説明

コンクリート製品統合管理システム、コンクリート製品統合管理方法、その管理用タグ、および、その管理用タグを取り付けたコンクリート製品

【課題】 コンクリート製品のトレーサビリティーを確立することにより、製作や据え付けのプロセスの改善を効率的にできるようにし、また、個々の製品の高度な維持管理を効率的に行えるようにすること。
【解決手段】
コンクリート製品Dに関する情報を含む可視情報をICタグ1の上面に表示した管理用タグ。この管理用タグを固定したコンクリート製品。個々のコンクリート製品Dごとの各種情報を格納するデータベースe,f,gをそれぞれ有する端末E,F,Gと、これらの端末E,F,Gに接続され、上記各データベースe,f,gを統合した統合データベースhを有する統合管理サーバHとからなる統合管理システム。製作・据え付けプロセス,および,維持管理に関する各種情報をそれぞれデータベースe,f,gに随時書き込み、その情報を一括して格納する統合データベースhを作成する統合管理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防波堤や係船岸等の港湾施設において使用されるたとえば消波ブロック,被覆ブロック,根固ブロック、海中に沈設される魚礁ブロック、河川において使用される護岸ブロック,河床ブロック、道路脇に設置されるU字溝,縁石,建築物外壁のコンクリートパネル,トンネル内面に使用されるセグメント,ボックスカルバートその他のコンクリート製品の統合管理システム、同コンクリート製品統合管理方法、その管理用タグ、および、その管理用タグを取り付けたコンクリート製品に関する。
【背景技術】
【0002】
上記コンクリート製品は、一般に、管理者(発注者)の発注に基づいて製作者により必要な数量が製作された後、適宜移動,保管され、この引き渡しを受けた据付者により所定の場所に据え付けられ、据え付け後には上記管理者が自ら維持管理を行っているものである。
そして、従来、個々のコンクリート製品は塗料によりマーキングされた管理番号によって識別できるようにされており(非特許文献1)、このマーキングによって製作者は自らの製作プロセスの管理をし、据付者は自らの据え付けプロセスの管理をしている。
【0003】
しかし、その製作プロセスに関する情報は製作者が独自に保有し、据え付けプロセスに関する情報は据付者が独自に保有し、また、工事全体の基本的な情報や据え付け後の維持管理に関する情報は管理者が独自に保有していた。
【0004】
すなわち、上記製作者は、当該コンクリート製品に関して、その規格,試料の情報,生コンクリートの状態等の品質のほか、型枠組立て日,コンクリート打設日,脱枠,転置,製作ヤードからストックヤードまでの(製作ヤード内の一部をストックヤードとしている場合には、当該製作ヤード内での)運搬,仮置き等の製作プロセスに関する情報を自らの帳票(データベース)として独自に保有してはいたが、据付者に引き渡した後の据え付けプロセス等に関する情報は保有していなかった。
【0005】
上記据付者は、製作者から引き渡されたコンクリート製品が所定の品質を確保していることを確認したうえで、ストックヤードから据え付け場所への運搬,据え付け作業等の据え付けプロセスに関する情報を自らの帳票として独自に保有していただけで、上記製作プロセスに関する情報は保有しておらず、また、据え付け後、竣工検査を受検した後の維持管理に関する情報も保有していなかった。
【0006】
上記管理者は、工事場所,施工者名,施工者の構成比率,工事概要,コンクリート製品の規格,要求品質,必要個数等の工事の基本情報を有するとともに、据え付け後の調査により得られる当該コンクリート製品の災害による破損状況や流失状況等、据え付け後の維持管理に関する情報を独自に収集して管理していたが、各コンクリート製品の上記製作プロセスや上記据え付けプロセスに関する情報を予め入手するようなことはしていなかった。
【0007】
【非特許文献1】「初級・中級技術者のための港湾工事施工実務(改訂版)」編集委員会,「初級・中級技術者のための港湾工事施工実務」,SCOPE 財団法人港湾空港建設技術サービスセンター,平成13年4月,p6-7,写真6.2.4 転置・仮置状況
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、従来はコンクリート製品の製作から据え付け後の維持管理に至るまでの各種情報が管理者,製作者,据付者それぞれに分散していたので、たとえば据付直後に破損したコンクリート製品が発見された場合でさえ、それが製作段階,据え付け時,または据え付け後の何れの時点で破損したのか、あるいは、その製作プロセスや据え付けプロセスに問題がなかったかどうかを確認するためには、上記管理者,製作者,据付者それぞれに分散している帳票を収集,集約して取り纏めることにより必要な情報を得るという煩雑な作業が必要であった。
したがって、破損した製品があった場合等に、製作プロセスや据え付けプロセスの問題点を明らかにしその改善を行うことは容易でなかった。
【0009】
また、据え付け後、経年変化により劣化したり災害により破損したコンクリート製品があった場合、その劣化や破損の原因を製作プロセスや据え付けプロセスに関する情報に遡って分析し、これを耐久性等の品質改善に役立てることも、個々の製品の管理番号に基づいて上記帳票の情報を参照することができれば、煩雑な作業を要することにはなるが一応可能ではある。
【0010】
しかし、コンクリート製品に個々にマーキングされた管理番号は、据え付け後時間の経過とともに風雨や漂砂により消失するので、周囲に据え付けられている一群のコンクリート製品としての大まかな情報、たとえばその一群のコンクリート製品がいずれの工事により据え付けられたものであるかを知ることができたとしても、個々の管理番号が知り得ない場合には、劣化または破損した当該コンクリート製品それ自体の試料の情報とか生コンクリートの状態等の詳細な情報まで遡ることはできない。
【0011】
また、据え付け後の維持管理として、水中に据え付けられた魚礁ブロック等のコンクリート製品の経年変化の観察や、その特殊表面処理による藻類等繁殖促進効果の調査を行う場合等においても、管理番号が消失していると個々のブロックの識別が難しいので、従来はたとえば据付位置を限定するなどして一群の魚礁ブロック群ごとにデータを記録するなどの大まかな管理をせざるを得なかった。
