説明

コンクリートマトリックス、コンクリートセメントマトリックスおよびプレミックス中に分散させた有機繊維を含むコンクリート

【課題】補強用有機繊維を含み且つ従来技術のコンクリート混合物と比較し、とりわけ引張応力(曲げおよび直接引張応力)において改良された特性を有するコンクリート混合物の提供。
【解決手段】有機繊維を分散させ、有機繊維以外に、(a) セメント;(b) セメントマトリックスの20〜60質量%を示す粒状素材;(c) ポゾラン反応による微細素材;(d) 少なくとも1種の分散剤;を含有する組成物を水と混合することによって得られ、さらに、 前記粒状素材(b)が最大で2mmの最大粒度を有し; 前記ポゾラン反応による微細素材(c)が最大で20μmの素材粒度を有する;ことを特徴とし、さらにまた、 セメント(a)と前記微細ポゾラン反応素材(c)の添加質量に対する水の質量パーセントが8%〜25%の範囲にあり; 前記有機繊維が、少なくとも2mmの個々の長さIおよび少なくとも20のI/φ比(φは繊維直径である)を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物構成材の製造を可能とし且つとりわけ引張応力挙動(曲げおよび直接引張応力)に関して従来技術の構成材よりも良好な特性を有する新規なファイバーコンクリートに関する。使用する繊維は有機繊維である。
【背景技術】
【0002】
コンクリートの構造分析は、その機械的特性が構造的欠陥の存在に密接に関連していることを示している。多くのタイプの構造的欠陥は、これらのコンクリート混合物において、これらの混合物が機械的負荷を受けるときに観察され得る。構造的欠陥は、その大きさにより互いに区別される。
【0003】
最低スケールにおいては、コンクリートのいわゆる微孔性欠陥が観察され、これは、新鮮ペースト中に最初から存在する粒子間スペースに由来する、いわゆる毛管孔を意味する。そのサイズは、50ナノメートルから数マイクロメートルの範囲にある。
【0004】
中程度のスケールにおいては、微細亀裂欠陥が観察される。これらの欠陥は、1〜100マイクロメートル範囲の開口を有する微細亀裂である。これらの欠陥は非合体性であり、即ち、これらの欠陥は構造物中に連続通路を形成しない。これらの欠陥は、本質的には、コンクリートの不均質特性に基づくものであり、粒状材はバインダー/セメントの特性と異なる機械的および物理的特性有する。これらの欠陥は、機械的負荷がかかった時に生ずる。この欠陥タイプは、主として、コンクリートの貧弱な機械的引張応力特性および破壊し易い性質の原因となる。
【0005】
さらに上のスケールにおいては、大亀裂欠陥が観察される。その亀裂開口は100μm〜1mmで変動する。これらの亀裂は合体性である。
また、ミリメートルサイズの大きな欠陥も観測され得、この欠陥は不良なコンクリート調製(閉塞空気、充填欠陥)に基づく。
【0006】
これらの各種欠陥の存在を低減させるかまたはその効果を減衰させるための解決法は、提案されている。
【0007】
即ち、水/セメント質量比を低下させ流動化剤を使用することによって、微孔性を部分的に制御することは可能である。微細充填剤の使用は、とりわけポゾラン反応において、微孔サイズを低下させることを可能にしている。
【0008】
微細亀裂に関する限りは、以下によって大いに低減されている:
‐コンクリート均質性を、例えば、粒状材サイズを800μmに低下させことにより改善する;
‐材料稠密性を改善する(粒子最適化並びに凝結前および凝結中の必要に応じての押圧);
‐凝結後の熱処理。
【0009】
微細亀裂は、金属繊維の使用によって制御されている。
【0010】
WO-A-95/01316号は、従来技術文献として挙げることができる。該文献は、金属繊維と粒状素材(砂、粒状材)間のサイズ比を調整することに関する。この改良されたファイバーコンクリートは、セメント、粒状素材、ポゾラン反応による微細素材および金属繊維を含む。上記粒状素材は、最大で800マイクロメートルの最大粒度Dを有しなければならず;上記繊維は、4mm〜20mm範囲の個々の長さIを有さなければならず;そして、繊維の平均長LとDと間の比Rは、少なくとも10に等しくなければならない。
【0011】
得られたコンクリートは、屈曲性の延性挙動または疑似的な寒冷加工性を示す。
【0012】
また、有機繊維を含むコンクリートまたはモルタル配合物も種々の目的において示唆されており、例えば、A. BENTUR、S. MINDESSによる刊行物“Fibre reinforced cementitious composites”(Elsevier Applid Science, 1990)に開示されているように、必要に応じて金属繊維と組合せている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
当該技術の状況は、ファイバーコンクリートの配合を照準としている当業者は、材料および配合割合の多くの可能性ある選択に直面し且つ繊維よりもコンクリートセメントマトリックスに注目しており、結果として、現存のコンクリート混合物よりも改良された性質を有するコンクリートを配合しなければならず、そのコストが建築工業および公共事業におけるその効率的な使用において取引停止となるようであってはならないという問題が依然として残っていることを示している。
【0014】
目的とする次のような特性に対する回答は、金属繊維に代る有機繊維の使用レベルにおいて見出されるべきである:延性、とりわけ引張応力の増大、腐食作用の低下、ファイバーコンクリート構造物の重量軽減。あまり重要でない無線信号の減衰についても触れ得る。
【0015】
ポリマータイプの補強用繊維の存在によってもたらされる興味ある効果は、ファイバーコンクリート混合物の改良された火災挙動である。
【0016】
もう1つのさらなる解決法は、上述の欠陥、とりわけ微細亀裂の削減レベルにおいて見出されるべきである;その理由は、従来技術において説明されている実施方法は、主として、微細亀裂の発生ではなく大亀裂の発生を回避するように設計しているからである:微細亀裂は、安定化されてなく、応力下にて発生する。
【0017】
本発明の目的は、補強用有機繊維を含み且つ従来技術のコンクリート混合物と比較し、とりわけ引張応力(曲げおよび直接引張応力)において改良された特性を有するコンクリート混合物である。
【0018】
本発明のもう一つの目的は、寒冷加工性が、大亀裂の伝播を制御することにより、最初の劣化を乗り越えた改良されたコンクリート混合物を提供することである。即ち、本発明は、コンクリートに延性挙動を付与することにより、最初の劣化を乗り越えたコンクリートの使用分野を増大させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
添付図面の図1は、従来技術に従う延性特性を有するコンクリート混合物の典型的な直接引張応力曲線である。
【0020】
破壊が破壊性タイプである場合(破壊性とは、本明細書においては、破壊が突発性で進行性ではないことを意味する)、構造物設計技術者並びに構造物を計算するか或いはその安全性をチェックしなければならない技術者は、双方とも、材料の挙動法則またはこの法則を示す特徴に接する必要がある。材料の延性は、単に、制約ピークA以前に直接引張応力において生ずる非弾力的歪みに相応しているだけである。
【0021】
延性の利点を例証するには、増分中の引張荷重(下端に加える重量)に供したタイロッド(支柱、例えば、その上端の組込み物)の挙動を推測すればよい。この荷重がピーク値に達すると同時に、破壊が生じ、完了する(直接引張応力試験においては、とりわけピーク後部分は、試験を応力時に実施する場合にのみ観察し得る)。
【0022】
非弾力性材料の延性は、単純な引張応力における応力-歪み曲線全体に特徴を有するが、ピークまでのみとみなされている。また、この延性は、破壊応力に相応する弾性応力 εel=ε(σ)に対する破壊応力εの比として定義し得る(σがσよりも高いことを条件として);この比は、破壊時割線モジュラスで割った弾性率の比(OB勾配) (ピーク歪み即ちOA勾配で割ったピーク応力)の比に等しい。
【0023】
延性は延性係数δにより説明し得る:

