コンテナ用冷凍装置
【課題】コンテナ用冷凍装置において、冷媒として二酸化炭素を使用した超臨界冷凍サイクルを採用するにあたり、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、低圧側に設けられる蒸発器の設計圧力を低く抑えることができるようにする。
【解決手段】コンテナ用冷凍装置1は、圧縮機21と、ガスクーラ22と、膨張機構23と、蒸発器24とが順次接続された冷媒回路10を有しており、冷媒として二酸化炭素を使用する超臨界冷凍サイクルを行うものである。ガスクーラ22と第1膨張機構26との間には、レシーバ27が設けられている。レシーバ27には、蒸発器24の出口から圧縮機21の吸入に向かう冷媒によって、レシーバ27に存在する冷媒を冷却する過冷却熱交換器28が設けられており、通常運転の停止時に、第1膨張機構26を少し開けた状態で、ポンプダウン運転を行う。
【解決手段】コンテナ用冷凍装置1は、圧縮機21と、ガスクーラ22と、膨張機構23と、蒸発器24とが順次接続された冷媒回路10を有しており、冷媒として二酸化炭素を使用する超臨界冷凍サイクルを行うものである。ガスクーラ22と第1膨張機構26との間には、レシーバ27が設けられている。レシーバ27には、蒸発器24の出口から圧縮機21の吸入に向かう冷媒によって、レシーバ27に存在する冷媒を冷却する過冷却熱交換器28が設けられており、通常運転の停止時に、第1膨張機構26を少し開けた状態で、ポンプダウン運転を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ用冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンテナ用冷凍装置は、特許文献1(特開2011−112270号公報)に記載されているように、主として、圧縮機と、凝縮器と、膨張機構と、蒸発器とが順次接続された冷媒回路を有している。
【0003】
このコンテナ用冷凍装置では、以下のような冷媒回路の動作によって、コンテナの庫内の冷却を行う。まず、低圧の冷媒は、圧縮機において圧縮されて高圧の冷媒になる。そして、この高圧の冷媒は、凝縮器において冷却されて凝縮する。そして、この高圧の冷媒は、膨張機構において低圧になるまで減圧される。そして、この低圧の冷媒は、蒸発器において加熱されて蒸発し、庫内空気を冷却する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のコンテナ用冷凍装置では、従来からフロン系冷媒が使用されているが、近年、環境問題の観点から、フロン系冷媒を二酸化炭素のような自然冷媒に変更することが考えられている。
【0005】
しかし、コンテナ用冷凍装置において、冷媒として二酸化炭素を使用すると、圧縮機から吐出される冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を超える圧力となる超臨界冷凍サイクルになる。このため、フロン系冷媒を使用する場合に比べて、運転圧力が高くなり、冷媒回路を構成する機器の設計圧力を低く高くする必要がある。また、通常運転の停止時においては、冷媒回路が均圧された状態となるが、外気温度が高い条件においては、この均圧圧力も上昇するため、特に、冷媒回路の低圧側に設けられる蒸発器の設計圧力を低く抑えることが難しくなる。
【0006】
本発明の課題は、コンテナ用冷凍装置において、冷媒として二酸化炭素を使用した超臨界冷凍サイクルを採用するにあたり、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、低圧側に設けられる蒸発器の設計圧力を低く抑えることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点にかかるコンテナ用冷凍装置は、圧縮機と、ガスクーラと、第1膨張機構と、蒸発器とが順次接続された冷媒回路を有している。冷媒回路は、冷媒として二酸化炭素を使用しており、圧縮機から吐出される冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を超える圧力になる超臨界冷凍サイクルを行うものである。ガスクーラと第1膨張機構との間には、冷媒を貯留するレシーバが設けられている。そして、レシーバには、蒸発器の出口から圧縮機の吸入に向かう冷媒によって、レシーバに存在する冷媒を冷却する過冷却熱交換器が設けられており、通常運転の停止時に、第1膨張機構を少し開けた状態で、ガスクーラ及びレシーバに冷媒を溜め込むポンプダウン運転を行う。
【0008】
このコンテナ用冷凍装置では、冷媒として二酸化炭素を使用しているため、フロン系冷媒を使用する場合に比べて、サイクル性能が低下する傾向にある。このため、このコンテナ用冷凍装置では、サイクル性能を向上させるために、ガスクーラによって冷却された冷媒をさらに冷却する過冷却熱交換器を設けるようにしている。
【0009】
ここで、サイクル性能を向上させるという観点だけを考慮すると、過冷却熱交換器は、ガスクーラと蒸発器との間であればどこに接続してもよいし、また、過冷却熱交換器の冷却源も限定されるものではない。
【0010】
また、このコンテナ用冷凍装置では、冷媒として二酸化炭素を使用しており、回収の必要がないため、ガスクーラ及びレシーバに冷媒を溜め込むポンプダウン運転を行う必要がない。
【0011】
しかし、このコンテナ用冷凍装置では、上記のように、冷媒として二酸化炭素を使用した超臨界冷凍サイクルを採用するにあたり、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、低圧側に設けられる蒸発器の設計圧力を低く抑えるという課題がある。
【0012】
このため、このコンテナ用冷凍装置では、過冷却熱交換器の接続位置や冷却源、及び、ポンプダウン運転の要否について、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、低圧側に設けられる蒸発器の設計圧力を低く抑えるという観点も考慮して決定することが好ましい。ここで、低圧側に設けられる蒸発器の設計圧力の抑制の程度は、庫内の冷却を行う通常運転の停止時のガスクーラ及びレシーバ内に貯留される冷媒の量(すなわち、冷媒貯留量)とのバランスで決まる。また、冷媒として二酸化炭素を使用するため、ガスクーラ及びレシーバ内に貯留される冷媒は、超臨界状態で貯留されることになる。このため、ガスクーラ及びレシーバ内の冷媒貯留量は、冷媒の温度によって大きく異なるため、できるだけ低い温度で冷媒を貯留することが好ましい。
【0013】
そこで、このコンテナ用冷凍装置では、まず、通常運転の停止時に、ガスクーラ及びレシーバに冷媒を溜め込むポンプダウン運転を行うようにしている。これにより、冷媒回路内の冷媒が、超臨界状態ではあるものの、ガスクーラ及びレシーバ内に貯留されることになる。しかも、このコンテナ用冷凍装置では、過冷却熱交換器をレシーバに設けている。これにより、ポンプダウン運転において、レシーバ内に貯留される冷媒の冷却が行われることになるため、レシーバ内に冷媒を低い温度で貯留することができるようになる。また、通常のポンプダウン運転は、冷媒回路のレシーバの下流を閉塞させて冷媒を循環させない状態で行うところ、ここでは、レシーバの下流に位置する第1膨張機構を少し開けた状態で行うようにしている。すなわち、過冷却熱交換器の冷却源である蒸発器の出口から圧縮機の吸入に向かう冷媒の流れを確保した状態でポンプダウン運転を行うようにしている。このため、ポンプダウン運転において、レシーバ内に貯留される冷媒の冷却が促進されて、レシーバ内の冷媒貯留量を多くすることができる。これにより、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇が抑えられて、低圧側に設けられる蒸発器の設計圧力を低く抑えることができるようになる。
【0014】
このように、このコンテナ用冷凍装置では、サイクル性能を向上させるための過冷却熱交換器について、上記のような接続位置や冷却源を採用するとともに、通常運転の停止時に、第1膨張機構を少し開けた状態でポンプダウン運転を行うようにしている。これにより、このコンテナ用冷凍装置では、冷媒として二酸化炭素を使用した超臨界冷凍サイクルを採用するにあたり、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、低圧側に設けられる蒸発器の設計圧力を低く抑えることができる。
【0015】
第2の観点にかかるコンテナ用冷凍装置は、第1の観点にかかるコンテナ用冷凍装置において、第1膨張機構が、ポンプダウン運転時に、冷媒回路の高圧が所定の高圧値になる開度に、及び/又は、冷媒回路の低圧が所定の低圧値になる開度に設定される。
【0016】
このコンテナ用冷凍装置では、ポンプダウン運転時に、冷媒回路の高圧や低圧に基づいて第1膨張機構の開度を設定しているため、ポンプダウン運転時に、第1膨張機構を少し開いた状態を維持することができる。これにより、このコンテナ用冷凍装置では、レシーバ内の冷媒を冷却しつつポンプダウン運転を行うことができる。
【0017】
第3の観点にかかるコンテナ用冷凍装置は、第1又は第2の観点にかかるコンテナ用冷凍装置において、蒸発器に空気を送るための庫内側ファンをさらに有しており、庫内側ファンが、ポンプダウン運転時に停止される。
【0018】
このコンテナ用冷凍装置では、ポンプダウン運転時に、蒸発器における冷媒の加熱をできるだけ抑えることができる。これにより、このコンテナ用冷凍装置では、過冷却熱交換器の冷却源である蒸発器の出口から圧縮機の吸入に向かう冷媒の温度をできるだけ低い温度に維持して、レシーバ内の冷媒をできるだけ低い温度まで冷却することができる。
【0019】
第4の観点にかかるコンテナ用冷凍装置は、第1〜第3の観点のいずれかにかかるコンテナ用冷凍装置において、ガスクーラとレシーバとの間に、第2膨張機構がさらに設けられており、ポンプダウン運転が、第2膨張機構を開けた状態で行われる。
【0020】
このコンテナ用冷凍装置では、通常運転時に、レシーバが冷凍サイクルの中間圧の冷媒を貯留するための中間圧レシーバとして機能し、ポンプダウン運転時に、レシーバが冷凍サイクルの高圧の冷媒を貯留するための高圧レシーバとして機能することになる。このため、このコンテナ用冷凍装置では、通常運転時に、冷媒をレシーバ内に液状態で貯留することができる。これにより、このコンテナ用冷凍装置では、ポンプダウン運転時におけるレシーバ内の冷媒貯留量と、通常運転時におけるレシーバ内の冷媒貯留量との間の冷媒貯留量差が大きくなる傾向にある。
【0021】
しかし、このコンテナ用冷凍装置では、上記のように、ポンプダウン運転時に、第1膨張機構を少し開けた状態にして過冷却熱交換器によるレシーバ内の冷媒の冷却を行うようにしているため、ポンプダウン運転時と通常運転時との間の冷媒貯留量差をできるだけ小さくすることができる。これにより、このコンテナ用冷凍装置では、通常運転時におけるレシーバの冷媒貯留量に近い容積を有するレシーバを選定することができるため、レシーバによるコストアップを抑えることができる。
【0022】
第5の観点にかかるコンテナ用冷凍装置は、第1〜第4の観点のいずれかにかかるコンテナ用冷凍装置において、ポンプダウン運転が、通常運転の停止時において、冷媒回路が所定の圧力条件を満たす場合に行われる。
【0023】
このコンテナ用冷凍装置では、庫外温度が高い場合や冷媒回路の低圧側の圧力が高い場合等のように、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇が大きい場合だけに、ポンプダウン運転を行うことができる。これにより、このコンテナ用冷凍装置では、庫外温度が低い場合や冷媒回路の低圧側の圧力が低い場合等のように、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇が小さい場合には、ポンプダウン運転を行わずに済ませることができる。
【0024】
第6の観点にかかるコンテナ用冷凍装置は、第1〜第5の観点のいずれかにかかるコンテナ用冷凍装置において、レシーバ及び過冷却熱交換器が、庫内側空間に配置されている。
【0025】
このコンテナ用冷凍装置では、ポンプダウン運転時を含む通常運転の停止時に、レシーバ及び過冷却熱交換器の温度上昇をできるだけ抑えることができる。これにより、このコンテナ用冷凍装置では、ポンプダウン運転時には、レシーバ内に貯留された冷媒の温度をできるだけ低く維持することができ、また、過冷却熱交換器及びレシーバを覆う保冷材の厚さを小さくしたり、又は、保冷材を省略することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0027】
第1の観点にかかるコンテナ用冷凍装置では、通常運転の停止時に、第1膨張機構を少し開けた状態にして過冷却熱交換器によるレシーバ内の冷媒の冷却を行いつつ、ポンプダウン運転を行うことによって、冷媒として二酸化炭素を使用した超臨界冷凍サイクルを採用するにあたり、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、低圧側に設けられる蒸発器の設計圧力を低く抑えることができる。
【0028】
第2の観点にかかるコンテナ用冷凍装置では、ポンプダウン運転時に、冷媒回路の高圧や低圧に基づいて第1膨張機構の開度を設定しているため、ポンプダウン運転時に、第1膨張機構を少し開いた状態を維持して、レシーバ内の冷媒を冷却しつつポンプダウン運転を行うことができる。
【0029】
第3の観点にかかるコンテナ用冷凍装置では、ポンプダウン運転時に、蒸発器における冷媒の加熱をできるだけ抑えることができるため、過冷却熱交換器の冷却源である蒸発器の出口から圧縮機の吸入に向かう冷媒の温度をできるだけ低い温度に維持して、レシーバ内の冷媒をできるだけ低い温度まで冷却することができる。
【0030】
第4の観点にかかるコンテナ用冷凍装置では、通常運転時に、レシーバが冷凍サイクルの中間圧の冷媒を貯留するための中間圧レシーバとして機能することになるが、ポンプダウン運転時に、第1膨張機構を少し開けた状態にして過冷却熱交換器によるレシーバ内の冷媒の冷却を行うようにしているため、ポンプダウン運転時と通常運転時との間の冷媒貯留量差をできるだけ小さくして、通常運転時におけるレシーバの冷媒貯留量に近い容積を有するレシーバを選定することができ、レシーバによるコストアップを抑えることができる。
【0031】
第5の観点にかかるコンテナ用冷凍装置では、庫外温度が高い場合や冷媒回路の低圧側の圧力が低い場合等のように、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇が大きい場合だけに、ポンプダウン運転を行うことができるため、庫外温度が低い場合や冷媒回路の低圧側の圧力が低い場合等のように、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇が小さい場合には、ポンプダウン運転を行わずに済ませることができる。
【0032】
第6の観点にかかるコンテナ用冷凍装置では、ポンプダウン運転時を含む通常運転の停止時に、レシーバ及び過冷却熱交換器の温度上昇をできるだけ抑えることができるため、ポンプダウン運転時には、レシーバ内に貯留された冷媒の温度をできるだけ低く維持することができ、また、過冷却熱交換器及びレシーバを覆う保冷材の厚さを小さくしたり、又は、保冷材を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態にかかるコンテナ用冷凍装置が設けられたコンテナの外観を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるコンテナ用冷凍装置の概略正面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるコンテナ用冷凍装置の概略側面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるコンテナ用冷凍装置の概略冷媒回路図である。
【図5】中間圧レシーバ及び過冷却熱交換器の概略構成図である。
【図6】中間圧レシーバ及び過冷却熱交換器の概略構成図である。
【図7】コンテナ用冷凍装置の制御ブロック図である。
【図8】通常運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。
【図9】通常運転の停止時に行うポンプダウン運転のフローチャートである。
【図10】ポンプダウン運転時の冷媒の流れを示すコンテナ用冷凍装置の概略冷媒回路図である。
【図11】ポンプダウン運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。
