説明

コンテンツ再生装置、コンテンツ再生方法、プログラム、コンテンツ流通システム

【課題】ユーザがダイジェストコンテンツを聴いて、これに利用されている原コンテンツファイルを入手するまでの手間を省いて、ユーザへの便宜を図る。
【解決手段】コンテンツ再生装置は、ダイジェストコンテンツを取得して再生可能とされている。また、ダイジェストコンテンツの作成に利用された原コンテンツの選択決定操作を可能とするユーザインターフェースを有する。そして、この選択決定操作が行われたことに応じては、ダイジェストコンテンツ・データの編集内容情報により特定した原コンテンツとしてのコンテンツ内容を再現できる実体データを取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばオーディオコンテンツとしてのデータを再生するコンテンツ再生装置と、その方法、及びこのコンテンツ再生装置が実行するプログラムに関する。また、上記コンテンツ再生装置を備えて成るコンテンツ流通システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、MIXCD(ミックスCD)などといわれるジャンルが知られている。これは、いわゆるDJなどといわれる作成者が、複数の曲をミックスという手法によって連続的につなげるようにして編集して作成したものを、1つのまとまった作品、コンテンツとしたものである。一般には、このような編集されたコンテンツは、CDなどのパッケージメディアとして提供される。このことに因み、MIXCDといわれる。
【0003】
このMIXCDの内容としては、上記したように複数の曲の少なくとも一部が継ぎ合わされたものとなったうえで、作成者の編集の意図、技術などが反映されたものとなっている。このために、例えばリスナーにとっては、MIXCDを聴くことで、多くの曲を楽しみながら聴くことができ、また、自分の知らない曲で興味のあるものが見つけられる、という楽しみ、利点もある。このようなことから、MIXCDは、レコード会社などが新曲などを宣伝するという目的でしばしば利用される。
【0004】
また、近年では、オーディオコンテンツなどを入手する方法として、CDなどに代表されるパッケージメディアを入手するのではなく、例えばパーソナルコンピュータとしてのネットワーク端末により、ネットワーク上のサーバから、楽曲としてのオーディオデータをダウンロードすることが広く行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】再公表特許 国際公開番号WO99/25082
【特許文献2】特開2005−92477号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、実際的な問題として、MIXCDのリスナーが、MIXCDの音源を聴いて入手したいと思う曲があったとして、この曲を入手できるまでには、相応の面倒がかかる。例えば、リスナーが入手したいと思った曲を特定するために曲名、アーティストなどを知ろうと思った場合、MIXCDに紙などで添付されている曲目リストがあれば、これをみればよい。しかし、曲目リストがなければ、その曲を特定することは難しくなる。
また、MIXCDは、単にそれ自体で独立した1つのコンテンツであって、本来、MIXCDの音源として利用された曲コンテンツとは関連がない。このために、例えば入手したい曲が特定できたとしても、改めて、その曲のパッケージメディアを入手するために店舗や通販などを利用するか、楽曲ダウンロードサイトのWebページを探してアクセスしてダウンロードするという手間をかけることになる。
【0007】
