コロナ放電装置及び画像形成装置
【課題】チャージワイヤ106の巻き取り動作を繰り返しても、必要以上にチャージワイヤ106の巻き取り量が多くなることを低減できる構造を実現する。
【解決手段】巻き取り制御部105は、巻き取りリール110の累積回転量をカウントし、累積回転量が増大する程、チャージワイヤ106の単位巻き取り長さに対する巻き取りリール110の回転量を減らすように、巻き取りモータ107を制御する。これにより、巻き取りを繰り返す毎に巻き取りリール110の見かけ上のリール径が増加しても、定量的なチャージワイヤ106の巻き取りを行える。
【解決手段】巻き取り制御部105は、巻き取りリール110の累積回転量をカウントし、累積回転量が増大する程、チャージワイヤ106の単位巻き取り長さに対する巻き取りリール110の回転量を減らすように、巻き取りモータ107を制御する。これにより、巻き取りを繰り返す毎に巻き取りリール110の見かけ上のリール径が増加しても、定量的なチャージワイヤ106の巻き取りを行える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャージワイヤに電圧を印加することによりコロナ放電を発生させるコロナ放電装置、及び、このようなコロナ放電装置を使用した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
像担持体の表面に静電的に形成したトナー像を、紙などの記録材に静電的に転写する工程を含む画像形成装置が、従来から知られている。このような画像形成装置では、像担持体の表面を一様に帯電させ、帯電した表面に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する。像担持体上に形成されたトナー像は、電圧を印加することにより記録材に転写される。そして、このように像担持体の表面を帯電させる帯電手段、或は、トナー像を記録材に転写する転写手段、記録材を像担持体から分離する分離手段として、コロナ放電装置が使用される。
【0003】
コロナ放電装置は、シールド内に配設されたチャージワイヤに電圧を印加することによりコロナ放電を発生させるものである。このようなコロナ放電装置で使用されるチャージワイヤは、長時間の放電により、放電生成物の付着や浸食により劣化し、放電しにくくなる。この結果、例えば、像担持体の表面の帯電を施す場合に帯電ムラが発生する。このような帯電ムラが発生しないように、複数のチャージワイヤ列を設けて帯電能力を向上させたコロナ帯電器(コロナ放電装置)が考案されている。しかし、このような複数のチャージワイヤを設けた場合でも、長時間使用し続ければ、結局は放電により劣化していくことになり、帯電ムラが発生してしまう。また、放電生成物などの異物の付着により電流がリークし易くなる。更に、転写手段や分離手段にコロナ放電装置を使用した場合には、転写不良、分離不良などが発生する可能性がある。
【0004】
そこで、このような帯電ムラが発生しないように、劣化したチャージワイヤを巻き取りながら、新しいチャージワイヤを送り出す機構を備えたコロナ帯電器が考案されている(特許文献1、2参照)。これら特許文献1、2に記載された構造の場合、1本のチャージワイヤを折り返して用いる事で2本のチャージワイヤに見立てている。そして、巻き取り動作を行う事で帯電能力が高く、帯電ムラが発生しにくくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−029504号公報
【特許文献2】特開平6−124036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようにチャージワイヤを巻き取る場合、チャージワイヤを巻き取る巻き取り部材(リール)にワイヤが順次重なっていく。このため、リールの1回転ごとにリールの見かけの外径が大きくなり、リールの1回転当たりに巻き取られるチャージワイヤの巻き取り長さも増すことになる。このため、チャージワイヤの巻き取り量に拘らず、リールを常に同じ回転量回転させてワイヤの巻き取り動作を繰り返した場合に、リールの見かけ上の外径が大きくなるため、初期の状態に比べて巻き取り量が多くなってしまう。即ち、定量的にチャージワイヤの巻き取りが行えない。この結果、ワイヤの巻き取り動作を幾度も繰り返した場合には、使用済みのチャージワイヤ部分だけでなく、新しいチャージワイヤ部分も回収してしまい、チャージワイヤの全域を使用できず(未使用部分が生じ)、効率的ではない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、チャージワイヤの巻き取り動作を繰り返しても、必要以上にチャージワイヤの巻き取り量が多くなることを低減できる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シールドと、前記シールド内に配設されたチャージワイヤと、を備え、前記チャージワイヤに電圧を印加することによりコロナ放電を発生させるコロナ放電装置において、回転することにより前記チャージワイヤの巻き取りを行って、前記シールド内のチャージワイヤを移動させる巻き取り手段と、前記巻き取り手段を回転駆動する駆動手段と、前記巻き取り手段の回転を検知する回転検知手段と、前記回転検知手段の検知結果から前記巻き取り手段の累積回転量をカウントし、前記チャージワイヤの径方向の積層数が増大する程、前記チャージワイヤの単位巻き取り長さに対する前記巻き取り手段の回転量を減らすように、前記駆動手段を制御する制御手段と、を有する、ことを特徴とするコロナ放電装置にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、チャージワイヤの径方向の積層数が増大する程、単位巻き取り長さに対する巻き取り手段の回転量を減らすようにしているため、ワイヤの巻き取り動作を繰り返しても、必要以上にワイヤの巻き取り量が多くなることを低減できる。この結果、チャージワイヤの未使用部分を少なく、或いは、なくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】第1の実施形態の一次帯電器を示す平面模式図。
【図3】同じく側面模式図。
【図4】図3のA部拡大図。
【図5】送り出しリールの拡大断面図。
【図6】巻き取り制御部のブロック図。
【図7】清掃部材を移動可能にした別例の構成を示す平面模式図。
【図8】同じく側面模式図。
【図9】巻き取りリールにチャージワイヤが巻き取られた状態を示す模式図。
【図10】ワイヤの巻き取り量と巻き取りリールの回転回数との関係を示す図。
【図11】第1の実施形態の制御を行った時の巻き取りリールの回転角度と回転回数との関係を示す図。
【図12】第1の実施形態で、長さMのチャージワイヤを巻き取るために必要なリール回転量Sを導くためのフローチャート。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る一次帯電器を示す側面模式図。
【図14】図13のB部拡大図。
【図15】リール上下動ユニットの分解斜視図。
【図16】リール上下動ユニットによる巻き取りリールの位置変更の一連の動作を示した模式図。
【図17】ワイヤの巻き取り量に対する巻き取りリールの位置とリールの回転回数の関係を示した図。
【図18】巻き取りリールにチャージワイヤを巻き取る一連の動作を示した模式図。
【図19】図18(a)の状態に於けるリール部のF−F断面図。
【図20】図18(b)の状態に於けるリール部のG−G断面図。
【図21】第2の実施形態で、長さMのチャージワイヤを巻き取るために必要なリール回転量Sを導くためのフローチャート。
【図22】本発明の第3の実施形態に係る一次帯電器を示す平面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図10を用いて説明する。まず、本発明を適用する画像形成装置全体の構成について、図1を用いて説明する。
【0012】
[画像形成装置]
図1に示すように、画像形成装置10は、画像が形成されるための記録材(シート)を積載する上段カセット14及び下段カセット12を備えている。上段カセット14内のシートは分離爪(図示せず)と給紙ローラ11とによって1枚ずつ分離されてレジストローラ15に給紙される。下段カセット12内のシートは分離爪(図示せず)と給紙ローラ13とによって1枚ずつ分離されてレジストローラ15に給紙される。そして、レジストローラ15に給紙された記録材の表面に画像形成部Pによって画像が形成される。
【0013】
画像形成部Pは、感光ドラム17、一次帯電器25、レーザスキャナ16、現像装置19、転写帯電器20、分離帯電器21、クリーナ26により構成される。像担持体である感光ドラム17は、円筒状に形成され回転駆動する。そして、回転することにより、トナー像を担持する表面が移動する。帯電手段ある一次帯電器25は、感光ドラム17の外周面(表面)に対向配置されたコロナ放電装置により構成され、コロナ放電により感光ドラム17の表面を所定の電位に帯電させる。
【0014】
露光手段(静電潜像形成手段)であるレーザスキャナ16は、後述する電気信号37(画像データ)に基づいて変調したレーザを、一次帯電器25により帯電された感光ドラム17の表面に照射して、この表面に静電潜像を形成する。現像手段である現像装置19は、感光ドラム17の表面に対向配置され、感光ドラム17の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像し、トナー像とする。感光ドラム17に担持されたトナー像は、レジストローラ15によりタイミングをとって搬送された記録材に転写部で転写される。この転写部には、コロナ放電装置により構成された転写帯電器20が対向配置される。転写帯電器20に所定の転写バイアスを印加することにより、トナー像が記録材に転写される。
【0015】
トナー像が転写された記録材は、コロナ放電装置により構成される分離帯電器21に所定の分離バイアスを印加することにより、感光ドラム17から分離して、搬送ベルト22により定着装置23に搬送される。トナー像は、定着装置23で記録材に熱定着される。その後、トナー像が定着された記録材が、排出ローラ24によってソータ40に排出される。
【0016】
また、図1において符号30は現行読み取り手段であるスキャナである。スキャナ30は、走査光学系光源31、プラテンガラス32、開閉可能な原稿圧板33、レンズ34、光電変換素子としての受光素子35、及び画像処理部36を有している。走査光学系光源31で読み取られた原稿像は画像処理部36で処理され、鎖線で示す電気信号37に変換されて画像形成部Pのレーザスキャナ16に伝送される。
【0017】
[コロナ放電装置]
次に、コロナ放電装置である一次帯電器25について、図2ないし図6を用いて、より詳細に説明する。一次帯電器25は、接地されたシールド103と、シールド内に配置された、タングステンワイヤに金メッキを施したチャージワイヤ106とを備えた、非接触方式のコロナ帯電器である。そして、チャージワイヤ106に高電圧を印加することにより、コロナ放電を発生させ、感光ドラム17の表面を帯電させる。
【0018】
チャージワイヤ106は、少なくとも1個所で折り返されるように配設される。本実施形態では、チャージワイヤ106は、図2に示すように、1個所で折り返され、シールド103内に2本のワイヤ106a、106bが配設される。ワイヤ106a、106bは、それぞれ感光ドラム17の回転軸方向(表面の移動方向と交差する方向)とほぼ平行に、且つ、感光ドラム17の回転方向に並んで配設される。一次帯電器25は、ワイヤ106aが感光ドラム17の回転方向下流に、ワイヤ106bが感光ドラム17の回転方向上流に、それぞれ位置するように配置される。
【0019】
また、シールド103は、ワイヤ106a、106bの感光ドラム回転方向両側及び感光ドラム17と反対側を覆うように形成されている。そして、シールド103に囲まれ感光ドラム17に対向する領域を、コロナ放電を発生させる放電領域としている。一方、シールド103から外れた領域を非放電領域としている。
【0020】
また、本実施形態では、一次帯電器25をスコロトロン方式の帯電器としている。即ち、図3及び図4に示すように、チャージワイヤ106よりも感光ドラム17に近い側に、ワイヤ106a、106bと平行に複数本のグリッドワイヤ122を配設している。したがって、感光ドラム17の表面の帯電電位は、グリッドワイヤ122に加える電圧により可変とすることができる。
