説明

コネクタ

【課題】振動を吸収しつつ、コネクタの小型化を図る。
【解決手段】雌コンタクト20は、角筒部21と、角筒部21の内部に設けられた折れ曲がり部22と、角筒部21の外部に設けられた湾曲部23、突出部24及び実装部25とを有する。湾曲部23は、上下方向に弾性変位する。角筒部21と湾曲部23と実装部25とは、角筒部21の第1壁部110に直交する方向からみて、重なって配置されている。また、湾曲部23と実装部25とは、第1壁部110の幅Wの範囲内にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングに固定されたコンタクトを有するコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の電源や動力源(エンジン等)近傍では高加速度の振動が生じるため、自動車に搭載されるコネクタには耐振動性が要求される。そこで、自動車用のコネクタとして、基板に実装される実装部と、相手側コンタクトと接触する接触部と、実装部と接触部との間に設けられた弾性部とを有するコンタクトを備えたものが知られている。このコネクタでは、弾性部が変位することにより、振動が弾性部で吸収されるため、振動による実装部の破損やハンダクラックを防止できる。また、一般的に、上記コネクタでは、コンタクトの接触部と弾性部とが、コンタクトの配列方向について、異なる位置に配置されるようにずれて設けられている。
【0003】
さらに、特許文献1には、上記のような振動を吸収するものではないが、相手側コンタクトとの位置ずれを吸収する弾性部(フローティングビーム)を有するコンタクトが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−17950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したコネクタでは、コンタクトの配列方向に接触部と弾性部とが交互に配置されるため、コンタクトの配列方向について接触部と弾性部とをそれぞれ配置するスペースが必要となる。したがって、コネクタが大型化する問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、振動を吸収しつつ小型化が可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコネクタは、ハウジングと、前記ハウジングに固定されたコンタクトとを備えたコネクタであり、前記ハウジングは、前記コンタクトの一部を収容する収容室と、前記収容室と外部空間とを連通させ、相手側コンタクトが挿通する第1開口部とを有し、前記コンタクトは、前記収容室に収容され、互いに対向する2つの面が開口した角筒部と、前記角筒部の内部に配置され、相手側コンタクトと接触する第1接触部と、前記角筒部の外部に配置され、基板に実装される実装部と、前記角筒部と前記実装部とを連結する位置に設けられ、前記角筒部の開口した2つの面が対向する方向に弾性変位可能な弾性部とを有しており、前記角筒部は、前記第1接触部と前記実装部との間に設けられた第1壁部と、前記第1壁部に連接し且つ前記第1壁部の面方向に互いに対向する第2壁部及び第3壁部とを有し、前記角筒部と前記実装部と前記弾性部とは、前記第1壁部に直交する方向からみて、重なって配置され、前記実装部と前記弾性部とは、前記第2壁部及び前記第3壁部が対向する方向についての前記第1壁部の幅の範囲内にある。
【0008】
ここで、「第1壁部の幅と同一の範囲内にある」とは、第1壁部の幅と同一の範囲にあることと、第1壁部の幅より小さい範囲にあることとを含む。
【0009】
本発明によると、コンタクトの実装部と弾性部とが角筒部の幅の範囲内に配置されるため、コンタクトの幅を小さくすることができる。これにより、弾性部で振動を吸収しつつ、コネクタの小型化を図ることができる。
【0010】
また、本発明において、前記ハウジングは、前記収容室と外部空間とを連通させ、前記収容室に相手側コンタクトと反対側から挿入される挿入部材が挿通する第2開口部を有し、前記コンタクトは、前記角筒部の内部に配置され、挿入部材と接触する第2接触部を有し、前記第2接触部が前記第1接触部に向かって変位することにより、前記第1接触部が前記第2接触部の変位方向と同じ方向に変位することが好ましい。
【0011】
上記構成によると、挿入部材をハウジングの収容部に挿入し、コンタクトの第2接触部に接触させることにより、第2接触部が第1接触部に向かって変位するとともに第1接触部が相手側コンタクトに向かって変位するため、第1接触部と相手側コンタクトとの接触性を向上させることができる。よって、コネクタと相手側コネクタとの電気的な接続不良を防止できる。
【0012】
さらに、本発明において、前記コンタクトは、前記弾性部と前記実装部との間に設けられ、前記ハウジングに固定される固定部を有することが好ましい。上記構成では、弾性部で吸収した振動を、固定部を介してハウジングに伝達できるため、実装部に振動が伝わるのを抑止できる。これにより、実装部の損傷や実装部を基板に接合したハンダの損傷(ハンダクラック)を防止できる。
【0013】
加えて、本発明において、前記弾性部は、複数の屈曲部と、2つの前記屈曲部を接続する接続部とを有しており、前記複数の屈曲部及び前記接続部は、前記第1壁部と平行な面内に配置され、前記屈曲部の両側に設けられた2つの接続部は、前記角筒部の開口した2つの面が対向する方向からみて、重なって配置されていることが好ましい。上記構成では、コンタクトの弾性部を角筒部の第1壁部と平行な面内で屈曲させているため、コンタクトを幅方向に直交する方向に小型化できる。これにより、コネクタをさらに小型化できる。
【0014】
