説明

コンテンツ伝送システム、情報提供装置、並びに移動体端末装置

【課題】ローカルのコンテンツの情報提供元がモバイル放送を視聴可能な移動体端末装置に対してローカルな情報配信サービスを行なう。
【解決手段】ローカルのコンテンツの情報提供元は、モバイル放送と同一の動画、音声の圧縮符号化方式、同一の伝送フォーマット、同一の変調方式を用いるが、モバイル放送とは異なる周波数帯でローカルのコンテンツを送信する。移動体端末装置は、モバイル放送とは異なる周波数帯でも受信する手段を備え、モバイル放送と同様なプロセスによってローカル配信されるコンテンツを視聴する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローカルのコンテンツの情報提供元が移動体端末装置にコンテンツを伝送するコンテンツ伝送システム、情報提供装置、並びに移動体端末装置に係り、特に、ローカルのコンテンツの情報提供元がモバイル放送を視聴可能な移動体端末装置に対してローカルな情報配信サービスを行なうコンテンツ伝送システム、情報提供装置、並びに移動体端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話機を始めとして、通信機能を備えた移動体端末装置が広範に普及している。例えば、街角を通行する殆どの人は何らかの移動体端末装置を携行している。また、多くの移動体端末装置は液晶ディスプレイが搭載されるとともに、通信方式がアナログからデジタルに移行しており、テキスト・ベースでの情報通信だけでなく、音声や画像などのマルチメディア・コンテンツの通信といった、携帯通信サービスの拡充が期待されている。
【0003】
このような背景下では、ローカルな限られた場所で、その場所に特化した動画情報を携帯電話に放送又は配信したいというニーズがある。例えば、駅や空港などの公共スペースでの各種案内情報、あるいは美術館や博物館での展示物や催物の案内、デパートやスーパーなどでの特売情報といった、各種情報の提供サービス、とりわけ動画コンテンツによる情報提供サービスが考えられる。また、車載用端末にドライブインやドライブスルーで情報提供することも考えられる。
【0004】
図9には、携帯電話へ情報配信を行なう情報配信システムの構成例を示している。同図において、参照番号100はワンセグ受信機能付き携帯電話、参照番号600は放送局、参照番号601は放送局のアンテナ、参照番号602は携帯電話基地局、参照番号603は携帯電話網、参照番号604はインターネット網、参照番号605はサーバである。
【0005】
図示の情報配信システムでは、2通りの情報配信方法により携帯電話へ情報配信を行なうことができる。
【0006】
1つは、インターネット網604を利用した情報配信方法である。すなわち、ユーザは、携帯電話100を利用して、携帯電話基地局602、携帯電話網603を経由してインターネット網604にアクセスし、目的の情報が格納されているサーバ605より、情報を取得する。
【0007】
例えば、任意の地域を移動する際にその地域に関する地域情報を簡便に利用することができる地域情報の提供システムについて提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。このシステムでは、端末機Tによって、地域情報が蓄積された地域情報データベースサイトS2からインターネットCを介して所要の地域についての地域情報を検索して取得し、この取得した所要の地域についての地域情報をその地域に携帯する携帯情報端末機Eの電子メール・アドレスとともに電子メール・サイトS3に送信して保存するようになっている。したがって、所要の地域内において、携帯した携帯情報端末機Eにより電子メール・サイトS3に保存した地域情報を受信してその画像を携帯情報端末機Eの表示部に表示させることができる。
【0008】
インターネット網604を利用したローカル・コンテンツの配信方法は、携帯電話603側からのユーザの操作により情報を貰うプル型配信と、メールなどを用いたプッシュ型配信に大別することができる。しかしながら、いずれの配信形態であっても、携帯電話で動画コンテンツを視聴するには、携帯電話の伝送速度では困難であるという問題がある。
【0009】
また、もう1つは、ワンセグに代表されるデジタル・モバイル放送サービスにより情報を放送型で配信する方法である。この場合、放送局600のコンテンツをアンテナ601で放送する。
【0010】
ここで、ワンセグとは、日本国内で2006年4月1日(土)から開始されたデジタル・モバイル放送であり、地上デジタルTV放送で使用される6MHzの帯域を分割した13セグメントのうち真ん中の1セグメント部分を携帯電話などの移動体端末装置向けの受信に割り当てた受信サービスが行なわれる(例えば、非特許文献1を参照のこと)。ちなみに、固定受信向けのハイビジョン(HDTV)放送は、他の12セグメントを用いて編成される。ワンセグによれば、1つのセグメントだけで映像、音声、データを得ることができ、移動体端末装置上では低消費電力で且つ簡易な情報処理によりテレビ放送の視聴が可能になる。
【0011】
例えば、受信信号から希望信号を選局・復調する13セグメント受信装置と、1セグメント受信装置と、どちらか一方の受信装置からの出力信号を選択的に出力する信号経路を有する信号経路選択手段を備え、受信信号の受信状態を監視・判定して、受信状態が所定の基準値を下回ると判断された場合は、1セグメント受信装置からの出力信号が出力されるように信号経路を切換えるように構成された地上デジタル放送用のテレビ受信システムについて提案がなされている(例えば、特許文献2を参照のこと)。
【0012】
しかしながら、放送は、基本的には、同一のコンテンツを広いエリアの多くのユーザに配信することに特化したシステムであり、ローカル・コンテンツを配信するミッションを本来持たない。すなわち、ワンセグの番組サービスは12セグメントを使用した通常のテレビ受信機向けの番組と同じ内容であり、駅や空港などの公共スペースでの各種案内情報、あるいは美術館や博物館での展示物や催物の案内、デパートやスーパーなどでの特売情報といったローカルな情報配信サービスを想定したものではない。例えば、地域限定放送を行なう地上デジタル放送の基地局装置について提案がなされているが(例えば、特許文献3を参照のこと)、ここで言うローカル放送は、ワンセグ放送サービスと同じ周波数帯を使用するから、免許を取得した放送事業者しか実施できない。
【0013】
【特許文献1】特開2001−67296号公報
【特許文献2】特開2006−310948号公報
【特許文献3】特開2006−279376号公報
【非特許文献1】http://www.d−pa.org
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、ローカルのコンテンツの情報提供元が移動体端末装置にコンテンツを好適に伝送することができる、優れたコンテンツ伝送システム、情報提供装置、並びに移動体端末装置を提供することにある。
