説明

コンソールボックス

【課題】
コンソールボックスの後部に衝撃荷重が加わっても、コンソールボックスからリヤカバーの離脱を防止することができると共に、ネジ止めを削減できるコンソールボックスを提供することを目的とする。
【解決手段】
車室内に設けられたコンソールボックス本体11と、前記コンソールボックス本体11の後端部15に係合により取付け固定されるリヤカバー50と、前記リヤカバー50が前記コンソールボックス本体11に取付けられる方向に対して交差する方向に前記コンソールボックス本体11に係合して取付けられる取付け部材60とを有するコンソールボックス10において、前記リヤカバー50は、前記コンソールボックス本体11へ向かって延び、貫通孔55を有する係止部54を備え、前記取付け部材60は、前記係止部54の貫通孔55に挿し込まれる突起63を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の内装部品であるコンソールボックスのリヤカバーの取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車などの車両において、車室内の運転席と助手席との間の部分に、ほぼ車両前後方向へ延びるセンターコンソールを備えたものが開示されている。
【0003】
そして、図6〜図7に示すように、センターコンソール101の後部には、コンソールボックス102が設けられている。コンソールボックス102は、コンソールボックス本体103と、コンソールボックス本体103の上部に開閉可能に設けられた蓋体(図示せず)と、コンソールボックス本体103の後部を覆うリヤカバー104とを備えている。
【0004】
コンソールボックス102とリヤカバー104の取付け構造においては、コンソールボックス本体103の後端部に形成された嵌合部106に対しリヤカバー104を嵌合し、両者の接続面の下端部の左右2カ所、及び上面部の複数個所をネジ105により固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平06−78093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載した技術では、コンソールボックス本体103の後端部に対し、リヤカバー104をネジ105により固定しているため、部品点数が多くなると共に、取付け作業が増すという問題があった。そこで、ネジ止めに代え、コンソールボックス本体103またはリヤカバー104の一方に係合孔を設け、他方に弾性変形可能な係止爪を形成し、係合することのみにより固定する固定構造が考えられる。しかしながら、係合孔と弾性変形可能な係止爪での係合では、コンソールボックス102の後部に衝撃荷重が作用した際に、係止爪の係合孔に対する係合状態が解除されてしまった場合には、コンソールボックス102からリヤカバー104が離脱してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、このような従来技術の技術的課題に鑑みてされたもので、ネジによるネジ止めを削減し、確実にコンソールボックス102からリヤカバー104の離脱を防止することのできるコンソールボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のある態様では、車室内に設けられたコンソールボックス本体と、前記コンソールボックス本体の後端部に係合により取付け固定されるリヤカバーと、前記リヤカバーが前記コンソールボックス本体に取付けられる方向に対して交差する方向に前記コンソールボックス本体に係合して取付けられる取付け部材とを有するコンソールボックスにおいて、前記リヤカバーは、前記コンソールボックス本体へ向かって延び、貫通孔を有する係止部を備え、前記取付け部材は、前記係止部の貫通孔に挿し込まれる突起を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
この態様によれば、コンソールボックスの後部に衝撃荷重が加わっても、コンソールボックスからリヤカバーの離脱を防止することができると共に、ネジ止めを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施形態のコンソールボックスの斜視図である。
【図2】図1のコンソールボックスの車両後方側から見た分解斜視図である。
【図3】図1のコンソールボックスの車両前方側から見た分解斜視図である。
