説明

コネクタ

【課題】可動端子により相手コネクタの端子に接続する構成でも、外観や外形サイズを変更することなく、端子の接触の安定性を確保しつつ、好適に小型化を図ること。
【解決手段】嵌合間口102からレセプタクル200が挿入される内部空間105を有するハウジング120と、内部空間105を仕切る対向する上下壁部124a、124bの双方に配設された複数の可動コンタクト110とを有する。可動コンタクト110は、一方の側壁部側から内部空間105に突出して配置され、一方の側壁部側に弾性変形することによって、内部空間105に挿入される200のコンタクト210を他方の側壁部側に押圧する。上下壁部124a、124bの内面には、可動コンタクト110の弾性変形する領域を避けた部位に、上下壁部124a、124bの内面から突出する補強肉盛り部150が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器どうしの接続に用いられるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ等のポータブルAV機器と、パーソナルコンピュータやアタッチメント等の電子機器同士はコネクタ同士を接続することによって行われる。
【0003】
コネクタは、一般的に、相手コネクタの複数のコンタクトと対応する複数のコンタクトが配置された樹脂製のハウジングを、一端面側で開口する箱状のシェルで覆うことにより形成されている。
【0004】
近年、コネクタ自体の小型化に伴い、ハウジングを薄肉化、つまり、相手コネクタが挿入される内部空間を画成する矩形枠状の周壁部分を薄くして、コネクタ自体を薄型化することが望まれている。
【0005】
図1は、薄型化した従来のコネクタの構成を示す図であり、図1Aは、同コネクタの正面図、図1Bは、図1AのA−A線断面図である。
【0006】
図1に示すコネクタ1では、シェル2と、シェル2により被覆され、且つ薄肉化されたハウジング3と、ハウジング3の内部空間1a内に複数配設され、且つ、内部空間1a内に挿入される相手コンタクトに接続される複数のコンタクト4とを有する。
【0007】
このように薄肉化されたハウジングは、樹脂によるハウジング成形時の収縮、シェル組み込み時の外部応力(特に、リフロー時における基板への実装時の熱ストレス)によって、内部空間を囲む周壁部分の一部が内側に反る現象(内ぞり)が発生し易くなる。この内ぞりは、小型化・薄型化の制約となる。
【0008】
具体的に図1に示すコネクタ1では、薄肉化されたハウジング3では、リフローによる加熱時に、樹脂の膨張、収縮によって、ハウジング3の周壁部分のうち相対的に薄くて長板状の対向する壁部分である上下壁部3a、3bが変形して内ぞりが発生する。
【0009】
この加熱時の内ぞり対策としては、ハウジング3の上下壁部3a、3bのようにハウジングにおいて内ぞりが発生しやすい部分を補強する構成が考えられる。
【0010】
例えば、特許文献1では、ハウジングの側壁の外面に凹凸を形成した構成が開示されている。この特許文献1のコネクタでは、特にハウジングの側壁(ここでは上下で対向する壁)の外面に、横方向(長手方向)に延在する凸部を形成することによって、リフロー時等の加熱時の変形を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−165049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1のようにハウジングの外面に凸部などの肉を補強する構成では、相手コネクタが挿入される内部空間の上下方向の開口寸法を変更せずにハウジングの外面に凸部を設ける場合、開口を有するハウジングにおいて上下方向の厚みが大きくなる。
【0013】
図2は、図1AのA−A線による他の設計変更したコネクタの要部構成を示す図であり、図2Aは、ハウジングにおいて外面側で厚みを確保したコネクタの要部を示す図である。図2Aのコネクタでは、ハウジングの内部空間の開口寸法を変更することなく上下壁部3a、3bの厚みが大きくなる。このため、ハウジング3を覆うシェル2の上下の長さ(高さ)も長くなり、コネクタ自体の外形が大きくなる(図2で示す長さT1>図1で示す長さT)という問題がある。
【0014】
また、内ぞりに対する補強としては、図2Bに示すように、ハウジング3の上下壁部(周壁部分)3a、3bの外面ではなく内面側を肉付けすることによって、上下方向の開口寸法を小さくし、薄型化されるハウジングの上下壁部の厚さH(図1及び図2参照)を確保する構成が考えられる。
