になりにくいコネクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1はこの発明の一実施形態のコネクタの平面図、図2は図1に示すコネクタの樹脂部を形成する前の状態のベース及びコンタクトの平面図、図3は図1に示すコネクタのベース及び樹脂部の平面図、図4は図1に示すコネクタのベースとカバーとを分離した状態を示す平面図、図5は図1に示すコネクタのベースとカバーとを組み付ける途中の状態の平面図である。
【0020】
図1に示すように、コネクタ1はベース3と樹脂部5と複数のコンタクト7とスイッチコンタクト8とカバー9とを備える。コネクタ1は図示しないプリント基板(基板)に実装され、例えばSDカードやPCカード等のメモリカード(カード型電子装置)21(図7参照)とプリント基板とを電気的に接続する。
【0021】
図2に示すように、ベース3と複数のコンタクト7とスイッチコンタクト8とは弾性及び導電性を有する1枚の金属板に打抜き加工及び曲げ加工を施すことによって形成される。
【0022】
図2、図3に示すように、ベース3は側壁31,32と前壁33と後壁34と連結部35とアーム37,38と底板41,42とホールドダウン(固定部)43,44,45,46とクリック板47,48とを有する。
【0023】
側壁31,32は板状であり、それぞれロック爪31a,32aを有する(図11参照)。ロック爪31a,32aはほぼ三角形状であり、側壁31,32を切り起こすことによって形成されている。ロック爪31a,32aは側壁31,32の前部に位置し、側壁31,32の内側へ突出している。
【0024】
前壁33は板状である。前壁33はカバー9に保持されたメモリカード21を支持し、メモリカード21がカバー9から抜け落ちないようにする。
【0025】
後壁34は板状である。後壁34はカバー9に保持されたメモリカード21を支持し、メモリカード21がカバー9から抜け落ちないようにする。
【0026】
連結部35はほぼU字形であり、アーム37,38同士を連結するとともにアーム37,38と側壁31,32とを連結する。更に、連結部35は後壁34とアーム37,38とを連結する。
【0027】
アーム37は板状であり、側壁31の後方に位置し、側壁31を通る仮想直線上に並んでいる。アーム37の前端部は連結部35に連なる。アーム37はその板厚方向へ弾性変形可能である。アーム37はアーム38よりも長い。
【0028】
アーム38は板状であり、側壁32の後方に位置し、コンタクト7のコンタクト配列方向Dで側壁32よりもコンタクト7に近い。アーム38の前端部は連結部35に連なる。アーム38はその板厚方向へ弾性変形可能であるが、アーム38はアーム37よりも短いので、アーム37ほど弾性変形しない。ベース3の前後方向Fでアーム38の後端の位置はアーム37の後端の位置と同じである。
【0029】
底板41は側壁31の前端部に、底板42は側壁32の前端部にそれぞれ連なる。底板41,42は前壁33と側壁31,32とに連なる。
【0030】
ホールドダウン43,44は矩形であり、それぞれアーム37,38に連なる。ホールドダウン43,44はプリント基板のパッドに半田付けされる。
【0031】
ホールドダウン45,46は矩形であり、それぞれ底板41,42に連なる。ホールドダウン45,46はプリント基板のパッドに半田付けされる。
【0032】
クリック板47,48はそれぞれアーム37,38の後端部に連なり折り返されてアーム37,38の外側に位置する。クリック板47,48はそれぞれ凸部47a,48aを有する(図1参照)。凸部47a,48aはそれぞれアーム37,38に向かって突出している。
【0033】
樹脂部5は図2中に示されている黒い部分を切除した後、モールドイン成型法によって形成される。樹脂部5は複数のコンタクト7の固定部73とスイッチコンタクト8の固定部83と連結部35とを覆う。これにより、複数のコンタクト7は絶縁状態で等間隔に保持されるとともに連結部35に連結され、スイッチコンタクト8は絶縁状態で連結部35に連結される。
【0034】
複数のコンタクト7はそれぞれ接触部71とばね部72と固定部73と端子部74とを有する。接触部71はメモリカード21の端子部21a(図7参照)に接触する。ばね部72は接触部71に連なり、接触部71をメモリカード21の端子部21aに押し付ける。固定部73はばね部72に連なり、樹脂部5に保持される。端子部74はプリント基板のパッドに半田付けされる。
【0035】
スイッチコンタクト8は第1接触片81と第2接触片82と固定部83とを有する。第1接触片81はほぼL字形で固定部83に連なる。第2接触片82はコンタクト配列方向Dへ延び、固定部83に連なる。固定部83は樹脂部5に保持される。
【0036】
図1、図4、図5に示すように、カバー9はカバー本体90と側壁91,92とアーム93,94と軸部95,96と保持片97,98とを有する。カバー9は1枚の金属板に打抜き加工及び曲げ加工を施すことによって形成される。
【0037】
