説明

コンクリート構造物の表面保護方法

【課題】 容易にコンクリート凹部や凸部等の全面にわたる均一な塗布が可能で、動力が不要で、厳密な計量や混合が不要で、エアゾール製品以外には特に資機材が不要であるコンクリート構造物の表面保護方法を提供する。
【解決手段】 (メタ)アクリル酸エステルと有機過酸化物とを含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物と、噴射剤とを混合した組成物をエアゾールとしたエアゾールA剤と、(メタ)アクリル酸エステルと前記有機過酸化物を分解し得る還元性物質とを含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物と、噴射剤とを混合した組成物をエアゾールとしたエアゾールB剤からなる2剤型の(メタ)アクリル系硬化性組成物を、コンクリート構造物表面に吹き付けし、コンクリート構造物表面に(メタ)アクリル系硬化性樹脂組成物の硬化被膜を得るコンクリート構造物の表面保護方法を構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の表面に2剤のエアゾールからなる(メタ)アクリル系硬化性樹脂組成物を吹き付け、コンクリート構造物の表面に有機被膜を形成する表面保護方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネルのコンクリートの剥離・剥落に対して、日々検査の中で、目地部やジャンカ部等の不安定箇所や小さい浮きの叩き落としを実施している。しかしながら、一度叩き落とした箇所は、次回の検査以降、再び叩き落としが必要な箇所となることが多く、次第に叩き落とした範囲そのものが広がる。そのため、こうした箇所に強力な接着剤を塗布することができれば、当面の剥落対策に充分な効果を発揮することができると考えられている。
しかしながら、現在広く行われる対策方法には以下の課題がある。
(1)日々の検査で要対策箇所を発見してもすぐに対処できない場合が多い。
(2)補修材料の取扱いには、計量や混合、塗布といったある程度の専門性が必要。
(3)市販の補修材料を使用する場合には、通常の保護養生資材の他に、計量機械、混合機械、混合容器、及びローラーや刷毛等が必要で、検査に持ち歩く荷物が多くなる。
(4)補修材料を凹凸のある面に斑なく塗布するには吹き付け施工が好ましいが、動力を必要とするために、工事発注するためにコストが高くなる。
【0003】
一方、気体の中に多数の微粒子を浮かせたエアゾールは、家庭用品、塗料、殺虫用品、及び工業用品等に広く使用されている。
そして、増粘剤を含むセメント塗布面保護強化材として、エアゾールを使用したセメントスプレー塗材が特許文献1に提案されている。
【0004】
しかしながら、セメントスプレー塗材は噴射の際に、吹き付け対象からの跳ね返りにより、周囲を粉塵だらけに汚染する課題があり、また、あらかじめ対象へ塗布した増粘剤を含むセメント塗布面保護強化材に含まれる水の乾燥や対象への染みこみ程度にばらつきを生じやすいため、セメントスプレー塗材の水和凝結の程度や対象への付着力が不安定となる課題がある。
【0005】
また、2剤の反応性物質を各々異なったエアゾール容器に充填した、2剤のエアゾールからなる硬化性樹脂組成物に関する従来技術としては特許文献2や特許文献3がある。
これらは硬化性樹脂組成物が主剤と硬化剤からなるエポキシ樹脂又はウレタン樹脂であり、エポキシ樹脂やウレタン樹脂は、重合反応上、2剤を構成するそれぞれの樹脂組成物の重合反応に関わる原子団の量論比を1対1に合わせないと、強靱な硬化物が得られない恐れがあり、このようなエアゾール製品ではその調整が困難である課題がある。
さらに、2剤を構成するそれぞれの硬化性樹脂組成物を均一に混合しないと、硬化しない部分ができてしまうため、エアゾール製品の他に、専用のノズルやミキサーが必要で、使用後にはこれらを洗浄する必要があった。
【0006】
(メタ)アクリル系樹脂をエアゾール化した技術としては特許文献4や特許文献5がある。
これらは複数種類の(メタ)アクリル酸エステルを共重合して得た高分子を、有機溶剤で溶解した溶解物又は水に分散した顕濁液をエアゾール化したもので、必ずしもコンクリートへの付着強さは高くないといった課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−008801号公報
【特許文献2】特開昭49−051615号公報
【特許文献3】特開平07−313910号公報
【特許文献4】特開昭60−137970号公報
【特許文献5】特開平07−070531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
コンクリート構造物表面からのコンクリート片の剥離や剥落に対しては、日々の検査の中で、目地部やジャンカ部等の不安定箇所や小さな浮きの叩き落としを実施し、その後に表面保護のために有機塗膜を形成し、更なる劣化の防止を行っている。