さらに、台風,高潮,時化により流出,散乱した消波ブロック等のコンクリート製品については、管理番号が消失している場合当該製品がどこから流出したものであるかを特定することさえ難しく、その撤去の責任の所在も不明確になることがあった。
このように、従来の据え付け後の維持管理においては、調査,分析や防災対策等のために蓄積されたデータを効率的に使用するような体制が確立されていなかった。
【0012】
そこで本発明は、個々のコンクリート製品に関する各種の情報を統合してそのトレーサビリティーを確立することにより、個々のコンクリート製品に関する種々の情報を基礎資料として製作プロセスや据え付けプロセスの改善等を効率的にできるようにし、また、個々のコンクリート製品ごとの高度な維持管理を効率的に行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載の本発明管理用タグは、取り付け対象物であるコンクリート製品Dに関する情報を含む可視情報を、ICタグ1の上面に表示してなる。
【0014】
請求項2記載の本発明は、上記可視情報が、取り付け対象物である個々のコンクリート製品Dごとに一意に付される管理番号等の当該コンクリート製品が使用される工事に関する工事基本情報を含み、かつ、上記ICタグ(1)に、上記工事基本情報が書き込まれてい請求項1記載の管理用タグである。
【0015】
請求項3記載の本発明は、上記可視情報が、バーコード,文字,数字,記号,図形等である請求項1または2記載の管理用タグである。
【0016】
請求項4記載の本発明は、上記可視情報が、二次元コード2である請求項1または2記載の管理用タグである。
【0017】
請求項5記載の本発明は、上記可視情報が、焼き付けにより表示されている請求項1,2,3または4記載の管理用タグである。
【0018】
請求項6記載の本発明は、上記ICタグ1の基板1’が、ジルコニア系セラミック基板である請求項1,2,3,4または5記載の管理用タグである。
【0019】
請求項7記載の本発明は、上記ICタグ1の基板1’が、アルミナ系セラミック基板である請求項1,2,3,4または5記載の管理用タグである。
【0020】
請求項8記載の本発明は、上記ICタグ1の上面に疎水性や撥水性を有する表面処理材を塗布してなる請求項1,2,3,4,5,6または7記載の管理用タグである。
【0021】
請求項9記載の本発明は、上記ICタグ1に、ネジ孔4が開設されている請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載の管理用タグである。
【0022】
請求項10記載の本発明コンクリート製品は、請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9記載の管理用タグAを所要の位置に、上記可視情報を外方から視認できるようにして固定してなる。
【0023】
請求項11記載の本発明は、上記管理用タグAを、その上面を当該コンクリート製品の外面と面一にして、タグ用箱抜き部5内に固定してなる請求項10記載のコンクリート製品である。
【0024】
請求項12記載の本発明は、上記管理用タグAを、その上面を当該コンクリート製品の外面より窪ませた状態にして、タグ用箱抜き部5内に固定してなる請求項10記載のコンクリート製品である。
【0025】
請求項13記載の本発明コンクリート製品統合管理システムは、<i>請求項10,11または12記載の複数のコンクリート製品D……と、<ii>上記複数のコンクリート製品D……についての、その個々のコンクリート製品Dごとの製作プロセスに関する情報を格納する製作プロセスデータベースeを有する製作者端末Eと、<iii>上記複数のコンクリート製品D……についての、その個々のコンクリート製品Dごとの据え付けプロセスに関する情報を格納する据え付けプロセスデータベースfを有する据付者端末Fと、<iv>上記複数のコンクリート製品D……についての、その個々のコンクリート製品Dごとの据え付け後の維持管理に関する維持管理情報等を格納する管理データベースgを有する管理者端末Gと、<v>上記製作者端末E,上記据付者端末F,および,管理者端末Gと接続されるとともに、これらの端末E,F,および,Gから送信される上記製作プロセスデータベースe,据え付けプロセスデータベースf,および,管理データベースgのデータに基づいて作成され、それら各データベースe,f,および,gの情報を一括して格納する統合データベースhを有する統合管理サーバHとからなる。
【0026】
請求項14記載の本発明コンクリート製品統合管理システムは、<i>請求項10,11または12記載の複数のコンクリート製品D……と、<ii>上記複数のコンクリート製品D……についての、その個々のコンクリート製品Dごとの製作プロセスに関する情報を格納する製作プロセスデータベースe、および、上記複数のコンクリート製品D……についての、その個々のコンクリート製品Dごとの据え付けプロセスに関する情報を格納する据え付けプロセスデータベースfとを有する施工者端末と、<iii>上記複数のコンクリート製品D……についての、その個々のコンクリート製品Dごとの据え付け後の維持管理に関する維持管理情報等を格納する管理データベースgを有する管理者端末Gと、<iv>上記施工者端末および上記管理者端末Gと接続されるとともに、これらの端末から送信される上記製作プロセスデータベースe,据え付けプロセスデータベースf,および,管理データベースgのデータに基づいて作成され、それら各データベースe,f,および,gの情報を一括して格納する統合データベースhを有する統合管理サーバHとからなる。
【0027】