カバー本体90はほぼ矩形の板状である。側壁91は板状であり、カバー本体90の一側部に連なる。側壁92はカバー本体90の他側部に連なる。側壁92は前側部分921と後側部分922とで構成されている。カバー9の各部分の前後関係はカバー9が閉じた状態(図9参照)を基準に定められ、図9の下側がカバー9の前側であり、図9の上側がカバー9の後側である。前側部分921は板状であり、カバー本体90の前部に位置している。後側部分922は板状であり、前側部分921の後方に位置し、コンタクト配列方向Dで前側部分921よりも内側に位置している。後側部分922は前側部分921よりも短い。側壁91,92の前端上部にはそれぞれ切欠91a,92a(図9、図11参照)が形成されている。ベース3の側壁31,32のロック爪31a,32aとカバー9の側壁91,92の切欠91a,92aとでロック機構が構成される。
【0038】
アーム93は板状であり、側壁91の後端部に連なる。アーム94は側壁92の後側部分922の後端部に連結されている。アーム93とアーム94とは同じ長さである。アーム93,94は従来のコネクタ(図示せず)のように、カバー9をベース3に組み付けるために弾性変形させる必要がないので、アーム93,94を従来のコネクタよりも短くすることができる。アーム93,94はベース3のアーム37よりも短く、アーム38とほぼ同じ長さである。アーム93,94は短いので、殆ど弾性変形しない。
【0039】
軸部95,96はそれぞれアーム93,94の後端部の外側の面に設けられている。
【0040】
保持片97,98はそれぞれ側壁91,92の前部に連なる。保持片97,98はカバー本体90と側壁91,92とで囲まれた収容空間9Aに挿入されたメモリカード21のカバー本体90の厚さ方向への動きを規制する。
【0041】
図4に示されるカバー9をベース3に組み付けるには、図5に示すように、アーム37を弾性変形させて長孔(軸受部)37a,38a(図6、図7参照)間の間隔を一旦カバー9の軸部95,96間の間隔よりも広げ、アーム37の長孔37a,38aに軸部95,96を挿入すればよい。
【0042】
このようにしてベース3に組み付けられたカバー9は、軸部95,96を中心にしてカバー9が開いている開位置(図6参照)とカバー9が閉じている閉位置(図8参照)との間を回転することができる。更に、カバー9は、閉位置にあるカバー9のロックが解除されるロック解除位置(図9参照)とカバー9がロックされ得るロック可能位置(図14参照)との間を、ベース3のアーム37,38の長手方向(前後方向Fと平行)に沿ってスライドすることができる。
【0043】
コネクタ1の組立後、ホールドダウン43,44,45,46及びコンタクト7の端子部74をそれぞれプリント基板のパッドに半田付けする。その結果、アーム37,38は弾性変形しなくなり、しかも、カバー9のアーム93,94を短くしてアーム93,94の剛性を高めてあるので、コネクタ1に衝撃等加わってもカバー9はベース3から浮いたり、はずれたりしない。
【0044】
図6は図1に示すコネクタのカバーが開位置にあるときの状態を示す斜視図、図7は図6に示すコネクタのカバーにメモリカードを挿入した状態を示す斜視図、図8は図7に示すコネクタのカバーが閉位置且つロック可能位置にあるときの状態を示す斜視図である。
【0045】
次に、メモリカード21の接続作業について説明する。
【0046】
図6に示すように、まず、カバー9をロック可能位置からロック解除位置までスライドさせ、その後カバー9を開位置まで回転させてカバーを開く。
【0047】
次に、カバー9の収容空間9Aにメモリカード21を挿入する。
【0048】
最後に、カバー9を開位置から閉位置まで回転させてカバー9を閉じ、図8に示すように、カバー9をロック解除位置からロック位置までスライドさせる。
【0049】
その結果、コンタクト7の接触部71がメモリカード21の端子部21aに接触し、メモリカード21とプリント基板とが電気的に接続される。同時に、スイッチコンタクト8の第1、第2接触部81,82がメモリカード21の端子部21aに接触し、メモリカード21とプリント基板とが電気的に接続されたことが図示しない検知回路で検知される。
【0050】
図9は図1に示すコネクタのカバーがロック解除位置にあり、カバーが押し下げられた状態を示す平面図、図10は図9のX−X線に沿う断面を示す概念図、図11は図10に示す状態のときのコネクタのロック機構の拡大図、図12はカバーが押し下げられたままロック可能位置まで移動したときの断面を示す概念図、図13は図12に示す状態のときのコネクタのロック機構の拡大図、図14は図1に示すコネクタのカバーが閉位置且つロック可能位置にあるときの状態を示す平面図、図15は図14のXV−XV線に沿う断面を示す概念図、図16は図15に示す状態のコネクタのロック機構の拡大図である。
【0051】
カバー9をベース3にロックさせるときの操作を説明する。
【0052】
図7で示すように収容空間9Aにメモリカード21を挿入した後、図9、図10、図11で示すように(メモリカード21は図示せず)、カバー9を閉位置まで回転させ、コンタクト7のばね部72のばね力に抗して指先でカバー9をベース3の方へ押圧する。その結果、カバー9の前部がカバー9の後部よりも下方に位置した状態になる。
