説明

コラムホールカバー

【課題】ダッシュパネルへの取付作業性を向上させる。
【解決手段】コラムホールカバー1は、本体部10の一端側に設けられ、車体のダッシュパネル2に貫設された取付孔3を覆うようにパネル内縁部4に取り付けられるパネル取付部20を有している。パネル取付部20は、環状の基部21と、環状の厚肉頭部22と、環状の薄肉首部23と、取付状態でパネル内縁部4が嵌り込む環状の嵌合溝28とを有している。パネル取付部20は、取付状態における取付形状と同等又は略同等の成形形状を有し、この成形形状から薄肉首部23の弾性変形を介して厚肉頭部22が内周側に起こされて反った姿勢となる組付前形状を維持可能である。取付作業時には、組付前形状とされたパネル取付部20の基部21を車体の外側からダッシュパネル1に押し当て、本体部10の押し込み部13で厚肉頭部22を押し込むこと。これにより、パネル取付部20が取付形状に弾性復帰するので、ダッシュパネル1への取付が自動的に完了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体のダッシュパネルに貫設された取付孔及びこの取付孔に挿通されるステアリングシャフトの一部を覆うように、該取付孔に一端が取り付けられるとともに、該ステアリングシャフトが連結されたギヤハウジングに他端が取り付けられるコラムホールカバーに関し、詳しくは前記取付孔に対する取付構造を改良したコラムホールカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のステアリング機構では、ステアリングシャフトを介してステアリングホイールの回転力をステアリングギヤに伝達し、この回転力をタイロッドの左右方向運動に変換することで車輪の制御を行っている。ここで、ステアリングホイールは車室内に在る一方、ステアリングギヤは車体の外に在り、ステアリングシャフトは車体の内側から外側に延びている。したがって、通常、ステアリングシャフトは運転席の足元近くのダッシュパネルに設けられた孔を貫通している。すると、走行中に車両の外部から泥や水等が孔を介して車室内に入って来てしまう恐れがある。そこで、通常、ゴム等の弾性材料よりなるホールカバーで孔を覆って、外部から泥や水等が車室内に侵入しないようにしている。
【0003】
このようなホールカバーとして、図4に示されるように、両端に開口を有する筒状の本体部81と、この本体部81の一端側に一体に設けられたパネル取付部82と、本体部81の他端側に一体に設けられたギヤ取付部83とを有するコラムホールカバー80が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このコラムホールカバー80の取付作業は、例えば、以下のようにして行われる。作業者は、ステアリングシャフト90が連結されたギヤハウジング91にギヤ取付部83を嵌合により取り付けた後、車体の外側からこれらを持ち上げる。そして、他の作業者が車室内側からステアリングシャフト90やコラムホールカバー80のパネル取付部82を持って引き上げ、車体のダッシュパネル92に貫設された取付孔93を覆うように、ばね鋼製の爪状部材84等のグロメット仕様を利用してパネル取付部82をダッシュパネル92に取り付ける。
【特許文献1】特開平11−132328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のコラムホールカバー80では、ダッシュパネル92への取付作業が面倒であった。すなわち、ダッシュパネル92の取付孔93近傍における車室内側スペースは狭い上に、コラムホールカバー80等を保持しつつグロメット仕様の面倒な組み付け操作を行う必要があった。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、ダッシュパネルへの取付作業性を向上させることのできるコラムホールカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明のコラムホールカバーは、両端に開口を有する筒状の本体部と、該本体部の一端側に設けられ、車体のダッシュパネルに貫設された取付孔を覆うように該ダッシュパネルに取り付けられるパネル取付部と、該本体部の他端側に設けられ、ギヤハウジングに取り付けられるギヤ取付部と、を有するコラムホールカバーであって、前記パネル取付部は、前記本体部の外周面に設けられた環状の基部と、該パネル取付部が前記ダッシュパネルに取り付けられた取付状態で前記取付孔の周りのパネル内縁部を内周側から該基部と共に前記車体の内外方向に挟持する環状の厚肉頭部と、該基部と該厚