説明

コンソールボックス

【課題】テーブル体の誤動作を防止できるコンソールボックスを提供すること。
【解決手段】係止端部67と押圧端部66とを持ち傾動中心部を中心として規制位置と解除位置との間を傾動する傾動部60と、傾動部60を規制位置に付勢する傾動部付勢部材61と、を持つ規制手段をコンソールボックスの蓋体に取り付ける。傾動部60の係止端部67は、規制位置において、収納位置に配置されているテーブル体4に係止し、テーブル体4のスライドを規制する。蓋体が半開位置と閉位置との間を回動する際には、傾動部60の押圧端部66がケース体1に当接して傾動部60が解除位置に向けて傾動し、テーブル体4と係止端部67との係止が解除され、テーブル体4がスライド可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるコンソールボックスに関し、詳しくは、スライド式のテーブルを持つコンソールボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるコンソールボックスとしては、開口を持つ箱状をなすケース体と、ケース体の開口を開閉する蓋体とを持つものが知られている。一般に蓋体は、ケース体に枢支され、ケース体の開口を閉じる閉位置とケース体の開口を開く開位置の間を回動する。
【0003】
この種のコンソールボックスの一種として、蓋体に対して展開/収納可能なテーブル体を設けたものがある。テーブル体は、蓋体と一体に回動するとともに、蓋体に収納される収納位置と蓋体から展開される展開位置との間をスライドする。この種のコンソールボックスにおけるテーブル体は、蓋体が閉位置に配置されているときに使用される。このためテーブルは、蓋体が閉位置に配置されているとき以外には、蓋体にロックされる。ところで、テーブルを蓋体にロックする機構としては、ハートカム機構に代表されるプッシュロックオープン式のロック機構が一般に用いられている。この種のロック機構は、容易にロック操作およびロック解除操作をできるためである。しかし、プッシュロックオープン式のロック機構でテーブル体を蓋体にロックする場合、何らかの衝撃(例えば、急制動による衝撃など)が車両に加わると、ロックが解除され、蓋体が開位置に配置されているのにもかかわらずテーブル体が展開位置に向けて飛び出す(以下、テーブル体が誤動作すると呼ぶ)可能性がある。また、ユーザーが想定外のロック解除操作をしてしまう可能性もある。
【0004】
特許文献1には、アームレストにスライド可能に保持されているテーブル体の誤動作を防止する技術が開示されている。特許文献1のアームレストは、振り子や球体等の重力によって動作する規制手段を持つ。アームレストが略垂直位置に配置されると、規制手段は重力によって移動し、テーブル体の奥側(すなわち、プッシュロックオープン式ロック手段のロックを解除する際のテーブル体のスライド方向の先側)に配置される。このため、規制手段はテーブル体のスライド移動を規制する。したがってアームレストを略垂直位置に配置したときには、テーブル体は収納位置にロックされたままであり、テーブル体の誤動作が防止される。また、アームレストが略水平位置に配置されると、規制手段はテーブル体の奥側から移動する。このためテーブル体は、展開位置にスライド移動可能になる。
【0005】
特許文献1の技術をコンソールボックスに転用すれば、コンソールボックスにおけるテーブル体の誤動作を防止できると考えられる。しかし、特許文献1における規制手段は、衝突時等、車両に非常に大きな衝撃が加わった時に動作する可能性がある。また、車両姿勢によっては、ユーザーがアームレストを略水平位置に配置しなくても、規制手段が動作する可能性がある。これらの場合には、依然として、テーブル体が誤動作する可能性がある。よって、テーブル体の誤動作をより信頼性高く防止できる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−10099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、テーブル体の誤動作を防止できるコンソールボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の第1のコンソールボックスは、
