コネクタ
【課題】両持ち状のランスを構成しながらも、その撓み空間を最小限に抑えてハウジングの低背化を実現する。
【解決手段】キャビティ22の前端に、端子金具10を前止まりさせる前止まり壁25とともに、端子金具10の左右の側縁部を受ける一対の端子受け部27が間隔を開けて設けられる。キャビティ22の底面に、端子金具10に係止する係止突部35を先端部31Bに備えたランス30が端子金具10の挿入方向に沿って延びた形態で根元側31Aを支点とした弾性撓み可能に設けられる。ランス30の先端部31Bの幅が両端子受け部27の間隔よりも大きく形成され、ランス30の先端面31Cにおける端子受け部27と幅方向においてオーバーラップする左右両端部と、各端子受け部27とが、前後方向に延びた可撓片40で連結される。ランス30の先端面31Cに、解除治具Jと係合する解除部45が設けられる。
【解決手段】キャビティ22の前端に、端子金具10を前止まりさせる前止まり壁25とともに、端子金具10の左右の側縁部を受ける一対の端子受け部27が間隔を開けて設けられる。キャビティ22の底面に、端子金具10に係止する係止突部35を先端部31Bに備えたランス30が端子金具10の挿入方向に沿って延びた形態で根元側31Aを支点とした弾性撓み可能に設けられる。ランス30の先端部31Bの幅が両端子受け部27の間隔よりも大きく形成され、ランス30の先端面31Cにおける端子受け部27と幅方向においてオーバーラップする左右両端部と、各端子受け部27とが、前後方向に延びた可撓片40で連結される。ランス30の先端面31Cに、解除治具Jと係合する解除部45が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングのキャビティ内に端子金具を抜け止めするべく両持ち状のランスを設けたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の両持ち状のランスを設けたコネクタの一例として、下記特許文献1に記載のものが知られている。このものは、ランスの形状が、前後方向に長い可撓板の中央部に係止突部が突設され、可撓板の後端がキャビティの底面に、前端がキャビティの前壁にそれぞれ支持された構造であって、端子金具がキャビティ内に後方から挿入されると、ランスを下方に弓なりに撓ませつつ押し込まれ、前壁に当たる正規位置まで押し込まれると、ランスが弾性復帰して係止突部が端子金具の被係止部に係止することで抜け止めされるようになっている。
一方、端子金具をキャビティから引き抜く場合は、解除治具を用いてランスを強制的に弾性撓みさせることで、端子金具に対する係止を解除するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−282883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように両持ち状のランスでは、係止突部の前面から可撓板の前側部分が延びたような形状であるため、片持ち状のランスとは違って係止突部の前面側に解除治具と係合する解除部を設定することはできない。そのため上記従来のものでは、ランスにおける裏面(撓み空間と対向した面)に、解除治具を引っ掛ける解除部を設けていたが、このような構造であると、ランスの裏面側に、ランスが撓んだ際にランスのみならず解除部を逃がすための大きなスペースが必要となり、ひいてはハウジングが嵩高となるという問題があって、さらなる改良が切望されていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、両持ち状のランスを構成しながらも、その撓み空間を最小限に抑えてハウジングの低背化を実現するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ハウジング内には端子金具が後方から挿入されるキャビティが設けられ、このキャビティの前端には、前記端子金具を前止まりさせる前止まり壁とともに、前止まりされた前記端子金具の左右の側縁部を受ける一対の端子受け部が間隔を開けて設けられている一方、前記キャビティの底面には、前記端子金具に係止する係止突部を先端部に備えたランスが前記端子金具の挿入方向に沿って延びた形態で根元側を支点とした弾性撓み可能に設けられており、前記ランスの先端部の幅が前記両端子受け部の間隔よりも大きく形成され、このランスの先端面における前記端子受け部と幅方向においてオーバーラップする左右両端部と、各端子受け部とが、前後方向に延びた可撓片によって連結され、前記ランスの先端面に、同ランスを係止解除方向に撓ませるべく解除治具と係合する解除部が設けられているところに特徴を有する。
【0006】
端子金具がキャビティ内に後方から挿入されると、可撓片ともどもランスが弾性撓みしつつ押し込まれ、前止まり壁に当たって前止まりされたところで、可撓片ともどもランスが弾性復帰して係止突部が端子金具に係止することで抜け止めされる。端子金具をキャビティから抜く場合は、両可撓片の間を通して前方から解除治具を入れ、ランスの先端面の解除部に係合して可撓片ともどもランスを強制的に弾性撓みさせることで、ランスによる係止が解除される。
【0007】
両持ち状のランスが構成されるが、前側の撓み部分を一対の間隔を開けた可撓片で構成したから、両可撓片の間を解除治具の挿入空間として利用しつつ、解除部をランスの先端面に設けることができる。そのため、例えばランスの裏面側に解除部を設けた場合と違って、ランスの撓み空間は可撓片を含むランスを逃がすだけの小さいスペースで済み、結果ハウジングの低背化を図ることができる。