【0015】
しかしながら、この構成では、ハウジング3の内部空間1a内に配置されるコンタクトが、コンタクト4のように上下方向に可動する可動端子である場合、ハウジング内面側への肉付けによって、可動端子の可動領域が、本来の可動領域(図1のM)よりも小さくなる。これにより可動端子の可動量が少なくなるため、相手コネクタのコンタクトと接触した状態時における接圧を確保できず、相手コネクタとの接触の安定性を落とす事になる。特に、図1及び図2に示すように可動端子であるコンタクト4を板バネで形成する場合、板バネにおいて接点が形成される先端側の揺動領域が狭くなることから、相手コネクタのコンタクトを十分に押圧する付勢力を確保できず、相手コネクタのコンタクトへの安定した接圧を確保しにくい。
【0016】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、可動端子により相手コネクタの端子に接続する構成でも、外観や外形サイズを変更することなく、端子の接触の安定性を確保しつつ、好適に小型化を図ることができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明のコネクタは、開口部から相手コネクタが挿入される内部空間を有するハウジングと、前記内部空間を仕切る対向する一対の側壁部のうち、一方の側壁部側から前記内部空間に突出して配置され前記一方の側壁部側に弾性変形することによって、前記内部空間に挿入される相手コネクタの相手側端子を他方の側壁部側に押圧する複数の可動端子と、を有し、前記一方の側壁部の内面には、前記可動端子に対応して、前記可動端子の弾性変形する領域を避けた部位に、前記一方の側壁部の内面から突出する補強肉盛り部が形成されている構成を採る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、可動端子により相手コネクタの端子に接続する構成でも、外観や外形サイズを変更することなく、端子の接触の安定性を確保しつつ、好適に小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】従来のコネクタの構成を示す図
【図2】図1AのA−A線による他の設計変更したコネクタの要部構成を示す断面図
【図3】本発明の一実施の形態に係るコネクタの構成を示す正面図
【図4】実施の形態に係るコネクタの構成を示す上面図
【図5】実施の形態に係るコネクタの構成を示す背面図
【図6】実施の形態に係るコネクタの構成を示す底面図
【図7】実施の形態に係るコネクタの構成を示す右側面図
【図8】実施の形態に係るコネクタの構成を示す左側面図
【図9】実施の形態に係るコネクタの構成を示す斜視図
【図10】図3のB−B線断面図
【図11】図3のC−C線におけるハウジングの断面図
【図12】図3のD−D線における突出部の部分拡大端面図
【図13】実施の形態に係るコネクタと相手コネクタとの嵌合状態を示す断面図
【図14】実施の形態に係るコネクタが接続する相手コネクタの正面図
【図15】実施の形態に係るコネクタが接続する相手コネクタの上面図
【図16】実施の形態に係るコネクタが接続する相手コネクタの背面図
【図17】実施の形態に係るコネクタが接続する相手コネクタの底面図
【図18】実施の形態に係るコネクタが接続する相手コネクタの左側面図
【図19】実施の形態に係るコネクタが接続する相手コネクタの右側面図
【図20】実施の形態に係るコネクタが接続する相手コネクタの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図3〜図9は、本発明の一実施の形態に係るコネクタの構成を示す図であり、図3は同コネクタの構成を示す正面図であり、図4は同コネクタの構成を示す上面図であり、図5は同コネクタの構成を示す背面図であり、図6は同コネクタの構成を示す底面図である。また、図7は同コネクタの構成を示す右側面図であり、図8は同コネクタの構成を示す左側面図であり、図9は同コネクタの構成を示す斜視図である。なお、本実施の形態においてコネクタの正面(前),背面(後)、左,右とは、上記コネクタにおいて開口側を正面(前)にして、背面(後)、左、右を意味する。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図3〜図9に示すコネクタ100は、ここでは、接続相手のコネクタ(図13〜図20に示すレセプタクルコネクタ200)に接続するプラグコネクタ(以下、「プラグ」という)100として説明する。