請求項15記載の本発明コンクリート製品統合管理方法は、<i>複数の上記コンクリート製品D……の製作プロセスおよび据え付けプロセスの進行に伴って、上記複数のコンクリート製品D……について、その個々のコンクリート製品Dごとの製作プロセスに関する情報および据え付けプロセスに関する情報を、当該個々のコンクリート製品に取り付けられた管理用タグA……のICタグ1……に書き込むとともに、<ii>上記製作プロセスの進行に伴って、上記複数のコンクリート製品D……についての、その個々のコンクリート製品Dごとの製作プロセスに関する情報を、製作プロセスデータベースeに書き込み、また、上記据え付けプロセスの進行に伴って、上記複数のコンクリート製品D……についての、その個々のコンクリート製品Dごとの据え付けプロセスに関する情報を、据え付けプロセスデータベースfに書き込み、さらに、上記複数のコンクリート製品D……についての、その個々のコンクリート製品Dごとの据え付け後の維持管理に関する情報を、管理データベースgに書き込み、<iii>上記製作プロセスデータベースe,上記据え付けプロセスデータベースf,および,上記管理データベースgの情報に基づいて、それら各データベースe,f,および,gの情報を一括して格納する統合データベースhを作成するものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明管理用タグは、個々のコンクリート製品に関する工事基本情報を保持させることができ、また、個々のコンクリート製品に関する製作プロセス情報,据え付けプロセス情報,維持管理情報等を随時書き込むことができるので、これを個々のコンクリート製品に取り付け、当該製品に関する各種情報を保持させることにより、上記各種情報を必要に応じて読み出すことができるから、これに基づいて製作プロセスや据え付けプロセスの改善等が効率的に行え、また、据え付け後のコンクリート製品の高度な維持管理が効率的に行える。
【0029】
本発明コンクリート製品は、その管理用タグに当該製品に関する工事基本情報を保持させることができ、また、当該コンクリート製品に関する製作プロセス情報,据え付けプロセス情報,維持管理情報等を随時書き込むことができるので、上記管理用タグに当該製品に関する各種情報を保持させることにより、上記各種情報を必要に応じて読み出し、これに基づいて製作プロセスや据え付けプロセスの改善等が効率的に行え、また、据え付け後のコンクリート製品の高度な維持管理が効率的に行える。
【0030】
本発明コンクリート製品管理システムおよび統合管理方法によれば、個々のコンクリート製品に関する各種情報を統合データベースに蓄積して、これを必要に応じて読み出すことができるので、当該製品のトレーサビリティーを確立でき、その製作プロセスおよび据え付けプロセスの改善等を効率的に行うことができるとともに、据え付け後のコンクリート製品の高度な維持管理を効率的に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
取り付け対象物であるコンクリート製品Dに関する情報を含む可視情報を、ICタグ1の上面に表示してなる管理用タグA。
【0032】
上記管理用タグAを所要の位置に、上記可視情報を外方から視認できるようにして固定してなるコンクリート製品D。
【0033】
<i>複数のコンクリート製品D……と、<ii>上記複数のコンクリート製品D……についての、その個々のコンクリート製品Dごとの製作プロセスに関する情報を格納する製作プロセスデータベースeを有する製作者端末Eと、<iii>上記複数のコンクリート製品D……についての、その個々のコンクリート製品Dごとの据え付けプロセスに関する情報を格納する据え付けプロセスデータベースfを有する据付者端末Fと、<iv>上記複数のコンクリート製品D……についての、その個々のコンクリート製品Dごとの据え付け後の維持管理に関する維持管理情報等を格納する管理データベースgを有する管理者端末Gと、<v>上記製作者端末E,上記据付者端末F,および,管理者端末Gと接続されるとともに、これらの端末E,F,および,Gから送信される上記製作プロセスデータベースe,据え付けプロセスデータベースf,および,管理データベースgのデータに基づいて作成され、それら各データベースe,f,および,gの情報を一括して格納する統合データベースhを有する統合管理サーバHとからなるコンクリート製品統合管理システム。
【0034】
<i>複数の上記コンクリート製品D……の製作プロセスおよび据え付けプロセスの進行に伴って、上記複数のコンクリート製品D……について、その個々のコンクリート製品Dごとの製作プロセスに関する情報および据え付けプロセスに関する情報を、当該個々のコンクリート製品に取り付けられた管理用タグA……に書き込むとともに、<ii>上記製作プロセスの進行に伴って、上記複数のコンクリート製品D……についての、その個々のコンクリート製品Dごとの製作プロセスに関する情報を、製作プロセスデータベースeに書き込み、また、上記据え付けプロセスの進行に伴って、上記複数のコンクリート製品D……についての、その個々のコンクリート製品Dごとの据え付けプロセスに関する情報を、据え付けプロセスデータベースfに書き込み、さらに、上記複数のコンクリート製品D……についての、その個々のコンクリート製品Dごとの据え付け後の維持管理に関する情報を、管理データベースgに書き込み、<iii>上記製作プロセスデータベースe,上記据え付けプロセスデータベースf,および,上記管理データベースgの情報に基づいて、それら各データベースe,f,および,gの情報を一括して格納する統合データベースhを作成するコンクリート製品統合管理方法。
【実施例】
【0035】
以下、本発明の一実施例について、図1〜6を用いて詳しく説明する。
【0036】
A……は、市販のいわゆるセラミック製ICタグ(以下、単に「ICタグ」という。)1の上面に、可視情報たる二次元コード2をレーザーマーキングによる刻印(焼き付け)で表示してなる本発明管理用タグである(図3〜5)。
上記ICタグ1は、白色を呈するジルコニア系セラミック基板1’の内部に各種の情報を記憶する記憶部、無線通信用のアンテナ等を備えたICタグチップ3を水密に埋設した、直径26mm程度、厚さ3mm程度の扁平円盤形をなす重さ6〜7g程度のもので、一定距離内に近づけたリーダライタBとの間で、たとえば13.56MHzの周波数帯で通信を行い、これによって情報の書き込み,読み出し,消去等が行われる。また、特に、水に濡れた直後でも通信性能の悪化が少ない。
【0037】