【0008】
また、ランスの先端部を端子受け部の間隔よりも幅広としたから、係止突部のせん断面積を大きく採ることができて、端子金具の保持力を高めることができる。ただし、上記のようにランスの先端部を幅広とすると、ランスと端子受け部の部分を前後方向に接離する成形型で成形しようとした場合、特にランスの先端面における端子受け部とオーバラップした両端部がオーバハング状態となって、同前後方向の成形型のみで成形することはできない。
それに対して本発明では、ランスの先端面における端子受け部と幅方向においてオーバーラップする左右両端部と、各端子受け部とを、前後方向に延びた可撓片で連結したから、上記のオーバハング状態が解消され、その結果、前後方向の成形型のみによって成形することが可能となる。
【0009】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記可撓片の上面が、前記端子受け部の上面と同一高さにおいて面一に形成されている。
端子金具が正規まで挿入されて可撓片ともどもランスが弾性復帰することで端子金具が抜け止めされることと併せて、端子金具の左右両側縁部がそれぞれ端子受け部から可撓片に亘って受けられる。端子金具が抜け止めされた際、端子金具の左右両側縁部が長い範囲に亘って受けられるから、端子金具はキャビティ内でより安定した姿勢で収容される。
【0010】
(2)前記ランスにおける根元部が、先端部よりも幅が狭く形成されている。ランスの根元部は幅狭としたから、ランスの撓み性が良くなり、端子金具の挿入力を小さく抑えることに寄与し得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、両持ち状のランスを構成しながらも、その撓み空間を最小限に抑えてハウジングの低背化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る雌端子金具の斜視図
【図2】雄ハウジングの斜視図
【図3】同正面図
【図4】同背面図
【図5】同一部切欠斜視図
【図6】雌ハウジングの一部切欠平面図並びに雌端子金具の底面図
【図7】ランスの背面側から視た斜視図
【図8】同正面側から視た斜視図
【図9】同底面図
【図10】雌端子金具の挿入動作を示す図9のX−X線で切断した縦断面図
【図11】雌端子金具の挿入途中を示す縦断面図
【図12】雌端子金具が正規位置まで挿入された状態の縦断面図
【図13】ランスを強制的に弾性撓みさせた状態の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図13によって説明する。
この実施形態では雌側のコネクタを例示しており、電線Wの端末に接続された雌端子金具10が、雌側のハウジング20(以下、雌ハウジング20)に設けられたキャビティ22内に抜け止めされて収容されることで構成されている。
【0014】
雌端子金具10は、導電性に優れた金属板をプレス加工することで形成されており、図1に示すように、やや扁平な角筒形をなす端子接続部11の後方に、ワイヤバレル13とインシュレーションバレル14とが連設された構造であり、端子接続部11内には弾性接触片12が設けられている。
雌端子金具10は、図10に示すように、電線Wにおける芯線の端末にワイヤバレル13が、また絶縁被覆の端末にインシュレーションバレル14がそれぞれかしめ圧着されることで、電線Wの端末に固着接続されている。
【0015】
雌端子金具10の端子接続部11には、図示しない相手の雄端子金具のタブが前方から挿入され、弾性接触片12と対向した端子接続部11の底板11Aとの間で弾性的に挟持されることにより、電気的な接続が取られるようになっている。
また、端子接続部11における天井板11Bの後縁部が、詳しくは後記するように、雌ハウジング20のキャビティ22内に設けられたランス30に係止する被係止部15となっている。
【0016】
次に、雌ハウジング20の構造について説明する。雌ハウジング20は合成樹脂製であって、図2ないし図6に示すように、全体としてはやや扁平なブロック状に形成されている。雌ハウジング20の前面(図2の手前側の面)が、相手の雄ハウジング(図示せず)と嵌合される場合の嵌合面となっており、雌ハウジング20の上面には、雄ハウジングとの間を嵌合状態にロックするロックアーム21が設けられている。
【0017】
雌ハウジング20内には、上記した雌端子金具10が後方から挿入されて収容される10個のキャビティ22が、5個ずつ上下二段亘って整列して形成されている。
キャビティ22は、図10に示すように、前側の半分強の領域23A(以下、前側領域23A)が、雌端子金具10の端子接続部11が略緊密に嵌る横長の長方形断面をなし、一方、残りの後側領域23Bでは、下部側がさらに広がった断面形状で、後端面は全面が開口している。
【0018】
キャビティ22の前端面における上部位置には、挿入された雌端子金具10の端子接続部11を当てて前止まりする前面壁25が形成されており、この前面壁25には、相手の雄端子金具のタブが挿入可能な端子挿入口26が開口されている。なお、前面壁25における端子挿入口26の下縁部の中央幅位置には、開口溝25Aが切り欠き形成されている。
【0019】
キャビティ22の前端部、より詳細には前面壁25の直後位置における左右の側壁22Aには、天井壁22Bから雌端子金具10の端子接続部11の高さに匹敵する寸法だけ下がった高さ位置において、一対の端子受け部27が突出形成されている。両端子受け部27は、上記した開口溝25Aの幅に匹敵する間隔を開けて形成されている。