式中、ε=ピーク歪み、および

εel= 継続中の応力下に得られる歪みを弾性的に推定することによってピーク応力下で得られるであろう歪み。
【0024】
この定義は、試験標本において観測された物理的挙動(多亀裂)に完全に一致している:最初の亀裂時に、いわゆる最初の亀裂ピークB (単なる局所的または部分的最高値である)に局所的に達し、その後、最初のピークBと曲線がこのピーク値を越え始める点Cとの間で図1において読み取り得る開口に達する;この時点で、最初の亀裂は、応力が応力を受けている容積全体において2番目の亀裂が発生するまで増大すること等から、安定化される。この挙動は、サイズ容量が高いほどより安定であり得るのみであるので強力である。
【0025】
本発明の別の目的は、最初のコンクリート劣化(即ち、微細亀裂)が生ずる応力レベルを増大させ、それによって、コンクリートの使用分野を拡大させることである(弾力的直線挙動)。
【0026】
本発明のさらにもう1つの目的は、セメントマトリックスと有機繊維の間の相乗効果により、微細亀裂の発生および大亀裂の伝播の双方に関するコンクリート挙動を改善することである。
【0027】
本発明の各目的は、特定された特徴を有するセメントマトリックスとこれも特定された特徴を有する有機繊維とを組合せるコンクリートによって達成されることが判明した。
【0028】
さらに詳細には、本発明は、一般に、有機繊維を分散させ、有機繊維以外に、
(a) セメント;
(b) 最大で2mm、好ましくは最大で1mmの最大粒子サイズDを有する粒状素材;
(c) 最大で20μm、好ましくは最大で1μmの素材粒度を有するポゾラン反応による微細素材;
(d) 少なくとも1種の分散剤;
を含有する組成物を水と混合し、そして、下記の条件:
(e) セメント(a)と素材(c)の添加質量に対する水Eの質量パーセントが8%〜25%の範囲にあること;
(f) 上記繊維が、少なくとも2mmの個々の長さIおよび少なくとも20のI/φ比(φは繊維直径である)を有すること;
(g) 平均繊維長Lと上記粒状素材の最大粒度Dとの比Rが少なくとも5であること;
(h) 上記繊維の量が、その容量が凝結後のコンクリート容量の最大で8%を示すような量であること;
を満足させることによって得られる硬化セメントマトリックスを含むコンクリートを目的とする。
【0029】
即ち、粒状骨材およびその補強用繊維との関係を新たに設計することによって、この解決法は、直面する問題を、機械的性質と流動性との間のこの妥協でもって解決している。
【0030】
本発明に従うコンクリート特性は、マトリックス内において、粒状素材(b)が、2mmを越える粒度を有する場合や、成分(a) + (b) + (c)全体の容量の25%を越えない割合で使用される場合は、実質的に改善されない。
【0031】
そのような割合のこの粒状群の存在は、以下のようである限りは、当該材料の機械的性能に関与しない充填剤であるとみなし得る:
‐成分(a)、(b)および(c)全体の粒度D50が、最大で200μm、好ましくは最大150μmであり;そして、
‐平均繊維長Lと成分(a)、(b)および(c)全体の粒度D75との比Rが、少なくとも5,好ましくは少なくとも10であること。
【0032】
粒度D75およびD50とは、通過する部分が、それぞれ、総粒子容量の75%および50%を示す篩いサイズと理解すべきである。
【0033】
従って、本発明は、有機繊維を分散させ、有機繊維以外に、
(a) セメント;
(b)粒状素材;
(c) 最大で1μm、好ましくは最大で0.5μmの粒度を有するポゾラン反応による素材;
(d) 少なくとも1種の分散剤;
を含有する組成物を水と混合し、そして、下記の条件:
(1) セメント(a)と素材(c)の添加質量に対する水Eの質量パーセントが8%〜24%の範囲にあること;
(2) 上記繊維が、少なくとも2mmの個々の長さIおよび少なくとも20のI/φ比(φは繊維直径である)を有すること;
(3) 平均繊維長Lと粒状素材(a)、(b)および(c)全体の粒度D75との比Rが、少なくとも5、好ましくは少なくとも10であること;
(4) 上記繊維の量が、その容量が凝結後のコンクリート容量の最大で8%を示すような量であること;
(5) 素材(a)、(b)および(c)の全体が、最大で2mm、好ましくは最大で1mmの粒度D75および最大で150μm、好ましくは最大で100μmの粒度D50を有すること;
を満足させることによって得られる硬化セメントマトリックスを含むコンクリートにも関する。
【0034】
上記条件(3)および(5)は、繊維含ませないで一緒にした素材(a)、(b)および(c)全体に当てはまり、使用する個々の各素材に対してではない。
【0035】
別法においては、有機繊維の一部は、金属繊維で置き換える:それによって、“ハイブリッド”複合体が得られ、その機械的挙動は、所定の性能(弾性且つ寒冷加工部分/ピーク後部分)に依存して適応化し得る。
【0036】
有機繊維の存在は、前述したように、コンクリート火災挙動の改変を可能にする。
【0037】
事実、上記繊維の溶融性は、圧力下の蒸気または水分が温度の強力な上昇時に散逸し得る通路を発生させるのを可能にする。
【0038】
有機繊維は、すなわち、ポリビニルアルコール繊維(APV)、ポリアクリロニトリル繊維(PAN)、ポリエチレン繊維(PE)、高密度ポリエチレン繊維(PEHD)、ポリプロピレン繊維(PP) (ホモ-またはコポリマー)、ポリアミドまたはポリイミド繊維、同様にアラミド繊維または炭素繊維等の中から選択し得る。また、これらの混合物も使用し得る。本発明に従い使用する補強用繊維は、市販の各種入手可能な繊維の中から選択し得、次の3つのカテゴリーに分類し得る:高モジュラス非反応繊維、低モジュラス非反応繊維、および反応繊維。後述する例示としての実施例は、なかんずく、非反応性PEHD繊維(そのモジュラスはコンクリートマトリックスのモジュラスより高い)、非反応ポリアミド繊維(PA) (そのモジュラスはコンクリートマトリックスのモジュラスより低い)、およびコンクリートマトリックスと反応性のAPV繊維に関する。
【0039】
“ハイブリッド”補強用素材は、種々の性質および/または長さを有する繊維を組合せることによって製造し得る。後述する例示としての実施例は、とりわけ、APV有機短繊維(6mm)と金属長繊維(13mm)に関し、その場合、著しい補強相乗効果が得られることを示している。同様の組合せの他の例は、下記の通りである:
APVまたはPEED短繊維(6mm)とAPV長繊維(20mm)、
金属コード短繊維(5mm)とAPV短繊維(20mm)
【0040】
これらの有機繊維は、モノストランドまたはマルチストランドのいずれかとして製造された物体形状を有し得、目的物体直径は10μm〜800μmの範囲にある。有機繊維は、織布もしくは不織布構造またはハイブリッドストランド(フィラメント混合物)の形状でも使用し得る。
【0041】
有機繊維の個々の長さは、好ましくは5mm〜40mmの範囲である。
【0042】
上記繊維の量は、その容量が凝結後のコンクリート容量の8%未満、好ましくは5%未満であるような量である。
【0043】
I/φ比(φは繊維直径)は、少なくとも20、好ましくは最大で500である。
【0044】
試験においては、1%程の低い容積を生ずる繊維量でさえも、マトリックス配合を勘案すれば、有効であり得るが、この値を限界値とみなすべきでないことが示されていた。
【0045】
事実、有用な用量は、繊維形状、繊維の化学的性質および繊維固有の機械的性質(弾性率、流動性閾値、機械的強度)に強く依存する。
【0046】
異なる特徴を有する繊維混合物の使用は、所望の特性に関してコンクリートの性質を適応化させることを可能にする。
【0047】
有利には、セメントマトリックス中の平均密着応力は、繊維の性質にもよるが、少なくとも2 MPa、好ましくは少なくとも5 MPaでなければならない。
【0048】
この応力は、以下で説明するように、コンクリートブロック中に埋め込んだ単繊維における抽出試験により測定する。