上記二次元コード2は、従来のいわゆる(1次元の)バーコードに比し多くの情報量を記録できるQRコード(登録商標)等であって、これに記録された情報は、デジタルカメラ、デジタルカメラ付き携帯電話、デジタルカメラ付きGPS携帯電話、ハンディターミナル等のリーダ装置Cを用いて必要に応じて読み出すことができるようになっている。
【0038】
その二次元コード2は焼き付けにより黒色を呈しており、摩耗しない限りは、野外で風雨にさらされたり水中に長期間浸されても消失しづらいものになっている。
なお、上記二次元コード2は、ICタグ1の上面に印刷により表示することも可能である。
また、この二次元コードに代えて、たとえば従来の(1次元の)バーコード等、各種の文字,数字,記号,図形等の可視情報を表示するようにしてもよい。
【0039】
上記ICタグ1の上面には、疎水性や撥水性を有する所要の被膜材や表面補強剤等の表面処理材、たとえば、アルキルアルコキシシランモノマーを有効成分とする無機質素材含浸性蘇生液である市販の「リアルガード」(株式会社TSC製)を塗布するなどして水中生物が付着しにくいものにしておくか、あるいは、付着しても簡単に除去できるようにしておくのが好ましい。
【0040】
4,4は、上記管理用タグA……の外周縁の互いに対向する位置(図4では左右)に、内部の上記ICタグチップ3の位置を避けて開設された一対のネジ孔である。
上記ネジ孔4.4の数は適宜増減変更でき、たとえば、左右いずれか一方のみ開設してもよいし、あるいは、当該管理用タグA……の外周縁の上下左右に4箇所開設するなどしてもよい。
【0041】
上記ICタグ1は、ジルコニア系セラミック基板1’製のものであるが、アルミナ系セラミック基板製等のものを用いることもできる。
また、上記ICタグ1は、平面円形のもののほか、楕円形のものや多角形等各種の形状のものを用いることができる。
【0042】
D……は、コンクリート製品の一例としての、防波堤や係船岸等の港湾施設あるいは海岸や河口に据え付けられるコンクリート製消波ブロックで、それは、放射状の4本の脚a……の各先端部に各1個ずつ上記管理用タグA……を固定しているものである(図6)。
【0043】
上記管理用タグA……は、上記消波ブロックD……の脚a……の各先端部に、当該管理用タグA……を受入する凹形に形成されたタグ用箱抜き部5……に納められ、上記ネジ孔4,4に挿通したネジ6,6を緊締することにより、その上面が当該脚aの先端面と面一になり、しかも外方から上記二次元コード2が視認できるようにして固定されている(図3)。
なお、たとえば、タイル,セラミック,石材,コンクリート等の接着に適した変成シリコン−エポキシ樹脂系等の接着剤あるいはモルタル等で、タグ用箱抜き部5……内に接着固定してもよい。
このように接着により固定する場合、管理用タグA……のネジ孔4,4は省略することができる。
また、ネジ6,6の緊締および接着剤による接着をともに行って固定してもよい。
さらに、上記では管理用タグA……をその上面が脚aの先端面と面一になるように固定することとしたが、その上面を上記先端面よりたとえば3〜5mm程度窪ませた状態に取り付けてもよい。このようにすることで当該管理用タグA……の破損を防止することができる。
【0044】
消波ブロックD……の上記タグ用箱抜き部5……の成形は、その消波ブロックD……の製作に際して、消波ブロック製作用の型枠内の所定位置に当該管理用タグA……とほぼ同形同大の扁平円盤形の箱抜き用治具を固定しておくとともに、上記型枠にコンクリートを充填し固化させることにより行われる。
また、既に製作された消波ブロックDの各脚a……の先端部に、上記管理用タグA……を受入できる大きさのタグ用箱抜き部5……を削孔してもよい。
【0045】
上記管理用タグA……は、そのネジ孔4,4に図5に示したようなアンカー7,7を挿通して固定することもできる。このアンカー7,7は、垂下部8と折曲部9とからなるL形に折曲した金属線材製のものである。
管理用タグA……をこのアンカー7,7で固定する場合には、上記タグ用箱抜き部5……よりも深いタグ用箱抜き部5’……を、消波ブロックの各脚a……の先端面に削孔等で形成し、その中にモルタル5”を充填しこれを固化させる。
なお、上記アンカーの形状は、L形の他、下端を湾曲させたJ字形等、適宜の形状とすることができる。
【0046】
上記では、管理用タグA……は、消波ブロックDの各脚a……の先端面に固定するものとしたが、脚aと他の脚aとの間の窪み部分b……にタグ用箱抜き部を形成して、そこに固定してもよい。この窪み部分b……に取り付けるようにすれば、消波ブロックD……の輸送の際や据え付け作業の際等に衝撃を受けて当該管理用タグA……が破損するおそれを減らすことができる。
【0047】
また、上記管理用タグA……は、上記のタグ用箱抜き部5,5’を形成しそこに納めて固定するのでなく、タグ用箱抜き部5,5’を形成せずに接着剤によって消波ブロックD……の表面に直接固定してもよい。
【0048】
上記のとおり管理タグA……は、市販のICタグの上面に、レーザーマーキングで二次元コード2を刻印しただけのものであるから安価に製作できるだけでなく、小型軽量で運搬,保管等の際に扱い易く、消波ブロックD……への固定も簡単に行える。
また、これを受入する消波ブロックD……のタグ用箱抜き部5……は、管理タグAとほぼ同じ大きさの、径が小さくしかも浅いものであるから、これを形成することによっても、消波ブロックD……の強度的損傷はほとんど無い。
管理タグAを消波ブロックD……の表面に接着固定する場合、消波ブロックD……にタグ用箱抜き部5……を形成する必要がないから、その消波ブロックD……の強度的損傷は全くない。
【0049】
上記4つの各管理用タグA……の二次元コード2……には予め、その取り付け対象物である当該消波ブロックDが使用される工事に関する「工事基本情報」がそれぞれ記録してある。
その工事基本情報としては、個々の消波ブロックDごとに一意に付される管理番号、および、たとえば当該ブロックの規格,当該ブロックの設計強度等の品質,当該ブロックAを使用する工事の件名,工事概要,当該工事に使用する消波ブロックD……の合計数量,工事場所,管理者名,製作者および据付者名,施工者の数および構成比率,施工者の技術者名,現場代理人名,監理技術者名,工事期間,受注金額等を含めることができる。
