説明

コンクリート製の排水用側溝

【課題】孔や切欠きなど排水のための加工をする必要がないうえ、製造のため新たな金型も必要とせず、また路面に露出して車両の走行により割れや欠けを生ずることがないコンクリート製の排水用側溝を提供する。
【解決手段】通水孔8及び9を形成した上壁5a及び側壁5bと底壁5cとで断面倒L形をなし、上壁端と底壁5cを下辺に通水用の切欠き11を形成した塞ぎプレート6で連結して上壁5aと側壁5bと底壁5cとで断面が矩形状に形成された通水金具5と、該通水金具5より延びる底壁部分と通水金具5とで形成される受枠7を断面U形のコンクリート製側溝13の側壁上端面にアンカー12にて取付け、コンクリート蓋14とグレーチング15をグレーチング15が切欠き11の形成される箇所に装着されるように取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路脇に設置される断面U字形のコンクリート製の排水用側溝に関する。
【背景技術】
【0002】
この種コンクリート製の排水用側溝には通常、特許文献1に開示されるように、コンクリート蓋が敷き並べられ、コンクリート蓋間には、適当間隔でグレーチングが配置されている。
【0003】
一方、道路に関しては、昨今透水性アスファルトを表層部に用いた道路構造が多くなっている。こうした道路構造では、透水性アスファルトを浸透した雨水は、不透水性の基層上を流れて道路脇の側溝に達し、側溝を通して排水されるようになっており、側溝に流入できるようにするために特許文献2には、側溝の側壁に孔や切欠きを設けて該孔や切欠きに導水用部材を装着した側溝ブロックが開示され、特許文献3には、側溝の側壁上部にポーラスコンクリートよりなる透水部を設けた排水用コンクリート部体が開示されている。
【特許文献1】特開2004−3249号公報
【特許文献2】特許第2987575号公報
【特許文献3】特開平10−131269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるような従来のコンクリート製の排水用側溝では、路面に降り注いだ雨水は、道路脇の側溝に向けて流れ、コンクリート蓋を伝ってグレーチングより側溝に流入するようになっているが、グレーチングは通常部分的にしか配置されておらず、グレーチングの配置箇所でしか排水することができない。コンクリート蓋を全てグレーチングに換えれば水はけはよくなるが、グレーチングはコンクリート蓋に比べ高価であり、コスト高となる。
【0005】
特許文献2に開示される側溝ブロックも排水用の孔や切欠きは部分的にしか設けられていないし、孔や切欠きを形成したコンクリートブロックを量産するには、そのための金型が必要となる。
【0006】
特許文献3に開示される排水用コンクリート部体もポーラスコンクリートを形成するのに新たな工程や金型が必要であり、またポーラスコンクリートは強度が弱く欠損し易い難点がある。
【0007】
本発明は、上記の問題を解消し、透水性の舗装道路でも不透水性の舗装道路にも使用することができるコンクリート製の排水用側溝を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係わる発明は、道路脇に設置され、対向する側壁と底壁とで断面略U字形をなすコンクリート製の排水用側溝であって、該側溝には、コンクリート蓋が敷き並べられると共に、コンクリート蓋間に適当間隔でグレーチングが配置される側溝において、両側壁のうち、少なくとも舗装道路側の側壁にはその上端面に断面が矩形状で、側壁上端面よりも狭幅であり、側壁上端面に取付けた状態で、該側壁上端面と共にコンクリート蓋及びグレーチングが掛けられる段を形成する鋼製の通水金具を取付け、該通水金具には、少なくとも上面とグレーチングに対向する側面に通水孔が形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係わる発明は、請求項1に係わる発明において、道路が不透水性の基層上に透水性の表層部を形成した構造をなし、通水金具には、舗装道路側の側面にも通水孔が形成されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係わる発明は、請求項1又は2に係わる発明において、通水金具には、側壁上端面上に延びる受け金具が形成され、該受け金具と通水金具とでコンクリート蓋及びグレーチングの受け枠を構成することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、通水金具は、山形鋼とコ形断面の金具の組合わせによって形成され、山形鋼がコンクリート蓋及びグレーチングの受枠を構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係わる発明において、路面に降り注いだ雨水は道路脇に向けて流れ、通水金具上面の通水孔より通水金具内に流入する。