説明

コンソールボックス

【課題】補強壁を設けなくても、車幅方向および高さ方向の剛性に優れるコンソールボックスを提供すること。
【解決手段】コンソールボックスのコンソールリッド5を蛇腹状にし、コンソールリッド5を取り付けるためのリッド用レール3を車両進行方向および高さ方向に延在するようにした。コンソールリッド5によりコンソールボックスを車幅方向に補強でき、リッド用レール3によりコンソールボックスを車両進行方向および高さ方向に補強できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の室内に設置されるコンソールボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な自動車用のコンソールボックスとして、一対のサイドパネルと、一対のサイドパネル間に配置されている箱状の収納部と、この収納部を開閉可能に覆うコンソールリッドと、サイドパネルに取り付けられコンソールリッドのさらに上側に配置されているアームレストと、を持つものが知られている。車両軽量化のため、一般に、サイドパネルは樹脂製である。
【0003】
コンソールボックスは、一般に、車体フロアにボルトなどで固定される。コンソールボックスにアームレストを設ける場合には、アームレストの位置をシートに着席した乗員の肘の高さ程度とする必要がある。したがってアームレストを持つコンソールボックスは、車体フロアからの高さが高い大型のものとなり、また車幅方向(すなわち一対のサイドパネルの離間している方向)の寸法は比較的小さい。さらに、アームレストには乗員による荷重が加わるため、コンソールボックスにアームレストを設ける場合には、コンソールボックスの剛性(特に、車幅方向の剛性および高さ方向の剛性)を高める必要がある。
【0004】
一対のサイドパネルの間に補強壁を架け渡せば、コンソールボックスを車幅方向に補強できると考えられる。また、補強壁をサイドパネルと同程度の高さにすれば、コンソールボックスを高さ方向にも補強できると考えられる。
【0005】
しかし、コンソールボックスの形状や用途によっては、コンソールボックスにこのような補強壁を設けられない場合がある。例えば、コンソールリッド、アームレスト、および一対のサイドパネルにより区画されコンソールリッドを底壁とする箱状の部分を第2の収納部として利用する場合には、コンソールリッドとアームレストとが高さ方向に大きく離間する。この場合には、補強壁によりコンソールリッドの開閉操作が阻害される可能性があるため、少なくともコンソールリッドの上側かつコンソールリッドの開閉操作端側においては、一対のサイドパネル間が解放されている必要があり、補強壁を架け渡すことはできない。
【0006】
また、例えば、コンソールボックス内に空調用ダクトなどの他部材を配設する場合には、コンソールボックスにおける車両進行方向の一端部を、コンソールボックスの内部(一対のサイドパネルの間隙)に他部材を入れるための差し込み口として利用する場合がある。この場合には、この一端部において、一対のサイドパネルの間に補強壁を架け渡すことはできない。
【0007】
サイドパネルを厚肉にすれば、コンソールボックスの車幅方向及び高さ方向の剛性が向上すると考えられるが、この場合にはコンソールボックスの車幅方向の寸法が大きくなる。コンソールボックスの寸法は車室寸法及びシート寸法の制約を受けるため、そのような設計が成立しない場合が生じる。また車幅方向の寸法を大きくしない場合には、内部の収納部が小型になってしまう。
【0008】
さらに近年では、トートバッグのような大型の荷物を収納できるように、コンソールボックスをさらに大型化する要求がある。このため、コンソールボックスにはさらに高い剛性が要求されている。また、この場合には収納部の大型化に伴ってコンソールリッドが大型化する。一般的なコンソールリッドは、スライドまたは回動により収納部を開閉するが、大型のコンソールリッドは、スライドや回動に広いスペースを必要とし、車室という狭い空間では開閉操作し難い場合がある。蛇腹状のコンソールリッド(例えば、特許文献1参照)は、大型であっても開閉に要するスペースが小さいため、大型のコンソールボックス用のコンソールリッドとして適していると考えられる。
【0009】
またこのような蛇腹状のリッドを用いる場合には、コンソールボックスを車幅方向に補強することができると考えられる。しかしこの場合にも、コンソールボックスの高さ方向の剛性は不足する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−255323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、補強壁を設けなくても、車幅方向および高さ方向の剛性に優れるコンソールボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する本発明のコンソールボックスは、車両室内に配設されるコンソールボックスであって、