【図12】変形例にかかるコンテナ用冷凍装置の概略冷媒回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明にかかるコンテナ用冷凍装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかるコンテナ用冷凍装置の具体的な構成は、下記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0035】
(1)コンテナ用冷凍装置の構成
図1〜図7は、本発明の一実施形態にかかるコンテナ用冷凍装置1を示している。ここで、図1は、本発明のコンテナ用冷凍装置1が設けられたコンテナ2の外観を示す分解斜視図である。図2は、コンテナ用冷凍装置1の概略正面図である。図3は、コンテナ用冷凍装置1の概略側面図である。図4は、コンテナ用冷凍装置1の概略冷媒回路図である。図5及び図6は、中間圧レシーバ27及び過冷却熱交換器28の概略構成図である。図7は、コンテナ用冷凍装置1の制御ブロック図である。
【0036】
コンテナ用冷凍装置1は、海上コンテナや陸上コンテナとして取り扱われるコンテナ2の開口面2aに装着されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、コンテナ2の庫内ISを冷却する装置である。コンテナ用冷凍装置1は、主として、コンテナ2の開口面2aを覆うフレーム3と、冷媒回路10と、庫外側ファン36と、庫内側ファン37とを有している。
【0037】
フレーム3は、その下部がコンテナ2の庫内IS側に向かって突出した形状を有しており、フレーム3の庫外OS側の下部には、庫外側ファン36、冷媒回路10を構成する圧縮機21やガスクーラ22等が配置される庫外側空間S1を形成している。また、フレーム3の庫内IS側には、フレーム3と間隔を空けて仕切板4が配置されている。この仕切板4は、サポート(図示せず)を介してフレーム3に装着されている。そして、フレーム3と仕切板4との間には、庫内側ファン37、冷媒回路10を構成する蒸発器23等が配置される庫内側空間S2を形成している。また、仕切板4の上部には、コンテナ2の庫内ISの空気を庫内側空間S2に吸入するための吸入口4aが形成されており、仕切板4の下部には、庫内側空間S2の空気を庫内ISに吹き出すための吹出口4bが形成されている。
【0038】
冷媒回路10は、主として、圧縮機21と、ガスクーラ22と、膨張機構23と、蒸発器24とを有しており、これらの機器21〜24等が順次接続されることによって構成されている。そして、冷媒回路10は、冷媒として二酸化炭素を使用しており、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力(すなわち、冷凍サイクルにおける高圧)が冷媒の臨界圧力を超える圧力になる超臨界冷凍サイクルを行うものである。
【0039】
圧縮機21は、冷媒を圧縮(ここでは、冷媒の臨界圧力を超える圧力になるまで圧縮)する機器であり、庫外側空間S1に配置されている。圧縮機21は、主として、低段側圧縮機21aと、高段側圧縮機21bとを有している。低段側圧縮機21aは、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)を低段側圧縮機モータ31aによって回転駆動する密閉式構造となっている。また、高段側圧縮機21bは、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)を高段側圧縮機モータ31bによって回転駆動する密閉式構造となっている。ここでは、圧縮機モータ31a、31bとして、インバータにより制御される回転数(周波数)可変式のモータが使用されている。低段側圧縮機21aは、吸入側に吸入冷媒管32が接続されており、吐出側に中間冷媒管33が接続されている。高段側圧縮機21bは、吸入側に中間冷媒管33が接続されており、吐出側に吐出冷媒管34が接続されている。これにより、低段側圧縮機21aと高段側圧縮機21bとは、直列に接続されており、冷媒を順次圧縮する多段(ここでは、2段)圧縮機を構成している。また、中間冷媒管33には、低段側逆止機構33aが設けられており、吐出冷媒管34には、高段側逆止機構34aが設けられている。低段側逆止機構33aは、低段側圧縮機21aの吐出側から高段側圧縮機21bの吸入側への冷媒の流れを許容し、かつ、高段側圧縮機21bの吸入側から低段側圧縮機21aの吐出側への冷媒の逆流れを遮断するための機構である。高段側逆止機構34aは、高段側圧縮機21bの吐出側からガスクーラ22の入口側への冷媒の流れを許容し、かつ、ガスクーラ22の入口側から高段側圧縮機21aの吐出側への冷媒の逆流れを遮断するための機構である。ここでは、逆止機構33a、34aとして、逆止弁が使用されている。尚、ここでは、圧縮機21として、2段圧縮機を採用しているが、3段以上の多段圧縮機であってもよいし、単段圧縮機であってもよい。また、ここでは、1つの圧縮要素に1つの駆動モータが連結された2つの圧縮機21a、21bを直列接続することによって多段圧縮機を構成しているが、複数の圧縮要素を共通の駆動モータによって連結することによって多段圧縮機を構成してもよい。
【0040】
ガスクーラ22は、圧縮機21において圧縮された高圧の冷媒の放熱を行う機器であり、庫外側空間S1に配置されている。ガスクーラ22は、ここでは、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、庫外空気を冷却源として高圧の冷媒の放熱を行うようになっている。ガスクーラ22は、入口が吐出冷媒管34に接続されており、出口が液冷媒管35に接続されている。そして、ガスクーラ22の冷却源としての庫外空気は、庫外側ファン36によって供給されるようになっている。庫外側ファン36は、庫外側空間S1に配置されており、ここでは、プロペラファンが使用されている。庫外側ファン36は、庫外側ファンモータ36aによって回転駆動されるようになっている。尚、ここでは、ガスクーラ22として、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を採用しているが、他の型式の熱交換器であってもよい。
【0041】
膨張機構23は、ガスクーラ22において放熱した高圧の冷媒を冷凍サイクルにおける低圧になるまで減圧するための機構であり、庫内側空間S2に配置されている。膨張機構23は、液冷媒管35に設けられており、主として、冷媒を減圧する上流側膨張機構25(第2膨張機構)と、上流側膨張機構25において減圧された冷媒を減圧する下流側膨張機構26(第1膨張機構)とを有している。具体的には、上流側膨張機構25は、ガスクーラ22において放熱した後の高圧の冷媒を冷凍サイクルにおける中間圧になるまで減圧するための機構である。下流側膨張機構26は、上流側膨張機構25において減圧された後の中間圧の冷媒を低圧になるまで減圧するための機構である。ここでは、膨張機構25、26として、電動膨張弁が使用されている。
【0042】
また、液冷媒管35には、上流側膨張機構25と下流側膨張機構26との間の部分に、上流側膨張機構25において減圧された冷媒を貯留する中間圧レシーバ27が設けられている。中間圧レシーバ27は、ここでは、円筒形状の容器であり、庫内側空間S2に配置されている。中間圧レシーバ27に流入する中間圧の冷媒は、上流側膨張機構25において冷媒の臨界圧力以下の圧力まで減圧されて飽和状態又は気液二相状態になっているため、液状態で中間圧レシーバ27に貯留されることになる。
【0043】
また、中間圧レシーバ27には、蒸発器24の出口から圧縮機21の吸入に向かう冷媒(すなわち、吸入側冷媒)によって、中間圧レシーバ27に存在する冷媒(すなわち、中間圧レシーバ側冷媒)を冷却する過冷却熱交換器28が設けられている。過冷却熱交換器28は、ここでは、中間圧レシーバ27に設けられて一体化しており、庫内側空間S2に配置されている。具体的には、過冷却熱交換器28は、吸入冷媒管31に設けられた直管状の伝熱管28aが中間圧レシーバ27の円筒部分に接するように設けられており、これにより、吸入側冷媒によって中間圧レシーバ側冷媒を冷却する熱交換器を構成している。尚、過冷却熱交換器28が中間圧レシーバ27に設けられて一体化した構造は、図5に示すものに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、コイル状の伝熱管28bが中間圧レシーバ27の円筒部分を取り巻くように設けられて中間圧レシーバ27に一体化した構造の過冷却熱交換器28であってもよい。
【0044】
蒸発器24は、膨張機構23において減圧された低圧の冷媒の蒸発を行う機器であり、庫内側空間S2に配置されている。蒸発器24は、ここでは、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、庫内空気を加熱源として低圧の冷媒の蒸発を行い、これにより、庫内空気を冷却するようになっている。蒸発器24は、入口が液冷媒管35に接続されており、出口が吸入冷媒管32に接続されている。そして、蒸発器24の加熱源としての庫内空気は、庫内側ファン37によって供給されるようになっている。庫内側ファン37は、庫内側空間S2に配置されており、ここでは、2つのプロペラファンが使用されている。庫内側ファン37は、庫内側ファンモータ37aによって回転駆動されるようになっている。尚、ここでは、蒸発器24として、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を採用しているが、他の型式の熱交換器であってもよい。
【0045】
また、中間冷媒管33には、低段側圧縮機21aから吐出された冷媒の放熱を行うインタークーラ38が設けられている。インタークーラ38は、庫外側空間S1に配置されている。インタークーラ38は、ここでは、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、庫外空気を冷却源として低段側圧縮機21aから吐出された冷媒の放熱を行うようになっている。また、ここでは、インタークーラ38は、ガスクーラ22と一体化している。そして、インタークーラ38の冷却源としての庫外空気は、ガスクーラ22と同様に、庫外側ファン36によって供給されるようになっている。尚、ここでは、インタークーラ38として、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を採用しているが、他の型式の熱交換器であってもよい。尚、ここでは、サイクル性能を向上させるために、インタークーラ38を冷媒回路10に設けるようにしているが、インタークーラ38がなくても所望のサイクル性能が得られる場合には、冷媒回路10から省略してもよい。
【0046】
また、液冷媒管35には、ガスクーラ22の出口と上流側膨張機構25との間の部分に、ガスクーラ22の出口から上流側膨張機構25に至るまでの間を流れる冷媒を冷却するエコノマイザ熱交換器39が設けられている。エコノマイザ熱交換器39は、庫外側空間S1に配置されている。エコノマイザ熱交換器39は、ここでは、プレート型熱交換器であり、高圧側流路39aを流れる冷媒と中間圧側流路39bを流れる冷媒とが熱交換するようになっている。高圧側流路39aには、液冷媒管35のガスクーラ22の出口側と上流側膨張機構25との間の部分を流れる高圧の冷媒が流れるようになっている。中間圧側流路39bには、液冷媒管35のガスクーラ22の出口側と上流側膨張機構25との間の部分から分岐された中間圧インジェクション管40を流れる中間圧の冷媒が流れるようになっている。中間圧インジェクション管40は、ここでは、液冷媒管35のガスクーラ22の出口側とエコノマイザ熱交換器39の高圧側流路39aとの間の部分から分岐している。尚、中間圧インジェクション管40は、エコノマイザ熱交換器39の高圧側流路39aの出口と上流側膨張機構25との間の部分から分岐していてもよい。また、中間圧インジェクション管40は、中間冷媒管33のインタークーラ38の出口側と高段側圧縮機21bの吸入との間の部分に合流している。そして、中間圧インジェクション管40には、中間圧側流路39bの入口側の部分に、中間圧戻し膨張機構41が設けられている。中間圧戻し膨張機構41は、中間圧インジェクション管40に分岐された高圧の冷媒を中間圧になるまで減圧するための機構であり、庫外側空間S1に配置されている。ここでは、中間圧戻し膨張機構41として、電動膨張弁が使用されている。尚、ここでは、サイクル性能を向上させるために、エコノマイザ熱交換器39及び中間圧インジェクション管40を冷媒回路10に設けるようにしている。しかし、エコノマイザ熱交換器39及び中間圧インジェクション管40がなくても所望のサイクル性能が得られる場合には、冷媒回路10から省略してもよい。
【0047】
また、吐出冷媒管34には、高段側逆止機構34aとガスクーラ22の入口との間の部分に、蒸発器24の除霜運転や再熱運転の際に開閉又は開度調節される吐出流量調整機構42が設けられている。吐出流量調整機構42は、庫外側空間S1に配置されている。ここでは、吐出流量調整機構42として、電動膨張弁が使用されている。また、吐出冷媒管34には、高段側逆止機構34aと吐出流量調整機構42との間の部分から、加熱用冷媒管43が分岐されている。加熱用冷媒管43は、液冷媒管35の下流側膨張機構26と蒸発器24との間の部分に合流している。加熱用冷媒管43は、主として、再熱用冷媒管44と、除霜用冷媒管45とを有している。再熱用冷媒管44には、電磁弁からなる再熱側開閉機構46と、蒸発器24の風下側に配置された再熱コイル47と、キャピラリチューブからなる再熱側減圧機構48とが設けられている。これにより、吐出流量調整機構42の開度を調節し、かつ、再熱側開閉機構46を開けることによって、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒の一部を再熱コイル47に供給して、蒸発器24によって冷却された庫内空気を再加熱する再熱運転を行うことができる。除霜用冷媒管45は、ドレンパン加熱用冷媒管49と、蒸発器加熱用冷媒管50とに分岐している。除霜用冷媒管45は、ドレンパン加熱用冷媒管49と蒸発器加熱用冷媒管50との分岐部分に、電磁弁からなる除霜側開閉機構51が設けられている。ドレンパン加熱用冷媒管49には、蒸発器24及び再熱コイル47の下側に設けられたドレンパン(図示せず)に配置されたドレンパンヒータ52が設けられている。これにより、吐出流量調整機構42を閉止し、かつ、除霜側開閉機構51を開けることによって、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒を、ドレンパンヒータ52に供給しつつ蒸発器24に直接的に供給して、蒸発器24の除霜運転を行うことができる。尚、ここでは、蒸発器24の除霜運転や再熱運転のために、加熱用冷媒管43及び吐出流量調整機構42を冷媒回路10に設けるようにしているが、除霜運転や再熱運転のための構成はこれに限定されるものではなく、他の構成よって除霜運転や再熱運転を行うようにしてもよい。
【0048】
また、コンテナ用冷凍装置1には、各種のセンサやスイッチが設けられている。具体的には、吸入冷媒管32には、圧縮機21(低段側圧縮機21a)に吸入される低圧の冷媒の圧力Psを検出する吸入圧力センサ53が設けられている。ここで、吸入圧力センサ53によって検出される低圧の冷媒の圧力Psを冷媒の飽和温度に換算することによって、冷媒回路10の蒸発温度Teが得られる。また、吸入冷媒管32には、圧縮機21(低段側圧縮機21a)に吸入される低圧の冷媒の温度Tsを検出する吸入温度センサ54が設けられている。さらに、吸入冷媒管32には、蒸発器24の出口における低圧の冷媒の温度Teoを検出する蒸発器出口温度センサ55が設けられている。ここで、温度Teoから蒸発温度Teを減算することによって、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHが得られる。吐出冷媒管34には、圧縮機21(高段側圧縮機21b)から吐出される高圧の冷媒の圧力Tdを検出する吐出圧力センサ56が設けられている。また、吐出冷媒管34には、圧縮機21(高段側圧縮機21b)から吐出される高圧の冷媒の温度を検出する吐出温度センサ57が設けられている。さらに、吐出冷媒管34には、圧縮機21(高段側圧縮機21b)から吐出される高圧の冷媒の異常高圧を検出して圧縮機21を停止させる吐出圧力スイッチ58が設けられている。また、庫外ファン36の近傍には、庫外温度Taを検出する庫外温度センサ59が設けられており、庫内ファン37の近傍(仕切板4の吸入口4aの近傍)には、庫内温度Trを検出する庫内温度センサ60が設けられている。
【0049】