【図4】図3のヒンジカバー部材が取付けられる部分拡大斜視図である。
【図5】図4のヒンジカバー部材が取付けられ、蓋体が閉じた状態の部分側断面図である。
【図6】従来のセンターコンソールの分解斜視図である。
【図7】図6のコンソールボックスとリヤカバーとが組付けられた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係わるコンソールボックスの実施形態を、添付図面を参照しながら説明する。
【0012】
(全体構造)
自動車などの車両には、車室内の運転席と助手席との間の部分に、車両前後方向Yへ延びるセンターコンソール1が設けられている。
【0013】
センターコンソール1は図1に示すように、車両における前部側にシフトレバーや灰皿、ドリンクホルダ装置等が設置(図示せず)され、車両における後部側が、コンソールボックス10などとされている。
【0014】
そして、図2〜4に示すように、コンソールボックス10は、コンソールボックス本体11と、コンソールボックス本体11の上部にヒンジ41を介して開閉可能に設けられた蓋体40と、コンソールボックス本体11の後部を覆うリヤカバー50とを備えている。
【0015】
(コンソールボックス本体)
コンソールボックス本体11は、樹脂製であり、車両前後方向Yに延設される2つの側壁と、各側壁の上端縁間を連接する上面とから形成されている。図2に示すように、コンソールボックス本体11の上面には、開口部12が形成され、開口部12に樹脂製のボックス容器部20が嵌めこまれている。ボックス容器部20は、上部に開口部26を有する箱型であり、内部に収納スペース21が形成され、上縁部22の車両前後方向Yの前方側及び後方側にコンソールボックス本体11に対し、ネジ24でネジ止めするための取付け孔27を有する取付け部23が形成されている。取付け部23の取付け孔27に車両上下方向Z下方からネジ24を挿通してコンソールボックス本体11にネジ止めすることで、ボックス容器部20をコンソールボックス本体11に固定している。尚、コンソールボックス本体11には、ボックス容器部20の取付け部23に対応する位置にネジ24を固定するための孔を備えたリブまたは座部等(図示せず)が設けられており、ネジ止め固定することができる。
【0016】
そして、コンソールボックス10の一部を構成するボックス容器部20の車両上下方向Z下方には、金属製からなる支持ブラケット30a、30b、30cが配設されている。ボックス容器部20は、支持ブラケット30a、30b、30cによって、ボックス容器部20の底面部25及びボックス容器部20の上面の開口周縁部近傍を支持固定されている。即ち、ボックス容器部20の底面部25の取付け部及び開口周縁部に設けられた取付け部23と、支持ブラケット30a、30b、30cに設けられた取付座面32とが、ネジ31を用いてネジ止め固定されている。
【0017】
尚、支持ブラケット30a、30b、30cは、ボックス容器部20を支持する他に、コンソールボックス10の後部に上方からの衝撃荷重が作用した際に、その衝撃荷重を緩和させる衝撃吸収機能を有している。
【0018】
(蓋体)
樹脂製からなる蓋体40は、コンソールボックス本体11に取付けられたボックス容器部20の収納スペース21の開口部26を蓋い中見えを防止するとともに、肘掛として利用可能とするもので、ヒンジ41を介してコンソールボックス本体11に開閉自在に取付けられている。
【0019】
ヒンジ41は、金属製でコンソールボックス本体11の後部に取付けられている。さらに詳細に説明すると、ヒンジ41は、コンソールボックス本体11に取付けられるコンソール本体側固定部42と、蓋体40側に取付けられる蓋体側固定部(図示せず)と、コンソール本体側固定部42と蓋体側固定部とを軸支するヒンジ軸43を備えている。コンソール本体側固定部42は、ネジ44でネジ止めするための取付け孔を複数個備え、コンソールボックス本体11の車両前後方向Y後方側の上方に設けられたヒンジ取付け部13にネジ44を用いてネジ止め固定されている。尚、コンソールボックス本体11のヒンジ取付け部13には、ヒンジのコンソール本体側固定部42の納まりがよくなるように凹部が設けられ、凹部にネジ孔14が設けられている。
【0020】
(リヤカバー)
