説明

コンクリート構造物の補強工法および補強構造

【課題】流水中に配設されるコンクリート構造物の表面に補強筋を埋設固定し、表面をポリマーセメント系被覆材により被覆するコンクリート構造物の補強工法において、河積阻害率を大きくすることなく、流木や転石等の衝突によるポリマーセメント系被覆材を保護することが可能なコンクリート構造物の補強工法および補強構造の提供。
【解決手段】流水中に配設される橋脚1の柱部2の表面に補強用補強筋を埋設固定し、表面をポリマーセメント系被覆材により被覆して被覆層3を形成するコンクリート構造物の補強工法において、流水の上流側の被覆層3aのみを他の被覆層3bよりも厚く形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設のコンクリート橋脚などの流水中に配設されるコンクリート構造物に補強筋を埋設固定し、表面をポリマーセメント系被覆材により被覆するコンクリート構造物の補強工法および補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁のコンクリート橋脚は、地震時の水平耐力を満足することが重要であり、耐震性の確保が必要である。従来、コンクリート橋脚の耐震補強工法として、RC(Reinforced Concrete:鉄筋コンクリート)巻立て工法、鉄板巻立て工法、炭素繊維・アラミドシート補強工法やPC(Prestressed Concrete:プレストレストコンクリート)巻立て工法などが知られている。
【0003】
この中でRC巻立て工法は、橋脚内部に配筋された主鉄筋と平行に鉛直方向筋を橋脚表面に固定し、この主鉄筋と直角方向に帯鉄筋を重ねて配筋固定した後、型枠を形成しコンクリートを打設することによって補強構造が施工される。また、このRC巻立てによる補強工法の他に、コンクリート橋脚表面に主鉄筋および帯鉄筋を配筋固定した後、ポリマーモルタルを被覆する補強構造も施工されている。
【0004】
このようにRC巻立てによる補強構造またはポリマーモルタルによって被覆した補強構造であれば、コンクリートの巻立てまたはポリマーモルタルの被覆によって既設橋脚と橋軸方向に固定された鉄筋棒との一体化が強化され、その補強効果が長時間にわたって維持される。
【0005】
ところが、これらの補強工法では、コンクリート橋脚表面に補強用鉄筋を固定した後、コンクリートの巻立てまたはポリマーモルタルの被覆を行うので、コンクリート橋脚の径がコンクリート巻立層またはポリマーモルタル被覆層によって著しく増大することになる。また、巻立て厚さが厚くなることによって橋脚重量も大幅に増大する。
【0006】
そこで、このような問題点を解決するため、本発明者は、特許文献1に記載のコンクリート構造物の補強工法を提案している。このコンクリート構造物の補強工法では、コンクリート構造物の表面部に補強用棒体を嵌め込む溝を形成し、溝に補強用棒体を嵌め込んだ後、溝の内面と補強用棒体との隙間に楔形のアンカーを打ち込んで補強用棒体を拘束するとともに隙間に樹脂を注入して補強用棒体を固定し、表面をポリマーセメント系被覆材で被覆する。
【0007】
【特許文献1】特許第3786938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記のコンクリート構造物の補強工法により補強した橋脚では、出水時に上流から流れてくる流木や転石等が橋脚に衝突し、増厚したポリマーセメント系被覆材が損傷する恐れがある。ポリマーセメント系被覆材は、厚ければ厚いほど流木や転石等の衝突時の衝撃に有効であるが、増厚断面が大きくなればなるほど河積阻害率が大きくなり、基準値を満たさなくなってしまう。
【0009】