【0050】
個々の消波ブロックDに関する上記工事基本情報は、上記リーダ装置Cを用いて、必要に応じ、当該消波ブロックDに取り付けられている4つの管理用タグA……のうちいずれかのものの上記二次元コード2から読み出すことができるようになっている。
【0051】
一方、その4つの管理用タグA……の上記ICタグ1……(ICタグチップ3……)にはそれぞれ、当該消波ブロックDに関する下記の各種情報が、上記リーダライタBを用いて随時書き込まれる。
【0052】
そのICタグチップ3……に書き込まれる情報としては、少なくとも上記二次元コード2……にも記録されている当該消波ブロックDの上記管理番号等の上記「工事基本情報」が含まれ、そのほかに、その消波ブロックDを製作する製作者が行う製作プロセスに関する「製作プロセス情報」、据付者が行う据え付けプロセスに関する「据え付けプロセス情報」、管理者が行う据え付け後の維持管理に関する「維持管理情報」等の各種情報が含まれる。
【0053】
上記リーダライタBは、一定距離内にある複数のICタグ1……と同時に通信することができるため、このリーダライタBによる書き込みは各消波ブロックDに取り付けられている4つの管理用タグA……に同時に行うこともできる。
【0054】
このICタグ1に記録された各種情報は、必要に応じて上記リーダライタBを用いて読み出すことができる。
その読み出しは、近接した位置にある複数の消波ブロックD……の情報を、それぞれに取り付けられている管理用タグA……のICタグ……からまとめて行うこともできる。
【0055】
なお、消波ブロックD……への上記管理用タグA……の取り付け個数は必ずしも4個とする必要はなく、少なくとも1個取り付けるようにすればよい。
ただし、1個だけしか取り付けないこととすると、当該消波ブロックD……が据え付けられたとき等にその管理用タグAの上面が視認しにくいところに位置てしまい、二次元コード2の情報の読み取りが難しくなる場合が生ずることが想定されるから、据付の状態に拘わらず少なくともいずれかの管理用タグAの上面が視認できるようにするために複数個取り付けておくのが好ましい。
【0056】
管理用タグA……を取り付けた上記消波ブロックD……は、一般的には、国や地方公共団体、または、空港株式会社、電力会社、ヨットハーバーほか各種民間会社等の管理者の発注に基づき、製作者により製作ヤード21で必要な数量が製作され、ストックヤード22に運搬されて一時保管され、その後、据付者により据え付け現場23へ運搬されて据え付けられ、また、据え付け後には上記管理者によって維持管理が行われるものであるが、本発明コンクリート製品統合管理システムは、上記の製作者,据付者,および,管理者の間において構築されているもので、また、本発明コンクリート製品統合管理方法は、このシステムを用いて実施されるものである。
【0057】
図1において、Eは製作者が管理するパーソナルコンピュータ等の端末で、これには、当該製作者が自ら製作する全ての消波ブロックD……についての、個々の消波ブロックD……ごとの製作プロセスに関する情報が、製作プロセスデータベースe(その一部を図2に示した)として格納されている。
その製作プロセスに関する情報には、個々の消波ブロックD……に一意に付される管理番号、および、たとえば生コンクリートの試料情報(水セメント比,練り時間等),生コンクリートの状態(スランプ等),打設日,型枠ナンバー,養生予定日,ブロックの種類,型枠解体日,適宜の時点での破損等の瑕疵の有無等が含まれる。
【0058】
製作者は、管理者より発注を受けてから、製作を完了し消波ブロックD……を据付者に引き渡すまでの間、その作業の進行に伴って、全ての消波ブロックD……について、個々の消波ブロックD……ごとの製作プロセスに関する上記各種情報を、上記端末Eに随時入力して上記製作プロセスデータベースeを更新するとともに、個々の消波ブロックDに取り付けられた4つの上記管理用タグA……のICタグ1……に、当該消波ブロックD……自体の上記製作プロセスに関する情報を上記リーダライタBを用いて書き込む。
【0059】
これにより、上記製作プロセスデータベースeには全ての消波ブロックD……についての、個々の消波ブロックD……ごとの製作プロセスに関する情報が蓄積され、また、個々の消波ブロックDに取り付けられた管理用タグA……には当該消波ブロックD自体の上記製作プロセスに関する情報が蓄積される。
【0060】
その管理用タグA……のICタグ1……への情報の書き込みは、上記リーダライタBを用いて行うので、一定距離の範囲内にある複数の消波ブロックD……の管理用タグA……への書き込み等の操作を一斉に行うこともでき、その作業は容易である。
【0061】
Fは据付者が管理するパーソナルコンピュータ等の端末で、これには当該据付者が自ら据え付けを行う全ての消波ブロックD……についての、個々の消波ブロックD……ごとの据え付けプロセスに関する情報が、据え付けプロセスデータベースf(その一部を図2に示した)として格納されている。
その据え付けプロセスに関する情報には、上記管理番号、および、たとえばストックヤードへの搬入日,保管時設置位置,ストックヤードから施工現場への搬出日,現場での据え付け位置,適宜の時点における破損等の瑕疵の有無,据え付けの進行状況等が含まれる。
【0062】
据付者は、製作者より消波ブロックD……の引き渡しを受けてから、その据え付けの完了までの間、その作業の進行に伴って、全ての消波ブロックD……について、個々の消波ブロックD……ごとの据え付けプロセスに関する上記各種情報を、上記端末Fに随時入力して上記据え付けプロセスデータベースfを更新するとともに、個々の消波ブロックDに取り付けられた4つの上記管理用タグA……のICタグ1……に、当該消波ブロックD……自体の上記据え付けプロセスに関する情報を上記リーダライタBを用いて書き込む。
【0063】
これにより、上記据付プロセスデータベースfには全ての消波ブロックD……についての、個々の消波ブロックD……ごとの据え付けプロセスに関する情報が蓄積され、また、個々の消波ブロックDに取り付けられた管理用タグA……には当該消波ブロックD自体の据え付けプロセスに関する情報が蓄積される。
【0064】
