説明

コネクタ

【課題】軽量化を可能とするべく、接続部にかかる面圧を上昇させるための別部材を設けることなく、接続部にかかる面圧を上昇させることが可能なコネクタを提供する。
【解決手段】第1ハウジング11内に板状の第1端子12が収容された第1コネクタ部13と、第2ハウジング14内に板状の第2端子15が収容された第2コネクタ部16と、を有し、第1ハウジング11と第2ハウジング14とを嵌合させることにより、第1端子12と第2端子15が面接触して電気的に接続されるコネクタ10において、第1端子12は、第1端子12の一部であって、嵌合方向に対して斜めに形成された傾斜部12aを有し、第1ハウジング11と第2ハウジング14とを嵌合させた際に、第2端子15の少なくとも一部が、傾斜部12aに沿ってガイドされ曲げ変形を受け、傾斜部12aに面接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等で用いられる電力変換装置とケーブルとの接続のような振動が生じる環境下で好適なコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車(ハイブリッド車や電気自動車)の電力ハーネスの接続部などに用いられる従来のコネクタを図7,8に示す。
【0003】
図7,8に示すように、従来のコネクタ70は、第1ハウジング71内に板状の第1端子72を収容した第1コネクタ部73と、第2ハウジング74内に板状の第2端子75を収容した第2コネクタ部76とからなる。第1端子72と第2端子75は、銅合金で形成されており、その表面には腐食を防ぐためにメッキ(例えば、スズメッキ)が施されている。
【0004】
第1コネクタ部73は、その第1ハウジング71にフランジ77を備えており、そのフランジ77がインバータやモータなどの機器に固定され、第1端子72が機器側と電気的に接続される。他方、第2端子75は、第2ハウジング74内に挿入された絶縁電線78の先端部に設けられ、絶縁電線78と電気的に接続される。つまり、コネクタ70はインバータやモータなどの機器と絶縁電線78を接続するものである。
【0005】
図8(a),(b)に示すように、コネクタ70では、第1ハウジング71と第2ハウジング74を嵌合させると、第1端子72の一方の面(図8(a)では下側の面)と第2端子75の他方の面(図8(a)では上側の面)とが接触し電気的に接続される。第1端子72は、絶縁スペーサ(樹脂)79により支持されており、第1端子72の下方の絶縁スペーサ79には、第2端子75を挿入するための挿入穴82が形成されている。第2端子75は、両ハウジング71,74の嵌合時に挿入穴82に挿入・嵌合され、これにより、第1端子72の一方の面と第2端子75の他方の面とが所定の面圧で面接触して両端子72,75が電気的に接続される。第2コネクタ部76の第2ハウジング74には、第1ハウジング71と第2ハウジング74を嵌合状態で保持するためのレバー81が備えられている。
【0006】
従来のコネクタ70は、自動車等、振動が多く発生する場所に設けられるため、振動による第1端子72と第2端子75の接続部(接点)80における摩耗が問題となる。具体的には、例えば自動車用に従来技術のコネクタ70を用いた場合、第1コネクタ部73の第1ハウジング71と第2コネクタ部76の第2ハウジング74が嵌合した状態では、自動車が走行するなどして振動したときに第1ハウジング71と第2ハウジング74が相対的に振動し、第1端子72と第2端子75の接続部80にその振動が伝わってしまう。振動が伝わると、第1端子72と第2端子75に微摺動が発生し、第1端子72と第2端子75の表面に形成されたメッキが摩耗してしまう。接続部80におけるメッキが摩耗すると、接続部80における銅が露出し、露出した銅が空気に触れて酸化する。コネクタ70がエンジンルーム等の高温の環境に設けられる場合、その熱によって、露出した銅は、より酸化しやすくなる。そのような環境下において、コネクタ70に電流を通電するため、通電により発生する熱によってコネクタ70が設けられる環境の温度は、更に高くなる。そのため、露出した銅は、更に酸化しやすくなるので、接続部80における電気抵抗が上昇してしまう、という問題がある。
【0007】
この問題を解決するため、ばね等の別部材によって接続部を押圧して、接続部にかかる面圧を上昇させることにより、両端子に微摺動が発生しないよう強固に両端子を保持し、電気抵抗(接触抵抗)を減少させたコネクタが提案されている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−262850号公報