また、本発明において、前記角筒部は、前記第2壁部及び前記第3壁部に連接し且つ前記第1壁部に対向する第4壁部をさらに有しており、前記弾性部は、前記角筒部の開口した2つの面が対向する方向と、第1壁部及び第4壁部が対向する方向と、第2壁部及び第3壁部が対向する方向とに弾性変位可能であることが好ましい。上記構成では、弾性部が少なくとも3方向に弾性変位するので、様々な方向への振動を吸収することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のコネクタによると、振動を吸収しつつ小型化が可能なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
【図2】(a)は図1のIIA−IIA線に沿ったスライダコネクタの断面図であり、(b)は図1のIIB−IIB線に沿った雌コネクタの断面図であり、(c)は図1のIIC−IIC線に沿ったガイドコネクタの断面図である。
【図3】(a)は雌コンタクトの斜視図であり、(b)は雌コンタクトの正面図である。
【図4】(a)は雌コンタクトの平面図であり、(b)は雌コンタクトの側面図である。
【図5】コネクタを組み立てる工程を順に示した断面図である。
【図6】コネクタを組み立てる工程を順に示した斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態の雌コンタクトの正面図である。
【図8】(a)は変形例1の雌コンタクトの斜視図であり、(b)は変形例1の雌コンタクトの正面図である。
【図9】(a)は変形例1の雌コンタクトの平面図であり、(b)は変形例1の雌コンタクトの側面図である。
【図10】(a)は変形例2の雌コンタクトを正面側からみた斜視図であり、(b)は変形例2の雌コンタクトを背面側からみた斜視図である。
【図11】(a)は変形例2の雌コンタクトの正面図であり、(b)は変形例2の雌コンタクトの背面図である。
【図12】(a)は変形例2の雌コンタクトの平面図であり、(b)は変形例2の雌コンタクトの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0018】
図1,2に示すように、コネクタ100は、雌コネクタ1と、基板2の下方に配置されたガイドコネクタ3と、雌コネクタ1の上部に嵌合するスライドコネクタ4とを備えている。なお、図2では、図1に対応させて、(a)にスライドコネクタ4を図示し、(b)に雌コネクタ1を図示し、(c)に基板2及びガイドコネクタ3を図示している。
【0019】
(雌コネクタ1)
図2(b)に示すように、雌コネクタ1は、絶縁性の樹脂で形成された雌ハウジング(ハウジング)10と、雌ハウジング10に装着された雌コンタクト(コンタクト)20とを有する。
【0020】
<雌ハウジング>
雌ハウジング10は、雌コンタクト20を収容する収容室11と、収容室11の上方に設けられ、スライドコネクタ4と嵌合する嵌合部12と、収容室11の外側に設けられた保護壁13とを有する(図1参照)。雌ハウジング10には、複数の収容室11が一列に並んで形成されている。また、収容室11の上端部には、収容室11と外部空間とを連通させる開口(第2開口部)14が形成され、雌ハウジング10の下端部には、収容室11と外部空間とを連通させる開口(第1開口部)15が形成されている。
【0021】
また、収容室11と保護壁13との間に、固定壁16が設けられている。収容室11と固定壁16との間には、雌コンタクト20の湾曲部23が挿入され、保護壁13と固定壁16の間には、雌コンタクト20の突出部24が挿入されている。
【0022】
図1に示すように、嵌合部12には、右側部12Rに突起17aが形成され、背部12Bに突起17bが形成されている。突起17a,17bは、スライドコネクタ4に係止する。また、保護壁13の角部13Cには、上下方向にスリット13sが形成されている。
【0023】
[雌コンタクト]
図3に示すように、雌コンタクト20は、略直方体状の角筒部21と、角筒部21の内部に設けられた折れ曲がり部22と、角筒部21の外部に設けられた湾曲部23、突出部24及び実装部25とを有する。実装部25は基板2に実装される。湾曲部23、突出部24及び実装部25は、図3(b)に示すように、角筒部21側から順に並んで接続されている。雌コンタクト20は、導電性の部材からなり、1枚の金属板から形成されている。
【0024】
<角筒部>
図3(a)に示すように、角筒部21は、互いに対向する上面及び底面が開口した筒状の部材であり、角筒部21の内部に配置された折れ曲がり部22と角筒部21の外部に配置された湾曲部23との間に設けられた第1壁部110と、第1壁部110に対向して配置された第2壁部111と、第1壁部110に連接し且つ第1壁部110の面方向(図3(a)に示す幅方向)に互いに対向するように配置された第3壁部112及び第4壁部113とを有する。角筒部21は、図2に示すように、雌ハウジング10の収容室11に収容される。
なお、本実施形態の第1壁部110は特許請求の範囲の第1壁部に対応し、本実施形態の第2壁部111は特許請求の範囲の第4壁部に対応している。また、本実施形態の第3壁部112及び第4壁部113は、特許請求の範囲の第2壁部及び第3壁部に対応している。
【0025】
<折れ曲がり部>
折れ曲がり部22は、図3(b)に示すように、第2壁部111の下端から延在し、角筒部21の内部を1周するように屈曲している。折れ曲がり部22は、第2壁部111の下端から下方に向かって突出するように屈曲したバネ部120と、バネ部120から第1壁部に向かって突出するように湾曲した湾曲部(第1接触部)121と、湾曲部121から上方に向かって凸状に屈曲したバネ部122と、バネ部122から下方に向かって延在し、その後、第2壁部に向けて凸状に突出した突出部(第2接触部)123とを有する。突出部123が湾曲部121に向かって変位すると(図3(b)に示す矢印参照)、バネ部120,122が弾性変形することにより、湾曲部121が、突出部123の変位方向と同じ方向に変位し(図3(b)に示す矢印参照)、第1壁部110に近付く。