また、コンテナ用冷凍装置1は、コンテナ用冷凍装置1を構成する圧縮機21、ファン36、37、膨張機構23等の各部の動作を制御するための制御部7を有している。制御部6は、マイクロコンピュータやメモリ等を有しており、各種運転設定や各種センサの検出値等に基づいて、コンテナ用冷凍装置1を構成する各部の動作を制御するようになっている。
【0050】
(2)コンテナ用冷凍装置の動作
次に、図4及び図8〜図11を用いて、コンテナ用冷凍装置1の通常運転の動作、及び、通常運転の停止時に行うポンプダウン運転の動作について説明する。ここで、図8は、通常運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。図9は、通常運転の停止時に行うポンプダウン運転のフローチャートである。図10は、ポンプダウン運転時の冷媒の流れを示すコンテナ用冷凍装置1の概略冷媒回路図である。図11は、ポンプダウン運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。
【0051】
<通常運転>
通常運転は、冷媒回路10が、吐出流量調整機構42が全開、そして、再熱側開閉機構46及び除霜側開閉機構51が全閉の状態で行われる。
【0052】
このような冷媒回路10の状態において、低圧の冷媒(図4及び図8の点A参照)は、吸入冷媒管32から圧縮機21に吸入され、まず、低段側圧縮機21aによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管33に吐出される(図4及び図8の点B参照)。
【0053】
この低段側圧縮機21aから吐出された中間圧の冷媒は、低段側逆止機構33aを通じて、インタークーラ38に送られる。このインタークーラ38に送られた中間圧の冷媒は、インタークーラ38において、庫外ファン36によって供給される庫外空気と熱交換を行って放熱する(図4及び図8の点C参照)。
【0054】
このインタークーラ38において放熱した中間圧の冷媒は、中間圧インジェクション管40から中間冷媒管33に戻される冷媒(図4及び図8の点M参照)と合流することによって、さらに冷却される(図4及び図8の点D参照)。
【0055】
この中間圧インジェクション管40から戻る冷媒と合流した中間圧の冷媒は、高段側圧縮機21bに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機21から吐出冷媒管34に吐出される(図4及び図8の点E参照)。ここで、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、圧縮機21a、21bによる二段圧縮動作によって、冷媒の臨界圧力(図8の圧力Pcp参照)を超える圧力まで圧縮されている。
【0056】
この圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出流量調整機構42を通じて、ガスクーラ22に送られる。
【0057】
このガスクーラ22に送られた高圧の冷媒は、ガスクーラ22において、庫外ファン36によって供給される庫外空気と熱交換を行って放熱し、液冷媒管35に送られる(図4及び図8の点F参照)。
【0058】
このガスクーラ22において放熱した高圧の冷媒は、一部が中間圧インジェクション管40に分岐され、残りがエコノマイザ熱交換器39の高圧側流路39aに送られる。そして、中間圧インジェクション管40を流れる高圧の冷媒は、中間圧戻し膨張機構41において、中間圧になるまで減圧される(図4及び図8の点L参照)。この中間圧戻し膨張機構41において減圧された中間圧の冷媒は、エコノマイザ熱交換器39の中間圧側流路39bに送られる。そして、エコノマイザ熱交換器39の高圧側流路39aに送られた高圧の冷媒は、エコノマイザ熱交換器39の中間圧側流路39bに送られた中間圧の冷媒と熱交換を行って冷却されて(図4及び図8の点G参照)、上流側膨張機構25に送られる。このとき、エコノマイザ熱交換器39の中間圧側流路39bに送られた中間圧の冷媒は、エコノマイザ熱交換器39の高圧側流路39aに送られた高圧の冷媒との熱交換によって加熱され(図4及び図8の点M参照)、中間冷媒管33を流れる冷媒に合流する。
【0059】
エコノマイザ熱交換器39において冷却された高圧の冷媒は、上流側膨張機構25において、中間圧になるまで減圧されて、飽和状態又は気液二相状態になる(図4及び図8の点H参照)。
【0060】
この上流側膨張機構25において減圧された中間圧の冷媒は、中間圧レシーバ27に流入して、中間圧レシーバ27に液状態で一時的に貯留される。この中間圧レシーバ27に一時的に貯留された中間圧の冷媒は、中間圧レシーバ27において、中間圧レシーバ27に設けられた過冷却熱交換器28の伝熱管28a(又は28b)を流れる低圧の冷媒と熱交換を行ってさらに冷却される。(図4及び図8の点I参照)。ここで、過冷却熱交換器28の伝熱管28a(又は28b)を流れる低圧の冷媒は、蒸発器24の出口から圧縮機21の吸入に向かう吸入冷媒管32を流れる低圧の冷媒であり、この低圧の冷媒が過冷却熱交換器28の冷却源となっている。そして、この過冷却熱交換器28において冷却されるとともに中間圧レシーバ27に一時的に貯留された中間圧の冷媒は、下流側膨張機構26に送られて、低圧になるまで減圧される(図4及び図8の点J参照)。
【0061】
この下流側膨張機構26において減圧された低圧の冷媒は、蒸発器24に送られて、庫内ファン37によって供給される庫内空気と熱交換を行って蒸発し、吸入冷媒管32に送られる(図4及び図8の点K参照)。
【0062】
この吸入冷媒管32に送られた低圧の冷媒は、上記のように、過冷却熱交換器28の伝熱管28a(又は28b)に送られて、中間圧レシーバ27に存在する冷媒と熱交換を行って加熱され、再び、圧縮機21に吸入される(図4及び図8の点A参照)。
【0063】
このような通常運転において、制御部7は、庫内温度Trを設定された目標温度Trsに近づけるように、各部の動作を制御している。ここでは、制御部7は、主として、庫内温度Trと目標温度Trsとの温度差(すなわち、蒸発器24において要求される冷凍負荷)に基づいて、各部の動作を制御している。
【0064】
具体的には、まず、制御部7は、庫内温度Trと目標温度Trsとの温度差から、冷媒回路10の低圧Psの目標値Pss(低圧Psを蒸発温度Teに換算する場合には、目標値Tes)を決定している。
【0065】
そして、制御部7は、冷媒回路10の蒸発温度Te又は低圧Psが目標蒸発温度値Tes又は目標低圧値Pssで一定になるように、圧縮機21の圧縮機モータ31a、31bの回転数(周波数)を制御している(低圧制御)。すなわち、蒸発温度Te又は低圧Psが目標蒸発温度値Tes又は目標低圧値Pssよりも高い場合には、圧縮機21の圧縮機モータ31a、31bの回転数(周波数)を大きくする制御を行っている。逆に、蒸発温度Te又は低圧Psが目標蒸発温度値Tes又は目標低圧値Pssよりも低い場合には、圧縮機21の圧縮機モータ31a、31bの回転数(周波数)を小さくする制御を行っている。
【0066】
また、ここでは、制御部7は、冷媒回路10の高圧Pdが高圧目標値Pdsで一定になるように、上流側膨張機構25の開度を制御している(高圧制御)。すなわち、高圧Pdが高圧目標値Pdsよりも高い場合には、上流側膨張機構25の開度を大きくする制御を行っている。逆に、高圧Pdが高圧目標値Pdsよりも低い場合には、上流側膨張機構25の開度を小さくする制御を行っている。
【0067】
また、ここでは、制御部7は、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHが過熱度目標値SHsで一定になるように、下流側膨張機構26の開度を制御している(過熱度制御)。すなわち、過熱度SHが過熱度目標値SHsよりも高い場合には、下流側膨張機構26の開度を大きくする制御を行っている。逆に、過熱度SHが過熱度目標値SHsよりも小さい場合には、下流側膨張機構26の開度を小さくする制御を行っている。
【0068】
<ポンプダウン運転>
ポンプダウン運転は、通常運転の停止時における冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えるために、通常運転の停止時に、ガスクーラ22及び中間圧レシーバ27に冷媒を溜め込む運転である。このポンプダウン運転は、通常のポンプダウン運転とは異なり、下流側膨張機構26を少し開けた状態で行われる。このポンプダウン運転について、図9のフローチャートのステップST1〜ST5に沿って説明する。
【0069】
まず、ステップST1において、制御部7は、通常運転が停止しているかどうかを判定する。ここで、通常運転の停止時における冷媒回路10では、中間圧戻し膨張機構41、再熱側開閉機構46及び除霜側開閉機構51が全閉状態であり、吐出流量調整機構42及び上流側膨張機構25が全開状態であり、下流側膨張機構26が全開状態又は全閉状態である。そして、ステップST1において、通常運転が停止しているものと判定された場合には、ステップST2の処理に移行する。
【0070】
次に、ステップST2において、制御部7は、冷媒回路10が所定の圧力条件を満たすかどうかを判定する。ここで、このような判定を行うのは、庫外温度Taが低い場合や冷媒回路10の低圧側の圧力(例えば、定圧Ps)が低い場合等のように、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇が小さい場合には、ポンプダウン運転を行う必要がないからである。このため、所定の圧力条件としては、例えば、圧力Psが所定のポンプダウン開始圧力Pstaよりも高い場合という条件に設定される。または、庫外温度Taがポンプダウン開始圧力Pstaに等価な庫外温度よりも高い場合、すなわち、所定のポンプダウン開始温度Tstaよりも高い場合という条件に設定される。そして、ステップST2において、所定の圧力条件を満たすものと判定された場合には、ステップST3の処理に移行する。
【0071】
次に、ステップST3において、制御部7は、ポンプダウン運転を開始する。ポンプダウン運転は、下流側膨張機構26を少し開けた状態で、圧縮機21及び庫外側ファン36の運転を行うことによって開始される(図10の冷媒の流れを示す矢印参照)。
【0072】
ここで、下流側膨張機構26の開度は、冷媒回路10の高圧Pdが所定の高圧値になる開度に、及び/又は、冷媒回路10の低圧Psが所定の低圧値になる開度に設定される。ポンプダウン運転時は、ガスクーラ22や中間圧レシーバ27に溜め込む冷媒の量を増やすために、高圧Pdを通常運転時における高圧値よりも高い圧力にすることが好ましい。また、ポンプダウン運転時は、蒸発器24に残る冷媒の量を増やすために、低圧Psを通常運転時における低圧値よりも低い圧力にすることが好ましい。このため、ここでは、このような高圧Pdや低圧Psが得られるように、通常運転時における下流側膨張機構26の開度範囲よりも小さい開度に設定される。また、ここでは、庫内側ファン37が停止された状態で、ポンプダウン運転を行うようにしている。
【0073】
ポンプダウン運転が開始されると、低圧の冷媒(図10及び図11の点A参照)は、吸入冷媒管32から圧縮機21に吸入され、まず、低段側圧縮機21aによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管33に吐出される(図10及び図11の点B参照)。
【0074】
この低段側圧縮機21aから吐出された中間圧の冷媒は、低段側逆止機構33aを通じて、インタークーラ38に送られる。このインタークーラ38に送られた中間圧の冷媒は、インタークーラ38において、庫外ファン36によって供給される庫外空気と熱交換を行って放熱する(図10及び図11の点C参照)。ここでは、通常運転時とは異なり、中間圧インジェクション管40には冷媒が流れないため、インタークーラ38において放熱した中間圧の冷媒に、中間圧インジェクション管40から中間冷媒管33に戻される冷媒が合流することはない(図10及び図11の点D参照)。
【0075】
このインタークーラ38において放熱した中間圧の冷媒は、高段側圧縮機21bに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機21から吐出冷媒管34に吐出される(図10及び図11の点E参照)。ここで、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、圧縮機21a、21bによる二段圧縮動作によって、冷媒の臨界圧力(図11の圧力Pcp参照)を超える圧力まで圧縮されている。ここでは、上記のように、下流側膨張機構26を少し開けた状態にしているため、ポンプダウン運転時における高圧Pdは、通常運転時における高圧よりも高い圧力になっている。
【0076】
この圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出流量調整機構42を通じて、ガスクーラ22に送られる。
【0077】
このガスクーラ22に送られた高圧の冷媒は、ガスクーラ22において、庫外ファン36によって供給される庫外空気と熱交換を行って放熱し、液冷媒管35に送られる(図10及び図11の点F参照)。ここでは、通常運転時とは異なり、中間圧インジェクション管40には冷媒が流れないため、ガスクーラ22において放熱した高圧の冷媒は、エコノマイザ熱交換器39において冷却されることはない(図10及び図11の点G参照)。
【0078】
このエコノマイザ熱交換器39を通過した高圧の冷媒は、上流側膨張機構25において、減圧されることなく高圧のままで中間圧レシーバ27に送られる(図10及び図11の点H参照)。
【0079】
この上流側膨張機構25を通過した高圧の冷媒は、中間圧レシーバ27に流入して、通常運転時とは異なり、高圧(臨界圧力を超える圧力)の状態で中間圧レシーバ27に貯留される。この中間圧レシーバ27に貯留された高圧の冷媒は、中間圧レシーバ27において、中間圧レシーバ27に設けられた過冷却熱交換器28の伝熱管28a(又は28b)を流れる低圧の冷媒と熱交換を行ってさらに冷却される。(図10及び図11の点I参照)。ここで、過冷却熱交換器28の伝熱管28a(又は28b)を流れる低圧の冷媒は、蒸発器24の出口から圧縮機21の吸入に向かう吸入冷媒管32を流れる低圧の冷媒であり、この低圧の冷媒が過冷却熱交換器28の冷却源となっている。そして、この過冷却熱交換器28において冷却されるとともに中間圧レシーバ27に貯留された高圧の冷媒の一部は、下流側膨張機構26に送られて、低圧になるまで減圧される(図10及び図11の点J参照)。ここでは、上記のように、下流側膨張機構26を少し開けた状態にしているため、ポンプダウン運転時における低圧Psは、通常運転時における低圧よりも低い圧力になっている。
【0080】
この下流側膨張機構26において減圧された低圧の冷媒は、蒸発器24に送られる。ここでは、通常運転時とは異なり、庫内ファン37が停止しているため、蒸発器24において、冷媒はほとんど蒸発することなく、吸入冷媒管32に送られる(図10及び図11の点K参照)。
【0081】
この吸入冷媒管32に送られた低圧の冷媒は、上記のように、過冷却熱交換器28の伝熱管28a(又は28b)に送られて、中間圧レシーバ27に存在する冷媒と熱交換を行って加熱され、再び、圧縮機21に吸入される(図10及び図11の点A参照)。
【0082】
次に、ステップST4において、制御部7は、ポンプダウン運転が所定時間行われたどうかを判定する。そして、ステップST4において、ポンプダウン運転が所定時間行われたものと判定された場合には、ステップST5の処理に移行して、ポンプダウ運転を終了する。ここで、ポンプダウン運転の終了後において、制御部7は、圧縮機21及び庫外ファン36を停止し、下流側膨張機構26を全閉状態にする。これにより、冷媒回路10は、蒸発器24を含む低圧側の部分と、ガスクーラ22及び中間圧レシーバ27を含む高圧側の部分とに、圧力レベルによって分けられた状態になる。ここで、冷媒回路10の低圧側の部分は、下流側膨張機構26から圧縮機21の低段側逆止機構33aまでの間の部分であり、冷媒回路10の高圧側の部分は、圧縮機21の高段側逆止機構34aから下流側膨張機構26までの間の高圧側の部分である。これにより、通常運転の停止時において、冷媒回路10の低圧側の部分の均圧圧力の上昇を抑えることができる。
【0083】
その後、庫外温度Taが高くなる等のように、冷媒回路10が、再び、ステップST2の所定の圧力条件を満たす状態になった場合には、上記のステップST3〜ST5の処理を行い、再び、冷媒回路10の低圧側の部分の均圧圧力の上昇を抑えることができる。
【0084】
(3)コンテナ用冷凍装置の特徴
本実施形態のコンテナ用冷凍装置1には、以下のような特徴がある。
【0085】
<A>
