説明

コンタクトレンズケア用組成物

【課題】短時間で有害な微生物を殺菌できると同時に、なおかつ眼組織に有害な作用を及ぼさない、コンタクトレンズケア用組成物を提供する。
【解決手段】高分子抗菌剤及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含有するコンタクトレンズケア用組成物であって、該ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの総分子中のエチレンオキシドが10〜60%、かつ、疎水基分子量が1500以上であるコンタクトレンズケア用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンタクトレンズケア用組成物に関する。さらに詳しくは、コンタクトレンズの保存液として短時間で十分な抗菌効果を有すると同時に、眼組織に対して十分な安全性を有するコンタクトレンズ用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コンタクトレンズは、ハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズに大別される。このうち、ソフトコンタクトレンズは非含水タイプと含水ゲルタイプに分類される。 コンタクトレンズはハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズにかかわらず、目に装着した場合、涙液由来の成分などによる汚れや、手指や眼組織由来の真菌・細菌などの雑菌がレンズに付着する。それゆえ、レンズ装用後、これらの汚れを除去する他、レンズに付着した雑菌を除去、消毒し、再び衛生的に装用できるようにする必要がある。
【0003】
コンタクトレンズの装用が要因の一つである感染症として、潰瘍性角膜炎が挙げられ、場合によっては失明に至ることもある。このような危険な感染症を防ぐ意味からもコンタクトレンズの衛生的な装用、とりわけ、装用後の消毒処理は重要である。特に、含水ソフトコンタクトレンズは消毒が義務づけられている。
【0004】
従来より、コンタクトレンズの消毒保存液として、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、塩化ポリドロニウム(ポリクォータニウム1)等の高分子抗菌剤(例えば特許文献1)が使用されてきている。高分子抗菌剤は、微生物に対する幅広い抗菌活性が知られているが、カンジダ菌など真菌に対する効果が必ずしも十分でなく、コンタクトレンズの消毒保存液として十分な殺菌効果を得るためには高分子抗菌剤を多量に含有させるか、あるいは液剤にコンタクトレンズを長い時間浸漬させなくてはならないとう問題点があった。したがって、十分な殺菌効果を短時間で得られる、より効果的なコンタクトレンズケア用組成物が望まれている。
【特許文献1】特開昭61−85301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、コンタクトレンズを消毒するための高分子抗菌剤の有効性を高め、少量で短時間で有害な微生物を殺菌できると同時に、安全なコンタクトレンズケア組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、総分子中のエチレンオキシドが10〜60%、かつ、疎水基分子量が1500以上のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールと高分子抗菌剤とを併用すると、意外なことに抗菌効果が顕著に高められ、その結果、高分子抗菌剤の含有濃度を抑えることができると同時に、消毒時間を短縮することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明の目的は以下のコンタクトレンズケア用組成物により達成される。
【0008】
(1)高分子抗菌剤及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含有するコンタクトレンズケア用組成物であって、前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの総分子中のエチレンオキシドが10〜60%、かつ、疎水基分子量が1500以上であるコンタクトレンズケア用組成物。
【0009】
(2)前記高分子抗菌剤が第4級アンモニウム化合物及びその塩、ビグアニド化合物及びその塩、グリシン型界面活性剤、ポリリジン並びにポリアルギニンよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上である上記(1)に記載のコンタクトレンズケア用組成物。
【0010】