【0015】
本発明のさらなる目的は、ローカルのコンテンツの情報提供元がモバイル放送を視聴可能な移動体端末装置に対してローカルな情報配信サービスを好適に行なうことができる、優れたコンテンツ伝送システム、情報提供装置、並びに移動体端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、モバイル放送が提供されている環境下において、ローカル放送コンテンツの受信サービスを行なうコンテンツ伝送システムであって、
前記モバイル放送と同一の動画又は音声の圧縮符号化方式、同一の伝送フォーマット、及び同一の変調方式を用いて、前記モバイル放送とは異なる周波数帯でローカルのコンテンツからなるローカル放送を送信する情報提供元と、
前記モバイル放送を受信及び視聴するとともに、前記モバイル放送とは異なる周波数帯で送信されるローカル放送コンテンツを受信し前記モバイル放送と同様のプロセスで復号及び復調して視聴する移動体端末装置と、
を具備することを特徴とするコンテンツ伝送システムである。
【0017】
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない(以下、同様)。
【0018】
現在、携帯電話機を始めとして、通信機能を備えた移動体端末装置が広範に普及している。このような背景下では、公共スペースなどローカルな限られた場所で、ローカルのコンテンツの情報提供元が移動体端末装置にコンテンツを伝送する情報配信サービスが有益である、と本発明者らは考えている。
【0019】
携帯電話へ情報配信を行なうために、インターネットを利用した配信形態と、ワンセグなどの受信サービスにより放送型の配信形態が挙げられる。しかしながら、前者の場合は、携帯電話で動画コンテンツを視聴するには、携帯電話の伝送速度では困難である。また、後者の場合、放送は、基本的には、同一のコンテンツを広いエリアの多くのユーザに配信することに特化したシステムであり、ローカルな情報配信サービスを想定したものではない。
【0020】
これに対し、本発明に係るコンテンツ伝送システムは、ローカルのコンテンツの情報提供元とモバイル放送を視聴可能な移動体端末装置で構成されるが、情報提供元は、モバイル放送と同一の動画、音声の圧縮符号化方式、同一の伝送フォーマット及び同一の変調方式を用いるが、モバイル放送とは異なる周波数帯でローカルのコンテンツを送信する。そして、移動体端末装置は、モバイル放送とは異なる周波数帯でも受信する手段を備え、モバイル放送と同様なプロセスによってローカル配信されるコンテンツを視聴するようになっている。例えば、情報提供元は2.4GHz帯など免許が不要な周波数帯を使用してローカルのコンテンツを送信することによって、特定の放送事業者に限らず、誰でも任意にローカル放送サービスを実施することができる。
【0021】
したがって、本発明に係るコンテンツ伝送システムでは、ワンセグ放送と同一の動画、音声の圧縮符号化方式、同一の伝送フォーマット、同一の変調方式を用いるので、低コストで、ローカル・コンテンツの受信とモバイル放送の双方を受信可能な携帯電話機を作ることが可能となる。
【0022】
情報提供元は、映像、音声、及びデータ放送用コンテンツを含む複数のローカル放送用コンテンツを前記モバイル放送と同一の圧縮符号化方式により符号化圧縮するとともに同一の伝送フォーマットにより多重化したストリームを生成する多重化処理部と、該生成されたストリーム信号を前記モバイル放送と同一の変調方式によりマルチキャリア変調するマルチキャリア変調部と、該マルチキャリア送信信号を前記モバイル放送とは異なる周波数帯にアップコンバートする送信部と、該アップコンバートされた放送信号を送出するアンテナを備えている。
【0023】
そして、移動体端末装置は、モバイル放送とは異なる周波数帯で受信したコンテンツの信号の復調処理、誤り訂正処理、動画、音声、データの多重信号の復元処理、画像処理、音声処理、データ処理を、モバイル放送の受信時と同一のハードウェア、ソフトウェアで動作させる。
【0024】
移動体端末装置は、モバイル放送とは異なる周波数帯でも受信する手段として、当該周波数帯からモバイル放送で使用する周波数帯に周波数変換する周波数コンバータを備える。そして、周波数変換した後は、モバイル放送と同様のプロセスでローカル放送コンテンツを視聴することができる。
【0025】
具体的には、移動体端末装置は、前記モバイル放送受信用アンテナと、前記モバイル放送帯付近の周波数信号を所定の中間周波数信号に変換する第1のダウンコンバータと、前記モバイル放送帯とは異なる周波数帯で配信されるローカル・コンテンツ放送受信用アンテナと、前記のローカル・コンテンツ放送受信用アンテナによる受信信号をモバイル放送帯付近の周波数に変換する第2のダウンコンバータと、前記第1のダウンコンバータから出力される中間周波数信号を復調並びに復号する復調・復号手段と、前記復調・復号手段により得られた画像情報又は音声情報を外部出力する出力手段を備えている。そして、前記モバイル放送又は前記のローカル・コンテンツ放送のいずれを視聴するかに応じて、前記第1のダウンコンバータへの入力を、前記モバイル放送受信用アンテナ又は前記第2のダウンコンバータの出力のいずれかに切り替えるように構成される。
【0026】
あるいは、移動体端末装置は、モバイル放送とは異なる周波数帯でも受信する手段として、当該周波数帯の無線信号を受信可能な受信機を備え、モバイル放送とローカル放送の双方を視聴できるように構成することもできる。
【0027】
具体的には、移動体端末装置は、前記モバイル放送受信用アンテナと、前記モバイル放送帯付近の周波数信号を所定の中間周波数信号に変換する第1のダウンコンバータと、前記モバイル放送帯とは異なる周波数帯で配信されるローカル・コンテンツ放送受信用アンテナと、前記のローカル・コンテンツ放送受信用アンテナによる受信信号を前記中間周波数信号に変換する第2のダウンコンバータと、中間周波数信号を復調並びに復号する復調・復号手段と、前記復調・復号手段により得られた画像情報又は音声情報を外部出力する出力手段を備えている。そして、前記モバイル放送又は前記のローカル・コンテンツ放送のいずれを視聴するかに応じて、前記復調・復号手段への入力を、前記第1のダウンコンバータ又は前記第2のダウンコンバータの出力のいずれかに切り替えるように構成される。
【0028】
あるいは、移動体端末装置が無線LAN機能を搭載する場合には、モバイル放送とは異なる周波数帯でも受信する手段として、内蔵されている無線LANの受信部を共通に用いて、モバイル放送とローカル放送を視聴できるように構成することもできる。
【0029】
