説明

コポリマーを含有するポリマー粉末、焦点を合わせないエネルギー供給を用いる成形法における使用及びこのポリマー粉末から製造された成形体

本発明は、コポリマーを含有するポリマー粉末及び成形法のためのこの粉末の使用並びにこのポリマー粉末から製造された成形体に関する。成形法は粉末を使用する積層造形法であり、その場合にそれぞれの層の領域が焦点を合わせない電磁気エネルギー導入により選択的に溶融結着される、選択性は−本発明をそれらに限定するものではない−マスキングにより、抑制剤、吸収体、サセプタの塗布によりなされることができる。好ましくは本発明による粉末は、選択性が抑制剤又はサセプタの塗布によるか又はマスキング法により達成されることによる方法において使用される。冷却後に、ついで凝固された成形体は、粉末床から取り出されることができる。本発明による粉末を用いて本発明による方法により組み立てられた成形体は、従来の粉末からなる成形体に比較して構造部材特性、特に機械的な及び熱的な構造部材特性に関して、幅広い範囲内で、組成に応じて変えることができる。特に無定形コポリマーの場合に、コモノマーの熟練した選択により、流動挙動は成形法のために最適化されることができる。別の利点は、加工もコポリマーの熟練した組成により簡素化されることができることである。特に温度が可能であり、このことは温度管理を簡素化し、かつ加工の促進をもたらす。部分結晶質ホモポリマーと比較してより部分結晶質コポリマーのゆっくりとした結晶化は、溶融結着された粒子の融合を促進し、かつ成形体の改善された収縮挙動をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
プロトタイプの素早い準備はごく最近にしばしば課される課題である。粉末状原料をベースとして作業し、かつ選択的な溶融結着(Aufschmelzen)及び凝固により層状に所望の構造が製造される方法が特に適している。その場合に突出部及び後断面(Hinterschnitten)での支持構造物が放棄されることができる、それというのも、溶融結着された(aufgeschmolzenen)領域を包囲する粉末床が十分な支持作用を提供するからである。同じように支持物を除去する後作業がなくなる。これらの方法は小ロット(Kleinserien)の製造にも適している。
【0002】
本発明は、12g/10min〜1g/10min、好ましくは10g/10min〜1g/10minのISO 1133によるMFR値を有する熱可塑性ランダムコポリマー、より好ましくは、1.55〜1.9、好ましくは1.6〜1.7のDIN 53727によるm−クレゾール中の相対溶液粘度を有するコポリアミド、しかしまたコポリエステルをベースとするポリマー粉末、成形法におけるこの粉末の使用並びにこの粉末の使用下に粉末層の領域が電磁気エネルギーの供給により選択的に溶融結着される積層造形法(schichtweise arbeitendes Verfahren)により製造される成形体に関する。前もって溶融結着された領域の冷却及び凝固後に、成形体は粉末床から取り出されることができる。
【0003】
積層造形法の選択性はその際に、例えば、本発明をそれらに限定するものではないが、サセプタ(Suszeptoren)、吸収体、抑制剤の塗布を通じて、又はマスキングにより行われることができる。選択性は電磁気エネルギーの供給を通じて行われない。
【0004】
以下に本発明による粉末から本発明による成形部材が製造されることができる幾つかの方法が記載されるが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0005】
好適な方法は、国際公開(WO)第01/38061号パンフレットに記載されたようなSIV法、又は欧州特許(EP)第1 015 214号明細書に記載されたような方法である。双方の方法は、粉末を溶融結着するために平面状赤外加熱を用いて作業する。溶融結着の選択性は、前者の方法の場合に抑制剤の塗布により、第二の方法の場合にマスクにより達成される。別の方法は独国特許(DE)第103 11 438号明細書に記載されている。この場合に粉末粒子の融解に必要とされるエネルギーはマイクロ波発振器により導入され、かつ選択性はサセプタの塗布により達成される。
【0006】
挙げられたラピッド−プロトタイピング法もしくはラピッド−マニュファクチャリング(Rapid-Manufacturing-)法(RP法又はRM法)のためには、粉末状基体、特に、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ−(N−メチルメタクリルイミド)(PMMI)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、イオノマー、ポリアミドから好ましくは選択されるポリマーが使用されることができる。
【0007】
独国特許(DE)第44 33 118号明細書において電磁気エネルギーの作用下でのポリマーブレンドが考察される。しかしブレンドは、定義された温度条件及び剪断条件下で溶融状態の2つ又はそれ以上のポリマーから製造される混合物であり、この混合物は通常、グラニュールへ加工される。その場合に個々のポリマー鎖は互いに混合される("分子間")が、しかしながら鎖内部で出発成分の再結合が行われない(定義は例えばSaechtling Kunststofftaschenbuch、第24版、p. 7以降参照)。
【0008】
加工の際に不利であるのは、いわゆるカールの回避のためには組立室中の温度が高分子原料の融点を僅かに下回る水準にできるだけ均一に保持されなければならないことである。無定形ポリマーの場合にそれ故にガラス転移温度を僅かに下回る温度の意味であり、部分結晶質ポリマーの場合にクリスタライト融点を僅かに下回る温度の意味である。カールは、組立平面からの少なくとも部分的な突出部を生じさせる既に溶融結着された領域のゆがみ(Verzug)の意味である。それ故に、次の粉末層の塗布の際に、例えばナイフ又はロールにより、突出している領域がずれるか又はそれどころかまさに破り取られるという危険が存在する。このことはこのプロセスにとって、組立室温度が全体として相対的に高い水準に保持されなければならず、かつそのような方法を用いて製造される成形体の、冷却により及び結晶化により制限された体積変化が著しいという結果となる。とりわけ、冷却プロセスによりまさに"ラピッド"法にとって少なからぬ期間が必要とされる。