コンテナ用冷凍装置1では、冷媒として二酸化炭素を使用しているため、フロン系冷媒を使用する場合に比べて、サイクル性能が低下する傾向にある。このため、コンテナ用冷凍装置1では、サイクル性能を向上させるために、ガスクーラ22によって冷却された冷媒をさらに冷却する過冷却熱交換器28を設けるようにしている。
【0086】
ここで、サイクル性能を向上させるという観点だけを考慮すると、過冷却熱交換器28は、ガスクーラ22と蒸発器24との間であればどこに接続してもよいし、また、過冷却熱交換器28の冷却源も限定されるものではない。
【0087】
また、コンテナ用冷凍装置1では、冷媒として二酸化炭素を使用しており、回収の必要がないため、ガスクーラ22及び中間圧レシーバ27に冷媒を溜め込むポンプダウン運転を行う必要がない。
【0088】
しかし、コンテナ用冷凍装置1では、上記のように、冷媒として二酸化炭素を使用した超臨界冷凍サイクルを採用するにあたり、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、低圧側に設けられる蒸発器24の設計圧力を低く抑えるという課題がある。
【0089】
このため、コンテナ用冷凍装置1では、過冷却熱交換器28の接続位置や冷却源、及び、ポンプダウン運転の要否について、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、低圧側に設けられる蒸発器24の設計圧力を低く抑えるという観点も考慮して決定することが好ましい。ここで、低圧側に設けられる蒸発器24の設計圧力の抑制の程度は、庫内の冷却を行う通常運転の停止時のガスクーラ22及び中間圧レシーバ27内に貯留される冷媒の量(すなわち、冷媒貯留量)とのバランスで決まる。また、冷媒として二酸化炭素を使用するため、ガスクーラ22及び中間圧レシーバ27内に貯留される冷媒は、超臨界状態で貯留されることになる。このため、ガスクーラ22及び中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量は、冷媒の温度によって大きく異なるため、できるだけ低い温度で冷媒を貯留することが好ましい。
【0090】
そこで、コンテナ用冷凍装置1では、まず、通常運転の停止時に、ガスクーラ22及び中間圧レシーバ27に冷媒を溜め込むポンプダウン運転を行うようにしている。これにより、冷媒回路10内の冷媒が、超臨界状態ではあるものの、ガスクーラ22及び中間圧レシーバ27内に貯留されることになる。しかも、コンテナ用冷凍装置1では、過冷却熱交換器28を中間圧レシーバ27に設けている。これにより、ポンプダウン運転において、中間圧レシーバ27内に貯留される冷媒の冷却が行われることになるため、中間圧レシーバ27内に冷媒を低い温度で貯留することができるようになる。また、通常のポンプダウン運転は、冷媒回路10の中間圧レシーバ27の下流を閉塞させて冷媒を循環させない状態で行うところ、ここでは、中間圧レシーバ27の下流に位置する下流側膨張機構26を少し開けた状態で行うようにしている。すなわち、過冷却熱交換器28の冷却源である蒸発器24の出口から圧縮機21の吸入に向かう冷媒の流れを確保した状態でポンプダウン運転を行うようにしている。このため、ポンプダウン運転において、中間圧レシーバ27内に貯留される冷媒の冷却が促進されて、中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量を多くすることができる。これにより、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇が抑えられて、低圧側に設けられる蒸発器24の設計圧力を低く抑えることができるようになる。
【0091】
このように、コンテナ用冷凍装置1では、サイクル性能を向上させるための過冷却熱交換器28について、上記のような接続位置や冷却源を採用するとともに、通常運転の停止時に、下流側膨張機構26を少し開けた状態でポンプダウン運転を行うようにしている。これにより、コンテナ用冷凍装置1では、冷媒として二酸化炭素を使用した超臨界冷凍サイクルを採用するにあたり、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、低圧側に設けられる蒸発器24の設計圧力を低く抑えることができる。
【0092】
<B>
また、コンテナ用冷凍装置1では、ポンプダウン運転時に、冷媒回路10の高圧Pdや低圧Psに基づいて下流側膨張機構26の開度を設定しているため、ポンプダウン運転時に、下流側膨張機構26を少し開いた状態を維持することができる。これにより、コンテナ用冷凍装置1では、中間圧レシーバ27内の冷媒を冷却しつつポンプダウン運転を行うことができる。
【0093】
<C>
また、コンテナ用冷凍装置1では、ポンプダウン運転時に、庫内側ファン37を停止するようにしているため、蒸発器24における冷媒の加熱をできるだけ抑えることができる。これにより、コンテナ用冷凍装置1では、過冷却熱交換器28の冷却源である蒸発器24の出口から圧縮機21の吸入に向かう冷媒の温度をできるだけ低い温度に維持して、中間レシーバ27内の冷媒をできるだけ低い温度まで冷却することができる。
【0094】
<D>
また、コンテナ用冷凍装置1では、通常運転時に、中間レシーバ27が冷凍サイクルの中間圧の冷媒を貯留するための中間圧レシーバとして機能し、ポンプダウン運転時に、中間圧レシーバ27が冷凍サイクルの高圧の冷媒を貯留するための高圧レシーバとして機能することになる。このため、コンテナ用冷凍装置1では、通常運転時に、冷媒を中間圧レシーバ27内に液状態で貯留することができる。これにより、コンテナ用冷凍装置1では、ポンプダウン運転時における中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量と、通常運転時における中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量との間の冷媒貯留量差が大きくなる傾向にある。
【0095】
しかし、コンテナ用冷凍装置1では、上記のように、ポンプダウン運転時に、下流側膨張機構26を少し開けた状態にして過冷却熱交換器28による中間圧レシーバ27内の冷媒の冷却を行うようにしているため、ポンプダウン運転時と通常運転時との間の冷媒貯留量差をできるだけ小さくすることができる。これにより、コンテナ用冷凍装置1では、通常運転時における中間圧レシーバ27の冷媒貯留量に近い容積を有する中間圧レシーバ27を選定することができるため、中間圧レシーバ27によるコストアップを抑えることができる。
【0096】
<E>
また、コンテナ用冷凍装置1では、庫外温度Taが高い場合や冷媒回路10の低圧側の圧力Psが高い場合等のように、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇が大きい場合(すなわち、冷媒回路10が所定の圧力条件を満たす場合)だけに、ポンプダウン運転を行うことができる。これにより、コンテナ用冷凍装置1では、庫外温度Taが低い場合や冷媒回路10の低圧側の圧力Psが低い場合等のように、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇が小さい場合には、ポンプダウン運転を行わずに済ませることができる。
【0097】
<F>
また、コンテナ用冷凍装置1では、中間圧レシーバ27及び過冷却熱交換器28が、庫内側空間S2に配置されている。このため、ポンプダウン運転時を含む通常運転の停止時に、中間圧レシーバ27及び過冷却熱交換器28の温度上昇をできるだけ抑えることができる。これにより、コンテナ用冷凍装置1では、ポンプダウン運転時には、中間圧レシーバ27内に貯留された冷媒の温度をできるだけ低く維持することができ、また、過冷却熱交換器28及び中間圧レシーバ27を覆う保冷材の厚さを小さくしたり、又は、保冷材を省略することができる。
【0098】
<G>
また、コンテナ用冷凍装置1では、サイクル性能を向上させるための過冷却熱交換器28について、低圧側に設けられる蒸発器24の設計圧力を低く抑えるという観点から、上記のような接続位置や冷却源を採用しているが、この構成は、通常運転時における中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量を容易に最適な状態に保つ効果も有している。
【0099】
ここで、中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量は、冷媒回路10を循環する冷媒の流量(すなわち、冷媒循環流量)とのバランスで決まる。また、冷媒循環流量は、蒸発器24において要求される冷凍負荷(すなわち、要求冷凍負荷)によって変化する。そして、要求冷凍負荷の変化は、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHや冷媒回路10の蒸発温度Te(又は低圧Ps)の変化として現れる。このため、中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量は、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHや冷媒回路10の蒸発温度Te(又は低圧Ps)の変化に応じて、適切に変化させることが好ましい。
【0100】
これに対して、コンテナ用冷凍装置1では、まず、過冷却熱交換器28を中間圧レシーバ27に設けている。これにより、過冷却熱交換器28では、中間圧レシーバ27に存在する冷媒(すなわち、中間圧レシーバ側冷媒)の冷却が行われることになる。このとき、中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量は、過冷却熱交換器28の冷却源の温度の変化に応じて変化することになる。しかも、コンテナ用冷凍装置1では、過冷却熱交換器28の冷却源として蒸発器24の出口から圧縮機21の吸入に向かう冷媒(すなわち、吸入側冷媒)を使用している。これにより、過冷却熱交換器28では、吸入側冷媒によって、中間圧レシーバ側冷媒の冷却が行われることになるため、中間圧レシーバ側冷媒には、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHや冷媒回路10の蒸発温度Te(又は低圧Ps)の変化が現れやすくなっている。このため、過冷却熱交換器28における熱交換量も、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHや冷媒回路10の蒸発温度Te(又は低圧Ps)の変化に応じて変化し、その結果、中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量も変化することになる。また、吸入側冷媒は、冷凍サイクルの低圧のガス状態の冷媒であるのに対して、中間圧レシーバ側冷媒は、冷凍サイクルの中間圧の飽和状態又は気液二相状態の冷媒であり、両冷媒の温度が近い。このため、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHや冷媒回路10の蒸発温度Te(又は低圧Ps)の変化が、過冷却熱交換器28における両冷媒の温度差の変化として明確に現れやすくなっている。
【0101】
具体的には、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHが大きい場合や冷媒回路10の蒸発温度Te(又は低圧Ps)が高い場合には、要求冷凍負荷に対して冷媒循環流量が小さい傾向にある。このとき、過冷却熱交換器28では、中間圧レシーバ側冷媒と吸入側冷媒との温度差が小さくなるため、中間圧レシーバ側冷媒の冷却が抑えられて中間圧レシーバ内の冷媒貯留量が少なくなる。これにより、冷媒循環流量が大きくなり、要求冷凍負荷に対して最適な冷媒循環流量、すなわち、中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量が最適な状態に近づくことになる。また、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHが小さい場合や冷媒回路10の蒸発温度Te(又は低圧Ps)が低い場合には、要求冷凍負荷に対して冷媒循環流量が大きい傾向にある。このとき、過冷却熱交換器28では、中間圧レシーバ側冷媒と吸入側冷媒との温度差が大きくなるため、中間圧レシーバ側冷媒の冷却が促進されて中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量が多くなる。これにより、冷媒循環流量が小さくなり、要求冷凍負荷に対して最適な冷媒循環流量、すなわち、中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量が最適な状態に近づくことになる。
【0102】
このように、コンテナ用冷凍装置1では、サイクル性能を向上させるための過冷却熱交換器28について、上記のような接続位置や冷却源を採用することによって、中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量を最適な状態にする自己調整機能も発揮できるようになっている。また、コンテナ用冷凍装置1では、過熱度制御や低圧制御を行っているが、過冷却熱交換器28による中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量の自己調整機能によって、過熱度制御や低圧制御の収束性を向上させることにも寄与している。
【0103】
(4)変形例
上記実施形態のコンテナ用冷凍装置1では、膨張機構23として、レシーバ27の下流側の下流側膨張機構26が設けられているだけでなく、ガスクーラ22とレシーバ27との間に上流側膨張機構25がさらに設けられているが、図12に示すように、上流側膨張機構25を省略して、レシーバ27を高圧レシーバとして機能させるようにしてもよい。
【0104】
ここでは、ポンプダウン運転時だけでなく、通常運転時もレシーバ27が高圧レシーバとして機能することになるが、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、蒸発器24の設計圧力を低く抑えるという課題については、上記実施形態と共通している。
【0105】
そして、本変形例の構成においても、上記実施形態と同様のポンプダウン運転を行うことによって、冷媒として二酸化炭素を使用した超臨界冷凍サイクルを採用するにあたり、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、蒸発器24の設計圧力を低く抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、コンテナ用冷凍装置に対して、広く適用可能である。
【符号の説明】
【0107】
1 コンテナ用冷凍装置
21 圧縮機
22 ガスクーラ
23 膨張機構
24 蒸発器
10 冷媒回路
25 上流側膨張機構(第2膨張機構)
26 下流側膨張機構(第1膨張機構)
27 中間圧レシーバ(レシーバ)
28 過冷却熱交換器
37 庫内側ファン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】
【特許文献1】特開2011−112270号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ用冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンテナ用冷凍装置は、特許文献1(特開2011−112270号公報)に記載されているように、主として、圧縮機と、凝縮器と、膨張機構と、蒸発器とが順次接続された冷媒回路を有している。
【0003】
このコンテナ用冷凍装置では、以下のような冷媒回路の動作によって、コンテナの庫内の冷却を行う。まず、低圧の冷媒は、圧縮機において圧縮されて高圧の冷媒になる。そして、この高圧の冷媒は、凝縮器において冷却されて凝縮する。そして、この高圧の冷媒は、膨張機構において低圧になるまで減圧される。そして、この低圧の冷媒は、蒸発器において加熱されて蒸発し、庫内空気を冷却する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のコンテナ用冷凍装置では、従来からフロン系冷媒が使用されているが、近年、環境問題の観点から、フロン系冷媒を二酸化炭素のような自然冷媒に変更することが考えられている。
【0005】
しかし、コンテナ用冷凍装置において、冷媒として二酸化炭素を使用すると、圧縮機から吐出される冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を超える圧力となる超臨界冷凍サイクルになる。このため、フロン系冷媒を使用する場合に比べて、運転圧力が高くなり、冷媒回路を構成する機器の設計圧力を低く高くする必要がある。また、通常運転の停止時においては、冷媒回路が均圧された状態となるが、外気温度が高い条件においては、この均圧圧力も上昇するため、特に、冷媒回路の低圧側に設けられる蒸発器の設計圧力を低く抑えることが難しくなる。