このことからすると、ユーザへの便宜を図ることとすれば、MIXCDなどのようなダイジェスト的なコンテンツの試聴からはじまり、このコンテンツで利用されている曲のコンテンツを入手するまでの手間がより省かれるようにすることが好ましいといえる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明は上記した課題を考慮して、複数の原コンテンツのコンテンツ内容を利用して編集することで作成されたダイジェストコンテンツのデータとして、少なくとも、ダイジェストコンテンツにおいて利用される原コンテンツをコンテンツ識別子により示し、ダイジェストコンテンツにおける原コンテンツの利用結果が示される情報を有する編集内容情報と、上記ダイジェストコンテンツの内容を再生出力することのできる1つのコンテンツ実体データ及び/又は総合して上記ダイジェストコンテンツの内容を再生出力することのできる、離散された複数のコンテンツ実体データを取得するためのダイジェストコンテンツ・データ取得手段と、上記1つのコンテンツ実体データ又は上記離散された複数のコンテンツ実体データを利用して、ダイジェストコンテンツの内容を再生するダイジェストコンテンツ再生手段と、上記ダイジェストコンテンツにおいて利用されている原コンテンツのうちから任意の原コンテンツを選択決定する選択決定操作が可能なユーザインターフェースを提供するユーザインターフェース提供手段と、上記選択決定操作により選択決定された原コンテンツが何であるのかを、上記編集内容情報を参照して特定する原コンテンツ特定手段と、上記原コンテンツ特定手段により特定された原コンテンツについて、本コンテンツ再生装置により再生が可能な形式による実体データである、再生可能原コンテンツデータを取得する原コンテンツデータ取得手段とを備えてコンテンツ再生装置を構成することとした。
【0009】
上記構成では、複数の原コンテンツを利用して作成されたダイジェストコンテンツをコンテンツ再生装置が取得して、これを再生できるようになっている。また、ダイジェストコンテンツの作成に利用された原コンテンツのうちから任意のものを選択決定する操作を可能とするユーザインターフェースも提供されている。そして、この原コンテンツを選択決定する操作が行われたことに応じては、コンテンツ再生装置により、この選択決定された原コンテンツとしてのコンテンツ内容を再現できる実体データを取得する。この実体データが取得されて以降は、コンテンツ再生装置により、いつでも選択決定した原コンテンツを再生出力できる。
【発明の効果】
【0010】
このようにして、本発明は、コンテンツ再生装置において、ユーザが、ダイジェストコンテンツを作成するのに利用した原コンテンツを取得するための操作(選択決定操作)が可能とされている。また、この操作に応じて、選択された原コンテンツとして、コンテンツ再生装置により再生が可能な形式の実体データを取得するようにしている。
つまり、ユーザは、コンテンツ再生装置に対する操作のみで、ダイジェストコンテンツにおいて利用されている原コンテンツのうちから、そのコンテンツ内容を鑑賞したいものを選ぶ操作と、選らんだ原コンテンツの実体データの取得とを行える。
即ち、本願発明によっては、ユーザがダイジェストコンテンツを聴いて、これに利用されている原コンテンツファイルを入手するまでの手間が省かれるものであり、それだけ、ユーザにとっては便利なコンテンツ鑑賞の環境が得られることになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本願の発明を実施するための形態(実施形態)としてのコンテンツ流通システムの第1構成例を示す図である。
【図2】ダイジェストコンテンツの音声的な内容例を模式的に示す図である。
【図3】原コンテンツファイルの構造例を示す図である。
【図4】ダイジェストコンテンツ・データの構造例を示す図である。
【図5】編集内容ファイルの構造例を示す図である。
【図6】利用コンテンツ情報の内容例を示す図である。
【図7】編集内容記述情報の内容例を示す図である。
【図8】第1構成例に対応するユーザ用ダイジェストコンテンツ・データの構造例を示す図である。
【図9】コンテンツ再生装置の構成例を示す図である。
【図10】第1構成例のコンテンツ再生装置が実行する、原コンテンツリストに対して行われる原コンテンツの購入操作に対応する処理手順例を示すフローチャートである。
【図11】コンテンツ再生装置が実行する、購入した原コンテンツの確認再生のための処理手順例を示すフローチャートである。
【図12】原コンテンツ確認再生の態様例を模式的に示す図である。
【図13】第1構成例のコンテンツ再生装置が実行する、ダイジェストコンテンツの再生中において行われる原コンテンツの購入操作に対応する処理手順例を示すフローチャートである。
【図14】本実施形態のコンテンツ流通システムの第2構成例を示す図である。