具体的には、移動体端末装置は、前記モバイル放送受信用アンテナと、前記モバイル放送帯付近の周波数信号を所定の中間周波数信号に変換するダウンコンバータと、前記モバイル放送帯とは異なる周波数帯の無線LAN信号を送受信するとともに、該周波数帯で配信されるローカル・コンテンツ放送を受信可能な無線LAN用アンテナと、無線LAN用のベースバンド処理部と、送信ベースバンド信号をアップコンバートする送信部と、及び前記無線LAN用アンテナによる受信信号をベースバンドにダウンコンバートする受信部と、前記の中間周波数信号並びにベースバンド信号を復調並びに復号する復調・復号手段と、前記復調・復号手段により得られた画像情報又は音声情報を外部出力する出力手段を備えている。そして、前記モバイル放送又は前記のローカル・コンテンツ放送のいずれを視聴するかに応じて、前記復調・復号手段への入力を、前記ダウンコンバータからの中間周波数信号出力又は前記受信部のベースバンド出力のいずれかに切り替えるように構成される。
【0030】
モバイル放送とは異なる周波数帯でも受信する手段をいずれの形態で構成する場合であっても、モバイル放送とローカル・コンテンツの放送を、ユーザ操作部などを介して任意に切り替えが可能に構成する。したがって、移動体端末装置を携行するユーザは、ローカル放送のサービスエリア内に入ったときなどの状況に応じて、モバイル放送とローカル・コンテンツのうち好きな方を択一的に視聴することができる。
【0031】
ここで、ローカル放送は、例えば半径100m以内の限られたエリアでのサービスであり、ユーザはどこでそのサービスを受けられるかが分らないという問題がある。そこで、ローカル放送のサービスエリア内であることを前記移動体端末装置に通知する通知手段をさらに備えるようにしてもよい。
【0032】
ローカル・コンテンツの情報提供元から配信されるローカル放送は、例えば、OFDM変調信号をセグメント化した複数のチャネルで構成される。このようなばあい、少なくとも1セグメントを制御チャネルに割り当てて、当該ローカル放送のサービスIDやサービス名称、放送局ID、総チャネル数、番組ID、暗号化の有無などの詳細情報を報知することで、移動体端末装置に対し、サービスエリアを通知することができる。
【0033】
一方、携帯電話などの移動体端末装置は、携帯電話基地局からのページング信号を間欠受信しながら、ローカル放送の制御チャネルをサーチする。そして、この制御チャネルを検出したときには、ローカル放送のサービスエリアに入ったことを、アラームなどの手段を用いてユーザに知らせる。
【0034】
ローカル放送コンテンツの信号には、例えばスクランブル処理を施すようにしても良い。移動体端末装置は、携帯電話網、又は無線LAN網経由でインターネットにアクセスし、ユーザID、パスワード、放送局ID、番組IDなどを情報提供元サーバに通知し、認証処理などを経た後、スクランブル・キーを取得して、ローカル放送の視聴を開始する。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、ローカルのコンテンツの情報提供元が移動体端末装置にコンテンツを好適に伝送することができる、優れたコンテンツ伝送システム、情報提供装置、並びに移動体端末装置を提供することができる。
【0036】
また、本発明によれば、ローカルのコンテンツの情報提供元がモバイル放送を視聴可能な移動体端末装置に対してローカルな情報配信サービスを好適に行なうことができる、優れたコンテンツ伝送システム、情報提供装置、並びに移動体端末装置を提供することができる。
【0037】
本発明に係るコンテンツ伝送システムでは、ワンセグ放送と同一の動画、音声の圧縮符号化方式、同一の伝送フォーマット、同一の変調方式を用いるので、低コストで、ローカル・コンテンツの受信とモバイル放送の双方が受信可能な携帯電話機を作ることが可能となる。
【0038】
また、本発明に係るコンテンツ伝送システムでは、放送波とは異なる周波数帯を用いて弱い電力でローカル放送波を送信するため、情報提供エリアを限定したローカルのコンテンツ情報提供サービスを実現することができる。例えば、情報提供元は2.4GHz帯など免許が不要な周波数帯を使用してローカルのコンテンツを送信することによって、特定の放送事業者に限らず、誰でも任意にローカル放送サービスを実施することができる。
【0039】
また、本発明に係るコンテンツ伝送システムによれば、ユーザがローカル放送のサービスエリア内に入ったことを携帯電話機で自動的に認識し、当該放送の受信を開始するという視聴形態を実現することができる。
【0040】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0042】
現在、携帯電話機を始めとして、通信機能を備えた移動体端末装置が広範に普及している。このような背景下では、公共スペースなどローカルな限られた場所で、ローカルのコンテンツの情報提供元が移動体端末装置にコンテンツを伝送する情報配信サービスが有益である。
【0043】
本発明に係るコンテンツ伝送システムでは、ローカル放送事業を担う情報提供元からは、携帯電話にデジタル・モバイル放送と同一の動画、音声の圧縮符号化方式を用い、且つ同一の伝送フォーマットを用いてデジタル・モバイル放送とは異なる周波数帯でローカルのコンテンツが配信される。これに対し、デジタル・モバイル放送受信機付の携帯電話機では、コンテンツ送信波を受信して、ローカルのコンテンツの視聴を行なう。以下の説明では、ローカル・コンテンツの情報提供元は、ISM(Industry Science and Medical)バンドと呼ばれる、電波エネルギを直接利用するシステムに開放された2.4GHz帯を用いてローカル放送コンテンツの送信を行なうものとする。
【0044】
2003年12月1日から、関東・近畿・中京の3大広域圏で地上波のUHF(Ultra High Frequency)帯(470MHz〜770MHz)を使用する地上デジタルTV放送のサービスISDB−T(Integrated Services Digital Broadcasting fot Terrestrial)が開始されたが、ワンセグは、地上デジタルTV放送で使用される6MHzの帯域を分割した13セグメントのうち真ん中の1セグメント部分を携帯電話などの移動体端末装置向けの受信に割り当てたデジタル・モバイル放送サービスである。ちなみに、固定受信向けのハイビジョン(HDTV)放送は、他の12セグメントを用いて編成される。
【0045】
ワンセグは、492kHzの帯域幅からなる1セグメントだけを用いた受信サービスであり、440〜770MHzの帯域がワンセグに使用される。また、ワンセグで送出する映像はQVGA(Quarter Video Graphic Array:320×240画素)であり、映像音声の符号化方式にはH.264/MPEG−4AVCが用いられる。ワンセグによれば、1つのセグメントだけで映像、音声、データを得ることができ、移動体端末装置上で、低消費電力で且つ簡易な情報処理によりテレビ放送の視聴が可能になる。
【0046】
この種のデジタル放送では、通常、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)変調方式を採用している。OFDM変調方式では、各サブキャリアがシンボル区間内で相互に直交するように各キャリアの周波数が設定されて、送信データを周波数の異なる複数のキャリアに分配して伝送するので、各キャリアの帯域が狭帯域となり、周波数利用効率が非常に高くなる。また、フェージングや建造物からの反射によるマルチパス妨害などの受信環境に強い。