【0053】
この状態で、指先でカバー9をロック解除位置から、図12、図13に示すように、ロック可能位置(ベース3の前方位置)までスライドさせる。このとき、軸部95,96がクリック板47,48のばね力に抗して凸部47a,48aを押し退けて通過するので、カバー9の操作者はクリック感を感じる。このように、クリック板47,48と軸部95,96とでクリック機構が構成される。図12、図13に示す状態では、カバー9の切欠91a,92aとベース3のロック爪31a,32aとは係合しておらず、カバー9はまだベース3にロックされていない。
【0054】
カバー9を押圧していた指先をカバー9から離すと、コンタクト7のばね部72のばね力によって接触部71がカバー9を持ち上げられ、その結果、図14、図15、図16(メモリカード21は図示せず)に示すように、カバー9の切欠91a,92aとベース3のロック爪31a,32aとが係合し、カバー9がベース3にロックされる。この状態では、カバー9を開けようとしてもカバー9は開かない。
【0055】
カバー9のロックを解除するには、カバー9をベース3にロックさせるときと逆の操作を行えばよい。
【0056】
また、アーム93,94を短くすることによってアーム93,94の剛性が高くなり、しかも、ベース3をプリント基板に実装した後は、アーム37,38はホールドダウン43,44によってプリント基板に半田付等により固定され弾性変形しなくなるので、外部からの衝撃によってメモリカード21がコネクタ1から飛び出そうとしても、カバー9がベース3から浮き上がったり、ベース3から外れたりしない。したがって、コネクタ1とメモリカード21との接触安定性が保たれ、メモリカード21からプリント基板へ或いはプリント基板からメモリカード21へ伝送途中のデータが破壊されたり、データが消失したりすることがない。
【0057】
なお、この実施形態では、ベース3のアーム37を長くして弾性変形可能にし、アーム38を短くして弾性変形をしにくくしたが、両方のアーム37,38を長くして両方のアーム37,38を弾性変形可能にしてもよい。
【0058】
また、アーム38を短くして弾性変形をしにくくすれば、アーム38にはホールドダウン44を設けなくても構わない。
【0059】
なお、カバー9を前後方向Fに沿ってロック解除位置とロック可能位置との間でスライド可能にしたが、カバー9は必ずしもスライドさせる必要はなく、軸部95,96を中心にして回転できさえすればよい。
【0060】
また、ロック機構、クリック機構は図示のものに限られず、また、クリック機構は省略することも可能である。
【0061】
なお、弾性変形可能なアーム37の固定部としてホールドダウン43を用いたが、アーム37の固定部としてはホールドダウンに限られず、例えばプリント基板に形成された孔に挿入されるピンを固定部としてアーム37に設けてもよいし、プリント基板に形成されたピンが挿入される孔を固定部としてアーム37に設けてもよい。
【0062】
また、アームをベース3にだけ設けるようにしてもよい。このときカバー9の側壁を後方へ延ばし、その側壁に軸部を設けるようにする。
【0063】
なお、アーム37と固定部としてのホールドダウン43とを金属板で形成し、ベース3の残りの部分を他の材料で形成してもよい。また、アーム37と固定部としてのホールドダウン43とを含めベース3全体を金属板以外の材料(例えば樹脂等)で形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1はこの発明の一実施形態のコネクタの平面図である。
【図2】図2は図1に示すコネクタの樹脂部を形成する前の状態のベース及びコンタクトの平面図である。
【図3】図3は図1に示すコネクタのベース及び樹脂部の平面図である。
【図4】図4は図1に示すコネクタのベースとカバーとを分離した状態を示す平面図である。
【図5】図5は図1に示すコネクタのベースとカバーとを組み付ける途中の状態の平面図である。
【図6】図6は図1に示すコネクタのカバーが開位置にあるときの状態を示す斜視図である。
【図7】図7は図6に示すコネクタのカバーにメモリカードを挿入した状態を示す斜視図である。
【図8】図8は図7に示すコネクタのカバーが閉位置且つロック可能位置にあるときの状態を示す斜視図である。
【図9】図9は図1に示すコネクタのカバーがロック解除位置にあり、カバーが押し下げられた状態を示す平面図である。
【図10】図10は図9のX−X線に沿う断面を示す概念図である。
【図11】図11は図10に示す状態のときのコネクタのロック機構の拡大図である。
【図12】図12はカバーが押し下げられたままロック可能位置まで移動したときの断面を示す概念図である。
【図13】図13は図12に示す状態のときのコネクタのロック機構の拡大図である。
【図14】図14は図1に示すコネクタのカバーが閉位置且つロック可能位置にあるときの状態を示す平面図である。
【図15】図15は図14のXV−XV線に沿う断面を示す概念図である。
【図16】図16は図15に示す状態のコネクタのロック機構の拡大図である。
【符号の説明】
【0065】
1 コネクタ