【0021】
また、図2及び図3に示すように、シールド103のワイヤ106a、106bの配設方向両側には、駆動側ケース101と電極側ケース102とを設けている。シールド103の一方の端に設けた駆動側ケース101内には、送り出し手段である送り出しリール108と、巻き取り手段である巻き取りリール110とを設けている。一方、シールド103の他方の端に設けた電極側ケース102内には、電極リール109と、清掃部材113とを設けている。また、駆動側ケース101には、巻き取りリール110を回転駆動する巻き取りモータ107を固定している。
【0022】
駆動側ケース101内の巻き取りリール110は、図2ないし図4に示すように、巻き取りリール歯車123に結合されている。そして、巻き取りモータ107の回転軸107aに結合されたモータ歯車107bから巻き取りリール歯車123に駆動が伝達され、巻き取りリール歯車123に結合された巻き取りリール110が回転し、チャージワイヤ106の巻き取りを行う。また、巻き取りモータ107の回転軸107aの回転は、回転検出手段である回転センサ111により検出される。
【0023】
この回転センサ111は、例えば、回転軸107aに固定された円周方向複数個所にスリットが入った円板(エンコーダ)と、フォトインタラプタとを備え、回転軸107aの回転角度、回転回数などの回転量を検知する。回転軸107aの回転量を検知できれば、歯車107a、123の歯数から巻き取りリール110の回転量を検知できる。回転センサ111により検知した信号は、後述する巻き取り制御部105に送られる。なお、このような回転検知手段は、巻き取りリール110の回転軸に設けても良い。
【0024】
また、巻き取りリール110は、図4に示すように、リールを巻き取る溝(巻き取り部)110aの幅(巻き取りリール幅)L1を、チャージワイヤ106のワイヤの直径dとほぼ同じ幅としている。また、溝110aを挟むフランジ110b、110bの外径を溝110aの底面の外径DОよりも十分に大きくし、ワイヤ106を複数回フランジ110b、110bとの間に径方向に重ねて配置できるようにしている。
【0025】
また、巻き取りリール110の巻き取り方向上流には、ワイヤを溝110a内に導入するためのワイヤ支持部材137を配置している。ワイヤ支持部材137は巻き取りリール110の回転軸方向に付勢され、溝110aと巻き取りリール110の回転軸方向にずれて駆動側ケース101内に進入するワイヤ106を溝110aに導くようにしている。
【0026】
また、送り出しリール108は、チャージワイヤ106を複数回巻き付けられており、このチャージワイヤ106を巻き取りリール110の巻き取り量に応じて順次送り出す。なお、送り出しリール108には、初期状態として、一次帯電器25の寿命までに必要な量以上の新しいチャージワイヤ106が巻かれている。また、図5に示すように、送り出しリール108にはトルクリミッタ150が内包されており、巻き取りリール108によってチャージワイヤ106が巻き取られる際に、このワイヤ106に所定の張力を付与して、ワイヤ106が弛まないようにしている。尚、トルクリミッタとしては、ブレーキを用いた構成、巻き取り軸151と送り出しリール108とを中間嵌めにすることで摺擦抵抗を得る構成、その他の一般的な構成とすることができる。
【0027】
また、図2及び図3に示すように、電極側ケース102内には、高圧電源104に接続された電極リール109を配置し、この電極リール109にチャージワイヤ106を掛け渡している。そして、チャージワイヤ106に高圧電源を印加できるようにするとともに、チャージワイヤ106を電極側ケース102内で折り返している。
【0028】
本実施形態の場合、送り出しリール108、巻き取りリール110、駆動モータ107、後述する巻き取り制御部105(図6)により、チャージワイヤ106を移動させる移動手段を構成している。即ち、チャージワイヤ106は、駆動モータ107を駆動することにより巻き取りリール110を回転させて、チャージワイヤ106を巻き取る。また、この巻き取りに応じて送り出しリール108からチャージワイヤ106が送り出される。これにより、チャージワイヤ106が電極リール109を介して、図2の矢印方向に移動する。巻き取りモータ107は、巻き取り制御部105により制御され、前述の回転センサ111の検知結果に基づいて、回転量を正確に制御できるようになっている。
【0029】
巻き取り制御部105は、図6のようにメモリ161と演算処理部164とを有する。メモリ161は、プリント枚数を累積加算するプリント枚数カウンタ161と、リール回転回数を累積加算するリール回転回数カウンタ163とを有する。リール回転回数カウンタ163は、巻き取りモータ107の回転量(回転センサ111の検知結果)から換算して巻き取りリール110の回転量を求めるものである。巻き取りモータ107の回転タイミングと回転量は、メモリ161に格納された値を演算処理部164にて演算され、処理される。
【0030】
巻き取り制御部105は、巻き取りモータ107を制御して、チャージワイヤ106を、例えば、次のように移動させる。即ち、送り出しリール108から送り出されたワイヤは、放電領域の感光ドラム回転方向下流位置に移動する。放電領域の感光ドラム回転方向下流位置に配設されていたワイヤ106aは、電極リール109を介して、放電領域の感光ドラム回転方向上流位置に移動する。放電領域の感光ドラム回転方向上流位置に配設されていたワイヤ106bは、駆動側ケース101内の巻き取りリール110により巻き取られる。なお、装置の特性に合わせて感光ドラム回転方向下流位置のチャージワイヤ106aを巻き取り、同じく上流位置に新しいチャージワイヤ106bを供給する構成であっても良い。また、より安定した帯電性能を得るために、使用済みのチャージワイヤ106aと106bの全域を巻き取る構成であっても良い。
【0031】
このような構成とすることで、感光ドラム17の表面を帯電させるとき、1本のチャージワイヤ106を、感光ドラム回転方向上流位置のワイヤ106aと同じく下流位置のワイヤ106bという2本のチャージワイヤとして使用することができる。この結果、帯電能力の向上が図れ、帯電ムラが起きにくくなるようにしている。
【0032】
また、図2及び図3に示すように、電極側ケース102には清掃部材113を設けている。清掃部材113は、電極リール109のワイヤ移動方向下流に配置されている。この清掃部材113は、チャージワイヤ106が巻き取りリール110により巻き取られて移動する際に、ワイヤ106と摺接して、このワイヤ106に付着した放電生成物などの異物を除去する。即ち、電極側ケース102に設けた清掃部材113は、放電領域に配設されていたワイヤ106aを清掃する。このワイヤ106aは、その後、ワイヤ106bとして使用されるため、このように清掃部材113により清掃することにより、放電による劣化を初期の段階で遅らせることができる。
【0033】
なお、チャージワイヤ106を清掃する清掃部材は、図7及び図8のような構成としても良い。即ち、清掃部材174a、174bを移動させてワイヤ106を清掃するようにしても良い。以下、図7及び図8の構成について説明する。スクリュー171は、駆動側ケース101と電極側ケース102との間にワイヤ106a、106cと平行に保持されている。また、スクリュー171は、スクリューギア172を介して図示しない正逆転可能な駆動源から駆動を得て、正逆回転する(矢印YE方向)。また、スクリュー171には、清掃保持部材173が嵌合しており、スクリュー171のスクリュー溝に沿って矢印YD方向に動作可能である。更に清掃保持部材173は、腕部173a、173bを有しており、夫々に清掃部材174a、174bが取り付けてある。そのため、図示しない駆動源の正逆転回転によって、清掃部材174a、174bが矢印YD方向に移動して、ワイヤ106a、106bを清掃することが可能である。
【0034】
[チャージワイヤの巻き取り量の制御]
図9に示すように、チャージワイヤ106の巻き取り量は巻き取りリール110の巻き取りリール径Dに依存する。ここで、巻き取り動作を繰り返すことで、図9に示すように、巻き取りリール110には使用済みのチャージワイヤ106が巻き取られていくため、見かけ上の巻き取りリール径Dが次第に大きくなっていく。図のように、巻き取りリール110の1回転あたり、見かけ上のリール径が、溝110aの底面の外径DОに対し2d(dはワイヤの直径)ずつ増加していき、見かけ上の周長も2πdずつ増加していく。
【0035】
図10は、リール回転回数とワイヤの巻き取り量の関係を示した図である。グラフ201は、巻き取りリールの径が初期から変わらない場合のグラフであり、常に巻き取り量πD0で巻き取りが行える。しかし、実際には前述のようにリールの径はワイヤを巻き取っていくことで増加していくので、グラフ202のように巻き取り動作回数を繰り返す毎に、1回転当たりの巻き取り量が増大していく。
【0036】
このため、本実施形態では、巻き取り量の増大を抑えるべく、巻き取りモータ107によって駆動する巻き取りリール110の回転量を制御する。即ち、回転センサ111の検知結果から巻き取りリール110の累積回転量をカウントし、チャージワイヤ106の径方向の積層数が増大する程、ワイヤ106の単位巻き取り長さに対するリール110の回転量を減らすように、巻き取りモータ107を制御する。ここで、径方向の積層数は、リール110の累積回転量から把握できる。また、単位巻き取り長さとは、ワイヤ106のうちの所定の長さである。例えば、リール110にワイヤ106が巻き取られていない初期状態から、リール110を1回転させた場合に巻き取られるワイヤ106の長さを単位巻き取り長さとする。この場合、初期状態では、単位巻き取り長さに対する巻き取りリール110の回転量は2π(1回転)であり、巻き取り回数が増大する毎に、単位巻き取り長さに対する巻き取りリール110の回転量が、ワイヤ106の直径分減っていく。
【0037】
このような制御は、次の式(1)により求められる、リール110の累積回転回数(所定回転回数)nでの適正リール回転角度θを用いて行う。ここで、リール110にワイヤ106が巻き付けられていない初期状態でのリール径をDОとし、この初期リール径DОでリール110を1回転(2π)させた場合を基準として、リール110の所定回転回数nでの回転角度θを求める。即ち、2π:DО=θ:(DО+2d・n)が成り立つようなθでリール110を回転させれば、ワイヤ106の巻き取り量が常に(累積回転回数に拘らず)一定量となる。したがって、θは次のように求められる。なお、式(1)の[]内に示す部分は、小数点以下を切り捨てた整数であることを意味する。
θ=2πD0/(D0+2d・[n])[rad] ・・・(1)
θ:適正リール回転角度、D0:初期リール径
d:チャージワイヤ106の直径、n:累計巻き取り回数
【0038】
式(1)から、リール110の累積回転回数nが増大する程、リール110の回転角度(回転量)θが小さくなることがわかる。この適正リール回転角度θと累計巻き取り回数(累積回転回数、ワイヤ106の径方向の積層数)nとの関係のグラフを図11に示す。このような式(1)を用いて制御することにより、リール110の累積回転量が増大する程、チャージワイヤ106の単位巻き取り長さに対する巻き取りリール110の回転量を減らして、ワイヤ106の巻き取り量を常に一定量にできる。
【0039】
[チャージワイヤの巻き取り動作について]
次にチャージワイヤ106の交換時の動作について説明する。上述のように、巻き取りモータ107を所定量回転させることで、巻き取りリール110が図2のような巻き取り方向に回転し、チャージワイヤ106が巻き取りリール110に巻き取られていく。更に送り出しリール108がチャージワイヤの張力で回転し、新しいチャージワイヤ106を供給する。
【0040】
このような、巻き取りモータ107による回転制御をチャージワイヤ106の長時間の放電による劣化時に、巻き取り制御部105にて次のように行うことで、チャージワイヤの交換処理を行うようにしている。
【0041】