したがって、雌端子金具10がキャビティ22内に後方から挿入されると、端子接続部11の先端縁が前面壁25に当たることで前止まりされ、併せて端子接続部11の先端側の左右両側縁部が、左右の端子受け部27によって受けられるようになっている。
【0020】
各キャビティ22における前側領域23Aでは、その底面が開口されているが、同底面における後部側の位置には、雌端子金具10に係止して抜け止めするランス30が形成されている。
このランス30は、図7、図8及び図10に示すように、キャビティ22の底壁22Cから所定寸法立ち上がったのち前方に向けて延出されたランス本体31を有している。ランス本体31は、根元部31A(全長の半分弱の領域)については、キャビティ22の前側領域23Aの幅の半分強といった狭い幅に形成されている一方、先端部31Bでは、根元部31Aよりも所定寸法広い幅(根元部31Aの1.5倍程度)に形成されている。より詳細には、先端部31Bは、上記した左右一対の端子受け部27の間隔よりも広い幅に形成されている。幅狭の根元部31Aの側面と、幅広の先端部31Bの側面とは、前方に向けて二段階に亘って幅広となったテーパ面32を介して繋がっている。
【0021】
ランス本体31の上面の高さ位置については、根元部31Aの上面が、キャビティ22の前側領域23Aの底面に相当する高さにおける水平面で、少し上り勾配の傾斜面を介して、先端部31Bの上面が一段高くなった水平面となっている。また、根元部31Aの上面の前縁から、先端部31Bの上面の幅方向の中央部に亘り、根元部31Aと同幅の背の低い突条33が形成されている。
これにより、ランス本体31の先端部31Bにおける略上半分、詳細には根元部31Aの上面よりも上方部分によって、雌端子金具10の被係止部15に係止する係止突部35が形成されている。係止突部35は正面視で中央幅部分が高くなった凸形状をなし、少なくとも同係止突部35の下半分領域では、ランス本体31の根元部31Aと比べて、上記のように1.5倍程度の幅広となっている。
【0022】
上記のようにランス本体31の先端部31Bが幅広に形成されたことによって、同ランス本体31の先端面31Cにおける下半分の領域の両端部と、キャビティ22の前端部の左右の側壁22Aに突設された端子受け部27の突出側とが、幅方向においてオーバラップした形態となる。そして、このようにオーバラップした関係にある左右の端子受け部27の突出部分の後面と、ランス本体31の先端面31Cの下部領域の左右両端部の間に、細長い角棒状をなす可撓片40が差し渡されて連結されている。
両可撓片40は所定間隔を開けて互いに平行に配され、自然状態では、可撓片40の上面は、端子受け部27の上面と面一の水平面となる。
【0023】
上記のような形状になるランス30は、ランス本体31の根元部31Aと、両可撓片40の先端とがキャビティ22の内面に固定されたいわゆる両持ち形式となっている。図11に参照して示すように、ランス本体31と両可撓片40とが、前後の固定部分をそれぞれ支点として、全体として下向きに膨らんだ円弧状に弾性撓みし、それに伴い係止突部35が下動するようになっている。
したがって、可撓片40を含むランス30の下方領域が、可撓片40を含むランス30の撓み変形を許容する撓み空間42となっている。
【0024】
ランス30による雌端子金具10への係止を解除するために、解除治具J(図13参照)によりランス30を強制的に弾性撓みさせるようになっている。
そのため、上記したランス本体31の先端面31Cにおける下部領域には、中央幅位置において、解除治具Jの先端を載せることが可能な解除部45が、手前側に向けて突出形成されている。この解除部45の形成位置は、上記した両可撓片40の引き出し位置とは別の位置に独立して設定されている。
左右の可撓片40の間の領域からその下方領域は前面に開口しており、したがって、解除部45の手前側に治具挿入空間47が形成されていることになる。なお、解除部45の上面45Aは、解除治具Jの先端を誘導できるように手前側に向けて下り勾配の傾斜面とされている。
【0025】
続いて、本実施形態の作用を説明する。
既述した要領によって電線Wの端末に接続された雌端子金具10は、上下反転された姿勢を採った上で、図6及び図10に示すように、雌ハウジング20に形成されたキャビティ22内に後方から挿入される。雌端子金具10は端子接続部11がランス30の根元部31Aの上面から係止突部35の上面に乗り上げ、図11に示すように、可撓片40ともどもランス30が撓み空間42に向けて弾性撓みしつつ押し込まれる。
【0026】
雌端子金具10が前面壁25に当たるまで押し込まれると、図12に示すように、雌端子金具10の端子接続部11の後縁の被係止部15が、ランス30の係止突部35を通過するために、可撓片40ともどもランス30が弾性復帰して係止突部35が雌端子金具10の被係止部15に係止して抜け止めされる。それとともに、雌端子金具10の端子接続部11の左右の側縁部が、全長に亘って端子受け部27から可撓片40によって受けられ、雌端子金具10は、前屈み等することなく、キャビティ22内で水平姿勢を採って安定して保持されることになる。
すべてのキャビティ22に対して、雌端子金具10が上記と同じ要領で抜け止めされて収容されたところで雌コネクタの組み付けが完了する。
【0027】