【特許文献2】特開2005−251741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、近年著しい進歩を遂げている、例えばハイブリッド車、電気自動車等のエコカーは、省エネの性能を向上させることを目的にコネクタを含む全ての部品において軽量化が図られているため、電気抵抗を減少させるためのばね等の別部材を用いるのは望ましくない。
【0010】
そこで、本発明は上記事情に鑑み為されたもので、軽量化を可能とするべく、接続部にかかる面圧を上昇させるための別部材(例えば、ばね等)を設けることなく、接続部にかかる面圧を上昇させることが可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、第1ハウジング内に板状の第1端子が収容された第1コネクタ部と、第2ハウジング内に板状の第2端子が収容された第2コネクタ部と、を有し、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを嵌合させることにより、前記第1端子と前記第2端子が面接触して電気的に接続されるコネクタにおいて、前記第1端子は、前記第1端子の一部であって嵌合方向に対して斜めに形成された傾斜部を有し、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを嵌合させた際に、前記第2端子の少なくとも一部が、前記傾斜部に沿ってガイドされ曲げ変形を受け、前記傾斜部に面接触するコネクタである。
【0012】
前記傾斜部は、該傾斜部の曲げ変形を抑制するための絶縁スペーサに支持されるとよい。
【0013】
前記第2端子は、弾性を有する部材で形成されるとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、軽量化を可能とするべく、接続部にかかる面圧を上昇させるための別部材(例えば、ばね等)を設けることなく、接続部にかかる面圧を上昇させることが可能なコネクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係るコネクタを示す図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後の断面図である。
【図2】図1(b)のコネクタにおける接続部を示す拡大図である。
【図3】第2端子の変形量Xに対する、第1端子が第2端子から受ける力Fを示したグラフ図である。
【図4】図1(b)のコネクタにおける接続部の寸法を示す拡大図である。
【図5】曲げ角度φと接続部にかかる圧力の関係を示したグラフ図である。
【図6】端子接続部の面圧と端子接続部の電気抵抗の関係を示したグラフ図である。
【図7】従来のコネクタを示す斜視図である。
【図8】従来のコネクタを示す図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係るコネクタを示す図であり、(a)は嵌合前、(b)は嵌合後の断面図である。
【0018】
本発明の好適な一実施の形態に係るコネクタ10は、第1ハウジング11内に板状の第1端子12が収容された第1コネクタ部13と、第2ハウジング14内に板状の第2端子15が収容された第2コネクタ部16と、を有し、第1ハウジング11と第2ハウジング14とを嵌合させることにより、第1端子12と第2端子15が面接触して電気的に接続されるコネクタ10において、第1端子12は、第1端子12の一部であって、嵌合方向に対して斜めに形成された傾斜部12aを有し、第1ハウジング11と第2ハウジング14とを嵌合させた際に、第2端子15の少なくとも一部が、傾斜部12aに沿ってガイドされ曲げ変形を受け、傾斜部12aに面接触若しくは面押圧し、その後、第1ハウジング11と第2ハウジング14との嵌合を解いた際には、第2端子15に対する曲げ変形も解かれ、第2端子15の形状が復元されることを特徴とするコネクタ10である。
【0019】
以下、詳述する。
【0020】
図1(a),(b)に示すように、本実施の形態に係るコネクタ10は、第1ハウジング11内に板状の第1端子12を収容した第1コネクタ部13と、第2ハウジング14内に板状の第2端子15を収容した第2コネクタ部16とからなり、第1ハウジング11と第2ハウジング14を嵌合させることにより、第1端子12と第2端子15が面接触して電気的に接続されるものである。
【0021】
本実施の形態では、第1ハウジング11が嵌合時にオスとなっているもの、第2ハウジング14が嵌合時にメスとなっているものを用いる場合を説明するが、オス・メスの関係は逆であってもよく、第1ハウジング11をメス、第2ハウジング14をオスとしてもよい。
【0022】
第1コネクタ部13の第1ハウジング11は、横断面が略矩形状の中空の筒状体からなる。第1端子12は、第1ハウジング11である筒状体の他端側(図1(a)では左側)をふさぐように設けられた支持部材17によって保持される。第1端子12は、板状の銅合金で形成されており、その表面には腐食を防ぐためにメッキ(例えば、スズメッキ)が施されている。