開口を持つ箱状をなすケース体1と、
該ケース体1に枢支されている回動中心部20を持ち、該開口を閉じる閉位置と、該開口を開く開位置と、の間を該回動中心部20を中心として回動する蓋体と、
該蓋体にスライド可能に保持され、該蓋体と一体に回動するとともに、該蓋体に収納される収納位置と該蓋体から展開される展開位置との間をスライドするテーブル体4と、
該テーブル体4を該展開位置に向けて付勢するテーブル体付勢部材と、
該収納位置に配置された該テーブル体4を該蓋体に対してロックするプッシュロックオープン式ロック手段と、
該蓋体に取り付けられている規制手段6と、を持ち、
該規制手段6は、
一端部である係止端部67と他端部である押圧端部66と該係止端部67と該押圧端部66との間に配置され該蓋体に枢支されている傾動中心部63とを持ち、該蓋体と一体に回動するとともに、該収納位置に配置されている該テーブル体4と該係止端部67とが係止して該テーブル体4のスライド移動を規制する規制位置と、該収納位置に配置されている該テーブル体4と該係止端部67との係止が解除される解除位置と、の間を該傾動中心部63を中心として傾動する傾動部60と、
該傾動部60を該規制位置に向けて付勢する傾動部付勢部材61と、を持ち、
該蓋体が該開位置と該閉位置との間の半開位置から該閉位置に向けて回動すると、該押圧端部66が該ケース体1に当接して該傾動部60が該規制位置から該解除位置に向けて傾動することを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する本発明の第2のコンソールボックスは、
開口を持つ箱状をなすケース体1と、
該ケース体1に枢支されている回動中心部20を持ち、該回動中心部20を中心として該開口を閉じる第1閉位置と該開口を開く第1開位置と、の間を回動する第1蓋部2と、
該第1蓋部2に枢支されている副回動中心部を持ち、該副回動中心部を中心として該第1蓋部2に近接する第2閉位置と該第1蓋部2から離間する第2開位置と、の間を回動する第2蓋部3と、
該第1蓋部2にスライド可能に保持され、該第1蓋部2と一体に回動するとともに、該第1蓋部2に収納される収納位置と該第1蓋部2から展開される展開位置との間をスライドするテーブル体4と、
該テーブル体4を該展開位置に向けて付勢するテーブル体付勢部材と、
該収納位置に配置された該テーブル体4を該第1蓋部2に対してロックするプッシュロックオープン式ロック手段と、
該蓋体に取り付けられている規制手段6と、を持ち、
該規制手段6は、
一端部である係止端部67と他端部である押圧端部66と該係止端部67と該押圧端部66との間に配置され該蓋体に枢支されている傾動中心部63とを持ち、該第1蓋体と一体に回動するとともに、該収納位置に配置されている該テーブル体4と該係止端部67とが係止して該テーブル体4のスライド移動を規制する規制位置と、該収納位置に配置されている該テーブル体4と該係止端部67との係止が解除される解除位置と、の間を該傾動中心部63を中心として傾動する傾動部60と、
該傾動部60を該規制位置に向けて付勢する傾動部付勢部材61と、を持ち、
該第1蓋体が該第1開位置と該第1閉位置との間の第1半開位置から該第1閉位置に向けて回動すると、該押圧端部66が該ケース体1に当接して該傾動部60が該規制位置から該解除位置に向けて傾動することを特徴とする。
【0010】
本発明の第1のコンソールボックスは、下記の(1)または(2)を備えるのが好ましく、(1)および(2)を備えるのがより好ましい。本発明の第2のコンソールボックスは下記の(1)または(3)を備えるのが好ましく、下記の(1)および(3)を備えるのがより好ましい。
【0011】
(1)前記係止端部67の表面と前記押圧端部66の表面とは、弾性変形可能なクッション材64、65で構成されている。
【0012】
(2)前記蓋体には、前記蓋体と別体成形された支持部5が一体化され、
前記傾動部60は、該支持部5に枢支されるとともに、該支持部5を介して前記蓋体に枢支されている。
【0013】
(3)前記第1蓋部2には、前記第1蓋部2と別体成形された支持部5が一体化され、