このような雌コネクタが、同様に雄ハウジングに対して雄端子金具を装着してなる雄コネクタと嵌合され、各雄端子金具のタブが端子挿入口26から雌ハウジング20のキャビティ22内に進入し、同キャビティ22に収容された雌端子金具10の端子接続部11に挿入されることで、対応する雌端子金具10と雄端子金具同士が接続される。
この状態において、雌コネクタの後面側に引き出された電線Wが引っ張られた場合、雌端子金具10の被係止部15がランス30の係止突部35に係止して抜け止めされる。ここで係止突部35が幅広に形成され、せん断面積が大きく取られているから、せん断破壊に抗した大きな保持力が得られる。
【0028】
メンテナンス等において、雌端子金具10を雌ハウジング20のキャビティ22から抜く場合は、左右の可撓片40の間に形成された治具挿入空間47に前方から解除治具Jを挿入し、その先端をランス本体31の先端面31Cに突設された解除部45に載せて押し下げると、可撓片40ともどもランス30が撓み空間42に向けて弾性撓みさせられることで、係止突部35による雌端子金具10の被係止部15に対する係止が解除される。
そうしたら、電線Wを後方に引っ張ることで雌端子金具10をキャビティ22の後方に引き抜くことができる。
【0029】
以上のように本実施形態によれば、両持ち形式のランス30が構成されるが、前側の撓み部分を一対の間隔を開けた可撓片40で構成したから、両可撓片40の間を解除治具Jの挿入空間47として利用しつつ、解除部45をランス本体31の先端面31Cに設けることができる。そのため、例えばランスの裏面側に解除部を設けた場合と違って、ランス30の撓み空間42はランス30(可撓片40を含む)を逃がすだけの小さいスペースで済み、結果雌ハウジング20の低背化を図ることができる。
【0030】
ランス30の先端部31Bを端子受け部27の間隔よりも幅広としたから、係止突部35のせん断面積を大きく採ることができて、雌端子金具10の保持力を高めることができる。ただし、上記のようにランス30の先端部31Bを幅広とすると、ランス30と端子受け部27の部分を前後方向に接離する成形型で成形しようとした場合、特にランス本体31の先端面31Cにおける端子受け部27とオーバラップした両端部がオーバハング状態となって、同前後方向の成形型のみで成形することはできない。
それに対してこの実施形態では、ランス本体31の先端面31Cにおける端子受け部27と幅方向においてオーバーラップする左右両端部と、各端子受け部27とを、前後方向に延びた可撓片40で連結したから、上記のオーバハング状態が解消され、その結果、前後方向の成形型のみによって成形することが可能となる。
【0031】
雌端子金具10が正規位置まで挿入されて可撓片40ともどもランス30が弾性復帰することで雌端子金具10が抜け止めされた際に、雌端子金具10の端子接続部11の左右両側縁部の全長が、それぞれ端子受け部27から可撓片40に亘って受けられる。すなわち、雌端子金具10の端子接続部11の左右両側縁部が長い範囲に亘って受けられることで、雌端子金具10はキャビティ22内でより安定した姿勢で収容される。
また、ランス本体31の弾性撓みの支点となる根元部31Aは幅狭としたから、ランス30の撓み性が良くなり、雌端子金具10の挿入力を小さく抑えることに寄与し得る。
【0032】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)可撓片の上面の高さ位置が端子受け部の上面位置よりも低い位置にあって、可撓片自体は雌端子金具を受けることに機能しないものであってもよく、そのようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(2)ランス本体の根元部の幅が、先端部と同じ幅広であってもよい。
(3)ランスは、係止突部が、雌端子金具の端子接続部の一面に開口されたランス孔に嵌って係止する形式のものであってもよい。
【0033】
(4)キャビティに挿入された雌端子金具を前止まりさせる前止まり壁は、上記実施形態に例示した前面壁の形状に限らず、端子接続部の先端面の左右の縦縁のみを突き当てる等、他の形状であってもよい。
(5)本発明は、雄ハウジング内に雄端子金具を収容した雄側のコネクタについても、同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
10…雌端子金具(端子金具)
11…端子接続部
15…被係止部
20…雌ハウジング(ハウジング)
22…キャビティ
22C…底壁(キャビティの底面)
22A…側壁
23A…前側領域
25…前面壁(前止まり壁)
27…端子受け部
30…ランス
31…ランス本体
31A…(ランス本体31の)根元部
31B…(ランス本体31の)先端部
31C…(ランス本体31の)先端面
35…係止突部
40…可撓片
42…撓み空間
45…解除部
47…治具挿入空間
J…解除治具
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングのキャビティ内に端子金具を抜け止めするべく両持ち状のランスを設けたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の両持ち状のランスを設けたコネクタの一例として、下記特許文献1に記載のものが知られている。このものは、ランスの形状が、前後方向に長い可撓板の中央部に係止突部が突設され、可撓板の後端がキャビティの底面に、前端がキャビティの前壁にそれぞれ支持された構造であって、端子金具がキャビティ内に後方から挿入されると、ランスを下方に弓なりに撓ませつつ押し込まれ、前壁に当たる正規位置まで押し込まれると、ランスが弾性復帰して係止突部が端子金具の被係止部に係止することで抜け止めされるようになっている。