【0049】
繊維/マトリックスの密着レベルは、個々にまたは同時に実施し得る数種の方法を使用して調整し得る。
【0050】
セメントマトリックス中の繊維の密着性は、繊維とセメントマトリックス間の反応性によって得ることができ、この密着性は、コンクリートで実施する熱処理(硬化)によりまたは繊維表面処理により増強し得る。
【0051】
第2の方法によれば、セメントマトリックス中の繊維密着応力は、下記の化合物の少なくとも1種を組成物中に含ませることによって得ることができる:本質的にシリカを含むシリカ化合物、沈降炭酸カルシウム、ポリビニルアルコール水溶液、リン酸塩類、ラテックス類、界面活性剤(脱泡剤、湿潤剤等)またはこれら化合物の混合物。
【0052】
本質的にシリカを含むシリカ化合物とは、沈降シリカ、シリカゾル、焼成シリカ(エロジールタイプ)、シリコ-アルミナ、例えば、RHODIA Chimie社から市販されているTixosil 28の中から選ばれる合成生成物、またはクレータイプの天然生成物のエッチングにより得られる生成物:スメクタイト、ケイ酸マグネシウム、海泡石、モンモリロナイトを意味する。
【0053】
好ましくは、少なくとも1種の沈降シリカを使用する。
【0054】
沈降シリカとは、沈降媒質の適切なpH、とりわけ塩基性、中性または僅かに酸性のpHにおいて、アルカリ金属ケイ酸塩と通常無機の酸との反応からの沈降により得られるシリカを意味する。
【0055】
通常、導入する沈降シリカ量は、コンクリート総組成に対して乾燥質量で0.1%〜5%の範囲で含ませる。5%を越えると、流動性問題がコンクリート調製において観察される。
【0056】
沈降シリカは、好ましくは、水性懸濁液として組成物に導入する。とりわけ、このシリカは、下記を有する水性シリカ懸濁液であり得る:
‐10質量%〜40質量%範囲の乾燥物含有量;
‐50s-1剪断において4・10−2Pa・sよりも低い粘度;
‐懸濁液中に含有させたシリカ質量の50%よりも高い、7000rpmで30分間での懸濁液上清中に含まれたシリカ量。
【0057】
この懸濁液は、特許出願WO-A-96/01787号にさらに詳細に記載されている。RHODIA Chimie社から市販されているRhoximat 60 SLシリカ懸濁液は、このコンクリートタイプにとりわけ適している。
【0058】
有利には、コンクリートマトリックスはマトリックスの靭性(tenacity)を改良できる成分も含み、該成分は針状または血小板状の要素の中から選ばれ、その平均サイズは最大で1mmであり、粒状(b)とポゾラン(c)素材の添加容量の2.5%〜35%の容量割合で配合する。マトリックス靭性は、好ましくは少なくとも15J/m2、有利には少なくとも20J/m2である。
【0059】
“セメントマトリックス”とは、繊維を含まない硬化セメント組成物を意味する。
【0060】
粒状素材は、本質的に、有利には珪砂、とりわけ石英粉を含み得る篩分けまたは粉砕した微細砂または微細砂混合物である。
【0061】
これら素材の最大粒度Dは、好ましくは最大で1mmまたは500μmである。
【0062】
これらの粒状素材は、一般的にセメントマトリックス質量の20%〜60%、好ましくはセメントマトリックス質量の25%〜50%の範囲で配合する。
【0063】
上記繊維の平均長L対上記粒状素材の最大粒度Dの比は、とりわけ上記粒状素材が1mmの最大粒度を有するときに少なくとも5である。
【0064】
本発明に従う組成物のセメントは、有利にはポルトランド CPA PMES、HP、hpr, CEM I PMES、52.5もしくは52.5RまたはHTS (高シリカ含有量)のようなポルトランドセメントである。
【0065】
ポゾラン反応による微細素材は、少なくとも0.1μm、最大で20μm、好ましくは最大で0.5μmの素材粒度を有する。該微細素材は、フライアッシュ、高炉スラグ、カオリンのようなクレー誘導体のようなシリカ類の中から選ばれる。シリカは、シリコン産業からのシリカスモークの代りにジルコニウム産業からのシリカスモークであってもよい。
【0066】
本発明に従う組成物の水/セメント質量パーセントは、セメント代替物、とりわけポゾラン反応素材を使用する場合に変動し得る。水の割合は、ポゾラン反応素材を含むセメントの添加量に対する水分量Eの質量比によって決まる:水分量は、約8%〜25%または13%〜25%で変動する。
【0067】
また、本発明に従う組成物は、分散剤も含む。この分散剤は、一般的に、流動化剤である。流動化剤は、リグノスルホン酸塩、カゼイン、ポリナフタレン類、とりわけアルカリ金属ポリナフタレンスルホン酸塩類、ホルムアルデヒド誘導体、アルカリ金属ポリアクリル類塩類、アルカリ金属ポリカルボン酸塩類およびグラフト化エチレンポリオキサイド類のなかから選ばれる。一般的に、本発明に従う組成物は、セメント100質量部に対して0.5〜2.5重量部の流動化剤を含む。
【0068】
他の薬剤、例えば、消泡剤も、本発明に従う組成物に添加剤し得る。例えば、消泡剤としては、とりわけポリジメチルシロキサンを含ませ得る。
【0069】
これらの添加剤タイプのうちでは、とりわけ、溶液形、固形(好ましくは樹脂形状の)、オイル形またはエマルジョン形(好ましくは水中の)のシリコーン類に触れる価値がある。とりわけ適し得るのは、パターン:M(RSiO0.5)およびD(R2SiO)を本質的に含むシリコーン類である。これらの式中、R基は、同一または異なっていてもよく、とりわけ、水素および1〜8個の炭素原子を含むアルキル基から選ばれ、メチル基が好ましい。上記パターン数は、好ましくは30〜120の範囲である。
【0070】
組成物中のそのような薬剤の量は、一般的に、はセメント100部に対して最大で5重量部である。
【0071】
粒度は、全て、MET (透過型電子顕微鏡)またはMEB (走査型電子顕微鏡)を使用して測定する。
【0072】
上記コンクリートは、固形成分と水を混合し、成形し(モールディング、注型、射出、ポンピング、押出、カレンダー加工)、硬化させる、当業者にとって周知の任意の方法によって製造する。
【0073】
得られたコンクリートは、所望の機械特性を得るための所定時間、周囲温度〜100℃の好ましくは60℃〜100℃の温度で硬化(養生)に供し得る。硬化時間は、6時間〜4日の範囲であり、最適時間は2日程度であり、効果は混合物の凝結終了後、凝結開始から少なくとも1日後に開始する。
【0074】
硬化は、乾燥または湿潤条件下で、或いは、両環境を、例えば、24時間の湿潤環境での硬化およびその後の24時間乾燥環境での硬化を交互に行うサイクルによって実施する。
【0075】
この硬化は、凝結を終えた、好ましくは少なくとも1日経過した、より好ましくは少なくともおよそ7日を経過したコンクリートにおいて実施する。
【0076】
石英粉の添加は、コンクリートを高温で硬化させるときに、とりわけ有用である。
【0077】
本発明に従って得られたコンクリート混合物は、通常、少なくとも6 MPaの直接引張応力Rtを示し、おそらくは幾分かの延性を有する挙動を伴っている。
【0078】
また、本発明に従うコンクリート混合物は、また少なくとも20 MPaの4点曲げ強度Rf、少なくとも140 MPaの圧縮強度Rc、および少なくとも2000 J/m2の破壊エネルギーWfも示す。
【0079】
セメントマトリックスの靭性は、とりわけ、セメント組成物に、異方性形状および最大で1mm、好ましくは最大で500μmの平均粒度を有する補強剤を添加することによって得られる。
【0080】
一般に、本発明に従う組成物の補強剤は、針または血小板の形状を有して存在する。
【0081】
微細補強剤“粒度”とはその最大寸法(さらに詳細には、針状形においては長さ)の平均サイズを意味する。
【0082】
これらの補強剤は、天然または合成生成物であり得る。
【0083】