【0023】
なお、接続相手であるレセプタクルコネクタ(図13〜図20参照、以下、「レセプタクル」と称する)200は、プラグ100のプラグ挿入部(挿入嵌合部)101が挿入されるレセプタクルの被嵌合部202内に、平板状の挿入基台224が設けられている。プラグ100では、プラグ挿入部101をレセプタクル200に挿入した際に、挿入基台224の表裏面に配置された相手コンタクトピン210に、プラグ挿入部101内の可動コンタクト(可動端子)110を接触させる。また、本実施の形態では、コネクタ100をプラグとして説明するが、これに限らずレセプタクルとしてもよい。
【0024】
図3〜図4に示すように、プラグ100は、ハウジング120と、ハウジング120に複数配置された可動コンタクト110と、ハウジング120を被覆する金属製のシェル140とを有する。
【0025】
ハウジング120は、シェル140に覆われた絶縁性を有する樹脂、ここでは、液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer:LCP)からなり、幅方向に長い略直方体の基部122(図10参照)と、基部122の前面(正面)から突出する突出部124とを有する。
【0026】
プラグ100では、図3及び図9に示すように、突出部124と、突出部124を覆うシェル140の一部とでプラグ挿入部101の外形を形成する。
【0027】
プラグ挿入部101の前面(突出部124の前面)には、前面側に開口する嵌合間口102が形成されている。この嵌合間口102に連続する突出部124の内側の内部空間105には、嵌合間口102を介して相手コネクタであるレセプタクル200(図13〜図20参照)の挿入基台224が挿入される。
【0028】
プラグ挿入部101の外面、ここでは、横長の一側面である上面に突状のキー部103が形成されている。キー部103は、上面において、凹状部分103aで挟まれてなり、挿入方向(前後方向)に延在する形成されている。
【0029】
また、プラグ挿入部101における横長の他側面としての下面の両端部には、前後方向に延在する切り欠き部104が形成されている。これによりプラグ挿入部101は、正面視した際に、横長T字状をなしている。このプラグ挿入部101の外形に対応してレセプタクル200(図13〜図20参照)の被嵌合部202は形成されており、切り欠き部104及びキー部103によって、プラグ100及びレセプタクル200の上下逆同士での嵌合を防止する。
【0030】
図3及び図9に示すように、ハウジング120内には、複数の可動コンタクト110の接点部116が、プラグ挿入部101の嵌合間口102に連通する内部空間105の中央部分で、横方向で一列に並べて配置されている。これら横方向で隣り合う接点部116どうしは、正面視して上下に交互に千鳥状に位置されている。
【0031】
図10は、図3のB−B線断面図である。
【0032】
図10に示すように、複数の可動コンタクト110は、ハウジング120内に前後方向に配置された細長状をなす。可動コンタクト110では、基端部(詳細には、固定片部112)は、ハウジング120の基部122側で保持されており、先端側がプラグ挿入部101側に延在するように配置されている。
【0033】
ここでは、可動コンタクト110は、導線性に優れた銅、銅合金などの金属板(ここでは、コルソン系銅合金)を加工することにより細長板状に形成されている。可動コンタクト110は、ハウジング120の基部122に固定される固定片部112と、この固定片部112から突出部124内で、嵌合間口102に向かって突出するアーム部114と、アーム部114の先端部側に形成された接点部116とを有する。
【0034】
可動コンタクト110では、ハウジング120に、固定片部112がハウジング120の基部122内に埋設した状態で固定され、アーム部114は、突出部124の内壁面に形成されたコンタクト溝126内に、上下方向に揺動可能に配置されている。アーム部114の先端側を屈曲して、接点部116が形成され、接点部116から延びる先端側部分(先端部分)117は、コンタクト溝126の底面126aに当接させている。
【0035】