【0026】
互いに対向する第1壁部110と湾曲部121との間にはガイドコネクタ3のコンタクト31が挿入され(図5(b)参照)、本実施形態では、第1壁部110と湾曲部121との距離lがコンタクト31の太さと略同一の大きさに形成されている。また、互いに対向する第2壁部111と突出部123との間にはスライドコネクタ4の挿入部材41が挿入され(図5(c)参照)、本実施形態では、第2壁部111と突出部123との距離lが挿入部材41の太さよりやや小さい。
【0027】
<湾曲部>
図3に示すように、湾曲部23は、角筒部21の第1壁部110に連接し、角筒部21と実装部25とを連結する位置に設けられている。図3(a)及び図4に示すように、湾曲部23は、第1壁部110と平行な面内で複数回屈曲して形成され、バネ部(屈曲部)130,131,132,133と、連続する2つのバネ部130,131を接続する接続部134と、連続する2つのバネ部131,132を接続する接続部135と、連続する2つのバネ部132,133を接続する接続部136とを有する。図3(a)に示すように、第1壁部110とバネ部130とは接続部137により接続され、バネ部133と突出部24とは接続部138により接続されている。バネ部130,131,132,133が弾性変形することにより、湾曲部23が上下方向に弾性変位し、振動等が吸収される。
【0028】
図3(a)に示すように、バネ部130,131,132,133と接続部134,135,136,137,138とは、第1壁部110と平行な面内に配置されている(図3(b)及び図4(a)参照)。また、図3(a)に示すように、接続部134,135,136,137,138は、第1壁部110の幅方向に延在し、湾曲部23を上下方向からみたときにこれらが重なって配置されている(図4(a)参照)。ここで、第1壁部110の幅方向とは、第3壁部112と第4壁部113とが対向する方向である。
【0029】
<突出部>
図3に示すように、突出部24は上方に向かって突出した部材であり、側部に突起141,142が形成されている。図2に示すように、突出部24を雌ハウジング10の保護壁13及び固定壁16の間に収容すると、突起141,142が固定壁16に係合し、突出部24が固定壁16に固定される。
【0030】
図4に示すように、雌コンタクト20を第1壁部110に直交する方向Pからみたとき、角筒部21と、湾曲部23と、突出部24と、実装部25とは、重なって配置されている。また、幅方向について、湾曲部23の幅wは、第1壁部の幅Wと同一である(w=W)。湾曲部23と、突出部24と、実装部25とは、第1壁部110に直交する方向Pからみて、第1壁部の幅Wと同一の範囲内にある。ここで、図4(b)は、雌コンタクト20を第1壁部110に直交する方向Pからみたときを示している。
【0031】
(ガイドコネクタ)
図2(c)に示すように、ガイドコネクタ3は、絶縁性の樹脂で形成されたハウジング30と、ハウジング30に装着されたコンタクト31とを有する。コンタクト31は、ピン状の導電性の部材からなり、金属材料で形成されている。コンタクト31は、ハウジング30に形成された貫通孔30aを挿通し、雌コネクタ1に向かって突出している。コンタクト31は、雌ハウジング10の開口15から収容室11内に挿入される(図5(b)参照)。
【0032】
ハウジング30の上方には、基板2が配置されている。基板2には、コンタクト31が挿通する貫通孔2aが形成されている。
【0033】
(スライドコネクタ)
図1及び図2(a)に示すように、スライドコネクタ4は、絶縁性の樹脂で形成されたハウジング40と、ハウジング40に装着された挿入部材41とを有する。
【0034】
図1(a)に示すように、ハウジング40は、略筒状の壁部42と、壁部42の内側に形成された穴43とを有する。穴43には、雌コネクタ1の嵌合部12が嵌合する。壁部42の右側部44には突起45a,45bが形成されている。突起45a,45bは雌ハウジング10の保護壁13に係合する。また、壁部42の左側面にも、同様に、保護壁13に係合する突起が形成されている。
【0035】
壁部42の後壁部46の略中央付近には、ロック解除部47が設けられている。図6(b)に示す嵌合状態から、ロック解除部47を押圧することにより、雌コネクタ1とスライドコネクタ4との嵌合を解除できる。
【0036】
図2(a)に示すように、挿入部材41は、ピン状の導電性の部材からなり、金属材料で形成されている。挿入部材41は、雌コネクタ1に向かって突出している。また、挿入部材41は、雌ハウジング10の開口14から収容室11内に挿入される(図5参照)。
【0037】
次に、コネクタ100を組み立てる工程を、図5,6を参照しつつ説明する。なお、図6では、基板2及びガイドコネクタ3を省略して図示している。
【0038】
図5(a)に示すように、スライドコネクタ4を雌コネクタ1に仮嵌合する。このとき、スライドコネクタ4の挿入部材41は、雌コネクタ1の開口14から収容室11内に挿入されているが、第2壁部111と突出部123との間に挿入されていない。また、図6(a)に示すように、ハウジング40の突起45a,45bが雌ハウジング10の保護壁13の上端に接している。
【0039】
次に、基板2から突出したガイドコネクタ3のコンタクト31を、雌コネクタ1の開口15から収容室11に挿入する。図5(b)に示すように、コンタクト31を第1壁部110と湾曲部121との間に挿入し、仮嵌合状態の雌コネクタ1及びスライドコネクタ4を基板2上に配置する。第1壁部110及び湾曲部121と、コンタクト31とが接触することにより、雌コンタクト20とコンタクト31との電気的接続が達成される。なお、第1壁部110及び湾曲部121の一方とコンタクト31とが接触しても、雌コンタクト20とコンタクト31との電気的接続が達成される。