3 ベース
31a,32a ロック爪(ロック機構)
37,38 アーム
37a,38a 長孔(軸受部)
43,44 ホールドダウン(固定部)
47,48 クリック板(クリック機構)
7 コンタクト
9 カバー
91a,92a 切欠91a(ロック機構)
95,96 軸部(クリック機構)
21 メモリカード
【技術分野】
【0001】
この発明はコネクタに関し、特にプリント基板に実装され、カード型電子装置とプリント基板とを電気的に接続するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベースインシュレータ(ベース)と複数のコンタクトとカバー部材(カバー)とからなるコネクタが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
ベースインシュレータはほぼトレー状である。ベースインシュレータは一対の側壁を有する。一対の側壁には長孔状の軸受部が形成されている。ベースインシュレータ上にカード(カード型電子装置)が配置される。
【0004】
複数のコンタクトはベースインシュレータに等間隔に配置されている。コンタクトは接触部と端子部とを有する。接触部はカードの端子に接触する。端子部はプリント基板のパッドに半田付けされる。
【0005】
カバー部材は一対のレールと一対のアームとを有する。カバー部材は一対のレール部によってカードを保持する。カバー部材に保持されたカードはカバー部材に対してレール部の長手方向へ挿抜可能である。アームは板状であり、弾性変形可能である。アームには軸部が設けられている。軸部は軸受部に回転可能且つベースインシュレータの前後方向へ移動可能に支持されている。カバー部材はベースインシュレータに、開位置と閉位置との間を回転可能に連結されているとともに、ベースインシュレータの前後方向に沿ってロック解除位置とロック可能位置との間を移動可能に連結されている。
【0006】
カバー部材が開位置にあるとき、カバー部材はベースインシュレータの開口から離れ、ベースインシュレータの開口が開放されている。このときカバー部材に対するカードの挿抜が可能になる。カバー部材が閉位置且つロック解除位置にあるとき、カバー部材に保持されたカードはコンタクトに軽く押し付けられる。カバー部材が閉位置且つロック可能位置にあってカバー部材がベースインシュレータにロックされているとき、コンタクトの接触部がカードの端子部に接触し、カードとプリント基板とが導通状態になっている。
【0007】
カバー部材をベースインシュレータに組み付けるとき、アームの一対の軸部の間隔はベースインシュレータの一対の軸受部の間隔よりも狭いので、カバー部材のアームを弾性変形させて一対の軸部の間隔を軸受部の間隔以上に広げ、軸部を軸受部に挿入する。
【特許文献1】特開2005−302334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、従来のコネクタでは、カバー部材の軸部をベースインシュレータの軸受部に挿入するために、カバー部材のアームを弾性変化可能にした。
【0009】
このため、例えば、このコネクタを備えた電子装置を落下させた場合、衝撃によりカバー部材のアームが弾性変形してカバー部材がベースインシュレータから浮き上がり、カードとプリント基板との接触が不安定になる。
【0010】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は衝撃を受けても基板とカード型電子装置との接触が不安定になりくいコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述の課題を解決するため請求項1の発明は、一対のアームを有し、基板上に実装され、カード型電子装置が配置されるベースと、このベースに絶縁状態で保持された複数のコンタクトと、前記カード型電子装置を前記コンタクトに押し付けるカバーと、前記一対のアームと前記カバーとのうちの一方に設けられた一対の軸部と、前記一対のアームと前記カバーとのうちの他方に設けられ、前記一対の軸部を回転可能に支持して前記カバーを前記ベースに回転可能に連結する軸受部とを備え、前記一対のアームのうちの少なくとも一方のアームが前記軸部の軸線方向へ弾性変形可能であり、少なくともこの弾性変形可能なアームに、前記基板に固定される固定部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