針状形の補強剤は、珪灰石繊維、ボーキサイト繊維、ムライト繊維、チタン酸カリウム繊維、炭化ケイ素繊維、リン酸塩繊維(例えば、リン酸カルシウム繊維、とりわけヒドロキシアパタイト(HAP))、セルロース(またはその誘導体)繊維、炭素繊維、炭酸カルシウム繊維、(アルカリ耐性)ガラス繊維の中から選択し得る。ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、高密度ポリエチレン、ポリアミド、アラミドまたはポリプロピレンの短繊維(最大で2mm、好ましくは最大で1mmの長さ)も使用し得る。金属ウールのような材料も、本発明に従う補強剤の定義に含まれる。
【0084】
血小板状形として補強剤は、血小板状雲母、血小板状タルク、複合血小板状シリケート(クレー)、血小板状バーミキュライト、血小板状アルミナの中から選択する。
【0085】
これらの種々の形状またはタイプの微細補強剤の混合物を本発明に従うコンクリート組成物において使用することも可能である。
【0086】
これらの補強剤は、表面上で、次の成分の少なくとも1種から得られる高分子有機コーティングを示し得る:ポリビニルアルコール、シラン類、シリコネート類、シロキサン樹脂類またはポリオルガノシロキサン類、または(i) 少なくとも1種の3〜22個の炭素原子を含有するカルボン酸、(ii) 少なくとも1種の2〜25個の炭素原子を含有する多官能性芳香族または脂肪族アミンまたは置換アミンおよび(iii) 水溶性金属複合体であり、亜鉛、アルミニウム、チタニウム、銅、クロム、鉄、ジルコニウムおよび鉛の中から選ばれた少なくとも1種の金属を含有する架橋剤間の反応生成物。
【0087】
上記コーティングの厚さは、0.01μm〜10μm、好ましくは0.1μm〜1μmで変動し得る。
【0088】
ラテックス類は、スチレン-ブタジエンラテックス類、アクリルラテックス類、スチレン-アクリルラテックス類、メタクリルラテックス類、カルボキシル化およびホスホン酸化ラテックス類から選択し得る。カルシウム錯化官能基を有するラテックス類が好ましい。
【0089】
上記ポリマー有機コーティングは、流動床中またはFORBERGタイプのミキサーを使用して、上記補強剤を上述した化合物の1つの存在下に処理することによって得ることができる。
【0090】
好ましい化合物としては、H240ポリオルガノシロキサン、Rhodorsil 878、865および1830 PX シロキサン樹脂、403/60/WSおよびWB LS 14
Manalox (いずれも、RHODIA Chimie社から市販されている)、カルシウムシリコオネートがある。
【0091】
そのような処理は、天然生成物である補強剤においてとりわけ推奨される。
【0092】
上記コンクリートは、密着性ワイヤーまたは密着性ストランドによるプレテンションにおけるプレストレス型であるか、或いはグリース被覆モノストランドによるまたは被覆ケーブルもしくは棒によるポストテンションにおけるプレストレス型のいずれかあり得、上記ケーブルはワイヤーアッセンブリまたはストランド製であり得る。
【0093】
プレストレスまたはポストストレス形いずれかのプレストレスは、本発明に従うコンクリート製品にとりわけ良好に適している。
【0094】
金属プレストレスケーブルは、常に極めて高い引張応力強度を有し、間違って使用すると、これらのケーブルを含むマトリックスの脆弱性により、コンクリート構造素材の寸法を最適化することができない。
【0095】
高性能コンクリート混合物を使用して、改良がすでに得られている;本発明に従うコンクリートの場合、材料は、有機またはハイブリッド繊維により均質に補強され、それによって、高機械的性能を達成し得、同時に幾分かの延性を伴っている。この材料のケーブルまたはストランドの使用によるプレストレスは、その方式の如何にかかわらず、ほぼ完全に使用されて、極めて抵抗性の張力があり可撓性のある、従って、最適化されたコンクリート素材が創生される。
【0096】
この機械的強度の増大の結果として得られた容量低減は、極めて軽量のプレハブ素材を生ずる。結果として、大きな長さのコンクリート素材をその軽重量のために簡単に運搬されるという可能性が提供される;このことは、ポストテンションにおけるプレテンションを広範囲に使用する大工作物を構築するのに良好に適する。本解決法は、このような作業タイプにおいて、とりわけ好ましい組み立て利得および作業場時間を提供する。
【0097】
さらにまた、熱処理は、硬化後の収縮を有意に減少させ、それによって時間的なプレストレス性損失を抑制する。
【0098】
この特性はとりわけ所望されており、上述した利点の全てが、工作部の経時的な耐久性および保全のとって全く好ましい製品の極めて低い透過性と相俟って、本材料を鉄鋼工作物に有利に置き換えるのを可能にしている。
【0099】
また、本発明は、上述のコンクリートを取得し、提供するのに適応させたセメントマトリックスにも関する。
【0100】
最後に、本発明は、上述のコンクリートおよびマトリックスを製造するのに必要な上記成分の全てまたは一部を含む予備混合物にも関する。
【0101】
以下、実施例により本発明を例示するが、本発明の範囲を限定するものではない。
【0102】
サンプル調製
1)原材料
‐ポルトランドセメント:高シリカ含有量、HTSタイプ(LAFARGE社、フランス)
‐砂:BE 31珪砂(SIFRACO社、フランス)
‐珪砂粉:C 400グレード、粒子の50%は10μm未満(SIFRACO社、フランス)
‐シリカスモーク(silica smoke):ジルコニウムの製造から得られるガラスマイクロシリカ(SEPR社、フランス)
‐補助剤:X 404 (MAPEI社、イタリア)またはOPTIMA 100(CHRYSO社、フランス)液体超可塑剤
‐繊維:有機繊維は、APV(KURARAY RM 182、 RF 1500及びRF 4000、UNITIKA 1800)、PEHD(DSM-Dyneema)又はPA(FILTEC PAK 50)である。これらの繊維は、繊維径50μm〜600μmで繊維長5mm〜32mmのモノフィラメント(monostrands)である。使用量は、容量で1%〜5%の範囲である(総容量に関して)。
‐針状補強剤:珪灰石(CaSiO3)NYAD Gグレード(NYCO社、米国)
‐血小板状補強剤:マイカ(白雲母)MG 160グレード(KAOLINS D’ARVOR社、フランス)
【0103】
2)製造手順
これらの成分を以下の順序で混合する:
‐マトリックス微粉成分と追加成分とをブレンドする、
‐水と補助剤の一部とを導入する、
‐混合する、
‐流動化剤の残り部分を導入する、
‐混合する、
‐補強用繊維を導入する、
‐混合する。
混合時間は、使用するミキサーのタイプ(EIRICHまたはHOBART)によって大きく変動する。
気体放出(outgassing)は、工程の最後の段階で速度を落として混合することで、より容易にできる。
次いで、通常の手順に従い、モールドに充填し、振動させる。
【0104】
3)硬化
‐20℃で熟成(maturing)。試験サンプルは、注型後48時間でモールドから取り出す。次いで、約20℃で少なくとも14日間水に浸して保存することを内容とする処理を施す。注入から26日乃至28日後に試験サンプルを機械加工(切り取り)(実施する試験次第で決まる)して、試験は、その翌日から行なう。
‐90℃での熱処理。試験サンプルは、注入の48時間後に型から取り出す。90℃で24時間オーブン中で湿潤空気(>90℃ RH)中で保存し、次いで、24時間乾燥空気中で保存するということを内容とする熱処理を施す。機械加工は、注型から6日後に行い、試験は、その翌日から行なう(注型から少なくとも7日以後)。
【0105】
製造方法
直接引張応力挙動:Rt
この値は、70×50mm高さ50mmの有効サンプル部分を得るために70×70×280mmのプリズムから切り取ったダンベル型の試験サンプルについて行なった直接引張応力試験で得た値である。試験サンプルは、注意深く、心出しして、一自由度系の(knee cardan type articulation付きのリンク無し)試験バンク(UTS)にしっかり固定する。