Gは管理者が管理するパーソナルコンピュータ等の端末で、これには、全ての消波ブロックD……の管理番号,当該工事全般に関する工事基本情報、および、全ての消波ブロックDについての、個々の消波ブロックD……ごとの据え付け後の維持管理に関する維持管理情報が、管理データベースg(その一部を図2に示した)として格納されている。
上記工事基本情報には、たとえば工事件名,工事場所,施工者名,施工者の構成比率,工事概要,消波ブロックの規格・要求品質・当該工事での必要個数等が含まれ、また、上記維持管理情報としては、たとえば竣工検査日,劣化状況,破損状況,流出状況等が含まれる。
【0065】
管理者は、工事計画等に基づいて上記管理番号および工事基本情報を予め端末Gに入力して管理データベースgを作成しておくとともに、消波ブロックD……の据え付けが完了した後には、調査により得られる個々の消波ブロックD……の劣化や破損等の経年変化の状況や流失状況等の情報、また、特殊表面処理を施すことによる藻類等繁殖促進効果等の情報等を随時上記端末Gに入力して上記管理データベースgを更新する。
【0066】
たとえば、台風や高潮で据え付け位置から流された消波ブロックD……が発見された場合等は、防水型のリーダ装置Cとして用いて管理用タグA……の二次元コード2から当該消波ブロックDの管理番号を読み取るとともに別途用意したGPS携帯電話等によりその消波ブロックD……の現在位置を特定し、上記管理番号および現在位置のデータを上記端末Gに入力して上記管理データベースgを更新する。
上記リーダ装置Cとして、防水型のGPS携帯電話等を用いれば管理用タグA……の上記2次元コード4から情報を読み出すとともに、即座にその位置の特定をすることもできる。
【0067】
なお、上記管理データベースgに蓄積したのと同一の情報を、個々の消波ブロックD……に取り付けられた4つの上記管理用タグAにも書き込むのが好ましいが、消波ブロックD……水中にあるために、上記リーダライタBを用いて無線により管理用タグA……に書き込みができないような場合には敢えて書き込まなくてもよい。
【0068】
Hは上記各端末E,F,およびGとインターネット等のネットワークを介して接続される統合管理サーバである。
この統合管理サーバHには、上記各端末E,F,およびGから上記製作プロセスデータベースe,据え付けプロセスデータベースf,および,管理データベースgの全てのデータまたはその更新部分のデータが送信され、これらのデータに基づいて上記各データベースe,f,およびgを結合しそれらの情報を統合した統合データベースh(その一部を図2に示した)が作成される。
【0069】
すなわち、この統合データベースhは、個々の消波ブロックD……に一意に付されている上記管理番号に基づいて上記各データベースe,f,gを結合したもので、上記各データベースe,f,gがそれぞれ別個に格納している個々の消波ブロックD……ごとの各種情報を一括して格納しており、製作プロセスデータベースe,据え付けプロセスデータベースf,および,管理データベースgの内容が更新されるたびにそれらの内容が反映されるようになっている。
【0070】
したがって、製作者,据付者,および管理者は、必要に応じて各自の端末E,FまたはGからこの統合データベースhにアクセスすることにより、個々の消波ブロックD……の製作プロセス,据え付けプロセスおよび据え付け後の維持管理に関する上記各種情報を得ることができる。
たとえば、消波ブロックD……の上記管理番号に基づいて当該消波ブロックD……の製作や据え付けプロセスに関する各種情報を参照したり、また、据え付け年度,施工者,消波ブロックD……の規格等の条件に応じて情報を抽出する等の操作ができる。
【0071】
このように、全ての消波ブロックD……に関する各種情報を統合データベースhに統合するとともに、関係者が必要に応じて各自の端末E〜Gから統合データベースhにアクセスし、個々の消波ブロックD……についての詳細な情報を得られるようにすること、および、各消波ブロックD……に取り付けた管理用タグA……に当該消波ブロックD……に関する各種の情報を保持させたことで、全ての消波ブロックD……についてのトレーサビリティーが確立される。
したがって、個々の消波ブロックD……についての種々の詳細な情報を基礎資料として、不良製品発生の原因,劣化や破損の原因等を究明し、生産プロセス,据え付けプロセス,および,据え付け後の維持管理の問題点を洗い出し効率的にその改善ができるとともに、品質改善,製作から据え付けに至る施工管理の改善,問題が生じた場合の責任所在の明確化等を図ることができる。
【0072】
また、据え付け後についても、個々の消波ブロックD……ごとに、高度な維持管理を効率的に行うことができる。
【0073】
たとえば、据付直後に破損したコンクリート製品が発見された場合、上記統合データベースhにアクセスして、製造プロセスおよび据え付けプロセスの各時点での瑕疵の有無の情報を確認すれば、製作段階,据え付け時,または据え付け後の何れの時点で破損したのかを特定できその責任の所在を明確化できる。また、作業内容に関する情報からその原因も特定し得るから、これに基づいて品質改善のための対策を講ずることができる。
【0074】
また、据え付け後の劣化や災害により破損した消波ブロックがあった場合にも、その製作プロセスや据え付けプロセスに関する各種情報をもとにして、製造プロセス等にも何らかの原因があったのかあるいは想定以上の災害を原因とする劣化や破損であったのか等を究明し得る。
その原因が究明された場合には、以降の製作または据え付けプロセスを改善したり、品質を改善するための対策を速やかに講ずることができる。
【0075】
さらに、個々の消波ブロックD……の、据え付け後の経過年数とか過去の災害による劣化や破損の経歴などの情報に基づいて、経年変化状況を分析して耐久性の検証を行えるとともに、品質改善等のための対策を速やかに講ずることができ、包括的な計画立案による消波ブロックD……の延命化を図り、経済性,費用対効果を向上させることが容易となる。
【0076】
上記のように、消波ブロックD……に関する各種情報を関係者間で共有できるようにしたことにより、以下のように施工管理の改善を促進することもできる。