【0006】
本発明の課題は、コンテナ用冷凍装置において、冷媒として二酸化炭素を使用した超臨界冷凍サイクルを採用するにあたり、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、低圧側に設けられる蒸発器の設計圧力を低く抑えることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点にかかるコンテナ用冷凍装置は、圧縮機と、ガスクーラと、第1膨張機構と、蒸発器とが順次接続された冷媒回路を有している。冷媒回路は、冷媒として二酸化炭素を使用しており、圧縮機から吐出される冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を超える圧力になる超臨界冷凍サイクルを行うものである。ガスクーラと第1膨張機構との間には、冷媒を貯留するレシーバが設けられている。そして、レシーバには、蒸発器の出口から圧縮機の吸入に向かう冷媒によって、レシーバに存在する冷媒を冷却する過冷却熱交換器が設けられており、通常運転の停止時に、第1膨張機構を少し開けた状態で、ガスクーラ及びレシーバに冷媒を溜め込むポンプダウン運転を行う。
【0008】
このコンテナ用冷凍装置では、冷媒として二酸化炭素を使用しているため、フロン系冷媒を使用する場合に比べて、サイクル性能が低下する傾向にある。このため、このコンテナ用冷凍装置では、サイクル性能を向上させるために、ガスクーラによって冷却された冷媒をさらに冷却する過冷却熱交換器を設けるようにしている。
【0009】
ここで、サイクル性能を向上させるという観点だけを考慮すると、過冷却熱交換器は、ガスクーラと蒸発器との間であればどこに接続してもよいし、また、過冷却熱交換器の冷却源も限定されるものではない。
【0010】
また、このコンテナ用冷凍装置では、冷媒として二酸化炭素を使用しており、回収の必要がないため、ガスクーラ及びレシーバに冷媒を溜め込むポンプダウン運転を行う必要がない。
【0011】
しかし、このコンテナ用冷凍装置では、上記のように、冷媒として二酸化炭素を使用した超臨界冷凍サイクルを採用するにあたり、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、低圧側に設けられる蒸発器の設計圧力を低く抑えるという課題がある。
【0012】
このため、このコンテナ用冷凍装置では、過冷却熱交換器の接続位置や冷却源、及び、ポンプダウン運転の要否について、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、低圧側に設けられる蒸発器の設計圧力を低く抑えるという観点も考慮して決定することが好ましい。ここで、低圧側に設けられる蒸発器の設計圧力の抑制の程度は、庫内の冷却を行う通常運転の停止時のガスクーラ及びレシーバ内に貯留される冷媒の量(すなわち、冷媒貯留量)とのバランスで決まる。また、冷媒として二酸化炭素を使用するため、ガスクーラ及びレシーバ内に貯留される冷媒は、超臨界状態で貯留されることになる。このため、ガスクーラ及びレシーバ内の冷媒貯留量は、冷媒の温度によって大きく異なるため、できるだけ低い温度で冷媒を貯留することが好ましい。
【0013】
そこで、このコンテナ用冷凍装置では、まず、通常運転の停止時に、ガスクーラ及びレシーバに冷媒を溜め込むポンプダウン運転を行うようにしている。これにより、冷媒回路内の冷媒が、超臨界状態ではあるものの、ガスクーラ及びレシーバ内に貯留されることになる。しかも、このコンテナ用冷凍装置では、過冷却熱交換器をレシーバに設けている。これにより、ポンプダウン運転において、レシーバ内に貯留される冷媒の冷却が行われることになるため、レシーバ内に冷媒を低い温度で貯留することができるようになる。また、通常のポンプダウン運転は、冷媒回路のレシーバの下流を閉塞させて冷媒を循環させない状態で行うところ、ここでは、レシーバの下流に位置する第1膨張機構を少し開けた状態で行うようにしている。すなわち、過冷却熱交換器の冷却源である蒸発器の出口から圧縮機の吸入に向かう冷媒の流れを確保した状態でポンプダウン運転を行うようにしている。このため、ポンプダウン運転において、レシーバ内に貯留される冷媒の冷却が促進されて、レシーバ内の冷媒貯留量を多くすることができる。これにより、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇が抑えられて、低圧側に設けられる蒸発器の設計圧力を低く抑えることができるようになる。
【0014】
このように、このコンテナ用冷凍装置では、サイクル性能を向上させるための過冷却熱交換器について、上記のような接続位置や冷却源を採用するとともに、通常運転の停止時に、第1膨張機構を少し開けた状態でポンプダウン運転を行うようにしている。これにより、このコンテナ用冷凍装置では、冷媒として二酸化炭素を使用した超臨界冷凍サイクルを採用するにあたり、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、低圧側に設けられる蒸発器の設計圧力を低く抑えることができる。
【0015】
第2の観点にかかるコンテナ用冷凍装置は、第1の観点にかかるコンテナ用冷凍装置において、第1膨張機構が、ポンプダウン運転時に、冷媒回路の高圧が所定の高圧値になる開度に、及び/又は、冷媒回路の低圧が所定の低圧値になる開度に設定される。
【0016】
このコンテナ用冷凍装置では、ポンプダウン運転時に、冷媒回路の高圧や低圧に基づいて第1膨張機構の開度を設定しているため、ポンプダウン運転時に、第1膨張機構を少し開いた状態を維持することができる。これにより、このコンテナ用冷凍装置では、レシーバ内の冷媒を冷却しつつポンプダウン運転を行うことができる。
【0017】
第3の観点にかかるコンテナ用冷凍装置は、第1又は第2の観点にかかるコンテナ用冷凍装置において、蒸発器に空気を送るための庫内側ファンをさらに有しており、庫内側ファンが、ポンプダウン運転時に停止される。
【0018】
このコンテナ用冷凍装置では、ポンプダウン運転時に、蒸発器における冷媒の加熱をできるだけ抑えることができる。これにより、このコンテナ用冷凍装置では、過冷却熱交換器の冷却源である蒸発器の出口から圧縮機の吸入に向かう冷媒の温度をできるだけ低い温度に維持して、レシーバ内の冷媒をできるだけ低い温度まで冷却することができる。
【0019】
第4の観点にかかるコンテナ用冷凍装置は、第1〜第3の観点のいずれかにかかるコンテナ用冷凍装置において、ガスクーラとレシーバとの間に、第2膨張機構がさらに設けられており、ポンプダウン運転が、第2膨張機構を開けた状態で行われる。
【0020】
このコンテナ用冷凍装置では、通常運転時に、レシーバが冷凍サイクルの中間圧の冷媒を貯留するための中間圧レシーバとして機能し、ポンプダウン運転時に、レシーバが冷凍サイクルの高圧の冷媒を貯留するための高圧レシーバとして機能することになる。このため、このコンテナ用冷凍装置では、通常運転時に、冷媒をレシーバ内に液状態で貯留することができる。これにより、このコンテナ用冷凍装置では、ポンプダウン運転時におけるレシーバ内の冷媒貯留量と、通常運転時におけるレシーバ内の冷媒貯留量との間の冷媒貯留量差が大きくなる傾向にある。
【0021】
しかし、このコンテナ用冷凍装置では、上記のように、ポンプダウン運転時に、第1膨張機構を少し開けた状態にして過冷却熱交換器によるレシーバ内の冷媒の冷却を行うようにしているため、ポンプダウン運転時と通常運転時との間の冷媒貯留量差をできるだけ小さくすることができる。これにより、このコンテナ用冷凍装置では、通常運転時におけるレシーバの冷媒貯留量に近い容積を有するレシーバを選定することができるため、レシーバによるコストアップを抑えることができる。
【0022】
第5の観点にかかるコンテナ用冷凍装置は、第1〜第4の観点のいずれかにかかるコンテナ用冷凍装置において、ポンプダウン運転が、通常運転の停止時において、冷媒回路が所定の圧力条件を満たす場合に行われる。
【0023】
このコンテナ用冷凍装置では、庫外温度が高い場合や冷媒回路の低圧側の圧力が高い場合等のように、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇が大きい場合だけに、ポンプダウン運転を行うことができる。これにより、このコンテナ用冷凍装置では、庫外温度が低い場合や冷媒回路の低圧側の圧力が低い場合等のように、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇が小さい場合には、ポンプダウン運転を行わずに済ませることができる。
【0024】
第6の観点にかかるコンテナ用冷凍装置は、第1〜第5の観点のいずれかにかかるコンテナ用冷凍装置において、レシーバ及び過冷却熱交換器が、庫内側空間に配置されている。
【0025】
このコンテナ用冷凍装置では、ポンプダウン運転時を含む通常運転の停止時に、レシーバ及び過冷却熱交換器の温度上昇をできるだけ抑えることができる。これにより、このコンテナ用冷凍装置では、ポンプダウン運転時には、レシーバ内に貯留された冷媒の温度をできるだけ低く維持することができ、また、過冷却熱交換器及びレシーバを覆う保冷材の厚さを小さくしたり、又は、保冷材を省略することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0027】
第1の観点にかかるコンテナ用冷凍装置では、通常運転の停止時に、第1膨張機構を少し開けた状態にして過冷却熱交換器によるレシーバ内の冷媒の冷却を行いつつ、ポンプダウン運転を行うことによって、冷媒として二酸化炭素を使用した超臨界冷凍サイクルを採用するにあたり、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、低圧側に設けられる蒸発器の設計圧力を低く抑えることができる。
【0028】
第2の観点にかかるコンテナ用冷凍装置では、ポンプダウン運転時に、冷媒回路の高圧や低圧に基づいて第1膨張機構の開度を設定しているため、ポンプダウン運転時に、第1膨張機構を少し開いた状態を維持して、レシーバ内の冷媒を冷却しつつポンプダウン運転を行うことができる。
【0029】
第3の観点にかかるコンテナ用冷凍装置では、ポンプダウン運転時に、蒸発器における冷媒の加熱をできるだけ抑えることができるため、過冷却熱交換器の冷却源である蒸発器の出口から圧縮機の吸入に向かう冷媒の温度をできるだけ低い温度に維持して、レシーバ内の冷媒をできるだけ低い温度まで冷却することができる。
【0030】
第4の観点にかかるコンテナ用冷凍装置では、通常運転時に、レシーバが冷凍サイクルの中間圧の冷媒を貯留するための中間圧レシーバとして機能することになるが、ポンプダウン運転時に、第1膨張機構を少し開けた状態にして過冷却熱交換器によるレシーバ内の冷媒の冷却を行うようにしているため、ポンプダウン運転時と通常運転時との間の冷媒貯留量差をできるだけ小さくして、通常運転時におけるレシーバの冷媒貯留量に近い容積を有するレシーバを選定することができ、レシーバによるコストアップを抑えることができる。
【0031】
第5の観点にかかるコンテナ用冷凍装置では、庫外温度が高い場合や冷媒回路の低圧側の圧力が低い場合等のように、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇が大きい場合だけに、ポンプダウン運転を行うことができるため、庫外温度が低い場合や冷媒回路の低圧側の圧力が低い場合等のように、冷媒回路の低圧側の均圧圧力の上昇が小さい場合には、ポンプダウン運転を行わずに済ませることができる。
【0032】
第6の観点にかかるコンテナ用冷凍装置では、ポンプダウン運転時を含む通常運転の停止時に、レシーバ及び過冷却熱交換器の温度上昇をできるだけ抑えることができるため、ポンプダウン運転時には、レシーバ内に貯留された冷媒の温度をできるだけ低く維持することができ、また、過冷却熱交換器及びレシーバを覆う保冷材の厚さを小さくしたり、又は、保冷材を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態にかかるコンテナ用冷凍装置が設けられたコンテナの外観を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるコンテナ用冷凍装置の概略正面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるコンテナ用冷凍装置の概略側面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるコンテナ用冷凍装置の概略冷媒回路図である。
【図5】中間圧レシーバ及び過冷却熱交換器の概略構成図である。
【図6】中間圧レシーバ及び過冷却熱交換器の概略構成図である。
【図7】コンテナ用冷凍装置の制御ブロック図である。
【図8】通常運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。
【図9】通常運転の停止時に行うポンプダウン運転のフローチャートである。
【図10】ポンプダウン運転時の冷媒の流れを示すコンテナ用冷凍装置の概略冷媒回路図である。
【図11】ポンプダウン運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。
【図12】変形例にかかるコンテナ用冷凍装置の概略冷媒回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明にかかるコンテナ用冷凍装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、本発明にかかるコンテナ用冷凍装置の具体的な構成は、下記の実施形態及びその変形例に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0035】
(1)コンテナ用冷凍装置の構成
図1〜図7は、本発明の一実施形態にかかるコンテナ用冷凍装置1を示している。ここで、図1は、本発明のコンテナ用冷凍装置1が設けられたコンテナ2の外観を示す分解斜視図である。図2は、コンテナ用冷凍装置1の概略正面図である。図3は、コンテナ用冷凍装置1の概略側面図である。図4は、コンテナ用冷凍装置1の概略冷媒回路図である。図5及び図6は、中間圧レシーバ27及び過冷却熱交換器28の概略構成図である。図7は、コンテナ用冷凍装置1の制御ブロック図である。
【0036】
コンテナ用冷凍装置1は、海上コンテナや陸上コンテナとして取り扱われるコンテナ2の開口面2aに装着されており、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、コンテナ2の庫内ISを冷却する装置である。コンテナ用冷凍装置1は、主として、コンテナ2の開口面2aを覆うフレーム3と、冷媒回路10と、庫外側ファン36と、庫内側ファン37とを有している。
【0037】
フレーム3は、その下部がコンテナ2の庫内IS側に向かって突出した形状を有しており、フレーム3の庫外OS側の下部には、庫外側ファン36、冷媒回路10を構成する圧縮機21やガスクーラ22等が配置される庫外側空間S1を形成している。また、フレーム3の庫内IS側には、フレーム3と間隔を空けて仕切板4が配置されている。この仕切板4は、サポート(図示せず)を介してフレーム3に装着されている。そして、フレーム3と仕切板4との間には、庫内側ファン37、冷媒回路10を構成する蒸発器23等が配置される庫内側空間S2を形成している。また、仕切板4の上部には、コンテナ2の庫内ISの空気を庫内側空間S2に吸入するための吸入口4aが形成されており、仕切板4の下部には、庫内側空間S2の空気を庫内ISに吹き出すための吹出口4bが形成されている。
【0038】
冷媒回路10は、主として、圧縮機21と、ガスクーラ22と、膨張機構23と、蒸発器24とを有しており、これらの機器21〜24等が順次接続されることによって構成されている。そして、冷媒回路10は、冷媒として二酸化炭素を使用しており、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力(すなわち、冷凍サイクルにおける高圧)が冷媒の臨界圧力を超える圧力になる超臨界冷凍サイクルを行うものである。
【0039】
