コンクリート製品の接合方法及び圧入部材
【課題】接着剤の持つ弾性をより有効に発揮させてコンクリート製品間の止水性をさらに向上させることができるコンクリート製品の接合方法を提供する。
【解決手段】本実施形態に係るボックスカルバート100の接合方法は、接着剤4を塗布する接合面1において表面を接着剤4が接着し得ないスキン層21b、22bとした弾性体2により接着面領域3を定め、接着面領域3が定められたボックスカルバート100に対向する接合面1と弾性体2とにより接着面領域の境界を限定し、境界の限定された接着面領域に接着剤4を充填してボックスカルバート100同士を接合することを特徴とするものである。
【解決手段】本実施形態に係るボックスカルバート100の接合方法は、接着剤4を塗布する接合面1において表面を接着剤4が接着し得ないスキン層21b、22bとした弾性体2により接着面領域3を定め、接着面領域3が定められたボックスカルバート100に対向する接合面1と弾性体2とにより接着面領域の境界を限定し、境界の限定された接着面領域に接着剤4を充填してボックスカルバート100同士を接合することを特徴とするものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボックスカルバートなどのプレキャストコンクリート製品により構築される構造物である下水道、排水路、共同溝などにおいて、施工後のコンクリート製品同士の接合を維持するためのコンクリート製品の接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート製品同士を接合する際に、接着剤を使用してコンクリート製品を接合するものも知られている(特許文献1)。この特許文献1のものは、主剤と硬化剤とを分離して収納する接着剤パックを、接合に際して主剤と硬化剤とを分離している部材を取り外して接着剤パックを揉むことにより主剤と硬化剤とを混合し、接着剤パックから接着剤を絞り出して接合面に塗布し、その後にコンクリート製品同士を、接着剤を塗布した接合面において密着することで接合する構成である。
が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また他方、コンクリート製品同士を接合する際に、弾性を有する接着剤を用いたものも開示されている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、弾性体とコンクリート製品自体により囲まれた空間に接着剤を充填してコンクリート製品同士を接合することによって、接着剤を漏洩させることなく硬化することができるとともに、コンクリート製品間の止水性を大きく改善したものも開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−292506号公報
【特許文献2】特開2007−314965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献2のものは、弾性体と接着剤が施工時に止着するため、弾性体の弾性変形に対して弾性を有する接着剤も好適に追従させることによって安定した止水性を実現している。そして現在、弾性を有する接着剤はその性能を向上させており、弾性体として用いる素材よりも伸縮性に富むものもコンクリート製品の接合に有効に使用し得るのが現状である。すなわち、これからは、このような弾性を有する接着剤の持つ弾性をより有効に発揮させることによってコンクリート製品間の止水性をさらに向上させ得るものが求められている。
【0005】
本発明は、このような不具合に着目したものであり、接着剤の持つ弾性をより有効に発揮させてコンクリート製品間の止水性をさらに向上させることができるコンクリート製品の接合方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、本発明に係るコンクリート製品の接合方法は、対向する両端に接合面を有してなるコンクリート製品の少なくとも二つを、接合面に弾性を有する接着剤を塗布して接合するコンクリート製品の接合方法であって、接着剤を塗布する接合面において表面を前記接着剤が接着し得ないスキン層とした弾性体により接着面領域を定め、接着面領域が定められたコンクリート製品に対向するコンクリート製品の接合面と弾性体とにより接着面領域の境界を限定し、境界の限定された接着面領域に接着剤を充填してコンクリート製品同士を接合することを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、弾性を有する接着剤はスキン層を介して弾性体に接する構成となる。そのため、弾性体と接着剤とを接離させ得るものとすることができる。そうすることにより、コンクリート製品同士が接離する際には、弾性体及び接着剤はそれぞれ独立して伸縮し得るものとなる。そのため、接着剤の伸縮は弾性体の伸縮の範囲に干渉されることを回避することができる。そしてその結果、接着剤の持つ弾性をより有効に発揮させてコンクリート製品間の止水性をさらに向上させることが可能となる。
【0008】
そして当該弾性体の具体的な構成として、上記スキン層を、弾性体を押し出しにより成形することにより当該弾性体の表面に形成し無気泡の層としたものを挙げることができる。
【0009】
そしてコンクリート製品に対する弾性体の位置決めを好適なものとして、接着材の充填を確実なものにするためには、接合面の一方または両方に、弾性体を取り付けるための溝形状をなす凹部を設けることが望ましい。
【0010】
そして、弾性体と接着剤とがそれぞれ独立した伸縮を行い易くするためには、凹部を、弾性体を取り付ける取付段部と、当該取付段部とは段差を介した位置に設けた接着剤を充填するための充填段部とを有するものとすることが好ましい。
【0011】
そして一般には弾性体として採用する素材よりも高弾性接着剤といった接着剤の方が高い伸縮性を示すことから、凹部を、充填段部よりも取付段部を深く形成し、接着剤の厚み寸法を相対的に小さく構成することが好ましく、この構成によって弾性体の取付位置をさらに明確にすることができる。
【0012】
そして本発明は、上記要件のもと、接着面領域を、コンクリート製品の接合面に対してU字状に取り付けた外側弾性体と、当該外側弾性体の内側に取り付けた環状又はU字状の内側弾性体とによってU字状に定めたものとして、当該U字状の接着面領域の一方の端部から接着剤を注入して当該接着剤が他方の端部に至るまで接着剤を圧入するものとしている。そのため、接着面領域をU字状として接着面領域の端部を開放させることにより、接着面領域を閉鎖形状とした場合に比べて接合時にも端部を開放させて接着面領域の内圧の上昇を防ぐことができる。(実施形態:別途注入のための加工をコンクリート製品に施すことなく接着剤を圧入することができる。1箇所からの圧入のみで接着剤圧入の作業を終了させることができる。)
そして、係る接合方法を、一対の側版と当該一対の側版に連続する底版とを有するボックスカルバートや水路などのいわゆるプレキャストコンクリート製品に適用する場合の具体的な態様として、接着剤を一方の側版の上端から当該接着剤が他方の側版の上端に至るまで接着剤を圧入する態様を挙げることができる。そうすることにより、コンクリート製品の上側からの作業のみで接着剤の圧入を完了できるので、作業時の安全性を有効に向上させることができる。特に寸法の小さなコンクリート製品に適用する場合にみられるような、作業者が接着剤の圧入作業のための狭い場所での作業を強いられてしまうといった不具合を、有効に回避し得るものとなる。
【0013】
そして、より確実かつ迅速に接着剤を圧入する一手法として、一方の側版の上端から圧入部材を下方へ挿入した状態で接着剤を圧入するといった手法を挙げることができる。
【0014】