【0009】
一般に有機塗膜の形成は、常温硬化型2剤樹脂組成物を塗布して行う。その方法は主に常温硬化型2剤樹脂組成物の混合物を、(1)毛やローラーでの塗布、(2)コンプレッサーなどの動力を使用する高圧ポンプで噴霧・吹き付け、(3)特許文献1〜5に示されたようなエアゾール製品による吹き付け、に大別される。
【0010】
しかしながら、(1)刷毛やローラーでの塗布は、特に目地部やジャンカ部の不安定箇所や小さな浮きの叩き落とした後のコンクリート凹部や凸部等、全面にわたる均一な塗布が困難であり、形成した有機塗膜のコンクリートの中性化防止性能や塩素イオン遮断性等の表面保護性能が充分でない。
【0011】
また、(2)コンプレッサーなどの動力を使用する高圧ポンプでの噴霧・吹き付けは、コンクリート凹部や凸部等、全面にわたる均一な塗布は可能であるが、動力を必要とするために、日々の検査の中での小規模な対応には不適である。
【0012】
さらに、(3)特許文献1〜5に示されたようなエアゾール製品では前述したような課題がある。
【0013】
本発明は、容易にコンクリート構造物の表面の凹部や凸部等の全面にわたる均一な塗布が可能で、動力が不要で、厳密な計量や混合が不要で、エアゾール製品以外には特に資機材が不要である2剤のエアゾールからなる(メタ)アクリル系硬化性樹脂組成物を吹き付け、コンクリート構造物の表面に有機被膜を形成する表面保護方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
即ち、本発明は、(メタ)アクリル酸エステルと有機過酸化物とを含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物と、噴射剤とを混合した組成物をエアゾールとしたエアゾールA剤と、(メタ)アクリル酸エステルと前記有機過酸化物を分解し得る還元性物質とを含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物と、噴射剤とを混合した組成物をエアゾールとしたエアゾールB剤からなる2剤型の(メタ)アクリル系硬化性組成物を、コンクリート構造物表面に吹き付けし、コンクリート構造物表面に(メタ)アクリル系硬化性樹脂組成物の硬化被膜を得ることを特徴とするコンクリート構造物の表面保護方法であり、前記A剤とB剤に含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物の、JIS K 7117-1:1999に基づく、23℃、20min-1の条件で計測される粘度が、50〜6,000mPa・sであることを特徴とする前記コンクリート構造物の表面保護方法であり、前記噴射剤が、ジメチルエーテル又は液化天然ガスであることを特徴とする前記コンクリート構造物の表面保護方法であり、前記吹き付ける方法が、エアゾールA剤をはじめにコンクリート構造物表面に吹き付け、その後にエアゾールB剤をその上に吹き付け、又は、エアゾールB剤をはじめにコンクリート構造物表面に吹き付け、その後にエアゾールA剤をその上に吹き付け、又は、エアゾールA剤とエアゾールB剤を同時にコンクリート構造物表面に吹き付けて、エアゾールA剤とエアゾールB剤に含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物を衝突混合して硬化被膜を得ることを特徴とする前記コンクリート構造物の表面保護方法であり、これらの方法より表面保護されたコンクリート構造物である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、コンクリート構造物表面からのコンクリート片の剥離や剥落に対しては、日々の検査の中で目地部やジャンカ部等の不安定箇所や小さな浮きの叩き落としを実施し、その後に表面保護のために有機塗膜を形成するに際して、容易にコンクリート凹部や凸部等の全面にわたる均一な塗布が可能で、動力が不要で、厳密な計量や混合が不要で、エアゾール製品以外には特に資機材が不要である2剤のエアゾールからなる(メタ)アクリル系硬化性樹脂組成物を吹き付け、コンクリート構造物の表面に有機被膜を形成する表面保護が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、(メタ)アクリル酸エステルと有機過酸化物とを含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物(A剤)を噴射剤と混合したエアゾールA剤と、(メタ)アクリル酸エステルと前記有機過酸化物を分解し得る還元性物質とを含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物(B剤)を噴射剤と混合したエアゾールB剤からなる2剤型(メタ)アクリル系硬化性組成物を吹き付けるコンクリート構造物の表面保護方法である。
【0017】
