説明

コンクリート・スラッジと炭の配合法とその利用

【課題】本発明は、産業廃棄物として問題となっているコンクリート・スラッジと炭化物を混合乾燥することにより、融雪材や土壌改良材を提供し、さらに環境対応型製品の生コンクリート原料として再利用することにより、環境負荷低減に寄与するものである。
【解決手段】コンクリート・スラッジを炭化物と混合乾燥し、細粒子化の調整をすることで、融雪剤又は土壌改良材を製造する。または、これらの配合を調整することにより生コンクリートの原料とし、コンクリート環境製品を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート・スラッジと炭化物を配合させることにより優れた新製品を開発する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日本国内だけでもコンクリートの生産量が年間十億トンを超えている中で、コンクリート・スラッジはその1〜3%程度発生しているとみられ、六価クロム等の重金属を含む有害産業廃棄物として、近年特に緊急課題としてその処理法や利用法が検討されている。
また、石油や電気暖房が一般的になっている今日、間伐材や工事発生材として多量に発生する木材もまた産業廃棄物としてチップ化又は堆積腐食処理されている現状にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンクリート・スラッジは、有害重金属を微量だが含んでいる。その中でも、排水基準の0.05mg/Lを超えやすい六価クロムの問題がある。これを管理型処理場に持ち込むにしても、その受入れ許容量は低い。また、乾燥微粉末にしてセメントや流動化材として用いる再生法もあるが、砂を分離しなければならず、高価な設備が必要となる。社会的問題としても、コンクリート・スラッジの実用的また効果的再利用方法が早急に開発される必要がある。
また、産業廃棄物として持ち込まれた木材は、チップ化やペレット化して利用することも行われているが、様々な用途の可能性に富む炭化利用法も、相当研究されてきているとはいえ、まだまだ開発途上といってよい。
本発明は、以上の問題を解決し、新たな製品として再利用できるようになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
粗骨材を何らかの方法で除去したコンクリート・スラッジに炭・粉炭、または活性炭等を加え加熱しながらロータリーキルン等でよく攪拌混合し、粉末状になるまで乾燥させる。その粉末を5mm程度の篩にかけ、大きな塊を取り除く。ここで、炭の浄化還元作用により、コンクリート・スラッジに含まれている六価クロム等の重金属が還元されるので、有害成分の環境基準に適応できる。そこでこの粒子状粉末を、パック化すれば融雪材またアルカリ分を多量に含む土壌改良材として一般用又は農業用として有用な製品となる。
また、配合比を変えて混和材として生コンクリートの原料に用いることにより、強度が増進され、耐凍害性にも寄与するので、各種のコンクリート・ブロックや建築用外壁材、またコンクリート平板、インターロッキング等の優れた環境製品を製造できる。炭を使うことにより、自然とのなじみもよくなるので、好ましい方向で環境対策を展開できる。実際、靭性や弾性が発達し、破壊やひび割れに対して抵抗力が高まることを本発明者は実験により確認した。
本発明は、以上の手段により製造される製品に使用される原料において、コンクリート・スラッジと炭化物を含んだ配合の開発である。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、紛体として融雪剤または土壌改良材として再利用することにより、農産物等の生産に寄与するとともに、生コンクリートの混和材として利用することによって、優れた強度と耐凍害性をもち、好ましい環境開発に寄与する。このように利用されることにより、大幅な環境負荷の低減を行うことができるので社会的にも一石二鳥の効果があるといえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を実施する形態を説明する。
(イ)粗骨材を取り除いたコンクリート・スラッジをロータリーキルン等で、鉄球や玉石を利用して、炭化物と混ぜ合わせながら、加熱し粉砕乾燥する。もちろん粉砕乾燥させればよいのであるから、方法は何でもよい。内部温度は300℃以内で乾燥させるのが望ましい。何を製造するかで、乾燥の度合いは異なる。粉体製品の場合は、絶乾状態までの乾燥が必要であるが、コンクリート混和材とする場合は、材料として扱える程度の乾燥状態になればよい。
(ロ)粉体製品とする場合は、バラ状またはパック詰めにして湿気のない所で保管する。必要な場合は2〜5mm程度の篩で粒度調整を行う。
(ハ)コンクリート・ブロック等の硬化体製品とする場合は、セメント、砂、コンクリート・スラッジ、炭化物、砂利または砕石、水を適当な割合で配合する。この際、炭化物の細孔性により、一般的に生コンクリートに使用されている空気連行剤は不要もしくは減らすことができる。
【表の簡単な説明】
【0007】
【表1】
本発明者は、コンクリート・スラッジに0.6mm以下の炭紛をその15%(絶乾質量比)ほど混ぜて乾燥させ、プレーンなスラッジと六価クロム含有量を比較してみた。六価クロムは約1/3に減少し、土壌環境基準以内に抑えられた。
【表2】
コンクリート・スラッジと炭紛を配合した生コンクリートの示方配合と標準養生での1週強度を示している。炭紛量のみ動かしセメント、砂、コンクリート・スラッジ・水の比は1:1:1:0.84と固定している。1m当り10〜20kg程度の炭粉を加えるだけで、50%近くも強度が増進ことを示している。
【表1】

【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生コンクリートの残渣として発生するコンクリート・スラッジに木炭又は活性炭等を配合した粉体製品。
【請求項2】
通常の生コンクリート材料にコンクリート・スラッジと木炭又は活性炭等を配合した生コンクリート製品及びその硬化体。

【公開番号】特開2009−279569(P2009−279569A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155959(P2008−155959)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(508179338)
【Fターム(参考)】