そこで、本発明では、流水中に配設されるコンクリート構造物の表面に補強筋を埋設固定し、表面をポリマーセメント系被覆材により被覆するコンクリート構造物の補強工法において、河積阻害率を大きくすることなく、流木や転石等の衝突によるポリマーセメント系被覆材を保護することが可能なコンクリート構造物の補強工法および補強構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のコンクリート構造物の補強工法は、流水中に配設されるコンクリート構造物の表面に補強筋を埋設固定し、表面をポリマーセメント系被覆材により被覆して被覆層を形成するコンクリート構造物の補強工法において、流水の上流側の被覆層のみを他の被覆層よりも厚く形成することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、流水の上流側の被覆層のみを他の被覆層よりも厚く形成するので、この流水の上流の被覆層を厚く形成しても、川幅に対するコンクリート構造物の幅に変化はなく、河積阻害率に影響を与えない。また、出水時に上流から流れてくる流木や転石等が衝突する流水の上流の被覆層が厚く形成されているので、衝撃に対して強い。さらに、流水の上流側の被覆層のみを他の被覆層よりも厚く形成しているので、橋脚重量の増大を最小限に抑えることができる。
【0012】
ここで、流水の上流側の被覆層は、ポリマーセメント系被覆材内に補強材を含めて形成することが望ましい。ポリマーセメント系被覆材内に補強材を含めるためには、例えば、ポリマーセメント系被覆材内に金属製短繊維を混入したり、金属製補強材を設置したりすることが有効である。これにより、流水の上流側の被覆層の強度を高めることができ、さらに流木や転石等の衝突時の衝撃に対して強くなる。
【0013】
また、本発明のコンクリート構造物の補強工法では、被覆層の流水の流れに沿う面と流水の上流側の被覆層との取り合い部の変化点に誘発目地を形成し、この誘発目地内に衝撃吸収材を充填することが望ましい。流水の上流側の被覆層のみを他の被覆層よりも厚く形成した場合、被覆層の流水の流れに沿う面と流水の上流側の被覆層との取り合い部の変化点に応力の不均衡が発生するので、この変化点に誘発目地を形成し、この誘発目地内に衝撃吸収材を充填することで、衝撃吸収材により応力分布を改善することができ、被覆材のひび割れを防止することができる。
【0014】
また、流水の上流側の被覆層は、ポリマーセメント系被覆材により被覆した後、ポリマーセメント系被覆材の上に衝撃吸収材を設けることにより形成することもできる。これにより、出水時に上流から流れてくる流木や転石等の衝突による衝撃を、直接この衝撃吸収材により吸収させることができ、ポリマーセメント系被覆材への衝撃を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0015】
(1)流水の上流側の被覆層のみを他の被覆層よりも厚く形成することにより、出水時に上流から流れてくる流木や転石等が衝突した際の衝撃に対して強いコンクリート構造物の補強構造が得られ、補強筋を被覆するポリマーセメント系被覆材の損傷を防止することができる。また、増厚が流水の上流の被覆層のみであるため、増厚による河積阻害率への影響はなく、河積阻害率を大きくすることなく、流木や転石等の衝突によるポリマーセメント系被覆材を保護することができる。さらに、流水の上流側の被覆層のみを増厚するので、橋脚重量の増大を最小限に抑えることができる。
【0016】
(2)流水の上流側の被覆層を、ポリマーセメント系被覆材内に補強材を含めて形成することにより、流水の上流側の被覆層の強度を高めることができ、さらに流木や転石等の衝突時の衝撃に対して強いコンクリート構造物の補強構造が得られる。
【0017】
(3)被覆層の流水の流れに沿う面と流水の上流側の被覆層との取り合い部の変化点に誘発目地を形成し、この誘発目地内に衝撃吸収材を充填することにより、流水の上流側の被覆層のみを他の被覆層よりも厚く形成した場合の被覆層の流水の流れに沿う面と流水の上流側の被覆層との取り合い部の変化点の応力の不均衡を、誘発目地内の衝撃吸収材により改善することができ、さらに被覆材のひび割れを防止することができる。
【0018】
(4)流水の上流側の被覆層を、ポリマーセメント系被覆材により被覆した後、ポリマーセメント系被覆材の上に衝撃吸収材を設けることにより形成することにより、出水時に上流から流れてくる流木や転石等の衝突による衝撃を、直接この衝撃吸収材により吸収させることができ、ポリマーセメント系被覆材への衝撃を小さくして、ポリマーセメント系被覆材の損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の実施の形態におけるコンクリート構造物の補強工法により施工した鉄筋コンクリート製の橋脚の平面断面図、図2は図1のA部拡大図、図3は図1のB部拡大図、図4は図3の縦断面図である。
【0020】