肉頭部とを一体に連結する環状の薄肉首部と、外周側に開口し該取付状態で該パネル内縁部が嵌り込む環状の嵌合溝と、を有し、前記パネル取付部は、前記取付状態における取付形状と同等又は略同等の成形形状を有するように弾性材料により一体成形されたものであり、且つ該成形形状から前記薄肉首部の弾性変形を介して前記厚肉頭部が内周側に起こされて反った姿勢となる組付前形状を維持可能であり、前記本体部を車体の外側から押し込むことにより前記組付前形状とされた前記パネル取付部を前記ダッシュパネルに取り付ける取付作業時に、前記基部が前記パネル内縁部に押し当てられてから前記厚肉頭部に作用する押し込み力により該厚肉頭部を押し込むことで、該パネル取付部を前記取付形状に弾性復帰させる押し込み部を、前記本体部が有していることを特徴とするものである。
【0008】
ここに、前記「厚肉頭部が内周側に起こされて反った姿勢」において、内周側に反る程度(角度)は、厚肉頭部が内周側に90度以上起こされて、その反った姿勢を維持可能である限り、特に限定されない。反った姿勢を安定に維持させる観点からは、厚肉頭部を180度程度以上反らせて反転させることが好ましい。
【0009】
また、前記パネル取付部は、取付状態における取付形状と同等又は略同等の成形形状を有するものである。すなわち、本発明のコラムホールカバーにおいては、取付状態において、パネル取付部の嵌合溝内にダッシュパネルのパネル内縁部が嵌め合い代なく嵌り込んでも(パネル内縁部の厚さと嵌合溝の溝幅とが同等の場合)、あるいは嵌合溝内にパネル内縁部が嵌め合い代をもって嵌り込んでも(パネル内縁部の厚さが嵌合溝の溝幅よりも大きい場合)いずれでもよい。ただし、ダッシュパネルのパネル内縁部とパネル取付部の嵌合溝との結合性や両者間のシール性を高める観点からは、嵌合溝内にパネル内縁部を嵌め合い代をもって嵌り込ませる方が好ましい。
【0010】
そして、嵌合溝内にパネル内縁部が嵌め合い代なく嵌り込む場合は前記取付形状と前記成形形状とが同等となる。また、嵌合溝内にパネル内縁部が嵌め合い代をもって嵌り込む場合は前記取付形状と前記成形形状とが略同等、すなわち前記取付形状は嵌合溝の溝幅よりもパネル内縁部の厚さが厚い分だけ前記成形形状から若干弾性変形した形状となる。
【0011】
本発明のコラムホールカバーの取付作業は、例えば以下のようにして行うことができる。まず、作業者は、コラムホールカバーのパネル取付部が組付前形状とされていることを確認し、パネル取付部が組付前形状ではなく成形形状となっている場合は、パネル取付部を組付前形状にする。すなわち、パネル取付部の厚肉頭部を内周側に起こして反った姿勢、例えば反転した姿勢に維持する。
【0012】
そして、コラムホールカバーのギヤ取付部をギヤハウジングに取り付ける。このギヤ取付部のギヤハウジングへの取付作業は車体の外で行うことができる。なお、パネル取付部を組付前形状にする操作は、ギヤ取付部をギヤハウジングに取り付けてから行ってもよい。
【0013】
その後、作業者は車体の外側からギヤハウジング及びコラムホールカバーを持ち上げ、組付前形状にあるパネル取付部の基部をダッシュパネルのパネル内縁部に押し当てる。パネル取付部の基部がパネル内縁部に押し当てられると、組付前形状にあるパネル取付部の厚肉頭部を本体部の押し込み部が押し込む。すると、内周側に反った姿勢にある厚肉頭部が弾性復帰して、パネル取付部は取付形状となる。すなわち、ダッシュパネルのパネル内縁部がパネル取付部の嵌合溝内に嵌り込んで、同パネル内縁部がパネル取付部の基部と厚肉頭部とにより挟持される。こうして、パネル取付部はパネル内縁部に自動的に組み付けられる。
【0014】
このように本発明のコラムホールカバーは、車室内と比べて作業スペースの制約を受けにくい車体の外側での取付作業のみによって、ダッシュパネルに取り付けることができる。また、その取付作業自体も、車体の外側からコラムホールカバーを所定位置に押し込むという単純作業である。
【0015】
したがって、本発明のコラムホールカバーによれば、ダッシュパネルへの取付作業性を向上させることができる。
【0016】
本発明のコラムホールカバーにおいて、前記基部は、前記本体部の前記一端側の外周面から外周側に延設された横腕部と、該横腕部の外周端から屈設された縦腕部とからなり、該縦腕部の先端から内周側に前記薄肉首部が延設され、前記取付作業時には、前記組付前形状にある前記パネル取付部の前記縦腕部の先端が前記パネル内縁部に押し当てられてから、前記押し込み部をなす前記本体部の前記一端側の端部が該組付前形状にある該パネル取付部の前記厚肉頭部を押し込むことが好ましい。
【0017】