【0009】
部分結晶質の熱可塑性プラスチックの別の欠点は、多くの場合にそれらの結晶性であるか、もしくは溶融物から冷却する間にその結晶性により引き起こされる体積の変化である。確かに、極めて費用がかかりかつ正確な温度管理によって、個々の層の結晶性による体積変化を大幅に均一化させるという可能性が存在するが、しかしながら任意に組み立てられた三次元成形体の、結晶化により制限された体積変化は成形体全体に亘って均一ではない。例えば、結晶質構造の形成は、異なる厚さの位置で又は曲げられた(verwinkelten)位置でと成形体の他の位置でとは異なる、成形体の冷却速度に依存する。
【0010】
無定形の熱可塑性プラスチックの欠点は、融点もしくはガラス転移温度を明らかに上回ってのみ融合を可能にする高い粘度である。しばしば、無定形の熱可塑性プラスチックを用いて前記の方法により製造された成形体は故に相対的に多孔質であり;焼結ネックのみが形成され、かつ個々の粉末粒子が成形体中で依然として識別可能である。しかしながら粘度低下のためにエネルギー供給を高める場合に、形状信頼性(Formtreue)の問題がさらに加わる;例えば溶融結着すべき領域から周辺の領域への熱伝導により、成形体の輪郭はぼやける。
【0011】
同様に不利であるのは、場合により個々の材料への、多様な方向へ向けられたその他の要求、例えば粘度、熱安定性、収縮(Schwund)、強さ、衝撃強さ及び加工性がことによると満たされることができないことである。このためには粉末混合物の使用は十分に公知であるが、しかし別の欠点をはらんでいる。こうして、例えば混合物の不変性はまた製造プロセス、加工プロセス及び場合により再処理プロセスに亘って保証されるべきである。成分が異なる融点を有する場合には、混合物を成形体の所望の性質に従って専ら調節するという可能性は極めて制限されている。実地において、より低い融点が加工を支配するので、より高い融点の成分が溶融結着せず、かつ単に充填剤のように作用し、ひいてはそれらの所望の性質も状況によっては発揮されないか又は完全に発揮されないことが示されている。
【0012】
故に、本発明の課題は、加工に関して、しかしまた所望の成形体特性に関して注文通りの(massgeschneiderten)性質の調節をより柔軟に可能にするポリマー粉末を提供することであった。その場合に加工方法は、それぞれの層の領域が焦点を合わせない電磁気エネルギー供給により選択的に溶融結着され、かつ冷却後に所望の成形体へと結合することによる粉末ベースの積層造形法であり、その際にその場合の選択性は例えばサセプタ、又は吸収体、又は抑制剤の塗布を通じて又はマスキングにより行われる。
【0013】
意外なことに、目下、特許請求の範囲に記載されたように、12〜1g/10min、好ましくは10〜1g/10minのMFR値を有する熱可塑性ランダムコポリマーの使用によりポリマー粉末が製造されることができ、これらから成形体が、それぞれの層の領域が電磁気エネルギーの供給により選択的に溶融結着されることによる積層造形法により生産されることができ、加工性に関する利点を有するか又は構造部材中の異なる成形体特性を統合することが見出された。
【0014】
故に本発明の対象は、それぞれの層の領域が電磁気エネルギーの供給により選択的に溶融結着されることによる積層造形法において加工するためのポリマー粉末であり、前記粉末が12g/10min〜1g/10min、好ましくは10g/10min〜1g/10minのISO 1133によるMFR値を有する少なくとも1つの熱可塑性ランダムコポリマー、より好ましくは、1.55〜1.9、好ましくは1.6〜1.7のDIN 53727によるm−クレゾール中の相対溶液粘度を有するコポリアミドを含有することにより特徴付けられており;ラクタム、ジアミン/ジカルボン酸−塩及び/又はアミノカルボン酸の群からなる少なくとも1つの構成要素からなっているコポリアミドが特に好ましい。極めて特に好ましくは本発明による粉末は、ラウリンラクタム、カプロラクタム、アミノウンデカン酸、並びにほぼ等モル量のジカルボン酸:アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びジアミン:ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタンもしくはそれらから形成されたナイロン塩からなる群からのモノマー構成要素を含有する。
【0015】
さらに、本発明の対象は、それぞれの粉末層の領域が焦点を合わせない電磁気エネルギー供給により選択的に溶融結着されることによる積層造形法により製造された成形体であり、その場合に選択性は例えばマスキングを通じて又はサセプタ、抑制剤、吸収体の塗布により達成され、前記成形体は、これらが12g/10min〜1g/10min、好ましくは10g/10min〜10g/1minのMFR値を有する少なくとも1つの熱可塑性ランダムコポリマー、より好ましくは、1.55〜1.9、好ましくは1.6〜1.7の溶液粘度を有するコポリアミドを含有することにより特徴付けられている。特に好ましくは本発明による成形体は、ラクタム、ジアミン/ジカルボン酸−塩、及び/又はアミノカルボン酸の群からの少なくとも1つの構成要素からなるコポリアミドを含有する。極めて特に好ましくは本発明による成形体は、ラウリンラクタム、カプロラクタム、アミノウンデカン酸、並びにほぼ等モル量のジカルボン酸:アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びジアミン:ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタンもしくはそれらから形成されたナイロン塩からなる群からのモノマー構成要素を有するコポリアミドを含有する。
【0016】
本発明によるポリマー粉末は、その粉末からそれぞれの層の領域が選択的に溶融結着されることによる積層造形法により製造された成形体が、従来のポリマー粉末からの成形体よりも明らかにより低い温度で製造されることができるという利点を有する。それにより、記載された方法の1つによる成形体の製造はより迅速になり、かつプロセス確実性は改善される。
【0017】