そして、接着剤を確実かつ速やかに圧入するためには接着剤の使用時の粘度を、10,000mPa・s以下に設定していることが望ましい。そして斯かる粘度のみならず上述の態様に適した接着性能や弾性を有する接着剤として具体的には、エポキシ樹脂と変性シリコン樹脂との二液性の接着剤を使用することが好ましい。また、接着剤を利用する場合には使用する際の温度により同じ接着剤でも性能が変わってくるため、当該接着剤は、後の実施例で詳述する通り、温度によって数種類のものを使い分けることが好ましい。
【0015】
そして、U字状の接着面領域の一方の端部から接着剤を注入して当該接着剤が他方の端部に至るまで接着剤を圧入する場合に好適に適用され得る本発明に係る圧入部材は、前記接着剤を一方の側版の上端から挿入し、当該接着剤が他方の側版の上端に至るまで接着剤を圧入することを特徴としたものである。そして斯かる圧入部材の具体的な構成として、弾性体に管状部材を貫通させ、当該貫通させた管状部材の一端側に接着剤を注入し得るホースを接続したものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、弾性体と接着剤とが接着されてしまうことを有効に回避して、接離可能なものとすることができる。そうすることにより、コンクリート製品同士が接離する際には、弾性体及び接着剤はそれぞれ独立して伸縮し得るものとなる。そのため、接着剤の伸縮は弾性体の伸縮の範囲に干渉されることを回避することができる。そしてその結果、接着剤の持つ弾性をより有効に発揮させてコンクリート製品間の止水性をさらに向上させることが可能となる。
【0017】
また本発明に係る圧入部材によれば、任意の箇所から接着剤を圧入することができるので、接着剤をより安全・確実に、併せてより迅速に充填することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
この実施形態においては、コンクリート製品として、ボックスカルバート100を用い、例えば下水道などの地下構造物200を構築する場合のものを説明する。具体的にはこの地下構造物200は、複数のボックスカルバート100間を弾性体2と接着剤4、そしてジョイント部5を介して接続しているものである。
【0020】
ボックスカルバート100は、本実施形態では一対の側版100aと当該一対の側版100aに連続する底版100bと、底版100bに対向して位置付けた頂版100cとを有する、いわゆる断面正方形状の角筒形態であるとともに、長手方向の両端に接合面1を備えるものであり、その複数を接合面1において接合することにより連結して地下構造物200を構築するものである。接合面1は、その外周形状を正方形とするとともに内周形状もほぼ正方形とするもので、四角形の環状形状となっている。なお本実施形態では図示の通り角筒形状のコンクリート製品について説明しているが、勿論、一対の側版100aと底版100bとによって構成され上方を開放させたコンクリート製品によって三面水路を構成するために本発明を適用してもよい。
【0021】
ここで、本発明に係るコンクリート製品たるボックスカルバート100の接合方法は、対向する両端に接合面1を有してなるボックスカルバート100の少なくとも二つを、接合面1に弾性を有する接着剤4を塗布して接合するコンクリート製品の接合方法であって、接着剤4を塗布する接合面1において表面を接着剤4が接着し得ないスキン層21b、22bとした弾性体2により接着面領域3を定め、接着面領域3が定められたボックスカルバート100に対向する接合面1と弾性体2とにより接着面領域の境界を限定し、境界の限定された接着面領域に接着剤4を充填してボックスカルバート100同士を接合することを特徴とするものである。
【0022】
なお本実施形態に係る接続方法は、圧入部材6を用いて特定の1箇所から接着剤4を圧入するものであるが、斯かる方法については後に詳述する。
【0023】
以下、ボックスカルバート100の接合面1の接合方法について、各部の構成の説明とともに詳述する。
【0024】
接合面1は、図1、図2、図4及び図5に示すように、ボックスカルバート100の長手方向両端部に形成されたものであり、一方の接合面1を、弾性体2を取り付けることにより接着面領域3を特定しうる凹凸面10とし、他方の接合面1は後述するジョイント部5に係る構成以外は平坦に形成したフラット面11としている。
【0025】
凹凸面10は、弾性体2及び接着剤4を位置付けるための溝形状をなす凹部12を形成している。そしてこの凹部12は、図1、図2に示すようにボックスカルバート100の側版100a及び底版100bに沿ってU字状に形成された後述する第1パッキン材21並びにボックスカルバート100の周縁を周回する第2パッキン材22に沿って形成されたものとなっており、弾性体2を取り付ける取付段部13と、当該取付段部13とは段差を介した位置に設けた接着剤4を充填するための充填段部14と、これら取付段部13並びに充填段部14に隣接して形成された傾斜面15を有している。
【0026】
取付段部13は、図4及び図5に示すように、弾性体2、具体的には後述する第1パッキン材21と第2パッキン材22とが一定の距離を介して位置付けるように形成したものであり。その両端には当該取付段部13を拡開させる方向に傾斜させることによって、ボックスカルバート100の製造時に所謂抜き勾配として作用する傾斜面15を形成したものとしている。
【0027】
充填段部14は、図4及び図5に示すように、当該取付段部13とは段差、すなわち傾斜面15を介した比較的浅い位置に設けられた、充填された接着剤4が接合する部分である。すなわち、上記取付段部13は、当該充填段部14よりも深い位置に形成されているため、弾性体2と充填された接着剤4との接合方向に係る寸法は、弾性体2の寸法の方が大きく設定されたものとなっている。なお本実施形態では頂版100c側の第2パッキン材22の上方についても取付段部13から傾斜面15を介して浅く形成された構成となっているが、斯かる構成についての詳細な図示は省略している。
【0028】
弾性体2は、図1乃至図5に示すように、上述した取付段部13に沿って凹凸面10に取り付けられた、例えばポリエチレンやポリプロピレンといった非極性の樹脂によって一体成型されてなるものである。具体的には図3に示すように、押し出し成形によって形成されることにより、表面には気泡bを存在させることのないスキン層21b、22bを設けるとともに、中心部には空洞21a、22aを形成したものとなっている。
【0029】
そして弾性体2は、同図に示すとおり、外側弾性体2たる第1パッキン材21と、内側弾性体2たる第2パッキン材22とを有するものとなっている。第1パッキン材21は、接合面1の最外周U字状に位置付けたものとなっており、上端は頂版100cの表面よりも若干突出するように構成している。第2パッキン材22は第1パッキン材21の若干内方を頂版100c側にも周回することによって環状に構成している。
【0030】
接着面領域3は、図1、図2、図4及び図5に示すように、ボックスカルバート100の接合方向については接合面1、具体的にはフラット面11と凹凸面10の充填段部14によって限定されるとともに、接合面1の面方向には弾性体2、すなわち第1パッキン材21及び第2パッキン材22の、具体的にはスキン層21b、22bによって定められた、概略U字型に湾曲又は屈曲しながら連通した四角柱状の空間を指している。そして斯かる接着面領域3内に充填された接着剤4は弾性体2に設けたスキン層21b、22bには接着し得ないために、接合面1にのみ接する二面接着状態を構成し得るものとなっている。
【0031】
接着剤4は、例えば高弾性接着剤4といわれるものであり、本実施形態では、斯かる接着剤4を接着性能に優れたエポキシ樹脂と伸縮性・耐候性に優れた変性シリコン樹脂とを混合させてなる二液性の接着剤4を使用したものとしている。そして本実施形態で用いる接着剤4は、施工する時期の温度によって3種類の接着剤4を使い分けることにより、常にJIS K 6833に準じる粘度を10,000mPa・s以下、可使時間20分以上、且つ指触硬化時間は6時間以内という条件の全てを満たすようにしているが、斯かる接着剤4については後に詳述する。