【0023】
支持部材17は、第1端子12の略中央部を支持するようにされ、第1端子12の支持部材17よりも一端側(図1(a)では右側)が第1ハウジング11内に収容され、第1端子12の支持部材17よりも他端側(図1(a)では左側)が第1ハウジング11から露出するようにされる。
【0024】
第1ハウジング11の他端側(図1(a)では左側)の外周には、フランジ20が形成される。フランジ20は、4隅に取付穴(図示せず)を有しており、取付穴にボルト(図示せず)を螺合することでインバータやモータなどの機器に固定される。
【0025】
フランジ20を機器に固定することで、第1コネクタ部13が機器に固定され、第1端子12の第1ハウジング11から露出した部分が機器側と電気的に接続される。
【0026】
第2コネクタ部16の第2ハウジング14は、横断面が略矩形状の中空の筒状体からなり、第1ハウジング11と嵌合される筒状体の一端側(図1(a)では左側)が開口している。
【0027】
第2ハウジング14内には、第2ハウジング14の他端側(図1(a)では右側)から絶縁電線21が挿入される。絶縁電線21は、中心導体21aの周囲に絶縁体21bを被覆してなり、絶縁電線21の先端部には第2端子15が設けられる。
【0028】
第2端子15は、絶縁電線21を筒状の支持部材18によって第2ハウジング14内に保持することにより、第2ハウジング14内に保持される。第2端子15は、板状の銅合金からなり、その表面には腐食を防ぐためにメッキ(例えば、スズメッキ)が施されている。
【0029】
第2端子15の他端側には、絶縁電線21の中心導体21aをかしめるかしめ部15bが形成されており、このかしめ部15bを絶縁電線21の端部から露出させた絶縁電線21の中心導体21aにかしめることで、第2端子15が絶縁電線21の中心導体21aと電気的に接続される。
【0030】
さて、本実施の形態に係るコネクタ10では、第1端子12は、嵌合方向(図1(a),(b)では左右方向)に対して斜めに形成された傾斜部12aを有し、両ハウジング11,14を嵌合させた際に、第2端子15の少なくとも一部が、傾斜部12aに沿ってガイドされ曲げ変形を受け、傾斜部12aに面接触し電気的に接続するようにされる。傾斜部12aは、基端部側(支持部材17側、図1(a)では左側)から先端部12b側(図1(a)では右側)にかけて、上方に傾斜するように形成される。
【0031】
傾斜部12aは、第1ハウジング11内に収容される第1端子12の一端部を嵌合方向(図1(a),(b)では左右方向)に対して斜めに折り曲げて形成され、第1端子12の第1ハウジング11から露出する部分および支持部材17で保持される部分、つまり、第1端子12の傾斜部12a以外の部分は嵌合方向に対して平行に配置される。
【0032】
傾斜部12aは、両端子12,15の接続時に第2端子15に押されて傾斜部12aが曲げ変形してしまうことを抑制するために、絶縁スペーサ22により第1ハウジング11および支持部材17に固定されている。上側の絶縁スペーサ22は、第1端子12の他方の面(図1(a)では上側)に固定され傾斜部12aを支持する。また、下側の絶縁スペーサ22は、第1端子12の一方の面(図1(a)では下側)には接触しないようにされ、第1端子12の一方の面の下方には第2端子15が挿入されるための挿入穴19が形成される。また、第1端子12の先端部12bには、テーパ状になったテーパ部が形成されており、第2端子15を挿入穴19に挿入しやすくなっている。
【0033】
他方、第2端子15は、第1端子12と接続したときに曲げ変形するよう、弾性を有する部材で形成される。また、第2端子15の先端部15aには、テーパ状になったテーパ部が形成されており、第2端子15を挿入穴19に挿入しやすくなっている。
【0034】
第2端子15は、両ハウジング11,14を嵌合させたときに、その先端部15aが第1端子12の傾斜部12aにぶつかるように第2ハウジング14内に配置される。具体的には、第2端子15は、図1(a)の上下方向において、その先端部15aが傾斜部12aの先端部12bと基端部(支持部材17側の端部)の間に位置するように第2ハウジング14内に配置される。本実施の形態では、第2端子15を、その先端部15aが第2ハウジング14内における上下方向(図1(a)における上下方向)の中心に位置するように配置した。
【0035】