グレーチングは一般に図1に示すように、断面略I形のベアリングバー1と、一定間隔で並設したベアリングバー1と直交して配置されるクロスバー2と、ベアリングバー1の両端に取付けられるエンドプレート3よりなり、このエンドプレート3はベアリングバー1より高さが低く、グレーチング設置面との間に隙間が生じるようになっている。したがって通水金具内に流入した雨水はグレーチングに対向する側面に形成した通水孔よりエンドプレート下を通ってグレーチング内に流入し、側溝に流れ込んで排水される。
【0013】
本発明によると、コンクリート製の排水用側溝には孔や切欠きなど排水のための加工をする必要がないこと、通水金具が取付けられる側壁上端面は路面に露出しないので、車両等の走行によって割れや欠けなどを生ずることがないこと等の効果を奏する。
【0014】
請求項2に係わる発明においては更に、道路の表層部を浸透した雨水は不透水性の基層上を流れて、通水金具に達し、通水孔より通水金具内に流入する。
【0015】
請求項3に係わる発明によると、通水金具が受け金具と共に、コンクリート蓋やグレーチングの受枠を構成するようになり、コンクリート蓋やグレーチングをガタ付くことなく安定して支持することができ、
請求項4に係る発明によると、山形鋼がコンクリート蓋やグレーチングの受枠を構成するようになり、コンクリート蓋やグレーチングをガタ付くことなく安定して支持することができ、また通水金具は既存の山形鋼を利用して形成され、その分製作コストを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態のコンクリート製の側溝について図面により説明する。
図2は、鋼板を折曲加工して上面を構成する上壁5aと側面を構成する側壁5bと底面を構成する底壁5cとで断面略倒J形状をなし、上壁5aと側壁5bと底壁5cをふさぎプレート6で連結して上壁5aと側壁5bと底壁5cとで断面が矩形状に形成された通水金具5と、該通水金具5より延びる底壁部分と塞ぎプレート6とで形成される受枠7について示すもので、上壁5aには長手方向に一定間隔で長孔状の通水孔8が形成されるとともに、側壁5bには縦孔状の通水孔9が長手方向に一定間隔でジグザグ状に形成されている。そして塞ぎプレート6の下部には、グレーチングが設置される箇所に通水孔となる底辺を開口した矩形の切欠き11が形成されている。図中、12は底壁5cより下方に突設され、コンクリート製の側溝13に埋設されて、通水金具5を側溝13の側壁上端面に固定するアンカーである。
【0017】
図3は、断面U字形のコンクリート製排水用側溝13を形成する側壁の上端面に受け枠7を備えた通水金具5を取付けた側溝13について示すものであり、図4はコンクリート蓋14とグレーチング15を取付けた側溝13を示すものである。図中、18は、通水金具5の長手方向に一定間隔で取付けられ、通水金具5を補強するリブであり、19は舗装道路の路面で、舗装道路の構造は図3に概略で示すように、不透水性の基層16上に透水性のアスファルト層17を形成したものよりなっている。
【0018】
本実施形態の側溝13を用いた道路構造において、路面19に降り注いだ雨水は、一部が路面19を流れて道路脇の通水金具5に達し、上壁5aの通水孔8より通水金具5に流入する一方、透水性のアスファルト層17を浸透した雨水は不透水性の基層6上を流れて通水金具5に達し、側壁5bの通水孔9より通水金具5に流入する。以上のようにして通水金具5に流入した雨水は、通水金具内を流れ、切欠き11よりグレーチング15のエンドプレート下を通り、グレーチング内に流入して側溝13に流れ込む。
【0019】