【図15】第2構成例において、課金処理に対応して、携帯型コンテンツ再生装置、コンテンツ記憶装置、課金サーバが実行する処理手順例を示すシーケンス図である。
【図16】本実施形態のコンテンツ流通システムの第3構成例を示す図である。
【図17】本実施形態のコンテンツ流通システムの第4構成例を示す図である。
【図18】本実施形態のコンテンツ流通システムの第5構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)について、下記の順により説明する。

<1.コンテンツ流通システム:第1構成例>
[1−1.全体構成]
[1−2.コンテンツ再生装置の構成]
[1−3.コンテンツ再生装置のアルゴリズム例]
<2.コンテンツ流通システム:第2構成例>
<3.コンテンツ流通システム:第3構成例>
<4.コンテンツ流通システム:第4構成例>
<5.コンテンツ流通システム:第5構成例>
【0013】
<1.コンテンツ流通システム:第1構成例>
[1−1.全体構成]
本実施形態としては、楽曲の内容を有する曲コンテンツを流通させる、コンテンツ流通システムを例に挙げる。ここで流通される曲コンテンツはオーディオコンテンツなどともいわれ、その実体としては、例えばデジタルオーディオデータなどとなる。
先ず、図1を参照して、本実施形態の第1構成例としてのコンテンツ流通システムの全体構成について説明する。
この図に示すように、先ず、本実施形態のコンテンツ流通システムの利用者は、コンテンツ提供者、コンテンツクリエータ、及び一般ユーザとなる。
コンテンツ提供者は、例えばレコード会社など、多数の曲コンテンツを保有し、これを例えば販売、配布などにより一般ユーザに提供しようとする者となる。ここでいう曲コンテンツとは、例えば、1楽曲分の音声内容をそのコンテンツ内容として有するものをいい、後述するコンテンツ流通の態様においては、原コンテンツとして扱われるものである。
【0014】
コンテンツクリエータは、後述するようにして、この場合にはコンテンツ提供者からの依頼を受けて、複数の曲コンテンツ(原コンテンツ)を利用したミキシング・編集を行って、これら複数の曲コンテンツごとの少なくとも一部がつながっていくようにされた音声内容を有する、1コンテンツとしての作品を作成する。
このようにして作成されるコンテンツは、例えば一般には、MIXCDといわれるオーディオコンテンツに相当する。
なお、先にも述べたように、MIXCDとは、DJなどといわれるアーティスト(作成者)が、複数の曲をミックスという手法によって連続的につなげるようにして編集して1つのまとまった作品、コンテンツとして作成したものをいう。このような編集されたコンテンツは、CDなどのパッケージメディアとして提供されるので、このことに因んで、このコンテンツ自体をMIXCDともいうことが一般的である。
【0015】
本実施形態において、コンテンツクリエータが作成したコンテンツについては、複数楽曲のダイジェストとしての音声内容を有するものとして捉えられることに因み、ダイジェストコンテンツという
【0016】
一般ユーザは、コンテンツ再生装置1を所有する者である。
この一般ユーザは、コンテンツ提供者が提供する曲コンテンツ、また、コンテンツクリエータが作成したダイジェストコンテンツ(ユーザ用ダイジェストコンテンツ)としてのオーディオデータファイルを入手する。そして、この入手したコンテンツ(オーディオデータファイル)のデータをコンテンツ再生装置1により再生して鑑賞することができる。
【0017】
また、図1のシステムを形成するサーバ、装置などとしては、コンテンツ再生装置1、原コンテンツサーバ2、ダイジェストコンテンツサーバ3,ダイジェストコンテンツ転送装置4、コンテンツ作成装置5、課金サーバ6とされている。
システム内におけるこれらの装置の動作と、システムの利用態様例について、同図1を参照して説明する。なお、この説明は、図において○印内の数字により示す手順の番号にしたがって行う。
【0018】
[手順1]
先ず、コンテンツ提供者は、自身が所有する曲コンテンツのうちから、ダイジェストコンテンツに含めたいN個の曲コンテンツ、即ち原コンテンツ1〜Nを選んで集める。なお、「原コンテンツ」とは、ダイジェストコンテンツを作成するにあたっての利用元となるコンテンツであることに因んだ、曲コンテンツについての別名称である。