【0040】
そして、図5(c)及び図6(b)に示すように、スライドコネクタ4を雌コネクタ1に完全嵌合する。スライドコネクタ4の挿入部材41を第2壁部111と突出部123との間に挿入すると、突出部123が湾曲部121に向かって変位するとともにバネ部120,122が弾性変形し、これにより、湾曲部121がコンタクト31及び第1壁部110に向かって変位する。
【0041】
以上に述べたように、本実施形態のコネクタ100によると以下の効果を奏する。雌コンタクト20を第1壁部110に直交する方向Pからみたとき、雌コンタクト20の湾曲部23及び実装部25が角筒部21の幅の範囲内に配置されるため、雌コンタクト20の幅を小さくすることができる。これにより、湾曲部121で振動を吸収しつつ、雌コネクタ1及びコネクタ100の小型化を図ることができる。
【0042】
また、スライドコネクタ4の挿入部材41を収容室11内の第2壁部111と突出部123との間に挿入することにより、突出部123が湾曲部121に向かって変位するとともにバネ部120,122が弾性変形する。これにより、湾曲部121がコンタクト31に向かって変位するため、湾曲部121及び第1壁部110とコンタクト31との接触性を向上させることができる。したがって、雌コネクタ1とガイドコネクタ3との電気的な接続不良を防止できる。
【0043】
さらに、雌コンタクト20において、湾曲部23と実装部25との間に設けられた突出部24を雌ハウジング10の固定壁16に固定できるため、湾曲部23で吸収した振動を、突出部24を介して雌ハウジング10に伝達できる。これにより、振動が実装部25に伝わるのを抑止できるので、実装部25の損傷や実装部25を基板2に接合したハンダの損傷(ハンダクラック)を防ぐことができる。
【0044】
加えて、雌コンタクト20の湾曲部23を角筒部21の第1壁部110と平行な面内で屈曲させているため、雌コンタクト20を幅方向に直交する方向(第1壁部110に直交する方向P)に小型化できる。これにより、雌コネクタ1及びコネクタ100をさらに小型化することができる。
【0045】
また、雌ハウジング10の収容室11内において、互いに対向する第1壁部110と湾曲部121との距離lが、ガイドコネクタ3のコンタクト31の太さと略同一であるため、第1壁部110と湾曲部121との間にコンタクト31を低い挿入力で挿入できる。また、互いに対向する第2壁部111と突出部123との距離lが、スライドコネクタ4の挿入部材41の太さより小さいため、挿入部材41を第2壁部111と突出部123との間に挿入すると、突出部123が湾曲部121に向かって変位することにより、湾曲部121がコンタクト31に向かって変位する。これにより、雌コンタクト20とコンタクト31との高い接触性が得られる。したがって、コンタクト31の低い挿入力と、雌コンタクト20及びコンタクト31の高い接触性とを両立させることができる。
【0046】
さらに、雌ハウジング10の保護壁13の角部13Cに、上下方向にスリット13sが形成されているため、雌コネクタ1とスライドコネクタ4との嵌合動作時に、スライドコネクタ4(突起45a,45b)に対する保護壁13の反力を向上させることができる。また、突起45a,45bが保護壁13に係止したときに生じる係止音を響かせることができるため、雌コネクタ1とスライドコネクタ4との嵌合検知度を向上させることができる。
【0047】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について、図7を参照しつつ説明する。第2実施形態のコネクタは、第1実施形態では、雌コンタクト20の湾曲部121と突出部123との間にバネ部122が設けられているのに対して、第2実施形態では、雌コンタクト220の屈曲部321と突出部322との間にバネ部が設けられていない点において、第1実施形態に係るコネクタと異なっている。なお、その他の構成は、上記第1実施形態と同様であるため、同じ符号を用いて適宜その説明を省略する。
【0048】
(雌コンタクト220)
図7に示すように、雌コンタクト220は、角筒部21と、角筒部21の内部に設けられた折れ曲がり部222と、角筒部21の外部に設けられた湾曲部23、突出部24及び実装部25とを有する。
【0049】
折れ曲がり部222は、バネ部120と、バネ部120から第1壁部に向かって突出するように屈曲した屈曲部(第1接触部)321と、屈曲部321から第2壁部に向かって凸状に突出した突出部(第2接触部)322とを有する。突出部322が屈曲部321に向かって変位すると(図7に示す矢印参照)、バネ部120が弾性変形することにより、屈曲部321が、突出部322の変位方向と同じ方向に変位し(図7に示す矢印参照)、第1壁部110に近付く。
【0050】
以上のように、本実施形態のコネクタでは、第1実施形態のコネクタ100と同様に、湾曲部23で振動を吸収しつつ、雌コネクタ及びコネクタの小型化を図ることができる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態及び変形例について説明したが、本発明は上述の実施形態及び変形例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。
【0052】
例えば、雌コンタクト20の構成は第1実施形態及び第2実施形態に示すものに限られず、下記の変形例1,2のように変更可能である。
【0053】
〔変形例1〕
ここでは、本発明の変形例について、図8,9を参照しつつ説明する。変形例1において第1実施形態と異なる点は、湾曲部(弾性部)の形状が異なる点及び突出部(固定部)の位置が異なる点である。なお、上述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を適宜省略する。