本実施形態の側溝13によれば、側壁上端面に受け枠7を備えた透水金具5を取付けるだけで側溝に孔や切欠き等、排水のための加工をする必要がないこと、受枠を備えた通水金具5は金型に取付けた状態で生コンクリートを流しこむことにより、或いは金型に生コンクリートを流しこんだのち、コンクリートが固化しない段階でアンカー12を差込むことにより取付けることができ、新たな金型を必要としないこと、受枠によりコンクリート蓋14やグレーチング15をガタ付くことなく安定して取付けることができること、受枠7は通水金具5の底壁5cにより形成され、通水金具5製造の一環として簡易に得られること、側壁上端面は通水金具5や受枠7によって路面に露出することがないため車両の走行によって割れや欠け等を生ずることがないこと等の効果を奏する。
【0020】
上記実施形態では、表層部が透水性のアスファルト層17である舗装道路に適用した例を示したが、不透水性の舗装道路にも適用することができる。この場合、側壁5bの通水孔9は省くことができる。
【0021】
上記実施形態ではまた、側溝13の両側壁のうち、舗装道路と反対側の側壁上端にも通水金具5を取付けているが、この通水金具は省いてもよい。舗装道路と反対側の側壁上端に通水金具を取付ける場合でも側壁5bの通水孔9は省いてもよい。
【0022】
図5は、通水金具の別の例を示すもので、この止水金具21は、鋼板を折曲加工し、前記実施形態の通水孔8及び9と同様の通水孔24及び25を形成した上壁22a及び側壁22bと底壁22cとで断面コ形状をなす金具22と、山形鋼23を組合わせて連結した構造をなしており、山形鋼23はコンクリート蓋14やグレーチング15の受枠として機能するようになっている。なお山形鋼23には図示していないが、コーナに前記実施形態の通水金具5に形成される切欠き11と同様、通水孔となる矩形状の孔がグレーチングの設置される箇所に対応して形成されている。図中、26はアンカーである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】グレーチングの斜視図
【図2】受枠を備えた通水金具の一部を切欠いた斜視図
【図3】図2に示す通水金具を備えた側溝の断面図
【図4】コンクリート蓋とグレーチングを取付けた側溝の斜視図
【図5】受枠を備えた通水金具の別の例の斜視図
【符号の説明】
【0024】
5、21・・通水金具
6・・塞ぎプレート
7・・受け枠
8、9、24、25・・通水孔
11・・切欠き
12、26・・アンカー
13・・コンクリート製の側溝
14・・コンクリート蓋
15・・グレーチング
16・・不透水性の基層
17・・透水性のアスファルト層
18・・リブ
19・・舗装道路の路面
22・・金具
23・・山形鋼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路脇に設置され、対向する側壁と底壁とで断面略U字形をなすコンクリート製の排水用側溝であって、該側溝には、コンクリート蓋が敷き並べられると共に、コンクリート蓋間に適当間隔でグレーチングが配置される側溝において、両側壁のうち、少なくとも舗装道路側の側壁にはその上端面に断面が矩形状で、側壁上端面よりも狭幅であり、側壁上端面に取付けた状態で、該側壁上端面とコンクリート蓋及びグレーチングが掛けられる段を形成する鋼製の通水金具を取付け、該通水金具には、少なくとも上面とグレーチングに対向する側面に通水孔が形成されることを特徴とするコンクリート製の排水用側溝。
【請求項2】
道路が不透水性の基層上に透水性の表層部を形成した構造をなし、通水金具には、舗装道路側の側面にも通水孔が形成されることを特徴とする請求項1記載のコンクリート製の排水用側溝。
【請求項3】
通水金具には、側壁上端面上に延びる受け金具が形成され、該受け金具と通水金具とでコンクリート蓋及びグレーチングの受け枠を構成することを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート製の排水用側溝。
【請求項4】
通水金具は、山形鋼とコ形断面の金具の組合わせによって形成され、山形鋼がコンクリート蓋及びグレーチングの受枠を構成することを特徴とする請求項1又は2記載のコンクリート製の排水用側溝。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−75331(P2008−75331A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255358(P2006−255358)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000133294)株式会社ダイクレ (65)
【Fターム(参考)】