(3)前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオキシドグリコールの濃度が1〜0.0001%である上記(1)もしくは(2)に記載のコンタクトレンズケア用組成物。
【0011】
(4)前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの濃度が0.01〜0.5%である上記(1)もしくは(2)に記載のコンタクトレンズケア用組成物。
【0012】
(5)前記高分子抗菌剤がポリヘキサメチレンビグアニドである上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のコンタクトレンズケア用組成物。
【0013】
(6)前記高分子抗菌剤が塩化ポリドロニウムである上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のコンタクトレンズケア用組成物。
【0014】
(7)前記高分子抗菌剤の濃度が0.1%〜0.1ppmである上記(1)乃至(6)のいずれかに記載のコンタクトレンズケア用組成物。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるコンタクトレンズ用組成物は、短時間で有害な微生物を殺菌できると同時に、なおかつ眼組織に有害な作用を及ぼさない、コンタクトレンズケア用組成物の安全性・有効性を改良せしめる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明のコンタクトレンズケア用組成物は、高分子抗菌剤及び総分子中のエチレンオキシドが10〜60%、かつ、疎水基分子量が1500以上のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含有することを特徴とする。
【0018】
本発明のコンタクトレンズケア用組成物に含有される高分子抗菌剤としては、コンタクトレンズの抗菌剤として既知の高分子抗菌剤を使用することができる。具体的には、高分子抗菌剤は、モノマー型高分子化合物でも、ポリマー型高分子化合物でもよく、その平均分子量(重量平均分子量(以下、同じ))が約600以上であるものがコンタクトレンズ素材中への取り込みを防止する目的等の観点から好ましく使用される。好ましくは平均分子量が約1500以上、さらに好ましくは約1500以上10万以下である。本発明の組成物においては、高分子抗菌剤を単独で使用することも2種類以上を併用することもできる。
【0019】
高分子抗菌剤は、より具体的には、塩化ポリドロニウム(ポリクォータニウム1)、ポリオキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン−(ジメチルイミニオ)エチレンジクロリド、ポリ(ヒドロキシプロピルジアルキルアンモニウムクロリド)、ポリエチレンポリアミン・ジメチルアミンエピクロルヒドリン重縮合物等の第4級アンモニウム化合物又はその塩、ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩、アレキシジン等のビグアニド化合物又はその塩、アルキルポリアミノエチルグリシン等のグリシン型界面活性剤、ポリリジン、ポリアルギニン、プロタミン等の第4級アンモニウム化合物以外のカチオンポリマー型高分子化合物等が挙げられる。これらの高分子抗菌剤は、いずれも抗菌剤として商業的に入手可能なものである。例えば、ポリヘキサメチレンビグアニドとしては、コスモシルCQ(アーチ・ケミカルズ・ジャパン製)、アルキルポリアミノエチルグリシンとしては、テゴー 51((株)アズウェル)、ポリリジンとしてはε−ポリリジン(チッソ(株))等を用いることができるが、これらの市販品に限定されるものではなく、これらと同様の効果が得られるものであれば使用することができる。
【0020】
本発明の組成物では、上記高分子抗菌剤のうち、眼組織に対する毒性、コンタクトレンズ素材に対する吸着等を考慮するとポリヘキサメチレンビグアニド、塩化ポリドロニウム及びポリリジン等を好ましく使用することができる。
【0021】
高分子抗菌剤の含有量は、使用する高分子殺菌剤の種類や量、殺菌すべき細菌の種類や量、予定される適用時間、殺菌効果と毒性とのバランス等により決定することができるが、0.1ppm〜1%(重量%(以下、別段の断わりがない限り割合は重量に基く))であることが好ましく、0.1ppm〜0.1%がさらに好ましく、0.5ppm〜0.01%であることがとりわけ好ましい。添加量の上限を上記の範囲内にすると特に毒性の観点、あるいは、経済的な観点から好ましい。一方、添加量の下限は、所定の抗菌効果を得るために上記範囲が好ましい。
【0022】