前記傾動部60は、該支持部5に枢支されるとともに、該支持部5を介して前記第1蓋部2に枢支されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1のコンソールボックスは、蓋体に取り付けられている規制手段を持つ。本発明の第2のコンソールボックスは、第1蓋部に取り付けられている規制手段を持つ。規制手段は、規制位置と解除位置との間を傾動する傾動部と、傾動部を規制位置に付勢する傾動部付勢部材とを持つ。規制位置において、傾動部の係止端部は、収納位置に配置されているテーブル体に係止する。このため、規制手段は、収納位置に配置されているテーブル体のスライド移動を規制する。よって、本発明の第1のコンソールボックスおよび第2のコンソールボックスによると、テーブル体の誤動作を防止できる。
【0015】
また、傾動部の押圧端部は、蓋体が半開位置と閉位置との間を傾動する際、または、第1蓋部が第1半開位置と第1閉位置との間を傾動する際に、ケース体に当接する。そして、押圧端部がケース体によって相対的に押圧されることで、傾動部は傾動部付勢部材の付勢力に抗して解除位置に向けて傾動する。傾動部が解除位置に配置されると、傾動部の係止端部とテーブル体との係止が解除される。このためテーブル体はスライド可能になり、プッシュロックオープン式ロック手段によるテーブル体のロックが解除可能になる。すなわち、本発明の第1のコンソールボックスによると、蓋体が閉位置に配置されているとき以外は、傾動部が解除位置に配置されない。このため本発明の第1のコンソールボックスでは、収納位置に配置されているテーブル体のスライド移動を、規制手段によって信頼性高く規制できる。よって、本発明の第1のコンソールボックスによると、テーブル体の誤動作を信頼性高く抑制できる。同様に、本発明の第2のコンソールボックスによると、第1蓋部が第1閉位置に配置されているとき以外は、傾動部が解除位置に配置されないため、テーブル体の誤動作を信頼性高く抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例のコンソールボックスを模式的に表す斜視図である。
【図2】実施例のコンソールボックスを模式的に表す斜視図である。
【図3】実施例のコンソールボックスを模式的に表す斜視図である。
【図4】実施例のコンソールボックスにおける支持部および規制手段を模式的に表す分解斜視図である。
【図5】実施例のコンソールボックスにおける第1蓋部、第2蓋部、テーブル体および規制手段の動作を模式的に表す説明図である。
【図6】実施例のコンソールボックスにおける第1蓋部、第2蓋部、テーブル体および規制手段の動作を模式的に表す説明図である。
【図7】実施例のコンソールボックスにおける第1蓋部、第2蓋部、テーブル体および規制手段の動作を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、具体例を挙げて本発明のコンソールボックスを説明する。
【実施例】
【0018】
実施例のコンソールボックスは、本発明の第2のコンソールボックスである。実施例のコンソールボックスは、上記(1)および(3)を備える。実施例のコンソールボックスを模式的に表す斜視図を図1〜図3に示す。詳しくは、図1は、第2蓋部が第2閉位置に配置され、第1蓋部が第1閉位置に配置され、テーブル体が収納位置に配置されている様子を表す。図2は、第2蓋部が第2閉位置に配置され、第1蓋部が第1開位置に配置され、テーブル体が収納位置に配置されている様子を表す。図3は、第2蓋部が第2閉位置に配置され、第1蓋部が第1閉位置に配置され、テーブル体が展開位置に配置されている様子を表す。実施例のコンソールボックスにおける支持部および規制手段を模式的に表す分解斜視図を図4に示す。実施例のコンソールボックスにおける第1蓋部、第2蓋部、テーブル体および規制手段の動作を模式的に表す説明図を図5〜図7に示す。詳しくは、図5は、テーブル体が収納位置に配置され、第2蓋部が第2閉位置に配置され、第1蓋部が第1半開位置に配置されているときの第1蓋部、第2蓋部、テーブル体および規制手段を表す。図6は、テーブル体が収納位置に配置され、第2蓋部が第2閉位置に配置され、第1蓋部が第1半開位置から第1閉位置に向けて回動しているときの、第1蓋部、第2蓋部、テーブル体および規制手段を表す。図7は、テーブル体が収納位置に配置され、第2蓋部が第2閉位置に配置され、第1蓋部が第1閉位置に配置されているときの第1蓋部、第2蓋部、テーブル体および規制手段を表す。以下、実施例において、上、下、左、右、前、後とは図1および図4に示す上、下、左、右、前、後を指す。