本発明による粉末から製造された成形体はその場合に従来の粉末から製造された成形体に類似して良好な機械的性質を有する。これらは、通常、例えばレーザー焼結の際に使用される本発明にならないPA12−ポリマー粉末からの成形体よりも確かにたいていより軟質であるが、しかしこれについてはしばしば極めてはるかにより高い破断伸び(Reissdehnung)を有するので、例えばスプリングフックが極めて良好に実現されることができる。機械的性質の達成のためには、本発明による粉末のMFR値が12g/10min〜1g/10min、好ましくは10g/10min〜1g/10minであることが合理的である。好ましいコポリアミドの場合に1.55〜1.9、好ましくは1.6〜1.7の溶液粘度が所望の機械的性質をもたらす。記載されたものよりもMFR値についての本発明による粉末のより高い値もしくは溶液粘度についてのより低い値の場合に、この粉末を用いて本発明による方法の1つにより組み立てられた成形体の機械的性質は明らかに劣悪化する。
【0018】
本発明による粉末はさらに、これが本発明による方法を用いて良好に加工可能であるという利点を有する。記載されたものよりも溶液粘度についての本発明による粉末のより低い値もしくはMFR値についてのより高い値の場合に、組立プロセス(Bauprozesses)の再現性は明らかに劣悪化する。特に、幾つかの連続した層のこのために設けられた領域の溶融結着後に塗布装置、例えばロール又はナイフ上への粉末粒子の貼り付きを計算に入れなければならない。
【0019】
記載されたものよりも溶液粘度についてのコポリアミドの特別な場合の本発明による粉末のより高い値の場合に、機械的性質はそしてまた激しく劣悪化する、それというのも成形体の形成のために個々の粉末粒子が溶融結着する際の融合はもはや保証されていないからである。
【0020】
さらに意外にも、加工ウインドウ、すなわちカールが"生じないこと"と溶融結着のために準備されていない粉末が平面的に溶融結着することとの間の温度差は、従来の粉末の使用の場合よりもたいていより大きいことが確認されることができた。別の利点は、部分結晶質ホモポリアミドからなる成形体に比較して本発明による粉末を用いて製造された成形体の場合により少ない収縮であり、双方とも積層造形し、かつその場合にそれぞれの粉末層の領域が電磁気エネルギーの導入により選択的に溶融結着される成形法を用いて製造されている。特に好ましくは本発明による粉末は、レーザーによるエネルギー供給の焦点合わせに基づかない方法において使用される。選択された全ての領域に亘る同時のエネルギー供給の速度の利点は、熱伝導がより大きく重要であるという欠点を必然的に伴う。劣悪な熱除去、例えば切片(Ausschnitten)の代わりに、むしろ別の粒子の焼き付き、ひいては所望の輪郭からの逸脱を計算に入れなければならない。本発明による粉末のより低い加工温度はその場合に利点として示される、それというのも、エネルギーがあまり導入される必要がないからである。溶融結着すべき領域とそれらの周囲との間の温度差はそれによってより少なく保持されることができる。
【0021】
本発明によるコポリマー粉末は以下に記載されるが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0022】
それぞれの粉末層の領域が焦点を合わせない電磁気エネルギー供給により選択的に溶融結着されることによる積層造形法において加工するための本発明によるコポリマー粉末は、前記粉末が、12g/10min〜1g/10min、好ましくは10g/10min〜1g/10minのMFR値を有し、少なくとも2つのモノマー構成要素から製造されている少なくとも1つの熱可塑性ランダムコポリマーを含有することにより特徴付けられる。前記製造方法は最も単純な場合にラジカル共重合、又はアニオン共重合又はカチオン共重合であってよく、又はしかしチーグラー−ナッタによる共重合であってよい。多数の適しているモノマー構成要素、例えばエテン及び酢酸ビニル、アクリロニトリル及びスチレン、テトラフルオロエテン及びプロペン、エテン及び1−ブテン、トリオキサン及びエチレンオキシド、スチレン及びブタジエン、又はしかしアクリロニトリル、スチレン及びブタジエンからなる3つのモノマー構成要素の組合せ、すなわち公知のABSが存在する。モノマー構成要素は脂肪族又は芳香族であってよく、かつ生じるコポリマーは線状又は分枝鎖状であってよい。少なくとも異なる同形で存在する少なくとも1つの構成要素、又は2つの構成要素、しかしまた3つの(三元系)又はより多くの構成要素を有する系も本発明による。たいていコポリマーは無定形である。
【0023】
結晶性がモノマー構成要素の組成を介して制御されることができるコポリアミドが特に好ましい。製造のためには、ジアミン/ジカルボン酸−塩及び/又はアミノカルボン酸又はラクタムが使用される。使用されるモノマー構成要素は、例えばアミノウンデカン酸、並びにほぼ等モル量のジカルボン酸:アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びジアミン:ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタンもしくはそれらから形成されたナイロン塩である。
【0024】
特に、カプロラクタム、ラウリンラクタム及びAH−塩から、しかしまたカプロラクタム、ラウリンラクタム及びDH−塩、又はカプロラクタム及びラウリンラクタムからなる組合せが公知である。これらのコポリアミドは特に低い融点に傑出している。
【0025】
脂肪族ジカルボン酸に加えて、より高いガラス転移温度に通常貢献する芳香族ジカルボン酸が使用される。低対称性の(Niedrig symmetrische)コモノマー、特にトリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD、異性体混合物)、イソホロンジアミン(IPD)、ビス−(4−アミノ−シクロヘキシル)−メタン(PACM、異性体混合物)はさらにまた結晶性を低下させる−極端な場合には完全に無定形のコポリアミドが生じる−このことは成形体のより高い寸法安定性及び場合により高められた半透明性をもたらす。適している別のコモノマー及びそれらの選択についての規則は当業者に公知であり、かつ例えばJ. G. Dolden, Polymer (1976, 17), pp 875-892に記載されている。
