説明

コネクタ

【課題】追加部品を用いることなく、雌型端子金具の挿入途中で操作フィーリングに変化を与えて、操作フィーリングの変化から作業者に挿入状況を認識させて作業の遂行を意識させることができ、構成部品や組立工程の増加を招かずに雌型端子金具の不完全挿入の発生を抑止することができるコネクタを提供すること。
【解決手段】コネクタハウジング21内のランス23の先端とランス23の延出方向の先方に位置するハウジング前端21aとを連結し、ランス23の撓み変位に伴って、ランス撓み空間24側に撓み変位する可撓性バンド部26と、可撓性バンド部26の撓み変位によってランス撓み空間24の対向面24aに当接して、両端支持梁としてのランス23の一方の支持位置をハウジング前端21aから対向面24aとの当接位置T1に切り替える梁長さ切替部27と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタハウジングの端子収容孔に装着された雌型端子金具が、コネクタハウジング内のランスによって抜け止めされる形式のコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、コネクタハウジングの端子収容孔に装着された雌型端子金具が、コネクタハウジング内のランスによって抜け止めされる形式のコネクタの従来例を示したものである。
【0003】
このコネクタ101は、下記特許文献1に開示されたものである。
このコネクタ101は、雌型端子金具110と、該雌型端子金具110を収容保持するコネクタハウジング120と、を備える。
【0004】
雌型端子金具110は、不図示の雄型端子金具が嵌合接続される略角筒状の箱部111と、箱部111の後部に形成されてコネクタハウジング120内のランス121が係合するランス係止部112と、電線130が接続される電線接続部113と、を備える。
【0005】
コネクタハウジング120は、雌型端子金具110が挿入される端子収容孔122と、ランス121と、ランス撓み空間123とを備える。
【0006】
ランス121は、前記端子収容孔122に沿って延出する弾性片121aの先端に、端子収容孔122に突出する係止突起121bを備えている。このランス121は、端子収容孔122への雌型端子金具110の挿入に伴い係止突起121bが端子収容孔122の外に逃げるように撓み変位する。また、その後に、雌型端子金具110が正規位置まで挿入されたときに、撓み変位が戻って、係止突起121bにより雌型端子金具110を抜け止め状態とする。
【0007】
ランス撓み空間123は、ランスの外側に配備されていて、ランス121の撓み変位を許容する。
【0008】
このようなコネクタ101では、雌型端子金具110の不完全挿入(中途挿入)状態が見落とされることのないように、雌型端子金具110の固定構造に工夫が要求される。
【0009】
そこで、特許文献1のコネクタ101の場合、雌型端子金具110をランス121により抜け止めするだけでなく、雌型端子金具110の後部を係止する二重係止部材140、該二重係止部材140を押さえる押さえ部材150を追加している。
【0010】
二重係止部材140は、コネクタハウジング120や雌型端子金具110とは別体の部材で、コネクタハウジング120の後部側に、上下(図の矢印Y1方向)に移動可能に取り付けられる。
【0011】
二重係止部材140は、図示の位置から下方に移動すると、その前端下部に形成された係止部141が、雌型端子金具110に形成された二重係止用段差115に係合して、雌型端子金具110の抜け方向の移動を規制する。
【0012】
また、二重係止部材140は、雌型端子金具110が不完全挿入状態にある場合には、二重係止用段差115の上面部と干渉して、二重係止用段差115と係合する正規の二重係止位置に移動することができない。そのため、二重係止部材140を二重係止位置に移動できるか否かによって、雌型端子金具110の不完全挿入の検知が可能になっている。
【0013】
押さえ部材150は、コネクタハウジング120の後端に薄肉ヒンジ部160を介して連結されている。この押さえ部材150は、薄肉ヒンジ部160による回動により、コネクタハウジング120の後端に開閉可能に連結されていて、図示のように、閉じた状態の時には、二重係止部材140の外側を覆って、二重係止部材140を押さえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平6−325814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところが、特許文献1のコネクタ101では、二重係止部材140が二重係止位置に移動できるか否かによって、雌型端子金具110の不完全挿入状態の発生を検知することができるが、二重係止部材140や押さえ部材150などの追加によって構成部品や組立工程が増加するという問題が生じた。