この態様のコラムホールカバーでは、取付作業時に、まず組付前形状にあるパネル取付部の基部の縦腕部の先端がダッシュパネルのパネル内縁部に押し当てられる。引き続き本体部が押し込まれると、基部の縦腕部や横腕部が弾性変形することで、本体部の一端側の端部(押し込み部)が組付前形状にあるパネル取付部の厚肉頭部を押し込む。これにより、内周側に反った姿勢にある厚肉頭部が弾性復帰して、パネル取付部は取付形状となる。
【0018】
本発明のコラムホールカバーにおいて、前記パネル取付部は、前記基部と前記薄肉首部との境界部の近傍に、前記組付前形状の姿勢を安定化させる姿勢保持溝を有していることが好ましい。
【0019】
この態様のコラムホールカバーでは、基部と薄肉首部との境界部の近傍に設けられた姿勢保持溝により、パネル取付部が組付前形状の姿勢に安定に維持される。このため、取付作業性をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1は、本実施形態のコラムホールカバー1をダッシュパネル2の取付孔3に取り付ける、取付方法を説明する要部断面図である。図2は、本実施形態のコラムホールカバー1の部分断面側面図である。図3は、本実施形態のコラムホールカバー1を図2の上から見た平面図である。
【0022】
本実施形態のコラムホールカバー1は、図2及び図3に示されるように、本体部10と、本体部10の一端側に一体に設けられたパネル取付部20と、本体部10の他端側に一体に設けられたギヤ取付部30とを有している。
【0023】
このコラムホールカバー1は、ゴム弾性体よりなり、射出成形により一体に成形したものである。なお、このコラムホールカバー1は、成形後に、後述する組付前形状とされてから、出荷される。また、必要に応じて、例えばギヤ取付部30をその他の部分よりも剛性の高い合成樹脂等により成形してもよい。このギヤ取付部30は図示しないギヤハウジングに嵌合等により取り付けられる。
【0024】
本体部10は、一端側に第1開口11を有するとともに他端側に第2開口12を有する筒状部材である。これら第1開口11及び第2開口12は、図3に示されるように、いずれも横断面形状が円形状(真円又は略真円)である。このため、パネル取付部20及びギヤ取付部30も、横断面形状が円形状(真円又は略真円)とされている。なお、パネル取付部20及びギヤ取付部30の横断面形状は円形状に限られず、楕円形状(又は略楕円形状)や略矩形状であってもよい。ただし、パネル取付部20の横断面形状は、後述する組付前形状を安定に維持する観点より、角部を有しない形状、すなわち円形状や楕円形状(又は略楕円形状)であることが好ましく、円形状であることがより好ましいと考えられる。
【0025】
パネル取付部20は、図示しない車体のダッシュパネル2の取付孔3を覆うように、この取付孔3の周りのパネル内縁部4に取り付けられる。このパネル取付部20は、パネル取付部20がダッシュパネル2のパネル内縁部4に取り付けられた取付状態における取付形状と略同等の成形形状となるように、ゴム弾性体により一体成形されたものである。なお、パネル取付部20の取付形状は図1(c)に示され、パネル取付部20の成形形状は図2に示される。
【0026】
すなわち、このパネル取付部20は、本体部10の前記一端側の外周面に一体に設けられた環状の基部21と、環状の厚肉頭部22と、これら基部21と厚肉頭部22とを一体に連結する環状の薄肉首部23とを有している。
【0027】
パネル取付部20の基部21は、前記取付形状及び前記成形形状において、本体部10の前記一端側の端部から所定距離だけ他端側に離れた外周面から外周側に略水平に延設された薄板状の横腕部24と、この横腕部24の外周端から図1及び図2の上方(本体部10の前記一端側の方)に向かって略垂直に屈設された厚板状の縦腕部25とからなる。そして、この縦腕部25の先端から内周側に前記薄肉首部23が一体に延設されている。また、基部21の縦腕部25の先端面25aには、薄肉首部23との境界部の近傍(縦腕部25の先端面25aの内周側端縁部)に、断面略三角形状で環状の姿勢保持溝26が設けられている。さらに、基部21の縦腕部25の先端面25aの外周側端縁には、環状のシールリップ27が一体に設けられている。
【0028】
パネル取付部20の薄肉首部23は、前記取付形状及び前記成形形状において、縦腕部25の先端から内周側に略水平に延びる水平部23aと、この水平部23aの先端から略垂直に延びる垂直部23bとからなる。そして、この薄肉首部23の垂直部23bの先端に前記厚肉頭部22が一体に設けられている。
【0029】