【0032】
ジョイント部5は、図1、図2、図4及び図5に示すように、ボックスカルバート100同士を接合方向にずれることなく接合するためのものであり、接合面1の四隅近傍に埋め込まれたソケット51にジョイントバー52の両端をそれぞれ差し込んだ状態とすることによって、両接合面1を正確に接合させ得るものである。すなわち図4及び図5に示すように、斯かるジョイント部5により接合されたボックスカルバート100は接合面1の面方向に係る相対移動が好適に禁止されることによって、接合面1に設けられた弾性体2及び接着剤4は、ほぼ接合方向に沿った方向に伸縮することとなる。
【0033】
しかして本実施形態では、図4及び図5に示すように、弾性体2である第1パッキン材21及び第2パッキン材22の表面に上述したスキン層21b、22bを設けることにより、特に図5に示すように接着剤4は、弾性体2のスキン層21b、22bには接着し得ずに離間した状態となり、ボックスカルバート100の対面する接合面1の二面にのみ接着した状態となる。そのため、弾性体2の伸縮する範囲に束縛されることなく、図示では弾性体2の寸法よりも大きく接着剤4を伸長させることができるものとなっている。
【0034】
そして、本実施形態に係る接合方法は、接着剤4を上述の接着面領域3に塗布する方法として、一方の側版100aの上端に位置するU字状の接着面領域3の一方の端部から当該接着剤4が他方の端部すなわち側版100aの上端に至るまで接着剤4を圧入するものとしている。具体的には、一方の側版100aの上端から図6に示す圧入部材6を挿入した状態として、斯かる一点から接着剤4を圧入する方法を採用している。
【0035】
圧入部材6は、図6に示すように、例えば長さ20cmの管状部材であるアルミパイプ61を例えば上述した弾性体2と同じ材質・寸法を有する長さ15cm程の弾性挿入部63のパイプ挿通孔63aに挿入・貫通させ、しかる後に貫通させたアルミパイプ61の一端側に結束バンド62を介して接着剤4を注入するためのビニールホースBHを取り付けてなるものである。また圧入部材6は、当該弾性挿入部63の先端並びに基端に例えば両面テープを介して止着した接着部61aを設けたものとしている。
【0036】
そして、図7及び図8に示すとおり、接着面領域3の一方の端部から圧入部材6を挿入した状態で接着剤4を注入して当該接着剤4が他方の端部に至るまで接着剤4を圧入する。さらに本実施形態では、最後に、頂版100cに取り付けられた第2パッキン材22の上側にも接着剤4を施工することにより、接着剤4によるボックスカルバート100の接合作業を完了させるものとしている。
【0037】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係るコンクリート製品の接合方法は、表面を接着剤4が接着し得ないスキン層21b、22bとした弾性体2により接着面領域3を定めた上で、接着剤4を充填してボックスカルバート100同士を接合するので、弾性体2と接着剤4とが接着されてしまうことを有効に回避して、接離可能なものとすることができる。そうすることにより、ボックスカルバート100同士が接離する際には、弾性体2及び接着剤4はそれぞれ独立して伸縮し得るものとなる。そのため、接着剤4の伸縮は弾性体2の伸縮の範囲に干渉されることを回避することができる。そしてその結果、接着剤4の持つ弾性をより有効に発揮させてボックスカルバート100間の止水性をさらに向上させることが可能となっている。
【0038】
そして本実施形態では、上記スキン層21b、22bを、弾性体2を押し出しにより成形することにより当該弾性体2の表面に気泡bが無い層を形成することにより、例えば弾性体2の表面に別体の被膜を形成することを有効に回避して、単純な構成でスキン層21b、22bを実現している。
【0039】
また本実施形態では、ボックスカルバート100に対する弾性体2の位置決めを好適なものとして、接着材の充填を確実なものにするために、ボックスカルバート100の一方の接合面1に、弾性体2を取り付けるための溝形状をなす凹部12を設けている。
【0040】
そして、弾性体2と接着剤4とがそれぞれ独立した伸縮を行い易くするために本実施形態では、凹部12を、弾性体2を取り付ける取付段部13と、当該取付段部13とは段差を介した位置に設けた接着剤4を充填するための充填段部14とを形成している。
【0041】
そして一般には弾性体2として採用する素材よりも高弾性接着剤4といった接着剤4の方が高い伸縮性を示すことから本実施形態では、凹部12を、充填段部14よりも取付段部13を深く形成し、接着剤4の厚み寸法を相対的に小さく構成した。
【0042】
また本実施形態では、接着面領域3をU字状に定めたものとして、当該U字状の接着面領域3の一方の端部すなわち一方の側版100aの上端から接着剤4を注入して当該接着剤4が他方の端部すなわち他方の側版100aの上端に至るまで接着剤4を圧入するものとしている。
【0043】
このように、接着面領域3をU字状として接着面領域3の端部を開放させることにより、接着面領域3を閉鎖形状とした場合に比べて接合時にも端部を開放させて接着面領域3の内圧の上昇を防ぐことができる。またU字状に連通させた接着面領域3を形成することによって、ボックスカルバート100に対して接着剤4を注入のための格別の加工を施すことなく接着剤4を圧入することを可能なものとしている。特に、ボックスカルバート100の上側の1箇所からの圧入のみで接着剤4圧入の作業を完遂し得るものとなっている。そのため、作業者はボックスカルバート100の上側での作業のみで接着剤4の圧入を完了できるので、作業時の安全性を有効に向上させることができる。斯かる作業性の向上は、特に寸法の小さなボックスカルバート100に適用する場合にみられるような、作業者が接着剤4の圧入作業のための狭い場所での作業を強いられてしまうといった不具合を、有効に回避し得るものとなっている。
【0044】
そして本実施形態では、一方の側版100aの上端から圧入部材6を下方へ挿入した状態で接着剤4を圧入するといった手法を採用したことを特徴としているため、確実且つ迅速な接着剤4の充填を実現しているのみならず、より安全なコンクリート製品の接合方法に寄与したものとなっている。
<変形例>
続いて、本実施形態の変形例について説明する。なお本変形例について、上記実施形態と同じ構成要素に対しては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略するものとする。
【0045】
本変形例では、図9及び図10に示すとおり、ボックスカルバート100の両端に設けた接合面1の両方に凹凸面10を設けることにより、弾性体2を取り付けるための溝形状をなす凹部12を設けたものとしている。すなわち、対面する接合面1の両方に、上記実施形態で詳述した取付段部13、充填段部14並びに傾斜面15を形成したものとなっている。
【0046】
そして、斯かる構成により、弾性体2は接合方向の両方から確実に位置決めされることとなる。また、図10に示すように上記実施形態と同様に接着剤4はスキン層21b、22bには接着し得ないため、接着剤4は弾性体2に干渉されずに伸長し得るものとなっている。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態並びに変形例のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。例えば、上記実施形態ではスキン層を弾性体製造時の押し出し成形により形成したものとしたが、勿論スキン層は弾性体とは別体のものを利用して実現してもよい。例えば、弾性体の表面に別体の膜をコーティングしたり、巻回したりしたものであってもよい。
【0048】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【実施例】
【0049】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明は当該実施例に限定されるものではない。