【0047】
図1には、ワンセグ放送受信機能を搭載した携帯電話機100の構成例を示している。
【0048】
同図において、参照番号101はワンセグメント放送受信用アンテナ、参照番号102はダウンコンバータ、参照番号103はローノイズアンプ(LNA)、参照番号104はミキサ、参照番号105はローカル発振器、参照番号106はAGC(Auto Gain Control:自動利得制御)アンプである。また、参照番号107はOFDM復調部、参照番号108は放送されるトランスポート・ストリームの多重信号の復元処理部、参照番号109は携帯電話ブロックであり、CPU110が含まれる。また、参照番号111は携帯電話のアンテナ、参照番号112は音声処理部、参照番号113はスピーカ、参照番号114は画像処理部、参照番号115は液晶ディスプレイ、参照番号116は操作部である。
【0049】
ダウンコンバータ102は、LNA103と、ミキサ104と、ローカル発振器105と、AGCアンプ106で構成される。放送局600よりアンテナ601で送信された放送波(図9を参照のこと)は、携帯電話100のワンセグメント放送受信用アンテナ101で受信され、LNA103で増幅された後、ミキサ104でローカル発振器105の周波数と混合され、中間周波数(Intermediate Frequency)Fiに変換される。Fiは、一般的には、1MHz程度が使用される。受信周波数はローカル発振器105で発振するローカル周波数で決定される。AGCアンプ106は、中間周波数Fiを一定レベルになるように、その利得が自動制御される。
【0050】
中間周波数信号に変換された放送信号は、OFDM復調部107で復調される。この際、信号に付加されているビタビ符号とリード・ソロモン符号で誤り訂正も行なう。復調されたデータは、トランスポート・ストリーム(TS)である。
【0051】
ここで、符号化されたビデオやオーディオ、付加データなど個別のストリームを多重化し、それぞれの同期をとりながら再生するための方式として、PS(Program Stream)と、TS(Transport Stream)の2種類の方式がある。PSは、誤りの発生しない環境でのデータの伝送・蓄積への適用を想定しており、冗長度を小さくすることができることから、強力な誤り訂正符号を用いたディジタル・ストレージ・メディアで使用されている。一方、TSは、放送や通信ネットワークなどデータの伝送誤りが発生する環境への適用を想定し、デジタル放送の多重化信号として採用されている。TSの大きな特徴は、映像や音声、データなどの個別のストリームを、アプリケーションや伝送路の種類によらずに共通の信号形式で扱い、1本のストリームの中に複数のプログラムを構成して伝送できるという点にある。
【0052】
多重信号復元処理部108では、復調されたトランスポート・ストリームから、携帯電話ブロック109内のCPU110の指示に従って、目的とする映像、音声、データの取り出しを行なう。音声は、音声処理部112でアナログ信号にデコードされ、スピーカ113より音として出力される。また動画やデータは、画像処理部114でデコードされ、液晶ディスプレイ部115で表示される。このようにして、携帯電話100でワンセグメント放送を視聴することが可能となる。
【0053】
一方、携帯電話ブロック109には、アンテナ111が接続され、携帯電話基地局と通信を行なう。また、操作部/マイク部116も接続される。携帯電話機能自体は、本発明の要旨に直接関連しないので、本明細書では詳細な説明を省略する。
【0054】
本発明に係るコンテンツ伝送システムでは、ワンセグなどのモバイル放送と同一の動画、音声の圧縮符号化方式、同一の伝送フォーマット及び同一の変調方式を用いるが、モバイル放送とは異なる周波数帯でローカル放送コンテンツが送信される。携帯電話機側で、この種の受信サービスを享受するには、ワンセグ放送受信機能を搭載するとともに、モバイル放送とは異なる周波数帯でも受信する手段を備え、モバイル放送と同様なプロセスによってローカル配信されるコンテンツを視聴するように構成される。情報提供元は2.4GHz帯など免許が不要な周波数帯を使用してローカルのコンテンツを送信することによって、特定の放送事業者に限らず、誰でも任意にローカル放送サービスを実施できる、という点に留意されたい。
【0055】
図2には、ワンセグ放送受信機能を搭載するとともに、モバイル放送とは異なる周波数帯でも受信する手段を備えてローカル放送コンテンツを視聴可能な携帯電話機100の構成例を示している。
【0056】
図示の携帯電話機100は、2.4GHz帯からワンセグメント放送帯付近の周波数に変換するダウンコンバータを備えている。同図において、参照番号201は2.4GHz帯アンテナ、参照番号202はダウンコンバータである。ダウンコンバータ202は、LNA203と、ミキサ204と、ローカル発振器205で構成される。後述する2.4GHz帯で送信されたローカル・コンテンツを含む信号は、ローカル放送受信用のアンテナ201で受信されると、LNA203で増幅され、ローカル発振器205の周波数とミキサでワンセグメント放送帯付近の周波数Fbに変換される。この周波数を実際の放送の周波数と同一にすると干渉する可能性があるので、少しずらした周波数に設定する。当然、このときのローカル発振器106も、Fbが受信できるように再設定される。
【0057】
一方、ワンセグ放送受信用のダウンコンバータ102は、LNA103と、ミキサ104と、ローカル発振器105、AGCアンプ106で構成される。放送局600よりアンテナ601で送信された放送波(図9を参照のこと)は、携帯電話100のワンセグメント放送受信用アンテナ101で受信され、LNA103で増幅された後、ミキサ104でローカル発振器105の周波数と混合され、中間周波数Fiに変換される。また、ダウンコンバータ202によって2.4GHz帯からワンセグメント放送帯付近の周波数に変換された信号も、スイッチ206を経由してダウンコンバータに102に入力されると、同様に、LNA103で増幅された後、ミキサ104でローカル発振器105の周波数と混合され、中間周波数Fiに変換される。受信周波数はローカル発振器105で発振するローカル周波数で決定される。AGCアンプ106は、中間周波数Fiを一定レベルになるように、その利得が自動制御される。
【0058】
ダウンコンバータ102以降において、ワンセグメント放送受信用のアンテナ101からの放送波を受信するか、又は2.4GHz帯のローカル放送波を受信するかは、スイッチ206で切り替える。このスイッチ切り替えは、CPU110からの指示により行なわれる。ローカル放送受信モード時には、スイッチ206は図中A側を選択して、アンテナ201からのローカル放送波を受信することが可能となる。一方、ワンセグメント放送を受信する際は、スイッチ206は図中B側を選択する。