本発明のコンクリート構造物の表面保護方法に使用するエアゾールの成分である(メタ)アクリル酸エステルとしては、1分子中に(メタ)アクリル基を1個含有する単官能(メタ)アクリレートや、1分子中に(メタ)アクリル基を2個以上含有する多官能(メタ)アクリレートが挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用することができる。
【0018】
単官能(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロデカトリエン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アルキルオキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アルキルオキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、エトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性コハク酸(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、テトラフロロプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、アリル(メタ)アクリレートなどのアリル基を有する(メタ)アクリレートや、ジシクロペンテニル基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び/又はジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートを併用することがより好ましい。併用する場合、混合比は質量比で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート:ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート=20〜50:80〜50が好ましく、30〜40:70〜60がより好ましい。
多官能(メタ)アクリレートとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、エポキシ(メタ)アクリレート、商品名「ビスコート#540」(大阪有機化学工業社製)、商品名「エポキシエステル3000M」(共栄社化学社製)、ポリエステル(メタ)アクリレート、商品名「アロニックスM−6100」(東亜合成社製)及びウレタン(メタ)アクリレート、商品名「アロニックスM−1100」(東亜合成社製)、両末端メタクリル変性液状ポリブタジエン、商品名「TE−2000」(日本曹達社製)、両末端アクリル変性液状ポリアクリロニトリルブタジエン、商品名「HycarVTBNX」(宇部興産社製)、両末端メタクリル変性液状部分水素添加ポリブタジエン、商品名「TEAI−1000」(日本曹達社製)、及び両末端アクリル変性液状ポリブタジエン、商品名「BAC−45」(大阪有機社製)等が挙げられる。
これらの中では、両末端メタクリル変性液状ポリブタジエン、エポキシ(メタ)アクリレート、及びエチレングリコールジ(メタ)アクリレートからなる群のうちの一種又は二種以上が好ましく、両末端メタクリル変性液状ポリブタジエン及び/又はエポキシ(メタ)アクリレートがより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルの中では、単官能(メタ)アクリレートと多官能(メタ)アクリレートを併用することが好ましい。併用する場合、混合比は質量比で、単官能(メタ)アクリレート:多官能(メタ)アクリレート=30〜90:70〜10が好ましく、40〜80:60〜20がより好ましい。
【0019】
エアゾールをコンクリート構造物表面へ吹き付け硬化させた場合の(メタ)アクリル系樹脂組成物のコンクリートへの含浸性、被膜形成性の面から、(メタ)アクリル系樹脂組成物の粘度は、JIS K
7117-1:1999「プラスチック−液状,乳濁状又は分散状の樹脂−ブルックフィールド形回転粘度計による見掛け粘度の測定方法」に基づく、23℃、20min-1の条件で計測される粘度が、50〜6,000mPa・sであることが好ましく、200〜4,500mPa・sであることがより好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂組成物の粘度が50mPa・s未満では吹き付けた場合、(メタ)アクリル系樹脂組成物がほとんどコンクリート内部へ含浸拡散し、コンクリート構造物表面に被膜平成しないため、二酸化炭素や塩素化合物といった、コンクリートや鉄筋の劣化因子の遮断性が低下する恐れがあるばかりでなく、噴射、吹き付けの態様がミスト状となり、コンクリート表面の目的以外への飛散や、周囲の汚染、さらには作業者への接触による健康毀損の恐れがある。また、(メタ)アクリル系樹脂組成物が6,000mPa・sを超えると、A剤とB剤の混合が不充分となる恐れがある。