【0026】
ジアミン/ジカルボン酸−塩及び/又はアミノカルボン酸又はラクタムからなるモノマー混合物の熱的な重縮合により得られ、1.55〜1.9、好ましくは1.6〜1.7の溶液粘度を有するランダムな熱可塑性コポリアミドが特に好ましい。その実施はホモポリアミドの場合と同じような形となり、その場合にもちろんそれぞれの物理−化学的性質、例えばモノマーの水溶性、ポリマーの融点及び耐熱性が顧慮されるべきである。その際、モノマーが異性体混合物として存在する場合で十分である。
【0027】
交互コポリアミドはむしろ、温和な条件下で溶液重縮合により製造される。しかしながら溶融物中でこれらはアミド交換反応によりランダムコポリアミドへ移行する。
【0028】
異なるポリアミドからなるブロックコポリマーは通例、二段階で得られ、まず最初にプレポリマーが製造され、ついで第二の成分と混合される。しかしながらそれにより製造されるブロックコポリマーの構造は不安定であり、かつより高い温度でモノマー構成要素の配置に関してランダム分布の状態に戻る。
【0029】
予め形成されたポリアミドと他のモノマーとの反応により、グラフトコポリマーが得られることができる。グラフト反応はポリマー鎖に沿ってNH基上でイオン又はラジカルにより開始される。一例は、PA6とエチレンオキシドとの反応による親水性ないし水溶性の生成物への変換である。
【0030】
DIN 53727による0.5% m−クレゾール溶液中の溶液粘度は、本発明によるコポリアミドの場合に1.55〜1.9、好ましくは1.6〜1.7である。コポリアミドの製造は例えば独国特許(DE)第32 48 776号明細書に記載されており、かつ当業者に公知である。
【0031】
MFR値はISO 1133により算出される。条件、すなわち負荷及び温度は、相応して材料に依存して成形材料規格において、例えばABSについてはISO 2580-1において、規定されている。部分結晶質コポリアミドがより低い温度、例えば160℃で、及び完全に無定形のコポリアミドがより高い温度、例えば230℃で測定されることは通常の実施である。その場合に典型的な質量は2.16kgであるが、しかしまたこの値は、相応する成形材料規格によって材料に依存して規定されるべきである。
【0032】
好ましい別のコポリマーはコポリエステルである。このモノマー構成要素は、例えばアジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジメチル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコールである。
【0033】
製造の際に熱可塑性ランダムコポリマーを有しているグラニュールは引き続いて、粉末状の粒子を得るために低い温度で、例えば−30℃でインパクトミル又はピンミル(Stiftmuehle)上で窒素下に粉砕される。極めて粗大な粒子の除去のための少なくとも1つの保護篩分(Schutzsiebung)は引き続いて実施されるべきである。たいてい引き続く分別は合理的である。本発明による粉末は、1〜150ミクロン(μm)、好ましくは1〜120ミクロン(μm)の粒度の幅(Kornband)内である。粒度分布はその場合に相対的に幅広いままである。比D90/D10の典型的な値は1:2〜1:15、好ましくは1:3〜1:5である。例えば高速ミキサー中で、粉砕の際に生じるシャープなエッジの粒子を丸くするため、ひいてはより薄い層のより良好な塗布性のために、機械的な後加工は同様に合理的でありうる。
【0034】
本発明によるポリマー粉末は好ましくは、12g/10min〜1g/10min、好ましくは10g/10min〜1g/10minのISO 1133によるMFR値を有し、かつ10〜250μm、好ましくは45〜150μm及び特に好ましくは50〜125μmの平均粒度を有する少なくとも1つの熱可塑性ランダムコポリマーを含有する。
【0035】
本発明によるコポリアミド粉末又はコポリエステル粉末は商業的に、例えば商標名VestameltでDegussaから販売されている。
【0036】
本発明によるコポリマー粉末はそのうえ助剤及び/又は充填剤及び/又は別の有機顔料又は無機顔料を含有していてよい。そのような助剤は、例えば流動助剤(Rieselhilfsmittel)、例えば沈降ケイ酸及び/又は熱分解法ケイ酸であってよい。沈降ケイ酸は例えば、多様な仕様を有する製品名アエロジル(Aerosil)でDegussa AGにより販売されている。好ましくは本発明によるコポリマー粉末は、存在しているポリマーの総和に対して、そのような助剤を3質量%未満、好ましくは0.001〜2質量%及び極めて特に好ましくは0.05〜1質量%含有する。前記充填剤は例えばガラス粒子、金属粒子又はセラミック粒子、例えばガラスビーズ、スチールビーズ又は金属粉又は異種顔料(Fremdpigmente)、例えば遷移金属酸化物であってよい。前記顔料は、例えばルチル又は鋭錐石をベースとする二酸化チタン粒子であってよいか、又はカーボンブラック粒子であってよい。
【0037】
前記充填剤粒子はその場合に好ましくは、コポリマーの粒子よりも小さいか又はほぼ同じ大きさの平均粒度を有する。好ましくは充填剤の平均粒度d50は、コポリマーの平均粒度d50を20%以下だけ、好ましくは15%以下だけ及び極めて特に好ましくは5%以下だけ下回るべきである。粒度は特にラピッド−プロトタイピング/ラピッド−マニュファクチャリング設備中での許容される組立高さもしくは層厚により制限されている。
【0038】
好ましくは、本発明によるコポリマー粉末は存在しているコポリマーの総和に対して、そのような充填剤を75質量%未満、好ましくは0.001〜70質量%、特に好ましくは0.05〜50質量%及び極めて特に好ましくは0.5〜25質量%含有する。
【0039】
助剤及び/又は充填剤についての前記の最高限界を超える場合に、使用される充填剤又は助剤に応じて、そのようなコポリマー粉末を用いて製造された成形体の機械的性質の明らかな劣悪化の結果となりうる。
【0040】
従来のポリマー粉末を本発明によるコポリマー粉末と混合することは同じように可能である。このようにして、機械的性質及び加工ウインドウのさらなる組合せを有するポリマー粉末が製造されることができる。そのような混合物の製造方法は例えば独国特許(DE)第34 41 708号明細書から引き出されることができる。