一方、端子金具をキャビティから引き抜く場合は、解除治具を用いてランスを強制的に弾性撓みさせることで、端子金具に対する係止を解除するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−282883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように両持ち状のランスでは、係止突部の前面から可撓板の前側部分が延びたような形状であるため、片持ち状のランスとは違って係止突部の前面側に解除治具と係合する解除部を設定することはできない。そのため上記従来のものでは、ランスにおける裏面(撓み空間と対向した面)に、解除治具を引っ掛ける解除部を設けていたが、このような構造であると、ランスの裏面側に、ランスが撓んだ際にランスのみならず解除部を逃がすための大きなスペースが必要となり、ひいてはハウジングが嵩高となるという問題があって、さらなる改良が切望されていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、両持ち状のランスを構成しながらも、その撓み空間を最小限に抑えてハウジングの低背化を実現するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ハウジング内には端子金具が後方から挿入されるキャビティが設けられ、このキャビティの前端には、前記端子金具を前止まりさせる前止まり壁とともに、前止まりされた前記端子金具の左右の側縁部を受ける一対の端子受け部が間隔を開けて設けられている一方、前記キャビティの底面には、前記端子金具に係止する係止突部を先端部に備えたランスが前記端子金具の挿入方向に沿って延びた形態で根元側を支点とした弾性撓み可能に設けられており、前記ランスの先端部の幅が前記両端子受け部の間隔よりも大きく形成され、このランスの先端面における前記端子受け部と幅方向においてオーバーラップする左右両端部と、各端子受け部とが、前後方向に延びた可撓片によって連結され、前記ランスの先端面に、同ランスを係止解除方向に撓ませるべく解除治具と係合する解除部が設けられているところに特徴を有する。
【0006】
端子金具がキャビティ内に後方から挿入されると、可撓片ともどもランスが弾性撓みしつつ押し込まれ、前止まり壁に当たって前止まりされたところで、可撓片ともどもランスが弾性復帰して係止突部が端子金具に係止することで抜け止めされる。端子金具をキャビティから抜く場合は、両可撓片の間を通して前方から解除治具を入れ、ランスの先端面の解除部に係合して可撓片ともどもランスを強制的に弾性撓みさせることで、ランスによる係止が解除される。
【0007】
両持ち状のランスが構成されるが、前側の撓み部分を一対の間隔を開けた可撓片で構成したから、両可撓片の間を解除治具の挿入空間として利用しつつ、解除部をランスの先端面に設けることができる。そのため、例えばランスの裏面側に解除部を設けた場合と違って、ランスの撓み空間は可撓片を含むランスを逃がすだけの小さいスペースで済み、結果ハウジングの低背化を図ることができる。
【0008】
また、ランスの先端部を端子受け部の間隔よりも幅広としたから、係止突部のせん断面積を大きく採ることができて、端子金具の保持力を高めることができる。ただし、上記のようにランスの先端部を幅広とすると、ランスと端子受け部の部分を前後方向に接離する成形型で成形しようとした場合、特にランスの先端面における端子受け部とオーバラップした両端部がオーバハング状態となって、同前後方向の成形型のみで成形することはできない。
それに対して本発明では、ランスの先端面における端子受け部と幅方向においてオーバーラップする左右両端部と、各端子受け部とを、前後方向に延びた可撓片で連結したから、上記のオーバハング状態が解消され、その結果、前後方向の成形型のみによって成形することが可能となる。
【0009】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記可撓片の上面が、前記端子受け部の上面と同一高さにおいて面一に形成されている。
端子金具が正規まで挿入されて可撓片ともどもランスが弾性復帰することで端子金具が抜け止めされることと併せて、端子金具の左右両側縁部がそれぞれ端子受け部から可撓片に亘って受けられる。端子金具が抜け止めされた際、端子金具の左右両側縁部が長い範囲に亘って受けられるから、端子金具はキャビティ内でより安定した姿勢で収容される。
【0010】
(2)前記ランスにおける根元部が、先端部よりも幅が狭く形成されている。ランスの根元部は幅狭としたから、ランスの撓み性が良くなり、端子金具の挿入力を小さく抑えることに寄与し得る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、両持ち状のランスを構成しながらも、その撓み空間を最小限に抑えてハウジングの低背化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る雌端子金具の斜視図
【図2】雄ハウジングの斜視図
【図3】同正面図
【図4】同背面図
【図5】同一部切欠斜視図
【図6】雌ハウジングの一部切欠平面図並びに雌端子金具の底面図
【図7】ランスの背面側から視た斜視図
【図8】同正面側から視た斜視図
【図9】同底面図
【図10】雌端子金具の挿入動作を示す図9のX−X線で切断した縦断面図
【図11】雌端子金具の挿入途中を示す縦断面図