【0019】
実施例のコンソールボックスは、ケース体1と、第1蓋部2と、第1蓋部付勢部材(図略)と、第1ロック手段(図略)と、第2蓋部3と、第2蓋部付勢部材(図略)と、第2ロック手段(図略)と、テーブル体4と、テーブル体付勢部材(図略)と、プッシュロックオープン式ロック手段(図略)と、支持部5と、規制手段6と、を備える。
【0020】
図2に示すように、ケース体1は、上方に開口する箱状をなす。
【0021】
図3および図5〜図7に示すように、第1蓋部2は、前方および後方に開口する扁平な箱状をなす。図5〜図7に示すように、第1蓋部2の後側の部分には、軸状をなす回動中心部20が形成されている。回動中心部20は、貫通孔状をなす回動軸受け部10に枢支されている。回動軸受け部10は、ケース体1の後側の部分に形成されている。第1蓋部2は、回動中心部20を中心として、ケース体1の開口11を閉じる第1閉位置(図1、図3)と、ケース体1の開口11を開く第1開位置(図2)との間を回動する。
【0022】
第1蓋部2とケース体1との間には、図略の第1蓋部付勢部材と図略の第1ロック手段とが介在している。第1蓋部付勢部材はコイルバネからなる。第1蓋部付勢部材の一端部は第1蓋部2に固定され、第1蓋部付勢部材の他端部はケース体1に固定されている。第1蓋部付勢部材は、第1蓋部2を図2に示す第1開位置に向けて付勢している。第1ロック手段は、第1蓋部2を図1に示す第1閉位置にロックする。
【0023】
図1に示すように、第2蓋部3は略板状をなす。第2蓋部3の下側部分は硬質の樹脂材料からなり、第2蓋部3の上側部分は軟質の樹脂材料からなる蓋側クッション材30で構成されている。第2蓋部3の下側かつ後側の部分には、軸状をなす副回動中心部(図略)が形成されている。副回動中心部は、第1蓋部2の後側の部分に形成され貫通孔状をなす副回動軸受け部(図略)に枢支されている。したがって第2蓋部3は、副回動中心部を中心として、その全体が第1蓋部2に近接する第2閉位置(図1〜図3)と、後端部が第1蓋部2から離間する第2開位置(図略)との間を回動する。第1蓋部2が第1閉位置に配置されているときに、第2蓋部3が第2開位置に回動すると、第1蓋部2の上面が露出する。このため、このとき第1蓋部2をトレイとして利用できる。なお、第2蓋部3は第1蓋部2に対して回動するため、第1蓋部2の回動に伴って第1蓋部2と一体に回動する。
【0024】
第2蓋部3と第1蓋部2との間には、図略の第2蓋部付勢部材と図略の第2ロック手段とが介在している。第2蓋部付勢部材はコイルバネからなる。第2蓋部付勢部材の一端部は第2蓋部3に固定され、第2蓋部付勢部材の他端部はケース体1に固定されている。第2蓋部付勢部材は、第2蓋部3を図略の第2開位置に向けて付勢している。第2ロック手段は、第2蓋部3を図1〜図3に示す第2閉位置にロックする。
【0025】
図3に示すように、テーブル体4は略板状をなす。テーブル体4は第1蓋部2に取り付けられ、第1蓋部2の内部に収納される収納位置(図1)と、第1蓋部2の前開口を経て前方に展開される展開位置(図3)と、の間をスライドする。詳しくは、第1蓋部2の内部には図略のスライドレールが設けられ、テーブル体4の下面にはスライドレールとスライド可能に係合する図略のスライド係合部が設けられている。スライド係合部がスライドレールに案内されることで、テーブル体4は収納位置と展開位置との間を安定してスライドする。図5〜図7に示すように、テーブル体4の後端部は下方に隆起している。この隆起した部分には、テーブル体側係止部40が形成されている。テーブル体側係止部40は、上下方向に延びる貫通孔状をなす。
【0026】
図略のテーブル体付勢部材は定荷重ばねからなる。テーブル体付勢部材の一端部はテーブル体4に固定され、他端部は第1蓋部2の内部に固定されている。テーブル体4が収納位置に配置されると、テーブル体付勢部材は弾性的に圧縮変形して付勢力を蓄積する。蓄積された付勢力によって、テーブル体付勢部材はテーブル体4を展開位置に向けて付勢する。
【0027】