図1において、橋脚1は、鉄筋コンクリート製の既設橋脚の柱部2の側面に、補強用被覆層3が形成されたものである。この橋脚1は、河川の流水中に配設されており、柱部2は、河川の流れ方向に長く、流れ方向に対して直角方向に短いオーバル状断面を有し、図示例では、二つの等しい長さの平行線と二つの円弧からなる角丸長方形状断面となっている。
【0021】
図3および図4に示すように、柱部2の内部には、柱部2の軸方向すなわち鉛直方向に主筋4aが配置されている。4bは帯筋である。この柱部2の側面部には、各主筋4aの外側であって主筋4aと同一方向に溝5が形成され、この溝5内部に補強用の鉛直方向補強筋6が嵌め込まれている。鉛直方向補強筋6は、溝5内部にエポキシ樹脂を素材とする樹脂7を充填し硬化させることによって、溝5内に埋設固定されている。
【0022】
また、鉛直方向補強筋6の外側には、帯筋8がフレア溶接9によって施工され、その外側に補強用被覆層3が形成されている。補強用被覆層3は、ポリマーセメント系被覆材としてのポリマーセメントモルタルからなる。ポリマーセメントモルタルは、樹脂コンクリートの一種であり、セメント、砂およびポリマー等から構成されるモルタルである。ポリマーとしてはSBR系、自然系やアクリル系等のラテックスが用いられる。
【0023】
なお、補強用被覆層3は、図2に示すように、上流側の円弧部上に被覆される被覆層3aのみ、他の下流側の円弧部および流れ方向に沿う面上に被覆される被覆層3bよりも厚く形成されている。しかも、上流側の被覆層3aは、上流側へ向かうに連れて厚くなるように形成されており、最も厚い部分で厚さ100mm程度である。なお、被覆層3bの厚さは14mm程度である。
【0024】
また、被覆層3aと被覆層3bとの取り合い部、すなわちオーバル状断面の柱部2の曲率Rの変化点(円弧部と流れ方向に沿う面との境界)Pには誘発目地10が形成されており、この誘発目地10内には耐水性および耐候性に優れたシール材や緩衝材等の衝撃吸収材11が充填されている。
【0025】
以上の構成において、鉛直方向補強筋6は柱部2の側面部に形成された溝5内に嵌め込まれた状態で固定されている。しかも、鉛直方向補強筋6と溝5の間にはエポキシ樹脂を素材とする樹脂7を介在させているので、柱部2が地震時の水平荷重によって撓み変形するときでも、この柱部2の変形による歪み力は溝5内の樹脂7を介して鉛直方向補強筋6に伝達される。
【0026】
すなわち、鉛直方向補強筋6は柱部2の溝5の中に封止されているので、柱部2が地震時の水平荷重によって撓みによる変位が発生した場合でも、鉛直方向補強筋6の弾性域の範囲内では変位を吸収することによって柱部2の表面全体が高い引っ張り応力を備えた構成となる。さらに、鉛直方向補強筋6は、溝5内部に樹脂7によって拘束封止されているので溝5から浮き上がることはない。
【0027】
また、この橋脚1では、上流側の被覆層3aのみを他の被覆層3bよりも厚く形成しているので、出水時に上流から流れてくる流木や転石等が衝突した際の衝撃に対して強く、鉛直方向補強筋6および帯筋8を被覆するポリマーセメント系被覆材からなる補強用被覆層3の損傷が防止される。また、この補強用被覆層3の増厚が流水の上流の被覆層3aのみであるため、増厚による河積阻害率への影響はなく、河積阻害率を大きくすることなく、流木や転石等の衝突による補強用被覆層3の保護が可能となっている。さらに、この橋脚1では、流水の上流側の被覆層3aのみを増厚するので、橋脚1の重量増大を最小限に抑えることができている。
【0028】
また、この橋脚1では、上流側の被覆層3aと流水の流れに沿う面の被覆層3bとの取り合い部の変化点Pに誘発目地10を形成し、この誘発目地10内に衝撃吸収材11を充填することにより、上流側の被覆層3aのみを他の被覆層3bよりも厚く形成したことによる変化点Pの応力の不均衡が、この誘発目地10内の衝撃吸収材11により改善されているので、さらにポリマーセメント系被覆材のひび割れが防止されている。
【0029】
次に、図1から図4を参照して、補強用被覆層3の施工手順について説明する。
まず、補強する橋脚1の柱部2の表面全面をチッピングまたはサンドブラストにより粗面な状態にする。なお、ウォータージェットを用いても良い。
【0030】