したがって(メタ)アクリル系樹脂組成物の粘度を50〜6,000mPa・sとするために、(メタ)アクリル酸エステルは、低粘度の化合物と高粘度の化合物を選択し複数使用することが好ましい。
【0020】
本発明のエアゾールA剤に含有する有機過酸化物とは、いわゆるラジカル重合開始剤の働きを有するものをいい、例えば次のようなものが挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用することができる。
【0021】
(1)ケトンパーオキサイド類:メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、及びアセチルアセトンパーオキサイドなど。
【0022】
(2)パーオキシケタール類:1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)オクタン、ノルマルブチル−4,4−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)バレレート、及び2,2−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ)ブタンなど。
【0023】
(3)ハイドロパーオキサイド類:ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、及び1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドなど。
【0024】
(4)ジアルキルパーオキサイド類:ジターシャリーブチルパーオキサイド、ターシャリーブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(ターシャリーブチルパーオキシ−メタ−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキシン−3など。
【0025】
(5)ジアシルパーオキサイド類:アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウリノイルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、及びメタ−トルオイルパーオキサイドなど。
【0026】
(6)パーオキシジカーボネート類:ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジノルマルプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−ターシャリーブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、及びジアリルパーオキシジカーボネートなど。
【0027】
(7)パーオキシエステル類:ターシャリーブチルパーオキシアセテート、ターシャリーブチルパーオキシイソブチレート、ターシャリーブチルパーオキシピバレート、ターシャリーブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、ターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ターシャリーブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ターシャリーブチルパーオキシラウレート、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート、ジターシャリーブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ターシャリーブチルパーオキシマレイックアシッド、ターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクトエート、ターシャリーヘキシルパーオキシネオデカノエート、ターシャリーヘキシルパーオキシピバレート、ターシャリーブチルパーオキシネオヘキサノエート、ターシャリーヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、及びクミルパーオキシネオヘキサノエートなど。
【0028】
有機過酸化物の中では、常温での分解速度が遅く、エアゾールの貯蔵安定性に優れる点で、ハイドロパーオキサイド類が好ましく、クメンハイドロパーオキサイドがより好ましい。
有機過酸化物の使用量は、A剤中の(メタ)アクリル酸エステル100質量部に対し、0.2〜10質量部が好ましく、0.5〜3.0質量部がより好ましい。
【0029】
本発明のエアゾールB剤に含有する、有機過酸化物を分解し得る還元性物質とは、有機過酸化物の分解を促進させる化合物であり、例えば次のようなものが挙げられ、これらの一種又は二種以上を使用することができる。
【0030】