上述のように、この弾性変形可能なアームに、基板に固定される固定部が設けられているので、コネクタを基板に実装し、固定部が基板に固定されると、アームは弾性変形できなくなる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1記載のコネクタにおいて、前記軸受部が前記アームの長手方向へ移動可能に前記軸部を保持する長孔であることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項2記載のコネクタにおいて、前記カバーが前記ベースを覆った状態で前記アームの長手方向へ所定距離だけ移動したとき前記カバーを前記ベースにロックするロック機構を備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項3記載のコネクタにおいて、前記カバーを前記ベースにロックしたとき及び前記カバーが前記ベースにロックされた状態を解除したとき、前記カバーの操作者にクリック感を与えるクリック機構を備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載のコネクタにおいて、少なくとも前記弾性変形可能なアームと前記固定部とが金属板で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、衝撃を受けても基板とカード型電子装置との接触が不安定になりにくいコネクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1はこの発明の一実施形態のコネクタの平面図、図2は図1に示すコネクタの樹脂部を形成する前の状態のベース及びコンタクトの平面図、図3は図1に示すコネクタのベース及び樹脂部の平面図、図4は図1に示すコネクタのベースとカバーとを分離した状態を示す平面図、図5は図1に示すコネクタのベースとカバーとを組み付ける途中の状態の平面図である。
【0020】
図1に示すように、コネクタ1はベース3と樹脂部5と複数のコンタクト7とスイッチコンタクト8とカバー9とを備える。コネクタ1は図示しないプリント基板(基板)に実装され、例えばSDカードやPCカード等のメモリカード(カード型電子装置)21(図7参照)とプリント基板とを電気的に接続する。
【0021】
図2に示すように、ベース3と複数のコンタクト7とスイッチコンタクト8とは弾性及び導電性を有する1枚の金属板に打抜き加工及び曲げ加工を施すことによって形成される。
【0022】
図2、図3に示すように、ベース3は側壁31,32と前壁33と後壁34と連結部35とアーム37,38と底板41,42とホールドダウン(固定部)43,44,45,46とクリック板47,48とを有する。
【0023】
側壁31,32は板状であり、それぞれロック爪31a,32aを有する(図11参照)。ロック爪31a,32aはほぼ三角形状であり、側壁31,32を切り起こすことによって形成されている。ロック爪31a,32aは側壁31,32の前部に位置し、側壁31,32の内側へ突出している。
【0024】
前壁33は板状である。前壁33はカバー9に保持されたメモリカード21を支持し、メモリカード21がカバー9から抜け落ちないようにする。
【0025】
後壁34は板状である。後壁34はカバー9に保持されたメモリカード21を支持し、メモリカード21がカバー9から抜け落ちないようにする。
【0026】
連結部35はほぼU字形であり、アーム37,38同士を連結するとともにアーム37,38と側壁31,32とを連結する。更に、連結部35は後壁34とアーム37,38とを連結する。
【0027】
アーム37は板状であり、側壁31の後方に位置し、側壁31を通る仮想直線上に並んでいる。アーム37の前端部は連結部35に連なる。アーム37はその板厚方向へ弾性変形可能である。アーム37はアーム38よりも長い。
【0028】
アーム38は板状であり、側壁32の後方に位置し、コンタクト7のコンタクト配列方向Dで側壁32よりもコンタクト7に近い。アーム38の前端部は連結部35に連なる。アーム38はその板厚方向へ弾性変形可能であるが、アーム38はアーム37よりも短いので、アーム37ほど弾性変形しない。ベース3の前後方向Fでアーム38の後端の位置はアーム37の後端の位置と同じである。
【0029】
底板41は側壁31の前端部に、底板42は側壁32の前端部にそれぞれ連なる。底板41,42は前壁33と側壁31,32とに連なる。
【0030】
ホールドダウン43,44は矩形であり、それぞれアーム37,38に連なる。ホールドダウン43,44はプリント基板のパッドに半田付けされる。
【0031】
ホールドダウン45,46は矩形であり、それぞれ底板41,42に連なる。ホールドダウン45,46はプリント基板のパッドに半田付けされる。
【0032】
クリック板47,48はそれぞれアーム37,38の後端部に連なり折り返されてアーム37,38の外側に位置する。クリック板47,48はそれぞれ凸部47a,48aを有する(図1参照)。凸部47a,48aはそれぞれアーム37,38に向かって突出している。
【0033】
樹脂部5は図2中に示されている黒い部分を切除した後、モールドイン成型法によって形成される。樹脂部5は複数のコンタクト7の固定部73とスイッチコンタクト8の固定部83と連結部35とを覆う。これにより、複数のコンタクト7は絶縁状態で等間隔に保持されるとともに連結部35に連結され、スイッチコンタクト8は絶縁状態で連結部35に連結される。
【0034】
複数のコンタクト7はそれぞれ接触部71とばね部72と固定部73と端子部74とを有する。接触部71はメモリカード21の端子部21a(図7参照)に接触する。ばね部72は接触部71に連なり、接触部71をメモリカード21の端子部21aに押し付ける。固定部73はばね部72に連なり、樹脂部5に保持される。端子部74はプリント基板のパッドに半田付けされる。