【0054】
図8(a)及び図8(b)に示す変形例1のように、雌コンタクト320の湾曲部323は、第1壁部110と平行な第1仮想平面Pv1内に配置された第1部分323A,323Aと、第4壁部313と平行な第2仮想平面Pv2内に配置された第2部分323B,323Bとを有している。湾曲部323では、第1部分323Aと第2部分323Bと第1部分323Aと第2部分323Bとが、上から順に配置され、これらの順に接続されている。また、湾曲部323の上端は、第2仮想平面Pv2内を水平方向に延びた水平部451により第1壁部110に接続され、湾曲部323の下端は第1仮想平面Pv1内を水平方向に延びた水平部452により突出部324に接続されている。
【0055】
第1部分323Aは、左方向に凸状に突出するような略U字状に形成され、第1仮想平面Pv1内を水平方向に延びた2つの直線部(接続部)431,432と、それらの間に配置された略半円弧状の半円弧部(屈曲部)433とを有している。2つの直線部431,432は上下方向に上から順に配置され、左端同士が半円弧部433で接続されることにより、第1部分323A全体で略U字状に形成されている。また、第1部分323Aは、第1部分323Aと略同じ構成であり、第1仮想平面Pv1内を水平方向に延びた2つの直線部(接続部)434,435と、それらの間に配置された略半円弧状の半円弧部(屈曲部)436とを有し、直線部434,435の左端同士が半円弧部436によって接続されることにより第1部分323A全体で略U字状に形成されている。
【0056】
そして、図9(a),(b)に示すように、第1仮想平面Pv1内において、第1部分323A,323Aの幅w(図9Bの幅w)は厚みt(図9Aの厚みt)よりも大きくなっている(w>t)。ここで、第1部分323A,323Aの幅wとは、第1部分323A,323Aの延在方向と直交する方向への長さであり、厚みtとは、第1仮想平面Pv1と直交する方向(第1壁部110と直交する方向)への厚みである。
【0057】
上記構成により、第1部分323A,323Aは上下方向及び前後方向に弾性変位可能となっている(図8(a)参照)。
【0058】
また、図8(a)及び図8(b)に示すように、第2部分323Bは、前方向に凸状に突出するような略U字状に形成され、第2仮想平面Pv2内を水平方向に延びた2つの直線部(接続部)441,442と、それらの間に配置された略半円弧状の半円弧部(屈曲部)443とを有している。2つの直線部441,442は上下方向に並んで配置され、前端同士が半円弧部443で接続されることにより、全体で略U字状に形成されている。また、第2部分323Bは、第2部分323Bと略同じ構成であり、第2仮想平面Pv2内を水平方向に延びた2つの直線部(接続部)444,445とそれらの間に配置された略半円弧状の半円弧部(屈曲部)446とを有し、直線部444,445の前端同士が半円弧部446で接続されることにより第2部分323B全体で略U字状に形成されている。
【0059】
そして、図8(b)及び図9(a)に示すように、第2仮想平面Pv2内において、第2部分323B,323Bの幅w(図8(b)の幅w)は厚みt(図9(a)の厚みt)よりも大きい(w>t)。ここで、第2部分323B,323Bの幅wとは、第2部分323B,323Bの延在方向と直交する方向への長さであり、厚みtとは、第2仮想平面Pv2と直交する方向への厚みである。
【0060】
上記構成により、図8(a)に示すように、第2部分323B,323Bは上下方向及び左右方向に弾性変位可能となっている。
【0061】
そして、雌コンタクト320を第1壁部110に直交する方向dからみたとき、図9(a)及び図9(b)に示すように、角筒部421と湾曲部323と突出部324と実装部325とは、重なって配置されている。また、幅方向について、湾曲部323の幅Lは、第1壁部の幅Lと同一であり(L=L)、湾曲部323と突出部324と実装部325とは、第1壁部110に直交する方向Pからみて、第1壁部の幅Lと同一の範囲内にある。したがって、本例によっても本発明の効果が得られる。
【0062】
また、図8(a)に示すように、湾曲部323の第1部分323A,323Aが上下方向及び前後方向に弾性変位可能であり、第2部分323B,323Bが上下方向及び左右方向に弾性変位可能であることから、湾曲部323全体で上下方向、前後方向及び左右方向に弾性変位可能となっている。これにより、様々な方向への振動を吸収することができる。
【0063】
さらに、変形例1では、突出部(固定部)324が湾曲部323の下方に配置され、実装部325は突出部324の途中から斜め下方向に延在している。突出部324の側面には雌ハウジングに係合する突起324a,324b,324cが設けられている。実装部325は、突出部324の途中から後方に向かって斜め下方に延在した延在部326と、その後、後方に向かって水平方向に延びた水平部327とが接続されて構成されている。水平部327は基板2にハンダ接合される。また、図8(b)に示すように、水平部327の底面327Bは、突出部324の底面324Bよりも下方に位置している。
【0064】
このように、湾曲部323の下方に突出部324を配置することにより、湾曲部323で吸収した振動が突出部324へ直接伝わり、その後、ハウジングへ伝達されるので、振動が実装部325に伝わるのを抑止できる。これにより、実装部325の損傷やハンダの損傷(ハンダクラック)を防ぐことができる。
【0065】
また、変形例1では、図8(a)及び図9(a)に示すように、互いに対向する第3壁部312及び第4壁部313には、それぞれ、角筒部421の内部に向かって凸となるように屈曲した屈曲部115,116が形成されている。図9(a)に示すように、屈曲部115と屈曲部116とは互いに近付くように凸状となり、屈曲部115の頂点部115tと屈曲部116の頂点部116tとの間の距離lが第3壁部312及び第4壁部313の間の距離Lより短くなっている(l<L)。