樹脂製であり、車幅方向に離間する一対のサイドパネルと、
各々の該サイドパネルとそれぞれ一体化されている一対のリッド用レールと、
箱状をなし、該サイドパネル同士の間隙に配置されている収納部と、
各々の該リッド用レールに車幅方向の一端部と他端部とがそれぞれスライド可能に取り付けられ、該リッド用レールに沿って屈曲可能な蛇腹状をなし、該収納部を開閉可能に覆うコンソールリッドと、
該サイドパネルに取り付けられ、該コンソールリッドの上側に離間して配置されているアームレストと、を持ち、
該リッド用レールは、
該収納部よりも上側に配置され、車両進行方向に延在する上レール部と、
該収納部よりも車両進行方向後側または前側に配置され、該上レール部に連続し、高さ方向に延在する側レール部と、を持つことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコンソールボックスは、蛇腹状のコンソールリッドによって車幅方向に補強されるとともに、リッド用レールによって高さ方向および車両進行方向に補強される。このため、本発明のコンソールボックスは、補強壁を設けなくても、車幅方向、高さ方向および車両進行方向の剛性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1のコンソールボックスを模式的に表す斜視図である。
【図2】実施例1のコンソールボックスを模式的に表す分解斜視図である。
【図3】実施例1のコンソールボックスを前後方向に切断した様子を模式的に表す断面図である。
【図4】実施例1のコンソールボックスを前後方向に切断した様子を模式的に表す断面図である。
【図5】実施例2のコンソールボックスを前後方向に切断した様子を模式的に表す断面図である。
【図6】実施例2のコンソールボックスを前後方向に切断した様子を模式的に表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のコンソールボックスにおいて、少なくともサイドパネルは樹脂製である。リッド用レールなどのサイドパネル以外の部分は、金属など樹脂以外の材料で構成しても良い。サイドパネルは、コンソールボックスの多くの部分を占める部材であるため、サイドパネルを樹脂製にすれば、コンソールボックスを軽量化できる。なお、軽量化のためには、コンソールボックスにおけるサイドパネル以外の部分も樹脂製にすることが好ましい。
【0016】
一対のサイドパネルは、それぞれ一のみの部材で構成しても良いし、2以上の部材で構成しても良い。例えば、各サイドパネルは、コンソールボックスの内側(収納部側)に配置されるインナパネル部と、インナパネル部の外側に配置されるアウタパネル部と、で構成しても良い。アウタパネル部はコンソールボックスの最外面を構成する部材である。このため、意匠性を考慮して、アウタパネル部の材料として比較的剛性に劣る材料が選択される場合がある。この場合、インナパネル部の材料としてアウタパネル部よりも剛性に優れる材料を選択するのが好ましい。また、この場合、リッド用レールはインナパネル部に一体化するのが好ましい。上述したように、リッド用レールはコンソールボックスを補強する部材であるため、剛性に優れるインナパネル部に一体化することで、更なる剛性の向上を実現し得るためである。インナパネル部とアウタパネル部とは、接着、溶着、熱カシメ、ボルト止め等の一般的な方法で一体化すれば良い。
【0017】
リッド用レールの材料は、サイドパネルと同じ材料であっても良いし異なる材料であっても良い。リッド用レールはサイドパネルと一体に成形しても良いし、サイドパネルと別体で成形した後に上述したような一般的な方法で一体化しても良い。
【0018】
アームレストは、サイドパネルに取り付けられていれば良く、サイドパネルに直接取り付けられていても良いし、何らかの他部材を介してサイドパネルに間接的に取り付けられていても良い。また、アームレストは、サイドパネルに対してスライド可能または回動可能であっても良いし、動作しないように固定されていても良い。アームレストをスライド可能にする場合、本発明のコンソールボックスに、アームレストを案内するためのアームレスト用レールを設けても良い。この場合、アームレスト用レールの材料は、サイドパネルと同じ材料であっても良いし異なる材料であっても良い。また、アームレスト用レールはサイドパネルと一体に成形しても良いし、サイドパネルと別体で成形した後に上述したような一般的な方法で一体化しても良い。