図2〜3に示すように、リヤカバー50は、樹脂製でコンソールボックス本体11の後端部15に車両前後方向Y後方側から取付けられている。コンソールボックス本体11の両側壁の後端部端面16は、リヤカバー50との合わせ面となっており、後述するリヤカバー50に形成した弾性変形可能な係止爪51を係止するための係止孔17を形成した取付け部18を複数箇所備えている。尚、取付け部18は、コンソールボックス本体11の側壁の内面より内側へ突出するように設けられ、リヤカバー50の組付け方向に対して略垂直な面を有している。
【0021】
リヤカバー50は下辺部を除いた周縁に、組付け方向に延びるフランジ52を有し、フランジ52の内壁面から取付け部18の係止孔17に係合する弾性変形可能な係止爪51を形成している。
【0022】
また、リヤカバー50の上縁部53には、係止部となる舌片54が形成されている。さらに具体的に説明すると、舌片54は、リヤカバー50の上縁部53からコンソールボックス本体11へ向かって延び、貫通孔55を有する平板状に形成されている。また、舌片54は、コンソールボックス本体11のヒンジ取付け部13より高い位置に位置するリヤカバーの上縁部53から、ヒンジ取付け部13へ向けて形成されており、リヤカバー50をコンソールボックス本体11の後端部15に取付けた状態では、舌片54は、ヒンジ取付け部13の上方に位置している。
【0023】
尚、貫通孔55は、舌片54の先端側に形成され、後述する取付け部材のピン状の突起63の径より若干大きく形成され、車両上下方向Zに貫通している。本実施形態での舌片54は、リヤカバー50の上縁部53で幅方向中央付近より一対形成しているが、1つでも2つ以上でも必要に応じて形成することができる。
【0024】
また、リヤカバー50の上方には、後席へ向かって温度調整された空気を吹き出すためのリヤベンチレータ56を取付けるためのリヤベンチレータ取付け開口57が形成され、ベンチレータ取付け開口57にリヤベンチレータ56が図示しないネジによりネジ止め固定されている。尚、リヤカバー50とボックス容器部20との間には、一端がリヤカバー50に装着されているリヤベンチレータ56に接続され、他端が図示しない前席乗員の前方に設けられたインストルメントパネル内に配置された空調装置に接続されるリヤダクト(図示せず)が配設されている。
【0025】
また、リヤカバー50のリヤベンチレータ取付け開口57の車両上下方向Z下方位置に後席乗員用の灰皿を取り付けるための、灰皿取付け開口58が形成されており、ユーザが後席乗員用の灰皿を希望する場合は灰皿(図示せず)が装着され、ユーザが後席乗員用の灰皿を希望しない場合は、灰皿取付け開口を隠すための、カバー59が装着されている。
【0026】
尚、本実施形態では、リヤカバー50は、コンソールボックス本体11に対して、ネジ等を使用せず、リヤカバー50側に形成された舌片54の貫通孔55に、後述する取付け部材のピン状の突起63が挿し込まれた状態で、かつリヤカバー50側に形成されている係止爪51が、コンソールボックス本体11側に形成される取付け部18の係止孔17に係合されて固定されている。
【0027】
リヤカバー50側に形成されている係止爪51とコンソールボックス本体11側に形成される取付け部18の係止孔17等の係合による係合のみで固定されている。
【0028】
また、リヤカバー50に形成される係止爪51は、リヤカバー50と一体に形成された樹脂製の係止爪51であるが、これに限らず別体に形成された樹脂製または金属製のクリップを係止爪51の形成位置に取付けて、クリップとコンソール本体側の係止孔17とを係合させて固定してもよい。
【0029】
尚、舌片54は、平板状に限らず、コンソールボックス本体11へ向かって延び、貫通孔55を形成可能な係止部であればよい。
【0030】
(取付け部材(ヒンジカバー部材))
本実施形態では、図3〜5に示すように、蓋体40を開いた時に、ヒンジ取付け部13が外部から見えてしまい外観を損なうことから、コンソールボックス本体11のヒンジ取付け部13に、取付け部材となる樹脂製のヒンジカバー部材60を車両上下方向Z上方側から係合により取付け固定して、ヒンジ取付け部13を隠蔽している。尚、ヒンジカバー部材60も、蓋体40を閉じた状態においては、蓋体40に覆われて露出しない状態となっている。
【0031】
具体的には、ヒンジカバー部材60はヒンジ取付け部13を覆う大きさで、車両車幅方向Xに延びる横長な矩形形状を呈している。
【0032】
また、ヒンジカバー部材60の周縁部に、車両上下方向Z下方へ延びるリブ61を部分的に有している。さらにヒンジカバー部材60の左右の側縁部近傍からコンソールボックス本体11のヒンジ取付け部13に係合固定するための弾性係止爪62が車両上下方向Z下方へ向かって左右一対突出形成されている。尚、コンソールボックス本体11のヒンジ取付け部13側には、ヒンジカバー部材60の弾性係止爪62が係止する係止孔19が形成されている。