【0041】
成形体を製造する際の溶融物レベリング(Schmelzeverlaufs)を改善するために、レベリング剤(Verlaufsmittel)、例えば金属せっけん、好ましくは母体となっているアルカンモノカルボン酸又はダイマー酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩は、沈殿された又は冷粉砕された粉末に添加されることができる。金属せっけん粒子はコポリマー粒子中へ配合されることができるが、しかしまた微粒状の金属せっけん粒子及びコポリマー粒子の混合物が存在していてもよい。
【0042】
金属せっけんは粉末中に存在しているコポリマー、好ましくはコポリアミドの総和に対して、0.01〜30質量%、好ましくは0.5〜15質量%の量で使用される。好ましくは金属せっけんとして母体となっているアルカンモノカルボン酸又はダイマー酸のナトリウム塩又はカルシウム塩が使用された。商業的に入手可能な製品の例はClariant社のLicomont NaV 101又はLicomont CaV 102である。
【0043】
加工能力の改善のため又はポリマー粉末のさらなる改変のためには、この粉末に無機の異種顔料、例えば遷移金属酸化物、安定剤、例えばフェノール、特にステリックヒンダードフェノール、レベリング助剤及び流動助剤、例えば熱分解法ケイ酸並びに充填剤粒子が添加されることができる。好ましくは、コポリマー粉末中のポリマーの全質量に対して、これらの物質がポリマーに添加される限り、本発明によるコポリマー粉末のために記載された充填剤及び/又は助剤についての濃度が遵守される。
【0044】
本発明の対象は、領域を、焦点を合わせない電磁気エネルギー供給により選択的に溶融結着されることによる積層造形法による成形体の製造方法でもあり、前記方法の場合に、12g/10min〜1g/10min、好ましくは10g/10min〜1g/10minのMFR値を有する少なくとも1つの熱可塑性ランダムコポリマー、より好ましくは、1.55〜1.9、好ましくは1.6〜1.7の溶液粘度を有するコポリアミドを含有する本発明によるポリマー粉末が使用される。特に好ましくは本発明による粉末は、ラクタム、ジアミン/ジカルボン酸−塩、及び/又はアミノカルボン酸の群からの少なくとも1つの構成要素からなるコポリアミドを含有する。極めて特に好ましくはこの方法の場合に、ラウリンラクタム、カプロラクタム、アミノウンデカン酸、並びにほぼ等モル量のジカルボン酸:アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びジアミン:ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタンもしくはそれらから形成されたナイロン塩からなる群からのモノマー構成要素を有しているコポリアミドを含有する粉末が使用される。
【0045】
エネルギーは電磁放射線により焦点を合わせずに導入されるのではなくて、例えば同時に全ての層に亘って又は粉末層を焦点を合わせずに移動すること(Abfahren)により部分で又は全体として導入され、かつ選択性は例えばマスキングによるか、又は抑制剤、吸収体又はサセプタの塗布により達成される。全ての層の冷却後に本発明による成形体が取り出されることができる。溶融結着されなかった粉末は、次の組立プロセスにおいて、場合により新しい粉末とのブレンドで、再び使用されることができる。このポリマー粉末は、80〜160℃、好ましくは85〜120℃の組立室温度で加工される。
【0046】
そのような方法の以下の例は説明に利用されるが、本発明をそれらに限定するものではない。
【0047】
好適な方法は、国際公開(WO)第01/38061号パンフレットに記載されたようなSIV法であるか、又は欧州特許(EP)第1 015 214号明細書に記載されたような方法である。双方の方法は、粉末を溶融結着するために平面状赤外加熱を用いて作業する。溶融結着の選択性は、前者の方法の場合に抑制剤の塗布により、第二の方法の場合にマスクにより達成される。別の方法は独国特許(DE)第103 11 438号明細書に記載されている。この場合に、融解に必要とされるエネルギーはマイクロ波発振器により導入され、かつ選択性はサセプタの塗布により達成される。
【0048】
領域が焦点を合わせない電磁気エネルギー供給により選択的に溶融結着されることによる積層造形法により製造される本発明による成形体は、これらが12g/10min〜1g/10min、好ましくは10g/10min〜1g/10minのISO 1133によるMFR値を有する少なくとも1つのランダムな熱可塑性コポリマーを有していることにより特徴付けられている。好ましくは、本発明による成形体は、1.55〜1.9、好ましくは1.6〜1.7のDIN 53727によるm−クレゾール中の相対溶液粘度を有する少なくとも1つのコポリアミドを含有する。極めて特に好ましくは本発明による成形体は、ラクタム、ジアミン/ジカルボン酸−塩、及び/又はアミノカルボン酸の群からの少なくとも1つの構成要素からなる少なくとも1つのコポリアミドを含有する。極めて特に好ましくは本発明による成形体は、ラウリンラクタム、カプロラクタム、アミノウンデカン酸、並びにほぼ等モル量のジカルボン酸:アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びジアミン:ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタンもしくはそれらから形成されたナイロン塩からなる群からのモノマー構成要素から構成されている少なくとも1つのコポリアミドを含有する。
【0049】
前記成形体はそのうえ充填剤及び/又は助剤、例えば熱安定剤、例えばステリックヒンダードフェノール誘導体を含有していてよい。充填剤は例えばガラス粒子、セラミック粒子及びまた金属粒子、例えば鉄ビーズもしくは相応する中空ビーズであってよい。好ましくは本発明による成形体はガラス粒子、極めて特に好ましくはガラスビーズを含有する。好ましくは本発明による成形体は、存在しているポリマーの総和に対して、そのような助剤を3質量%未満、好ましくは0.001〜2質量%及び極めて特に好ましくは0.05〜1質量%含有する。同じように好ましくは本発明による成形体は、存在しているポリマーの総和に対して、そのような充填剤を75質量%未満、好ましくは0.001〜70質量%、特に好ましくは0.05〜50質量%及び極めて特に好ましくは0.5〜25質量%含有する。