本発明の組成物において用いるポリオキエチレンポリオキシプロピレングリコールは、総分子中のエチレンオキシドが10〜60%、かつ、疎水基分子量が1500以上のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールである(以下、「EO/POグリコール」ともいう。)。EO/POグリコールにおけるエチレンオキシドの割合は、EO/POグリコール分子全体の平均分子量に対する、エチレンオキシドの平均分子量の割合を指し、下式で定義する。
【0023】
エチレンオキシドの割合(%)=(エチレンオキシド部分の平均分子量)÷(EO/POグリコール分子全体の平均分子量)×100
【0024】
本発明で用いるEO/POグリコールは、そのエチレンオキシドの割合を10〜60%の範囲に設定することにより、併用する高分子抗菌剤の殺菌効果を顕著に高めることができる。エチレンオキシドの割合の下限は10%であるが、好ましくは20%、より好ましくは30%、さらに好ましくは40%である。また、エチレンオキシドの割合の上限は、60%であるが、好ましくは55%、より好ましくは50%である。
【0025】
また、本発明の組成物で用いるEO/POグリコールの疎水基分子量は、1500以上であり、より好ましくは1750以上、さらに好ましくは2000以上である。EO/POグリコールにおける疎水基分子量は、プロピレングリコール部分の分子量を指す。疎水基分子量の上限は、水に対する溶解度、洗浄力等の観点から4000程度のものまでが好適に使用できるが、これを超える、例えば6000程度のものでも差し支えない。
【0026】
本発明の組成物で用いるEO/POグリコール全体の平均分子量は、上記要件を満足すれば特に制限はないが、コンタクトレンズ素材への取り込みを防止する等の観点から2000以上のものから2万程度のものまで使用することができる。本発明の組成物においては、これらのポリマーを単独で使用することも2種類以上を併用することもできる。
【0027】
本発明の組成物において使用し得るEO/POグリコールには、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールはアデカプルロニックL−64、アデカプルロニックL−72、アデカプルロニックP−84、アデカプルロニックP−103、アデカプルロニックP−85(以上旭電化工業(株))、プロノン204、プロノン233、プロノン304(日本油脂(株))などが含まれる。これらはいずれも工業的に入手可能である。EO/POグリコールの含有量は、使用するEO/POグリコールの種類、本発明の組成物を適用するコンタクトレンズに付着する細菌の種類や量、予定される適用時間、殺菌効果と毒性とのバランス等により異なるが、本発明の効果と経済性等を考慮すると、0.0001%〜1%が好ましく、0.001%〜1%がさらに好ましく、0.01%〜0.5%がとりわけ好ましい。
【0028】
本発明の組成物は、日本コンタクトレンズ協会の定めたコンタクトレンズ用洗浄剤、保存剤、洗浄保存剤に関する安全自主基準第2条に定められた各種ケア用品、すなわち、コンタクトレンズ用洗浄剤、保存剤、洗浄保存剤、溶解水および医薬部外品であるソフトコンタクトレンズ用消毒剤等を指す。すなわち、上記自主基準に示されているとおり、本発明の組成物は、適切な媒体中に上記高分子抗菌剤とEO/POグリコールを溶解させ、溶液状態あるいは懸濁状態とすることもできる。また用時調整用の顆粒、粉末、タブレット等にあらかじめこれら化合物を含有させておいたものも、本発明に含まれることは上記自主基準に示されている通りである。
【0029】
また、本発明の組成物には、本発明を逸脱しない範囲で、様々な添加剤を使用することもできる。以下に使用可能な添加剤を記載するが、これらに限定されるものではない。
【0030】
すなわち、本発明の組成物には、キレート剤、緩衝剤等を配合することも可能である。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA−2Na)、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ヘキサメタリン酸ナトリウム等が例示でき、通常0.005%〜1%の範囲で使用する。緩衝剤としては、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、クエン酸、クエン酸ナトリウムまたはカリウム等が例示でき、通常0.01〜1%の範囲で使用する。
【0031】