(1)チオ尿素誘導体:ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、メルカプトベンゾイミダゾール、及びベンゾイルチオ尿素等。(2)アミン類:N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジイソプロパノール−p−トルイジン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、エチレンジアミン、及びトリエタノールアミンなど。(3)有機酸の金属塩:ナフテン酸コバルト、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸コバルト、及びオクチル酸鉄等。(4)有機金属キレート化合物:銅アセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネート、クロムアセチルアセトネート、鉄アセチルアセトネート、バナジルアセチルアセトネート、及びコバルトアセチルアセトネートなど。
これらの中ではセメントコンクリート表面への接着性をより向上できる点で有機酸の遷移金属塩及び/又は有機金属キレート化合物が好ましく、有機酸の遷移金属塩がより好ましく、オクチル酸コバルトがより好ましい。
有機過酸化物を分解し得る還元性物質の使用量は、B剤中の(メタ)アクリル酸エステル100質量部に対し、0.01〜5.0質量部が好ましく、0.5〜2.0質量部がより好ましい。
【0031】
また、本発明のエアゾールの成分である(メタ)アクリル系樹脂組成物には、その貯蔵安定性向上のため少量の重合禁止剤を含有することができる。
重合禁止剤としては例えば、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、モノターシャリーブチルハイドロキノン、2,5−ジターシャリーブチルハイドロキノン、p−ベンゾキノン、2,5−ジフェニル−p−ベンゾキノン、2,5−ジターシャリーブチル−p−ベンゾキノン、ピクリン酸、フェノチアジン、ターシャリーブチルカテコール、2−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、及び2,6−ジターシャリーブチル−p−クレゾールなどが挙げられる。これらの中では、ハイドロキノンが好ましい。
重合禁止剤の使用量は、A剤中又はB剤中の(メタ)アクリル酸エステル100質量部に対して、0.0001〜1.0質量部が好ましく、0.001〜0.1質量部がより好ましい。
【0032】
さらに、エアゾールの成分である(メタ)アクリル系樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、一般に使用されている各種エラストマー、着色剤、防錆剤、溶剤、増量材、補強材、可塑剤、パラフィン類、増粘剤、チクソトロピー付与剤、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、キレート化剤、染料、顔料、難燃剤、界面活性剤、及び熱可塑性高分子等の添加剤を含有することができる。
【0033】
本発明のエアゾールに充填する噴射剤としては、ジメチルエーテル、液化天然ガスなどが挙げられ、上記(メタ)アクリル系樹脂組成物とともに、エアゾール缶等のエアゾール容器に封入するものであり、噴霧、吹き付けする際の圧力源となる、20℃で0.3MPaのゲージ圧を有する液化ガスである。
【0034】
エアゾールA剤やエアゾールB剤に含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物と噴射剤の混合比は、30〜70質量%:70〜30質量%が好ましく、40〜60質量%:60〜40質量%がより好ましい。(メタ)アクリル系樹脂組成物が30質量%未満の場合、塗膜形成成分である(メタ)アクリル系樹脂組成物が少なく、経済性に劣り、70質量%を超えた場合、(メタ)アクリル系樹脂組成物の粘度が高くなりすぎ、噴射、吹き付けがうまくできない恐れがある。
エアゾールA剤とエアゾールB剤との配合割合は、使用前後のエアゾール製品の質量減少や、吹き付け時間等により量的管理を行い、質量比で2:8〜8:2の範囲で使用可能である。
【0035】
コンクリート構造物の表面保護方法における2剤型の(メタ)アクリル系硬化性組成物エアゾールの混合方法は次の3種類である。
【0036】
(1)エアゾールA剤をはじめにコンクリート構造物表面に吹き付け、その後にエアゾールB剤をその上に吹き付け、エアゾールA剤やエアゾールB剤に含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物を衝突混合して硬化被膜を得る。
(2)エアゾールB剤をはじめにコンクリート構造物表面に吹き付け、その後にエアゾールA剤をその上に吹き付け、エアゾールB剤やエアゾールA剤に含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物を衝突混合して硬化被膜を得る。