これにより、両ハウジング11,14を嵌合させると、第2端子15の先端部15aが、挿入穴19に挿入され、傾斜部12aに沿って曲げ変形を受け、傾斜部12aの一方の面(図1(a)では下側)と第2端子15の先端部15a側の他方の面(図1(a)では上側)とが接触し電気的に接続される。このとき、第2端子15は、その先端部15aが下方に変形を受けるので、上方に戻ろうとする力が働き、その力により、第1端子12と第2端子15とが所定の面圧で接続される。
【0036】
図2に示すように、両ハウジング11,14を嵌合させたときの第2端子15の変形量(両ハウジング11,14の嵌合前と嵌合後における第2端子15の先端部15aの直線移動距離)をX、嵌合後の接続部23で第1端子12が第2端子15から受ける力をFとすると、フックの法則より下式(1)
F=kX ・・・(1)
ただし、k:第2端子15の弾性定数
が成り立つ。すなわち、図3に示すように第1端子12が第2端子15から受ける力Fと第2端子15の変形量Xは比例関係となる。よって、第2端子15の変形量Xが大きくなると、嵌合後の接続部23で第1端子12が第2端子15から受ける力F、すなわち接続部23における面圧が大きくなることがわかる。
【0037】
ここで、第2端子15の変形量Xは、第2端子15の曲げ角度φによって決まる。第2端子15の曲げ角度φは、図2に示すように、第2端子15の一方の面が、嵌合前(嵌合方向に対して平行な状態)と嵌合後(変形後)で成す角度である。
【0038】
ここで、最適な第2端子15の曲げ角度φについて以下に検討する。
【0039】
ここでは、コネクタ10における両端子12,15を、銅+スズの銅合金であるHCL−12S(登録商標)で形成した。銅+スズの合金は純銅よりも強度が大きいため、多少大きく曲げても形状は元に戻る。HCL−12Sの引っ張り強度は定格400MPaである。
【0040】
両端子12,15には、その表面の腐食を防ぐため、スズメッキを施した。
【0041】
図4に示すように、第1端子12の厚さおよび第2端子15の厚さはともに1.2mmとした。第1端子12と第2端子15の接続部23の長さ(両端子12,15の長手方向における長さ)は約10mmで、接続部23の幅は約17mmとし、接続部23の面積が170mm2となるようにした。
【0042】
第1端子12の傾斜部12aの傾斜(曲げ角度φ)を変化させながら、両ハウジング11,14を嵌合させたときの第2端子15の曲げ角度φと接続部23にかかる圧力の関係を調べた。図5にその結果を示す。
【0043】
図5に示すように、第2端子15の曲げ角度φと接続部23にかかる圧力の関係は、曲げ角度φが0°から10°においてはほぼ比例しているが、曲げ角度φが1.5°を越えると接続部23にかかる圧力が、使用したHCL−12Sの定格である引っ張り強度400MPaを越えてしまうことがわかる。接続部23にかかる圧力が使用したHCL−12Sの定格を越えてしまうと形状が元に戻らなくなる可能性があるので、第2端子15としてHCL−12Sを用いる場合、第2端子15の曲げ角度φは、1.5°以下とする必要がある。
【0044】
図6に、両端子12,15の接続部23の面圧に対する接続部23の電気抵抗の測定結果を示す。図6に示すように、第2端子15の曲げ変形が大きくなって接続部23の面圧が大きくなると、電気抵抗が下がる。接続部23の面圧としては特に電気抵抗が低下する60MPa以上とすることが好ましい。
【0045】
本実施の形態の作用を説明する。
【0046】
本実施の形態に係るコネクタ10では、第1端子12は、嵌合方向に対して斜めに形成された傾斜部12aを有し、両ハウジング11,14を嵌合させた際に、第2端子15の少なくとも一部が、傾斜部12aに沿ってガイドされ曲げ変形を受け、傾斜部12aに面接触するようにしている。
【0047】
第2端子15を、図1(b)、図2のように、曲げ変形させることにより、両端子12,15が面接触している部分、すなわち接続部23の面圧が大きくなるので、接続部23における電気抵抗を小さくすることができる。
【0048】
また、コネクタ10ではばね等の別部材を使用していないため、従来のコネクタと比較しても、部品点数を削減できるとともに軽量なコネクタが実現できる。
【0049】
コネクタ10では、第1端子12の傾斜部12aを絶縁スペーサ22に支持させているため、両ハウジング11,14の嵌合時に傾斜部12aの曲げ変形を抑制できる。
【0050】
さらに、図7,8に示した従来のコネクタ70では、両端子72,75を所定の面圧で接続するために、挿入穴82に第2端子75を嵌合する必要があり、そのため、挿入穴82の大きさを正確に形成する必要があった。これに対して、本実施の形態に係るコネクタ10では、第2端子15が曲げ変形することにより第1端子12と面接触するので、両端子12,15を所定の面圧で接続することができ、挿入穴19を正確に形成する必要がなくなる。よって、コネクタ10の製造が容易となり、製造コストを削減できる。なお、本実施の形態では、第1端子12に沿うようなかたちで挿入穴19を形成したが、挿入穴19は傾斜部12aの先端部12b側が解放していればよく、第1端子12の下方(第2端子15が接続される側)の絶縁スペーサ22を省略することも可能である。