たとえば、生産プロセスにおいて不良品が発生した場合や、据え付けプロセスにおいて破損を生じた場合、あるいは、据え付け後に破損した消波ブロックD……が発見される等した場合は、その情報を随時上記統合データベースhに反映させることにより、代替品の追加製作を速やかに始めることができる。
【0077】
また、据え付けの進行状況を統合データベースhに反映させることにより、たとえば、現在の据付個数から推定して当該工事が予定どおり終了できるかどうかとか、一定期間あたりの据え付けの進行状況からみて、消波ブロックD……の製作を早める必要があるか等の判断が可能であり、各工程の進行具合を効率的に管理し、工事の遅延対策を容易にする。
このような効率的な工程の管理は、特に、短期間に大量の消波ブロックD……を連続して据え付ける必要がある場合に効果的である。
【0078】
一方、統合データベースhに全ての消波ブロックD……の情報を蓄積するほかに、個々の消波ブロックD……にも、それぞれ当該ブロックに関する情報を蓄積しているから、リーダライタBにより直接管理用タグAのICタグ1の情報を読み出したり、リーダ装置Cにより管理用タグAの二次元コード2の情報を読み出すことにより、製作,据え付けの現場あるいは据え付け後の調査現場において、統合データベースhにアクセすることなく、各消波ブロックDの情報を迅速に得ることもできる。
【0079】
たとえば、製作者から据付者への引き渡しや、据付者による据え付け現場への搬入の際に、上記リーダライタBを用いて複数の消波ブロックD……の管理用タグA……のICタグ1……の情報ををまとめて読み取ることにより、それらの管理番号をもとに数量の確認等が容易かつ迅速に行える。
【0080】
また、水中に沈設されている消波ブロックD……については、無線によるICタグ1……の読み出しが難しいが、この場合、防水型のリーダ装置Cによって管理用タグAの二次元コード2の情報を読み出して、その管理番号を特定することができる。
【0081】
たとえば、地震,台風,高潮,時化により散乱した消波ブロック……が海底で発見された場合には、当該消波ブロックD……について、防水型のリーダ装置Cを用いて管理用タグA……の2次元コードからその消波ブロックD……の管理番号を読み取るとともに、別途用意したGPS携帯電話でその位置を特定することができる。
したがって、その管理番号に基づいて特定される当初の据付位置と、GPS携帯電話により特定される現在位置により、その流出経路や散乱範囲が簡単に把握でき、防災対策等を講ずることが容易になる。
リーダ装置Cとして、防水型のGPS携帯電話等を用いれば管理用タグA……の上記2次元コード4から情報を読み出すとともに、即座にその位置の特定をすることもできる。
【0082】
さらに、消波ブロックD……の据え付け後の維持管理の一環として、当該消波ブロックD……に特殊表面処理を施して藻類等繁殖促進の状況を記録しその効果を分析すること等を行う場合、従来は、個々の消波ブロックD……を識別してそのデータを記録することは行われていなかったためその詳細な分析は難しかった。
しかし、本システムによれば、水中にある個々の消波ブロックD……を、リーダ装置Cにより管理用タグA……を読み取ることにより容易に識別できるため、個々の消波ブロックD……ごとのデータを記録しこれを整理して蓄積しておき、消波ブロックD……ごとの効果の違い等の分析等を効率的に行うことができる。
【0083】
上記では管理者の発注の下、製作者が製作を行い、据付者が据え付けを行う場合について説明したが、本発明は、管理者の発注の下に一の施工者が一連の製作および据え付けを一括して行う場合にも適用できる。
この場合、施工者は、統合管理サーバに接続可能な自らの端末に、製作プロセスデータベースおよび据え付けプロセスデータベースを持つようにすればよい。
【0084】
さらに、複数の製作者、あるいは、複数の据付者が関与する場合にも適用できる。この場合、各々が、統合管理サーバに接続可能な自らの端末に、自ら製作または据え付けを行うコンクリート製品についての製作プロセスデータベースまたは据え付けプロセスデータベースを持つようにすればよい。
【0085】
また、たとえば上記統合管理サーバHの機能を管理者端末G等に持たせるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明コンクリート製品統合管理システムの概略構成を示した説明図である。
【図2】上記システムの統合管理サーバおよび各端末にそれぞれ蓄積されているデータベースの一例を示した説明図である。
【図3】上記システムで使用する本発明管理用タグの側面図である。
【図4】その平面図である。
【図5】本発明管理用タグの他の固定方法の例の側面図である。
【図6】上記管理用タグを取り付けた本発明コンクリート製品たる消波ブロックの斜視図である。
【符号の説明】
【0087】
A 管理用タグ
B リーダライタ
C リーダ装置
D 消波ブロック(コンクリート製品)
E 製作者端末
F 据付者端末
G 管理者端末
H 統合管理サーバ
e 製作プロセスデータベース
f 据え付けプロセスデータベース
g 管理データベース
h 統合データベース
1 ICタグ
1’ 基板
2 二次元コード
3 ICタグチップ
4 ネジ孔
5,5’ 箱抜き部
6 ネジ
7 アンカー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け対象物であるコンクリート製品(D)に関する情報を含む可視情報を、ICタグ(1)の上面に表示してなることを特徴とする管理用タグ。
【請求項2】
上記可視情報が、取り付け対象物である個々のコンクリート製品(D)ごとに一意に付される管理番号等の当該コンクリート製品が使用される工事に関する工事基本情報を含むこと、および、上記ICタグ(1)に、上記工事基本情報が書き込まれていることを特徴とする請求項1記載の管理用タグ。
【請求項3】
上記可視情報が、バーコード,文字,数字,記号,図形等であることを特徴とする請求項1または2記載の管理用タグ。
【請求項4】
上記可視情報が、二次元コード(2)であることを特徴とする請求項1または2記載の管理用タグ。
【請求項5】
上記可視情報が、焼き付けにより表示されていることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の管理用タグ。