上式において、Fmaxは、70×50mm中央部分で生じる破壊についてのN(ピーク)での最大強度を表わす。
延性係数:σ
延性係数σは、下記の関係式で表される:

上式において、εAは、ピークでの変形であり、

は、運転応力(running
stress)下で得られる歪みの値を弾性的に外挿することによってピーク応力下で得られるであろう歪みである。
【0106】
曲げ挙動:Rf
i)4点曲げ
Rfは、膝型ベアリングに取り付けた70×70×280mmプリズム型試験サンプルでの4点曲げ(アクスル間の距離:70×210)で得られる値である。

上式において、Fmaxは、N(ピークでの強度)における最大強度を表わし、I = 210mm及びI’ = 1/3並びにd = w = 70mmである。
ii)3点曲げ
3点曲げ(アクスル間の距離:200)で得られた値Rfは、膝型ベアリングに取り付けた40×40×250mmプリズム型試験サンプルで得られた値である。

上式において、Fmaxは、N(ピークでの強度)における最大強度を表わし、I = 200mm及びd = w = 40mmである。
【0107】
圧縮挙動:Rc
Rcは、修正(rectified)円筒形サンプル(直径70mm/高さ140mm)での直接圧縮で得られた値である。

上式において、Fは、Nにおける破壊強度を表わし、dは、サンプル径(70mm)である。
【0108】
靭性:Kc、Gc
靭性は、破断線力学(Break Linear Mechanics)のフォルマリズムを用いて応力(限界応力度係数:Kc)又はエネルギー(エネルギー限界率:Gc)で表わされる。
試験は、ノッチをつけた40×40×250又は70×70×280mmプリズム、即ち、SENB幾何学的サンプル(ASTM - E 399 - 83法)からの3点曲げ試験で行なう。断面V字型ノッチは、ダイアモンド円盤を備えたフライス盤を用いてこれらのプリズムに乾式で付ける。ノッチの相対的な深さ(a / w)は、0.4(a:ノッチの深さ、w:サンプルの高さ)。
応力度限界係数Kcは、不安定性点での破壊荷重F及び亀裂長3から得られる(SCHENCK万能試験機を用いての10-2 mm / sでのサーボ移動試験)。

上式において:
Iは、支持点間のアクスル間の距離(曲げ距離)を表わす:= 210 mmであり、
d及びwは、それぞれ、サンプルの深さ及び高さであり、
aは、破壊の間のノッチの長さであり、
Yは、亀裂の長さに依存する形状のパラメタ(α = a / w)である。3点曲げ試験では、好ましくは、SRAWLEY J.E.(International J. of Fracture (1976), vol. 12, pp. 475-476)によるYパラメタを用いる:

Gcは、干渉歪みに因る影響を排除するという条件及び分散エネルギーが靭帯部分において報告される:(w / a)× dという条件に基づいて強度シフト曲線から得られる。
平面歪みでは、KcとGcとの間に単純な関係が成り立つ:

上式において、
Eは、弾性率であり、
vは、ポアソン係数を表わす。
Eは、実験的に、基本振動数決定(GRINDO-SONIC法)から2点で支持してプリズム型サンプルベアリングを振動せしめることによって得られる。
【0109】
破壊エネルギー:Wf
Wfは、70×70×280mmプリズムを用いた4点曲げ試験で得られた力‐弛み(force-sag)曲線下にある総面積を定量することで得られる値である。弛みの測定値は、実際のサンプルシフトを決定するために修正する。

上式において、Fは、掛けられる力であり、σcは、実際のシフト(修正弛み)であり、d×wは、サンプル部分である。
【0110】
密着性
セメントマトリックス中の有機繊維の密着性については、コンクリートブロックに埋め込まれた単フィラメントの引き抜き試験によって応力を判定する。
ワイヤー状にした有機繊維をコンクリートブロック(寸法4×4×4cm)に埋め込む。用いる組成は、機械的な試験(曲げ、圧縮及び引張)で用いた試験サンプルに適用したそれと同じである。:水/セメント比は、0.25に設定する。
長さ10mmの埋め込まれたワイヤーを、万能試験機を用いて速度0.1mm/minで張力を掛けて、引き抜く。
この場合掛ける応力は、改造型力センサーを用いて測定し、(サンプルに関しての)ワイヤーのシフトは、伸び計センサーを用いて測定する。
平均密着応力(adherence stress)は、下記の単純化された式から評価する:

上式において、Fmaxは、測定される最大力、φは、ワイヤーの径であり、Ieは、埋め込み深さである。
【0111】
実施例
下記の表I乃至VIに掲げる繊維を用いて繊維コンクリート混合物を製造する。このコンクリート混合物の組成は、下記の表II乃至VIに記載の通りである。これらの組成は、重量をベースにしている。
前記コンクリート混合物の性能は、下記の表II乃至V及び図2乃至14に示す通りである。
これらの図について説明すると:
【0112】
図2は、E/C比=0.2及び20℃での硬化(28日間):スティール繊維(スティールコード)と有機繊維(APV)との比較の、コンクリートサンプルについて、縦軸に応力値(MPa)を取り横軸に弛みの値(mm)を取って、4点曲げ試験によって得たグラフである。
【0113】
図3は、E/C比=0.2及び90℃での熱処理:スティール繊維(スティールコード)と有機繊維(APV)との比較の、コンクリートサンプルについて、縦軸に応力値(MPa)を取り横軸に弛みの値(mm)を取って、4点曲げ試験によって得たグラフである。
【0114】
図4は、E/C比=0.2及び20℃での硬化(28日間):有機繊維(APV)の、コンクリートサンプルについて、縦軸に応力値(MPa)を取り横軸に延伸値(mm)を取って、直接引張応力試験によって得たグラフである。
【0115】
図5は、E/C比=0.2及び90℃での熱処理:有機繊維(APV)の、コンクリートサンプルについて、縦軸に応力値(MPa)を取り横軸に延伸値(mm)を取って、直接引張応力試験によって得たグラフである。
【0116】
図6は、E/C比=0.24及び20℃での硬化(28日間):有機繊維(APV)の、珪灰石含有コンクリートサンプルについて、縦軸に応力値(MPa)を取り横軸に延伸値(mm)を取って、直接引張応力試験によって得たグラフである。
延性基準値σは、ほぼ3乃至5の間で変動していた。
【0117】
図7は、E/C比=0.25及び90℃での熱処理:APV RF1500繊維の、コンクリートサンプルについて、縦軸に力(N)を取り横軸にシフトの値(mm)を取って、3点曲げ試験によって得たグラフである。
【0118】
図8は、E/C比=0.25及び90℃での熱処理:種々の繊維長(10mm乃至30mm)のAPV RF1500繊維の、コンクリートサンプルについて、縦軸に力(N)を取り横軸にシフトの値(mm)を取って、3点曲げ試験によって得たグラフである。
【0119】
図9は、E/C比=0.25及び90℃での熱処理:PAHD繊維の、コンクリートサンプルについて、縦軸に力(N)を取り横軸にシフトの値(mm)を取って、3点曲げ試験によって得たグラフである。
【0120】
図10は、E/C比=0.25及び90℃での熱処理(48時間)のコンクリートマトリックスにおいてAPV有機繊維(2容量%のRF 1500及び2容量%のRF 4000)のブレンド効果を示す3点曲げ試験によって得たグラフである。
【0121】
図11は、表Vに掲げる組成18及び19とPEHD繊維との3点曲げ試験において得られた応力/シフト曲線を表わすグラフである。
【0122】
図12は、表Vにある組成20及び21とPA繊維との図11のグラフと類似のグラフである。
【0123】
図13は、表Vに掲げる組成22、23及び24とAPV繊維との並びに組成25とAPV/スチールハイブリッドとの図11及び12のグラフと類似のグラフである。
【0124】
図14は、表Vに掲げる組成18(PEHD)、20(PA)及び23(APV)による種々のタイプの繊維の挙動を比較するための図11乃至13のグラフと類似のグラフである。
【0125】
図15は、表VIに掲げる組成のマトリックスを有する、縦軸に掛ける力を取り横軸にシフトを取って、種々の繊維タイプについて単フィラメント引き抜き(pull - out)試験において得た結果を図示しているグラフである。
【0126】
実施例18乃至25における3点曲げ試験において得られた結果は、40×40×160mmプリズム型試験サンプルでアクスル間の距離120mmを用いて行なった試験の結果と対応している。
【0127】
コンクリートマトリックスに分散した繊維による強化効果は、(4点)曲げ試験を介して見ると明らかに向上している:図2及び3。4容量%の割で導入したポリビニルアルコール繊維(APV)は、スチールコードの分散(2容量%)によって得られた結果と類似の挙動を示している。熱処理(90℃)によって、APV繊維とコンクリートマトリックスとの間に反応性が生じている:よって、(4点)曲げにおいて高いピーク応力が観察されている。
【0128】
直接引張応力では(図4及び5)、ポリビニルアルコール繊維(APV)4容量%の存在下で大きな常温加工効果(延性)が観察されている:引張応力試験サンプルでは大きな多数の亀裂が生じている。この現象は、スチールコードの場合には、観察されない。スチールコードの剛性が高く、且つこれがコンクリートマトリックスに平均して密着しているからである。ピークの値は、90℃の熱処理の場合に、大幅に向上している。
【0129】
APV繊維を珪灰石含有母材に分散させた場合(図6)、同様の挙動が観察され、最初の損傷応力(damage stress)が増大する。
【0130】
有機繊維の存在下で、3点曲げで試験したコンクリートミックスは、高い延性を示している:ピーク応力、ピーク後分散エネルギーまでの常温加工性が高い。これは、APVポリビニルアルコール繊維(図7)の場合も高密度ポリエチレン繊維(図9)の場合も、いずれも観察される。
【0131】
繊維長は、最適化する必要がある:レオロジーと機械的性能との間の妥協的調整である。例えば、約400μm径のAPV繊維の場合、約18mmの繊維長の近くで転移点が存在すること(図8)が観察されている。これにより、長さ比が50のオーダーとなっている。
【0132】
繊維ブレンドの利点は、図10に掲げる通りである。一方において、平均的寸法のAPV繊維(KURARAY 1500:4容量%)によってコンクリートの曲げ強度が向上するに至っている(ピークでの応力)ことが観察されており、他方、これより寸法の大きなAPV繊維(KURARAY 4000:4容量%)の場合、曲げにおいてエネルギー分散(ピーク後の部分)が大幅に増大し、抵抗(ピークでの応力)が減少している。これらの二つの繊維を組み合わせると、驚いたことに、曲げ抵抗(剛軟度)(ピーク応力)と分散エネルギー(延性)とがいずれも改善している強化コンクリートが得られる:(図10)。
【0133】
この目的のための効果は、ハイブリッド強化:即ち、有機繊維と金属繊維との組み合わせ、によって得られる。
本発明は、以上に記述した実施例に限らない。
【0134】
本願発明は、特許請求組成又はその均等組成の他に、これらの特許請求組成又はその均等組成が予期された効果を生成することを妨げないような追加の成分から成るような並びにコンクリートマトリックスの調製に必要な成分の全て又はその一部から成る予混合物から成るようなコンクリート混合物も包摂するものである。
【0135】