圧縮機21は、冷媒を圧縮(ここでは、冷媒の臨界圧力を超える圧力になるまで圧縮)する機器であり、庫外側空間S1に配置されている。圧縮機21は、主として、低段側圧縮機21aと、高段側圧縮機21bとを有している。低段側圧縮機21aは、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)を低段側圧縮機モータ31aによって回転駆動する密閉式構造となっている。また、高段側圧縮機21bは、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素(図示せず)を高段側圧縮機モータ31bによって回転駆動する密閉式構造となっている。ここでは、圧縮機モータ31a、31bとして、インバータにより制御される回転数(周波数)可変式のモータが使用されている。低段側圧縮機21aは、吸入側に吸入冷媒管32が接続されており、吐出側に中間冷媒管33が接続されている。高段側圧縮機21bは、吸入側に中間冷媒管33が接続されており、吐出側に吐出冷媒管34が接続されている。これにより、低段側圧縮機21aと高段側圧縮機21bとは、直列に接続されており、冷媒を順次圧縮する多段(ここでは、2段)圧縮機を構成している。また、中間冷媒管33には、低段側逆止機構33aが設けられており、吐出冷媒管34には、高段側逆止機構34aが設けられている。低段側逆止機構33aは、低段側圧縮機21aの吐出側から高段側圧縮機21bの吸入側への冷媒の流れを許容し、かつ、高段側圧縮機21bの吸入側から低段側圧縮機21aの吐出側への冷媒の逆流れを遮断するための機構である。高段側逆止機構34aは、高段側圧縮機21bの吐出側からガスクーラ22の入口側への冷媒の流れを許容し、かつ、ガスクーラ22の入口側から高段側圧縮機21aの吐出側への冷媒の逆流れを遮断するための機構である。ここでは、逆止機構33a、34aとして、逆止弁が使用されている。尚、ここでは、圧縮機21として、2段圧縮機を採用しているが、3段以上の多段圧縮機であってもよいし、単段圧縮機であってもよい。また、ここでは、1つの圧縮要素に1つの駆動モータが連結された2つの圧縮機21a、21bを直列接続することによって多段圧縮機を構成しているが、複数の圧縮要素を共通の駆動モータによって連結することによって多段圧縮機を構成してもよい。
【0040】
ガスクーラ22は、圧縮機21において圧縮された高圧の冷媒の放熱を行う機器であり、庫外側空間S1に配置されている。ガスクーラ22は、ここでは、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、庫外空気を冷却源として高圧の冷媒の放熱を行うようになっている。ガスクーラ22は、入口が吐出冷媒管34に接続されており、出口が液冷媒管35に接続されている。そして、ガスクーラ22の冷却源としての庫外空気は、庫外側ファン36によって供給されるようになっている。庫外側ファン36は、庫外側空間S1に配置されており、ここでは、プロペラファンが使用されている。庫外側ファン36は、庫外側ファンモータ36aによって回転駆動されるようになっている。尚、ここでは、ガスクーラ22として、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を採用しているが、他の型式の熱交換器であってもよい。
【0041】
膨張機構23は、ガスクーラ22において放熱した高圧の冷媒を冷凍サイクルにおける低圧になるまで減圧するための機構であり、庫内側空間S2に配置されている。膨張機構23は、液冷媒管35に設けられており、主として、冷媒を減圧する上流側膨張機構25(第2膨張機構)と、上流側膨張機構25において減圧された冷媒を減圧する下流側膨張機構26(第1膨張機構)とを有している。具体的には、上流側膨張機構25は、ガスクーラ22において放熱した後の高圧の冷媒を冷凍サイクルにおける中間圧になるまで減圧するための機構である。下流側膨張機構26は、上流側膨張機構25において減圧された後の中間圧の冷媒を低圧になるまで減圧するための機構である。ここでは、膨張機構25、26として、電動膨張弁が使用されている。
【0042】
また、液冷媒管35には、上流側膨張機構25と下流側膨張機構26との間の部分に、上流側膨張機構25において減圧された冷媒を貯留する中間圧レシーバ27が設けられている。中間圧レシーバ27は、ここでは、円筒形状の容器であり、庫内側空間S2に配置されている。中間圧レシーバ27に流入する中間圧の冷媒は、上流側膨張機構25において冷媒の臨界圧力以下の圧力まで減圧されて飽和状態又は気液二相状態になっているため、液状態で中間圧レシーバ27に貯留されることになる。
【0043】
また、中間圧レシーバ27には、蒸発器24の出口から圧縮機21の吸入に向かう冷媒(すなわち、吸入側冷媒)によって、中間圧レシーバ27に存在する冷媒(すなわち、中間圧レシーバ側冷媒)を冷却する過冷却熱交換器28が設けられている。過冷却熱交換器28は、ここでは、中間圧レシーバ27に設けられて一体化しており、庫内側空間S2に配置されている。具体的には、過冷却熱交換器28は、吸入冷媒管31に設けられた直管状の伝熱管28aが中間圧レシーバ27の円筒部分に接するように設けられており、これにより、吸入側冷媒によって中間圧レシーバ側冷媒を冷却する熱交換器を構成している。尚、過冷却熱交換器28が中間圧レシーバ27に設けられて一体化した構造は、図5に示すものに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、コイル状の伝熱管28bが中間圧レシーバ27の円筒部分を取り巻くように設けられて中間圧レシーバ27に一体化した構造の過冷却熱交換器28であってもよい。
【0044】
蒸発器24は、膨張機構23において減圧された低圧の冷媒の蒸発を行う機器であり、庫内側空間S2に配置されている。蒸発器24は、ここでは、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、庫内空気を加熱源として低圧の冷媒の蒸発を行い、これにより、庫内空気を冷却するようになっている。蒸発器24は、入口が液冷媒管35に接続されており、出口が吸入冷媒管32に接続されている。そして、蒸発器24の加熱源としての庫内空気は、庫内側ファン37によって供給されるようになっている。庫内側ファン37は、庫内側空間S2に配置されており、ここでは、2つのプロペラファンが使用されている。庫内側ファン37は、庫内側ファンモータ37aによって回転駆動されるようになっている。尚、ここでは、蒸発器24として、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を採用しているが、他の型式の熱交換器であってもよい。
【0045】
また、中間冷媒管33には、低段側圧縮機21aから吐出された冷媒の放熱を行うインタークーラ38が設けられている。インタークーラ38は、庫外側空間S1に配置されている。インタークーラ38は、ここでは、伝熱管と多数のフィンとにより構成されたクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、庫外空気を冷却源として低段側圧縮機21aから吐出された冷媒の放熱を行うようになっている。また、ここでは、インタークーラ38は、ガスクーラ22と一体化している。そして、インタークーラ38の冷却源としての庫外空気は、ガスクーラ22と同様に、庫外側ファン36によって供給されるようになっている。尚、ここでは、インタークーラ38として、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器を採用しているが、他の型式の熱交換器であってもよい。尚、ここでは、サイクル性能を向上させるために、インタークーラ38を冷媒回路10に設けるようにしているが、インタークーラ38がなくても所望のサイクル性能が得られる場合には、冷媒回路10から省略してもよい。
【0046】
また、液冷媒管35には、ガスクーラ22の出口と上流側膨張機構25との間の部分に、ガスクーラ22の出口から上流側膨張機構25に至るまでの間を流れる冷媒を冷却するエコノマイザ熱交換器39が設けられている。エコノマイザ熱交換器39は、庫外側空間S1に配置されている。エコノマイザ熱交換器39は、ここでは、プレート型熱交換器であり、高圧側流路39aを流れる冷媒と中間圧側流路39bを流れる冷媒とが熱交換するようになっている。高圧側流路39aには、液冷媒管35のガスクーラ22の出口側と上流側膨張機構25との間の部分を流れる高圧の冷媒が流れるようになっている。中間圧側流路39bには、液冷媒管35のガスクーラ22の出口側と上流側膨張機構25との間の部分から分岐された中間圧インジェクション管40を流れる中間圧の冷媒が流れるようになっている。中間圧インジェクション管40は、ここでは、液冷媒管35のガスクーラ22の出口側とエコノマイザ熱交換器39の高圧側流路39aとの間の部分から分岐している。尚、中間圧インジェクション管40は、エコノマイザ熱交換器39の高圧側流路39aの出口と上流側膨張機構25との間の部分から分岐していてもよい。また、中間圧インジェクション管40は、中間冷媒管33のインタークーラ38の出口側と高段側圧縮機21bの吸入との間の部分に合流している。そして、中間圧インジェクション管40には、中間圧側流路39bの入口側の部分に、中間圧戻し膨張機構41が設けられている。中間圧戻し膨張機構41は、中間圧インジェクション管40に分岐された高圧の冷媒を中間圧になるまで減圧するための機構であり、庫外側空間S1に配置されている。ここでは、中間圧戻し膨張機構41として、電動膨張弁が使用されている。尚、ここでは、サイクル性能を向上させるために、エコノマイザ熱交換器39及び中間圧インジェクション管40を冷媒回路10に設けるようにしている。しかし、エコノマイザ熱交換器39及び中間圧インジェクション管40がなくても所望のサイクル性能が得られる場合には、冷媒回路10から省略してもよい。
【0047】
また、吐出冷媒管34には、高段側逆止機構34aとガスクーラ22の入口との間の部分に、蒸発器24の除霜運転や再熱運転の際に開閉又は開度調節される吐出流量調整機構42が設けられている。吐出流量調整機構42は、庫外側空間S1に配置されている。ここでは、吐出流量調整機構42として、電動膨張弁が使用されている。また、吐出冷媒管34には、高段側逆止機構34aと吐出流量調整機構42との間の部分から、加熱用冷媒管43が分岐されている。加熱用冷媒管43は、液冷媒管35の下流側膨張機構26と蒸発器24との間の部分に合流している。加熱用冷媒管43は、主として、再熱用冷媒管44と、除霜用冷媒管45とを有している。再熱用冷媒管44には、電磁弁からなる再熱側開閉機構46と、蒸発器24の風下側に配置された再熱コイル47と、キャピラリチューブからなる再熱側減圧機構48とが設けられている。これにより、吐出流量調整機構42の開度を調節し、かつ、再熱側開閉機構46を開けることによって、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒の一部を再熱コイル47に供給して、蒸発器24によって冷却された庫内空気を再加熱する再熱運転を行うことができる。除霜用冷媒管45は、ドレンパン加熱用冷媒管49と、蒸発器加熱用冷媒管50とに分岐している。除霜用冷媒管45は、ドレンパン加熱用冷媒管49と蒸発器加熱用冷媒管50との分岐部分に、電磁弁からなる除霜側開閉機構51が設けられている。ドレンパン加熱用冷媒管49には、蒸発器24及び再熱コイル47の下側に設けられたドレンパン(図示せず)に配置されたドレンパンヒータ52が設けられている。これにより、吐出流量調整機構42を閉止し、かつ、除霜側開閉機構51を開けることによって、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒を、ドレンパンヒータ52に供給しつつ蒸発器24に直接的に供給して、蒸発器24の除霜運転を行うことができる。尚、ここでは、蒸発器24の除霜運転や再熱運転のために、加熱用冷媒管43及び吐出流量調整機構42を冷媒回路10に設けるようにしているが、除霜運転や再熱運転のための構成はこれに限定されるものではなく、他の構成よって除霜運転や再熱運転を行うようにしてもよい。
【0048】
また、コンテナ用冷凍装置1には、各種のセンサやスイッチが設けられている。具体的には、吸入冷媒管32には、圧縮機21(低段側圧縮機21a)に吸入される低圧の冷媒の圧力Psを検出する吸入圧力センサ53が設けられている。ここで、吸入圧力センサ53によって検出される低圧の冷媒の圧力Psを冷媒の飽和温度に換算することによって、冷媒回路10の蒸発温度Teが得られる。また、吸入冷媒管32には、圧縮機21(低段側圧縮機21a)に吸入される低圧の冷媒の温度Tsを検出する吸入温度センサ54が設けられている。さらに、吸入冷媒管32には、蒸発器24の出口における低圧の冷媒の温度Teoを検出する蒸発器出口温度センサ55が設けられている。ここで、温度Teoから蒸発温度Teを減算することによって、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHが得られる。吐出冷媒管34には、圧縮機21(高段側圧縮機21b)から吐出される高圧の冷媒の圧力Tdを検出する吐出圧力センサ56が設けられている。また、吐出冷媒管34には、圧縮機21(高段側圧縮機21b)から吐出される高圧の冷媒の温度を検出する吐出温度センサ57が設けられている。さらに、吐出冷媒管34には、圧縮機21(高段側圧縮機21b)から吐出される高圧の冷媒の異常高圧を検出して圧縮機21を停止させる吐出圧力スイッチ58が設けられている。また、庫外ファン36の近傍には、庫外温度Taを検出する庫外温度センサ59が設けられており、庫内ファン37の近傍(仕切板4の吸入口4aの近傍)には、庫内温度Trを検出する庫内温度センサ60が設けられている。
【0049】
また、コンテナ用冷凍装置1は、コンテナ用冷凍装置1を構成する圧縮機21、ファン36、37、膨張機構23等の各部の動作を制御するための制御部7を有している。制御部6は、マイクロコンピュータやメモリ等を有しており、各種運転設定や各種センサの検出値等に基づいて、コンテナ用冷凍装置1を構成する各部の動作を制御するようになっている。
【0050】
(2)コンテナ用冷凍装置の動作
次に、図4及び図8〜図11を用いて、コンテナ用冷凍装置1の通常運転の動作、及び、通常運転の停止時に行うポンプダウン運転の動作について説明する。ここで、図8は、通常運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。図9は、通常運転の停止時に行うポンプダウン運転のフローチャートである。図10は、ポンプダウン運転時の冷媒の流れを示すコンテナ用冷凍装置1の概略冷媒回路図である。図11は、ポンプダウン運転時の冷凍サイクルが図示された圧力−エンタルピ線図である。
【0051】
<通常運転>
通常運転は、冷媒回路10が、吐出流量調整機構42が全開、そして、再熱側開閉機構46及び除霜側開閉機構51が全閉の状態で行われる。
【0052】
このような冷媒回路10の状態において、低圧の冷媒(図4及び図8の点A参照)は、吸入冷媒管32から圧縮機21に吸入され、まず、低段側圧縮機21aによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管33に吐出される(図4及び図8の点B参照)。
【0053】
この低段側圧縮機21aから吐出された中間圧の冷媒は、低段側逆止機構33aを通じて、インタークーラ38に送られる。このインタークーラ38に送られた中間圧の冷媒は、インタークーラ38において、庫外ファン36によって供給される庫外空気と熱交換を行って放熱する(図4及び図8の点C参照)。
【0054】
このインタークーラ38において放熱した中間圧の冷媒は、中間圧インジェクション管40から中間冷媒管33に戻される冷媒(図4及び図8の点M参照)と合流することによって、さらに冷却される(図4及び図8の点D参照)。
【0055】
この中間圧インジェクション管40から戻る冷媒と合流した中間圧の冷媒は、高段側圧縮機21bに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機21から吐出冷媒管34に吐出される(図4及び図8の点E参照)。ここで、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、圧縮機21a、21bによる二段圧縮動作によって、冷媒の臨界圧力(図8の圧力Pcp参照)を超える圧力まで圧縮されている。
【0056】
この圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出流量調整機構42を通じて、ガスクーラ22に送られる。
【0057】
このガスクーラ22に送られた高圧の冷媒は、ガスクーラ22において、庫外ファン36によって供給される庫外空気と熱交換を行って放熱し、液冷媒管35に送られる(図4及び図8の点F参照)。
【0058】