ワイヤ巻き取り制御は、プリントジョブ中に割り込んで実施される。但し、プリント時間短縮のためにワイヤ巻き取り制御をジョブ中に実施せず、ジョブ終了後に行うものであっても良い。ここでは、図6を参照してプリントジョブ中に割り込んでワイヤ巻き取り制御を行う場合について説明する。画像形成装置10によってプリントを開始すると、プリントイメージ数を巻き取り制御部105のプリント枚数カウンタ162にてプリント枚数を累積加算して記憶する。演算処理部164がプリント枚数が所定の値(巻き取り動作を行うプリント枚数)に達したと判断すると、チャージワイヤの交換モードに入る。交換モードでは、巻き取りモータ107を回転させることでチャージワイヤ106のうち、感光ドラム回転方向上流のワイヤ106bとして使用されていた部分を巻き取りリール110により巻き取る。このとき、同時にチャージワイヤ106の感光ドラム回転方向下流のワイヤ106aとして使用されていた部分が、今度は同じく上流のワイヤ106bの位置に配置される。また、新しいチャージワイヤ106が送り出しリール108により送り出されることで、下流のワイヤ106aにはチャージワイヤ106の新しい部分が配置される。
【0042】
尚、交換モードへの移行の条件として、プリントイメージ数ではなく、一次帯電器25の放電時間を累積加算して所定の時間に達した場合としても良い。その他、チャージワイヤ106に印加する電圧を計測し、この電圧が所定の値に達した場合、感光体表面の電位を表面電位計により計測することで、所定の電位以下になった場合に交換モードに入るように構成してもよい。
【0043】
図12は、本実施形態のリール巻き取り制御によって目的の巻き取り量M(例えば図2に示す範囲にあるチャージワイヤ106の長さ)を巻き取るために必要な巻き取りリール110の回転量sを決定するまでの流れの1例を示した図である。ENDまで達した時の累計リール回転量sだけ巻き取りリール110を回転駆動させる事で、目的の巻き取り量M或いはこのMに近い量を巻き取る事ができる。なお、この巻き取り量Mは、前述したように、使用済みのチャージワイヤ106aと106bの全域の長さとする場合もある。
【0044】
初期状態で、巻き取り制御部105に巻き取り量Mが入力されると(S101)、S102で、リール110の累積回転回数n及び巻き取り量Mを巻き取るためのリール110の回転量sがリセットされる。ここで、初期状態とは、例えば、製品の出荷時、一次帯電器25を交換した時などである。次にS103で、リール110の回転回数n(回)から適正リール回転角度θ及びリール110の見かけ上の外径Dを求める。そして、S104で、リール110の回転量s(rad)を累積し、残りの巻き取り量Mを算出する。S105では、残りの巻き取り量Mに対してリール110が1回転以上回転するか否かを判断する。1回転以上回転する場合には、S106でリールの回転回数nを1回増やし、S103に戻る。一方、S105でリール110の回転回数が1回未満であれば、言い換えれば、残りの巻き取り量Mがリール110が1回転した場合の巻き取り量に満たない場合には、計算を終了し、その時点でのsが求める回転量sとなる。
【0045】
次回以降にワイヤの巻き取り動作を行う場合には、前回の回転量sをリセットしてS103からスタートし、その時の巻き取り量Mに対する回転量sを求める。なお、回転回数nは前回の数値に累積していく(nはリセットしない)。
【0046】
ここで、残りの巻き取り量Mがリール110が1回転した場合の巻き取り量に満たない場合に計算を終了する理由は、次のとおりである。リール110の直径は、通常小さいものであり、ワイヤ106の直径も小さいことを考慮すると、その時点でのリール110の見かけ上の直径も小さい。したがって、その時点でのリール110の1回転分の巻き取り量は小さく、残りの巻き取り量Mがこの1回転分の巻き取り量よりも少ないということは、このMが相当に小さいことを意味する。また、ワイヤ106の一部は、非放電領域である駆動側ケース101と電極側ケース102内にも配置されており、この部分は放電に影響しない。このため、この想到に小さい量が巻き取られなくとも非放電領域で吸収されるか、或いは、放電領域に残るとしても極僅かであり放電には影響しない。そこで、本実施形態では、この時点で計算を終了して回転量sを求めている。
【0047】
なお、非放電領域に存在するリールの長さが、リール110の最大巻き取り時(ワイヤ106が最後まで巻き取られた時)の1回転分の巻き取り量以上であるように構成すれば、巻き取り量Mの残りが放電領域に残ることがない。また、残りの巻き取り量Mがリール110が1回転した場合の巻き取り量に満たない場合に計算を終了せず、その量に対するリール110の回転角度を求めて、回転量sに加えるようにしても良い。
【0048】
このようにしてチャージワイヤ106の交換処理を行うことで、チャージワイヤ106を常に安定した巻き取り量で巻き取ることができ。そのため、チャージワイヤ106の全域或いはほぼ全域を使用することができ、非常に経済的である。
【0049】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、図13ないし図21を用いて説明する。以下、第1の実施形態と異なる構成を中心に説明し、第1の実施形態と同様の構成については、説明を省略または簡略にする。
【0050】
駆動側ケース101内の巻き取りリール131は、図13及び図14に示すように、巻き取りリール歯車123に結合されている。そして、巻き取りモータ107の回転軸107aに結合されたモータ歯車107bから中間歯車132bを介して、巻き取りリール歯車123に駆動が伝達される。そして、巻き取りリール歯車123に結合された巻き取りリール131が回転し、チャージワイヤ106の巻き取りを行う。また、巻き取りモータ107の回転軸107aの回転は、回転検出手段である回転センサ111により検出される。また、チャージワイヤ106は、ワイヤ支持部材137に保持されて巻き取りリール131に巻き取られる。
【0051】
本実施形態の場合、巻き取りリール131は、回転軸方向に複数本のチャージワイヤ106を並べて配置できる巻き取り部であるリール部131aを備える。また、巻き取りリール131によるチャージワイヤ106の巻き取り時に、巻き取りリール131を回転軸方向に往復移動させ、チャージワイヤ106をリール部131aに回転軸方向に並べて配置する往復移動手段である、リール上下動ユニット140を有する。そして、巻き取り制御部105は、リール上下動ユニット140の移動方向が変わった場合に、移動方向が変わる前よりも巻き取りリール131の回転量を減らすように、巻き取りモータ107を制御する。なお、本実施形態の上下とは、回転軸方向に往復移動する方向である。
【0052】
より具体的に説明する。まず、リール部131aは、前述の第1の実施形態の溝110aに比べて回転軸方向の長さが十分に大きく形成され、回転軸方向に複数本のチャージワイヤ106を並べて配置できるようにしている。即ち、リール部131aは、リール幅L2を有しており、巻き取りリール幅L2はチャージワイヤ106のワイヤ径dよりも十分に大きい。そのため、第1の実施形態よりも巻き取りリール131により多くのチャージワイヤ160を巻き取り可能であり、一次帯電器25の長寿命化やチャージワイヤ106を交換するためのメンテナンスの間隔を長くできるなどのメリットがある。
【0053】
また、リール上下動ユニット140は、巻き取りリール131と同軸上に配置された、リール上下動歯車133、上方カム134、下方カム135、及び、中間歯車132bと同軸上に配置された上下動中間歯車132aを備える。上下動中間歯車132a及び中間歯車132bの回転軸は、巻き取りリール131の回転軸と平行で、上下動歯車132aがリール上下動歯車133と、中間歯車132bが巻き取りリール歯車123と、それぞれ歯合する。
【0054】
また、上下動歯車132aと中間歯車132bとは、歯数が異なる。また、リール上下動歯車133と巻き取りリール歯車123とも、歯数が異なる。したがって、モータ107bから駆動が伝達され、上下動歯車132aと中間歯車132bとが回転すると、それぞれの歯車と歯合するリール上下動歯車133と巻き取りリール歯車123とが、異なる回転速度で回転駆動する。本実施形態では、巻き取りリール歯車123は、リール上下動歯車133に対して回転速度が十分に大きくなるように設定されている。即ち、リール上下動歯車133の方が巻き取りリール歯車123よりも歯数を多くしている。要するに、上方カム134は、巻き取りリール131に対して非常に回転が遅い。
【0055】
また、上方カム134及び下方カム135は互いに対向する面をそれぞれカム面とし、カム面同士を当接させるように配置している。本実施形態では、それぞれのカム面は、回転軸方向に直角な面に対して同じ角度傾斜させている。また、上方カム134はリール上下動歯車133に結合し、下方カム135は巻き取りリール歯車123上に設けられている。また、上方カム134はリール上下動歯車133とともに回転するが、下方カム135は巻き取りリール歯車123と共に回転しない。したがって、上述のように、リール上下動歯車133が回転駆動することにより、両カムのカム面がずれて、上方カム134と下方カム135とが回転軸方向に相対移動する。
【0056】
本実施形態では、上方カム134及びリール上下動歯車133が回転軸方向に移動不能とし、下方カム135及び巻き取りリール歯車123が回転軸方向に移動可能としている。この結果、巻き取りリール131は、回転するとともに回転軸方向に移動する。なお、巻き取りリール歯車123がこのように回転軸方向に移動しても、中間歯車132bとの噛合が外れないように、中間歯車132bの回転軸方向の長さを大きくしている。
【0057】
また、巻き取りリール131の上方カム134と反対側(図13、14の下方)には上下動加圧バネ136が配置され、巻き取りリール131を上方カム134側(図の上方)に付勢している。この結果、巻き取りリール歯車123に結合した巻き取りリール131が回転するとともに回転軸方向に移動し、チャージワイヤ106の巻き取り位置を回転軸方向に移動させる。
【0058】
以下、図15を用いて、リール上下動ユニット140をより詳細に説明する。前述の通り、リール上下動歯車133と上方カム134、巻き取りリール歯車123と巻き取りリール131は、それぞれ結合されており、巻き取り軸138に装着される。下方カム135は巻き取り軸138のDカット部138aに回動不可能に支持される。リール上下動歯車133と上方カム134、巻き取りリール歯車123と巻き取りリール131は、巻き取り軸138に対して回動可能に支持される。
【0059】
巻き取りリール131の下部には上下動加圧バネ136が配置され、更に下部に配置されている止め輪139が巻き取り軸138の溝部138bに固定される。それによって、リール上下動歯車133や上方カム134などの、止め輪139の上部に位置するパーツ郡150、及び、上下動加圧バネ136が、巻き取り軸138に回転もしくは摺動可能に、或いは、回転不能に支持されている。また、パーツ郡150は、上下動加圧バネ136によってYA方向に加圧される。そのため、上方カム134と下方カム135は、常に接触した状態となる。上方カム135は、YB方向にもっとも凸になっている上方カム凸部134aを有し、下方カム135は、YA方向にもっとも凸になっている下方カム凸部135aを有する。
【0060】
[チャージワイヤの巻き取り動作について]
次に図16を参照して巻き取りリール131におけるチャージワイヤ106の巻き取り動作について説明する。図16(イ)は、上方カム凸部134aと下方カム凸部135aが巻き取り軸138を中心に対称となるように位置している状態を示している。そのため、上下動加圧バネ136によって上方に加圧されている巻き取りリール131は、最も矢印YA側に配置された状態である。上方カム134がこの位置にいる場合には、チャージワイヤ106は巻き取りリール131のリール部131aの最下部(最もYB側)で巻き取られるように設定されている。
【0061】
図16(イ)の状態から巻き取り動作を行うと、上方カム134が矢印YC方向に回動し、上方カム凸部134aが下方カム凸部135aの方向へ近づいていき、下方カム135のカムの斜面を登っていく。そして、徐々に下方カム135がYB方向に移動すると共に巻き取りリール131も移動する。その時のYB方向への移動量は、巻き取りリール131の1回転あたり、チャージワイヤ106のワイヤ径dづつ移動するように、上方カム134と下方カム135のカム形状、及び、歯車133、123の歯数が設定されている。
【0062】
上方カム134は、更に回動して図16(ロ)の状態を経由したのち、図16(ハ)の状態になる。図16(ハ)の状態は、上方カム凸部134aが下方カム凸部135aに達したことで、下方カム135と巻き取りリール131が最もYB側に配置された状態を示している。この状態の場合には、チャージワイヤ106は巻き取りリール131のリール部131aの最上部(最もYA側)で巻き取られるように設定されている。