【0050】
本実施例では接着剤は、高弾性接着剤といわれるものを採用しており、接着性能に優れたエポキシ樹脂と伸縮性・耐候性に優れた変性シリコン樹脂とを混合させてなる二液性の接着剤を使用したものとしている。そして本実施形態で用いる接着剤4は、施工する時期の温度によって3種類の接着剤を使い分けることにより、常にJIS K 6833に準じる粘度を10,000mPa・s以下、可使時間20分以上、且つ指触硬化時間は6時間以内という条件の全てを満たすようにしている。
【0051】
本発明に適用し得る接着剤として「冬用」、「一般用」、及び「夏用」として示す。具体的にはこれらの接着剤は、エポキシ樹脂と変性シリコン樹脂とを混合した2液製のものである。そして本実施例では、触媒の種類を適宜変更していくことにより、後述の通り、図11乃至図13に記すような特性を示す「夏用」、「冬用」及び「一般用」の接着剤としている。なお「冬用」の接着剤は、粘度を下げるために、特に希釈剤も用いたものとしている。
【0052】
そして図11乃至図13に、これら3種の接着剤に対し、各温度条件における粘度、可視時間及び指触硬化時間を測定した。
【0053】
図11は、これら3種の接着剤の粘度を測定したものである。具体的には、JIS K 6833「接着剤の一般試験方法 6.3 粘度」に準じた方法において、BH型粘度計を使用し、回転数を20rpmとして測定した。
【0054】
図12は、これら3種の接着剤の可使時間を測定したものである。具体的には当該3種の接着剤それぞれ300gを試料とし、その中心部の温度を時間とともに測定することによって可使時間を特定した。
【0055】
図13は、これら3種の接着剤の指触硬化時間を測定したものである。具体的には、RCI式乾燥時間測定器(ドライニングレコーダー)を使用し、2次線状痕消滅点に達した時間を硬化終了であると判定し、指触硬化時間とした。また当該データは、接着剤の塗布厚を0.5mmとした場合のものを示している。
そして、接着剤を確実かつ速やかに圧入するためには接着剤の使用時の粘度を、10,000mPa・S以下に設定していることが望ましい。そして斯かる粘度のみならず上述の態様に適した接着性能や弾性を有する接着剤として具体的には、エポキシ樹脂と変性シリコン樹脂とを混合した二液性の接着剤を使用することが好ましい。また、接着剤を利用する場合には使用する際の温度により同じ接着剤でも性能が変わってくるため、当該接着剤は、後の実施例で詳述する通り、温度によって数種類のものを使い分けることが好ましい
そして以上の接着剤から、測定した各温度毎に、上記条件を満たした接着剤を特定することが出来た。詳細には、気温5℃の場合、「冬用」のみが所要の特性を全て満たすものとなっている。10℃、20℃では、「冬用」及び「一般用」が所要の特性を全て満たすものとなっている。30℃では、「一般用」のみが、所要の特性を全て満たすものとなっている。そして40℃では、「夏用」のみが所要の特性を全て満たすものとなっている。
【0056】
このように本実施例では、特性の異なる複数種の接着剤から気温の変化等に応じて適切な接着剤を適用すれば、様々な状況下でも好適に本発明を実施することが可能となっていることを証明した。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係る地下構造物を示す外観図。
【図2】同実施形態に係るボックスカルバートを示す正面図。
【図3】同実施形態に係る弾性体を示す説明図。
【図4】同実施形態に係るボックスカルバートの要部断面図。
【図5】図4に係る作用説明図。
【図6】同実施形態に係る圧入部材を示す説明図。
【図7】同実施形態に係る作用説明図。
【図8】同実施形態に係る他の作用説明図。
【図9】同実施形態の変形例に係るボックスカルバートの要部断面図。
【図10】図9に係る作用説明図。
【図11】本発明の実施例に係るグラフを示す図。
【図12】同実施例に係る他のグラフを示す図。
【図13】同上。
【符号の説明】
【0058】
100…コンクリート製品(ボックスカルバート)
100a…側版
100b…底版
1…接合面
12…凹部
13…取付段部
14…充填段部
2…弾性体
21…外側弾性体(第1パッキン材)
22…内側弾性体(第2パッキン材)
21b、22b…スキン層
3…接着面領域
4…接着剤
6…圧入部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボックスカルバートなどのプレキャストコンクリート製品により構築される構造物である下水道、排水路、共同溝などにおいて、施工後のコンクリート製品同士の接合を維持するためのコンクリート製品の接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート製品同士を接合する際に、接着剤を使用してコンクリート製品を接合するものも知られている(特許文献1)。この特許文献1のものは、主剤と硬化剤とを分離して収納する接着剤パックを、接合に際して主剤と硬化剤とを分離している部材を取り外して接着剤パックを揉むことにより主剤と硬化剤とを混合し、接着剤パックから接着剤を絞り出して接合面に塗布し、その後にコンクリート製品同士を、接着剤を塗布した接合面において密着することで接合する構成である。
が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また他方、コンクリート製品同士を接合する際に、弾性を有する接着剤を用いたものも開示されている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、弾性体とコンクリート製品自体により囲まれた空間に接着剤を充填してコンクリート製品同士を接合することによって、接着剤を漏洩させることなく硬化することができるとともに、コンクリート製品間の止水性を大きく改善したものも開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−292506号公報
【特許文献2】特開2007−314965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献2のものは、弾性体と接着剤が施工時に止着するため、弾性体の弾性変形に対して弾性を有する接着剤も好適に追従させることによって安定した止水性を実現している。そして現在、弾性を有する接着剤はその性能を向上させており、弾性体として用いる素材よりも伸縮性に富むものもコンクリート製品の接合に有効に使用し得るのが現状である。すなわち、これからは、このような弾性を有する接着剤の持つ弾性をより有効に発揮させることによってコンクリート製品間の止水性をさらに向上させ得るものが求められている。
【0005】
本発明は、このような不具合に着目したものであり、接着剤の持つ弾性をより有効に発揮させてコンクリート製品間の止水性をさらに向上させることができるコンクリート製品の接合方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、本発明に係るコンクリート製品の接合方法は、対向する両端に接合面を有してなるコンクリート製品の少なくとも二つを、接合面に弾性を有する接着剤を塗布して接合するコンクリート製品の接合方法であって、接着剤を塗布する接合面において表面を前記接着剤が接着し得ないスキン層とした弾性体により接着面領域を定め、接着面領域が定められたコンクリート製品に対向するコンクリート製品の接合面と弾性体とにより接着面領域の境界を限定し、境界の限定された接着面領域に接着剤を充填してコンクリート製品同士を接合することを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、弾性を有する接着剤はスキン層を介して弾性体に接する構成となる。そのため、弾性体と接着剤とを接離させ得るものとすることができる。そうすることにより、コンクリート製品同士が接離する際には、弾性体及び接着剤はそれぞれ独立して伸縮し得るものとなる。そのため、接着剤の伸縮は弾性体の伸縮の範囲に干渉されることを回避することができる。そしてその結果、接着剤の持つ弾性をより有効に発揮させてコンクリート製品間の止水性をさらに向上させることが可能となる。