このガスクーラ22において放熱した高圧の冷媒は、一部が中間圧インジェクション管40に分岐され、残りがエコノマイザ熱交換器39の高圧側流路39aに送られる。そして、中間圧インジェクション管40を流れる高圧の冷媒は、中間圧戻し膨張機構41において、中間圧になるまで減圧される(図4及び図8の点L参照)。この中間圧戻し膨張機構41において減圧された中間圧の冷媒は、エコノマイザ熱交換器39の中間圧側流路39bに送られる。そして、エコノマイザ熱交換器39の高圧側流路39aに送られた高圧の冷媒は、エコノマイザ熱交換器39の中間圧側流路39bに送られた中間圧の冷媒と熱交換を行って冷却されて(図4及び図8の点G参照)、上流側膨張機構25に送られる。このとき、エコノマイザ熱交換器39の中間圧側流路39bに送られた中間圧の冷媒は、エコノマイザ熱交換器39の高圧側流路39aに送られた高圧の冷媒との熱交換によって加熱され(図4及び図8の点M参照)、中間冷媒管33を流れる冷媒に合流する。
【0059】
エコノマイザ熱交換器39において冷却された高圧の冷媒は、上流側膨張機構25において、中間圧になるまで減圧されて、飽和状態又は気液二相状態になる(図4及び図8の点H参照)。
【0060】
この上流側膨張機構25において減圧された中間圧の冷媒は、中間圧レシーバ27に流入して、中間圧レシーバ27に液状態で一時的に貯留される。この中間圧レシーバ27に一時的に貯留された中間圧の冷媒は、中間圧レシーバ27において、中間圧レシーバ27に設けられた過冷却熱交換器28の伝熱管28a(又は28b)を流れる低圧の冷媒と熱交換を行ってさらに冷却される。(図4及び図8の点I参照)。ここで、過冷却熱交換器28の伝熱管28a(又は28b)を流れる低圧の冷媒は、蒸発器24の出口から圧縮機21の吸入に向かう吸入冷媒管32を流れる低圧の冷媒であり、この低圧の冷媒が過冷却熱交換器28の冷却源となっている。そして、この過冷却熱交換器28において冷却されるとともに中間圧レシーバ27に一時的に貯留された中間圧の冷媒は、下流側膨張機構26に送られて、低圧になるまで減圧される(図4及び図8の点J参照)。
【0061】
この下流側膨張機構26において減圧された低圧の冷媒は、蒸発器24に送られて、庫内ファン37によって供給される庫内空気と熱交換を行って蒸発し、吸入冷媒管32に送られる(図4及び図8の点K参照)。
【0062】
この吸入冷媒管32に送られた低圧の冷媒は、上記のように、過冷却熱交換器28の伝熱管28a(又は28b)に送られて、中間圧レシーバ27に存在する冷媒と熱交換を行って加熱され、再び、圧縮機21に吸入される(図4及び図8の点A参照)。
【0063】
このような通常運転において、制御部7は、庫内温度Trを設定された目標温度Trsに近づけるように、各部の動作を制御している。ここでは、制御部7は、主として、庫内温度Trと目標温度Trsとの温度差(すなわち、蒸発器24において要求される冷凍負荷)に基づいて、各部の動作を制御している。
【0064】
具体的には、まず、制御部7は、庫内温度Trと目標温度Trsとの温度差から、冷媒回路10の低圧Psの目標値Pss(低圧Psを蒸発温度Teに換算する場合には、目標値Tes)を決定している。
【0065】
そして、制御部7は、冷媒回路10の蒸発温度Te又は低圧Psが目標蒸発温度値Tes又は目標低圧値Pssで一定になるように、圧縮機21の圧縮機モータ31a、31bの回転数(周波数)を制御している(低圧制御)。すなわち、蒸発温度Te又は低圧Psが目標蒸発温度値Tes又は目標低圧値Pssよりも高い場合には、圧縮機21の圧縮機モータ31a、31bの回転数(周波数)を大きくする制御を行っている。逆に、蒸発温度Te又は低圧Psが目標蒸発温度値Tes又は目標低圧値Pssよりも低い場合には、圧縮機21の圧縮機モータ31a、31bの回転数(周波数)を小さくする制御を行っている。
【0066】
また、ここでは、制御部7は、冷媒回路10の高圧Pdが高圧目標値Pdsで一定になるように、上流側膨張機構25の開度を制御している(高圧制御)。すなわち、高圧Pdが高圧目標値Pdsよりも高い場合には、上流側膨張機構25の開度を大きくする制御を行っている。逆に、高圧Pdが高圧目標値Pdsよりも低い場合には、上流側膨張機構25の開度を小さくする制御を行っている。
【0067】
また、ここでは、制御部7は、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHが過熱度目標値SHsで一定になるように、下流側膨張機構26の開度を制御している(過熱度制御)。すなわち、過熱度SHが過熱度目標値SHsよりも高い場合には、下流側膨張機構26の開度を大きくする制御を行っている。逆に、過熱度SHが過熱度目標値SHsよりも小さい場合には、下流側膨張機構26の開度を小さくする制御を行っている。
【0068】
<ポンプダウン運転>
ポンプダウン運転は、通常運転の停止時における冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えるために、通常運転の停止時に、ガスクーラ22及び中間圧レシーバ27に冷媒を溜め込む運転である。このポンプダウン運転は、通常のポンプダウン運転とは異なり、下流側膨張機構26を少し開けた状態で行われる。このポンプダウン運転について、図9のフローチャートのステップST1〜ST5に沿って説明する。
【0069】
まず、ステップST1において、制御部7は、通常運転が停止しているかどうかを判定する。ここで、通常運転の停止時における冷媒回路10では、中間圧戻し膨張機構41、再熱側開閉機構46及び除霜側開閉機構51が全閉状態であり、吐出流量調整機構42及び上流側膨張機構25が全開状態であり、下流側膨張機構26が全開状態又は全閉状態である。そして、ステップST1において、通常運転が停止しているものと判定された場合には、ステップST2の処理に移行する。
【0070】
次に、ステップST2において、制御部7は、冷媒回路10が所定の圧力条件を満たすかどうかを判定する。ここで、このような判定を行うのは、庫外温度Taが低い場合や冷媒回路10の低圧側の圧力(例えば、定圧Ps)が低い場合等のように、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇が小さい場合には、ポンプダウン運転を行う必要がないからである。このため、所定の圧力条件としては、例えば、圧力Psが所定のポンプダウン開始圧力Pstaよりも高い場合という条件に設定される。または、庫外温度Taがポンプダウン開始圧力Pstaに等価な庫外温度よりも高い場合、すなわち、所定のポンプダウン開始温度Tstaよりも高い場合という条件に設定される。そして、ステップST2において、所定の圧力条件を満たすものと判定された場合には、ステップST3の処理に移行する。
【0071】
次に、ステップST3において、制御部7は、ポンプダウン運転を開始する。ポンプダウン運転は、下流側膨張機構26を少し開けた状態で、圧縮機21及び庫外側ファン36の運転を行うことによって開始される(図10の冷媒の流れを示す矢印参照)。
【0072】
ここで、下流側膨張機構26の開度は、冷媒回路10の高圧Pdが所定の高圧値になる開度に、及び/又は、冷媒回路10の低圧Psが所定の低圧値になる開度に設定される。ポンプダウン運転時は、ガスクーラ22や中間圧レシーバ27に溜め込む冷媒の量を増やすために、高圧Pdを通常運転時における高圧値よりも高い圧力にすることが好ましい。また、ポンプダウン運転時は、蒸発器24に残る冷媒の量を増やすために、低圧Psを通常運転時における低圧値よりも低い圧力にすることが好ましい。このため、ここでは、このような高圧Pdや低圧Psが得られるように、通常運転時における下流側膨張機構26の開度範囲よりも小さい開度に設定される。また、ここでは、庫内側ファン37が停止された状態で、ポンプダウン運転を行うようにしている。
【0073】
ポンプダウン運転が開始されると、低圧の冷媒(図10及び図11の点A参照)は、吸入冷媒管32から圧縮機21に吸入され、まず、低段側圧縮機21aによって中間圧まで圧縮された後に、中間冷媒管33に吐出される(図10及び図11の点B参照)。
【0074】
この低段側圧縮機21aから吐出された中間圧の冷媒は、低段側逆止機構33aを通じて、インタークーラ38に送られる。このインタークーラ38に送られた中間圧の冷媒は、インタークーラ38において、庫外ファン36によって供給される庫外空気と熱交換を行って放熱する(図10及び図11の点C参照)。ここでは、通常運転時とは異なり、中間圧インジェクション管40には冷媒が流れないため、インタークーラ38において放熱した中間圧の冷媒に、中間圧インジェクション管40から中間冷媒管33に戻される冷媒が合流することはない(図10及び図11の点D参照)。
【0075】
このインタークーラ38において放熱した中間圧の冷媒は、高段側圧縮機21bに吸入されてさらに圧縮されて、圧縮機21から吐出冷媒管34に吐出される(図10及び図11の点E参照)。ここで、圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、圧縮機21a、21bによる二段圧縮動作によって、冷媒の臨界圧力(図11の圧力Pcp参照)を超える圧力まで圧縮されている。ここでは、上記のように、下流側膨張機構26を少し開けた状態にしているため、ポンプダウン運転時における高圧Pdは、通常運転時における高圧よりも高い圧力になっている。
【0076】
この圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出流量調整機構42を通じて、ガスクーラ22に送られる。
【0077】
このガスクーラ22に送られた高圧の冷媒は、ガスクーラ22において、庫外ファン36によって供給される庫外空気と熱交換を行って放熱し、液冷媒管35に送られる(図10及び図11の点F参照)。ここでは、通常運転時とは異なり、中間圧インジェクション管40には冷媒が流れないため、ガスクーラ22において放熱した高圧の冷媒は、エコノマイザ熱交換器39において冷却されることはない(図10及び図11の点G参照)。
【0078】
このエコノマイザ熱交換器39を通過した高圧の冷媒は、上流側膨張機構25において、減圧されることなく高圧のままで中間圧レシーバ27に送られる(図10及び図11の点H参照)。
【0079】
この上流側膨張機構25を通過した高圧の冷媒は、中間圧レシーバ27に流入して、通常運転時とは異なり、高圧(臨界圧力を超える圧力)の状態で中間圧レシーバ27に貯留される。この中間圧レシーバ27に貯留された高圧の冷媒は、中間圧レシーバ27において、中間圧レシーバ27に設けられた過冷却熱交換器28の伝熱管28a(又は28b)を流れる低圧の冷媒と熱交換を行ってさらに冷却される。(図10及び図11の点I参照)。ここで、過冷却熱交換器28の伝熱管28a(又は28b)を流れる低圧の冷媒は、蒸発器24の出口から圧縮機21の吸入に向かう吸入冷媒管32を流れる低圧の冷媒であり、この低圧の冷媒が過冷却熱交換器28の冷却源となっている。そして、この過冷却熱交換器28において冷却されるとともに中間圧レシーバ27に貯留された高圧の冷媒の一部は、下流側膨張機構26に送られて、低圧になるまで減圧される(図10及び図11の点J参照)。ここでは、上記のように、下流側膨張機構26を少し開けた状態にしているため、ポンプダウン運転時における低圧Psは、通常運転時における低圧よりも低い圧力になっている。
【0080】
この下流側膨張機構26において減圧された低圧の冷媒は、蒸発器24に送られる。ここでは、通常運転時とは異なり、庫内ファン37が停止しているため、蒸発器24において、冷媒はほとんど蒸発することなく、吸入冷媒管32に送られる(図10及び図11の点K参照)。
【0081】
この吸入冷媒管32に送られた低圧の冷媒は、上記のように、過冷却熱交換器28の伝熱管28a(又は28b)に送られて、中間圧レシーバ27に存在する冷媒と熱交換を行って加熱され、再び、圧縮機21に吸入される(図10及び図11の点A参照)。
【0082】
次に、ステップST4において、制御部7は、ポンプダウン運転が所定時間行われたどうかを判定する。そして、ステップST4において、ポンプダウン運転が所定時間行われたものと判定された場合には、ステップST5の処理に移行して、ポンプダウ運転を終了する。ここで、ポンプダウン運転の終了後において、制御部7は、圧縮機21及び庫外ファン36を停止し、下流側膨張機構26を全閉状態にする。これにより、冷媒回路10は、蒸発器24を含む低圧側の部分と、ガスクーラ22及び中間圧レシーバ27を含む高圧側の部分とに、圧力レベルによって分けられた状態になる。ここで、冷媒回路10の低圧側の部分は、下流側膨張機構26から圧縮機21の低段側逆止機構33aまでの間の部分であり、冷媒回路10の高圧側の部分は、圧縮機21の高段側逆止機構34aから下流側膨張機構26までの間の高圧側の部分である。これにより、通常運転の停止時において、冷媒回路10の低圧側の部分の均圧圧力の上昇を抑えることができる。
【0083】
その後、庫外温度Taが高くなる等のように、冷媒回路10が、再び、ステップST2の所定の圧力条件を満たす状態になった場合には、上記のステップST3〜ST5の処理を行い、再び、冷媒回路10の低圧側の部分の均圧圧力の上昇を抑えることができる。
【0084】
(3)コンテナ用冷凍装置の特徴
本実施形態のコンテナ用冷凍装置1には、以下のような特徴がある。
【0085】
<A>
コンテナ用冷凍装置1では、冷媒として二酸化炭素を使用しているため、フロン系冷媒を使用する場合に比べて、サイクル性能が低下する傾向にある。このため、コンテナ用冷凍装置1では、サイクル性能を向上させるために、ガスクーラ22によって冷却された冷媒をさらに冷却する過冷却熱交換器28を設けるようにしている。
【0086】
ここで、サイクル性能を向上させるという観点だけを考慮すると、過冷却熱交換器28は、ガスクーラ22と蒸発器24との間であればどこに接続してもよいし、また、過冷却熱交換器28の冷却源も限定されるものではない。
【0087】
また、コンテナ用冷凍装置1では、冷媒として二酸化炭素を使用しており、回収の必要がないため、ガスクーラ22及び中間圧レシーバ27に冷媒を溜め込むポンプダウン運転を行う必要がない。
【0088】
しかし、コンテナ用冷凍装置1では、上記のように、冷媒として二酸化炭素を使用した超臨界冷凍サイクルを採用するにあたり、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、低圧側に設けられる蒸発器24の設計圧力を低く抑えるという課題がある。
【0089】
このため、コンテナ用冷凍装置1では、過冷却熱交換器28の接続位置や冷却源、及び、ポンプダウン運転の要否について、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、低圧側に設けられる蒸発器24の設計圧力を低く抑えるという観点も考慮して決定することが好ましい。ここで、低圧側に設けられる蒸発器24の設計圧力の抑制の程度は、庫内の冷却を行う通常運転の停止時のガスクーラ22及び中間圧レシーバ27内に貯留される冷媒の量(すなわち、冷媒貯留量)とのバランスで決まる。また、冷媒として二酸化炭素を使用するため、ガスクーラ22及び中間圧レシーバ27内に貯留される冷媒は、超臨界状態で貯留されることになる。このため、ガスクーラ22及び中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量は、冷媒の温度によって大きく異なるため、できるだけ低い温度で冷媒を貯留することが好ましい。
【0090】
そこで、コンテナ用冷凍装置1では、まず、通常運転の停止時に、ガスクーラ22及び中間圧レシーバ27に冷媒を溜め込むポンプダウン運転を行うようにしている。これにより、冷媒回路10内の冷媒が、超臨界状態ではあるものの、ガスクーラ22及び中間圧レシーバ27内に貯留されることになる。しかも、コンテナ用冷凍装置1では、過冷却熱交換器28を中間圧レシーバ27に設けている。これにより、ポンプダウン運転において、中間圧レシーバ27内に貯留される冷媒の冷却が行われることになるため、中間圧レシーバ27内に冷媒を低い温度で貯留することができるようになる。また、通常のポンプダウン運転は、冷媒回路10の中間圧レシーバ27の下流を閉塞させて冷媒を循環させない状態で行うところ、ここでは、中間圧レシーバ27の下流に位置する下流側膨張機構26を少し開けた状態で行うようにしている。すなわち、過冷却熱交換器28の冷却源である蒸発器24の出口から圧縮機21の吸入に向かう冷媒の流れを確保した状態でポンプダウン運転を行うようにしている。このため、ポンプダウン運転において、中間圧レシーバ27内に貯留される冷媒の冷却が促進されて、中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量を多くすることができる。これにより、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇が抑えられて、低圧側に設けられる蒸発器24の設計圧力を低く抑えることができるようになる。