図略のプッシュロックオープン式ロック手段は、ハートカムからなる。展開位置に配置されているテーブル体4を収納位置にまでスライドさせると、プッシュロックオープン式ロック手段は、テーブル体4を収納位置にロックする。また、収納位置にロックされているテーブル体4をさらに後方に押圧すると、プッシュロックオープン式ロック手段によるテーブル体4のロックが解除される。
【0028】
図4に示すように、支持部5は、支持枠部50と、枢支軸部51とを持つ。支持枠部50は、前方および後方に開口する枠状をなす。枢支軸部51は左右方向に延びる軸状をなす。枢支軸部51は支持枠部50と別体で形成され、後述する傾動部60に挿通された後に、支持枠部50に一体化されている。支持部5は第1蓋部2と別体成形され、図5〜図7に示すように、第1蓋部2の後側内部に嵌合一体化されている。図5に示すように、支持枠部50には、後述する傾動ストッパ部68と係合可能なストッパ押さえ部52が形成されている。
【0029】
図4に示すように、規制手段6は、傾動部60と、傾動部付勢部材61とを持つ。傾動部60は、傾動本体部62と、2つのクッション材64、65とを持つ。傾動本体部62は前後方向に延びる板状をなす。傾動本体部62の後端部は下方に向けて湾曲し、前端部は上方に向けて湾曲している。傾動本体部62の前端部および後端部には、それぞれ、フェルト製のクッション材64、65が貼り付けられている。実施例のコンソールボックスにおいては、傾動本体部62の後端部、および、後端部に貼り付けられているクッション材65が押圧端部66に相当する。また、傾動本体部62の前端部、および、前端部に貼り付けられているクッション材64が係止端部67に相当する。
【0030】
傾動本体部62には、貫通孔状をなす傾動中心部63が形成されている。傾動中心部63は左右方向に延びる。各傾動中心部63は、前後方向において、係止端部67と押圧端部66との間に配置されている。詳しくは、係止端部67から傾動中心部63までの長さ(傾動中心部63の延びる方向に直交する方向の長さ、前後方向の長さ)は、傾動中心部63から押圧端部66までの長さよりも長い。傾動中心部63には支持部5の枢支軸部51が挿通されている。したがって、傾動部60は支持部5に枢支されている。
【0031】
傾動部付勢部材61は、コイルバネからなり、傾動中心部63の周縁部に装着されている。図5に示すように、傾動部付勢部材61の一端部は傾動部60に固定され、他端部は支持部5に固定されている。傾動部付勢部材61は、傾動部60を、係止端部67が上向し押圧端部66が下向する方向に(すなわち、後述する規制位置に向けて)付勢している。
【0032】
図4に示すように、傾動本体部62には、左方に突起する傾動ストッパ部68が形成されている。詳しくは、傾動ストッパ部68は傾動中心部63の周縁部に形成されている。図5に示すように、傾動ストッパ部68は、傾動部60が規制位置に配置されると、支持枠部50のストッパ押さえ部52と係合する。傾動ストッパ部68とストッパ押さえ部52とが係合することで、傾動部60は、規制位置で傾動を停止する。
【0033】
支持部5は、傾動部60および傾動部付勢部材61が組み付けられた状態で、第1蓋部2の後端側内部に組み付けられる。したがって傾動部60は、支持部5に枢支されるとともに、支持部5を介して第1蓋部2に枢支されている。支持部5および第1蓋部2に組み付けられた傾動中心部63および傾動部付勢部材61は、テーブル体4よりも後側に配置される。図5に示すように、係止端部67はテーブル体4の後端部と前後方向に重なる。押圧端部66は、第1蓋部2の後開口25を経て第1蓋部2の後方に露出する。
【0034】
実施例のコンソールボックスの動作を以下に説明する。
【0035】
先ず、図1に示すように、第1蓋部2が第1閉位置に配置され、第2蓋部3が第2閉位置に配置され、かつ、テーブル体4が収納位置に配置されているときには、第1蓋部2は第1ロック手段によって第1閉位置にロックされている。第2蓋部3は第2ロック手段によって第2閉位置にロックされている。第1蓋部付勢部材および第2蓋部付勢部材には、それぞれ、付勢力が蓄積されている。テーブル体4は、プッシュロックオープン式ロック手段によって収納位置にロックされている。第2蓋部3は第1蓋部2の上方に配置されている。第2蓋部3の上側部分は蓋側クッション材30で構成されているため、このとき第2蓋部3をアームレストとして利用することができる。