また、同様に、本発明を逸脱しない範囲で、界面活性剤、酵素、増粘剤を単独もしくは併用で共存させることができる。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が単独または併用で使用でき、アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキロイルメチルタウリンナトリウム、アルキロイルベンザルコシンナトリウム等、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の他、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールをさらに含有させることも可能である。両性界面活性剤としては、N−ラウロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルグリシン、N−ココイルアミノプロピルN,N−ジメチルグリシン、アルキルジアミノエチルグリシン等を例示することができる。
【0032】
通常これらの界面活性剤は、0.01〜2%の範囲で使用されるが、非イオン性界面活性剤が眼組織への刺激が少ないことから好んで用いられる。酵素としては、蛋白分解酵素、脂質分解酵素、多糖類分解酵素が単独または併用で使用でき、蛋白分解酵素としては、植物由来のパパイン等、サブチリシン、ストレプトマイセス属等の微生物由来のプロテアーゼやペプチダーゼ、動物由来のトリプシン、パンクレアチン、ペプシン等、脂質分解酵素としては、ヘパリナーゼ、ヒアルノニナーゼ、アミラーゼ、デキストラナーゼ等が例示でき、通常0.005〜5%の範囲で使用する。増粘剤としては、ヒアルロン酸ナトリウム等のムコ多糖類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のメチルセルロース及びその誘導体、ポリエチレングリコール等が例示でき、通常、0.1〜5%の範囲で使用する。本発明では、その他の物質、例えば、香料、色素などとの併用を制限するものではなく、必要に応じてこれらの物質を共存させることも自由である。
【0033】
本発明のコンタクトレンズケア用組成物を液体状態にしたときのpHは、特に制限されるものではないが、眼に対する刺激性等を考慮すれば、好ましくは約5.0〜9.0、さらに好ましくは5.5〜8.5の範囲に調整することが望ましい。また、コンタクトレンズケア用剤と生理食塩液との浸透圧比(コンタクトレンズケア用剤の浸透圧/生理食塩液の浸透圧)を好ましくは0.5〜2.5、より好ましくは0.7〜1.5に調整することが望ましい。また、浸透圧は、140〜700mOsm程度であることが好ましく、より好ましくは200〜420mOsmである。
【0034】
本発明の組成物を液体状に製剤する場合、その製造方法は、上記高分子抗菌剤とEO/POグリコール、さらには必要な添加剤が媒体中に含有されるものであれば特に制限はなく、適切な媒体にこれらの成分を溶解する等の方法により製造することができる。一方、本発明の組成物を用時媒体と混合すべき固体形状に製剤する場合にも、既知の製剤化方法により上記高分子抗菌剤とEO/POグリコール、さらには担体その他必要な添加剤を用いて製剤することができる。
【0035】
本発明の組成物の使用方法は、本発明の組成物とコンタクトレンズとが接触し、本発明の効果を奏することができれば特に制限はなく、従来既知の方法を採用することが可能である。例えば、コンタクトレンズを媒体中の本発明の組成物に浸漬(通常、室温で)させることができる。本発明の組成物が含有する高分子抗菌剤は、EO/POグリコールと併用することにより、その抗菌作用が顕著に高められているので、EO/POグリコールを併用しない場合よりも浸漬時間を短くすることができる。浸漬時間は、使用する高分子抗菌剤及びEO/POの種類や量、適用するコンタクトレンズの種類やそれに付着する微生物の種類や量等により変化するが、30分〜4時間の短時間においても十分な抗菌作用を発揮することができる。また、本発明の組成物では、高分子抗菌剤の抗菌作用が顕著に高められているので、EO/POグリコールを併用しない場合よりも低濃度の高分子抗菌剤であっても十分な殺菌作用を奏することができる。したがって、本発明の組成物の毒性は、極めて低く抑えることができる。さらに、本発明の組成物に浸漬することにより殺菌処理したコンタクトレンズは、そのまま浸漬した状態で保存することができるし、また、コンタクトレンズの使用に際しては、すすぎ等の操作をすることなくそのまま着用することも可能である。
【0036】
本発明の組成物が適用可能なコンタクトレンズの種類に特に制限はなく、ハードコンタクトレンズ及びソフトコンタクトレンズを含むすべてのコンタクトレンズに適用することができる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0038】
(実施例1〜12)