【0091】
このように、コンテナ用冷凍装置1では、サイクル性能を向上させるための過冷却熱交換器28について、上記のような接続位置や冷却源を採用するとともに、通常運転の停止時に、下流側膨張機構26を少し開けた状態でポンプダウン運転を行うようにしている。これにより、コンテナ用冷凍装置1では、冷媒として二酸化炭素を使用した超臨界冷凍サイクルを採用するにあたり、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、低圧側に設けられる蒸発器24の設計圧力を低く抑えることができる。
【0092】
<B>
また、コンテナ用冷凍装置1では、ポンプダウン運転時に、冷媒回路10の高圧Pdや低圧Psに基づいて下流側膨張機構26の開度を設定しているため、ポンプダウン運転時に、下流側膨張機構26を少し開いた状態を維持することができる。これにより、コンテナ用冷凍装置1では、中間圧レシーバ27内の冷媒を冷却しつつポンプダウン運転を行うことができる。
【0093】
<C>
また、コンテナ用冷凍装置1では、ポンプダウン運転時に、庫内側ファン37を停止するようにしているため、蒸発器24における冷媒の加熱をできるだけ抑えることができる。これにより、コンテナ用冷凍装置1では、過冷却熱交換器28の冷却源である蒸発器24の出口から圧縮機21の吸入に向かう冷媒の温度をできるだけ低い温度に維持して、中間レシーバ27内の冷媒をできるだけ低い温度まで冷却することができる。
【0094】
<D>
また、コンテナ用冷凍装置1では、通常運転時に、中間レシーバ27が冷凍サイクルの中間圧の冷媒を貯留するための中間圧レシーバとして機能し、ポンプダウン運転時に、中間圧レシーバ27が冷凍サイクルの高圧の冷媒を貯留するための高圧レシーバとして機能することになる。このため、コンテナ用冷凍装置1では、通常運転時に、冷媒を中間圧レシーバ27内に液状態で貯留することができる。これにより、コンテナ用冷凍装置1では、ポンプダウン運転時における中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量と、通常運転時における中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量との間の冷媒貯留量差が大きくなる傾向にある。
【0095】
しかし、コンテナ用冷凍装置1では、上記のように、ポンプダウン運転時に、下流側膨張機構26を少し開けた状態にして過冷却熱交換器28による中間圧レシーバ27内の冷媒の冷却を行うようにしているため、ポンプダウン運転時と通常運転時との間の冷媒貯留量差をできるだけ小さくすることができる。これにより、コンテナ用冷凍装置1では、通常運転時における中間圧レシーバ27の冷媒貯留量に近い容積を有する中間圧レシーバ27を選定することができるため、中間圧レシーバ27によるコストアップを抑えることができる。
【0096】
<E>
また、コンテナ用冷凍装置1では、庫外温度Taが高い場合や冷媒回路10の低圧側の圧力Psが高い場合等のように、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇が大きい場合(すなわち、冷媒回路10が所定の圧力条件を満たす場合)だけに、ポンプダウン運転を行うことができる。これにより、コンテナ用冷凍装置1では、庫外温度Taが低い場合や冷媒回路10の低圧側の圧力Psが低い場合等のように、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇が小さい場合には、ポンプダウン運転を行わずに済ませることができる。
【0097】
<F>
また、コンテナ用冷凍装置1では、中間圧レシーバ27及び過冷却熱交換器28が、庫内側空間S2に配置されている。このため、ポンプダウン運転時を含む通常運転の停止時に、中間圧レシーバ27及び過冷却熱交換器28の温度上昇をできるだけ抑えることができる。これにより、コンテナ用冷凍装置1では、ポンプダウン運転時には、中間圧レシーバ27内に貯留された冷媒の温度をできるだけ低く維持することができ、また、過冷却熱交換器28及び中間圧レシーバ27を覆う保冷材の厚さを小さくしたり、又は、保冷材を省略することができる。
【0098】
<G>
また、コンテナ用冷凍装置1では、サイクル性能を向上させるための過冷却熱交換器28について、低圧側に設けられる蒸発器24の設計圧力を低く抑えるという観点から、上記のような接続位置や冷却源を採用しているが、この構成は、通常運転時における中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量を容易に最適な状態に保つ効果も有している。
【0099】
ここで、中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量は、冷媒回路10を循環する冷媒の流量(すなわち、冷媒循環流量)とのバランスで決まる。また、冷媒循環流量は、蒸発器24において要求される冷凍負荷(すなわち、要求冷凍負荷)によって変化する。そして、要求冷凍負荷の変化は、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHや冷媒回路10の蒸発温度Te(又は低圧Ps)の変化として現れる。このため、中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量は、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHや冷媒回路10の蒸発温度Te(又は低圧Ps)の変化に応じて、適切に変化させることが好ましい。
【0100】
これに対して、コンテナ用冷凍装置1では、まず、過冷却熱交換器28を中間圧レシーバ27に設けている。これにより、過冷却熱交換器28では、中間圧レシーバ27に存在する冷媒(すなわち、中間圧レシーバ側冷媒)の冷却が行われることになる。このとき、中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量は、過冷却熱交換器28の冷却源の温度の変化に応じて変化することになる。しかも、コンテナ用冷凍装置1では、過冷却熱交換器28の冷却源として蒸発器24の出口から圧縮機21の吸入に向かう冷媒(すなわち、吸入側冷媒)を使用している。これにより、過冷却熱交換器28では、吸入側冷媒によって、中間圧レシーバ側冷媒の冷却が行われることになるため、中間圧レシーバ側冷媒には、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHや冷媒回路10の蒸発温度Te(又は低圧Ps)の変化が現れやすくなっている。このため、過冷却熱交換器28における熱交換量も、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHや冷媒回路10の蒸発温度Te(又は低圧Ps)の変化に応じて変化し、その結果、中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量も変化することになる。また、吸入側冷媒は、冷凍サイクルの低圧のガス状態の冷媒であるのに対して、中間圧レシーバ側冷媒は、冷凍サイクルの中間圧の飽和状態又は気液二相状態の冷媒であり、両冷媒の温度が近い。このため、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHや冷媒回路10の蒸発温度Te(又は低圧Ps)の変化が、過冷却熱交換器28における両冷媒の温度差の変化として明確に現れやすくなっている。
【0101】
具体的には、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHが大きい場合や冷媒回路10の蒸発温度Te(又は低圧Ps)が高い場合には、要求冷凍負荷に対して冷媒循環流量が小さい傾向にある。このとき、過冷却熱交換器28では、中間圧レシーバ側冷媒と吸入側冷媒との温度差が小さくなるため、中間圧レシーバ側冷媒の冷却が抑えられて中間圧レシーバ内の冷媒貯留量が少なくなる。これにより、冷媒循環流量が大きくなり、要求冷凍負荷に対して最適な冷媒循環流量、すなわち、中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量が最適な状態に近づくことになる。また、蒸発器24の出口における冷媒の過熱度SHが小さい場合や冷媒回路10の蒸発温度Te(又は低圧Ps)が低い場合には、要求冷凍負荷に対して冷媒循環流量が大きい傾向にある。このとき、過冷却熱交換器28では、中間圧レシーバ側冷媒と吸入側冷媒との温度差が大きくなるため、中間圧レシーバ側冷媒の冷却が促進されて中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量が多くなる。これにより、冷媒循環流量が小さくなり、要求冷凍負荷に対して最適な冷媒循環流量、すなわち、中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量が最適な状態に近づくことになる。
【0102】
このように、コンテナ用冷凍装置1では、サイクル性能を向上させるための過冷却熱交換器28について、上記のような接続位置や冷却源を採用することによって、中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量を最適な状態にする自己調整機能も発揮できるようになっている。また、コンテナ用冷凍装置1では、過熱度制御や低圧制御を行っているが、過冷却熱交換器28による中間圧レシーバ27内の冷媒貯留量の自己調整機能によって、過熱度制御や低圧制御の収束性を向上させることにも寄与している。
【0103】
(4)変形例
上記実施形態のコンテナ用冷凍装置1では、膨張機構23として、レシーバ27の下流側の下流側膨張機構26が設けられているだけでなく、ガスクーラ22とレシーバ27との間に上流側膨張機構25がさらに設けられているが、図12に示すように、上流側膨張機構25を省略して、レシーバ27を高圧レシーバとして機能させるようにしてもよい。
【0104】
ここでは、ポンプダウン運転時だけでなく、通常運転時もレシーバ27が高圧レシーバとして機能することになるが、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、蒸発器24の設計圧力を低く抑えるという課題については、上記実施形態と共通している。
【0105】
そして、本変形例の構成においても、上記実施形態と同様のポンプダウン運転を行うことによって、冷媒として二酸化炭素を使用した超臨界冷凍サイクルを採用するにあたり、冷媒回路10の低圧側の均圧圧力の上昇を抑えて、蒸発器24の設計圧力を低く抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、コンテナ用冷凍装置に対して、広く適用可能である。
【符号の説明】
【0107】
1 コンテナ用冷凍装置
21 圧縮機
22 ガスクーラ
23 膨張機構
24 蒸発器
10 冷媒回路
25 上流側膨張機構(第2膨張機構)
26 下流側膨張機構(第1膨張機構)
27 中間圧レシーバ(レシーバ)
28 過冷却熱交換器
37 庫内側ファン
【先行技術文献】
【特許文献】
【0108】
【特許文献1】特開2011−112270号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機(21)と、ガスクーラ(22)と、第1膨張機構(26)と、蒸発器(24)とが順次接続された冷媒回路(10)を有するコンテナ用冷凍装置において、
前記冷媒回路は、冷媒として二酸化炭素を使用しており、前記圧縮機から吐出される冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を超える圧力になる超臨界冷凍サイクルを行うものであり、
前記ガスクーラと前記第1膨張機構との間には、冷媒を貯留するレシーバ(27)が設けられており、
前記レシーバには、前記蒸発器の出口から前記圧縮機の吸入に向かう冷媒によって、前記レシーバに存在する冷媒を冷却する過冷却熱交換器(28)が設けられており、
通常運転の停止時に、前記第1膨張機構を少し開けた状態で、前記ガスクーラ及び前記レシーバに冷媒を溜め込むポンプダウン運転を行う、
コンテナ用冷凍装置(1)。
【請求項2】
前記第1膨張機構(26)は、前記ポンプダウン運転時に、前記冷媒回路(10)の高圧が所定の高圧値になる開度に、及び/又は、前記冷媒回路の低圧が所定の低圧値になる開度に設定される、
請求項1に記載のコンテナ用冷凍装置(1)。
【請求項3】
前記蒸発器(24)に空気を送るための庫内側ファン(37)をさらに有しており、
前記庫内側ファンは、前記ポンプダウン運転時に停止される、
請求項1又は2に記載のコンテナ用冷凍装置(1)。
【請求項4】
前記ガスクーラ(22)と前記レシーバ(27)との間には、第2膨張機構(25)がさらに設けられており、
前記ポンプダウン運転は、前記第2膨張機構を開けた状態で行われる、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンテナ用冷凍装置(1)。
【請求項5】
前記ポンプダウン運転は、前記通常運転の停止時において、前記冷媒回路(10)が所定の圧力条件を満たす場合に行われる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンテナ用冷凍装置(1)。
【請求項6】
前記レシーバ(27)及び前記過冷却熱交換器(28)は、庫内側空間に配置されている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンテナ用冷凍装置(1)。
【請求項1】
圧縮機(21)と、ガスクーラ(22)と、第1膨張機構(26)と、蒸発器(24)とが順次接続された冷媒回路(10)を有するコンテナ用冷凍装置において、
前記冷媒回路は、冷媒として二酸化炭素を使用しており、前記圧縮機から吐出される冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を超える圧力になる超臨界冷凍サイクルを行うものであり、
前記ガスクーラと前記第1膨張機構との間には、冷媒を貯留するレシーバ(27)が設けられており、
前記レシーバには、前記蒸発器の出口から前記圧縮機の吸入に向かう冷媒によって、前記レシーバに存在する冷媒を冷却する過冷却熱交換器(28)が設けられており、
通常運転の停止時に、前記第1膨張機構を少し開けた状態で、前記ガスクーラ及び前記レシーバに冷媒を溜め込むポンプダウン運転を行う、
コンテナ用冷凍装置(1)。
【請求項2】
前記第1膨張機構(26)は、前記ポンプダウン運転時に、前記冷媒回路(10)の高圧が所定の高圧値になる開度に、及び/又は、前記冷媒回路の低圧が所定の低圧値になる開度に設定される、
請求項1に記載のコンテナ用冷凍装置(1)。
【請求項3】
前記蒸発器(24)に空気を送るための庫内側ファン(37)をさらに有しており、
前記庫内側ファンは、前記ポンプダウン運転時に停止される、
請求項1又は2に記載のコンテナ用冷凍装置(1)。
【請求項4】
前記ガスクーラ(22)と前記レシーバ(27)との間には、第2膨張機構(25)がさらに設けられており、
前記ポンプダウン運転は、前記第2膨張機構を開けた状態で行われる、
請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンテナ用冷凍装置(1)。
【請求項5】
前記ポンプダウン運転は、前記通常運転の停止時において、前記冷媒回路(10)が所定の圧力条件を満たす場合に行われる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンテナ用冷凍装置(1)。
【請求項6】
前記レシーバ(27)及び前記過冷却熱交換器(28)は、庫内側空間に配置されている、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のコンテナ用冷凍装置(1)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−108646(P2013−108646A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252698(P2011−252698)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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