コンテンツ提供者は、手順1として、これらの原コンテンツ1〜Nのファイル(原コンテンツファイル)を、原コンテンツサーバ2に対してネットワーク経由で転送して登録させる。この登録の際、コンテンツ提供者は、自身が所有するネットワーク端末装置により、原コンテンツファイルのデータを転送させる。原コンテンツサーバ2は、転送されてきた原コンテンツファイルを記憶管理する。
【0019】
ここで図3により原コンテンツファイルの構造例を示しておく。
この図に示すように、原コンテンツファイルは、ヘッダとオーディオデータとから成る。
ヘッダには、対応の原コンテンツファイルについて必要な各種の情報(ヘッダ情報)が格納される。これらのヘッダ情報の1つとして、図においては、コンテンツIDが示される。コンテンツIDは、対応する原コンテンツファイルに固有となるようにして割り当てられた識別子である。
なお、この場合のヘッダ情報には、例えば、対応する原コンテンツの楽曲の曲名、アーティスト名、再生時間、ジャンル、オーディオデータ形式などをはじめとした各種のメタデータを格納できる。
また、原コンテンツファイルにおけるオーディオデータは、その原コンテンツとしての楽曲内容を有する所定形式のデジタルオーディオデータを格納する領域である。
原コンテンツファイルは、ダイジェストコンテンツの内容を再生出力することのできる1つのコンテンツ実体データとしてみることができる。
【0020】
なお、上記図3は、原コンテンツファイルのヘッダに、コンテンツIDを格納した例を示しているが、これは、原コンテンツファイルをコンテンツIDと関連付けていることを意味する。本実施形態としては、原コンテンツファイルがコンテンツID、若しくはIDとして機能する情報と関連付けられている限り、その管理の態様については特に限定されない。
例えば、原コンテンツファイルのフィンガープリントなど、原コンテンツファイルのコンテンツ内容に応じて一義的に得られ、また、固有となるデータをコンテンツIDとして利用して管理することが考えられる。
また、原コンテンツファイルに外部からIDを付加した態様によりデータベース管理するような態様とすることも考えられる。
【0021】
[手順2]
また、コンテンツ提供者は、図1の手順2として示すように、今回選んだとする原コンテンツ1〜Nについての原コンテンツリストをコンテンツクリエータに受け渡す。ここでの原コンテンツリストは、原コンテンツ1〜Nの内訳内容を示した情報であり、コンテンツ作成者のほうで原コンテンツ1〜Nを特定できるようにされた内容を有しているものとする。
【0022】
なお、原コンテンツリストの受け渡しは、例えば手渡し、若しくはそれに準じたものとすることも可能ではあるが、次のようにして自動化することも可能である。
つまり、例えばコンテンツ提供者は、コンピュータ装置などとしての情報処理装置により特定のアプリケーションプログラムを利用して、自身が所有管理している曲コンテンツのうちから原コンテンツを選択するようにされているものとする。そして、上記のアプリケーションプログラムは、原コンテンツ1〜Nの選択された結果に基づいて、原コンテンツリストを自動作成する。この原コンテンツリストは例えば所定形式のファイルとして得ることができる。また、上記アプリケーションプログラムは、この自動作成した原コンテンツリストをネットワーク経由で、コンテンツクリエータが所有する情報処理装置に対して送信する。このとき、コンテンツクリエータ側としては、コンテンツ作成装置5により直接的に原コンテンツリストを受信するようにしてよい。
【0023】
[手順3]
原コンテンツリストを受け取ったコンテンツクリエータは、受け取った原コンテンツリストにおいて示されている原コンテンツのデータを、原コンテンツサーバ2から取得し、例えばコンテンツ作成装置5のローカルに保存させるようにする。このようにして保存された原コンテンツが、ダイジェストコンテンツを作成するにあたって利用する音源素材となる。
なお、この原コンテンツを取得する手順も自動化が可能である。