【0033】
さらに、ヒンジカバー部材60の裏面側から、ヒンジ取付け部13の上方に位置しているリヤカバー50の舌片54の貫通孔55に挿し込まれるピン状の突起63が車両上下方向Z下方に向かい一対形成されている。
【0034】
ピン状の突起63の突出量は、図5に示すように、少なくとも、ヒンジカバー部材60の上面からリヤカバー50の舌片54の貫通孔部表面までの長さBより長く、かつ蓋体40を閉じた状態において、ヒンジカバー部材60の上面と、蓋体40の内壁面46との間の長さAより長い。尚、ヒンジカバー部材60の上面とは、ピン状の突起63が形成されている位置の表面側(ピン状の突起63が形成されている側と反対側)の位置をさし、舌片54の貫通孔部表面とは、舌片54の上面側で貫通孔部55の周縁をさし、貫通孔部55が傾斜されて形成されている場合は、舌片54の上面側で最も低い位置の周縁部をさしている。
【0035】
尚、ピン状の突起63は、舌片54の貫通孔55を貫通していてもよいし、貫通しなくともよく、舌片54の貫通孔55にピン状の突起63が挿し込まれる長さとなっていればよい。
【0036】
本実施形態でのピン状の突起63は、舌片54の貫通孔55を貫通し、さらにコンソールボックス本体11のヒンジ取付け部13の形成面まで延び、ヒンジ取付け部13に形成されている突起貫通孔71を貫通している。尚、突起貫通孔71の周縁にはピン状の突起63の挿入性をよくするために、すり鉢状のガイド部72が形成されている。尚、この場合、ピン状の突起63は突起貫通孔71を貫通しているが、ピン状の突起63は突起貫通孔71を貫通させなくてもよく、挿し込まれている状態であればよい。
【0037】
また、突起63はピン状に限定されることはなく、棒状(円柱状、角柱状)・リブ状等で舌片の貫通孔55に挿し込むことのできる突起であればよい。
【0038】
また、ヒンジカバー部材60には、ヒンジ41のヒンジアーム45との干渉を避けるためのスリット64が設けられている。
【0039】
尚、本実施形態では、ヒンジカバー部材60は、コンソールボックス本体11に対してヒンジカバー部材60側に形成された係止爪62とコンソールボックス本体11側のヒンジ取付け部13に形成される係止孔19等の係合による係合のみで固定されている。
【0040】
また、ヒンジカバー部材60に形成される係止爪62は、ヒンジカバー部材60と一体に形成された樹脂製の係止爪62であるが、これに限らず別体に形成された樹脂製または金属製のクリップを係止爪62の形成位置に取付けて、クリップとコンソール本体側の係止孔19とを係合させて固定してもよい。
【0041】
また、本実施形態の取付け部材となるヒンジカバー部材60は、リヤカバー50がコンソールボックス本体11に取付けられる方向に対して交差する方向にコンソールボックス本体11に係合して取付けられている。
【0042】
(組み立て)
次にコンソールボックス10の組み立て方について簡単に説明する。
【0043】
まず、ボックス容器部20の底面部25に設けられた取付け部と、支持ブラケット30a、30b、30cに設けられた取付座面32とをネジ31を用いてネジ止め固定する。
【0044】
その後、支持ブラケット30a、30b、30cが取付けられたボックス容器部20を、コンソールボックス本体11の開口部12の車両上下方向Z下方側からはめ込み、ボックス容器部20の取付け部23の取付け孔27に車両上下方向Z下方からネジ24を挿通してコンソールボックス本体11にネジ止め固定する。
【0045】
次に、既にヒンジ41の一方側を形成する蓋体側固定部が蓋体40に固定された蓋体付きヒンジ41をコンソールボックス本体11に組付ける。具体的には、ヒンジ41のコンソール本体側固定部42をコンソールボックス本体11の車両前後方向Y後方側の上方に設けられたヒンジ取付け部13にネジ44を用いてネジ止め固定する。
【0046】
次に、図示しない空調ダクトをコンソールボックス本体11のボックス容器部20の後端側に配設し、その後、リヤベンチレータ56等が装着されたリヤカバー50をコンソールボックス本体11の後端部15に車両前後方向Y後方側から取付ける。具体的には、コンソールボックス本体11の後端部端面16の取付け部18に形成された係止孔17に、リヤカバー50の周縁部から延びる弾性変形可能な係止爪51が係合することにより固定される。リヤカバー50がコンソールボックス本体11の後端部15に取付けられた状態では、図4に示すようにリヤカバー50に形成された舌片54は、コンソールボックス本体11のヒンジ取付け部13の上方に位置している。