【0016】
また、特許文献1のコネクタ101では、雌型端子金具110の挿入途中においてランス121の撓み変形量等を操作フィーリングとして作業者に伝達するような特別な配慮はない。そのため,作業者は、雌型端子金具110の挿入作業時に、雌型端子金具110の挿入状況を操作フィーリングから推定することが困難で、不完全挿入の発生自体を抑制することができないという問題があった。
【0017】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、追加部品を用いることなく、雌型端子金具の挿入途中で操作フィーリングに変化を与えて、操作フィーリングから作業者に挿入状況を認識させて作業の遂行を意識させることができ、構成部品や組立工程の増加を招かずに雌型端子金具の不完全挿入の発生を抑止することができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)雌型端子金具と、該雌型端子金具を収容保持するコネクタハウジングと、を備え、
前記コネクタハウジングは、前記雌型端子金具が挿入される端子収容孔と、該端子収容孔に沿って延出する弾性片の先端に前記端子収容孔に突出する係止突起を備えて前記端子収容孔への前記端子金具の挿入に伴い前記係止突起が前記端子収容孔の外に逃げるように撓み変位した後に前記端子金具が正規位置まで挿入されたときに撓み変位が戻って前記係止突起により前記端子金具を抜け止め状態とするランスと、前記ランスの撓み変位を許容するランス撓み空間と、を備え、
前記雌型端子金具は、コネクタハウジング内の前記ランスが係合するランス係止部を備えるコネクタであって、
前記ランスの先端と前記弾性片の延出方向の先方に位置する前記コネクタハウジングの一端部とを連結し、前記ランスの撓み変位に伴って、前記ランス撓み空間側に撓み変位する可撓性バンド部と、
前記可撓性バンド部上に設けられ、前記可撓性バンド部の撓み変位方向に対向する前記ランス撓み空間の対向面に前記雌型端子金具の挿入途中で当接して、前記ランスの両端支持梁としての片側の支持位置を、前記可撓性バンド部の一端とコネクタハウジングとの連結部である前記コネクタハウジングの一端部から前記ランス撓み空間の対向面上の当接位置に切り替える梁長さ切替部と、
を備えたことを特徴とするコネクタ。
【0019】
上記(1)の構成によれば、雌型端子金具の挿入開始時におけるランスは、弾性片の基端側と可撓性バンド部の一端が連結されたコネクタハウジングの一端部との2箇所でコネクタハウジングに固定されていて、両端支持梁としての支持状態となっている。
【0020】
そして、雌型端子金具の挿入途中では、雌型端子金具の挿入に伴い、係止突起側がランス撓み空間側に撓み変位する。そして、係止突起側の撓み変位に伴い、可撓性バンド部もランス撓み空間側に撓み変位する。そして、雌型端子金具の挿入が進んで、可撓性バンド部の撓み変位が規定値に達すると、可撓性バンド部上の梁長さ切替部がランス撓み空間の対向面に当接して、可撓性バンド部の撓み変位を規制する。
【0021】
この状態では、ランスは、弾性片の基端側と梁長さ切替部との2箇所を支持点とする両端支持梁となり、梁の長さが短縮されたことで、撓み変位させる際の弾性係数が大きく変化し、操作フィーリングに変化を与える。
【0022】
そのため、操作フィーリングの変化から雌型端子金具が一定の挿入長に達したという挿入状況を作業者に認識させて、作業者にその後の作業の遂行を意識させて、雌型端子金具の不完全挿入の発生を抑止することができる。
【0023】
しかも、可撓性バンド部及び梁長さ切替部は、コネクタハウジング内に一体形成した部位であり、コネクタハウジングに組み付ける追加部品は不要である。
【0024】
従って、追加部品を用いることなく、雌型端子金具の挿入途中で発生する操作フィーリングの変化から作業者に挿入状況を認識させて作業の遂行を意識させることができ、構成部品や組立工程の増加を招かずに雌型端子金具の不完全挿入の発生を抑止することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明による雌型端子金具によれば、雌型端子金具の挿入途中で、コネクタハウジング内に一体形成されている可撓性バンド部及び梁長さ切替部が、ランスの両端支持梁としての支持位置を切り替えて、雌型端子金具の挿入操作時の操作フィーリングに変化を与え、コネクタハウジングに組み付け作業が必要となる追加部品を用いることなく、操作フィーリングの変化から作業者に挿入状況を認識させて作業の遂行を意識させて、雌型端子金具の不完全挿入の発生を抑止させることができる。