例えばコンテンツ作成装置5(若しくは他の情報処理装置でもよい)が、読み込んだ原コンテンツリストを解析して、そこに示される原コンテンツが何であるのかを認識し、これらの認識した原コンテンツのダウンロードを実行するように構成するものである。この処理は、例えばコンテンツ作成装置5に実行させるプログラムにより実現できる。
また、上記のようにして原コンテンツリストを自動でダウンロードさせるのにあたり、ダウンロードすべき原コンテンツを指定するのにあたっては、図3に示したようにヘッダに格納されるコンテンツIDを利用すればよい。このためには、原コンテンツリストにおいて原コンテンツリストを示すのにあたっては、少なくともコンテンツIDを使用することになる。
【0024】
[手順4]
この場合のコンテンツ作成装置5は、コンテンツクリエータの操作に応じて、原コンテンツファイル(つまり、デジタルオーディオデータ)を利用して、複数楽曲ごとの少なくとも一部をつなげて1つの新たな曲コンテンツを作成していくのに相当する編集処理を実行することができる。このような編集作業は、例えばいわゆるDJが行うミックスといわれる演奏、編集手法に相当するもので、編集により得られたコンテンツが、ダイジェストコンテンツとなる。つまり、手順4としては、コンテンツクリエータがコンテンツ作成装置5を操作してダイジェストコンテンツを作成するものとなる。
【0025】
図2は、ダイジェストコンテンツについて音声内容からみた編集結果例の1つを模式的に示している。
このダイジェストコンテンツは、その再生時間に従って、原コンテンツ1、原コンテンツ4、原コンテンツ2、原コンテンツ5、原コンテンツ3が順次つなげられるようにして作成されたものとなっている。また、利用される原コンテンツは、その開始から終端までの全区間が利用されてもよいし、全区間における任意の一部を抜き出した区間を利用してもよい。
この図では、各原コンテンツが、その全区間において利用されている区間について、時刻により表記している。
ダイジェストコンテンツにおいて最初に再生される原コンテンツ1は、その原コンテンツ1の全区間(00:00〜end(終端))における時刻aa:aa〜bb:bbの区間を利用していることが示されている。
ダイジェストコンテンツにおいて原コンテンツ1の次に再生される原コンテンツ4は、その全区間における時刻cc:cc〜dd:ddの区間を利用していることが示されている。
ダイジェストコンテンツにおいて原コンテンツ1の次に再生される原コンテンツ2は、その全区間における時刻ee:ee〜ff:ffの区間を利用していることが示されている。
ダイジェストコンテンツにおいて原コンテンツ1の次に再生される原コンテンツ5は、その全区間における時刻gg:gg〜hh:hhの区間を利用していることが示されている。
ダイジェストコンテンツにおいて原コンテンツ3の次に再生される原コンテンツ5は、その全区間における時刻ii:ii〜jj:jjの区間を利用していることが示されている。
【0026】
また、コンテンツ作成装置5により作成されるダイジェストコンテンツとしてのデータ(ダイジェストコンテンツ・データ)の実体構造を図4に示しておく。
この図に示すようにして、ダイジェストコンテンツ・データは、編集内容ファイルと、完全パッケージ・ダイジェストコンテンツファイルの組から成るものとしている。
コンテンツ作成装置5は、コンテンツクリエータの編集操作に応じて作成するダイジェストコンテンツの実体として、少なくとも、上記編集内容ファイルのデータと、完全パッケージ・ダイジェストコンテンツファイルのデータとを作成することになる。
【0027】
先ず、完全パッケージ・ダイジェストコンテンツファイルのデータ構造としては、図3に示した原コンテンツファイルに準じたものとなる。つまり、ヘッダと、オーディオデータとから成る。そのうえで、オーディオデータには、ダイジェストコンテンツとしての音声内容を有するデジタルオーディオデータが格納されるものとなる。ヘッダには、そのダイジェストコンテンツに付したコンテンツIDをはじめ、原コンテンツファイルに準じて各種のヘッダ情報が格納される。
【0028】
完全パッケージ・ダイジェストコンテンツファイルが、上記のようにしてダイジェストコンテンツとしての音声内容のオーディオデータを有するものであるのに対して、編集内容ファイルは、ダイジェストコンテンツとしての音声内容のオーディオデータは特に含まない。編集内容ファイルは、オーディオデータに代えて、データ本体として、ダイジェストコンテンツの編集内容が記述されたデータを有する。