各成分を表1に示した配合で精製水に溶解し、1N水酸化ナトリウム水溶液もしくは、1N塩酸でpHを7.2に調整し、各種組成物を作成した。調整した組成物でカンジダ・アルビカンス(カンジダ菌)に対する抗菌力試験とV79細胞を用いた細胞毒性試験を行った。
【0039】
(比較例1〜4)
各成分を表1に示した配合で精製水に溶解し、1N水酸化ナトリウム水溶液もしくは、1N塩酸でpHを7.2に調整し各種組成物を作成した。調整した組成物でカンジダ菌に対する抗菌力試験とV79細胞を用いた細胞毒性試験を行った。
【0040】
【表1】

【0041】
<抗菌力試験>
基本的な操作方法は、ISO14729に従った。すなわち、Candida albicans ATCC 10231を斜面寒天培地にて前培養を行った後、緩衝液に懸濁し、試験菌液を調整した。実施例もしくは比較例に示した各組成物に試験菌液の一定量を無菌的に加え、室温下に放置した。初発の生菌数と4時間処理後の生菌数を測定し、下式で抗菌力を算出し、対数減少量が1以上のものは合格(○)、1未満は不合格(×)とし、表示した。
生菌数の対数減少量=log(初発の生菌数)−log(4時間処理後の生菌数)
【0042】
<細胞毒性試験>
「医療用具及び医用材料の基礎的な生物学的試験のガイドライン」(平成7年6月27日、薬機第99号)、「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成9年3月26日、厚生省令第21号)および「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令の施行について」(平成9年3月27日、薬発第424号)に準拠して行った。すなわち、V79細胞を6ウェルプレートに一定数播種し、10%添加を最大濃度として段階希釈した被験液を添加して培養した。培養終了後、固定し、染色液で染色した。ウェルあたりのコロニー数を計測し、陰性対照(注射用蒸留水)と比較して、相対コロニー形成率を算出した。最大濃度でコロニー形成率が陰性対照の50%を下回るものを細胞毒性陽性と判定し、50%以上のものは細胞毒性陰性と判定した。
【0043】
結果を表2〜3に示す。
【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
実施例1〜12、比較例4は良好な抗菌力を示したが、比較例1〜3は不合格であった。実施例1〜12、比較例1〜3は細胞毒性を示さないのに対し、比較例4は細胞毒性が認められ、実施例における抗菌力と毒性のバランスが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子抗菌剤及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含有するコンタクトレンズケア用組成物であって、前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの総分子中のエチレンオキシドが10〜60%、かつ、疎水基分子量が1500以上であるコンタクトレンズケア用組成物。
【請求項2】
前記高分子抗菌剤が第4級アンモニウム化合物及びその塩、ビグアニド化合物及びその塩、グリシン型界面活性剤、ポリリジン並びにポリアルギニンよりなる群から選ばれる少なくとも1種以上である請求項1に記載のコンタクトレンズケア用組成物。
【請求項3】
前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオキシドグリコールの濃度が1〜0.0001%である請求項1もしくは請求項2に記載のコンタクトレンズケア用組成物。
【請求項4】
前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールの濃度が0.01〜0.5%である請求項1もしくは請求項2に記載のコンタクトレンズケア用組成物。
【請求項5】
前記高分子抗菌剤がポリヘキサメチレンビグアニドである請求項1乃至4のいずれかに記載のコンタクトレンズケア用組成物。
【請求項6】
前記高分子抗菌剤が塩化ポリドロニウムである請求項1乃至4のいずれかに記載のコンタクトレンズケア用組成物。
【請求項7】
前記高分子抗菌剤の濃度が0.1%〜0.1ppmである請求項1乃至6のいずれかに記載のコンタクトレンズケア用組成物。

【公開番号】特開2006−176616(P2006−176616A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−370546(P2004−370546)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(390031015)旭化成アイミー株式会社 (8)
【Fターム(参考)】