【0008】
そして当該弾性体の具体的な構成として、上記スキン層を、弾性体を押し出しにより成形することにより当該弾性体の表面に形成し無気泡の層としたものを挙げることができる。
【0009】
そしてコンクリート製品に対する弾性体の位置決めを好適なものとして、接着材の充填を確実なものにするためには、接合面の一方または両方に、弾性体を取り付けるための溝形状をなす凹部を設けることが望ましい。
【0010】
そして、弾性体と接着剤とがそれぞれ独立した伸縮を行い易くするためには、凹部を、弾性体を取り付ける取付段部と、当該取付段部とは段差を介した位置に設けた接着剤を充填するための充填段部とを有するものとすることが好ましい。
【0011】
そして一般には弾性体として採用する素材よりも高弾性接着剤といった接着剤の方が高い伸縮性を示すことから、凹部を、充填段部よりも取付段部を深く形成し、接着剤の厚み寸法を相対的に小さく構成することが好ましく、この構成によって弾性体の取付位置をさらに明確にすることができる。
【0012】
そして本発明は、上記要件のもと、接着面領域を、コンクリート製品の接合面に対してU字状に取り付けた外側弾性体と、当該外側弾性体の内側に取り付けた環状又はU字状の内側弾性体とによってU字状に定めたものとして、当該U字状の接着面領域の一方の端部から接着剤を注入して当該接着剤が他方の端部に至るまで接着剤を圧入するものとしている。そのため、接着面領域をU字状として接着面領域の端部を開放させることにより、接着面領域を閉鎖形状とした場合に比べて接合時にも端部を開放させて接着面領域の内圧の上昇を防ぐことができる。(実施形態:別途注入のための加工をコンクリート製品に施すことなく接着剤を圧入することができる。1箇所からの圧入のみで接着剤圧入の作業を終了させることができる。)
そして、係る接合方法を、一対の側版と当該一対の側版に連続する底版とを有するボックスカルバートや水路などのいわゆるプレキャストコンクリート製品に適用する場合の具体的な態様として、接着剤を一方の側版の上端から当該接着剤が他方の側版の上端に至るまで接着剤を圧入する態様を挙げることができる。そうすることにより、コンクリート製品の上側からの作業のみで接着剤の圧入を完了できるので、作業時の安全性を有効に向上させることができる。特に寸法の小さなコンクリート製品に適用する場合にみられるような、作業者が接着剤の圧入作業のための狭い場所での作業を強いられてしまうといった不具合を、有効に回避し得るものとなる。
【0013】
そして、より確実かつ迅速に接着剤を圧入する一手法として、一方の側版の上端から圧入部材を下方へ挿入した状態で接着剤を圧入するといった手法を挙げることができる。
【0014】
そして、接着剤を確実かつ速やかに圧入するためには接着剤の使用時の粘度を、10,000mPa・s以下に設定していることが望ましい。そして斯かる粘度のみならず上述の態様に適した接着性能や弾性を有する接着剤として具体的には、エポキシ樹脂と変性シリコン樹脂との二液性の接着剤を使用することが好ましい。また、接着剤を利用する場合には使用する際の温度により同じ接着剤でも性能が変わってくるため、当該接着剤は、後の実施例で詳述する通り、温度によって数種類のものを使い分けることが好ましい。
【0015】
そして、U字状の接着面領域の一方の端部から接着剤を注入して当該接着剤が他方の端部に至るまで接着剤を圧入する場合に好適に適用され得る本発明に係る圧入部材は、前記接着剤を一方の側版の上端から挿入し、当該接着剤が他方の側版の上端に至るまで接着剤を圧入することを特徴としたものである。そして斯かる圧入部材の具体的な構成として、弾性体に管状部材を貫通させ、当該貫通させた管状部材の一端側に接着剤を注入し得るホースを接続したものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、弾性体と接着剤とが接着されてしまうことを有効に回避して、接離可能なものとすることができる。そうすることにより、コンクリート製品同士が接離する際には、弾性体及び接着剤はそれぞれ独立して伸縮し得るものとなる。そのため、接着剤の伸縮は弾性体の伸縮の範囲に干渉されることを回避することができる。そしてその結果、接着剤の持つ弾性をより有効に発揮させてコンクリート製品間の止水性をさらに向上させることが可能となる。
【0017】
また本発明に係る圧入部材によれば、任意の箇所から接着剤を圧入することができるので、接着剤をより安全・確実に、併せてより迅速に充填することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
この実施形態においては、コンクリート製品として、ボックスカルバート100を用い、例えば下水道などの地下構造物200を構築する場合のものを説明する。具体的にはこの地下構造物200は、複数のボックスカルバート100間を弾性体2と接着剤4、そしてジョイント部5を介して接続しているものである。
【0020】
ボックスカルバート100は、本実施形態では一対の側版100aと当該一対の側版100aに連続する底版100bと、底版100bに対向して位置付けた頂版100cとを有する、いわゆる断面正方形状の角筒形態であるとともに、長手方向の両端に接合面1を備えるものであり、その複数を接合面1において接合することにより連結して地下構造物200を構築するものである。接合面1は、その外周形状を正方形とするとともに内周形状もほぼ正方形とするもので、四角形の環状形状となっている。なお本実施形態では図示の通り角筒形状のコンクリート製品について説明しているが、勿論、一対の側版100aと底版100bとによって構成され上方を開放させたコンクリート製品によって三面水路を構成するために本発明を適用してもよい。
【0021】
ここで、本発明に係るコンクリート製品たるボックスカルバート100の接合方法は、対向する両端に接合面1を有してなるボックスカルバート100の少なくとも二つを、接合面1に弾性を有する接着剤4を塗布して接合するコンクリート製品の接合方法であって、接着剤4を塗布する接合面1において表面を接着剤4が接着し得ないスキン層21b、22bとした弾性体2により接着面領域3を定め、接着面領域3が定められたボックスカルバート100に対向する接合面1と弾性体2とにより接着面領域の境界を限定し、境界の限定された接着面領域に接着剤4を充填してボックスカルバート100同士を接合することを特徴とするものである。
【0022】
なお本実施形態に係る接続方法は、圧入部材6を用いて特定の1箇所から接着剤4を圧入するものであるが、斯かる方法については後に詳述する。
【0023】
以下、ボックスカルバート100の接合面1の接合方法について、各部の構成の説明とともに詳述する。
【0024】
接合面1は、図1、図2、図4及び図5に示すように、ボックスカルバート100の長手方向両端部に形成されたものであり、一方の接合面1を、弾性体2を取り付けることにより接着面領域3を特定しうる凹凸面10とし、他方の接合面1は後述するジョイント部5に係る構成以外は平坦に形成したフラット面11としている。
【0025】
凹凸面10は、弾性体2及び接着剤4を位置付けるための溝形状をなす凹部12を形成している。そしてこの凹部12は、図1、図2に示すようにボックスカルバート100の側版100a及び底版100bに沿ってU字状に形成された後述する第1パッキン材21並びにボックスカルバート100の周縁を周回する第2パッキン材22に沿って形成されたものとなっており、弾性体2を取り付ける取付段部13と、当該取付段部13とは段差を介した位置に設けた接着剤4を充填するための充填段部14と、これら取付段部13並びに充填段部14に隣接して形成された傾斜面15を有している。