【0029】
編集内容ファイルの構造例を図5に示す。
この図に示される編集内容ファイルは、ヘッダ、利用コンテンツ情報、編集内容記述情報から成るものとしている。
ヘッダには、編集内容ファイルごとに固有となるようにして与えられたファイルIDのほか、所要のヘッダ情報が格納される。
【0030】
利用コンテンツ情報は、対応のダイジェストコンテンツを作成するのに利用した原コンテンツの内訳を示したリスト情報である。
この利用コンテンツ情報は、例えば図6に示すようにして、単位コンテンツ情報が順次配列されて成る。1つの単位コンテンツ情報が、ダイジェストコンテンツに利用されている原コンテンツのうちの1つに対応する。つまり、利用コンテンツ情報は、ダイジェストコンテンツに利用された原コンテンツごとに対応した単位コンテンツ情報の集合から成る。
【0031】
また、個々の単位コンテンツ情報は、例えば図示するように、コンテンツID、アーティスト名、曲名から成るものとしている。コンテンツIDには、対応する原コンテンツのコンテンツIDが格納される。アーティスト名、曲名には、それぞれ、対応する原コンテンツとしての楽曲についての、アーティストの名称、曲名を示すデータが格納される。
【0032】
編集内容記述情報は、利用コンテンツ情報により示される原コンテンツについて、対応のダイジェストコンテンツにおいてどのようにして利用されているのかを記述したデータである。
この編集内容記述情報の記述内容例を、図7に示す。
この図においては、[ ]により括られる記述部分が、1つの原コンテンツを利用しての時間的に連続した区間(利用区間)に対応するもので、ここでは利用区間情報という。
先ず、図において先頭に示される利用区間情報においては、
[
file_id=AAAAAA;
time=00:00-00:10;
position=vv-zz
]
と記述されている。これは、利用されている原コンテンツが、コンテンツID=AAAAAAにより特定されるものであること、この原コンテンツについてのダイジェストコンテンツにおける再生時間は00:00(開始時点)〜00:10(再生時間10秒)であり、この再生時間において利用する利用一次コンテンツのデータ区間(利用区間)は、アドレスvvからアドレスzzまでに対応する範囲であることを示している。
これに続く利用区間情報は、
[
file_id=CCCCCC;
time=00:10-00:15;
position=ss-tt
]
と記述されている。これは、原コンテンツがコンテンツID=CCCCCCにより特定されるものであり、この原コンテンツについてのダイジェストコンテンツにおける再生時間は00:10〜00:15であり、この再生時間において利用する原コンテンツのデータ区間は、アドレスssからアドレスttまでに対応する範囲であることを示している。
続く利用区間情報は、
[
file_id=BBBBBB;
time=00:15-00:20;
position=ss-tt
]
と記述されている。これは、原コンテンツがコンテンツID=BBBBBBにより特定されるものであり、この原コンテンツについてのダイジェストコンテンツでの再生時間は00:15〜00:20であり、この再生時間において利用する原コンテンツのデータ区間は、アドレスppからアドレスuuまでに対応する範囲であることを示している。
【0033】
このようにして、編集内容記述情報は、原コンテンツをどのように利用してダイジェストコンテンツとしての音声内容が成り立っているのかを示す情報を有している。このような情報は、換言すれば、編集内容記述情報の内容に従って利用されている原コンテンツファイルのオーディオデータを適宜再生していくことでダイジェストコンテンツとしての音声内容を再現可能な内容を有しているといえる。
【0034】
[手順5]
上記手順4によりダイジェストコンテンツを作成したとすると、コンテンツクリエータは、コンテンツ作成装置5からダイジェストコンテンツサーバ3に対して、この作成したダイジェストコンテンツのデータを転送させる。このときに転送されるダイジェストコンテンツのデータは、図4に示した構造のダイジェストコンテンツ・データとなる。