【0063】
更に上方カムが回動されると、上方カム凸部134aが下方カム凸部135aから遠のくため、上下動加圧バネ136によって下方カム135と巻き取りリール131がYA方向に押し上げられ、図16(二)の状態を経由して、再び図16(イ)の状態に戻る。このように上方カム134と下方カム135によって上記動作を繰り返すことで使用済みのチャージワイヤ106を巻き取りリール131のリール部131aの全域に均等に巻きつけることができる。
【0064】
次に本実施形態で使用した数値を用いて説明する。チャージワイヤ106のチャージワイヤ径dが0.1mm、巻き取りリール131のリール幅L2が1mm且つリール径が15mmで使用した。この場合、図16(イ)の状態から巻き取り動作を開始すると、上方カム134によって巻き取りリール131がYB方向に移動する。その時、巻き取りリール131が1周する毎にチャージワイヤ106の巻き取り位置が約0.1mmずつずれる。そして、巻き取りリール131が図16(ハ)の位置に達した時には、巻き取りリールにはチャージワイヤ106が10回分(L2/d=10)巻き取られており、リール幅L2の径は初期の15mmから15.2mmになっている。図17に示すようにリールの回転回数が10回達するごとにリールの高さ方向の移動方向が切り替わる。即ち、リール上下動ユニット140移動方向が変わる。
【0065】
次に図18ないし図20を参照して巻き取りリール131によるチャージワイヤ106の巻き取りの一連の動作について説明する。図18(a)は、巻き取りリール131にチャージワイヤ106がL2の幅を有するリール部131aの全域に均等に巻き取られている状態の図である。図18(a)時のリール部131aにおけるF−F断面図を図19に示す。巻き取りリール131のリール径DОにチャージワイヤ106の集合体であるチャージワイヤ帯160が幅xを有して巻き取られている。チャージワイヤ帯160は、図18(a)の状態になるまでに既に使用され回収されたチャージワイヤである。ここでは巻き取りリール131のリール径DОとチャージワイヤ帯160の帯の幅xとを合わせたときのリール径(DО+2x)をD(n)と呼称する。
【0066】
図18(a)において巻き取りリール131は、矢印YA方向に最も寄っている状態である(図16(イ)の状態)。この状態では、ワイヤ支持部材137を介して巻き取りリール131に巻き取られるチャージワイヤ106は、図のようにリール部131aの下限位置で巻き取られる。図18(a)から巻き取り動作を開始すると、巻き取りリール131が回動してチャージワイヤ106を回収すると同時に前述の上方カムギア134によって巻き取りリール131が矢印YB方向に移動を開始する。
【0067】
図18(b)は、図18(a)から数回巻き取り動作を行った状態である(図16(ロ)の状態)。図18(a)から新たに巻き取った箇所のリール径は、図20に示すようにチャージワイヤのワイヤ径dによって、(D(n)+2d)となる。更に巻き取り動作を行うと、図18(c)のように巻き取りリール131が矢印YB方向に最も寄った状態になる(図16の(ハ)の状態)。このとき、チャージワイヤ106の巻き取り位置はリール部131aの上限位置となり、リール部131aの全域のリール径が(D(n)+2d)となる。
【0068】
更に巻き取り動作を行うと、図18(d)のように巻き取りリール131が上方カムギア134によって矢印YA方向に移動する。そのときの新たな巻き取り箇所のリール径は、(D(n)+4d)となる。即ち、チャージワイヤ106の巻き取り位置がリール部131aの上限位置と下限位置に達する毎にリール径は2dづつ増していく(チャージワイヤ106の径方向の積層数が増大する)。上述の図18(a)〜図18(d)の動作を繰り返しながらチャージワイヤ106が巻き取られていく。
【0069】
次にチャージワイヤの定量巻き取り制御について説明する。上記のとおり、本実施形態の一次帯電器25は、チャージワイヤ106が巻き取りリール131のリール部131a(巻き取り幅L2)の上限位置と下限位置に達する毎にリール径D(n)が増えていく。そのため、巻き取り回数とリール径の増加の関係を鑑みて巻き取りリール131の適正な回転角度を決める必要がある。巻き取りリール131の適正回転数Nは次の式(2)で求められる。なお、式(2)の[]内に示す部分は、小数点以下を切り捨てた整数であることを意味する。
θ=2πD0/(D0+2d[d・n/L2])[rad] ・・・(2)
θ:適正リール回転角度、D0:初期リール径、L2:巻き取りリール幅
d:チャージワイヤ径、n:累計リール回転回数
【0070】
ここで、式(2)の導入について説明する。基本的には前述の式(1)と同じであるが、式(2)ではリール幅L2を考慮する点で、式(1)と異なる。即ち、式(1)の「n」が式(2)では、「d・n/L2」となっている点が異なる。したがって、この「d・n/L2」について説明する。
【0071】
まず、「d・n」は、累計巻き取り回数nで、ワイヤ106がリール部131aの回転軸方向に並べられた場合の、この回転軸方向の長さである。したがって、「d・n/L2」は、「d・n」がL2と同じであれば、「1」となる。即ち、式(1)での巻き取り回数1回に相当する。上述のように[]内に示す部分は、小数点以下を切り捨てた整数であることから、「d・n」がL2に対して整数倍である場合に、その整数が式(1)での巻き取り回数に相当することになる。つまり、「d・n/L2」は、チャージワイヤ106の巻き取り位置がリール部131aの上限位置或いは下限位置に達して移動方向が切り替わった場合に、リール径が増大することを意味している。したがって、上記式(2)から得られる適性リール回転角度θ毎に、巻き取りモータ107を制御することで一定量のワイヤ供給を行うことができる。
【0072】
図21は、本実施形態のリール巻き取り制御によって目的の巻き取り量M(例えば図2に示す範囲にあるチャージワイヤ106の長さ)を巻き取るために必要な巻き取りリール131の回転量sを決定するまでの流れの1例を示した図である。ENDまで達した時の累計リール回転量sだけ巻き取りリール131を回転駆動させる事で、目的の巻き取り量M或いはこのMに近い量を巻き取る事ができる。なお、この巻き取り量Mは、前述したように、使用済みのチャージワイヤ106aと106bの全域の長さとする場合もある。
【0073】
初期状態で、巻き取り制御部105に巻き取り量Mが入力されると(S201)、S202で、リール131の累積回転回数n及び巻き取り量Mを巻き取るためのリール131の回転量sがリセットされる。次にS203で、リール131の回転回数n(回)から適正リール回転角度θ及びリール131の見かけ上の外径Dを求める。そして、S204で、リール131の回転量s(rad)を累積し、残りの巻き取り量Mを算出する。S205では、残りの巻き取り量Mに対してリール131が1回転以上回転するか否かを判断する。1回転以上回転する場合には、S206でリールの回転回数nを1回増やし、S103に戻る。一方、S105でリール110の回転回数が1回未満であれば、言い換えれば、残りの巻き取り量Mがリール110が1回転した場合の巻き取り量に満たない場合には、計算を終了し、その時点でのsが求める回転量sとなる。なお、図21に示したフローはS203の処理が異なるだけで、基本的に図12のフローと同じである。したがって、その他の図12で説明した点については、図21のフローにも適用可能である。
【0074】
本実施形態の場合、第1の実施形態よりも巻き取りリール131により多くのチャージワイヤ160を巻き取り可能であり、一次帯電器25の長寿命化やチャージワイヤ106を交換するためのメンテナンスの間隔を長くできるなどのメリットがある。なお、上述の説明では、リール上下動ユニット140により巻き取りリール131を移動させているが、チャージワイヤ106を巻き取りリール131に対して移動するようにしても良い。要は、巻き取りリール131によるチャージワイヤ106の巻き取り時に、巻き取りリール13とチャージワイヤ106とを、リール131の回転軸方向に相対的に往復移動させれば良い。その他の構成及び作用は、第1の実施形態と同様である。
【0075】
<第3の実施形態>
次に本発明の第3の実施形態について図22を用いて説明する。以下、第1、2の実施形態と異なる構成を中心に説明し、第1、2の実施形態と同様の構成については、説明を省略または簡略にする。
【0076】
本実施形態の一次帯電器25は、チャージワイヤ106を折り返さずに1本で使用した場合の構成である。このために、送り出しリール108は電極側ケース102に配置される。また、送り出しリール108に高圧電源104を接続している。また、第1若しくは第2の実施例と同様に送り出しリール108には図5に示すようにトルクリミッタ150が内包されている。
【0077】
このような本実施形態の構成においても、ワイヤ106の巻き取りにより、巻き取りリール110の見かけ上の外径の増大によって巻き取り量が増えるため、ワイヤを全域使い切れない可能性があり、本発明を適用することは有効である。ワイヤの巻き取り制御は、巻き取りリール110の構成によって、第1の実施形態若しくは第2の実施形態と同様の制御を採用可能である。
【0078】
<他の実施形態>
上述の各実施形態では、本発明を一次帯電器に適用した構成について説明したが、その他のコロナ放電装置にも、勿論適用可能である。例えば、転写帯電器20、分離帯電器21に本発明を適用することも可能である。これにより、転写不良や分離不良の発生を抑制できる。また、上述の各実施形態では、単色のカラー画像形成装置に本発明を適用した場合について説明したが、複数の色を用いた、例えばフルカラーの画像形成装置にも本発明を適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0079】
10・・・画像形成装置、17・・・感光ドラム(像担持体)、25・・・一次帯電器(コロナ放電装置、帯電手段)、101・・・駆動側ケース、102・・・電極側ケース、105・・・巻き取り制御部、106・・・チャージワイヤ、107・・・巻き取りモータ(駆動手段)、108・・・送り出しリール(送り出し手段)、109・・・電極リール、110、131・・・巻き取りリール(巻き取り手段)、113・・・清掃部材、131a・・・リール部(巻き取り部)、140・・・リール上下動ユニット(往復移動手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャージワイヤに電圧を印加することによりコロナ放電を発生させるコロナ放電装置、及び、このようなコロナ放電装置を使用した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
像担持体の表面に静電的に形成したトナー像を、紙などの記録材に静電的に転写する工程を含む画像形成装置が、従来から知られている。このような画像形成装置では、像担持体の表面を一様に帯電させ、帯電した表面に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する。像担持体上に形成されたトナー像は、電圧を印加することにより記録材に転写される。そして、このように像担持体の表面を帯電させる帯電手段、或は、トナー像を記録材に転写する転写手段、記録材を像担持体から分離する分離手段として、コロナ放電装置が使用される。
【0003】
コロナ放電装置は、シールド内に配設されたチャージワイヤに電圧を印加することによりコロナ放電を発生させるものである。このようなコロナ放電装置で使用されるチャージワイヤは、長時間の放電により、放電生成物の付着や浸食により劣化し、放電しにくくなる。この結果、例えば、像担持体の表面の帯電を施す場合に帯電ムラが発生する。このような帯電ムラが発生しないように、複数のチャージワイヤ列を設けて帯電能力を向上させたコロナ帯電器(コロナ放電装置)が考案されている。しかし、このような複数のチャージワイヤを設けた場合でも、長時間使用し続ければ、結局は放電により劣化していくことになり、帯電ムラが発生してしまう。また、放電生成物などの異物の付着により電流がリークし易くなる。更に、転写手段や分離手段にコロナ放電装置を使用した場合には、転写不良、分離不良などが発生する可能性がある。
【0004】