【0026】
従って、構成部品や組立工程の増加を招かずに雌型端子金具の不完全挿入の発生を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る雌型端子金具及びコネクタハウジングの一実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示した雌型端子金具及びコネクタハウジングの側面図である。
【図3】図2に示したコネクタハウジングの全体構造を示す縦断面図である。
【図4】図3に示したコネクタハウジングに雌型端子金具が挿入途中の状態を示す縦断面図である。
【図5】図4のA部の拡大図である。
【図6】図5のB部の拡大図である。
【図7】図4の状態から雌型端子金具の挿入が進んで、雌型端子金具が完全挿入状態となったときのコネクタの縦断面図である。
【図8】従来のコネクタの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係るコネクタの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
図1〜図7は本発明に係るコネクタの一実施形態を示したもので、図1は本発明に係る雌型端子金具及びコネクタハウジングの一実施形態の分解斜視図、図2は図1に示した雌型端子金具及びコネクタハウジングの側面図、図3は図2に示したコネクタハウジングの全体構造を示す縦断面図、図4は図3に示したコネクタハウジングに雌型端子金具が挿入途中の状態を示す縦断面図、図5は図4のA部の拡大図、図6は図5のB部の拡大図、図7は図4の状態から雌型端子金具の挿入が進んで、雌型端子金具が完全挿入状態となったときのコネクタの縦断面図である。
【0030】
この一実施形態のコネクタ1は、図1〜図3に示すように、雌型端子金具11と、該雌型端子金具11を収容保持するコネクタハウジング21とを備える。コネクタハウジング21に装着された雌型端子金具11は、コネクタハウジング21内のランス23によって抜け止めされる。
【0031】
雌型端子金具11は、図1及び図2及び図6及び図7に示すように、箱部41と、ランス係止部51と、ばね支持板部54と、端子付勢板ばね61と、電線接続部71と、を備えている。雌型端子金具11は、一枚の金属板から、折り曲げ形成される。
【0032】
次に、雌型端子金具11の各部位の構成について説明する。
箱部41は、内部に雄型端子金具が挿入される部位で、図1及び図7に示すように、底板部42と、該底板部42の両側縁から立ち上がる両側壁部43,44と、両側壁部43,44の上端を連絡する天井板部45と、を備える角筒状に形成される。
【0033】
底板部42には、雄型端子金具との接触部42aが、隆起形成されている。接触部42aは、雄型端子金具の挿入方向(図7の矢印X2方向)に延在して形成されている。
【0034】
天井板部45は、一方の側壁部43の上縁に連なる部位を、側壁部43に対して直角に折り曲げることにより形成される。
【0035】
この天井板部45の後部に、ランス係止部51が形成される。
ランス係止部51は、コネクタハウジング21内のランス23が係合する部位で、図1及び図2に示すように、上方に凸の湾曲成形51aを付与することで、強度の向上が図られている。
【0036】
ばね支持板部54は、他方の側壁部44の後端側上縁に連なる部位を、側壁部44に対して直角に折り曲げることにより形成される。
【0037】
ばね支持板部54は、図6に示すように、後端部54aが天井板部45の後端部(ランス係止部51の後端部)よりも内側に寸法Cだけ引っ込んだ配置で、天井板部45の内面に積層するように成形される。
【0038】
端子付勢板ばね61は、箱部41に挿入された不図示の雄型端子金具を底板部42に押圧して前記雄型端子金具を底板部42に接触した状態に保つように、箱部41を形成する板部の1つであるばね支持板部54に一体形成される
【0039】
端子付勢板ばね61は、図7に示すように、ばね支持板部54から底板部42の前端側に延出して形成され。端子付勢板ばね61の前端61aは、底板部42の接触部42aと対向する位置に配置され、雄型端子金具を接触部42aに密着させる。
【0040】