【図12】雌端子金具が正規位置まで挿入された状態の縦断面図
【図13】ランスを強制的に弾性撓みさせた状態の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図13によって説明する。
この実施形態では雌側のコネクタを例示しており、電線Wの端末に接続された雌端子金具10が、雌側のハウジング20(以下、雌ハウジング20)に設けられたキャビティ22内に抜け止めされて収容されることで構成されている。
【0014】
雌端子金具10は、導電性に優れた金属板をプレス加工することで形成されており、図1に示すように、やや扁平な角筒形をなす端子接続部11の後方に、ワイヤバレル13とインシュレーションバレル14とが連設された構造であり、端子接続部11内には弾性接触片12が設けられている。
雌端子金具10は、図10に示すように、電線Wにおける芯線の端末にワイヤバレル13が、また絶縁被覆の端末にインシュレーションバレル14がそれぞれかしめ圧着されることで、電線Wの端末に固着接続されている。
【0015】
雌端子金具10の端子接続部11には、図示しない相手の雄端子金具のタブが前方から挿入され、弾性接触片12と対向した端子接続部11の底板11Aとの間で弾性的に挟持されることにより、電気的な接続が取られるようになっている。
また、端子接続部11における天井板11Bの後縁部が、詳しくは後記するように、雌ハウジング20のキャビティ22内に設けられたランス30に係止する被係止部15となっている。
【0016】
次に、雌ハウジング20の構造について説明する。雌ハウジング20は合成樹脂製であって、図2ないし図6に示すように、全体としてはやや扁平なブロック状に形成されている。雌ハウジング20の前面(図2の手前側の面)が、相手の雄ハウジング(図示せず)と嵌合される場合の嵌合面となっており、雌ハウジング20の上面には、雄ハウジングとの間を嵌合状態にロックするロックアーム21が設けられている。
【0017】
雌ハウジング20内には、上記した雌端子金具10が後方から挿入されて収容される10個のキャビティ22が、5個ずつ上下二段亘って整列して形成されている。
キャビティ22は、図10に示すように、前側の半分強の領域23A(以下、前側領域23A)が、雌端子金具10の端子接続部11が略緊密に嵌る横長の長方形断面をなし、一方、残りの後側領域23Bでは、下部側がさらに広がった断面形状で、後端面は全面が開口している。
【0018】
キャビティ22の前端面における上部位置には、挿入された雌端子金具10の端子接続部11を当てて前止まりする前面壁25が形成されており、この前面壁25には、相手の雄端子金具のタブが挿入可能な端子挿入口26が開口されている。なお、前面壁25における端子挿入口26の下縁部の中央幅位置には、開口溝25Aが切り欠き形成されている。
【0019】
キャビティ22の前端部、より詳細には前面壁25の直後位置における左右の側壁22Aには、天井壁22Bから雌端子金具10の端子接続部11の高さに匹敵する寸法だけ下がった高さ位置において、一対の端子受け部27が突出形成されている。両端子受け部27は、上記した開口溝25Aの幅に匹敵する間隔を開けて形成されている。
したがって、雌端子金具10がキャビティ22内に後方から挿入されると、端子接続部11の先端縁が前面壁25に当たることで前止まりされ、併せて端子接続部11の先端側の左右両側縁部が、左右の端子受け部27によって受けられるようになっている。
【0020】
各キャビティ22における前側領域23Aでは、その底面が開口されているが、同底面における後部側の位置には、雌端子金具10に係止して抜け止めするランス30が形成されている。
このランス30は、図7、図8及び図10に示すように、キャビティ22の底壁22Cから所定寸法立ち上がったのち前方に向けて延出されたランス本体31を有している。ランス本体31は、根元部31A(全長の半分弱の領域)については、キャビティ22の前側領域23Aの幅の半分強といった狭い幅に形成されている一方、先端部31Bでは、根元部31Aよりも所定寸法広い幅(根元部31Aの1.5倍程度)に形成されている。より詳細には、先端部31Bは、上記した左右一対の端子受け部27の間隔よりも広い幅に形成されている。幅狭の根元部31Aの側面と、幅広の先端部31Bの側面とは、前方に向けて二段階に亘って幅広となったテーパ面32を介して繋がっている。
【0021】
ランス本体31の上面の高さ位置については、根元部31Aの上面が、キャビティ22の前側領域23Aの底面に相当する高さにおける水平面で、少し上り勾配の傾斜面を介して、先端部31Bの上面が一段高くなった水平面となっている。また、根元部31Aの上面の前縁から、先端部31Bの上面の幅方向の中央部に亘り、根元部31Aと同幅の背の低い突条33が形成されている。
これにより、ランス本体31の先端部31Bにおける略上半分、詳細には根元部31Aの上面よりも上方部分によって、雌端子金具10の被係止部15に係止する係止突部35が形成されている。係止突部35は正面視で中央幅部分が高くなった凸形状をなし、少なくとも同係止突部35の下半分領域では、ランス本体31の根元部31Aと比べて、上記のように1.5倍程度の幅広となっている。
【0022】
上記のようにランス本体31の先端部31Bが幅広に形成されたことによって、同ランス本体31の先端面31Cにおける下半分の領域の両端部と、キャビティ22の前端部の左右の側壁22Aに突設された端子受け部27の突出側とが、幅方向においてオーバラップした形態となる。そして、このようにオーバラップした関係にある左右の端子受け部27の突出部分の後面と、ランス本体31の先端面31Cの下部領域の左右両端部の間に、細長い角棒状をなす可撓片40が差し渡されて連結されている。