可動コンタクト110は、ハウジング120において、上壁部124a及び下壁部124bのうち一方の側壁部(ここでは、上壁部124a及び下壁部124bの双方)側から内部空間105に突出して配置されている。これにより可動コンタクト110は、上壁部124a及び下壁部124bのうち一方の側壁部側に弾性変形することによって、内部空間105に挿入されるレセプタクル200のコンタクトピン210を他方の側壁部側に押圧する。
【0036】
なお、複数の可動コンタクト110において、挿入方向に直交する方向で隣り合う可動コンタクト110同士のリード部118は、プラグ100の背面から、挿入方向及び一列に並ぶ方向のそれぞれ(双方)に直交する方向で互い違いに突出している。
【0037】
コンタクト溝126は、ハウジング120の内部空間105を囲む内壁面において対向する一対の内壁面の双方、ここでは、上下壁部124a、124bの内壁面の双方に、それぞれ内部空間105側に開口するように形成されている。
【0038】
コンタクト溝126は、図3に示すようにプラグ100を正面視した際に、横に一列に並ぶ接点部116に対応して、上下でずれた位置に形成されている。
【0039】
図11は、図3のC−C線におけるハウジングの断面図である。
【0040】
図11に示すように、ハウジング120の下壁部124bのコンタクト溝126は、ハウジング120の下壁部124bの内壁面に、前後方向に延在し、且つ、内部空間105側に開口するように形成されている。すなわち、コンタクト溝126は、下壁部124bの内壁面において仕切壁127により両側方を仕切られたスリット状をなし、且つ、横方向に複数並べて配置されている。
【0041】
このように下壁部124bの内壁面に形成されたコンタクト溝126部間の仕切壁127の上部(図3参照)に、上壁部124aのコンタクト溝126が位置している。
【0042】
図10に戻り、コンタクト溝126内に配置されるアーム部114は、内部空間105を奥側で仕切る奥側面(基部122の前面)122aの上下端部からそれぞれ前側に向かって延出し、且つ、プラグ100の横方向に沿って、上下端部からそれぞれ交互に突出するように配置されている。なお、奥側面(基部122の前面)122aの上端部から突出するアーム部114を備えるコンタクトを、上コンタクト110aと称することもある。また、奥側面(基部122の前面)の下端部から上端部から突出するアーム部114を備えるコンタクトを、下コンタクト110bと称することもある。
【0043】
ハウジング120内において奥側面(基部122の前面)の下端部から延出する下コンタクト110bのアーム部114は、下壁部124bの内壁面から離間する方向に屈曲し、内部空間105内において、上下方向の中心近傍に接点部116を位置させている。このアーム部114の先端部は、下壁部124bに形成されたコンタクト溝126の底面に当接させている。
【0044】
ハウジング120内において奥側面(基部122の前面)の上端部から延出する上コンタクト110aのアーム部114は、上壁部124aの内壁面から離間する方向に屈曲し、内部空間105内において、上下方向の中心近傍に接点部116を位置させている。このアーム部114の先端部分117は、上壁部124aに形成されたコンタクト溝126の底面に当接させている。
【0045】
コンタクト溝126内には、底面から突出し、且つ、左右の仕切壁127(図11参照)間に架設された補強肉盛り部150が形成されている。
【0046】
この補強肉盛り部150は、図11に示すように、ハウジング120の下壁部124bにおいて、各コンタクト溝126内に、嵌合方向と交差する横方向に同一直線上に位置するように形成されている。
【0047】
これにより、下壁部124bに形成された複数の補強肉盛り部150は、下壁部124bにおいて、プラグ100を横方向に延在する一つの突条体をなしており、ハウジング120の下壁部自体の強度を向上させている。
【0048】
上壁部124aのコンタクト溝126内に形成される補強肉盛り部150(図12参照)も同様に、ハウジング120の上壁部124aにおいて、各コンタクト溝126内に、嵌合方向と交差する横方向に同一直線上に位置するように形成されている。
【0049】
これにより、上壁部124aの複数の補強肉盛り部150は、上壁部124aにおいてプラグ100を横方向に延在する一つの突条体をなしており、ハウジングの上壁部自体の強度が向上している。
【0050】
図12は、図3のD−D線における突出部の部分拡大端面図である。
【0051】