【0019】
本発明のコンソールボックスは、例えば空調用ダクト、引き出し、ドリンクホルダ等の他部材を備えても良い。
【実施例】
【0020】
以下、具体例を挙げて、本発明のコンソールボックスを説明する。
【0021】
(実施例1)
実施例1のコンソールボックスを模式的に表す斜視図を図1に示す。実施例1のコンソールボックスを模式的に表す分解斜視図を図2に示す。実施例1のコンソールボックスを前後方向に切断した様子を模式的に表す断面図を図3、4に示す。なお、図3はコンソールリッドが開位置に配置されている様子を表し、図4はコンソールリッドが閉位置に配置されている様子を表す。以下、本明細書において、上、下、左、右、前、後とは、図1、2に示す上、下、左、右、前、後を指す。上下方向は高さ方向であり、左右方向は車幅方向であり、前後方向は車両進行方向である。なお、本明細書において「高さ方向」とは、鉛直方向のみならず、鉛直方向との交差角が±30度以内となる方向を含む概念である。また、「車両進行方向」とは、車両の前後方向に一致する水平方向のみならず、この水平方向との交差角が±30度以内となる方向を含む概念である。さらに、「車幅方向」とは、車両の幅方向に一致する水平方向のみならず、この水平方向との交差角が±30度以内となる方向を含む概念である。
【0022】
図1、2に示すように、実施例1のコンソールボックスは、収納部1、一対のサイドパネル2、一対のリッド用レール3、一対のアームレスト用レール4、コンソールリッド5、アームレスト6、空調用ダクト7、および化粧板部8を備える。
【0023】
収納部1は、ポリプロピレン(PP)製であり、上方に開口する箱状をなす。
【0024】
一対のサイドパネル2は、収納部1の左側に配置されている左サイドパネル2aと、収納部1の右側に配置されている右サイドパネル2bと、で構成されている。左サイドパネル2aは、収容部1側に配置されている左インナパネル部20aと、左インナパネル部20aの左側に配置されている左アウタパネル部21aと、で構成されている。右サイドパネル2bは、収容部1側に配置されている右インナパネル部20bと、右インナパネル部20bの右側に配置されている右アウタパネル部21bと、で構成されている。
【0025】
左インナパネル部20aおよび右インナパネル部20bは、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂(ABS)製である。
【0026】
左アウタパネル部21aおよび右アウタパネル部21bは、PP等の樹脂製である。左アウタパネル部21aおよび右アウタパネル部21bは、収納部1と一体に成形されている。
【0027】
左インナパネル部20aと左アウタパネル部21aとは別体で成形され、図略のボルトおよびナットによって固着・一体化されている。また、右インナパネル部20bと右アウタパネル部21bともまた別体で成形され、図略のボルトおよびナットによって固着・一体化されている。インナパネル部20の材料であるABSは、アウタパネル部21の主材料であるPPよりも剛性に優れる。このため、インナパネル部20はアウタパネル部21よりも剛性に優れる。換言すると、インナパネル部20はアウタパネル部21を補強している。
【0028】
なお、左インナパネル部20aおよび右インナパネル部20bの後端部は、後述するリッド用レール3(第1左レール3aおよび第1右レール3b)よりも下側において、連結壁部29によって一体化されている。連結壁部29は左インナパネル部20aおよび右インナパネル部20bと一体に成形されている。
【0029】
一対のリッド用レール3は、ABS製であり、左インナパネル部20aと一体に成形されている図略の第1左レール3aと、右インナパネル部20bと一体に成形されている第1右レール3bと、で構成されている。第1左レール3aおよび第1右レール3bは、略左右対称である。
【0030】
第1左レール3aおよび第1右レール3bは、それぞれ、上レール部30、側レール部31および下レール部32が略コ字に連結されたレール状をなす。上レール部30は、収納部1よりも上側に配置され、前後方向に延在している。上レール部30は収納部1の前後方向(すなわち車両進行方向)の全体にわたって延在している。側レール部31は、収納部1よりも後側に配置され、上レール部30に連続し、上下方向(すなわち高さ方向)に延在している。側レール部31は収納部1の高さ方向の全体にわたって延在している。下レール部32は、収納部1よりも下側に配置され、側レール部31に連続し、車両進行方向に延在している。下レール部32は、収納部1の車両進行方向の一部に延在している。
【0031】