(3)エアゾールA剤とエアゾールB剤を同時にコンクリート構造物表面に吹き付けて、エアゾールA剤やエアゾールB剤に含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物を空気中で衝突混合して硬化被膜を得る。
【0037】
エアゾールA剤を吹き付けた後、エアゾールB剤をその上に吹き付ける時間や、エアゾールB剤を吹き付けた後、エアゾールA剤をその上に吹き付ける時間は、特に限定されるものではないが、0〜6時間程度が好ましい。
また、周囲への飛散を抑制する面から、エアゾールA剤やエアゾールB剤は、コンクリート構造物表面に直角に吹き付けることが好ましい。
【実施例】
【0038】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0039】
実験例1
(メタ)アクリル酸エステル、有機過酸化物、及び重合禁止剤を表1に示すように配合してA剤に含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物を、また、(メタ)アクリル酸エステル、還元性物質、及び重合禁止剤を表1に示すように配合してB剤に含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物をそれぞれ6種類ずつを調製した。
調製したこれら計12種類の(メタ)アクリル系樹脂組成物50質量部と噴射剤イ50質量部を、容量200mlのエアゾール缶に180ml封入しエアゾール製品とし、表2に示すエアゾールNo.1-1A〜エアゾールNo.1-6AのエアゾールA剤6種類とエアゾールNo.1-1B〜エアゾールNo.1-6BのエアゾールB剤6種類を得た。
表3に示すようにエアゾールA剤とエアゾールB剤を組み合わせ、3種類の吹き付け方法を用い、エアゾールA剤とエアゾールB剤を混合吹き付けし、その吹き付け状態、コンクリート表面の被膜形成状態、及びエアゾール製品に内封された(メタ)アクリル系硬化性組成物の被膜硬化状態を評価した。結果を表3に併記する。
なお、吹き付ける対象のコンクリートは、JIS A 5371に規定されるプレキャスト無筋コンクリート製品中の舗装用平板の種類N300(300×300mm)を用い、その表面をサンドブラストした。試験は温度20℃、相対湿度60%の雰囲気で行った。
【0040】
<使用材料>
(メタ)アクリル酸エステルa:両末端メタクリル変性液状ポリブタジエン、日本曹達社製、商品名「TE−2000」
(メタ)アクリル酸エステルb:エポキシアクリレート、大阪有機化学工業社製、商品名「ビスコート♯540」
(メタ)アクリル酸エステルc:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、市販品
(メタ)アクリル酸エステルd:ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、市販品
(メタ)アクリル酸エステルe:エチレングリコールジメタクリレート、市販品
有機過酸化物:クメンハイドロパーオキサイド、日油社製、商品名「パークミルH−80」
還元性物質:オクチル酸コバルト、市販品
重合禁止剤:ハイドロキノン、市販品
噴射剤イ :ジメチルエーテル、市販品
【0041】
<吹き付け方法>
吹き付け方法α:方法α、エアゾールA剤をはじめにコンクリート構造物表面に20秒間吹き付け、その後にエアゾールB剤をその上に20秒間吹き付け、エアゾールA剤とエアゾールB剤に含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物を衝突混合して硬化被膜を得る。
吹き付け方法β:方法β、エアゾールB剤をはじめにコンクリート構造物表面に20秒間吹き付け、その後にエアゾールA剤をその上に20秒間吹き付け、エアゾールB剤とエアゾールA剤に含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物を衝突混合して硬化被膜を得る。
吹き付け方法γ:方法γ、エアゾールA剤とエアゾールB剤を同時にコンクリート構造物表面に20秒間吹き付けて、エアゾールA剤とエアゾールB剤に含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物を空気中で衝突混合して硬化被膜を得る。
【0042】
<評価方法>
粘度 :JIS K 7117-1999、「プラスチック−液状,乳濁状又は分散状の樹脂−ブルックフィールド形回転粘度計による見掛け粘度の測定方法」に基づく、23℃、20min-1の条件で計測
吹き付け状況評価基準:吹き付けられた(メタ)アクリル系樹脂組成物が著しくミストとなり供試体周辺を汚染する場合は不可、吹き付けられた(メタ)アクリル系樹脂組成物が多少ミストとなる、又は、(メタ)アクリル系樹脂組成物の粘度が高いため、エアゾールの噴射口をコンクリート表面から20cm以内に近づける必要がある場合を可、吹き付けられた(メタ)アクリル系樹脂組成物がほとんどミストにならず、エアゾールの噴射口をコンクリート表面から20cm以上離しても吹き付け可能な場合を良とした。