【0036】
このとき規制手段6の傾動部60は、図7に示す解除位置に配置されている。詳しくは、傾動部60は係止端部67を下向させ押圧端部66を上向させている。押圧端部66は、ケース体1の一部であるケース側押圧部12に当接している。係止端部67はテーブル体側係止部40の下方に配置され、係止端部67とテーブル体側係止部40とは係止していない。このため、テーブル体4は、図7中2点鎖線で示すように、後方にスライド可能である。テーブル体4を収納位置からさらに後方にスライドさせると、プッシュロックオープン式ロック手段のロックが解除される。よって、テーブル体付勢部材によって付勢されたテーブル体4は、前方にスライドし図3に示す展開位置に配置される。なお、展開位置に配置されたテーブル体4のテーブル体側係止部40は、係止端部67の上方かつ前方に配置される。
【0037】
第1蓋部2を第1閉位置に配置した状態で、展開位置に配置されているテーブル体4を後方にスライドさせると、プッシュロックオープン式ロック手段がテーブル体4を収納位置にロックする。なお、このとき傾動部60は解除位置に配置されたままであり、傾動部60の係止端部67はテーブル体側係止部40の下方に配置されている。このため、傾動部60はテーブル体4に干渉せず、テーブル体4はスライド可能である。
【0038】
図7に示すように、第1蓋部2が第1閉位置に配置され、かつ、テーブル体4が収納位置に配置されている状態で、第1ロック手段を解除操作すると、第1蓋部付勢部材に付勢された第1蓋部2は第1回動中心部20を中心として図5〜図7中時計回りに回動し、図2に示す第1開位置に配置される。なお、このとき第2蓋部3は第2閉位置にロックされているため、第1蓋部2とともに回動する。
【0039】
図2に示すように、第1蓋部2が第1開位置に回動すると、ケース体1の開口11が露出する。ケース体1は箱状をなすため、このときケース体1の内部空間に荷物を出し入れすることができる。また、ケース体1の内部に各種のスイッチ等が配設されている場合には、この操作スイッチ等を操作することもできる。
【0040】
第1蓋部2が第1閉位置(図7)と第1半開位置(図5)との間を揺動している間は、ケース側押圧部12は押圧端部66に当接している。したがって、このとき傾動部60は押圧端部66によって相対的に押圧されることで、傾動部付勢部材61によって規制位置に付勢されているにもかかわらず、規制位置には配置されない。
【0041】
第1蓋部2が第1半開位置を超えて第1開位置に向けて回動すると、ケース側押圧部12は押圧端部66よりも下方に配置される。このためケース側押圧部12による押圧端部66への相対的な押圧が解除される。傾動部60は、傾動部付勢部材61によって付勢されているため、時計回りに傾動し、規制位置に配置される。すると、テーブル体側係止部40に向けて突出している傾動部60の係止端部67は、テーブル体側係止部40に係止する。このため、テーブル体4のスライドは規制手段6によって規制される。したがって、このときテーブル体4は、図5中二点鎖線で示すように後方に僅かにスライドするだけであり、プッシュロックオープン式ロック手段は解除されない。よって、このときコンソールボックスに衝撃が加わっても、テーブル体4は収納位置に配置されたままである。すなわち、このときテーブル体4は誤動作し難い。第1蓋部2が第1開位置から第1半開位置に向けて回動するときにも、同様に、規制手段6がテーブル体4のスライドを規制する。したがってこのときにもテーブル体4は誤動作し難い。
【0042】
テーブル体4が収納位置に配置されている状態で、第1開位置に配置されている第1蓋部2が第1半開位置にまで回動すると、図5に示すように、ケース側押圧部12が押圧端部66に当接する。ケース側押圧部12は、押圧端部66に対して、第1蓋部2が第1開位置から第1閉位置に回動する際における回動方向の先側に配置されている。また、ケース側押圧部12は、第1蓋部2が第1半開位置と第1閉位置との間を回動する際における押圧端部66の移動領域内に突出している。このため、第1蓋部2が第1開位置から第1半開位置にまで回動すると、ケース側押圧部12が押圧端部66に当接する。