そこで、このような帯電ムラが発生しないように、劣化したチャージワイヤを巻き取りながら、新しいチャージワイヤを送り出す機構を備えたコロナ帯電器が考案されている(特許文献1、2参照)。これら特許文献1、2に記載された構造の場合、1本のチャージワイヤを折り返して用いる事で2本のチャージワイヤに見立てている。そして、巻き取り動作を行う事で帯電能力が高く、帯電ムラが発生しにくくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−029504号公報
【特許文献2】特開平6−124036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようにチャージワイヤを巻き取る場合、チャージワイヤを巻き取る巻き取り部材(リール)にワイヤが順次重なっていく。このため、リールの1回転ごとにリールの見かけの外径が大きくなり、リールの1回転当たりに巻き取られるチャージワイヤの巻き取り長さも増すことになる。このため、チャージワイヤの巻き取り量に拘らず、リールを常に同じ回転量回転させてワイヤの巻き取り動作を繰り返した場合に、リールの見かけ上の外径が大きくなるため、初期の状態に比べて巻き取り量が多くなってしまう。即ち、定量的にチャージワイヤの巻き取りが行えない。この結果、ワイヤの巻き取り動作を幾度も繰り返した場合には、使用済みのチャージワイヤ部分だけでなく、新しいチャージワイヤ部分も回収してしまい、チャージワイヤの全域を使用できず(未使用部分が生じ)、効率的ではない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、チャージワイヤの巻き取り動作を繰り返しても、必要以上にチャージワイヤの巻き取り量が多くなることを低減できる構造を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シールドと、前記シールド内に配設されたチャージワイヤと、を備え、前記チャージワイヤに電圧を印加することによりコロナ放電を発生させるコロナ放電装置において、回転することにより前記チャージワイヤの巻き取りを行って、前記シールド内のチャージワイヤを移動させる巻き取り手段と、前記巻き取り手段を回転駆動する駆動手段と、前記巻き取り手段の回転を検知する回転検知手段と、前記回転検知手段の検知結果から前記巻き取り手段の累積回転量をカウントし、前記チャージワイヤの径方向の積層数が増大する程、前記チャージワイヤの単位巻き取り長さに対する前記巻き取り手段の回転量を減らすように、前記駆動手段を制御する制御手段と、を有する、ことを特徴とするコロナ放電装置にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、チャージワイヤの径方向の積層数が増大する程、単位巻き取り長さに対する巻き取り手段の回転量を減らすようにしているため、ワイヤの巻き取り動作を繰り返しても、必要以上にワイヤの巻き取り量が多くなることを低減できる。この結果、チャージワイヤの未使用部分を少なく、或いは、なくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】第1の実施形態の一次帯電器を示す平面模式図。
【図3】同じく側面模式図。
【図4】図3のA部拡大図。
【図5】送り出しリールの拡大断面図。
【図6】巻き取り制御部のブロック図。
【図7】清掃部材を移動可能にした別例の構成を示す平面模式図。
【図8】同じく側面模式図。
【図9】巻き取りリールにチャージワイヤが巻き取られた状態を示す模式図。
【図10】ワイヤの巻き取り量と巻き取りリールの回転回数との関係を示す図。
【図11】第1の実施形態の制御を行った時の巻き取りリールの回転角度と回転回数との関係を示す図。
【図12】第1の実施形態で、長さMのチャージワイヤを巻き取るために必要なリール回転量Sを導くためのフローチャート。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る一次帯電器を示す側面模式図。
【図14】図13のB部拡大図。
【図15】リール上下動ユニットの分解斜視図。
【図16】リール上下動ユニットによる巻き取りリールの位置変更の一連の動作を示した模式図。
【図17】ワイヤの巻き取り量に対する巻き取りリールの位置とリールの回転回数の関係を示した図。
【図18】巻き取りリールにチャージワイヤを巻き取る一連の動作を示した模式図。
【図19】図18(a)の状態に於けるリール部のF−F断面図。
【図20】図18(b)の状態に於けるリール部のG−G断面図。
【図21】第2の実施形態で、長さMのチャージワイヤを巻き取るために必要なリール回転量Sを導くためのフローチャート。
【図22】本発明の第3の実施形態に係る一次帯電器を示す平面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について、図1ないし図10を用いて説明する。まず、本発明を適用する画像形成装置全体の構成について、図1を用いて説明する。
【0012】
[画像形成装置]
図1に示すように、画像形成装置10は、画像が形成されるための記録材(シート)を積載する上段カセット14及び下段カセット12を備えている。上段カセット14内のシートは分離爪(図示せず)と給紙ローラ11とによって1枚ずつ分離されてレジストローラ15に給紙される。下段カセット12内のシートは分離爪(図示せず)と給紙ローラ13とによって1枚ずつ分離されてレジストローラ15に給紙される。そして、レジストローラ15に給紙された記録材の表面に画像形成部Pによって画像が形成される。
【0013】
画像形成部Pは、感光ドラム17、一次帯電器25、レーザスキャナ16、現像装置19、転写帯電器20、分離帯電器21、クリーナ26により構成される。像担持体である感光ドラム17は、円筒状に形成され回転駆動する。そして、回転することにより、トナー像を担持する表面が移動する。帯電手段ある一次帯電器25は、感光ドラム17の外周面(表面)に対向配置されたコロナ放電装置により構成され、コロナ放電により感光ドラム17の表面を所定の電位に帯電させる。
【0014】
露光手段(静電潜像形成手段)であるレーザスキャナ16は、後述する電気信号37(画像データ)に基づいて変調したレーザを、一次帯電器25により帯電された感光ドラム17の表面に照射して、この表面に静電潜像を形成する。現像手段である現像装置19は、感光ドラム17の表面に対向配置され、感光ドラム17の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像し、トナー像とする。感光ドラム17に担持されたトナー像は、レジストローラ15によりタイミングをとって搬送された記録材に転写部で転写される。この転写部には、コロナ放電装置により構成された転写帯電器20が対向配置される。転写帯電器20に所定の転写バイアスを印加することにより、トナー像が記録材に転写される。
【0015】
トナー像が転写された記録材は、コロナ放電装置により構成される分離帯電器21に所定の分離バイアスを印加することにより、感光ドラム17から分離して、搬送ベルト22により定着装置23に搬送される。トナー像は、定着装置23で記録材に熱定着される。その後、トナー像が定着された記録材が、排出ローラ24によってソータ40に排出される。
【0016】
また、図1において符号30は現行読み取り手段であるスキャナである。スキャナ30は、走査光学系光源31、プラテンガラス32、開閉可能な原稿圧板33、レンズ34、光電変換素子としての受光素子35、及び画像処理部36を有している。走査光学系光源31で読み取られた原稿像は画像処理部36で処理され、鎖線で示す電気信号37に変換されて画像形成部Pのレーザスキャナ16に伝送される。
【0017】
[コロナ放電装置]
次に、コロナ放電装置である一次帯電器25について、図2ないし図6を用いて、より詳細に説明する。一次帯電器25は、接地されたシールド103と、シールド内に配置された、タングステンワイヤに金メッキを施したチャージワイヤ106とを備えた、非接触方式のコロナ帯電器である。そして、チャージワイヤ106に高電圧を印加することにより、コロナ放電を発生させ、感光ドラム17の表面を帯電させる。
【0018】
チャージワイヤ106は、少なくとも1個所で折り返されるように配設される。本実施形態では、チャージワイヤ106は、図2に示すように、1個所で折り返され、シールド103内に2本のワイヤ106a、106bが配設される。ワイヤ106a、106bは、それぞれ感光ドラム17の回転軸方向(表面の移動方向と交差する方向)とほぼ平行に、且つ、感光ドラム17の回転方向に並んで配設される。一次帯電器25は、ワイヤ106aが感光ドラム17の回転方向下流に、ワイヤ106bが感光ドラム17の回転方向上流に、それぞれ位置するように配置される。
【0019】
また、シールド103は、ワイヤ106a、106bの感光ドラム回転方向両側及び感光ドラム17と反対側を覆うように形成されている。そして、シールド103に囲まれ感光ドラム17に対向する領域を、コロナ放電を発生させる放電領域としている。一方、シールド103から外れた領域を非放電領域としている。
【0020】
また、本実施形態では、一次帯電器25をスコロトロン方式の帯電器としている。即ち、図3及び図4に示すように、チャージワイヤ106よりも感光ドラム17に近い側に、ワイヤ106a、106bと平行に複数本のグリッドワイヤ122を配設している。したがって、感光ドラム17の表面の帯電電位は、グリッドワイヤ122に加える電圧により可変とすることができる。
【0021】
また、図2及び図3に示すように、シールド103のワイヤ106a、106bの配設方向両側には、駆動側ケース101と電極側ケース102とを設けている。シールド103の一方の端に設けた駆動側ケース101内には、送り出し手段である送り出しリール108と、巻き取り手段である巻き取りリール110とを設けている。一方、シールド103の他方の端に設けた電極側ケース102内には、電極リール109と、清掃部材113とを設けている。また、駆動側ケース101には、巻き取りリール110を回転駆動する巻き取りモータ107を固定している。
【0022】
駆動側ケース101内の巻き取りリール110は、図2ないし図4に示すように、巻き取りリール歯車123に結合されている。そして、巻き取りモータ107の回転軸107aに結合されたモータ歯車107bから巻き取りリール歯車123に駆動が伝達され、巻き取りリール歯車123に結合された巻き取りリール110が回転し、チャージワイヤ106の巻き取りを行う。また、巻き取りモータ107の回転軸107aの回転は、回転検出手段である回転センサ111により検出される。
【0023】
この回転センサ111は、例えば、回転軸107aに固定された円周方向複数個所にスリットが入った円板(エンコーダ)と、フォトインタラプタとを備え、回転軸107aの回転角度、回転回数などの回転量を検知する。回転軸107aの回転量を検知できれば、歯車107a、123の歯数から巻き取りリール110の回転量を検知できる。回転センサ111により検知した信号は、後述する巻き取り制御部105に送られる。なお、このような回転検知手段は、巻き取りリール110の回転軸に設けても良い。
【0024】
また、巻き取りリール110は、図4に示すように、リールを巻き取る溝(巻き取り部)110aの幅(巻き取りリール幅)L1を、チャージワイヤ106のワイヤの直径dとほぼ同じ幅としている。また、溝110aを挟むフランジ110b、110bの外径を溝110aの底面の外径DОよりも十分に大きくし、ワイヤ106を複数回フランジ110b、110bとの間に径方向に重ねて配置できるようにしている。
【0025】
また、巻き取りリール110の巻き取り方向上流には、ワイヤを溝110a内に導入するためのワイヤ支持部材137を配置している。ワイヤ支持部材137は巻き取りリール110の回転軸方向に付勢され、溝110aと巻き取りリール110の回転軸方向にずれて駆動側ケース101内に進入するワイヤ106を溝110aに導くようにしている。
【0026】
また、送り出しリール108は、チャージワイヤ106を複数回巻き付けられており、このチャージワイヤ106を巻き取りリール110の巻き取り量に応じて順次送り出す。なお、送り出しリール108には、初期状態として、一次帯電器25の寿命までに必要な量以上の新しいチャージワイヤ106が巻かれている。また、図5に示すように、送り出しリール108にはトルクリミッタ150が内包されており、巻き取りリール108によってチャージワイヤ106が巻き取られる際に、このワイヤ106に所定の張力を付与して、ワイヤ106が弛まないようにしている。尚、トルクリミッタとしては、ブレーキを用いた構成、巻き取り軸151と送り出しリール108とを中間嵌めにすることで摺擦抵抗を得る構成、その他の一般的な構成とすることができる。