【0059】
中間周波数信号に変換された放送信号は、OFDM復調部107で復調される。この際、信号に付加されているビタビ符号とリード・ソロモン符号で誤り訂正も行なう。復調されたデータはトランスポート・ストリーム(TS)である。
【0060】
多重信号復元処理部108では、復調されたトランスポート・ストリームから、携帯電話ブロック109内のCPU110の指示に従って、目的とする映像、音声、データの取り出しを行なう。音声は、音声処理部112でアナログ信号にデコードされ、スピーカ113より音として出力される。また動画やデータは、画像処理部114でデコードされ、液晶ディスプレイ部115で表示される。このようにして、携帯電話100でワンセグメント放送を視聴することが可能となる。
【0061】
一方、携帯電話ブロック109には、アンテナ111が接続され、携帯電話基地局と通信を行なう。また、操作部/マイク部116も接続される。
【0062】
また、図3には、ワンセグ放送受信機能を搭載するとともに、モバイル放送とは異なる周波数帯でも受信する手段を備えてローカル放送コンテンツを視聴可能な携帯電話機100の他の構成例を示している。
【0063】
図示の携帯電話機は、2.4GHz帯から、ワンセグメント受信時と同じ中間周波数Fiに変換するダウンコンバータ301を備えている。同図において、参照番号201は2.4GHz帯アンテナであり、ダウンコンバータ301は、LNA203と、ミキサ302と、ローカル発振器303で構成される。後述する2.4GHz帯で送信されたローカル・コンテンツを含む信号は、アンテナ201で受信されると、LNA203で増幅され、ミキサ302でローカル発振器303が発振するローカル周波数と混合され、中間周波数Fiに変換される。AGCアンプ304は、IF周波数を一定レベルになるように制御される。
【0064】
一方、ダウンコンバータ102は、LNA103と、ミキサ104と、ローカル発振器105、AGCアンプ106で構成される。放送局600よりアンテナ601で送信された放送波(図9を参照のこと)は、携帯電話100のワンセグメント放送受信用アンテナ101で受信され、LNA103で増幅された後、ミキサ104でローカル発振器105の周波数と混合され、中間周波数Fiに変換される。AGCアンプ106は、中間周波数Fiを一定レベルになるように、その利得が自動制御される。
【0065】
ワンセグメント放送受信用のアンテナ101からの放送波を受信するか、又は、アンテナ201から2.4GHz帯のローカル放送波を受信するかは、スイッチ305で切り替える。このスイッチ切り替えは、CPU110からの指示により行なわれる。ローカル放送受信モード時には、スイッチ305は図中C側を選択し、アンテナ201からのローカル放送波を受信することが可能となる。また、ワンセグメント放送を受信する際は、スイッチ305は図中D側を選択する。
【0066】
中間周波数信号に変換された放送信号は、OFDM復調部107で復調される。この際、信号に付加されているビタビ符号とリード・ソロモン符号で誤り訂正も行なう。復調されたデータはトランスポート・ストリーム(TS)である。
【0067】
多重信号復元処理部108では、復調されたトランスポート・ストリームから、携帯電話ブロック109内のCPU110の指示に従って、目的とする映像、音声、データの取り出しを行なう。音声は、音声処理部112でアナログ信号にデコードされ、スピーカ113より音として出力される。また動画やデータは、画像処理部114でデコードされ、液晶ディスプレイ部115で表示される。このようにして、携帯電話100でワンセグメント放送を視聴することが可能となる。
【0068】
一方、携帯電話ブロック109には、アンテナ111が接続され、携帯電話基地局と通信を行なう。また、操作部/マイク部116も接続される。
【0069】
また、最近の携帯電話機には、無線LANやIP電話機能を搭載したモデルもある。図4には、ワンセグ放送受信機能を搭載するとともに、2.4GHz帯の無線LAN受信部をローカル放送の受信手段として兼用することでローカル放送コンテンツの視聴を実現した携帯電話機100の構成例を示している。
【0070】
同図において、参照番号401は送信受信を切り替えるアンテナ・スイッチ、参照番号402は無線LANの送信部、参照番号403は無線LANの受信部である。また、参照番号405で示されるベースバンド処理部は、無線LANの変復調処理とプロトコル制御処理を行なう。ベースバンド処理部205は、携帯電話ブロック110と接続され、各種制御と送受信データの授受が行なわれる。
【0071】
一方、ダウンコンバータ102は、LNA103と、ミキサ104と、ローカル発振器105、AGCアンプ106で構成される。放送局600よりアンテナ601で送信された放送波(図9を参照のこと)は、携帯電話100のワンセグメント放送受信用アンテナ101で受信され、LNA103で増幅された後、ミキサ104でローカル発振器105の周波数と混合され、中間周波数Fiに変換される。AGCアンプ106は、中間周波数Fiを一定レベルになるように、その利得が自動制御される。
【0072】
スイッチ404は、2.4GHz帯のローカル放送波を受信するか、又は無線LANとして使用するかを切り替える。ローカル放送波を受信する場合は、スイッチ305は図中E側を選択し、ベースバンドIQ信号をOFDM復調部107に受け渡す。どちらの復調を行なうかはCPU110より指示される。2.4GHz帯のローカル放送波を受信する場合には、OFDM復調部107は、IF信号からではなく、IQ信号からOFDMの復調を行なう。一方、通常の無線LANを使用する場合は、スイッチ404は図中F側を選択し、ベースバンドIQ信号をベースバンド処理部405に受け渡す。
【0073】
OFDM復調後の放送信号は、信号に付加されているビタビ符号とリード・ソロモン符号で誤り訂正も行なう。復調されたデータはトランスポート・ストリーム(TS)である。
【0074】
多重信号復元処理部108では、復調されたトランスポート・ストリームから、携帯電話ブロック109内のCPU110の指示に従って、目的とする映像、音声、データの取り出しを行なう。音声は、音声処理部112でアナログ信号にデコードされ、スピーカ113より音として出力される。また動画やデータは、画像処理部114でデコードされ、液晶ディスプレイ部115で表示される。このようにして、携帯電話100でワンセグメント放送を視聴することが可能となる。
【0075】
一方、携帯電話ブロック109には、アンテナ111が接続され、携帯電話基地局と通信を行なう。また、操作部/マイク部116も接続される。
【0076】
これまでは、本発明に係るコンテンツ伝送システムにおいて、ローカル放送コンテンツを受信し視聴可能な携帯電話機の構成を中心に説明してきた。以下では、ローカル放送コンテンツの送信設備について詳解する。
【0077】