【0066】
ここで、帯電した雌コンタクト320とコンタクト31とが接触すると(図2(c)参照)、雌コンタクト320にたまった静電気がコンタクト31を通じて基板に実装された回路に流れるおそれがある。しかし、雌コンタクト320とコンタクト31とが接触する前の半嵌合位置において、図2(a)に示す挿入部材41が雌コンタクト320の頂点部115t,116tに接触するので、雌コンタクト320にたまった静電気を挿入部材41に流し、ハウジング40に逃がすことができる。これにより、その後、雌コンタクト320とコンタクト31とが接触しても静電気が回路へ流れるのを抑止できる。
【0067】
次に、雌コネクタの他の変形例(変形例2)について図10〜12を参照しつつ説明する。
【0068】
〔変形例2〕
変形例2において第1実施形態と異なる点は、湾曲部(弾性部)の形状が異なる点及び突出部(固定部)の位置が異なる点である。また、変形例2において変形例1と異なる点は、湾曲部323の第1部分323A,323Aを略90度折り曲げている点である。なお、変形例2では、変形例1の「半円弧部433,436」を「折り返し部633,636」としている。また、上述した第1実施形態と同一の構成については同一の符号を用い、その説明を適宜省略する。
【0069】
雌コンタクト520の湾曲部523は、図10(a),(b)に示すように、第1壁部110と平行な第1仮想平面Pv1内及び第3壁部112と平行な第3仮想平面Pv3内に配置された第1部分523A,523Aと、第4壁部113と平行な第2仮想平面Pv2内に配置された第2部分523B,523Bとを有している。湾曲部523では、第1部分523Aと第2部分523Bと第1部分523Aと第2部分523Bとが上から順に配置され、これらの順に接続されている。また、湾曲部523の上端は第2仮想平面Pv2内を水平方向に延びた水平部651により第1壁部110に接続され、湾曲部523の下端は第1仮想平面Pv1内を水平方向に延びた水平部652により突出部524に接続されている。
【0070】
第1部分523Aは、図10(b)に示すように、第1仮想平面Pv1内を略水平方向に延びた直線部(接続部)631,632と、第3仮想平面Pv3内に配置された折り返し部(屈曲部)633とを有している。折り返し部633は前方に向かって凸状に屈曲することで折り返されている(図11(b)参照)。2つの直線部631,632は、上下方向に上から順に配置され、左端同士が折り返し部633によって接続されることで、第1部分623A全体で略U字状に形成されている。また、第1部分623Aは、第1部分623Aと略同じ構成であり、第1仮想平面Pv1内を水平方向に延びた2つの直線部(接続部)634,635と、第3仮想平面Pv3内に配置された折り返し部(屈曲部)636とを有している。そして、直線部634,635の左端同士が折り返し部636によって接続されることで、第1部分623A全体で略U字状に形成されている(図10(b)及び図11(b)参照)。
【0071】
そして、図11(b)及び図12(a)に示すように、第1仮想平面Pv1内及び第3仮想平面Pv3内において、第1部分523A,523Aの幅w11(図11(b)の幅w11)は厚みt11(図12(a)の厚みt11)よりも大きくなっている(w11>t11)。ここで、第1部分523A,523Aの幅w11とは、第1部分523A,523Aの延在方向と直交する方向への長さであり、厚みt11とは、雌コンタクト520を形成した金属板の厚みである。厚みt11は、第1仮想平面Pv1に配置された直線部631,632の第1仮想平面Pv1(第1壁部110)と直交する方向への厚みを示し、また、第3仮想平面Pv3内に配置された折り返し部633の第3仮想平面Pv3と直交する方向(第3壁部112と直交する方向)への厚みを示す。
【0072】
上記構成により、第1部分523A,523Aは上下方向及び前後方向に弾性変位可能となっている(図10(b)参照)。
【0073】
また、図10(a)及び図11(a)に示すように、第2部分523Bは、前方向に凸状に突出するような略U字状に形成され、第2仮想平面Pv2内を水平方向に延びた2つの直線部(接続部)641,642と、それらの間に配置された折り返し部(屈曲部)643とを有している。折り返し部643は前方に向かって凸状に屈曲することで折り返されている。2つの直線部641,642は上下方向に上から順に配置され、前端同士が折り返し部643で接続されることにより、全体で略U字状に形成されている。また、第2部分523Bは、第2部分523Bと略同じ構成であり、第2仮想平面Pv2内を水平方向に延びた2つの直線部(接続部)644,645と、それらの間に配置された折り返し部(屈曲部)646とを有し、直線部644,645の前端同士が折り返し部646で接続されることにより、第2部分523B全体で略U字状に形成されている。
【0074】
ここで、図11(a)及び図12(a)に示すように、第2仮想平面Pv2内において、第2部分523B,523Bの幅w12(図11(a)の幅w12)は厚みt12(図12(a)の厚みt12)よりも大きい(w12>t12)。なお、第2部分523B,523Bの幅w12とは、第2部分523B,523Bの延在方向と直交する方向への長さであり、厚みt12とは、第2仮想平面Pv2と直交する方向(第4壁部113と直交する方向)への厚みである。
【0075】
上記構成により、図10(a)に示すように、第2部分523B,523Bは上下方向及び左右方向に弾性変位可能となっている。
【0076】