【0026】
取付段部13は、図4及び図5に示すように、弾性体2、具体的には後述する第1パッキン材21と第2パッキン材22とが一定の距離を介して位置付けるように形成したものであり。その両端には当該取付段部13を拡開させる方向に傾斜させることによって、ボックスカルバート100の製造時に所謂抜き勾配として作用する傾斜面15を形成したものとしている。
【0027】
充填段部14は、図4及び図5に示すように、当該取付段部13とは段差、すなわち傾斜面15を介した比較的浅い位置に設けられた、充填された接着剤4が接合する部分である。すなわち、上記取付段部13は、当該充填段部14よりも深い位置に形成されているため、弾性体2と充填された接着剤4との接合方向に係る寸法は、弾性体2の寸法の方が大きく設定されたものとなっている。なお本実施形態では頂版100c側の第2パッキン材22の上方についても取付段部13から傾斜面15を介して浅く形成された構成となっているが、斯かる構成についての詳細な図示は省略している。
【0028】
弾性体2は、図1乃至図5に示すように、上述した取付段部13に沿って凹凸面10に取り付けられた、例えばポリエチレンやポリプロピレンといった非極性の樹脂によって一体成型されてなるものである。具体的には図3に示すように、押し出し成形によって形成されることにより、表面には気泡bを存在させることのないスキン層21b、22bを設けるとともに、中心部には空洞21a、22aを形成したものとなっている。
【0029】
そして弾性体2は、同図に示すとおり、外側弾性体2たる第1パッキン材21と、内側弾性体2たる第2パッキン材22とを有するものとなっている。第1パッキン材21は、接合面1の最外周U字状に位置付けたものとなっており、上端は頂版100cの表面よりも若干突出するように構成している。第2パッキン材22は第1パッキン材21の若干内方を頂版100c側にも周回することによって環状に構成している。
【0030】
接着面領域3は、図1、図2、図4及び図5に示すように、ボックスカルバート100の接合方向については接合面1、具体的にはフラット面11と凹凸面10の充填段部14によって限定されるとともに、接合面1の面方向には弾性体2、すなわち第1パッキン材21及び第2パッキン材22の、具体的にはスキン層21b、22bによって定められた、概略U字型に湾曲又は屈曲しながら連通した四角柱状の空間を指している。そして斯かる接着面領域3内に充填された接着剤4は弾性体2に設けたスキン層21b、22bには接着し得ないために、接合面1にのみ接する二面接着状態を構成し得るものとなっている。
【0031】
接着剤4は、例えば高弾性接着剤4といわれるものであり、本実施形態では、斯かる接着剤4を接着性能に優れたエポキシ樹脂と伸縮性・耐候性に優れた変性シリコン樹脂とを混合させてなる二液性の接着剤4を使用したものとしている。そして本実施形態で用いる接着剤4は、施工する時期の温度によって3種類の接着剤4を使い分けることにより、常にJIS K 6833に準じる粘度を10,000mPa・s以下、可使時間20分以上、且つ指触硬化時間は6時間以内という条件の全てを満たすようにしているが、斯かる接着剤4については後に詳述する。
【0032】
ジョイント部5は、図1、図2、図4及び図5に示すように、ボックスカルバート100同士を接合方向にずれることなく接合するためのものであり、接合面1の四隅近傍に埋め込まれたソケット51にジョイントバー52の両端をそれぞれ差し込んだ状態とすることによって、両接合面1を正確に接合させ得るものである。すなわち図4及び図5に示すように、斯かるジョイント部5により接合されたボックスカルバート100は接合面1の面方向に係る相対移動が好適に禁止されることによって、接合面1に設けられた弾性体2及び接着剤4は、ほぼ接合方向に沿った方向に伸縮することとなる。
【0033】
しかして本実施形態では、図4及び図5に示すように、弾性体2である第1パッキン材21及び第2パッキン材22の表面に上述したスキン層21b、22bを設けることにより、特に図5に示すように接着剤4は、弾性体2のスキン層21b、22bには接着し得ずに離間した状態となり、ボックスカルバート100の対面する接合面1の二面にのみ接着した状態となる。そのため、弾性体2の伸縮する範囲に束縛されることなく、図示では弾性体2の寸法よりも大きく接着剤4を伸長させることができるものとなっている。
【0034】
そして、本実施形態に係る接合方法は、接着剤4を上述の接着面領域3に塗布する方法として、一方の側版100aの上端に位置するU字状の接着面領域3の一方の端部から当該接着剤4が他方の端部すなわち側版100aの上端に至るまで接着剤4を圧入するものとしている。具体的には、一方の側版100aの上端から図6に示す圧入部材6を挿入した状態として、斯かる一点から接着剤4を圧入する方法を採用している。
【0035】
圧入部材6は、図6に示すように、例えば長さ20cmの管状部材であるアルミパイプ61を例えば上述した弾性体2と同じ材質・寸法を有する長さ15cm程の弾性挿入部63のパイプ挿通孔63aに挿入・貫通させ、しかる後に貫通させたアルミパイプ61の一端側に結束バンド62を介して接着剤4を注入するためのビニールホースBHを取り付けてなるものである。また圧入部材6は、当該弾性挿入部63の先端並びに基端に例えば両面テープを介して止着した接着部61aを設けたものとしている。
【0036】
そして、図7及び図8に示すとおり、接着面領域3の一方の端部から圧入部材6を挿入した状態で接着剤4を注入して当該接着剤4が他方の端部に至るまで接着剤4を圧入する。さらに本実施形態では、最後に、頂版100cに取り付けられた第2パッキン材22の上側にも接着剤4を施工することにより、接着剤4によるボックスカルバート100の接合作業を完了させるものとしている。
【0037】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係るコンクリート製品の接合方法は、表面を接着剤4が接着し得ないスキン層21b、22bとした弾性体2により接着面領域3を定めた上で、接着剤4を充填してボックスカルバート100同士を接合するので、弾性体2と接着剤4とが接着されてしまうことを有効に回避して、接離可能なものとすることができる。そうすることにより、ボックスカルバート100同士が接離する際には、弾性体2及び接着剤4はそれぞれ独立して伸縮し得るものとなる。そのため、接着剤4の伸縮は弾性体2の伸縮の範囲に干渉されることを回避することができる。そしてその結果、接着剤4の持つ弾性をより有効に発揮させてボックスカルバート100間の止水性をさらに向上させることが可能となっている。
【0038】
そして本実施形態では、上記スキン層21b、22bを、弾性体2を押し出しにより成形することにより当該弾性体2の表面に気泡bが無い層を形成することにより、例えば弾性体2の表面に別体の被膜を形成することを有効に回避して、単純な構成でスキン層21b、22bを実現している。
【0039】
また本実施形態では、ボックスカルバート100に対する弾性体2の位置決めを好適なものとして、接着材の充填を確実なものにするために、ボックスカルバート100の一方の接合面1に、弾性体2を取り付けるための溝形状をなす凹部12を設けている。
【0040】
そして、弾性体2と接着剤4とがそれぞれ独立した伸縮を行い易くするために本実施形態では、凹部12を、弾性体2を取り付ける取付段部13と、当該取付段部13とは段差を介した位置に設けた接着剤4を充填するための充填段部14とを形成している。
【0041】
そして一般には弾性体2として採用する素材よりも高弾性接着剤4といった接着剤4の方が高い伸縮性を示すことから本実施形態では、凹部12を、充填段部14よりも取付段部13を深く形成し、接着剤4の厚み寸法を相対的に小さく構成した。
【0042】