次に、柱部2の側面部にコンクリートカッター(図示せず。)によって、図3および図4に示すように、柱部2内部に配筋されている主筋4aと平行方向(鉛直方向)に幅50mm、深さ50mm程度の切れ目を入れ、この切れ目内部のコンクリートを電動ピックによってはつり取り、溝5を形成する。溝5内に付着したコンクリート粉塵は、高圧洗浄などの方法で除去、清掃する。
【0031】
次に、溝5内に鉛直方向補強筋6を嵌め込み、鉛直方向補強筋6と溝5との隙間の両側に千鳥配列となるように、鉄製または木製などの楔(図示せず。)を打ち込み、鉛直方向補強筋6を拘束してから、エポキシ樹脂を素材とする樹脂7により埋設固定する。なお、楔は、樹脂7の硬化後に抜き取るか、あるいは樹脂7により埋め殺す。
【0032】
次いで、柱部2の側面部内部に鉛直方向に配筋した鉛直方向補強筋6と直角方向すなわち水平方向に帯筋8を取り付ける。取り付けは、事前に鉛直方向補強筋6に付けておいた結束線(図示せず。)で鉛直方向補強筋6と結束することにより行う。結束後、帯筋8の端部同士をフレア溶接9して連続筋とする。なお、帯筋8は従来使用されている異形鉄筋で良いが、表面に防錆処置を施すことが望ましい。また、結束線はステンレス材が望ましい。
【0033】
次いで、柱部2の表面に補強用被覆層3を形成する。補強用被覆層3の形成は、まず、防錆性能を持つポリマーペースト系の下地強化被覆材を塗布し、次にポリマーセメント系被覆材を塗布する。塗布方法は、下地強化被覆材についてはハケ塗りまたは吹き付けとし、ポリマーセメント系被覆材はコテ塗りまたは吹き付けとする。このとき、ポリマーセメント系被覆材は、図2に示すように、上流側の円弧部上に被覆される被覆層3aのみ、他の下流側の円弧部および流れ方向に沿う面上に被覆される被覆層3bよりも厚く、かつ、上流側へ向かうに連れて厚くなるように塗布する。なお、ポリマーセメント系被覆材の重ね塗り時には層間に浮きが発生しないように入念に塗布することが望ましい。
【0034】
なお、上流側の被覆層3aの強度をさらに高めるため、ポリマーセメント系被覆材内に補強材を含めて形成することもできる。ポリマーセメント系被覆材内に補強材を含めるためには、例えば、ポリマーセメント系被覆材内にステンレス等の金属製短繊維を混入したり、ステンレス等の金属製補強材を設置したりする。これにより、流水の上流側の被覆層3aの強度を高めることができ、さらに流木や転石等の衝突時の衝撃に対して強くなる。
【0035】
被覆層3a以外の被覆層3bの柱部2表面に露出する厚みは、従来のRC巻立て工法の約1/8、ポリマーモルタル巻立て工法の約1/3となるため、建築限界や河積阻害の制限を受ける橋脚の補強が可能である。また、巻立て厚さを大幅に削減することができることから、ポリマーセメント系被覆材の使用量も従来のポリマーモルタル巻立て工法よりも2/3ほど削減でき、施工費の大幅な削減が可能である。
【0036】
次に、本発明のコンクリート構造物の補強工法の別の実施形態について説明する。図5は本発明の別の実施の形態におけるコンクリート構造物の補強工法により施工した鉄筋コンクリート製の橋脚の平面断面図、図6は図5のC部拡大図である。
【0037】
図5において、橋脚20には、鉄筋コンクリート製の既設橋脚の柱部21の側面全面に、ポリマーセメント系被覆材により同一厚さの補強用被覆層22が形成されている。但し、流水の上流側には、補強用被覆層22の上にゴム製等の衝撃吸収材23が設けられている。つまり、流水の上流側は、補強用被覆層22と衝撃吸収材23とが重ねられることにより二重の被覆層が構成されることで、この上流側以外の他の補強用被覆層22部分よりも厚く形成されている。
【0038】
なお、衝撃吸収材23は、前述の被覆層3aと同様に、上流側へ向かうに連れて厚くなるように三日月断面状に形成されたものである。この衝撃吸収材23は、図6に示すようにコンクリートアンカー24によって補強用被覆層22を貫通して鉄筋コンクリート製の柱部21に固定されている。また、コンクリートアンカー24の頭部は、シール材25によって衝撃吸収材23内に密封されている。
【0039】
このように、流水の上流側の被覆層を、ポリマーセメント系被覆材により被覆した後、このポリマーセメント系被覆材からなる補強用被覆層22の上に衝撃吸収材23を設けることにより構成した場合であっても、出水時に上流から流れてくる流木や転石等の衝突による衝撃を、直接この衝撃吸収材23により吸収させることができるので、その下のポリマーセメント系被覆材への衝撃を小さくして、ポリマーセメント系被覆材の損傷を防止することが可能である。