一対のアームレスト用レール4は、ABS製であり、左インナパネル部20aと一体に成形されている図略の第2左レール4aと、右インナパネル部20bと一体に成形されている第2右レール4bと、で構成されている。第2左レール4aと第2右レール4bとは略左右対称である。
【0032】
第2左レール4aおよび第2右レール4bは、それぞれ、略直線的なレール状をなす。第2左レール4aは第1左レール3aよりも上側に配置されている。第2右レール4bは第1右レール3bよりも上側に配置されている。
【0033】
コンソールリッド5は、短冊状をなす複数のリッド分体50が配列した蛇腹状をなす。隣接するリッド分体50同士は、配列方向における相対距離が伸縮可能であるように連結されている。コンソールリッド5の左端部は第1左レール3aに取り付けられ、コンソールリッド5の右端部は第1右レール3bに取り付けられている。このためコンソールリッド5は、リッド用レール3に案内され、リッド用レール3に沿ってスライドする。なお、図3、図4に示すように、各リッド用レール3における上レール部30と側レール部31との境界部分35、および、側レール部31と下レール部32との境界部分36は屈曲している。しかしコンソールリッド5は蛇腹状をなすため、この境界部分35、36に対応した形状に変形(屈曲)しつつ、リッド用レール3に案内される。そして、コンソールリッド5は、収納部1を開く開位置(図3)と、収納部1を閉じる閉位置(図4)と、の間をスライドすることで、収納部1を開閉可能に覆う。コンソールリッド5の前端部には、凹状の引手部51が設けられている。引手部51は、乗員がコンソールリッド5を開閉操作する際の操作端となる。
【0034】
アームレスト6は樹脂製であり、第2左レール4aに取りつけられる左取付部60と、第2右レール4bに取り付けられる図略の右取付部61と、を持つ。このためアームレスト6は、アームレスト用レール4を介してインナパネル部20に取り付けられている。また、アームレスト6は、アームレスト用レール4に案内されて、前後方向にスライドする。したがって運転席に着座した乗員は、肘の位置に合わせてアームレスト6をスライドさせることができる。図2〜図4に示すように、リッド用レール3とアームレスト用レール4とは上下方向に離間している。このため、コンソールリッド5とアームレスト6ともまた上下方向に離間している。
【0035】
図2に示すように、空調用ダクト7は、下ダクト部70と、下ダクト部70に連続する後ダクト部71とを持つ略L字の筒状をなす。下ダクト部70は、収納部1およびリッド用レール3の下側に配置され、図略の車両用空調装置に接続される。後ダクト部71は高さ方向に延在し、収納部1およびリッド用レール3の後側に配置される。後ダクト部71の上端部は、車室内に向けた空調空気の吹き出し口となる。
【0036】
化粧板部8は、アウタパネル部21と同じPP等の樹脂製であり、開口部80を持つ板状をなし、インナパネル部20およびアウタパネル部の後端部に取り付けられている。化粧板部8の開口部80には複数のフィン81が設けられている。この開口部80は、空調用ダクト7から吹き出す空調空気の風向きを調整するためのレジスタとして機能する。化粧板部8は、コンソールボックスの後側を覆うことで、コンソールボックスの内部を隠している。化粧板部8は複数の係合爪82を持つ。この係合爪82がインナパネル部20とアウタパネル部21との隙間に挟み込まれることで、化粧板部8がサイドパネル2に取り付けられる。なお、実施例1のコンソールボックスにおける化粧板部8は、単にコンソールボックスの内部を隠すための部材であり、コンソールボックスの高さ方向の剛性および車幅方向の剛性には殆ど寄与していない。
【0037】
コンソールリッド5が図3に示す開位置に配置されると、収納部1が開く。このため、このとき収納部1に荷物90を入れることができる。コンソールリッド5が図4に示す閉位置に配置されると、収納部1が閉じる。このとき、アームレスト6と、サイドパネル2(詳しくはインナパネル部20)と、コンソールリッド5とによって、第2の収納部10が区画形成される。この第2の収納部10は、収納部1よりも上側に位置し、コンソールリッド5を底壁とする。また、第2の収納部10の前側は、補強壁等により閉鎖されておらず、解放されている。したがって、乗員はこのとき第2の収納部10に、携帯電話や本等の比較的小型の荷物91を収納できる。また、このとき第2の収納部10の前側は解放されているため、コンソールリッド5の開操作は容易である。なお、図示しないが、コンソールリッド5が開位置と閉位置との間に位置するときにも、同様の第2の収納部10が形成される。このときの第2の収納部10の容積は、図4に示す第2の収納部10の容積よりも小さいが、このような第2の収納部10にも荷物91を収納できる。
【0038】