パネル取付部20の厚肉頭部22は、前記取付形状及び前記成形形状において、薄肉首部23の垂直部23bの先端から外周側に向かって前記縦腕部25の先端面25aの外周側端縁付近まで延びている。そして、パネル取付部20がパネル内縁部4に取り付けられた取付状態で、基部21の縦腕部25の先端面25aと厚肉頭部22とにより、パネル内縁部4を内周側から車体の内外方向に挟持する。
【0030】
したがって、パネル取付部20は、前記取付形状及び前記成形形状において、ダッシュパネル2に取り付けられた取付状態で前記パネル内縁部4が嵌り込むように、外周側に開口する環状の嵌合溝28を有している。
【0031】
なお、本実施形態では、この嵌合溝28の溝幅は、パネル内縁部4の厚さよりも若干小さい。このため、前記取付状態では、パネル内縁部4が嵌め合い代をもって嵌合溝28内に嵌り込んでいる。また、前記取付形状は、嵌合溝28の溝幅よりもパネル内縁部4の厚さが厚い分だけ前記成形形状から若干弾性変形した形状となる。
【0032】
そして、このパネル取付部20は、成形形状から薄肉首部23の弾性変形を介して厚肉頭部22が内周側に起こされて反った姿勢となる組付前形状を維持可能である。具体的には、パネル取付部20の組付前形状が図1(a)に示されるように、この組付前形状において、厚肉頭部22は、成形形状から内周側に180度程度(180度を若干超える程度)起こされて、反り返って反転した姿勢で維持される。
【0033】
また、本実施形態のコラムホールカバー1は、本体部10が、前記一端側の端部に環状の押し込み部13を有している。すなわち、前記組付前形状において、反転姿勢に維持された厚肉頭部22は、本体部10の前記一端側の端部たる押し込み部13に若干の距離を隔てて対向している。
【0034】
本実施形態のコラムホールカバー1の取付作業は、例えば以下のようにして行うことができる。まず、作業者は、コラムホールカバー1のパネル取付部20が組付前形状とされていることを確認し、仮にパネル取付部20が組付前形状となっていない場合はパネル取付部20を組付前形状にする。
【0035】
そして、コラムホールカバー1のギヤ取付部30に図示しないギヤハウジングを取り付ける。その後、作業者は車体の外側からギヤハウジング及びコラムホールカバー1を持ち上げ、パネル取付部20をダッシュパネル1の取付孔3に対して位置決めしながらパネル内縁部4に近付ける(図1(a)参照)。
【0036】
そして、組付前形状にあるパネル取付部20の基部21をダッシュパネル1のパネル内縁部4に押し当てる。すなわち、パネル取付部20の基部21の縦腕部25の先端面25aをパネル内縁部4の下面に押し当てる(図1(b)参照)。
【0037】
パネル取付部20の基部21がパネル内縁部4に押し当てられてから、引き続き本体部10が押し込まれると、基部21の主に横腕部24が弾性変形することで、本体部10の押し込み部13が組付前形状にあるパネル取付部20の厚肉頭部22に当たって押し込む。これにより、内周側に反り返って反転姿勢にある厚肉頭部22が弾性復帰して、パネル取付部20は取付形状となる(図1(c)参照)。すなわち、ダッシュパネル1のパネル内縁部4がパネル取付部20の嵌合溝28内に嵌り込んで、同パネル内縁部4がパネル取付部20の基部21と厚肉頭部22とにより車体の内外方向に挟持される。こうして、パネル取付部20はパネル内縁部4に自動的に組み付けられる。
【0038】
このように本実施形態のコラムホールカバー1は、車室内と比べて作業スペースの制約を受けにくい車体の外側での取付作業のみによって、ダッシュパネル2に取り付けることができる。また、その取付作業自体も、車体の外側からコラムホールカバー1を所定位置に押し込むという単純作業である。
【0039】
したがって、本実施形態のコラムホールカバー1によれば、ダッシュパネル2への取付作業性を向上させることができる。
【0040】
本実施形態のコラムホールカバー1においては、基部21と薄肉首部23との境界部の近傍に設けられた姿勢保持溝26により、パネル取付部20が前記組付前形状の姿勢に安定に維持される。さらに、本実施形態では、パネル取付部20の横断面形状が円形状とされていることから、パネル取付部20を前記組付前形状の姿勢に安定に維持することが容易である。したがって、本実施形態によれば、取付作業時に、不用意等によりパネル取付部20が前記組付前形状から前記成形形状に弾性復帰してしまうおそれが少なく、取付作業性をさらに向上させることができる。
【0041】