図5には、ローカル・コンテンツの放送配信システムの構成例を示している。モバイル放送系並びに携帯電話系の仕組みは、図9に示したシステムと同様なので、これらについての説明を省略する。図示の放送配信システムは、ローカル・コンテンツの放送用に、2.4GHz帯送信機500と、コンテンツ・サーバ502が装備されていることに主な特徴がある。情報提供元は2.4GHz帯など免許が不要な周波数帯を使用してローカルのコンテンツを送信するので、特定の放送事業者に限らず、誰でも任意にローカル放送サービスを実施することができる。
【0078】
コンテンツ・サーバ502には、映像や音声のコンテンツの他に、データ放送用にBML(Broadcast Markup Language)と呼ばれるXML(Extensible Markup Language)ベースのデータ放送向けのページ記述言語で記述されたコンテンツが格納されている。
【0079】
送信機500は、コンテンツ・サーバ502のコンテンツからトランスポート・ストリームを生成する多重処理部503と、OFDM変調と誤り訂正符号を付加するOFDM変調部504と、送信部505と、2.4GHz帯のローカル発振器506、アンテナ507で構成される。アンテナ507からは、2.4GHz帯のローカル放送波が送信される。周波数軸では、参照番号510の吹き出し中に示すように、429KHz毎にチャネルを構成することが可能である。携帯電話100は、この希望するローカル放送波を受信し、さらに復調して、データの復元を行ない、映像及び音声を出力する。
【0080】
ローカル放送を有料化する場合には、スクランブルなどの暗号化が必要になる。多重処理部503では、コンテンツ・サーバ502からの指定のスクランブル・キー508を用いたスクランブルを行なう。勿論、コンテンツ・サーバ502内でスクランブルを行なうように構成しても構わない。
【0081】
このような場合、携帯電話100にスクランブル・キー508を渡す手段として、携帯電話網603を利用する方法がある。まず、携帯電話100からの基地局602、携帯電話網603、並びにインターネット網604を経由して、コンテンツ・サーバ502にアクセスして、加入、認証手続きをして、スクランブル・キー508を取得する。
【0082】
また、携帯電話100にスクランブル・キーを渡すその他の方法として、無線LAN機能を利用することが挙げられる。携帯電話100に無線LAN機能が内蔵されている場合は、無線LANのアクセスポイント509を設置し、無線LANアクセスポイント509経由で、スクランブル・キー508を配信することもできる。
【0083】
そして、携帯電話100側では、多重信号復元処理部108で、CPU110からスクランブル・キーを通知されることによりデスクランブルが実施される。
【0084】
ここで、ローカル放送は、例えば半径100m以内の限られたエリアでのサービスとなる。このため、ユーザはどこでそのサービスを受けられるかが分らないという問題がある。そこで、自動的にそのサービスエリアに入ったことをユーザに知らせる手段が必要である。以下では、ローカル放送のサービスエリアに入ったことをユーザに通知するための方法について説明する。
【0085】
ローカル放送は、OFDM変調信号をセグメント化した複数のチャネルで構成され、このうち1セグメントに制御チャネルを設ける。そして、ローカル放送に関するサービスID、サービス名称、放送局ID、総チャネル数、番組ID、暗号化の有無のうち少なくとも1つを含んだ詳細情報をこの制御チャネルに乗せて報知する。
【0086】
一方、携帯電話100は、携帯電話基地局からのページング信号を間欠受信しながら、ローカル放送の制御チャネルをサーチする。そして、ローカル放送の制御チャネルを検出したときには、ローカル放送のサービスエリアに入ったことを、アラームなどの手段を用いてユーザに知らせる。
【0087】
図6には、ローカル放送の制御信号の構成例を示している。同図において、参照番号701は、OFDM信号をセグメント化した1つのチャネルに割り当てた制御信号であり、ワンセグ放送と同じ429KHzの帯域を持つ。ローカル放送のコンテンツ信号702は、同様に429KHzの帯域毎にCH1〜CHnに割り当てられる。
【0088】
制御チャネルは、サービスID703、サービス名称704、放送局ID705、総チャネル数706(=n)、チャネル情報707などの情報を含んでいる。チャネル情報707は、チャネル毎に、番組ID、番組情報、有料/無料フラグなどで構成される。
【0089】
これらの報知情報は、デジタル放送で使用されるTSパケット188バイトで区切られて送られる。先頭パケットには、サービスID703などのヘッダが付加されるが、チャネル数が多い場合は、後続パケットにチャネル情報のみを乗せて送信される。このようにして制御信号701は、繰り返し連続で報知される。
【0090】
携帯電話100側でローカル放送の制御信号を検出する方法について、図7を参照しながら説明する。
【0091】
同図において、参照番号801は、携帯電話基地局602からのページング信号であり、所定周期Tbの間隔で送信される。携帯電話100に着信がある場合、携帯電話基地局602は、このページング信号801で通知する。携帯電話100は、図示の例では、携帯電話100は、参照番号803で示す時間帯でページング信号801の間欠受信を行ない、自局への着信があるかどうか待ち受ける。
【0092】
一方、ローカル放送局からは、セグメント化した1つのチャネルを用いて、参照番号802で示す制御信号を連続的に報知している。携帯電話100は、参照番号803で示すタイミングでページング信号の間欠受信を行なった直後に、制御信号802のサーチを行なうようにする。サーチの方法としては、まずキャリアの有無を確認し、キャリアを確認できたときには、サービスIDの検出を行なう。
【0093】
携帯電話100は、このように間欠受信を実施することにより、ローカル放送がその場所にあるかどうかのチェックを行なうことが可能となり、待ち受け時の消費電力の負担を小さくすることが可能となる。
【0094】
このサーチモードは常時オンにしておく必要はなく、ユーザによりオンオフを切り替えられるようにしておけば、不要なサーチによる消費電力の消耗にはならないで済む。
【0095】
図8には、携帯電話100が間欠受信によってローカル放送を視聴するに至るまでの動作シーケンスを示している。
【0096】
8−1:携帯電話網からページング信号が送信される。携帯電話はこのページング信号を間欠受信し、自局の着信を監視する。
【0097】
8−2:ローカル放送局は、制御信号を連続で繰り返し報知する。携帯電話は、この制御信号を間欠受信し、ローカル放送エリア内に入ったかどうかを監視する。
【0098】
8−3:携帯電話側でローカル放送の制御信号を検出する。
【0099】
8−4:携帯電話の液晶部にローカル放送のエリア内に入ったことを知らせるメッセージを表示する。
【0100】