被膜形成状態の評価基準:吹き付け7日後で、300×300mmのコンクリート板へ吹き付けられた(メタ)アクリル系樹脂組成物の被膜形成が、表面全体の面積の75%未満である場合を不可、75%以上90%未満である場合を可、90%以上の場合を良とした。
被膜硬化状態の評価基準:吹き付け7日後で、被膜が形成された箇所で全体もしくは部分的に硬化不充分で液体状態の(メタ)アクリル系樹脂組成物が存在する場合を不可、全体が完全硬化(タックフリー)の状態の場合を良とした。
総合評価の基準:上評価で不可がある場合を不可、不可がなく可がある場合を可、全項目良の場合を良とした。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
表3より、エアゾール製品に封入する(メタ)アクリル系樹脂組成物の粘度は50〜6,000mPa・sが好適であるとわかり、この粘度範囲であれば本発明の2剤のエアゾールの混合は3種類の吹き付け方法が適用可能であることがわかった。
【0047】
実験例2
表4に示す割合で、A剤No.3AとB剤No.3Bと噴射剤を用い、容量200mlのエアゾール缶に180ml封入しエアゾール製品とし、表4に示すエアゾールA剤とエアゾールB剤を得た。表5に示すようにエアゾールA剤とエアゾールB剤を組合せ、実験例1と同様の試験を行った。
なお、エアゾールの吹き付け方法は、方法α行った。結果を表5に併記する。
【0048】
<使用材料>
噴射剤ロ :液化炭酸ガス、市販品
【0049】
【表4】

【0050】
【表5】

【0051】
表5より、(メタ)アクリル系樹脂組成物と噴射剤のジメチルエーテルの混合比は、(メタ)アクリル系樹脂組成物30〜70質量部、噴射剤70〜30質量部が好適であるとわかった。
【0052】
実験例3
市販の常温硬化型のエポキシ樹脂(ひび割れ注入用途で主剤粘度800mPa・s、硬化剤粘度600mPa・s、メーカー指定の質量混合比は、主剤:硬化剤=2:1)の主剤(A剤)と硬化剤(B剤)をそれぞれ、表6に示すように、噴射剤イとともにエアゾール缶に充填してエポキシ樹脂主剤エアゾール(3- 1A)とエポキシ樹脂硬化剤エアゾール(3- 1B)を得た。
表7に示すようにエアゾールA剤とエアゾールB剤を組合せ、実験例1と同様の舗装用平板に吹き付け方法αによりエアゾールを吹き付け、吹き付け7日後に、被膜のコンクリートへの付着強さと被膜の硬化状態を観察した。結果を表7に併記する。
なお吹き付け方法αにおいて、エアゾールA剤とエアゾールB剤の吹き付け時間を変化させた。
【0053】
<評価方法>
付着強さの評価基準:土木学会規準JSCE-K 531-1999、「表面被覆材の付着試験方法」に準拠、付着強さが1.5N/mm2以上である場合を良、付着強さが1.5N/mm2未満である場合を不可とした。なお、付着強さは測定3点の平均値
被膜硬化状態の評価基準:吹き付け7日後で、被膜が形成された箇所で全体もしくは部分的に硬化不充分で液体状態の樹脂組成物が存在する場合を不可、全体が完全硬化(タックフリー)の状態の場合を良とした。
総合評価基準:上2評価で不可がある場合を不可、不可がない場合を良とした。
【0054】
【表6】

【0055】
【表7】

【0056】
表7より、本発明のコンクリート構造物の表面保護方法によりエアゾールA剤とエアゾールB剤の吹き付け量に多少のずれが生じても硬化性樹脂組成物の被覆は完全に硬化し、充分なコンクリート付着性を有することが確認できた。
【0057】
実験例4
市販の10×10×60cmの縁石用コンクリートを、引張圧縮試験(島津製作所社製オートグラフAG−300KNG)を用いて二等分荷重により破断しその破断面の凹凸を、コンクリート構造物の日常点検による叩き落とし面と模して以下の試験に使用した。
本発明のエアゾールとして、表3に示す1−3Aと1−3Bを、吹き付け方法αにより前記コンクリート破断面に吹き付け、試験体とした。比較例として表1に示す(メタ)アクリル系硬化性樹脂3Aと(メタ)アクリル系硬化性樹脂3Bを質量比で3A:3B=1:1で計量混合し、前記コンクリート破断面に対して0.2kg/m2の塗布量でローラー塗布を行い試験体とした。
吹き付け又はローラー塗布7日後に、これら試験体を吹き付け面又はローラー塗布面が上方となるように、炭酸ガス/5%、気圧/1気圧、温度/20℃、相対湿度/60%の条件の炭酸ガス槽内におき30日間静置した。
その後試験体を炭酸ガス槽から出し、ダイヤモンドカッターで吹き付け面又はローラー塗布面と垂直の方向に切断し、切断面は水道の流水で充分に洗浄し24時間乾燥させた。その後切断面に1%フェノールフタレインのアルコール溶液を吹き付け、炭酸ガスによる中性化の度合いを赤の発色状態を調べた。