図12に示すように、補強肉盛り部150は、上下壁部124a、124bのそれぞれに形成されたコンタクト溝126内に形成されている。
【0052】
詳細には、コンタクト溝126において、当該コンタクト溝126内に配置される可動コンタクト110が、相手コネクタ(図13に示すレセプタクル200参照)のコンタクトピン210と接触する際に変形する領域を避けた位置に形成されている。
【0053】
ここでは、下壁部124bのコンタクト溝126の底面126aに形成された補強肉盛り部150は、当該コンタクト溝126内に配置された可動コンタクト(下コンタクト)110bの接点部116と対向する位置に形成されている。
【0054】
上壁部124aのコンタクト溝126の底面126aに形成された補強肉盛り部150は、当該コンタクト溝126内に配置された可動コンタクト(上コンタクト)110aの接点部116と対向する位置に形成されている。上壁部124aのコンタクト溝126に形成された補強肉盛り部150と、下壁部124bのコンタクト溝126に形成された補強肉盛り部150は、同形状である。
【0055】
各補強肉盛り部150の形状は、プラグ100とレセプタクル200とが嵌合し、レセプタクル200のコンタクトピン210に変形しつつ接触している可動コンタクト110(上コンタクト110a、下コンタクト110b)の形状に沿って形成される。
【0056】
このように上下壁部124a、124bにそれぞれ形成される補強肉盛り部150は、上下方向に互いに対向する位置で、可動コンタクト110の可動方向の位置であり、且つ可動領域を避けた位置に形成されている。言い換えれば、相手コンタクトと接触位置と上下方向で略直交して対向する位置で、変形後の可動コンタクト110に近接する位置に形成されている。言い換えれば、内部空間105を上下で仕切る上壁部124a及び下壁部124bの双方のコンタクト溝126の底面は、各コンタクト溝126内で可動する可動コンタクト110の可動領域を画成する深さの異なる部分を有している。
【0057】
このため、補強肉盛り部150は、ハウジング120において、薄肉である突出部124の上下壁部124a、124bを、基部122とともに、前後方向に平行で、且つ、上下方向で掛かる外圧に対する補強材として機能する。
【0058】
なお、突出部124は、図3、図9及び図11に示すように、前後方向に延びる高さの低い突出部124の両側壁部124c、124dと仕切壁127とによって前後方向及び水平方向と交差する方向で掛かる外力に対して補強する。
【0059】
図13は、本発明の一実施の形態に係るコネクタと相手コネクタとの嵌合状態を示す断面図である。
【0060】
図13では、プラグのプラグ挿入部101を接続相手である相手コネクタ(レセプタクル200)の被嵌合部202に内嵌することによって、プラグ100とレセプタクル200とが嵌合している。
【0061】
図13に示すレセプタクル200は、プラグ100の可動コンタクト110に接続されるコンタクトピン210と、コンタクトピン210が配置された挿入基台224を有するハウジング220と、ハウジング220を被覆するシェル240とを有する。
【0062】
図14は、本発明の一実施の形態に係るコネクタが接続する相手コネクタ(レセプタクル200)の正面図であり、図15は、同相手コネクタの上面図であり、図16は、同相手コネクタの背面図であり、図17は同相手コネクタの底面図である。また、図18は同相手コネクタの左側面図であり、図19は同相手コネクタの右側面図であり、図20は同相手コネクタの斜視図である。
【0063】
図13に示す相手コネクタであるレセプタクル200のハウジング220では、後端側の基部222の前面222aから挿入基台224が前側に突出して設けられている。また、ハウジング220は、挿入基台224の周囲に当該挿入基台224を囲むように配置されるとともにシェル240内(被嵌合部202内に相当)を、挿入基台224の突出方向に沿って前後方向に移動自在な移動体226を有する。
【0064】
移動体226は、プラグ挿入部101の外形に対応して形成されており、図14及び図20に示すように、プラグ100と嵌合していない状態である常態時において、シェル240内に配置された付勢部材250によって前面側に付勢されている。ここでは付勢部材250は、図18及び図19に示すように、シェル240の両側面部の内側に沿って配置されたコイルバネ250である。このコイルバネ250に付勢される移動体226は、図18〜図20に示すように、シェル240の両側面部243、244に形成されたスリット243a,244a内に突出するストッパ227を有する。このストッパ227によって移動体226は、シェル240内においてシェル240の前面の嵌合口付近で停止するように規制されている。