そして、第1蓋部2が第1半開位置から第1閉位置に向けて回動すると、押圧端部66はケース側押圧部12によって相対的に押圧される。このため傾動部60は、傾動中心部63を中心として反時計回りに傾動する。傾動部60が解除位置にまで傾動すると、図7に示すように、係止端部67が下向してテーブル体側係止部40の下方に配置される。したがって、このとき係止端部67とテーブル体側係止部40との係止が解除される。よって、このときテーブル体4は収納位置からさらに後方にスライドさせることができ、プッシュロックオープン式ロック手段によるテーブル体4のロックを解除できる。プッシュロックオープン式ロック手段によるロックが解除されると、テーブル体4は、テーブル体付勢部材の付勢力によって前方にスライドして、展開位置に配置される。
【0043】
実施例のコンソールボックスにおいては、傾動部60の係止端部67および押圧端部66の表面はクッション材64、65で構成されている。このため、傾動部60の係止端部67がテーブル体側係止部40と当接する際にはクッション材64が弾性変形して衝撃を吸収する。傾動部60の押圧端部66がケース側押圧部12に当接する際には、クッション材65が弾性変形して衝撃を緩和する。よって、実施例のコンソールボックスによると、係止端部67とテーブル体4とが当接する際に生じる打音、および、押圧端部66とケース体1とが当接する際に生じる打音を抑制できる。
【0044】
実施例のコンソールボックスにおいては、第1蓋部2が第1半開位置から第1開位置に向けて回動する際には、傾動部60の係止端部67とテーブル体4のテーブル体側係止部40とが係止することで、テーブル体4のスライドが規制される。すなわち、このとき規制手段6はテーブル体4のスライドを機械的に規制する。このため、実施例のコンソールボックスによると、テーブル体4の誤動作を信頼性高く抑制できる。
【0045】
また、傾動部60の傾動中心部63は係止端部67と押圧端部66との間に位置する。このため傾動部60はシーソー状をなす。さらに、係止端部67から傾動中心部63までの長さは、傾動中心部63から押圧端部66までの長さよりも長い。このため、押圧端部66を小さく動かすだけで(すなわち、比較的小さな力を押圧端部66に加えるだけで)、係止端部67を大きく動かすことができる。このため、傾動部60は狭い空間に配設することができる。よって、実施例のコンソールボックスにおける傾動部60は、広い空間を確保し難い第1蓋部2に容易に配設でき、かつ信頼性高く動作する利点がある。
【0046】
さらに、実施例のコンソールボックスにおいては、予め規制手段6が枢支されている支持部5を第1蓋部2に取り付けている。このため実施例のコンソールボックスは容易に製造できる。
【0047】
実施例のコンソールボックスは、テーブル体4および規制手段6を取り付けた第1蓋部2とは別に、第1蓋部2に対して回動可能な第2蓋部3を持つが、第2蓋部3をなくしても良い。第2蓋部3を持たず第1蓋部2のみを持つコンソールボックスは、本発明の第1のコンソールボックスである。このコンソールボックスにおける第1蓋部2は、本発明の第1のコンソールボックスにおける蓋体に相当する。この場合には、蓋体(第1蓋部2)に取り付けらている規制手段6によって、同じく蓋体に取り付けられているテーブル体4のスライドを規制できる。よってこの場合にも、実施例のコンソールボックスと同様に、半開位置と開位置との間を蓋体が回動する際には、収納位置に配置されているテーブル体4のスライドを規制手段6が規制し、テーブル体4の誤動作を抑制できる。
【0048】
なお、テーブル体4は、単に板状をなしても良いし、箱状等の他の形状をなしても良い。また、容器を収容保持するための凹部をテーブル体4に形成して、テーブル体4をカップホルダとして利用しても良い。さらには、テーブル体4に各種の操作スイッチ等を配設しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明のコンソールボックスは、車両用のコンソールボックスとして利用できる。
【符号の説明】
【0050】
1:ケース体 2:第1蓋部 3:第2蓋部
4:テーブル体 5:支持部 6:規制手段
11:ケース体の開口 20:回動中心部 60:傾動部
61:傾動部付勢部材 64,65:クッション材