そして、雌コンタクト520を第1壁部110に直交する方向dからみたとき、図12(a),(b)に示すように、角筒部21と湾曲部523と突出部524と実装部525とは、重なって配置されている。また、幅方向について、湾曲部523の幅Lは、第1壁部の幅Lよりも小さく(L<L)、湾曲部523と突出部524と実装部525とは、第1壁部110に直交する方向Pからみて、第1壁部の幅Lの範囲内にある。したがって、本例によっても本発明の効果が得られる。
【0077】
また、図10(a),(b)に示すように、湾曲部523の第1部分523A,523Aが上下方向及び前後方向に弾性変位可能であり、第2部分523B,523Bが上下方向及び左右方向に弾性変位可能であることから、湾曲部523全体で上下方向、前後方向及び左右方向に弾性変位可能となっている。これにより、様々な方向への振動を吸収することができる。
【0078】
また、本例では、第1部分523A,523Aを略90度折り曲げることにより折り返し部633,636を第3仮想平面Pv3内に配置している。これにより、折り返し部633,636の強度を向上させることができる。また、振動の力を集中させずに分散して弾性変形可能にするため、第1部分523A,523Aが上下方向に弾性変位したときに、折り返し部633,636が破損しにくい。よって、湾曲部523を破損しにくい構造にすることができる。
【0079】
さらに、変形例1と同様に、突出部524は湾曲部523の下方に配置され、実装部525は突出部524の途中から斜め下方向に延在している。そして、突出部524の側面には雌ハウジングに係合する突起524a,524b,524cが設けられている。また、実装部525は、突出部524の途中から後方に向かって斜め下方に延在した延在部526と、その後、後方に向かって水平方向に延びた水平部527とが接続されて構成されている。水平部527は基板2にハンダ接合される。そして、水平部527の底面527Bは、突出部524の底面524Bよりも下方に位置している(図11参照)。
【0080】
このように、湾曲部523の下方に突出部524を配置することにより、湾曲部523で吸収した振動が突出部524へ直接伝わり、その後、ハウジングへ伝達されるので、振動が実装部525に伝わるのを抑止できる。これにより、実装部525の損傷やハンダの損傷(ハンダクラック)を防ぐことができる。
【0081】
なお、上記変形例2では、角筒部21に、変形例1に示す屈曲部115,116が設けられていないが(図8(a)参照)、角筒部21に屈曲部115,116を設けてもよい。
【0082】
このように、湾曲部(弾性部)は様々な形状へ変更可能である。
【0083】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、スライドコネクタ4を備えたコネクタについて説明したが、コネクタはスライドコネクタ4を備えなくてもよい。この場合、雌コンタクト20,220は、スライドコネクタ4の挿入部材41と接触する突出部123,322を有さなくてもよい。また、第1壁部110と湾曲部121との距離lをコンタクト31の太さより小さくすることにより、スライドコネクタ4を用いることなく、雌コネクタとコンタクト31との接触性を高めることができる。
【0084】
さらに、第1実施形態及び第2実施形態では、収容室11内において、互いに対向する第2壁部111と突出部123,322との間に挿入されるコンタクト(挿入部材)41が金属材料で形成されている場合について説明したが、挿入部材の材質は、金属材料に限られず、樹脂等でもよい。また、スライドコネクタ4のハウジング40と挿入部材とが一体に形成されていてもよい。
【0085】
さらに、第1実施形態及び第2実施形態では、雌コンタクト20,220の湾曲部23と実装部25との間に突出部(固定部)24が設けられている場合について説明したが、湾曲部と実装部との間に固定部が設けられなくてもよい。
【0086】
加えて、第1実施形態及び第2実施形態では、雌コンタクト20,220の湾曲部(弾性部)23が、角筒部21の第1壁部110と平行な面内で屈曲している場合について説明したが、雌コンタクトの弾性部は第1壁部と平行な面内で屈曲していなくてもよい。例えば、雌コンタクトの弾性部は第1壁部に直交する面内で屈曲してもよい。また、雌コンタクトの弾性部は第1壁部に傾斜した面内で屈曲してもよい。
【0087】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、湾曲部(弾性部)23のバネ部(屈曲部)130,131,132,133と接続部134,135,136,137,138とが第1壁部110と平行な面内に配置されている場合について説明したが、屈曲部と接続部とは、第1壁部と平行な面内に配置されなくてもよい。また、全ての屈曲部や全ての接続部が、第1壁部110と平行な面内に配置されなくてもよい。例えば、屈曲部と接続部とが、第1壁部に直交する面内に配置されてもよく、第1壁部に傾斜した面内に配置されてもよい。
【0088】
さらに、第1実施形態及び第2実施形態では、湾曲部(弾性部)23の接続部134,135,136,137,138が、湾曲部23を上下方向からみたときに重なって配置されている場合について説明したが、これらは全て重なって配置されていなくてもよい。
【0089】
加えて、第1実施形態及び第2実施形態では、図4に示すように、雌コンタクト20の湾曲部23の幅wと、第1壁部110の幅Wとが同一である場合について説明したが(w=W)、湾曲部の幅wは第1壁部の幅Wより小さくてもよい(w<W)。この場合、雌コンタクト20を第1壁部110に直交する方向Pからみて、湾曲部23及び実装部25が第1壁部110の幅Wの範囲内に配置されているとよい。