【0065】
移動体226は、プラグ100及びレセプタクル200が嵌合する際に、プラグ挿入部101の先端部によって、レセプタクル200のシェル240内を挿入方向側であるハウジング220の奥側に押圧される。
【0066】
この移動体226の開口中心に配置されている挿入基台224の表裏面には、コンタクトピン210が、接続されるプラグ100側の可動コンタクト110に対応する位置にそれぞれ形成されている。
【0067】
コンタクトピン210は、図14に示すように挿入基台224の表裏面に、正面視して互い違いに千鳥状に配置され、上下方向で重ならない。
【0068】
このハウジング220は、プラグ100のハウジング120と同じく絶縁性を有する材料、ここでは液晶ポリマーによって成形されている。
【0069】
図13に示すように、ハウジング220の挿入基台224に配置されたコンタクトピン210は、細長板状をなし、先端側を挿入基台224に、前後方向に延在するように配置されている。コンタクトピン210の後端片部210aは、リード部として、レセプタクル200の底面から外部に導出されて基板(図示省略)に実装される。
【0070】
シェル240は、ハウジング220の周囲を被覆する矩形筒状をなしており、上面部241の後端部に設けられた爪部246(図15、図16及び図20参照)のハウジング220への係合によって、シェル240は、ハウジング220に固定されている。このシェル240の上面部241には、図14、図20に示すように、キー溝部247及び凸部247aが設けられている。キー溝部247及び凸部247aは、プラグのキー部103(図3参照)及び凹状部分103a(図3参照)に対応して形成されており、これらキー部103及び凹状部分103aにそれぞれ嵌合する。なお、これらキー溝部247及び凸部247aは、プラグのキー部103(図3参照)及び凹状部分103a(図3参照)を介してプラグ100のシェル140の移動を案内する。
【0071】
このように構成されたレセプタクル200のシェル240に、プラグ100のプラグ挿入部101が外嵌されると、図13に示すように、プラグ挿入部101によって、レセプタクル200内の移動体226は奥側に押圧される。これに伴い、プラグ100では、嵌合間口102を介して、レセプタクル200の挿入基台224が、プラグ100の内部空間105内に挿入される。
【0072】
その際に、挿入基台224は、プラグ100内の可動コンタクト110の先端側を押圧し、プラグ100の可動コンタクト110におけるアーム部114は弾性変形して、折曲された方向とは逆方向に押圧される。
【0073】
次いで、可動コンタクト110は、挿入基台224の表裏面を摺動する。このとき、各可動コンタクト110の先端部分117は、アーム部114の弾性変形によって、対応するコンタクト溝126の底面に当接する。このため、挿入基台224を摺動する接点部116を、内部空間105側、つまり、挿入基台224側に付勢する。
【0074】
これにより、接点部116の挿入基台224の表裏面への接圧は十分確保されることとなり、接点部116は、挿入基台224の表裏面でそれぞれ接触する相手側のコンタクトピン210との接触状態を確実に確保できる。
【0075】
図13では、挿入基台224の下面のコンタクトピン210に接触する可動コンタクト110(下コンタクト110b)が、プラグ100の下壁部124b側に押圧されている。この押圧により可動コンタクト110(下コンタクト110b)は、コンタクト溝126内で、補強肉盛り部150を避けた位置で変形し、この変形によって、可動コンタクト110におけるコンタクトピン210に対する接圧を確保している。
【0076】
すなわち、プラグ100では、可動コンタクト110(上コンタクト110a及び下コンタクト110b)は、アーム部114の復元力と、アーム部114の先端部分117がコンタクト溝126の底面に当接することによる復帰力とによって、コンタクトピン210に対する接触状態を確実に確保できる。
【0077】