両可撓片40は所定間隔を開けて互いに平行に配され、自然状態では、可撓片40の上面は、端子受け部27の上面と面一の水平面となる。
【0023】
上記のような形状になるランス30は、ランス本体31の根元部31Aと、両可撓片40の先端とがキャビティ22の内面に固定されたいわゆる両持ち形式となっている。図11に参照して示すように、ランス本体31と両可撓片40とが、前後の固定部分をそれぞれ支点として、全体として下向きに膨らんだ円弧状に弾性撓みし、それに伴い係止突部35が下動するようになっている。
したがって、可撓片40を含むランス30の下方領域が、可撓片40を含むランス30の撓み変形を許容する撓み空間42となっている。
【0024】
ランス30による雌端子金具10への係止を解除するために、解除治具J(図13参照)によりランス30を強制的に弾性撓みさせるようになっている。
そのため、上記したランス本体31の先端面31Cにおける下部領域には、中央幅位置において、解除治具Jの先端を載せることが可能な解除部45が、手前側に向けて突出形成されている。この解除部45の形成位置は、上記した両可撓片40の引き出し位置とは別の位置に独立して設定されている。
左右の可撓片40の間の領域からその下方領域は前面に開口しており、したがって、解除部45の手前側に治具挿入空間47が形成されていることになる。なお、解除部45の上面45Aは、解除治具Jの先端を誘導できるように手前側に向けて下り勾配の傾斜面とされている。
【0025】
続いて、本実施形態の作用を説明する。
既述した要領によって電線Wの端末に接続された雌端子金具10は、上下反転された姿勢を採った上で、図6及び図10に示すように、雌ハウジング20に形成されたキャビティ22内に後方から挿入される。雌端子金具10は端子接続部11がランス30の根元部31Aの上面から係止突部35の上面に乗り上げ、図11に示すように、可撓片40ともどもランス30が撓み空間42に向けて弾性撓みしつつ押し込まれる。
【0026】
雌端子金具10が前面壁25に当たるまで押し込まれると、図12に示すように、雌端子金具10の端子接続部11の後縁の被係止部15が、ランス30の係止突部35を通過するために、可撓片40ともどもランス30が弾性復帰して係止突部35が雌端子金具10の被係止部15に係止して抜け止めされる。それとともに、雌端子金具10の端子接続部11の左右の側縁部が、全長に亘って端子受け部27から可撓片40によって受けられ、雌端子金具10は、前屈み等することなく、キャビティ22内で水平姿勢を採って安定して保持されることになる。
すべてのキャビティ22に対して、雌端子金具10が上記と同じ要領で抜け止めされて収容されたところで雌コネクタの組み付けが完了する。
【0027】
このような雌コネクタが、同様に雄ハウジングに対して雄端子金具を装着してなる雄コネクタと嵌合され、各雄端子金具のタブが端子挿入口26から雌ハウジング20のキャビティ22内に進入し、同キャビティ22に収容された雌端子金具10の端子接続部11に挿入されることで、対応する雌端子金具10と雄端子金具同士が接続される。
この状態において、雌コネクタの後面側に引き出された電線Wが引っ張られた場合、雌端子金具10の被係止部15がランス30の係止突部35に係止して抜け止めされる。ここで係止突部35が幅広に形成され、せん断面積が大きく取られているから、せん断破壊に抗した大きな保持力が得られる。
【0028】
メンテナンス等において、雌端子金具10を雌ハウジング20のキャビティ22から抜く場合は、左右の可撓片40の間に形成された治具挿入空間47に前方から解除治具Jを挿入し、その先端をランス本体31の先端面31Cに突設された解除部45に載せて押し下げると、可撓片40ともどもランス30が撓み空間42に向けて弾性撓みさせられることで、係止突部35による雌端子金具10の被係止部15に対する係止が解除される。
そうしたら、電線Wを後方に引っ張ることで雌端子金具10をキャビティ22の後方に引き抜くことができる。
【0029】
以上のように本実施形態によれば、両持ち形式のランス30が構成されるが、前側の撓み部分を一対の間隔を開けた可撓片40で構成したから、両可撓片40の間を解除治具Jの挿入空間47として利用しつつ、解除部45をランス本体31の先端面31Cに設けることができる。そのため、例えばランスの裏面側に解除部を設けた場合と違って、ランス30の撓み空間42はランス30(可撓片40を含む)を逃がすだけの小さいスペースで済み、結果雌ハウジング20の低背化を図ることができる。
【0030】
ランス30の先端部31Bを端子受け部27の間隔よりも幅広としたから、係止突部35のせん断面積を大きく採ることができて、雌端子金具10の保持力を高めることができる。ただし、上記のようにランス30の先端部31Bを幅広とすると、ランス30と端子受け部27の部分を前後方向に接離する成形型で成形しようとした場合、特にランス本体31の先端面31Cにおける端子受け部27とオーバラップした両端部がオーバハング状態となって、同前後方向の成形型のみで成形することはできない。
それに対してこの実施形態では、ランス本体31の先端面31Cにおける端子受け部27と幅方向においてオーバーラップする左右両端部と、各端子受け部27とを、前後方向に延びた可撓片40で連結したから、上記のオーバハング状態が解消され、その結果、前後方向の成形型のみによって成形することが可能となる。