その結果エアゾール1−3Aと1−3Bを吹き付けた試験体では中性化深さゼロであったが、(メタ)アクリル系硬化性樹脂の3Aと3Bをローラー塗布した試験体では、部分的に最大2.7mmの中性化が認められた。これは破断面の凹部で顕著であった。
【0058】
実験例4より、本発明のコンクリート構造物の表面保護方法によれば、コンクリート構造物の日常点検による叩き落とし面のような凹凸面にも均一に有機被膜の形成が可能で、コンクリート内部へコンクリートや鉄筋の劣化因子を遮断可能であり、優れた耐中性化特性が得られることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によれば、コンクリート構造物表面からのコンクリート片の剥離や剥落に対しては、日々の検査の中で目地部やジャンカ部の不安定箇所や小さな浮きの叩き落としを実施し、その後に表面保護のために有機塗膜を形成するに際して、コンクリート凹部、凸部等の全面にわたる均一な塗布が可能で、動力が不要で、エアゾール以外に特に資機材が不要で簡便なコンクリート構造物の表面保護が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸エステルと有機過酸化物とを含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物と、噴射剤とを混合した組成物をエアゾールとしたエアゾールA剤と、(メタ)アクリル酸エステルと前記有機過酸化物を分解し得る還元性物質とを含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物と、噴射剤とを混合した組成物をエアゾールとしたエアゾールB剤からなる2剤型の(メタ)アクリル系硬化性組成物をコンクリート構造物表面に吹き付けし、コンクリート構造物表面に(メタ)アクリル系硬化性樹脂組成物の硬化被膜を得ることを特徴とするコンクリート構造物の表面保護方法。
【請求項2】
前記A剤とB剤に含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物の、JIS K 7117-1:1999に基づく、23℃、20min-1の条件で計測される粘度が、50〜6,000mPa・sであることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物の表面保護方法。
【請求項3】
前記噴射剤が、ジメチルエーテル又は液化天然ガスであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリート構造物の表面保護方法。
【請求項4】
前記吹き付ける方法が、エアゾールA剤をはじめにコンクリート構造物表面に吹き付け、その後にエアゾールB剤をその上に吹き付け、エアゾールA剤とエアゾールB剤に含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物を衝突混合して硬化被膜を得ることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載のコンクリート構造物の表面保護方法。
【請求項5】
前記吹き付ける方法が、エアゾールB剤をはじめにコンクリート構造物表面に吹き付け、その後にエアゾールA剤をその上に吹き付け、エアゾールB剤とエアゾールA剤に含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物を衝突混合して硬化被膜を得ることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載のコンクリート構造物の表面保護方法。
【請求項6】
前記吹き付ける方法が、エアゾールA剤とエアゾールB剤を同時にコンクリート構造物表面に吹き付けて、エアゾールA剤とエアゾールB剤に含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物を空気中で衝突混合して硬化被膜を得ることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載のコンクリート構造物の表面保護方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうちのいずれか1項に記載のコンクリート構造物の表面保護方法より表面保護されたコンクリート構造物。

【公開番号】特開2011−168440(P2011−168440A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33439(P2010−33439)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000003296)電気化学工業株式会社 (1,539)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【Fターム(参考)】