このようにプラグ100では、ハウジング120の内側におけるコンタクト溝126内において可動コンタクト110の可動方向に位置し、且つ可動領域に影響の無い領域に補強肉盛り部150を形成している。このため、ハウジング120を薄肉化しても、ハウジング120自体の上下方向の長さ(高さ)を高くすることなく、可動コンタクト110の可動領域に干渉することなく、内ぞりに対する強度を確保できる。よって、プラグ100では、外観や外形サイズを変更することなく、端子の接触の安定性を確保しつつ、プラグ自体の小型化を図る好適に小型化を図ることができる。
【0078】
なお、上記本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り、種々の改変をなすことができ、そして本発明が該改変させたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明に係るコネクタは、可動端子により相手コネクタの端子に接続する構成でも、外観や外形サイズを変更することなく、端子の接触の安定性を確保しつつ、好適に小型化を図る効果を有し、コネクタとして有用である。
【符号の説明】
【0080】
100 プラグ(コネクタ)
101 プラグ挿入部
102 嵌合間口
105 内部空間
110 可動コンタクト
110a 上コンタクト
110b 下コンタクト
114 アーム部
116 接点部
120 ハウジング
122 基部
124 突出部
124a 上壁部
124b 下壁部
124c、124d 側壁部
126 コンタクト溝
126a コンタクト溝の底面
127 仕切壁
140 シェル
150 補強肉盛り部
200 レセプタクル
202 被嵌合部
210 相手コンタクトピン
220 ハウジング
222 基部
224 挿入基台
226 移動体
227 ストッパ
240 シェル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部から相手コネクタが挿入される内部空間を有するハウジングと、
前記内部空間を仕切る対向する一対の側壁部のうち、一方の側壁部側から前記内部空間に突出して配置され前記一方の側壁部側に弾性変形することによって、前記内部空間に挿入される相手コネクタの相手側端子を他方の側壁部側に押圧する複数の可動端子と、を有し、
前記一方の側壁部の内面には、前記可動端子に対応して、前記可動端子の弾性変形する領域を避けた部位に、前記一方の側壁部の内面から突出する補強肉盛り部が形成されている、
コネクタ。
【請求項2】
前記可動端子は、前記内部空間に奥側から開口部側に延在するアーム部の先端側に、前記相手側端子を押圧する接点部を備えた板バネ材からなり、
前記側壁部の内面には、前記相手コネクタの挿入方向に沿って延在するように形成され、前記接点部が前記相手側端子に接触した際に、弾性変形した前記可動端子のアーム部が配置される端子溝が形成され、
前記補強肉盛り部は、前記端子溝内に配置された前記可動端子を避けた位置で、且つ、前記端子溝内で、前記端子溝を側方で仕切る仕切壁間に架設されている、
請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記可動端子は、前記アーム部から前記内部空間側に屈曲して接点部が形成され、
前記接点部の先端側には、前記端子溝の底面に当接して設けられ、前記可動端子が弾性変形した際に、前記底面を摺動し、前記接点部に前記内部空間側へ付勢する当接片部が形成されている、
請求項2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記複数の可動端子に対応して、弾性変形方向の前記側壁部に形成される前記補強肉盛り部は、一直線状に形成されている、
請求項2記載のコネクタ。
【請求項5】
前記一対の側壁部は、幅方向に長い上壁部及び下壁部であり、
前記可動端子は、正面視して前記上壁部側及び前記下壁部側から交互に幅方向に沿って突出するように配置され、
前記上壁部の前記端子溝内の前記補強肉盛り部と前記下壁部の前記端子溝内の補強肉盛り部は、前記内部空間を挟み対向する位置でそれぞれ幅方向に一直線状に形成されている、
請求項1記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−9296(P2012−9296A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144555(P2010−144555)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】