【0031】
雌端子金具10が正規位置まで挿入されて可撓片40ともどもランス30が弾性復帰することで雌端子金具10が抜け止めされた際に、雌端子金具10の端子接続部11の左右両側縁部の全長が、それぞれ端子受け部27から可撓片40に亘って受けられる。すなわち、雌端子金具10の端子接続部11の左右両側縁部が長い範囲に亘って受けられることで、雌端子金具10はキャビティ22内でより安定した姿勢で収容される。
また、ランス本体31の弾性撓みの支点となる根元部31Aは幅狭としたから、ランス30の撓み性が良くなり、雌端子金具10の挿入力を小さく抑えることに寄与し得る。
【0032】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)可撓片の上面の高さ位置が端子受け部の上面位置よりも低い位置にあって、可撓片自体は雌端子金具を受けることに機能しないものであってもよく、そのようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(2)ランス本体の根元部の幅が、先端部と同じ幅広であってもよい。
(3)ランスは、係止突部が、雌端子金具の端子接続部の一面に開口されたランス孔に嵌って係止する形式のものであってもよい。
【0033】
(4)キャビティに挿入された雌端子金具を前止まりさせる前止まり壁は、上記実施形態に例示した前面壁の形状に限らず、端子接続部の先端面の左右の縦縁のみを突き当てる等、他の形状であってもよい。
(5)本発明は、雄ハウジング内に雄端子金具を収容した雄側のコネクタについても、同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
10…雌端子金具(端子金具)
11…端子接続部
15…被係止部
20…雌ハウジング(ハウジング)
22…キャビティ
22C…底壁(キャビティの底面)
22A…側壁
23A…前側領域
25…前面壁(前止まり壁)
27…端子受け部
30…ランス
31…ランス本体
31A…(ランス本体31の)根元部
31B…(ランス本体31の)先端部
31C…(ランス本体31の)先端面
35…係止突部
40…可撓片
42…撓み空間
45…解除部
47…治具挿入空間
J…解除治具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内には端子金具が後方から挿入されるキャビティが設けられ、
このキャビティの前端には、前記端子金具を前止まりさせる前止まり壁とともに、前止まりされた前記端子金具の左右の側縁部を受ける一対の端子受け部が間隔を開けて設けられている一方、
前記キャビティの底面には、前記端子金具に係止する係止突部を先端部に備えたランスが前記端子金具の挿入方向に沿って延びた形態で根元側を支点とした弾性撓み可能に設けられており、
前記ランスの先端部の幅が前記両端子受け部の間隔よりも大きく形成され、
このランスの先端面における前記端子受け部と幅方向においてオーバーラップする左右両端部と、各端子受け部とが、前後方向に延びた可撓片によって連結され、
前記ランスの先端面に、同ランスを係止解除方向に撓ませるべく解除治具と係合する解除部が設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記可撓片の上面が、前記端子受け部の上面と同一高さにおいて面一に形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ランスにおける根元部が、先端部よりも幅が狭く形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコネクタ。
【請求項1】
ハウジング内には端子金具が後方から挿入されるキャビティが設けられ、
このキャビティの前端には、前記端子金具を前止まりさせる前止まり壁とともに、前止まりされた前記端子金具の左右の側縁部を受ける一対の端子受け部が間隔を開けて設けられている一方、
前記キャビティの底面には、前記端子金具に係止する係止突部を先端部に備えたランスが前記端子金具の挿入方向に沿って延びた形態で根元側を支点とした弾性撓み可能に設けられており、
前記ランスの先端部の幅が前記両端子受け部の間隔よりも大きく形成され、
このランスの先端面における前記端子受け部と幅方向においてオーバーラップする左右両端部と、各端子受け部とが、前後方向に延びた可撓片によって連結され、
前記ランスの先端面に、同ランスを係止解除方向に撓ませるべく解除治具と係合する解除部が設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記可撓片の上面が、前記端子受け部の上面と同一高さにおいて面一に形成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ランスにおける根元部が、先端部よりも幅が狭く形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−69537(P2013−69537A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207164(P2011−207164)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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