端子付勢板ばね61の前端61aは、挿入された雄型端子金具が引っかからないように、且つ、雄型端子金具との摺動抵抗が小さくなるように、下方側に凸の湾曲形状に成形されている。
【0041】
電線接続部71は、電線を圧着接続する部位で、箱部41の後方に延出して形成される。この電線接続部71は、図1に示すように、被覆電線5の被覆部5aに加締め付けられる被覆固定片72と、被覆電線5の導体部5bに加締め着けられる電線圧着片73と、を備えている。
【0042】
次に、上記の雌型端子金具11が装着されるコネクタハウジング21の構成を、図3〜図7に基づいて説明する。
【0043】
コネクタハウジング21は、雌型端子金具11が挿入される端子収容孔22と、ランス23と、ランス撓み空間24と、可撓性バンド部26と、梁長さ切替部27と、を備える。
【0044】
本実施形態のコネクタハウジング21の場合、端子収容孔22は、図3に示すように、上下方向に2段に配列されている。また、コネクタハウジング21の後端(基端)に開放する端子収容孔22の後端側22aは、雌型端子金具11の挿入口となるため、前端側よりも広口に開口している。
【0045】
更に、端子収容孔22の先端部には、不図示の雄型の端子金具の先端部が挿通される端子挿通口22bと、不図示の半挿入検知用治具の導通ピンが挿通される導通ピン挿通口22cと、が形成されている。
【0046】
ランス23は、雌型端子金具11の挿入方向(図1の矢印X1方向)に沿ってコネクタハウジング21の基端側から延出した弾性片23bと、端子収容孔22に突出するように弾性片23bの先端側に突設された係止突起23aと、を備えた構成である。
【0047】
このランス23は、図4に示すように、端子収容孔22への雌型端子金具11の挿入に伴い係止突起23aが端子収容孔22の外に逃げるようにランス撓み空間24側に撓み変位して、雌型端子金具11の挿入を許容する。そして、雌型端子金具11が正規位置まで挿入されたときには、図7に示すように、係止突起23aがランス係止部51に係合することで撓み変位が戻って、係止突起23aにより雌型端子金具11を抜け止め状態とする。
【0048】
ランス撓み空間24は、端子収容孔22の外側に並走状態に形成されていて、雌型端子金具11の挿入に伴うランス23の撓み変位を許容する。
【0049】
可撓性バンド部26は、図1及び図2に示すように、ランス23(係止突起23a)の先端と、弾性片23bの延出方向の先方に位置するコネクタハウジング21の一端部であるハウジング前端21aとを連結し、ランス23を両端支持梁(両持ち梁)としての支持構造にする。この可撓性バンド部26は、図4〜図6に示したように、雌型端子金具11の挿入時には、ランス23の撓み変位に伴って、ランス撓み空間24側に撓み変位する。
【0050】
梁長さ切替部27は、可撓性バンド部26上に設けられ、図5及び図6に示すように、雌型端子金具11の挿入途中で、可撓性バンド部26の撓み変位方向(図6の矢印Y2方向)に対向するランス撓み空間24の対向面(上壁面)24aに、当接する。本実施形態の場合、梁長さ切替部27は、台形状の突起である。
【0051】
図5及び図6に示したように、梁長さ切替部27が対向面24aに当接すると、ランス23の両端支持梁としての片側(図5では、右端側)の支持位置が、ハウジング前端21a(可撓性バンド部26の一端とコネクタハウジング21との連結部)から、ランス撓み空間24の対向面24a上の当接位置T1に切り替わる。
【0052】
この支持位置に切り替わりによって、ランス23を含む両端支持梁は、図5に示すように、梁の長さが、L1からL2に短縮された状態になる。
【0053】
また、本実施形態の場合、梁長さ切替部27が最初に対向面24aに当接した時点では、図6に示すように、ランス23の最下部は、ランス係止部51の上端部よりも寸法dだけ下がった位置になる。
【0054】
雌型端子金具11の挿入によって、ランス23がランス撓み空間24側に撓み変位し、それに伴う可撓性バンド部26の撓み変位によって梁長さ切替部27がランス撓み空間24の対向面24aに当接した状態になると、それ以上に雌型端子金具11の挿入を進めて図7に示す完全挿入状態にするには、図6の寸法dの分だけ、雌型端子金具11の押し込みによって更にランス23をランス撓み空間24側に撓み変位させなければならない。
【0055】
上記の寸法dの分だけランス23をランス撓み空間24側に撓み変位させる際には、ランス23は梁長さがL2の両端支持梁として動作し、ランス23を撓み変位させる際の操作力が、それ以前よりも急激に増加し、作業者に対して、操作フィーリングの変化を認識させる。
【0056】