実施例1のコンソールボックスにおいて、リッド用レール3の側レール部31は、収納部1の高さ方向の全体にわたって延在している。このため、収納部1が深型である場合にも、側レール部31によってコンソールボックスを高さ方向に充分に補強できる。よって実施例1のコンソールボックスは、深型の収納部1を持ち、トートバッグ等の大型の荷物90を収納できるにもかかわらず、高さ方向の剛性に優れる。また、実施例1のコンソールボックスにおいて、リッド用レール3の上レール部30は、収納部1の車両進行方向の全体にわたって延在している。このため、収納部1が車両進行方向に長い場合にも、上レール部30によってコンソールボックスを車両進行方向に充分に補強できる。このため実施例1のコンソールボックスは、車両進行方向に長い収納部1を持ち、大型の荷物90を収納できるにもかかわらず、車両進行方向の剛性に優れる。
【0039】
コンソールリッド5は、一対のリッド用レール3の間に配置されている。このため、コンソールリッド5は、一対のサイドパネル2間に架け渡され、コンソールボックスを車幅方向に補強できる。
【0040】
また、開位置において、コンソールリッド5は主として側レール部31に配置される。このため、このときコンソールリッド5は側レール部31を補強する。したがって、コンソールリッド5が開位置に配置されているときには、コンソールリッド5によっても、コンソールボックスの高さ方向の剛性が高められる。なお、実施例1のコンソールボックスにおけるコンソールリッド5は、開位置において、上レール部30の一部と、側レール部31全体と、下レール部32の一部とに配置される。このため、このときコンソールリッド5は略コ字状をなし、側レール部31をより強く補強できる。このことによっても、実施例1のコンソールボックスは高さ方向の剛性に優れる。
【0041】
また、閉位置において、コンソールリッド5は上レール部30に配置される。このため、このときコンソールリッド5は上レール部30を補強する。したがって、コンソールリッド5が閉位置に配置されているときには、コンソールリッド5によっても、コンソールボックスの車両進行方向の剛性が高められる。
【0042】
さらに、実施例1のコンソールボックスは一対のアームレスト用レール4によっても、車両進行方向に補強される。
【0043】
また、実施例1のコンソールボックスは、アウタパネル部21と収納部1とを一体に成形したことで、安価に提供できるとともに、収納部1によってもコンソールボックスを車幅方向、車両進行方向および高さ方向に補強できる。なお、本発明のコンソールボックスにおいて、サイドパネル2a、2bと収納部1とは必ずしも一体に成形しなくても良い。さらに、サイドパネル2a、2bと収納部1とは、一体化しなくても良い。この場合にも、本発明のコンソールボックスは、収納部1によって少なくとも車幅方向に補強される。
【0044】
実施例1のコンソールボックスにおけるコンソールリッド5は、前側から後側に向けてスライドし開閉する。このため、実施例1のコンソールボックスにおいて、側レール部31は収納部1よりも後側に配置されている。しかし、本発明のコンソールボックスにおいては、側レール部31は必ずしも収納部1よりも後側に配置しなくても良い。例えば、コンソールリッド5を後側から前側に向けてスライドさせる場合には、側レール部31を収納部1よりも前側に配置すれば良い。
【0045】
実施例1のコンソールボックスにおいては、一対のインナパネル部20(左インナパネル部20aおよび右インナパネル部20b)が連結壁部29で一体化されている。しかし、本発明のコンソールボックスは、連結壁部29を持たなくても良い。本発明のコンソールボックスはリッド用レール3により補強されているため、連結壁部29がなくても高さ方向の剛性および車両進行方向の剛性に優れる。また、本発明のコンソールボックスは、コンソールリッド5により補強されているため、連結壁部29がなくても車幅方向の剛性に優れる。
【0046】
(実施例2)
実施例2のコンソールボックスは、サイドパネルがアウタパネル部のみで構成されインナパネル部を持たないこと、リッド用レールがサイドパネルと別体で成形されていること、アームレストが回動可能であること、空調用ダクトを持たないこと、リッド用レールの形状、および、コンソールリッドの形状以外は、実施例1のコンソールボックスとほぼ同じものである。実施例2のコンソールボックスを前後方向に切断した様子を模式的に表す断面図を図5、6に示す。なお、図5はコンソールリッドが開位置に配置されている様子を表し、図6はコンソールリッドが閉位置に配置されている様子を表す。
【0047】