【0047】
最後に、コンソールボックス本体11のヒンジ取付け部13の上方から取付け部材であるヒンジカバー部材60を取付ける。具体的には、ヒンジカバー部材60の左右の縁部近傍から下方に向かって形成されている弾性係止爪62が、ヒンジ取付け部13側に形成されている係合孔19と係合され固定される。また、ヒンジカバー部材60が取付けられた状態になるとヒンジカバー部材60の裏面側から延びるピン状の突起63が、リヤカバー50の舌片54の貫通孔55に挿入された状態となっている。
【0048】
次に本実施形態のコンソールボックス10の作用を説明する。
【0049】
例えば車両が走行中に急停止しまたは衝突したとき、後席の乗員の身体の一部が、コンソールボックス10の後部部の上方に当接する。その衝撃力は、リヤカバー50に加わり、リヤカバー50に形成されている全ての弾性変形可能な係止爪51にも伝わる。その衝撃力により、コンソールボックス本体11の後端部15に形成した取付け部18の係合孔17の周縁に係止している弾性変形可能な係止爪51は、撓んでしまい、係合状態が解除され、コンソールボックス本体11からリヤカバー50が車両前後方向Y後方側へ離脱しようとする。しかしながら、コンソールボックス本体11に取付けられているヒンジカバー部材60に形成した車両上下方向Zに延びるピン状の突起63が、リヤカバー50の上端縁53からコンソールボックス10へ延びる平板状の舌片54の貫通孔55に挿し込まれているため、コンソールボックス本体11からリヤカバー50は離脱することができず、リヤカバーの離脱を防止することができる。即ちリヤカバー50が離脱する方向に対して、ヒンジカバー部材60からのピン状の突起63がリヤカバー50の離脱する方向と直交するように、リヤカバー50の舌片54の貫通孔55に挿し込まれているため、リヤカバー50は貫通孔55とピン状の突起63とのガタ分以上の移動はできず、リヤカバー50の離脱を防止できる。
【0050】
また、取付け部材であるヒンジカバー部材60は、蓋体40が閉じられた状態において蓋体40に覆われて露出しない位置に取付けられている。よって、取付け部材であるヒンジカバー部材60に直接的に衝撃力が加わらないため、ヒンジカバー部材60が破損することがない。またヒンジカバー部材60が、蓋体40で覆われていることからヒンジカバー部材60が上方へ離脱しようとしても、蓋体の内壁面46にヒンジカバー部材60の上面が当接し、ヒンジカバー部材60が離脱することができない。よって、確実にリヤカバー50の舌片54の貫通孔55に、ヒンジカバー部材60のピン状の突起63が挿し込まれた状態を維持することができ、コンソールボックス本体11からリヤカバー50の離脱を防止できる。
【0051】
また、取付け部材であるヒンジカバー部材60の突起63の突出量は、ヒンジカバー部材60の上面からリヤカバー50の舌片54の貫通孔55表面までの長さBより長く、かつ蓋体40を閉じた状態において、ヒンジカバー部材60の上面と、蓋体40の内壁面46との間の長さAより長い。したがって、衝撃力により、取付け部材がコンソールボックス本体11から離脱しようとしても、蓋体40が閉じられた状態では、ヒンジカバー部材60は離脱することができない。よって、確実にリヤカバー50の舌片54の貫通孔55に、ヒンジカバー部材60のピン状の突起63が挿し込まれた状態を維持することができ、コンソールボックス本体11からのリヤカバー50の離脱を防止することができる。
【0052】
また、取付け部材であるヒンジカバー部材60の突起63の先端部は、リヤカバー50の舌片54の貫通孔55を貫通し、さらにコンソールボックス本体11に形成された突起貫通孔71に挿し込まれている。したがって、リヤカバー50が離脱しようとしても、ヒンジカバー部材60の突起63の下方先端部の周壁がコンソールボックス本体11の突起貫通孔71の内周面に当接され規制されることから、ピン状の突起63が撓んでリヤカバー50の舌片54の貫通孔55から外れることはない。よって、確実にリヤカバー50の舌片54の貫通孔55に、ヒンジカバー部材60のピン状の突起63が挿し込まれた状態を維持することができ、コンソールボックス本体11からのリヤカバー50の離脱を防止することができる。
【0053】