雌型端子金具11の挿入が、正規の完全挿入位置に到達すると、図7に示すように、ランス23及び可撓性バンド部26の撓み変位が、雌型端子金具11の挿入前の状態に戻る。
【0057】
以上に説明した一実施形態のコネクタ1の場合、雌型端子金具11の挿入開始時におけるランス23は、弾性片23bの基端側と可撓性バンド部26の一端が連結されたコネクタハウジング21の一端部であるハウジング前端21aとの2箇所でコネクタハウジング21に固定されていて、図5に示すように、長さL1の両端支持梁としての支持状態となっている。
【0058】
そして、雌型端子金具11の挿入途中では、雌型端子金具11の挿入に伴い、係止突起23a側がランス撓み空間24側に撓み変位する。そして、係止突起23a側の撓み変位に伴い、可撓性バンド部26もランス撓み空間24側に撓み変位する。そして、雌型端子金具11の挿入が更に進んで、可撓性バンド部26の撓み変位が規定値に達すると、図5に示したように、可撓性バンド部26上の梁長さ切替部27がランス撓み空間24の対向面24aに当接して、可撓性バンド部26の撓み変位を規制する。
【0059】
この状態では、ランス23は、弾性片23bの基端側と梁長さ切替部27との2箇所を支持点とする長さL2の両端支持梁となり、梁の長さがL1からL2に短縮されたことで、撓み変位させる際の弾性係数が大きく変化し、作業者の操作フィーリングに変化を与える。
【0060】
そのため、操作フィーリングの変化から雌型端子金具11が一定の挿入長に達したという挿入状況を作業者に認識させて、作業者にその後の作業の遂行を意識させて、雌型端子金具11の不完全挿入の発生を抑止することができる。
【0061】
しかも、可撓性バンド部26及び梁長さ切替部27は、コネクタハウジング21内に一体形成した部位であり、コネクタハウジング21に組み付ける追加部品は不要である。
【0062】
従って、追加部品を用いることなく、雌型端子金具11の挿入途中で発生する操作フィーリングの変化から作業者に挿入状況を認識させて作業の遂行を意識させることができ、構成部品や組立工程の増加を招かずに雌型端子金具11の不完全挿入の発生を抑止することができる。
【0063】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明の目的を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0064】
11 雌型端子金具
21 コネクタハウジング
21a ハウジング前端(コネクタハウジングの一端部)
22 端子収容孔
23 ランス
24 ランス撓み空間
24a 対向面
26 可撓性バンド部
27 梁長さ切替部
41 箱部
51 ランス係止部
T1 当接位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌型端子金具と、該雌型端子金具を収容保持するコネクタハウジングと、を備え、
前記コネクタハウジングは、前記雌型端子金具が挿入される端子収容孔と、該端子収容孔に沿って延出する弾性片の先端に前記端子収容孔に突出する係止突起を備えて前記端子収容孔への前記端子金具の挿入に伴い前記係止突起が前記端子収容孔の外に逃げるように撓み変位した後に前記端子金具が正規位置まで挿入されたときに撓み変位が戻って前記係止突起により前記端子金具を抜け止め状態とするランスと、前記ランスの撓み変位を許容するランス撓み空間と、を備え、
前記雌型端子金具は、コネクタハウジング内の前記ランスが係合するランス係止部を備えるコネクタであって、
前記ランスの先端と前記弾性片の延出方向の先方に位置する前記コネクタハウジングの一端部とを連結し、前記ランスの撓み変位に伴って、前記ランス撓み空間側に撓み変位する可撓性バンド部と、
前記可撓性バンド部上に設けられ、前記可撓性バンド部の撓み変位方向に対向する前記ランス撓み空間の対向面に前記雌型端子金具の挿入途中で当接して、前記ランスの両端支持梁としての片側の支持位置を、前記可撓性バンド部の一端とコネクタハウジングとの連結部である前記コネクタハウジングの一端部から前記ランス撓み空間の対向面上の当接位置に切り替える梁長さ切替部と、
を備えたことを特徴とするコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−84405(P2012−84405A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229957(P2010−229957)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】