また本実施形態では、接着面領域3をU字状に定めたものとして、当該U字状の接着面領域3の一方の端部すなわち一方の側版100aの上端から接着剤4を注入して当該接着剤4が他方の端部すなわち他方の側版100aの上端に至るまで接着剤4を圧入するものとしている。
【0043】
このように、接着面領域3をU字状として接着面領域3の端部を開放させることにより、接着面領域3を閉鎖形状とした場合に比べて接合時にも端部を開放させて接着面領域3の内圧の上昇を防ぐことができる。またU字状に連通させた接着面領域3を形成することによって、ボックスカルバート100に対して接着剤4を注入のための格別の加工を施すことなく接着剤4を圧入することを可能なものとしている。特に、ボックスカルバート100の上側の1箇所からの圧入のみで接着剤4圧入の作業を完遂し得るものとなっている。そのため、作業者はボックスカルバート100の上側での作業のみで接着剤4の圧入を完了できるので、作業時の安全性を有効に向上させることができる。斯かる作業性の向上は、特に寸法の小さなボックスカルバート100に適用する場合にみられるような、作業者が接着剤4の圧入作業のための狭い場所での作業を強いられてしまうといった不具合を、有効に回避し得るものとなっている。
【0044】
そして本実施形態では、一方の側版100aの上端から圧入部材6を下方へ挿入した状態で接着剤4を圧入するといった手法を採用したことを特徴としているため、確実且つ迅速な接着剤4の充填を実現しているのみならず、より安全なコンクリート製品の接合方法に寄与したものとなっている。
<変形例>
続いて、本実施形態の変形例について説明する。なお本変形例について、上記実施形態と同じ構成要素に対しては同じ符号を付すとともに、その詳細な説明を省略するものとする。
【0045】
本変形例では、図9及び図10に示すとおり、ボックスカルバート100の両端に設けた接合面1の両方に凹凸面10を設けることにより、弾性体2を取り付けるための溝形状をなす凹部12を設けたものとしている。すなわち、対面する接合面1の両方に、上記実施形態で詳述した取付段部13、充填段部14並びに傾斜面15を形成したものとなっている。
【0046】
そして、斯かる構成により、弾性体2は接合方向の両方から確実に位置決めされることとなる。また、図10に示すように上記実施形態と同様に接着剤4はスキン層21b、22bには接着し得ないため、接着剤4は弾性体2に干渉されずに伸長し得るものとなっている。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態並びに変形例のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。例えば、上記実施形態ではスキン層を弾性体製造時の押し出し成形により形成したものとしたが、勿論スキン層は弾性体とは別体のものを利用して実現してもよい。例えば、弾性体の表面に別体の膜をコーティングしたり、巻回したりしたものであってもよい。
【0048】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【実施例】
【0049】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明は当該実施例に限定されるものではない。
【0050】
本実施例では接着剤は、高弾性接着剤といわれるものを採用しており、接着性能に優れたエポキシ樹脂と伸縮性・耐候性に優れた変性シリコン樹脂とを混合させてなる二液性の接着剤を使用したものとしている。そして本実施形態で用いる接着剤4は、施工する時期の温度によって3種類の接着剤を使い分けることにより、常にJIS K 6833に準じる粘度を10,000mPa・s以下、可使時間20分以上、且つ指触硬化時間は6時間以内という条件の全てを満たすようにしている。
【0051】
本発明に適用し得る接着剤として「冬用」、「一般用」、及び「夏用」として示す。具体的にはこれらの接着剤は、エポキシ樹脂と変性シリコン樹脂とを混合した2液製のものである。そして本実施例では、触媒の種類を適宜変更していくことにより、後述の通り、図11乃至図13に記すような特性を示す「夏用」、「冬用」及び「一般用」の接着剤としている。なお「冬用」の接着剤は、粘度を下げるために、特に希釈剤も用いたものとしている。
【0052】
そして図11乃至図13に、これら3種の接着剤に対し、各温度条件における粘度、可視時間及び指触硬化時間を測定した。
【0053】
図11は、これら3種の接着剤の粘度を測定したものである。具体的には、JIS K 6833「接着剤の一般試験方法 6.3 粘度」に準じた方法において、BH型粘度計を使用し、回転数を20rpmとして測定した。
【0054】
図12は、これら3種の接着剤の可使時間を測定したものである。具体的には当該3種の接着剤それぞれ300gを試料とし、その中心部の温度を時間とともに測定することによって可使時間を特定した。
【0055】
図13は、これら3種の接着剤の指触硬化時間を測定したものである。具体的には、RCI式乾燥時間測定器(ドライニングレコーダー)を使用し、2次線状痕消滅点に達した時間を硬化終了であると判定し、指触硬化時間とした。また当該データは、接着剤の塗布厚を0.5mmとした場合のものを示している。
そして、接着剤を確実かつ速やかに圧入するためには接着剤の使用時の粘度を、10,000mPa・S以下に設定していることが望ましい。そして斯かる粘度のみならず上述の態様に適した接着性能や弾性を有する接着剤として具体的には、エポキシ樹脂と変性シリコン樹脂とを混合した二液性の接着剤を使用することが好ましい。また、接着剤を利用する場合には使用する際の温度により同じ接着剤でも性能が変わってくるため、当該接着剤は、後の実施例で詳述する通り、温度によって数種類のものを使い分けることが好ましい
そして以上の接着剤から、測定した各温度毎に、上記条件を満たした接着剤を特定することが出来た。詳細には、気温5℃の場合、「冬用」のみが所要の特性を全て満たすものとなっている。10℃、20℃では、「冬用」及び「一般用」が所要の特性を全て満たすものとなっている。30℃では、「一般用」のみが、所要の特性を全て満たすものとなっている。そして40℃では、「夏用」のみが所要の特性を全て満たすものとなっている。
【0056】
このように本実施例では、特性の異なる複数種の接着剤から気温の変化等に応じて適切な接着剤を適用すれば、様々な状況下でも好適に本発明を実施することが可能となっていることを証明した。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係る地下構造物を示す外観図。
【図2】同実施形態に係るボックスカルバートを示す正面図。
【図3】同実施形態に係る弾性体を示す説明図。
【図4】同実施形態に係るボックスカルバートの要部断面図。
【図5】図4に係る作用説明図。
【図6】同実施形態に係る圧入部材を示す説明図。
【図7】同実施形態に係る作用説明図。
【図8】同実施形態に係る他の作用説明図。
【図9】同実施形態の変形例に係るボックスカルバートの要部断面図。
【図10】図9に係る作用説明図。
【図11】本発明の実施例に係るグラフを示す図。
【図12】同実施例に係る他のグラフを示す図。
【図13】同上。
【符号の説明】
【0058】
100…コンクリート製品(ボックスカルバート)
100a…側版
100b…底版
1…接合面
12…凹部
13…取付段部
14…充填段部
2…弾性体
21…外側弾性体(第1パッキン材)
22…内側弾性体(第2パッキン材)
21b、22b…スキン層
3…接着面領域
4…接着剤
6…圧入部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する両端に接合面を有してなるコンクリート製品の少なくとも二つを、接合面に弾性を有する接着剤を塗布して接合するコンクリート製品の接合方法であって、
接着剤を塗布する接合面において表面を前記接着剤が接着し得ないスキン層とした弾性体により接着面領域を定め、