【0051】
さらにまた、コネクタ10では、第2端子15を、その先端部15aが第2ハウジング14内における上下方向(図1(a)における上下方向)の中心に位置するように配置しているので、第2コネクタ部16に対して第1コネクタ部13が上下逆(図1(a)において上下逆)でも両コネクタ部13,16を嵌合でき、使い勝手がよい。
【0052】
上記実施の形態では、第1端子12が傾斜部12aを有し、両ハウジング11,14を嵌合させた際に、第2端子15の少なくとも一部が傾斜部12aに沿ってガイドされ曲げ変形を受けるとしたが、第1端子12と第2端子15の関係は逆であってもよく、第1端子12が曲げ変形を受けるように、第1端子12を平坦に形成するとともに第2端子15に傾斜部を形成するようにしてもよい。
【0053】
上記実施の形態では、傾斜部12aを、支持部材17側から先端部12b側にかけて、上方に傾斜するように形成したが、傾斜部12aを、支持部材17側から先端部12b側にかけて、下方に傾斜するように形成してもよい。
【0054】
上記実施の形態では、第2端子15を、その先端部15aが第2ハウジング14内における上下方向(図1(a)における上下方向)の中心に位置するように配置したが、第2端子15を、その先端部15aが第2ハウジング14内における上下方向の中心でない位置になるように配置してもよい。この場合、第2コネクタ部16に対して第1コネクタ部13を上下逆(図1(a)において上下逆)にすると、第2端子15が絶縁スペーサ22にぶつかり両ハウジング11,14を嵌合できなくなるので、例えば、第2コネクタ部16に対して第1コネクタ部13の上下(図1(a)における上下)を特定する必要がある場合などには、誤挿入を防止できるという効果も得られる。
【0055】
上記実施の形態では、第1端子12を絶縁スペーサ22で保持したが、両端子12,15の接続時に第1端子12が曲げ変形してしまうことを抑制するために、第1端子12を厚く形成するなどして第1端子12をリジットに保持できる場合は、絶縁スペーサ22を省略することも可能である。
【0056】
また、上記実施の形態では、コネクタ10がインバータやモータなどの機器と絶縁電線21を接続するコネクタであるとしたが、これに限らず、本発明は絶縁電線同士を接続するコネクタにも適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 コネクタ
11 第1ハウジング
12 第1端子
12a 傾斜部
12b 先端部
13 第1コネクタ部
14 第2ハウジング
15 第2端子
15a 先端部
15b かしめ部
16 第2コネクタ部
17 支持部材
18 筒状の支持部材
19 挿入穴
20 フランジ
21 絶縁電線
21a 中心導体
21b 絶縁体
22 絶縁スペーサ(樹脂)
23 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ハウジング内に板状の第1端子が収容された第1コネクタ部と、
第2ハウジング内に板状の第2端子が収容された第2コネクタ部と、
を有し、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを嵌合させることにより、前記第1端子と前記第2端子が面接触して電気的に接続されるコネクタにおいて、
前記第1端子は、前記第1端子の一部であって嵌合方向に対して斜めに形成された傾斜部を有し、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを嵌合させた際に、前記第2端子の少なくとも一部が、前記傾斜部に沿ってガイドされ曲げ変形を受け、前記傾斜部に面接触することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記傾斜部は、該傾斜部の曲げ変形を抑制するための絶縁スペーサに支持される請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第2端子は、弾性を有する部材で形成される請求項1または2に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−165440(P2011−165440A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25794(P2010−25794)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】