【請求項6】
上記ICタグ(1)の基板(1’)が、ジルコニア系セラミック基板であることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の管理用タグ。
【請求項7】
上記ICタグ(1)の基板(1’)が、アルミナ系セラミック基板であることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の管理用タグ。
【請求項8】
上記ICタグ(1)の上面に疎水性や撥水性を有する表面処理材を塗布してなることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6または7記載の管理用タグ。
【請求項9】
上記ICタグ(1)に、ネジ孔(4)が開設されていることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7または8記載の管理用タグ。
【請求項10】
請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9記載の管理用タグ(A)を所要の位置に、上記可視情報を外方から視認できるようにして固定してなることを特徴とするコンクリート製品。
【請求項11】
上記管理用タグ(A)を、その上面を当該コンクリート製品の外面と面一にして、タグ用箱抜き部(5)内に固定してなることを特徴とする請求項10記載のコンクリート製品。
【請求項12】
上記管理用タグ(A)を、その上面を当該コンクリート製品の外面より窪ませた状態にして、タグ用箱抜き部(5)内に固定してなることを特徴とする請求項10記載のコンクリート製品。
【請求項13】
<i>請求項10,11または12記載の複数のコンクリート製品(D……)と、
<ii>上記複数のコンクリート製品(D……)についての、その個々のコンクリート製品(D)ごとの製作プロセスに関する情報を格納する製作プロセスデータベース(e)を有する製作者端末(E)と、
<iii>上記複数のコンクリート製品(D……)についての、その個々のコンクリート製品(D)ごとの据え付けプロセスに関する情報を格納する据え付けプロセスデータベース(f)を有する据付者端末(F)と、
<iv>上記複数のコンクリート製品(D……)についての、その個々のコンクリート製品(D)ごとの据え付け後の維持管理に関する維持管理情報等を格納する管理データベース(g)を有する管理者端末(G)と、
<v>上記製作者端末(E),上記据付者端末(F),および,管理者端末(G)と接続されるとともに、これらの端末(E,F,G)から送信される上記製作プロセスデータベース(e),据え付けプロセスデータベース(f),および,管理データベース(g)のデータに基づいて作成され、それら各データベース(e,f,g)の情報を一括して格納する統合データベース(h)を有する統合管理サーバ(H)とからなることを特徴とするコンクリート製品統合管理システム。
【請求項14】
<i>請求項10,11または12記載の複数のコンクリート製品(D……)と、
<ii>上記複数のコンクリート製品(D……)についての、その個々のコンクリート製品(D)ごとの製作プロセスに関する情報を格納する製作プロセスデータベース(e)、および、上記複数のコンクリート製品(D……)についての、その個々のコンクリート製品(D)ごとの据え付けプロセスに関する情報を格納する据え付けプロセスデータベース(f)とを有する施工者端末と、
<iii>上記複数のコンクリート製品(D……)についての、その個々のコンクリート製品(D)ごとの据え付け後の維持管理に関する維持管理情報等を格納する管理データベース(g)を有する管理者端末(G)と、
<iv>上記施工者端末および上記管理者端末(G)と接続されるとともに、これらの端末から送信される上記製作プロセスデータベース(e),据え付けプロセスデータベース(f),および,管理データベース(g)のデータに基づいて作成され、それら各データベース(e,f,g)の情報を一括して格納する統合データベース(h)を有する統合管理サーバ(H)とからなることを特徴とするコンクリート製品統合管理システム。
【請求項15】
<i>複数の上記コンクリート製品(D……)の製作プロセスおよび据え付けプロセスの進行に伴って、上記複数のコンクリート製品(D……)について、その個々のコンクリート製品(D)ごとの製作プロセスに関する情報および据え付けプロセスに関する情報を、当該個々のコンクリート製品に取り付けられた管理用タグ(A……)のICタグ(1……)に書き込むとともに、
<ii>上記製作プロセスの進行に伴って、上記複数のコンクリート製品(D……)についての、その個々のコンクリート製品(D)ごとの製作プロセスに関する情報を、製作プロセスデータベース(e)に書き込み、また、上記据え付けプロセスの進行に伴って、上記複数のコンクリート製品(D……)についての、その個々のコンクリート製品(D)ごとの据え付けプロセスに関する情報を、据え付けプロセスデータベース(f)に書き込み、さらに、上記複数のコンクリート製品(D……)についての、その個々のコンクリート製品(D)ごとの据え付け後の維持管理に関する情報を、管理データベース(g)に書き込み、
<iii>上記製作プロセスデータベース(e),上記据え付けプロセスデータベース(f),および,上記管理データベース(g)の情報に基づいて、それら各データベース(e,f,g)の情報を一括して格納する統合データベース(h)を作成することを特徴とするコンクリート製品統合管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−72868(P2007−72868A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−260786(P2005−260786)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(000235543)飛島建設株式会社 (132)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】