【0027】
また、図2及び図3に示すように、電極側ケース102内には、高圧電源104に接続された電極リール109を配置し、この電極リール109にチャージワイヤ106を掛け渡している。そして、チャージワイヤ106に高圧電源を印加できるようにするとともに、チャージワイヤ106を電極側ケース102内で折り返している。
【0028】
本実施形態の場合、送り出しリール108、巻き取りリール110、駆動モータ107、後述する巻き取り制御部105(図6)により、チャージワイヤ106を移動させる移動手段を構成している。即ち、チャージワイヤ106は、駆動モータ107を駆動することにより巻き取りリール110を回転させて、チャージワイヤ106を巻き取る。また、この巻き取りに応じて送り出しリール108からチャージワイヤ106が送り出される。これにより、チャージワイヤ106が電極リール109を介して、図2の矢印方向に移動する。巻き取りモータ107は、巻き取り制御部105により制御され、前述の回転センサ111の検知結果に基づいて、回転量を正確に制御できるようになっている。
【0029】
巻き取り制御部105は、図6のようにメモリ161と演算処理部164とを有する。メモリ161は、プリント枚数を累積加算するプリント枚数カウンタ161と、リール回転回数を累積加算するリール回転回数カウンタ163とを有する。リール回転回数カウンタ163は、巻き取りモータ107の回転量(回転センサ111の検知結果)から換算して巻き取りリール110の回転量を求めるものである。巻き取りモータ107の回転タイミングと回転量は、メモリ161に格納された値を演算処理部164にて演算され、処理される。
【0030】
巻き取り制御部105は、巻き取りモータ107を制御して、チャージワイヤ106を、例えば、次のように移動させる。即ち、送り出しリール108から送り出されたワイヤは、放電領域の感光ドラム回転方向下流位置に移動する。放電領域の感光ドラム回転方向下流位置に配設されていたワイヤ106aは、電極リール109を介して、放電領域の感光ドラム回転方向上流位置に移動する。放電領域の感光ドラム回転方向上流位置に配設されていたワイヤ106bは、駆動側ケース101内の巻き取りリール110により巻き取られる。なお、装置の特性に合わせて感光ドラム回転方向下流位置のチャージワイヤ106aを巻き取り、同じく上流位置に新しいチャージワイヤ106bを供給する構成であっても良い。また、より安定した帯電性能を得るために、使用済みのチャージワイヤ106aと106bの全域を巻き取る構成であっても良い。
【0031】
このような構成とすることで、感光ドラム17の表面を帯電させるとき、1本のチャージワイヤ106を、感光ドラム回転方向上流位置のワイヤ106aと同じく下流位置のワイヤ106bという2本のチャージワイヤとして使用することができる。この結果、帯電能力の向上が図れ、帯電ムラが起きにくくなるようにしている。
【0032】
また、図2及び図3に示すように、電極側ケース102には清掃部材113を設けている。清掃部材113は、電極リール109のワイヤ移動方向下流に配置されている。この清掃部材113は、チャージワイヤ106が巻き取りリール110により巻き取られて移動する際に、ワイヤ106と摺接して、このワイヤ106に付着した放電生成物などの異物を除去する。即ち、電極側ケース102に設けた清掃部材113は、放電領域に配設されていたワイヤ106aを清掃する。このワイヤ106aは、その後、ワイヤ106bとして使用されるため、このように清掃部材113により清掃することにより、放電による劣化を初期の段階で遅らせることができる。
【0033】
なお、チャージワイヤ106を清掃する清掃部材は、図7及び図8のような構成としても良い。即ち、清掃部材174a、174bを移動させてワイヤ106を清掃するようにしても良い。以下、図7及び図8の構成について説明する。スクリュー171は、駆動側ケース101と電極側ケース102との間にワイヤ106a、106cと平行に保持されている。また、スクリュー171は、スクリューギア172を介して図示しない正逆転可能な駆動源から駆動を得て、正逆回転する(矢印YE方向)。また、スクリュー171には、清掃保持部材173が嵌合しており、スクリュー171のスクリュー溝に沿って矢印YD方向に動作可能である。更に清掃保持部材173は、腕部173a、173bを有しており、夫々に清掃部材174a、174bが取り付けてある。そのため、図示しない駆動源の正逆転回転によって、清掃部材174a、174bが矢印YD方向に移動して、ワイヤ106a、106bを清掃することが可能である。
【0034】
[チャージワイヤの巻き取り量の制御]
図9に示すように、チャージワイヤ106の巻き取り量は巻き取りリール110の巻き取りリール径Dに依存する。ここで、巻き取り動作を繰り返すことで、図9に示すように、巻き取りリール110には使用済みのチャージワイヤ106が巻き取られていくため、見かけ上の巻き取りリール径Dが次第に大きくなっていく。図のように、巻き取りリール110の1回転あたり、見かけ上のリール径が、溝110aの底面の外径DОに対し2d(dはワイヤの直径)ずつ増加していき、見かけ上の周長も2πdずつ増加していく。
【0035】
図10は、リール回転回数とワイヤの巻き取り量の関係を示した図である。グラフ201は、巻き取りリールの径が初期から変わらない場合のグラフであり、常に巻き取り量πD0で巻き取りが行える。しかし、実際には前述のようにリールの径はワイヤを巻き取っていくことで増加していくので、グラフ202のように巻き取り動作回数を繰り返す毎に、1回転当たりの巻き取り量が増大していく。
【0036】
このため、本実施形態では、巻き取り量の増大を抑えるべく、巻き取りモータ107によって駆動する巻き取りリール110の回転量を制御する。即ち、回転センサ111の検知結果から巻き取りリール110の累積回転量をカウントし、チャージワイヤ106の径方向の積層数が増大する程、ワイヤ106の単位巻き取り長さに対するリール110の回転量を減らすように、巻き取りモータ107を制御する。ここで、径方向の積層数は、リール110の累積回転量から把握できる。また、単位巻き取り長さとは、ワイヤ106のうちの所定の長さである。例えば、リール110にワイヤ106が巻き取られていない初期状態から、リール110を1回転させた場合に巻き取られるワイヤ106の長さを単位巻き取り長さとする。この場合、初期状態では、単位巻き取り長さに対する巻き取りリール110の回転量は2π(1回転)であり、巻き取り回数が増大する毎に、単位巻き取り長さに対する巻き取りリール110の回転量が、ワイヤ106の直径分減っていく。
【0037】
このような制御は、次の式(1)により求められる、リール110の累積回転回数(所定回転回数)nでの適正リール回転角度θを用いて行う。ここで、リール110にワイヤ106が巻き付けられていない初期状態でのリール径をDОとし、この初期リール径DОでリール110を1回転(2π)させた場合を基準として、リール110の所定回転回数nでの回転角度θを求める。即ち、2π:DО=θ:(DО+2d・n)が成り立つようなθでリール110を回転させれば、ワイヤ106の巻き取り量が常に(累積回転回数に拘らず)一定量となる。したがって、θは次のように求められる。なお、式(1)の[]内に示す部分は、小数点以下を切り捨てた整数であることを意味する。
θ=2πD0/(D0+2d・[n])[rad] ・・・(1)
θ:適正リール回転角度、D0:初期リール径
d:チャージワイヤ106の直径、n:累計巻き取り回数
【0038】
式(1)から、リール110の累積回転回数nが増大する程、リール110の回転角度(回転量)θが小さくなることがわかる。この適正リール回転角度θと累計巻き取り回数(累積回転回数、ワイヤ106の径方向の積層数)nとの関係のグラフを図11に示す。このような式(1)を用いて制御することにより、リール110の累積回転量が増大する程、チャージワイヤ106の単位巻き取り長さに対する巻き取りリール110の回転量を減らして、ワイヤ106の巻き取り量を常に一定量にできる。
【0039】
[チャージワイヤの巻き取り動作について]
次にチャージワイヤ106の交換時の動作について説明する。上述のように、巻き取りモータ107を所定量回転させることで、巻き取りリール110が図2のような巻き取り方向に回転し、チャージワイヤ106が巻き取りリール110に巻き取られていく。更に送り出しリール108がチャージワイヤの張力で回転し、新しいチャージワイヤ106を供給する。
【0040】
このような、巻き取りモータ107による回転制御をチャージワイヤ106の長時間の放電による劣化時に、巻き取り制御部105にて次のように行うことで、チャージワイヤの交換処理を行うようにしている。
【0041】
ワイヤ巻き取り制御は、プリントジョブ中に割り込んで実施される。但し、プリント時間短縮のためにワイヤ巻き取り制御をジョブ中に実施せず、ジョブ終了後に行うものであっても良い。ここでは、図6を参照してプリントジョブ中に割り込んでワイヤ巻き取り制御を行う場合について説明する。画像形成装置10によってプリントを開始すると、プリントイメージ数を巻き取り制御部105のプリント枚数カウンタ162にてプリント枚数を累積加算して記憶する。演算処理部164がプリント枚数が所定の値(巻き取り動作を行うプリント枚数)に達したと判断すると、チャージワイヤの交換モードに入る。交換モードでは、巻き取りモータ107を回転させることでチャージワイヤ106のうち、感光ドラム回転方向上流のワイヤ106bとして使用されていた部分を巻き取りリール110により巻き取る。このとき、同時にチャージワイヤ106の感光ドラム回転方向下流のワイヤ106aとして使用されていた部分が、今度は同じく上流のワイヤ106bの位置に配置される。また、新しいチャージワイヤ106が送り出しリール108により送り出されることで、下流のワイヤ106aにはチャージワイヤ106の新しい部分が配置される。
【0042】
尚、交換モードへの移行の条件として、プリントイメージ数ではなく、一次帯電器25の放電時間を累積加算して所定の時間に達した場合としても良い。その他、チャージワイヤ106に印加する電圧を計測し、この電圧が所定の値に達した場合、感光体表面の電位を表面電位計により計測することで、所定の電位以下になった場合に交換モードに入るように構成してもよい。
【0043】
図12は、本実施形態のリール巻き取り制御によって目的の巻き取り量M(例えば図2に示す範囲にあるチャージワイヤ106の長さ)を巻き取るために必要な巻き取りリール110の回転量sを決定するまでの流れの1例を示した図である。ENDまで達した時の累計リール回転量sだけ巻き取りリール110を回転駆動させる事で、目的の巻き取り量M或いはこのMに近い量を巻き取る事ができる。なお、この巻き取り量Mは、前述したように、使用済みのチャージワイヤ106aと106bの全域の長さとする場合もある。
【0044】
初期状態で、巻き取り制御部105に巻き取り量Mが入力されると(S101)、S102で、リール110の累積回転回数n及び巻き取り量Mを巻き取るためのリール110の回転量sがリセットされる。ここで、初期状態とは、例えば、製品の出荷時、一次帯電器25を交換した時などである。次にS103で、リール110の回転回数n(回)から適正リール回転角度θ及びリール110の見かけ上の外径Dを求める。そして、S104で、リール110の回転量s(rad)を累積し、残りの巻き取り量Mを算出する。S105では、残りの巻き取り量Mに対してリール110が1回転以上回転するか否かを判断する。1回転以上回転する場合には、S106でリールの回転回数nを1回増やし、S103に戻る。一方、S105でリール110の回転回数が1回未満であれば、言い換えれば、残りの巻き取り量Mがリール110が1回転した場合の巻き取り量に満たない場合には、計算を終了し、その時点でのsが求める回転量sとなる。
【0045】
次回以降にワイヤの巻き取り動作を行う場合には、前回の回転量sをリセットしてS103からスタートし、その時の巻き取り量Mに対する回転量sを求める。なお、回転回数nは前回の数値に累積していく(nはリセットしない)。
【0046】