66:押圧端部 67:係止端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を持つ箱状をなすケース体と、
該ケース体に枢支されている回動中心部を持ち、該開口を閉じる閉位置と、該開口を開く開位置と、の間を該回動中心部を中心として回動する蓋体と、
該蓋体にスライド可能に保持され、該蓋体と一体に回動するとともに、該蓋体に収納される収納位置と該蓋体から展開される展開位置との間をスライドするテーブル体と、
該テーブル体を該展開位置に向けて付勢するテーブル体付勢部材と、
該収納位置に配置された該テーブル体を該蓋体に対してロックするプッシュロックオープン式ロック手段と、
該蓋体に取り付けられている規制手段と、を持ち、
該規制手段は、
一端部である係止端部と他端部である押圧端部と該係止端部と該押圧端部との間に配置され該蓋体に枢支されている傾動中心部とを持ち、該蓋体と一体に回動するとともに、該収納位置に配置されている該テーブル体と該係止端部とが係止して該テーブル体のスライド移動を規制する規制位置と、該収納位置に配置されている該テーブル体と該係止端部との係止が解除される解除位置と、の間を該傾動中心部を中心として傾動する傾動部と、
該傾動部を該規制位置に向けて付勢する傾動部付勢部材と、を持ち、
該蓋体が該開位置と該閉位置との間の半開位置から該閉位置に向けて回動すると、該押圧端部が該ケース体に当接して該傾動部が該規制位置から該解除位置に向けて傾動することを特徴とするコンソールボックス。
【請求項2】
開口を持つ箱状をなすケース体と、
該ケース体に枢支されている回動中心部を持ち、該回動中心部を中心として該開口を閉じる第1閉位置と該開口を開く第1開位置と、の間を回動する第1蓋部と、
該第1蓋部に枢支されている副回動中心部を持ち、該副回動中心部を中心として該第1蓋部に近接する第2閉位置と該第1蓋部から離間する第2開位置と、の間を回動する第2蓋部と、
該第1蓋部にスライド可能に保持され、該第1蓋部と一体に回動するとともに、該第1蓋部に収納される収納位置と該第1蓋部から展開される展開位置との間をスライドするテーブル体と、
該テーブル体を該展開位置に向けて付勢するテーブル体付勢部材と、
該収納位置に配置された該テーブル体を該第1蓋部に対してロックするプッシュロックオープン式ロック手段と、
該蓋体に取り付けられている規制手段と、を持ち、
該規制手段は、
一端部である係止端部と他端部である押圧端部と該係止端部と該押圧端部との間に配置され該蓋体に枢支されている傾動中心部とを持ち、該第1蓋体と一体に回動するとともに、該収納位置に配置されている該テーブル体と該係止端部とが係止して該テーブル体のスライド移動を規制する規制位置と、該収納位置に配置されている該テーブル体と該係止端部との係止が解除される解除位置と、の間を該傾動中心部を中心として傾動する傾動部と、
該傾動部を該規制位置に向けて付勢する傾動部付勢部材と、を持ち、
該第1蓋体が該第1開位置と該第1閉位置との間の第1半開位置から該第1閉位置に向けて回動すると、該押圧端部が該ケース体に当接して該傾動部が該規制位置から該解除位置に向けて傾動することを特徴とするコンソールボックス。
【請求項3】
前記係止端部の表面と前記押圧端部の表面とは、弾性変形可能なクッション材で構成されている請求項1または請求項2に記載のコンソールボックス。
【請求項4】
前記蓋体には、前記蓋体と別体成形された支持部が一体化され、
前記傾動部は、該支持部に枢支されるとともに、該支持部を介して前記蓋体に枢支されている請求項1または請求項3に記載のコンソールボックス。
【請求項5】
前記第1蓋部には、前記第1蓋部と別体成形された支持部が一体化され、
前記傾動部は、該支持部に枢支されるとともに、該支持部を介して前記第1蓋部に枢支されている請求項2または請求項3に記載のコンソールボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−208563(P2010−208563A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58939(P2009−58939)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】