【0050】
次の例は12g/10min〜1g/10min、好ましくは10g/10min〜1g/10minのISO 1133によるMFR値を有する少なくとも1つの熱可塑性ランダムコポリマー、より好ましくは、1.55〜1.9、好ましくは1.6〜1.7のDIN 53727による溶液粘度を有するコポリアミド粉末を含有する本発明によるポリマー粉末並びにその使用を記載するが、本発明を実施例に限定するものではない。
【0051】
レーザー回折の測定値を、Malvern Mastersizer S、Ver. 2.18を用いて得た。
【0052】
実施例
例1:ポリアミド12(PA 12)の再沈殿(Umfaellung)、本発明によらない
1.62の相対溶液粘度及びCOOH 75mmol/kgもしくはNH2 69mmol/kgの末端基含量を有し、加水分解による重合により製造された調節されない(ungeregeltes)PA 12 400kgを、2−ブタノン及び含水量1%で変性されたエタノール2500 lと共に、5時間かけて3m3−撹拌釜(d=160cm)中で145℃にし、撹拌しながら(パドル撹拌機、d=80cm、回転数=49rpm)この温度で1時間そのままにする。引き続いてジャケット温度を124℃に低下させ、エタノールの連続的な留去下に25K/hの冷却速度で同じ撹拌機回転数で内部温度を125℃にする。今から同じ冷却速度でジャケット温度を内部温度を2K〜3K下回り保持する。内部温度を同じ冷却速度で117℃にし、ついで60分間一定に保持する。その後、さらに40K/hの冷却速度で留去し、こうして内部温度を111℃にする。この温度で、熱発生で確認可能である、沈殿が始まる。蒸留速度は、内部温度が111.3℃を上回り上昇しない限り高められる。25分後に内部温度は低下し、このことは沈殿の終了を示している。さらに留去及びジャケットを介しての冷却により、懸濁液の温度を45℃にし、その後懸濁液をパドル乾燥器(Schaufeltrockner)中へ移送する。このエタノールを70℃/400mbarで留去し、引き続いて残留物を20mbar/86℃で3時間後乾燥させる。
【0053】
55μmの平均粒径を有する沈殿したPA 12が得られる。かさ密度は435g/lであった。
【0054】
例2
加水分解による重縮合により得られており、ラウリンラクタム40部、カプロラクタム30部、及びドデカン二酸及びヘキサメチレンジアミンからなる等モル混合物30部からなるランダムコポリアミドからなる粉末を、冷粉砕及び引き続き分別によって製造した。このようにして得られた粉末を、ヘンシェルミキサー(Henschelmischer)中でアエロジル(Aerosil) 200 0.1部と混合した。溶液粘度は1.7である。MFR値は160℃/2.16kgで4g/10minと算出された。かさ密度は491g/lである。粒度分布は次のように算出された:d10=17μm、d50=62μm、d90=112μm。
【0055】
例3
加水分解による重縮合により得られており、ラウリンラクタム33部、カプロラクタム33部、及びアジピン酸及びヘキサメチレンジアミンからなる等モル混合物33部からなるランダムコポリアミドからなる粉末を、冷粉砕及び引き続き分別によって製造した。このようにして得られた粉末を、ヘンシェルミキサー中でアエロジル(Aerosil) 200 0.1部と混合した。溶液粘度は1.7である。MFR値は160℃/2.16kgで6g/10minと算出された。かさ密度は475g/lである。粒度分布は次のように算出された:d10=11μm、d50=65μm、d90=105μm。
【0056】
例4
加水分解による重縮合により得られており、ラウリンラクタム50部、カプロラクタム20部、及びドデカン二酸及びヘキサメチレンジアミンからなる等モル混合物30部からなるランダムコポリアミドからなる粉末を、冷粉砕及び引き続き分別によって製造した。このようにして得られた粉末を、ヘンシェルミキサー中でアエロジル(Aerosil) R812 0.1部と混合した。溶液粘度は1.55である。MFR値は160℃/2.16kgで12g/10minと算出された。かさ密度は458g/lである。粒度分布は次のように算出された:d10=13μm、d50=66μm、d90=111μm。
【0057】
例5
加水分解による重縮合により得られており、ラウリンラクタム60部、カプロラクタム25部、及びアジピン酸及びヘキサメチレンジアミンからなる等モル混合物15部からなるランダムコポリアミドからなる粉末を、冷粉砕及び引き続き分別によって製造した。このようにして得られた粉末を、ヘンシェルミキサー中でアエロジル(Aerosil) 200 0.1部と混合した。溶液粘度は1.6である。MFR値は160℃/2.16kgで9g/10minと算出された。かさ密度は462g/lである。粒度分布は次のように算出された:d10=18μm、d50=75μm、d90=112μm。
【0058】
例6
加水分解による重縮合により得られており、ラウリンラクタム15部及びドデカン二酸及びイソホロンジアミンからなる等モル混合物85部からなるランダムコポリアミドからなる粉末を、冷粉砕及び引き続き分別によって製造した。このようにして得られた粉末を、ヘンシェルミキサー中でアエロジル(Aerosil) 200 0.05部と混合した。溶液粘度は1.7である。MFR値は230℃/2.16kgで5g/10minと算出された。かさ密度は458g/lである。粒度分布は次のように算出された:d10=12μm、d50=56μm、d90=105μm。
【0059】
例7
加水分解による重縮合により得られており、ブタンジオール100部、テレフタル酸45部及びイソフタル酸55部からなるランダムコポリエステルからなる粉末を、冷粉砕及び引き続き分別によって製造した。このようにして得られた粉末を、ヘンシェルミキサー中でアエロジル(Aerosil) 200 0.2部と混合した。MFR値は160℃/2.16kgで12g/10minと算出された。かさ密度は459g/lである。粒度分布は次のように算出された:d10=10μm、d50=61μm、d90=119μm。