8−5:携帯電話は、制御信号を受信し、ローカル放送のコンテンツの内容一覧を液晶部に表示する。この際、コンテンツの有料・無料の区分も表示する。
【0101】
8−6:携帯電話側では、ユーザが見たいコンテンツが有料コンテンツかどうかチェックする。無料コンテンツであれば、8−12へ進む。
【0102】
8−7:携帯電話側では、ユーザID、パスワード入力画面を液晶部に表示し、ユーザに入力を求める。
【0103】
8−8:携帯電話網に自動接続する。
【0104】
8−9:ユーザID、パスワード、放送局ID、番組IDなどを携帯電話網経由で放送局側に送信する。
【0105】
8−10:ローカル放送局側では、ユーザID、パスワードにより認証を行なう。
【0106】
8−11:ローカル放送局は、当該番組のスクランブル・キーを、携帯電話網経由で携帯電話に送信する。
【0107】
8−12:携帯電話側は、送られてきたスクランブル・キーで、ローカル放送のトランスポート・ストリーム信号をデスクランブルし、視聴を可能にする。スクランブルが施されていないコンテンツはそのまま視聴を可能にする。
【0108】
以上のように本実施形態によれば、情報提供元からはワンセグ放送と同一の動画、音声の圧縮符号化方式、同一の伝送フォーマット、同一の変調方式を用い、2.4GHz帯でローカルのコンテンツを送信する。そして、ワンセグ放送受信機能を搭載した携帯電話にさらに2.4GHz帯を受信する受信機能を設けるだけで、携帯電話上で容易にローカル・コンテンツを視聴することが可能となる。しかも、ユーザはローカル放送のサービスエリアに入ったことを自動的に知ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1は、ワンセグ放送受信機能を搭載した携帯電話機100の構成例を示した図である。
【図2】図2は、ワンセグ放送受信機能を搭載するとともに、モバイル放送とは異なる周波数帯でも受信する手段を備えてローカル放送コンテンツを視聴可能な携帯電話機100の構成例を示した図である。
【図3】図3は、ワンセグ放送受信機能を搭載するとともに、モバイル放送とは異なる周波数帯でも受信する手段を備えてローカル放送コンテンツを視聴可能な携帯電話機100の他の構成例を示した図である。
【図4】図4は、ワンセグ放送受信機能を搭載するとともに、2.4GHz帯の無線LAN受信部をローカル放送の受信趣旨段として兼用することでローカル放送コンテンツの視聴を実現した携帯電話機100の構成例を示した図である。
【図5】図5は、ローカル・コンテンツの放送配信システムの構成例を示した図である。
【図6】図6は、ローカル放送の制御信号の構成例を示した図である。
【図7】図7は、携帯電話100側でローカル放送の制御信号を検出するための動作を説明するための図である。
【図8】図8は、携帯電話100が間欠受信によってローカル放送を視聴するに至るまでの動作シーケンスを示した図である。
【図9】図9は、携帯電話へ情報配信を行なう情報配信システムの構成例を示した図である。
【符号の説明】
【0111】
100…ワンセグ受信機能付き携帯電話
101…ワンセグメント放送受信用アンテナ
102…ダウンコンバータ
103…ローノイズアンプ(LNA)
104…ミキサ
105…ローカル発振器
106…自動利得制御(AGC)アンプ
107…OFDM復調部
108…多重信号復元処理部
109…携帯電話ブロック
110…CPU
111…携帯電話用アンテナ
112…音声処理部
113…スピーカ
114…画像処理部
115…液晶ディスプレイ
116…操作部
201…ローカル放送受信用アンテナ
202…ダウンコンバータ
203…LNA
204…ミキサ
205…ローカル発振器
206…スイッチ
301…ダウンコンバータ
302…ミキサ
303…ローカル発振器
304…AGCアンプ
305…スイッチ
402…無線LAN送信部
403…無線LAN受信部
404…スイッチ
405…ベースバンド処理部
500…2.4GHz帯送信機
502…コンテンツ・サーバ
503…多重処理部
504…OFDM変調部
505…送信部
506…ローカル発振器
507…ローカル放送送信用アンテナ
509…アクセスポイント
600…放送局
601…アンテナ
602…携帯電話基地局
603…携帯電話網
604…インターネット網
605…サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル放送が提供されている環境下において、ローカル放送コンテンツの受信サービスを行なうコンテンツ伝送システムであって、
前記モバイル放送と同一の動画又は音声の圧縮符号化方式、同一の伝送フォーマット、及び同一の変調方式を用いて、前記モバイル放送とは異なる周波数帯でローカルのコンテンツからなるローカル放送を送信する情報提供元と、
前記モバイル放送を受信及び視聴するとともに、前記モバイル放送とは異なる周波数帯で送信されるローカル放送コンテンツを受信し前記モバイル放送と同様のプロセスで復号及び復調して視聴する移動体端末装置と、
を具備することを特徴とするコンテンツ伝送システム。
【請求項2】
前記情報提供元は、映像、音声、及びデータ放送用コンテンツを含む複数のローカル放送用コンテンツを前記モバイル放送と同一の圧縮符号化方式により符号化圧縮するとともに同一の伝送フォーマットにより多重化したストリームを生成する多重化処理部と、該生成されたストリーム信号を前記モバイル放送と同一の変調方式によりマルチキャリア変調するマルチキャリア変調部と、該マルチキャリア送信信号を前記モバイル放送とは異なる周波数帯にアップコンバートする送信部と、該アップコンバートされた放送信号を送出するアンテナを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ伝送システム。
【請求項3】
前記情報提供元は、前記の多重化したストリームにスクランブルを施すとともに、スクランブル・キーを所定の手続きを経て前記移動体端末装置に渡すスクランブル・キー配布手段をさらに備え、
前記移動体端末装置では、スクランブル・キーを用いて受信ストリームをデスクランブルする、
ことを特徴とする請求項2に記載のコンテンツ伝送システム。
【請求項4】
前記情報提供元は、ローカル放送のサービスエリア内であることを前記移動体端末装置に通知する通知手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ伝送システム。
【請求項5】
前記ローカル放送は、マルチキャリア変調信号をセグメント化した複数のチャネルで構成され、このうち少なくとも1セグメントに制御チャネルが設けられ、
前記情報提供元は、前記ローカル放送に関するサービスID、サービス名称、放送局ID、総チャネル数、番組ID、暗号化の有無のうち少なくとも1つを含んだ詳細情報を該制御チャネルで報知し、
前記移動体端末装置は、ローカル放送の制御チャネルをサーチして、この制御チャネルを検出したことに応答して、ローカル放送のサービスエリアに入ったことをユーザに知らせる、
ことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ伝送システム。
【請求項6】
モバイル放送が提供されている環境下において、ローカル放送コンテンツを提供する情報提供装置であって、
映像、音声、及びデータ放送用コンテンツを含む複数のローカル放送用コンテンツを前記モバイル放送と同一の圧縮符号化方式により符号化圧縮するとともに同一の伝送フォーマットにより多重化したストリームを生成する多重化処理部と、
該生成されたストリーム信号を前記モバイル放送と同一の変調方式により変調する変調部と、
該マルチキャリア送信信号を前記モバイル放送とは異なる周波数帯にアップコンバートする送信部と、
該アップコンバートされた放送信号を送出するアンテナと、
を具備することを特徴とする情報提供装置。
【請求項7】
前記の多重化したストリームにスクランブルを施すスクランブル手段と、
ローカル放送コンテンツの受信先に対して所定の手続きを経てスクランブル・キーを渡すスクランブル・キー配布手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の情報提供装置。
【請求項8】
ローカル放送のサービスエリア内であることを前記移動体端末装置に通知する通知手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記ローカル放送は、マルチキャリア変調信号をセグメント化した複数のチャネルで構成され、このうち少なくとも1セグメントに制御チャネルが設けられ、
前記通知手段は、前記ローカル放送に関するサービスID、サービス名称、放送局ID、総チャネル数、番組ID、暗号化の有無のうち少なくとも1つを含んだ詳細情報を該制御チャネルで報知する、
ことを特徴とする請求項8に記載の情報提供装置。
【請求項10】
モバイル放送を視聴可能な移動体端末装置であって、
前記モバイル放送を受信及び視聴する手段と、
前記モバイル放送とは異なる周波数帯で送信されるローカルのコンテンツを受信し前記モバイル放送と同様のプロセスで復号及び復調して視聴する手段と、
を具備することを特徴とする移動体端末装置。
【請求項11】
モバイル放送を視聴可能な移動体端末装置であって、
前記モバイル放送受信用アンテナと、
前記モバイル放送帯付近の周波数信号を所定の中間周波数信号に変換する第1のダウンコンバータと、
前記モバイル放送帯とは異なる周波数帯で配信されるローカル放送信号を受信するためのローカル放送受信用アンテナと、
前記のローカル・コンテンツ放送受信用アンテナによる受信信号をモバイル放送帯付近の周波数に変換する第2のダウンコンバータと、
前記モバイル放送又は前記のローカル・コンテンツ放送のいずれを視聴するかに応じて、前記第1のダウンコンバータへの入力を、前記モバイル放送受信用アンテナ又は前記第2のダウンコンバータの出力のいずれかに切り替える切り替え手段と、
前記第1のダウンコンバータから出力される中間周波数信号を復調並びに復号する復調・復号手段と、
前記復調・復号手段により得られた画像情報又は音声情報を外部出力する出力手段と、
を具備することを特徴とする移動体端末装置。
【請求項12】
モバイル放送を視聴可能な移動体端末装置であって、
前記モバイル放送受信用アンテナと、
前記モバイル放送帯付近の周波数信号を所定の中間周波数信号に変換する第1のダウンコンバータと、
前記モバイル放送帯とは異なる周波数帯で配信されるローカル放送信号を受信するためのローカル・コンテンツ放送受信用アンテナと、
前記のローカル・コンテンツ放送受信用アンテナによる受信信号を前記中間周波数信号に変換する第2のダウンコンバータと、
中間周波数信号を復調並びに復号する復調・復号手段と、
前記モバイル放送又は前記のローカル・コンテンツ放送のいずれを視聴するかに応じて、前記復調・復号手段への入力を、前記第1のダウンコンバータ又は前記第2のダウンコンバータの出力のいずれかに切り替える切り替え手段と、
前記復調・復号手段により得られた画像情報又は音声情報を外部出力する出力手段と、
を具備することを特徴とする移動体端末装置。
【請求項13】
モバイル放送を視聴可能な移動体端末装置であって、
前記モバイル放送受信用アンテナと、
前記モバイル放送帯付近の周波数信号を所定の中間周波数信号に変換するダウンコンバータと、
前記モバイル放送帯とは異なる周波数帯の無線LAN信号を送受信するとともに、該周波数帯で配信されるローカル放送信号を受信可能な無線LAN用アンテナと、
無線LAN用のベースバンド処理部と、送信ベースバンド信号をアップコンバートする送信部と、及び前記無線LAN用アンテナによる受信信号をベースバンドにダウンコンバートする受信部と、
前記の中間周波数信号並びにベースバンド信号を復調並びに復号する復調・復号手段と、
前記モバイル放送又は前記のローカル・コンテンツ放送のいずれを視聴するかに応じて、前記復調・復号手段への入力を、前記ダウンコンバータからの中間周波数信号出力又は前記受信部のベースバンド出力のいずれかに切り替える切り替え手段と、
前記復調・復号手段により得られた画像情報又は音声情報を外部出力する出力手段と、
を具備することを特徴とする移動体端末装置。
【請求項14】
ローカル放送の受信ストリームにはスクランブル処理が施されており、
所定の手続きを経てスクランブル・キーを取得するスクランブル・キー取得手段と、
該取得したスクランブル・キーを用いて受信ストリームをデスクランブルするデスクランブル手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項10乃至13のいずれかに記載の移動体端末装置。
【請求項15】
ローカル放送のサービスエリア内であることを検出してユーザに通知する通知手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項10乃至13のいずれかに記載の移動体端末装置。
【請求項16】
前記ローカル放送は、マルチキャリア変調信号をセグメント化した複数のチャネルで構成され、このうち少なくとも1セグメントに制御チャネルが設けられ、且つ、前記ローカル放送に関するサービスID、サービス名称、放送局ID、総チャネル数、番組ID、暗号化の有無のうち少なくとも1つを含んだ詳細情報を該制御チャネルで報知されており、
前記通知手段は、ローカル放送の制御チャネルをサーチして、この制御チャネルを検出したことに応答して、ローカル放送のサービスエリアに入ったことをユーザに知らせる、
ことを特徴とする請求項15に記載の移動体端末装置。


【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−177836(P2008−177836A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9073(P2007−9073)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】