実施例2のコンソールボックスにおける一対のサイドパネル2は、左アウタパネル部21a(図略)および右アウタパネル部21bのみで構成されている。左アウタパネル部21aおよび右アウタパネル部21bはPP等の樹脂製である。図略の左アウタパネル部21aには図略の第2左レール4aが一体に成形され、右アウタパネル部21bには第2右レール4bが一体に成形されている。アームレスト6は、図略の第2左レール4aおよび第2右レール4bに取り付けられている。アームレスト6は、一対のアームレスト用レール4を後端部にまでスライドしたときに、回動軸61を中心として回動可能である(図6)。図6に示すように、アームレスト6が回動すると、第2の収納部10が上方に開口するため、第2の収納部10に比較的大型の荷物91を収納できる。
【0048】
一対のリッド用レール3はステンレススチール製である。左リッド用レール3a(図略)は左アウタパネル部21aに接着され、右リッド用レール3bは右アウタパネル部21bに接着されている。各リッド用レール3は、上レール部30と、側レール部31と、下レール部32と、を持つ略コ字状をなす。下レール部32は、収納部1の車両進行方向の全体にわたって延在している。
【0049】
コンソールリッド5は、実施例1のコンソールリッド5と同様に、複数のリッド分体50が配列した蛇腹状をなす。実施例2のコンソールリッド5の長さ(リッド分体50の配列方向における長さ)は、実施例1のコンソールリッド5に比べて長い。このためコンソールリッド5は、図5に示す開位置において、上レール部30の一部、側レール部31の全体、および、下レール部32の全体に配置される。また、図6に示す閉位置においては、上レール部30の全体、側レール部31の全体、および、下レール部32の一部に配置される。
【0050】
このため、実施例2のコンソールボックスにおけるコンソールリッド5は、リッド用レール3によって車両進行方向および高さ方向に補強されるだけでなく、コンソールリッド5によっても常に車幅方向および高さ方向に補強される。したがって、実施例2のコンソールボックスは、実施例1のコンソールボックスに比べてサイドパネル2の剛性に劣るにもかかわらず、車幅方向、高さ方向および車両進行方向の剛性に優れる。
【符号の説明】
【0051】
1:収納部 2:サイドパネル 3:リッド用レール
5:コンソールリッド 6:アームレスト
20:インナパネル部 21:アウタパネル部
30:上レール部 31:側レール部 32:下レール部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両室内に配設されるコンソールボックスであって、
樹脂製であり、車幅方向に離間する一対のサイドパネルと、
各々の該サイドパネルとそれぞれ一体化されている一対のリッド用レールと、
箱状をなし、該サイドパネル同士の間隙に配置されている収納部と、
各々の該リッド用レールに車幅方向の一端部と他端部とがそれぞれスライド可能に取り付けられ、該リッド用レールに沿って屈曲可能な蛇腹状をなし、該収納部を開閉可能に覆うコンソールリッドと、
該サイドパネルに取り付けられ、該コンソールリッドの上側に離間して配置されているアームレストと、を持ち、
該リッド用レールは、
該収納部よりも上側に配置され、車両進行方向に延在する上レール部と、
該収納部よりも車両進行方向後側または前側に配置され、該上レール部に連続し、高さ方向に延在する側レール部と、を持つことを特徴とするコンソールボックス。
【請求項2】
前記側レール部は、前記収納部の高さ方向の全体にわたって延在している請求項1に記載のコンソールボックス。
【請求項3】
前記リッド用レールは、
前記収納部よりも下側に配置され、前記側レール部に連続し、車両進行方向に延在する下レール部を持つ略コ字状をなす請求項1または請求項2に記載のコンソールボックス。
【請求項4】
各々の前記サイドパネルは、
前記リッド用レールに一体化されているインナパネル部と、
該インナパネル部よりも車幅方向の外側に配置され、該インナパネル部に固着されているアウタパネル部と、を持つ請求項1〜請求項3の何れか一つに記載のコンソールボックス。
【請求項5】
前記インナパネル部は、前記アウタパネル部よりも剛性に優れる樹脂材料で構成されている請求項1〜請求項4の何れか一つに記載のコンソールボックス。
【請求項6】
前記インナパネル部は、前記リッド用レールと一体に成形されている請求項1〜請求項5の何れか一つに記載のコンソールボックス。
【請求項7】
前記アウタパネル部は、前記収納部と一体に成形されている請求項1〜請求項6の何れか一つに記載のコンソールボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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