ここで、残りの巻き取り量Mがリール110が1回転した場合の巻き取り量に満たない場合に計算を終了する理由は、次のとおりである。リール110の直径は、通常小さいものであり、ワイヤ106の直径も小さいことを考慮すると、その時点でのリール110の見かけ上の直径も小さい。したがって、その時点でのリール110の1回転分の巻き取り量は小さく、残りの巻き取り量Mがこの1回転分の巻き取り量よりも少ないということは、このMが相当に小さいことを意味する。また、ワイヤ106の一部は、非放電領域である駆動側ケース101と電極側ケース102内にも配置されており、この部分は放電に影響しない。このため、この想到に小さい量が巻き取られなくとも非放電領域で吸収されるか、或いは、放電領域に残るとしても極僅かであり放電には影響しない。そこで、本実施形態では、この時点で計算を終了して回転量sを求めている。
【0047】
なお、非放電領域に存在するリールの長さが、リール110の最大巻き取り時(ワイヤ106が最後まで巻き取られた時)の1回転分の巻き取り量以上であるように構成すれば、巻き取り量Mの残りが放電領域に残ることがない。また、残りの巻き取り量Mがリール110が1回転した場合の巻き取り量に満たない場合に計算を終了せず、その量に対するリール110の回転角度を求めて、回転量sに加えるようにしても良い。
【0048】
このようにしてチャージワイヤ106の交換処理を行うことで、チャージワイヤ106を常に安定した巻き取り量で巻き取ることができ。そのため、チャージワイヤ106の全域或いはほぼ全域を使用することができ、非常に経済的である。
【0049】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について、図13ないし図21を用いて説明する。以下、第1の実施形態と異なる構成を中心に説明し、第1の実施形態と同様の構成については、説明を省略または簡略にする。
【0050】
駆動側ケース101内の巻き取りリール131は、図13及び図14に示すように、巻き取りリール歯車123に結合されている。そして、巻き取りモータ107の回転軸107aに結合されたモータ歯車107bから中間歯車132bを介して、巻き取りリール歯車123に駆動が伝達される。そして、巻き取りリール歯車123に結合された巻き取りリール131が回転し、チャージワイヤ106の巻き取りを行う。また、巻き取りモータ107の回転軸107aの回転は、回転検出手段である回転センサ111により検出される。また、チャージワイヤ106は、ワイヤ支持部材137に保持されて巻き取りリール131に巻き取られる。
【0051】
本実施形態の場合、巻き取りリール131は、回転軸方向に複数本のチャージワイヤ106を並べて配置できる巻き取り部であるリール部131aを備える。また、巻き取りリール131によるチャージワイヤ106の巻き取り時に、巻き取りリール131を回転軸方向に往復移動させ、チャージワイヤ106をリール部131aに回転軸方向に並べて配置する往復移動手段である、リール上下動ユニット140を有する。そして、巻き取り制御部105は、リール上下動ユニット140の移動方向が変わった場合に、移動方向が変わる前よりも巻き取りリール131の回転量を減らすように、巻き取りモータ107を制御する。なお、本実施形態の上下とは、回転軸方向に往復移動する方向である。
【0052】
より具体的に説明する。まず、リール部131aは、前述の第1の実施形態の溝110aに比べて回転軸方向の長さが十分に大きく形成され、回転軸方向に複数本のチャージワイヤ106を並べて配置できるようにしている。即ち、リール部131aは、リール幅L2を有しており、巻き取りリール幅L2はチャージワイヤ106のワイヤ径dよりも十分に大きい。そのため、第1の実施形態よりも巻き取りリール131により多くのチャージワイヤ160を巻き取り可能であり、一次帯電器25の長寿命化やチャージワイヤ106を交換するためのメンテナンスの間隔を長くできるなどのメリットがある。
【0053】
また、リール上下動ユニット140は、巻き取りリール131と同軸上に配置された、リール上下動歯車133、上方カム134、下方カム135、及び、中間歯車132bと同軸上に配置された上下動中間歯車132aを備える。上下動中間歯車132a及び中間歯車132bの回転軸は、巻き取りリール131の回転軸と平行で、上下動歯車132aがリール上下動歯車133と、中間歯車132bが巻き取りリール歯車123と、それぞれ歯合する。
【0054】
また、上下動歯車132aと中間歯車132bとは、歯数が異なる。また、リール上下動歯車133と巻き取りリール歯車123とも、歯数が異なる。したがって、モータ107bから駆動が伝達され、上下動歯車132aと中間歯車132bとが回転すると、それぞれの歯車と歯合するリール上下動歯車133と巻き取りリール歯車123とが、異なる回転速度で回転駆動する。本実施形態では、巻き取りリール歯車123は、リール上下動歯車133に対して回転速度が十分に大きくなるように設定されている。即ち、リール上下動歯車133の方が巻き取りリール歯車123よりも歯数を多くしている。要するに、上方カム134は、巻き取りリール131に対して非常に回転が遅い。
【0055】
また、上方カム134及び下方カム135は互いに対向する面をそれぞれカム面とし、カム面同士を当接させるように配置している。本実施形態では、それぞれのカム面は、回転軸方向に直角な面に対して同じ角度傾斜させている。また、上方カム134はリール上下動歯車133に結合し、下方カム135は巻き取りリール歯車123上に設けられている。また、上方カム134はリール上下動歯車133とともに回転するが、下方カム135は巻き取りリール歯車123と共に回転しない。したがって、上述のように、リール上下動歯車133が回転駆動することにより、両カムのカム面がずれて、上方カム134と下方カム135とが回転軸方向に相対移動する。
【0056】
本実施形態では、上方カム134及びリール上下動歯車133が回転軸方向に移動不能とし、下方カム135及び巻き取りリール歯車123が回転軸方向に移動可能としている。この結果、巻き取りリール131は、回転するとともに回転軸方向に移動する。なお、巻き取りリール歯車123がこのように回転軸方向に移動しても、中間歯車132bとの噛合が外れないように、中間歯車132bの回転軸方向の長さを大きくしている。
【0057】
また、巻き取りリール131の上方カム134と反対側(図13、14の下方)には上下動加圧バネ136が配置され、巻き取りリール131を上方カム134側(図の上方)に付勢している。この結果、巻き取りリール歯車123に結合した巻き取りリール131が回転するとともに回転軸方向に移動し、チャージワイヤ106の巻き取り位置を回転軸方向に移動させる。
【0058】
以下、図15を用いて、リール上下動ユニット140をより詳細に説明する。前述の通り、リール上下動歯車133と上方カム134、巻き取りリール歯車123と巻き取りリール131は、それぞれ結合されており、巻き取り軸138に装着される。下方カム135は巻き取り軸138のDカット部138aに回動不可能に支持される。リール上下動歯車133と上方カム134、巻き取りリール歯車123と巻き取りリール131は、巻き取り軸138に対して回動可能に支持される。
【0059】
巻き取りリール131の下部には上下動加圧バネ136が配置され、更に下部に配置されている止め輪139が巻き取り軸138の溝部138bに固定される。それによって、リール上下動歯車133や上方カム134などの、止め輪139の上部に位置するパーツ郡150、及び、上下動加圧バネ136が、巻き取り軸138に回転もしくは摺動可能に、或いは、回転不能に支持されている。また、パーツ郡150は、上下動加圧バネ136によってYA方向に加圧される。そのため、上方カム134と下方カム135は、常に接触した状態となる。上方カム135は、YB方向にもっとも凸になっている上方カム凸部134aを有し、下方カム135は、YA方向にもっとも凸になっている下方カム凸部135aを有する。
【0060】
[チャージワイヤの巻き取り動作について]
次に図16を参照して巻き取りリール131におけるチャージワイヤ106の巻き取り動作について説明する。図16(イ)は、上方カム凸部134aと下方カム凸部135aが巻き取り軸138を中心に対称となるように位置している状態を示している。そのため、上下動加圧バネ136によって上方に加圧されている巻き取りリール131は、最も矢印YA側に配置された状態である。上方カム134がこの位置にいる場合には、チャージワイヤ106は巻き取りリール131のリール部131aの最下部(最もYB側)で巻き取られるように設定されている。
【0061】
図16(イ)の状態から巻き取り動作を行うと、上方カム134が矢印YC方向に回動し、上方カム凸部134aが下方カム凸部135aの方向へ近づいていき、下方カム135のカムの斜面を登っていく。そして、徐々に下方カム135がYB方向に移動すると共に巻き取りリール131も移動する。その時のYB方向への移動量は、巻き取りリール131の1回転あたり、チャージワイヤ106のワイヤ径dづつ移動するように、上方カム134と下方カム135のカム形状、及び、歯車133、123の歯数が設定されている。
【0062】
上方カム134は、更に回動して図16(ロ)の状態を経由したのち、図16(ハ)の状態になる。図16(ハ)の状態は、上方カム凸部134aが下方カム凸部135aに達したことで、下方カム135と巻き取りリール131が最もYB側に配置された状態を示している。この状態の場合には、チャージワイヤ106は巻き取りリール131のリール部131aの最上部(最もYA側)で巻き取られるように設定されている。
【0063】
更に上方カムが回動されると、上方カム凸部134aが下方カム凸部135aから遠のくため、上下動加圧バネ136によって下方カム135と巻き取りリール131がYA方向に押し上げられ、図16(二)の状態を経由して、再び図16(イ)の状態に戻る。このように上方カム134と下方カム135によって上記動作を繰り返すことで使用済みのチャージワイヤ106を巻き取りリール131のリール部131aの全域に均等に巻きつけることができる。
【0064】
次に本実施形態で使用した数値を用いて説明する。チャージワイヤ106のチャージワイヤ径dが0.1mm、巻き取りリール131のリール幅L2が1mm且つリール径が15mmで使用した。この場合、図16(イ)の状態から巻き取り動作を開始すると、上方カム134によって巻き取りリール131がYB方向に移動する。その時、巻き取りリール131が1周する毎にチャージワイヤ106の巻き取り位置が約0.1mmずつずれる。そして、巻き取りリール131が図16(ハ)の位置に達した時には、巻き取りリールにはチャージワイヤ106が10回分(L2/d=10)巻き取られており、リール幅L2の径は初期の15mmから15.2mmになっている。図17に示すようにリールの回転回数が10回達するごとにリールの高さ方向の移動方向が切り替わる。即ち、リール上下動ユニット140移動方向が変わる。
【0065】
次に図18ないし図20を参照して巻き取りリール131によるチャージワイヤ106の巻き取りの一連の動作について説明する。図18(a)は、巻き取りリール131にチャージワイヤ106がL2の幅を有するリール部131aの全域に均等に巻き取られている状態の図である。図18(a)時のリール部131aにおけるF−F断面図を図19に示す。巻き取りリール131のリール径DОにチャージワイヤ106の集合体であるチャージワイヤ帯160が幅xを有して巻き取られている。チャージワイヤ帯160は、図18(a)の状態になるまでに既に使用され回収されたチャージワイヤである。ここでは巻き取りリール131のリール径DОとチャージワイヤ帯160の帯の幅xとを合わせたときのリール径(DО+2x)をD(n)と呼称する。
【0066】
図18(a)において巻き取りリール131は、矢印YA方向に最も寄っている状態である(図16(イ)の状態)。この状態では、ワイヤ支持部材137を介して巻き取りリール131に巻き取られるチャージワイヤ106は、図のようにリール部131aの下限位置で巻き取られる。図18(a)から巻き取り動作を開始すると、巻き取りリール131が回動してチャージワイヤ106を回収すると同時に前述の上方カムギア134によって巻き取りリール131が矢印YB方向に移動を開始する。
【0067】