【0040】
なお、図示しないが、図1の被覆層3aの上に、図5と同様のゴム製の衝撃吸収材23を設ける構成とすることも可能である。また、図1に示した橋脚1において、河川の流れが比較的緩やかで、ポリマーセメント系被覆材のひび割れの可能性がない場合には、誘発目地10および衝撃吸収材11を省略することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明のコンクリート構造物の補強工法および補強構造は、コンクリート製の橋脚に作用する地震時の水平荷重に対する耐震補強に止まらず、橋梁のコンクリート製桁下面の補強や、他のコンクリート構造物の補強に有用である。特に、出水の可能性のある河川に設置される橋脚の補強に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態におけるコンクリート構造物の補強工法により施工した鉄筋コンクリート製の橋脚の平面断面図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】図1のB部拡大図である。
【図4】図3の縦断面図である。
【図5】本発明の別の実施の形態におけるコンクリート構造物の補強工法により施工した鉄筋コンクリート製の橋脚の平面断面図である。
【図6】図5のC部拡大図である。
【符号の説明】
【0043】
1 橋脚
2 柱部
3 補強用被覆層
3a,3b 被覆層
4a 主筋
4b 帯筋
5 溝
6 鉛直方向補強筋
7 樹脂
8 帯筋
9 フレア溶接
10 誘発目地
11 衝撃吸収材
20 橋脚
21 柱部
22 補強用被覆層
23 衝撃吸収材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流水中に配設されるコンクリート構造物の表面に補強筋を埋設固定し、表面をポリマーセメント系被覆材により被覆して被覆層を形成するコンクリート構造物の補強工法において、
前記流水の上流側の被覆層のみを他の被覆層よりも厚く形成することを特徴とするコンクリート構造物の補強工法。
【請求項2】
前記流水の上流側の被覆層は、前記ポリマーセメント系被覆材内に補強材を含めて形成することを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造物の補強工法。
【請求項3】
前記被覆層の前記流水の流れに沿う面と前記流水の上流側の被覆層との取り合い部の変化点に誘発目地を形成し、この誘発目地内に衝撃吸収材を充填することを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート構造物の補強工法。
【請求項4】
前記流水の上流側の被覆層は、前記ポリマーセメント系被覆材により被覆した後、前記ポリマーセメント系被覆材の上に衝撃吸収材を設けることにより形成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のコンクリート構造物の補強工法。
【請求項5】
流水中に配設されるコンクリート構造物の表面に補強筋を埋設固定し、表面をポリマーセメント系被覆材により被覆して被覆層を形成したコンクリート構造物の補強構造であって、
前記流水の上流側の被覆層のみが他の被覆層よりも厚いことを特徴とするコンクリート構造物の補強構造。
【請求項6】
前記流水の上流側の被覆層は、前記ポリマーセメント系被覆材内に補強材を含むものである請求項5記載のコンクリート構造物の補強構造。
【請求項7】
前記被覆層の前記流水の流れに沿う面と前記流水の上流側の被覆層との取り合い部の変化点に誘発目地を備え、この誘発目地内に衝撃吸収材を備えたことを特徴とする請求項5または6に記載のコンクリート構造物の補強構造。
【請求項8】
前記流水の上流側の被覆層は、前記ポリマーセメント系被覆材により被覆された第1の被覆層と、この第1の被覆層の上に衝撃吸収材により形成された第2の被覆層とから構成されたものである請求項5から7のいずれかに記載のコンクリート構造物の補強構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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