なお、前記実施形態においては、環状の押し込み部13とする例について説明したが、押し込み部13は周方向に部分的に配設された複数の押し込み突起により構成することもできる。この場合、押し込み部13の数や配置は、組付前形状から取付形状に弾性復帰させ易いように、パネル取付部20の横断面形状等に応じて適宜設定することができる。
【0042】
また、前記実施形態においては、基部21の縦腕部25の先端面25aに、断面略三角形状で環状の姿勢保持溝26を設ける例について説明したが、姿勢保持溝26の態様はこれに限られず、パネル取付部20を組付前形状に安定に維持させるべく適宜設定可能である。例えば、前記基部21の縦腕部25の内周面に姿勢保持溝26を設けたり、あるいは薄肉首部23の内周面又は外周面に姿勢保持溝26を設けたりすることができ、また、これらの姿勢保持溝を複数箇所に設けたりすることができる。さらに、姿勢保持溝26は環状でなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施形態のコラムホールカバーをダッシュパネルの取付孔に取り付ける、取付方法を説明する要部断面図であり、(a)は組付前形状にあるパネル取付部をダッシュパネルの取付孔に対して位置決めしながらパネル内縁部に近付けた状態を示し、(b)は、パネル取付部の基部をパネル内縁部に押し当てて本体部の押し込み部を厚肉頭部に当てた状態を示し、(c)はパネル取付部が組付前形状から取付形状に弾性復帰して、取付が完了した状態を示す。
【図2】本実施形態のコラムホールカバーの部分断面側面図である。
【図3】本実施形態のコラムホールカバーを図2の上から見た平面図である。
【図4】従来のコラムホールカバーの取付方法を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1…コラムホールカバー 2…ダッシュパネル
3…取付孔 4…パネル内縁部
10…本体部 13…押し込み部
20…パネル取付部 21…基部
22…薄肉首部 23…厚肉頭部
24…横腕部 25…縦腕部
26…姿勢保持溝 28…嵌合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に開口を有する筒状の本体部と、該本体部の一端側に設けられた、車体のダッシュパネルに貫設された取付孔を覆うように該ダッシュパネルに取り付けられるパネル取付部と、該本体部の他端側に設けられた、ギヤハウジングに取り付けられるギヤ取付部と、を有するコラムホールカバーであって、
前記パネル取付部は、前記本体部の外周面に設けられた環状の基部と、該パネル取付部が前記ダッシュパネルに取り付けられた取付状態で前記取付孔の周りのパネル内縁部を内周側から該基部と共に前記車体の内外方向に挟持する環状の厚肉頭部と、該基部と該厚肉頭部とを一体に連結する環状の薄肉首部と、外周側に開口し該取付状態で該パネル内縁部が嵌り込む環状の嵌合溝と、を有し、
前記パネル取付部は、前記取付状態における取付形状と同等又は略同等の成形形状となるように弾性材料により一体成形されたものであり、且つ該成形形状から前記薄肉首部の弾性変形を介して前記厚肉頭部が内周側に起こされて反った姿勢となる組付前形状を維持可能であり、
前記本体部を車体の外側から押し込むことにより前記組付前形状とされた前記パネル取付部を前記ダッシュパネルに取り付ける取付作業時に、前記基部が前記パネル内縁部に押し当てられてから前記厚肉頭部に作用する押し込み力により該厚肉頭部を押し込むことで、該パネル取付部を前記取付形状に弾性復帰させる押し込み部を、前記本体部が有していることを特徴とするコラムホールカバー。
【請求項2】
前記基部は、前記本体部の前記一端側の外周面から外周側に延設された横腕部と、該横腕部の外周端から屈設された縦腕部とからなり、該縦腕部の先端から内周側に前記薄肉首部が延設され、
前記取付作業時には、前記組付前形状にある前記パネル取付部の前記縦腕部の先端が前記パネル内縁部に押し当てられてから、前記押し込み部をなす前記本体部の前記一端側の端部が該組付前形状にある該パネル取付部の前記厚肉頭部を押し込む請求項1に記載のコラムホールカバー。
【請求項3】
前記パネル取付部は、前記基部と前記薄肉首部との境界部の近傍に、前記組付前形状の姿勢を安定化させる姿勢保持溝を有している請求項1又は2に記載のコラムホールカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−82383(P2008−82383A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−260761(P2006−260761)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】