【0035】
スイッチコンタクト8は第1接触片81と第2接触片82と固定部83とを有する。第1接触片81はほぼL字形で固定部83に連なる。第2接触片82はコンタクト配列方向Dへ延び、固定部83に連なる。固定部83は樹脂部5に保持される。
【0036】
図1、図4、図5に示すように、カバー9はカバー本体90と側壁91,92とアーム93,94と軸部95,96と保持片97,98とを有する。カバー9は1枚の金属板に打抜き加工及び曲げ加工を施すことによって形成される。
【0037】
カバー本体90はほぼ矩形の板状である。側壁91は板状であり、カバー本体90の一側部に連なる。側壁92はカバー本体90の他側部に連なる。側壁92は前側部分921と後側部分922とで構成されている。カバー9の各部分の前後関係はカバー9が閉じた状態(図9参照)を基準に定められ、図9の下側がカバー9の前側であり、図9の上側がカバー9の後側である。前側部分921は板状であり、カバー本体90の前部に位置している。後側部分922は板状であり、前側部分921の後方に位置し、コンタクト配列方向Dで前側部分921よりも内側に位置している。後側部分922は前側部分921よりも短い。側壁91,92の前端上部にはそれぞれ切欠91a,92a(図9、図11参照)が形成されている。ベース3の側壁31,32のロック爪31a,32aとカバー9の側壁91,92の切欠91a,92aとでロック機構が構成される。
【0038】
アーム93は板状であり、側壁91の後端部に連なる。アーム94は側壁92の後側部分922の後端部に連結されている。アーム93とアーム94とは同じ長さである。アーム93,94は従来のコネクタ(図示せず)のように、カバー9をベース3に組み付けるために弾性変形させる必要がないので、アーム93,94を従来のコネクタよりも短くすることができる。アーム93,94はベース3のアーム37よりも短く、アーム38とほぼ同じ長さである。アーム93,94は短いので、殆ど弾性変形しない。
【0039】
軸部95,96はそれぞれアーム93,94の後端部の外側の面に設けられている。
【0040】
保持片97,98はそれぞれ側壁91,92の前部に連なる。保持片97,98はカバー本体90と側壁91,92とで囲まれた収容空間9Aに挿入されたメモリカード21のカバー本体90の厚さ方向への動きを規制する。
【0041】
図4に示されるカバー9をベース3に組み付けるには、図5に示すように、アーム37を弾性変形させて長孔(軸受部)37a,38a(図6、図7参照)間の間隔を一旦カバー9の軸部95,96間の間隔よりも広げ、アーム37の長孔37a,38aに軸部95,96を挿入すればよい。
【0042】
このようにしてベース3に組み付けられたカバー9は、軸部95,96を中心にしてカバー9が開いている開位置(図6参照)とカバー9が閉じている閉位置(図8参照)との間を回転することができる。更に、カバー9は、閉位置にあるカバー9のロックが解除されるロック解除位置(図9参照)とカバー9がロックされ得るロック可能位置(図14参照)との間を、ベース3のアーム37,38の長手方向(前後方向Fと平行)に沿ってスライドすることができる。
【0043】
コネクタ1の組立後、ホールドダウン43,44,45,46及びコンタクト7の端子部74をそれぞれプリント基板のパッドに半田付けする。その結果、アーム37,38は弾性変形しなくなり、しかも、カバー9のアーム93,94を短くしてアーム93,94の剛性を高めてあるので、コネクタ1に衝撃等加わってもカバー9はベース3から浮いたり、はずれたりしない。
【0044】
図6は図1に示すコネクタのカバーが開位置にあるときの状態を示す斜視図、図7は図6に示すコネクタのカバーにメモリカードを挿入した状態を示す斜視図、図8は図7に示すコネクタのカバーが閉位置且つロック可能位置にあるときの状態を示す斜視図である。
【0045】
次に、メモリカード21の接続作業について説明する。
【0046】
図6に示すように、まず、カバー9をロック可能位置からロック解除位置までスライドさせ、その後カバー9を開位置まで回転させてカバーを開く。
【0047】
次に、カバー9の収容空間9Aにメモリカード21を挿入する。
【0048】
最後に、カバー9を開位置から閉位置まで回転させてカバー9を閉じ、図8に示すように、カバー9をロック解除位置からロック位置までスライドさせる。
【0049】
その結果、コンタクト7の接触部71がメモリカード21の端子部21aに接触し、メモリカード21とプリント基板とが電気的に接続される。同時に、スイッチコンタクト8の第1、第2接触部81,82がメモリカード21の端子部21aに接触し、メモリカード21とプリント基板とが電気的に接続されたことが図示しない検知回路で検知される。
【0050】