接着面領域が定められたコンクリート製品に対向するコンクリート製品の接合面と弾性体とにより接着面領域の境界を限定し、
境界の限定された接着面領域に接着剤を充填してコンクリート製品同士を接合するコンクリート製品の接合方法。
【請求項2】
スキン層を、前記弾性体を押し出しにより成形することにより当該弾性体の表面に形成し無気泡の層としている請求項1記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項3】
前記コンクリート製品の接合面の一方または両方に、前記弾性体を取り付けるための溝形状をなす凹部を設けている請求項1又は2記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項4】
前記凹部を、前記弾性体を取り付ける取付段部と、当該取付段部とは段差を介した位置に設けた前記接着剤を充填するための充填段部とを有するものとしている請求項1、2又は3記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項5】
前記凹部を、前記充填段部よりも前記取付段部を深く形成している請求項4記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項6】
接着面領域を、コンクリート製品の接合面に取り付けたU字状の外側弾性体と、当該外側弾性体の内側に取り付けた環状又はU字状の内側弾性体とによってU字状に定めたものとし、
当該前記U字状の接着面領域の一方の端部から接着剤を注入して当該接着剤が他方の端部に至るまで接着剤を圧入するものとしている請求項5記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項7】
コンクリート製品が一対の側版と当該一対の側版に連続する底版とを有するものであり、
前記接着剤を一方の側版の上端から当該接着剤が他方の側版の上端に至るまで接着剤を圧入するものとしている請求項6記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項8】
前記一方の側版の上端から圧入部材を下方へ挿入した状態で接着剤を圧入するものとしている請求項7記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項9】
接着剤の使用時の粘度を、10,000mPa・S以下に設定している請求項6、7又は8記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項10】
接着剤を、エポキシ樹脂と変性シリコン樹脂との二液性の接着剤を使用したものとしている請求項9記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項11】
接着剤を、温度によって使い分けるものとしている請求項9又は10記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項12】
請求項6乃至11の何れかに記載のコンクリート製品の接合方法に用いるものであって、
前記接着剤を一方の側版の上端から挿入し、当該接着剤が他方の側版の上端に至るまで接着剤を圧入することを特徴とする圧入部材。
【請求項13】
弾性体に管状部材を貫通させ、当該貫通させた管状部材の一端側に結束帯によりホースを接続している請求項12記載の圧入部材。
【請求項1】
対向する両端に接合面を有してなるコンクリート製品の少なくとも二つを、接合面に弾性を有する接着剤を塗布して接合するコンクリート製品の接合方法であって、
接着剤を塗布する接合面において表面を前記接着剤が接着し得ないスキン層とした弾性体により接着面領域を定め、
接着面領域が定められたコンクリート製品に対向するコンクリート製品の接合面と弾性体とにより接着面領域の境界を限定し、
境界の限定された接着面領域に接着剤を充填してコンクリート製品同士を接合するコンクリート製品の接合方法。
【請求項2】
スキン層を、前記弾性体を押し出しにより成形することにより当該弾性体の表面に形成し無気泡の層としている請求項1記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項3】
前記コンクリート製品の接合面の一方または両方に、前記弾性体を取り付けるための溝形状をなす凹部を設けている請求項1又は2記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項4】
前記凹部を、前記弾性体を取り付ける取付段部と、当該取付段部とは段差を介した位置に設けた前記接着剤を充填するための充填段部とを有するものとしている請求項1、2又は3記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項5】
前記凹部を、前記充填段部よりも前記取付段部を深く形成している請求項4記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項6】
接着面領域を、コンクリート製品の接合面に取り付けたU字状の外側弾性体と、当該外側弾性体の内側に取り付けた環状又はU字状の内側弾性体とによってU字状に定めたものとし、
当該前記U字状の接着面領域の一方の端部から接着剤を注入して当該接着剤が他方の端部に至るまで接着剤を圧入するものとしている請求項5記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項7】
コンクリート製品が一対の側版と当該一対の側版に連続する底版とを有するものであり、
前記接着剤を一方の側版の上端から当該接着剤が他方の側版の上端に至るまで接着剤を圧入するものとしている請求項6記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項8】
前記一方の側版の上端から圧入部材を下方へ挿入した状態で接着剤を圧入するものとしている請求項7記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項9】
接着剤の使用時の粘度を、10,000mPa・S以下に設定している請求項6、7又は8記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項10】
接着剤を、エポキシ樹脂と変性シリコン樹脂との二液性の接着剤を使用したものとしている請求項9記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項11】
接着剤を、温度によって使い分けるものとしている請求項9又は10記載のコンクリート製品の接合方法。
【請求項12】
請求項6乃至11の何れかに記載のコンクリート製品の接合方法に用いるものであって、
前記接着剤を一方の側版の上端から挿入し、当該接着剤が他方の側版の上端に至るまで接着剤を圧入することを特徴とする圧入部材。
【請求項13】
弾性体に管状部材を貫通させ、当該貫通させた管状部材の一端側に結束帯によりホースを接続している請求項12記載の圧入部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−106510(P2010−106510A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278759(P2008−278759)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000116769)旭コンクリート工業株式会社 (30)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000116769)旭コンクリート工業株式会社 (30)
【Fターム(参考)】
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