【0136】

【0137】

【0138】

【0139】

【0140】

【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】従来技術に従う延性特性を有するコンクリート混合物の典型的な直接引張応力曲線である。
【図2】E/C比=0.2及び20℃での硬化(28日間):スティール繊維(スティールコード)と有機繊維(APV)との比較の、コンクリートサンプルについて、縦軸に応力値(MPa)を取り横軸に弛みの値(mm)を取って、4点曲げ試験によって得たグラフである。
【図3】E/C比=0.2及び90℃での熱処理:スティール繊維(スティールコード)と有機繊維(APV)との比較の、コンクリートサンプルについて、縦軸に応力値(MPa)を取り横軸に弛みの値(mm)を取って、4点曲げ試験によって得たグラフである。
【図4】E/C比=0.2及び20℃での硬化(28日間):有機繊維(APV)の、コンクリートサンプルについて、縦軸に応力値(MPa)を取り横軸に延伸値(mm)を取って、直接引張応力試験によって得たグラフである。
【図5】E/C比=0.2及び90℃での熱処理:有機繊維(APV)の、コンクリートサンプルについて、縦軸に応力値(MPa)を取り横軸に延伸値(mm)を取って、直接引張応力試験によって得たグラフである。
【図6】E/C比=0.24及び20℃での硬化(28日間):有機繊維(APV)の、珪灰石含有コンクリートサンプルについて、縦軸に応力値(MPa)を取り横軸に延伸値(mm)を取って、直接引張応力試験によって得たグラフである。
【図7】E/C比=0.25及び90℃での熱処理:APV RF1500繊維の、コンクリートサンプルについて、縦軸に力(N)を取り横軸にシフトの値(mm)を取って、3点曲げ試験によって得たグラフである。
【図8】E/C比=0.25及び90℃での熱処理:種々の繊維長(10mm乃至30mm)のAPV RF1500繊維の、コンクリートサンプルについて、縦軸に力(N)を取り横軸にシフトの値(mm)を取って、3点曲げ試験によって得たグラフである。
【図9】E/C比=0.25及び90℃での熱処理:PAHD繊維の、コンクリートサンプルについて、縦軸に力(N)を取り横軸にシフトの値(mm)を取って、3点曲げ試験によって得たグラフである。
【図10】E/C比=0.25及び90℃での熱処理(48時間)のコンクリートマトリックスにおいてAPV有機繊維(2容量%のRF 1500及び2容量%のRF 4000)のブレンド効果を示す3点曲げ試験によって得たグラフである。
【図11】表Vに掲げる組成18及び19とPEHD繊維との3点曲げ試験において得られた応力/シフト曲線を表わすグラフである。
【図12】表Vにある組成20及び21とPA繊維との図11のグラフと類似のグラフである。
【図13】表Vに掲げる組成22、23及び24とAPV繊維との並びに組成25とAPV/スチールハイブリッドとの図11及び12のグラフと類似のグラフである。
【図14】表Vに掲げる組成18(PEHD)、20(PA)及び23(APV)による種々のタイプの繊維の挙動を比較するための図11乃至13のグラフと類似のグラフである。
【図15】表VIに掲げる組成のマトリックスを有する、縦軸に掛ける力を取り横軸にシフトを取って、種々の繊維タイプについて単フィラメント引き抜き(pull - out)試験において得た結果を図示しているグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機繊維を分散させ、有機繊維以外に、
(a) セメント;
(b) セメントマトリックスの20〜60質量%を示す粒状素材;
(c) ポゾラン反応による微細素材;
(d) 少なくとも1種の分散剤;
を含有する組成物を水と混合することによって得られ、さらに、
(1) 前記粒状素材(b)が最大で2mmの最大粒度を有し;
(2) 前記ポゾラン反応による微細素材(c)が最大で20μmの素材粒度を有する;
ことを特徴とし、さらにまた、
(3) セメント(a)と前記微細ポゾラン反応素材(c)の添加質量に対する水の質量パーセントが8%〜25%の範囲にあり;
(4) 前記有機繊維が、少なくとも2mmの個々の長さIおよび少なくとも20のI/φ比(φは繊維直径である)を有し;
(5) 前記繊維の量が、その容量が凝結後のコンクリート容量の最大で8%を示すような量であり;
(6) 平均繊維長Lと上記粒状素材の最大粒度Dとの比Rが少なくとも5であり;
(7) 前記有機繊維の一部が金属繊維で置き換えられ、金属繊維が少なくとも2mmの個々の長さIおよび少なくとも20のl/φ伸長比(φは繊維直径である)を有する
ことを特徴とする硬化セメントマトリックスを含むコンクリート。
【請求項2】
前記粒状素材(b)の最大粒度が最大で1mmであり、前記微細素材(c)の素材粒度が最大で1μmである、請求項1記載のコンクリート。
【請求項3】
有機繊維を分散させ、有機繊維以外に、
(a) セメント;
(b) セメントマトリックスの20〜60質量%を示す粒状素材;
(c) ポゾラン反応による微細素材;
(d) 少なくとも1種の分散剤;
を含有する組成物を水と混合することによって得られ、さらに、
(1) 前記微細素材(c)の素材粒度が最大で1μmである;
ことを特徴とし、さらにまた、
(2) セメント(a)と前記微細ポゾラン反応素材(c)の質量に対する水の質量パーセントが8%〜20%の範囲にあり;
(3) 前記有機繊維が、少なくとも2mmの個々の長さIおよび少なくとも20のI/φ比(φは繊維直径である)を有し;
(4) 前記繊維の量が、その容量が凝結後のコンクリート容量の最大で8%を示すような量であり;
(5) 素材(a)、(b)および(c)の全体が最大で2mmの粒度D75および最大で150μmの粒度D50を有し;そして、
(6) 平均繊維長Lと上記粒状素材(a)、(b)および(c)全体の粒度D75との比Rが少なくとも5であり;
(7) 前記有機繊維の一部が金属繊維で置き換えられ、金属繊維が少なくとも2mmの個々の長さIおよび少なくとも20のl/φ伸長比(φは繊維直径である)を有する
ことを特徴とする硬化セメントマトリックスを含むコンクリート。
【請求項4】
前記コンクリートが短および長有機繊維および/または金属繊維の組合せを含む、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項5】
前記素材(a)、(b)および(c)全体が最大で1mmの粒度D75および最大で100μmの粒度D50を有し、比Rが10である、請求項3記載のコンクリート。
【請求項6】
前記コンクリートが、直接引張応力において、延性係数δに関して示される延性 δ>1を有する、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項7】
δ>1.25である、請求項6記載のコンクリート。
【請求項8】
前記有機繊維が、ポリビニルアルコール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリエチレン繊維、高密度ポリエチレン繊維、ポリアミドまたはポリイミド繊維、ポリプロピレン繊維、アラミド繊維、およびこれら繊維の混合物である、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項9】