図9は図1に示すコネクタのカバーがロック解除位置にあり、カバーが押し下げられた状態を示す平面図、図10は図9のX−X線に沿う断面を示す概念図、図11は図10に示す状態のときのコネクタのロック機構の拡大図、図12はカバーが押し下げられたままロック可能位置まで移動したときの断面を示す概念図、図13は図12に示す状態のときのコネクタのロック機構の拡大図、図14は図1に示すコネクタのカバーが閉位置且つロック可能位置にあるときの状態を示す平面図、図15は図14のXV−XV線に沿う断面を示す概念図、図16は図15に示す状態のコネクタのロック機構の拡大図である。
【0051】
カバー9をベース3にロックさせるときの操作を説明する。
【0052】
図7で示すように収容空間9Aにメモリカード21を挿入した後、図9、図10、図11で示すように(メモリカード21は図示せず)、カバー9を閉位置まで回転させ、コンタクト7のばね部72のばね力に抗して指先でカバー9をベース3の方へ押圧する。その結果、カバー9の前部がカバー9の後部よりも下方に位置した状態になる。
【0053】
この状態で、指先でカバー9をロック解除位置から、図12、図13に示すように、ロック可能位置(ベース3の前方位置)までスライドさせる。このとき、軸部95,96がクリック板47,48のばね力に抗して凸部47a,48aを押し退けて通過するので、カバー9の操作者はクリック感を感じる。このように、クリック板47,48と軸部95,96とでクリック機構が構成される。図12、図13に示す状態では、カバー9の切欠91a,92aとベース3のロック爪31a,32aとは係合しておらず、カバー9はまだベース3にロックされていない。
【0054】
カバー9を押圧していた指先をカバー9から離すと、コンタクト7のばね部72のばね力によって接触部71がカバー9を持ち上げられ、その結果、図14、図15、図16(メモリカード21は図示せず)に示すように、カバー9の切欠91a,92aとベース3のロック爪31a,32aとが係合し、カバー9がベース3にロックされる。この状態では、カバー9を開けようとしてもカバー9は開かない。
【0055】
カバー9のロックを解除するには、カバー9をベース3にロックさせるときと逆の操作を行えばよい。
【0056】
また、アーム93,94を短くすることによってアーム93,94の剛性が高くなり、しかも、ベース3をプリント基板に実装した後は、アーム37,38はホールドダウン43,44によってプリント基板に半田付等により固定され弾性変形しなくなるので、外部からの衝撃によってメモリカード21がコネクタ1から飛び出そうとしても、カバー9がベース3から浮き上がったり、ベース3から外れたりしない。したがって、コネクタ1とメモリカード21との接触安定性が保たれ、メモリカード21からプリント基板へ或いはプリント基板からメモリカード21へ伝送途中のデータが破壊されたり、データが消失したりすることがない。
【0057】
なお、この実施形態では、ベース3のアーム37を長くして弾性変形可能にし、アーム38を短くして弾性変形をしにくくしたが、両方のアーム37,38を長くして両方のアーム37,38を弾性変形可能にしてもよい。
【0058】
また、アーム38を短くして弾性変形をしにくくすれば、アーム38にはホールドダウン44を設けなくても構わない。
【0059】
なお、カバー9を前後方向Fに沿ってロック解除位置とロック可能位置との間でスライド可能にしたが、カバー9は必ずしもスライドさせる必要はなく、軸部95,96を中心にして回転できさえすればよい。
【0060】
また、ロック機構、クリック機構は図示のものに限られず、また、クリック機構は省略することも可能である。
【0061】
なお、弾性変形可能なアーム37の固定部としてホールドダウン43を用いたが、アーム37の固定部としてはホールドダウンに限られず、例えばプリント基板に形成された孔に挿入されるピンを固定部としてアーム37に設けてもよいし、プリント基板に形成されたピンが挿入される孔を固定部としてアーム37に設けてもよい。
【0062】
また、アームをベース3にだけ設けるようにしてもよい。このときカバー9の側壁を後方へ延ばし、その側壁に軸部を設けるようにする。
【0063】
なお、アーム37と固定部としてのホールドダウン43とを金属板で形成し、ベース3の残りの部分を他の材料で形成してもよい。また、アーム37と固定部としてのホールドダウン43とを含めベース3全体を金属板以外の材料(例えば樹脂等)で形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】図1はこの発明の一実施形態のコネクタの平面図である。
【図2】図2は図1に示すコネクタの樹脂部を形成する前の状態のベース及びコンタクトの平面図である。
【図3】図3は図1に示すコネクタのベース及び樹脂部の平面図である。
【図4】図4は図1に示すコネクタのベースとカバーとを分離した状態を示す平面図である。
【図5】図5は図1に示すコネクタのベースとカバーとを組み付ける途中の状態の平面図である。
【図6】図6は図1に示すコネクタのカバーが開位置にあるときの状態を示す斜視図である。
【図7】図7は図6に示すコネクタのカバーにメモリカードを挿入した状態を示す斜視図である。
【図8】図8は図7に示すコネクタのカバーが閉位置且つロック可能位置にあるときの状態を示す斜視図である。