【0060】
例8
加水分解による重縮合により得られており、ブタンジオール100部、ポリエチレングリコール11部、テレフタル酸42部及びイソフタル酸58部からなるランダムコポリエステルからなる粉末を、冷粉砕及び引き続き分別によって製造した。このようにして得られた粉末を、ヘンシェルミキサー中でアエロジル(Aerosil) 200 0.1部と混合した。かさ密度は471g/lである。MFR値は160℃/2.16kgで10g/10minと算出された。粒度分布は次のように算出された:d10=17μm、d50=63μm、d90=122μm。
【0061】
例1及び5からの粉末の混合物並びに例6からの粉末とガラスビーズとの混合物を、コンクリートミキサー上で製造した。35μmの直径を有し、Potters社からのコーティングを有するSpheriglass A-Glasであるガラスビーズを使用した。
【0062】
さらなる加工及び試験
上の開いた10×10cmのケースに、心棒を介して移動可能であるトレイを取り付けた。このケースに、試験の間に90℃に調節したバンドヒーターを巻き付けた。トレイを、上方のエッジへ1/2センチメートルまで移動させた;残っている空間を粉末で充填し、かつ金属シートを用いて滑らかにならした。引き続いて、まず最初に1mmの厚さの金属枠をケースの縁部に置き、その上に、粉末層に対して1mm間隔を有するより小さな丸い開口部を有する金属シートを置いた。AKO社の1000ワットの出力を有する輻射加熱器を用い、この輻射加熱器を2秒間、試験配置上へ上から2cmの間隔までこちらへ動かし、粉末層を円形の開口部の内部で溶融結着させた。次の工程である0.2mmだけのトレイの沈下のための心棒の回転並びに次の粉末層の塗布及び引き続き粉末の溶融結着のために輻射加熱器の新たな下降を、数回繰り返した。試験配置の冷却後に、丸い小シートが得られるはずであった。
【0063】
第1表:例による試験の結果
【表1】

【0064】
例に基づいて、本発明によるポリマー粉末が本発明による方法において極めて良好に加工されることができることが極めて良好に識別されることができる。
【0065】
本発明による粉末を用いる全ての例において、一部は相対的にシャープなエッジを有する丸い小シートが得られることができた。例外は、1よりも多い層を焼結することができるためには、強すぎるカールを示した例1からの本発明によらない粉末であった。例1からの本発明によらない粉末はまた、全体において溶融結着が行われることができるように、少なくとも5秒間、輻射加熱器に暴露されなければならなかった。この層は所望の輪郭を越えて明らかな焼き付きを示した。輻射加熱器の間隔の同時の低下での作用時間の短縮は、輪郭シャープの改善をもたらし、かつ同様に小シートを生産することができたが、しかしながら構造部材の品質は本発明による例の品質を下回ったままであった。
【0066】
例4及び8からの粉末は、試験期間が増大するにつれて、新しく塗布された粉末を滑らかにならす際に軽く粘着する傾向を示した。しかしながらまたこれらは、溶液粘度についての下限もしくはMFR値についての上限で存在する。例5からの粉末75%と例1からの粉末25%との混合物並びに例6からの粉末80%とガラスビーズ20%との混合物は、カールする傾向に関して極めて有利に振る舞った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー粉末の使用下に、それぞれの粉末状層の領域が焦点を合わせない電磁気エネルギー供給により選択的に溶融結着されることによる積層造形法(schichtweise arbeitendes Verfahren)によって成形体を製造する方法において、
粉末が、12〜1g/10minのISO 1133によるMFR値を有する少なくとも1つの熱可塑性ランダムコポリマーを含有することを特徴とする、積層造形法による成形体の製造方法。
【請求項2】
粉末が、10〜1g/10minのISO 1133によるMFR値を有する少なくとも1つの熱可塑性ランダムコポリマーを含有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
粉末が、12〜1g/10minのISO 1133によるMFR値を有する少なくとも1つの熱可塑性ランダムコポリマーを含有し、その場合に選択性はサセプタ、吸収体の塗布によるか又はマスキングにより達成される、請求項1から2までのいずれか1項記載の方法。
【請求項4】
粉末が、10〜1g/10minのISO 1133によるMFR値を有する少なくとも1つの熱可塑性ランダムコポリマーを含有し、その場合に選択性はサセプタ、吸収体の塗布によるか又はマスキングにより達成される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
粉末が、12〜1g/10minのISO 1133によるMFR値を有する少なくとも1つの熱可塑性ランダムコポリマーを含有し、その場合に選択性は抑制剤の塗布により達成される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
粉末が、少なくとも1つのコポリエステルを含有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
粉末が、アジピン酸、イソフタル酸、フタル酸ジメチル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコールの群からなる少なくとも1つのモノマー構成要素からなる少なくとも1つのコポリエステルを含有する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
粉末が、少なくとも1つのコポリアミドを含有する、請求項1から5までのいずれか1項の方法。
【請求項9】
粉末が、ラクタム、ジアミン/ジカルボン酸−塩、及び/又はアミノカルボン酸の群からの少なくとも1つの構成要素からなる少なくとも1つのコポリアミドを含有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