前記有機繊維のI/φ比が最大で500である、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項10】
前記硬化セメントマトリックス内の上記繊維の平均密着応力が少なくとも2 MPaである、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項11】
前記マトリックス中の繊維密着性を増大させる機能を有する下記の化合物の少なくとも1種をさらに含む、請求項1または3記載のコンクリート:
本質的にシリカを含むシリカ化合物、沈降炭酸カルシウム、水溶液中のポリビニルアルコール、リン酸塩、ラテックス類、消泡剤またはこれら化合物の混合物。
【請求項12】
前記シリカ化合物が、総コンクリート質量に対し、乾燥基準で、0.1質量%〜5質量%の範囲の含有量で導入した沈降シリカである、請求項11記載のコンクリート。
【請求項13】
前記沈降シリカを前記組成物中に水性懸濁液として導入する、請求項12記載のコンクリート。
【請求項14】
前記コンクリートがマトリックス靭性を改良するための素材を含み、該素材が針状または血小板状素材の中から選択され、その平均サイズが最大で1mmであり、粒状素材(b)およびポゾラン反応素材(c)の添加容量の2.5%〜35%の容量割合で配合される、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項15】
セメントマトリックス靭性が少なくとも15 J/m2である、請求項14記載のコンクリート。
【請求項16】
前記靭性改良素材が最大で500μmの平均サイズを有する、請求項14記載のコンクリート。
【請求項17】
前記靭性改良素材が、粒状素材(b)およびポゾラン反応素材(c)の添加容量の5%〜25%の容量割合で配合される、請求項16記載のコンクリート。
【請求項18】
前記針状靭性改良素材が、珪灰石繊維、ボーキサイト繊維、ムライト繊維、チタン酸カリウム繊維、炭化ケイ素繊維、セルロース繊維またはその誘導体、炭素繊維、リン酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、ガラス繊維または該繊維を粉砕することによって得られた誘導体および該繊維の混合物、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、高密度ポリエチレン、ポリアミド、アラミドまたはポリプロピレン短繊維の中から選ばれる、請求項14記載のコンクリート。
【請求項19】
前記血小板状物が、血小板状雲母、血小板状タルク、複合血小板状シリケート、血小板状バーミキュライト、血小板状アルミナおよびアルミネート、およびこれら血小板物の混合物から選ばれる、請求項14記載のコンクリート。
【請求項20】
前記靭性改良素材の少なくとも1部が、表面上で、下記の成分の少なくとも1種から得られる高分子有機コーティングを有する請求項16記載のコンクリート:
ポリビニルアルコール、シラン類、シリコネート類、シロキサン樹脂類、ポリオルガノシロキサン類、または(i) 少なくとも1種の3〜22個の炭素原子を含有するカルボン酸、(ii) 少なくとも1種の2〜25個の炭素原子を含有する多官能性芳香族または脂肪族アミンまたは置換アミンおよび(iii) 水溶性金属複合体であり、亜鉛、アルミニウム、チタニウム、銅、クロム、鉄、ジルコニウムおよび鉛の中から選ばれた少なくとも1種の金属を含有する架橋剤との反応生成物。
【請求項21】
前記粒状素材(b)の粒度が最大で500μmである、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項22】
前記粒状素材(b)が、篩分けまたは粉砕した、珪砂および/または石英粉を有利に含有する微細砂または微細砂の混合物である、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項23】
前記粒状素材が前記セメントマトリックス質量の25%〜50%の範囲で配合される、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項24】
前記ポゾラン反応微細素材(c)が、シリカ、シリカスモーク、フライアッシュおよび高炉スラグからなる群の素材を含む、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項25】
セメント(a)およびポゾラン反応素材(c)の添加質量基準の水の割合が13%〜25%の範囲である、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項26】
前記コンクリートが、少なくとも6 MPaの直接引張応力強度を有する、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項27】
前記コンクリートが、少なくとも20 MPaの4点曲げ抵抗性を有する、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項28】
前記コンクリートが、少なくとも120 MPaの圧縮抵抗性を有する、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項29】
前記コンクリートが、少なくとも140 MPaの圧縮抵抗性を有する、請求項28記載のコンクリート。
【請求項30】
前記コンクリートが、少なくとも2000 J/m2での破壊エネルギーを有する、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項31】
前記コンクリートが、凝結後、所望の機械特性を得るための所定の時間、周囲温度に近い温度の熟成に供せられる、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項32】
前記コンクリートが、凝結後、常圧での60℃〜100℃の熱処理に供せられる、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項33】
前記熱処理の時間が、6時間〜4日間である、請求項32記載のコンクリート。
【請求項34】
前記熱処理の時間が、6時間〜72時間である、請求項33記載のコンクリート。
【請求項35】
前記コンクリートが、プレテンションにおいてプレストレス型である、請求項1または3記載のコンクリート。
【請求項36】
前記コンクリートが、ポストテンションにおいてプレストレス型である、請求項1または3記載のコンクリート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2007−55895(P2007−55895A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−278157(P2006−278157)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【分割の表示】特願2000−548275(P2000−548275)の分割
【原出願日】平成11年5月12日(1999.5.12)
【出願人】(500525553)
【出願人】(599002870)ラファルジュ (19)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【氏名又は名称原語表記】RHONE−POULENC CHIMIE
【Fターム(参考)】