【0090】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、図4に示すように、雌コンタクト20を第1壁部110に直交する方向Pからみて、突出部(固定部)24が第1壁部110の幅Wの範囲内にある場合について説明したが、突出部は第1壁部の幅Wの範囲内になくてもよい。
【0091】
さらに、第1実施形態及び第2実施形態では、雌コンタクト20,220の湾曲部23が複数回屈曲している場合について説明したが、屈曲回数や形状等は変更可能であり、1回だけ屈曲してもよい。
【0092】
加えて、第1実施形態では、図3(b)に示すように、第1壁部110と湾曲部121と距離lがコンタクト31の太さと略同一である場合について説明したが、距離lはコンタクト31の太さより大きくてもよい。これにより、コンタクト31のさらなる低挿入力化を図ることができる。また、上述したように、距離lはコンタクト31の太さより小さくてもよい。
【0093】
さらに、第1実施形態及び第2実施形態における雌コンタクト20,220の折れ曲がり部22,222の形状やバネ部の数は、図3,7に示すものに限られず、変更可能である。
【0094】
加えて、第1実施形態及び第2実施形態では、雌ハウジング10にスリット13s及び突起17a,17bが設けられ、スライドコネクタ4のハウジング40に突起45a,45bが設けられている場合について説明したが、突起やスリットの位置、形状及び数等は変更可能である。また、雌コネクタやスライドコネクタに突起やスリット等が設けられていなくてもよい。
【0095】
また、上記変更は、変形例1,2にも適用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 コネクタ
2 雌コネクタ(コネクタ)
3 ガイドコネクタ
4 スライドコネクタ
10 雌ハウジング(ハウジング)
11 収容室
12 嵌合部
14 開口(第2開口部)
15 開口(第1開口部)
20,220,320,520 雌コンタクト(コンタクト)
21,421 角筒部
23,323,523 湾曲部(弾性部)
24,324,524 突出部(固定部)
25 実装部
31 コンタクト(相手側コンタクト)
41 挿入部材
121 湾曲部(第1接触部)
123,322 突出部(第2接触部)
130,131,132,133 バネ部(屈曲部)
134,135,136,137,138 接続部
110 第1壁部
111 第2壁部
112 第3壁部
321 屈曲部(第1接触部)
431,432,434,435,441,442,444,445,631,632,634,635,641,642,644,645 直線部(接続部)
433,436,443,446 半円弧部(屈曲部)
633,636,643,646 折り返し部(屈曲部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングに固定されたコンタクトとを備えたコネクタであり、
前記ハウジングは、
前記コンタクトの一部を収容する収容室と、
前記収容室と外部空間とを連通させ、相手側コンタクトが挿通する第1開口部とを有し、
前記コンタクトは、
前記収容室に収容され、互いに対向する2つの面が開口した角筒部と、
前記角筒部の内部に配置され、相手側コンタクトと接触する第1接触部と、
前記角筒部の外部に配置され、基板に実装される実装部と、
前記角筒部と前記実装部とを連結する位置に設けられ、前記角筒部の開口した2つの面が対向する方向に弾性変位可能な弾性部とを有しており、
前記角筒部は、前記第1接触部と前記実装部との間に設けられた第1壁部と、前記第1壁部に連接し且つ前記第1壁部の面方向に互いに対向する第2壁部及び第3壁部とを有し、
前記角筒部と前記実装部と前記弾性部とは、前記第1壁部に直交する方向からみて、重なって配置され、
前記実装部と前記弾性部とは、前記第2壁部及び前記第3壁部が対向する方向についての前記第1壁部の幅の範囲内にあることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記収容室と外部空間とを連通させ、前記収容室に相手側コンタクトと反対側から挿入される挿入部材が挿通する第2開口部を有し、
前記コンタクトは、前記角筒部の内部に配置され、挿入部材と接触する第2接触部を有し、
前記第2接触部が前記第1接触部に向かって変位することにより、前記第1接触部が前記第2接触部の変位方向と同じ方向に変位することを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記コンタクトは、前記弾性部と前記実装部との間に設けられ、前記ハウジングに固定される固定部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記弾性部は、複数の屈曲部と、2つの前記屈曲部を接続する接続部とを有しており、
前記複数の屈曲部及び前記接続部は、前記第1壁部と平行な面内に配置され、
前記屈曲部の両側に設けられた2つの接続部は、前記角筒部の開口した2つの面が対向する方向からみて、重なって配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記角筒部は、前記第2壁部及び前記第3壁部に連接し且つ前記第1壁部に対向する第4壁部をさらに有しており、
前記弾性部は、前記角筒部の開口した2つの面が対向する方向と、第1壁部及び第4壁部が対向する方向と、第2壁部及び第3壁部が対向する方向とに弾性変位可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−93318(P2013−93318A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−218158(P2012−218158)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】