また、取付け部材であるヒンジカバー部材60は、コンソールボックス本体11のヒンジ取付け部13を覆うヒンジカバー部材60であることから、特別にリヤカバー50の離脱を防止するための部品を追加する必要がない。
【0054】
また、本願構造では、リヤカバー50及び取付け部材であるヒンジカバー部材60のコンソールボックス本体11への組付けを係合により取付け固定しているため、ネジを使用する必要がなく部品点数の削減および組付け工数を削減できる。
【0055】
尚、本実施形態では、取付け部材をヒンジ取付け部13を覆うヒンジカバー部材60としたが、例えばボックス容器部20の開口部26の車両前後方向Y後方側の縁部を車両後方側に延ばしてフランジ部を形成し、フランジ部の車両上下方向Z下面側にピン状の突起を形成し、ピン状の突起をリヤカバー50の舌片54の貫通孔55に挿し込ませてもよい。その場合は、ボックス容器部20は、リヤカバー50を取付けた後に、ボックス容器部20をコンソールボックス本体の車両上下方向Z上方側から係合により取付け固定ることとなる。
【0056】
また、本実施形態では、リヤカバー50に形成される舌片54をリヤカバー50の上縁部53から一体に形成したが、例えばリヤベンチレータ56等のリヤカバー50に一体的に組付けられた部品から、コンソールボックス本体11へ向かって延びて係止部となる舌片を形成し、舌片に貫通孔を形成してもよい。
【0057】
また、取付け部材であるヒンジカバー部材60は蓋体40で全体が覆われている必要はなく、蓋体40が閉じた状態でコンソールボックス10の後部に衝撃荷重が加わってもヒンジカバー部材60が離脱しない程度に覆われていればよく、好ましくは、ピン状の突起63が形成されている位置の表面側が覆われていればよい。
【符号の説明】
【0058】
11・・・コンソールボックス本体
12・・・開口部
41・・・ヒンジ
40・・・蓋体
46・・・内壁面
50・・・リヤカバー
54・・・舌片(係止部)
55・・・貫通孔
60・・・ヒンジカバー部材(取付け部材)
63・・・突起
71・・・突起貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に設けられたコンソールボックス本体と、
前記コンソールボックス本体の後端部に係合により取付け固定されるリヤカバーと、
前記リヤカバーが前記コンソールボックス本体に取付けられる方向に対して交差する方向に前記コンソールボックス本体に係合して取付けられる取付け部材とを有するコンソールボックスにおいて、
前記リヤカバーは、前記コンソールボックス本体へ向かって延び、貫通孔を有する係止部を備え、
前記取付け部材は、前記係止部の貫通孔に挿し込まれる突起を備えることを特徴とするコンソールボックス。
【請求項2】
請求項1に記載のコンソールボックスであって、
前記コンソールボックス本体の上面に形成された開口部に対しヒンジを介して開閉自在に取付けられた蓋体を備え、
前記取付け部材は、前記蓋体が閉じられた状態において前記蓋体に覆われていることを特徴とするコンソールボックス。
【請求項3】
請求項2に記載のコンソールボックスであって、
前記取付け部材の表面からの前記突起の突出量は、前記取付け部材の上面から前記リヤカバーの係止部の貫通孔部表面までの長さより長く、かつ前記蓋体を閉じた状態において、前記取付け部材の上面と、前記蓋体の内壁面との間の長さより長いことを特徴とするコンソールボックス。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のコンソールボックスであって
前記取付け部材の突起は、前記リヤカバーの係止部の貫通孔を貫通し、さらに前記コンソールボックス本体に形成された突起貫通孔に挿し込まれていることを特徴とするコンソールボックス。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載のコンソールボックスであって
前記取付け部材は、前記コンソールボックス本体のヒンジ取付け部を覆うヒンジカバー部材であることを特徴とするコンソールボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−197020(P2012−197020A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62143(P2011−62143)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】