図18(b)は、図18(a)から数回巻き取り動作を行った状態である(図16(ロ)の状態)。図18(a)から新たに巻き取った箇所のリール径は、図20に示すようにチャージワイヤのワイヤ径dによって、(D(n)+2d)となる。更に巻き取り動作を行うと、図18(c)のように巻き取りリール131が矢印YB方向に最も寄った状態になる(図16の(ハ)の状態)。このとき、チャージワイヤ106の巻き取り位置はリール部131aの上限位置となり、リール部131aの全域のリール径が(D(n)+2d)となる。
【0068】
更に巻き取り動作を行うと、図18(d)のように巻き取りリール131が上方カムギア134によって矢印YA方向に移動する。そのときの新たな巻き取り箇所のリール径は、(D(n)+4d)となる。即ち、チャージワイヤ106の巻き取り位置がリール部131aの上限位置と下限位置に達する毎にリール径は2dづつ増していく(チャージワイヤ106の径方向の積層数が増大する)。上述の図18(a)〜図18(d)の動作を繰り返しながらチャージワイヤ106が巻き取られていく。
【0069】
次にチャージワイヤの定量巻き取り制御について説明する。上記のとおり、本実施形態の一次帯電器25は、チャージワイヤ106が巻き取りリール131のリール部131a(巻き取り幅L2)の上限位置と下限位置に達する毎にリール径D(n)が増えていく。そのため、巻き取り回数とリール径の増加の関係を鑑みて巻き取りリール131の適正な回転角度を決める必要がある。巻き取りリール131の適正回転数Nは次の式(2)で求められる。なお、式(2)の[]内に示す部分は、小数点以下を切り捨てた整数であることを意味する。
θ=2πD0/(D0+2d[d・n/L2])[rad] ・・・(2)
θ:適正リール回転角度、D0:初期リール径、L2:巻き取りリール幅
d:チャージワイヤ径、n:累計リール回転回数
【0070】
ここで、式(2)の導入について説明する。基本的には前述の式(1)と同じであるが、式(2)ではリール幅L2を考慮する点で、式(1)と異なる。即ち、式(1)の「n」が式(2)では、「d・n/L2」となっている点が異なる。したがって、この「d・n/L2」について説明する。
【0071】
まず、「d・n」は、累計巻き取り回数nで、ワイヤ106がリール部131aの回転軸方向に並べられた場合の、この回転軸方向の長さである。したがって、「d・n/L2」は、「d・n」がL2と同じであれば、「1」となる。即ち、式(1)での巻き取り回数1回に相当する。上述のように[]内に示す部分は、小数点以下を切り捨てた整数であることから、「d・n」がL2に対して整数倍である場合に、その整数が式(1)での巻き取り回数に相当することになる。つまり、「d・n/L2」は、チャージワイヤ106の巻き取り位置がリール部131aの上限位置或いは下限位置に達して移動方向が切り替わった場合に、リール径が増大することを意味している。したがって、上記式(2)から得られる適性リール回転角度θ毎に、巻き取りモータ107を制御することで一定量のワイヤ供給を行うことができる。
【0072】
図21は、本実施形態のリール巻き取り制御によって目的の巻き取り量M(例えば図2に示す範囲にあるチャージワイヤ106の長さ)を巻き取るために必要な巻き取りリール131の回転量sを決定するまでの流れの1例を示した図である。ENDまで達した時の累計リール回転量sだけ巻き取りリール131を回転駆動させる事で、目的の巻き取り量M或いはこのMに近い量を巻き取る事ができる。なお、この巻き取り量Mは、前述したように、使用済みのチャージワイヤ106aと106bの全域の長さとする場合もある。
【0073】
初期状態で、巻き取り制御部105に巻き取り量Mが入力されると(S201)、S202で、リール131の累積回転回数n及び巻き取り量Mを巻き取るためのリール131の回転量sがリセットされる。次にS203で、リール131の回転回数n(回)から適正リール回転角度θ及びリール131の見かけ上の外径Dを求める。そして、S204で、リール131の回転量s(rad)を累積し、残りの巻き取り量Mを算出する。S205では、残りの巻き取り量Mに対してリール131が1回転以上回転するか否かを判断する。1回転以上回転する場合には、S206でリールの回転回数nを1回増やし、S103に戻る。一方、S105でリール110の回転回数が1回未満であれば、言い換えれば、残りの巻き取り量Mがリール110が1回転した場合の巻き取り量に満たない場合には、計算を終了し、その時点でのsが求める回転量sとなる。なお、図21に示したフローはS203の処理が異なるだけで、基本的に図12のフローと同じである。したがって、その他の図12で説明した点については、図21のフローにも適用可能である。
【0074】
本実施形態の場合、第1の実施形態よりも巻き取りリール131により多くのチャージワイヤ160を巻き取り可能であり、一次帯電器25の長寿命化やチャージワイヤ106を交換するためのメンテナンスの間隔を長くできるなどのメリットがある。なお、上述の説明では、リール上下動ユニット140により巻き取りリール131を移動させているが、チャージワイヤ106を巻き取りリール131に対して移動するようにしても良い。要は、巻き取りリール131によるチャージワイヤ106の巻き取り時に、巻き取りリール13とチャージワイヤ106とを、リール131の回転軸方向に相対的に往復移動させれば良い。その他の構成及び作用は、第1の実施形態と同様である。
【0075】
<第3の実施形態>
次に本発明の第3の実施形態について図22を用いて説明する。以下、第1、2の実施形態と異なる構成を中心に説明し、第1、2の実施形態と同様の構成については、説明を省略または簡略にする。
【0076】
本実施形態の一次帯電器25は、チャージワイヤ106を折り返さずに1本で使用した場合の構成である。このために、送り出しリール108は電極側ケース102に配置される。また、送り出しリール108に高圧電源104を接続している。また、第1若しくは第2の実施例と同様に送り出しリール108には図5に示すようにトルクリミッタ150が内包されている。
【0077】
このような本実施形態の構成においても、ワイヤ106の巻き取りにより、巻き取りリール110の見かけ上の外径の増大によって巻き取り量が増えるため、ワイヤを全域使い切れない可能性があり、本発明を適用することは有効である。ワイヤの巻き取り制御は、巻き取りリール110の構成によって、第1の実施形態若しくは第2の実施形態と同様の制御を採用可能である。
【0078】
<他の実施形態>
上述の各実施形態では、本発明を一次帯電器に適用した構成について説明したが、その他のコロナ放電装置にも、勿論適用可能である。例えば、転写帯電器20、分離帯電器21に本発明を適用することも可能である。これにより、転写不良や分離不良の発生を抑制できる。また、上述の各実施形態では、単色のカラー画像形成装置に本発明を適用した場合について説明したが、複数の色を用いた、例えばフルカラーの画像形成装置にも本発明を適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0079】
10・・・画像形成装置、17・・・感光ドラム(像担持体)、25・・・一次帯電器(コロナ放電装置、帯電手段)、101・・・駆動側ケース、102・・・電極側ケース、105・・・巻き取り制御部、106・・・チャージワイヤ、107・・・巻き取りモータ(駆動手段)、108・・・送り出しリール(送り出し手段)、109・・・電極リール、110、131・・・巻き取りリール(巻き取り手段)、113・・・清掃部材、131a・・・リール部(巻き取り部)、140・・・リール上下動ユニット(往復移動手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールドと、前記シールド内に配設されたチャージワイヤと、を備え、前記チャージワイヤに電圧を印加することによりコロナ放電を発生させるコロナ放電装置において、
回転することにより前記チャージワイヤの巻き取りを行って、前記シールド内のチャージワイヤを移動させる巻き取り手段と、
前記巻き取り手段を回転駆動する駆動手段と、
前記巻き取り手段の回転を検知する回転検知手段と、
前記回転検知手段の検知結果から前記巻き取り手段の累積回転量をカウントし、前記チャージワイヤの径方向の積層数が増大する程、前記チャージワイヤの単位巻き取り長さに対する前記巻き取り手段の回転量を減らすように、前記駆動手段を制御する制御手段と、を有する、
ことを特徴とするコロナ放電装置。
【請求項2】
前記巻き取り手段は、回転軸方向に複数本の前記チャージワイヤを並べて配置できる巻き取り部を備え、
前記巻き取り手段による前記チャージワイヤの巻き取り時に、前記巻き取り手段と前記チャージワイヤとを前記回転軸方向に相対的に往復移動させ、前記チャージワイヤを前記巻き取り部に前記回転軸方向に並べて配置する往復移動手段を有し、
前記制御手段は、前記往復移動手段の移動方向が変わった場合に、前記移動方向が変わる前よりも前記巻き取り手段の回転量を減らすように、前記駆動手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコロナ放電装置。
【請求項3】
トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電された前記像担持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像形成手段により前記像担持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像手段と、を備えた画像形成装置において、
前記帯電手段は、請求項1又は2に記載のコロナ放電装置で、コロナ放電により前記像担持体の表面を帯電させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
シールドと、前記シールド内に配設されたチャージワイヤと、を備え、前記チャージワイヤに電圧を印加することによりコロナ放電を発生させるコロナ放電装置において、
回転することにより前記チャージワイヤの巻き取りを行って、前記シールド内のチャージワイヤを移動させる巻き取り手段と、
前記巻き取り手段を回転駆動する駆動手段と、
前記巻き取り手段の回転を検知する回転検知手段と、
前記回転検知手段の検知結果から前記巻き取り手段の累積回転量をカウントし、前記チャージワイヤの径方向の積層数が増大する程、前記チャージワイヤの単位巻き取り長さに対する前記巻き取り手段の回転量を減らすように、前記駆動手段を制御する制御手段と、を有する、
ことを特徴とするコロナ放電装置。
【請求項2】
前記巻き取り手段は、回転軸方向に複数本の前記チャージワイヤを並べて配置できる巻き取り部を備え、
前記巻き取り手段による前記チャージワイヤの巻き取り時に、前記巻き取り手段と前記チャージワイヤとを前記回転軸方向に相対的に往復移動させ、前記チャージワイヤを前記巻き取り部に前記回転軸方向に並べて配置する往復移動手段を有し、
前記制御手段は、前記往復移動手段の移動方向が変わった場合に、前記移動方向が変わる前よりも前記巻き取り手段の回転量を減らすように、前記駆動手段を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコロナ放電装置。
【請求項3】
トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体の表面を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電された前記像担持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像形成手段により前記像担持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像手段と、を備えた画像形成装置において、
前記帯電手段は、請求項1又は2に記載のコロナ放電装置で、コロナ放電により前記像担持体の表面を帯電させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−108437(P2012−108437A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259018(P2010−259018)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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