粉末が、ラウリンラクタム、カプロラクタム、アミノウンデカン酸、並びにほぼ等モル量のジカルボン酸:アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、及びジアミン:ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタンもしくはそれらから形成されたナイロン塩の群からの少なくとも1つの構成要素からなる少なくとも1つのコポリアミドを含有する、請求項8から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
粉末が、カプロラクタム、ラウリンラクタム及びAH−塩からなる少なくとも1つのコポリアミドを含有する、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
粉末が、カプロラクタム、ラウリンラクタム及びDH−塩からなる少なくとも1つのコポリアミドを含有する、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
粉末が、カプロラクタム及びラウリンラクタムからなる少なくとも1つのコポリアミドを含有する、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
粉末が、少なくとも1つのコポリアミドを含有し、その場合にDIN 53727によるm−クレゾール中の相対溶液粘度が1.55〜1.9である、請求項8から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
粉末が、少なくとも1つのコポリアミドを含有し、その場合にDIN 53727によるm−クレゾール中の相対溶液粘度が1.6〜1.7である、請求項8から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
粉末が、助剤及び/又は充填剤及び/又は顔料を含有する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
粉末が、助剤として流動助剤を含有する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
粉末が、充填剤としてガラス粒子を含有する、請求項16記載の方法。
【請求項19】
粉末が、助剤として金属せっけんを含有する、請求項16記載の方法。
【請求項20】
請求項1から19までのいずれか1項記載の方法により製造された成形体において、
成形体が、12〜1g/10minのISO 1133によるMFR値を有する熱可塑性ランダムコポリマーを含有することを特徴とする、請求項1から19までのいずれか1項記載の方法により製造された成形体。
【請求項21】
少なくとも1つのコポリエステルを含有する、請求項20記載の成形体。
【請求項22】
アジピン酸、イソフタル酸、フタル酸ジメチル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコールの群からの少なくとも1つのモノマー構成要素からなる少なくとも1つのコポリエステルを含有する、請求項20又は21記載の成形体。
【請求項23】
少なくとも1つのコポリアミドを含有する、請求項20記載の成形体。
【請求項24】
ラクタム、ジアミン/ジカルボン酸−塩及び/又はアミノカルボン酸の群からなる少なくとも1つの構成要素からなる少なくとも1つのコポリアミドを含有する、請求項20又は23のいずれか1項記載の成形体。
【請求項25】
ラウリンラクタム、カプロラクタム、アミノウンデカン酸並びにほぼ等モル量のジカルボン酸:アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びジアミン:ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)−メタンもしくはそれらから形成されたナイロン塩の群からの少なくとも1つの構成要素からなる少なくとも1つのコポリアミドを含有する、請求項20、23から24までのいずれか1項記載の成形体。
【請求項26】
カプロラクタム、ラウリンラクタム及びAH−塩からなる少なくとも1つのコポリアミドを含有する、請求項20、23から24までのいずれか1項記載の成形体。
【請求項27】
カプロラクタム、ラウリンラクタム及びDH−塩からなる少なくとも1つのコポリアミドを含有する、請求項20、23から24までのいずれか1項記載の成形体。
【請求項28】
カプロラクタム及びラウリンラクタムからなる少なくとも1つのコポリアミドを含有する、請求項20、23から25までのいずれか1項記載の成形体。
【請求項29】
1.55〜1.9のDIN 53727によるm−クレゾール中の相対溶液粘度を有する少なくとも1つのコポリアミドを含有する、請求項20、23から28までのいずれか1項記載の成形体。
【請求項30】
1.6〜1.7のDIN 53727によるm−クレゾール中の相対溶液粘度を有する少なくとも1つのコポリアミドを含有する、請求項20、23から29までのいずれか1項記載の成形体。
【請求項31】
助剤及び/又は充填剤及び/又は顔料を含有する、請求項20から30までのいずれか1項記載の成形体。
【請求項32】
助剤として流動助剤を含有する、請求項31記載の成形体。
【請求項33】
充填剤としてガラス粒子を含有する、請求項31記載の成形体。
【請求項34】
助剤として金属せっけんを含有する、請求項31記載の成形体。
【請求項35】
ポリマー粉末を80〜160℃の組立室温度で加工する、請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
ポリマー粉末を85〜120℃の組立室温度で加工する、請求項1から19までのいずれか1項記載の方法。

【公表番号】特表2007−523774(P2007−523774A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500072(P2007−500072)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053505
【国際公開番号】WO2005/082973
【国際公開日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(501073862)デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】