【図9】図9は図1に示すコネクタのカバーがロック解除位置にあり、カバーが押し下げられた状態を示す平面図である。
【図10】図10は図9のX−X線に沿う断面を示す概念図である。
【図11】図11は図10に示す状態のときのコネクタのロック機構の拡大図である。
【図12】図12はカバーが押し下げられたままロック可能位置まで移動したときの断面を示す概念図である。
【図13】図13は図12に示す状態のときのコネクタのロック機構の拡大図である。
【図14】図14は図1に示すコネクタのカバーが閉位置且つロック可能位置にあるときの状態を示す平面図である。
【図15】図15は図14のXV−XV線に沿う断面を示す概念図である。
【図16】図16は図15に示す状態のコネクタのロック機構の拡大図である。
【符号の説明】
【0065】
1 コネクタ
3 ベース
31a,32a ロック爪(ロック機構)
37,38 アーム
37a,38a 長孔(軸受部)
43,44 ホールドダウン(固定部)
47,48 クリック板(クリック機構)
7 コンタクト
9 カバー
91a,92a 切欠91a(ロック機構)
95,96 軸部(クリック機構)
21 メモリカード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のアームを有し、基板上に実装され、カード型電子装置が配置されるベースと、
このベースに絶縁状態で保持された複数のコンタクトと、
前記カード型電子装置を前記コンタクトに押し付けるカバーと、
前記一対のアームと前記カバーとのうちの一方に設けられた一対の軸部と、
前記一対のアームと前記カバーとのうちの他方に設けられ、前記一対の軸部を回転可能に支持して前記カバーを前記ベースに回転可能に連結する軸受部とを備え、
前記一対のアームのうちの少なくとも一方のアームが前記軸部の軸線方向へ弾性変形可能であり、
少なくともこの弾性変形可能なアームに、前記基板に固定される固定部が設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記軸受部が前記アームの長手方向へ移動可能に前記軸部を保持する長孔であることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記カバーが前記ベースを覆った状態で前記アームの長手方向へ所定距離だけ移動したとき前記カバーを前記ベースにロックするロック機構を備えていることを特徴とする請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記カバーを前記ベースにロックしたとき及び前記カバーが前記ベースにロックされた状態を解除したとき、前記カバーの操作者にクリック感を与えるクリック機構を備えていることを特徴とする請求項3記載のコネクタ。
【請求項5】
少なくとも前記弾性変形可能なアームと前記固定部とが金属板で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のコネクタ。
【請求項1】
一対のアームを有し、基板上に実装され、カード型電子装置が配置されるベースと、
このベースに絶縁状態で保持された複数のコンタクトと、
前記カード型電子装置を前記コンタクトに押し付けるカバーと、
前記一対のアームと前記カバーとのうちの一方に設けられた一対の軸部と、
前記一対のアームと前記カバーとのうちの他方に設けられ、前記一対の軸部を回転可能に支持して前記カバーを前記ベースに回転可能に連結する軸受部とを備え、
前記一対のアームのうちの少なくとも一方のアームが前記軸部の軸線方向へ弾性変形可能であり、
少なくともこの弾性変形可能なアームに、前記基板に固定される固定部が設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記軸受部が前記アームの長手方向へ移動可能に前記軸部を保持する長孔であることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記カバーが前記ベースを覆った状態で前記アームの長手方向へ所定距離だけ移動したとき前記カバーを前記ベースにロックするロック機構を備えていることを特徴とする請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記カバーを前記ベースにロックしたとき及び前記カバーが前記ベースにロックされた状態を解除したとき、前記カバーの操作者にクリック感を与えるクリック機構を備えていることを特徴とする請求項3記載のコネクタ。
【請求項5】
少なくとも前記弾性変形可能なアームと前記固定部とが金属板で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−153200(P2010−153200A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−329852(P2008−329852)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
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