ダイジェストコンテンツサーバ3では、転送されてきたダイジェストコンテンツ・データを記憶管理する。
【0035】
[手順6]
上記手順1〜手順5までの段階により、今回作成したダイジェストコンテンツに関しては、このダイジェストコンテンツに利用されている原コンテンツファイルのデータが原コンテンツサーバ2において記憶されている。また、このダイジェストコンテンツに対応するダイジェストコンテンツ・データがダイジェストコンテンツサーバ3にて記憶されている。
手順6は、ダイジェストコンテンツ転送装置4が、しかるべき機会、タイミングにおいて、指定された1つのダイジェストコンテンツに対応する、「ユーザ用ダイジェストコンテンツ・データ」を作成する処理となる。
【0036】
例えば、ユーザ用ダイジェストコンテンツ・データの作成は下記のようにして行う。
ダイジェストコンテンツ転送装置4に対しては、しかるべき機会、タイミングで、これまでに説明してきたダイジェストコンテンツに対応するダイジェストコンテンツ・データを作成すべき指示が与えられるものとする。この指示は、例えばコンテンツ提供者側からの操作であるとか、ネットワーク経由での命令の送信により行われるものとする。
【0037】
上記の指示が得られたとすると、ダイジェストコンテンツ転送装置4は、例えばネットワーク経由で、指定されたダイジェストコンテンツに対応するダイジェストコンテンツ・データを、ダイジェストコンテンツサーバ3に転送させて取り込む。このときダイジェストコンテンツ転送装置4は、ダイジェストコンテンツのコンテンツIDにより転送してもらうべきダイジェストコンテンツの指定を受けるものとされる。従って、ダイジェストコンテンツサーバ3への要求も、この指定されたコンテンツIDにより行うようにする。
【0038】
また、ダイジェストコンテンツ転送装置4は、指定されたダイジェストコンテンツにおいて利用されている全ての原コンテンツファイル1〜Nの転送を原コンテンツサーバ2に要求する。そして、要求に応じて転送されてきた原コンテンツファイル1〜Nのデータを取得する。
ここで、ダイジェストコンテンツ転送装置4は、原コンテンツサーバ2に転送を要求すべき原コンテンツファイルが何であるのかについては、ダイジェストコンテンツサーバ3から取得したダイジェストコンテンツ・データの編集内容ファイルにおける利用コンテンツ情報により、コンテンツIDとして認識することができる。そして、この認識したコンテンツIDによって原コンテンツサーバ2に対するデータの転送を要求する。
【0039】
次に、ダイジェストコンテンツ転送装置4は、原コンテンツサーバ2から取得した原コンテンツファイル1〜Nのそれぞれについて暗号化を施す。
そして、ダイジェストコンテンツ転送装置4は、図8に示すように、ダイジェストコンテンツ・データとして取得した編集内容ファイル、完全パッケージダイジェストコンテンツファイルとともに、上記のようにして暗号化した原コンテンツファイル1〜N(暗号化原コンテンツファイル1〜N)のセットをまとめて、1つのユーザ用ダイジェストコンテンツ・データとする。
なお、原コンテンツファイル1〜N(暗号化原コンテンツファイル1〜N)のセットは、総合して上記ダイジェストコンテンツの内容を再生出力することのできる、離散された複数のコンテンツ実体データとなる。
【0040】
[手順7]
ダイジェストコンテンツ転送装置4は、上記のようにして作成したユーザ用ダイジェストコンテンツ・データを、ネットワーク経由で、しかるべき機会、タイミングでもって、コンテンツ再生装置1に対して転送する。
【0041】
本願発明におけるコンテンツ作成・転送装置は、コンテンツ作成装置5とダイジェストコンテンツ転送装置4をまとめたものとしてみることができる。コンテンツ作成・転送装置は、現実に1つの装置とされても良いのであるが、コンテンツ作成装置5を操作する者がコンテンツクリエータといわれる個人である一方、ダイジェストコンテンツ転送装置4はネットワーク上に存在するサーバ装置のようにして存在させることが、例えば運用上は好ましい。このような事情から、本実施形態では、コンテンツ作成装置5とダイジェストコンテンツ転送装置4とをそれぞれ異なる装置としている。
【0042】
なお、ダイジェストコンテンツ・データを転送するタイミングのトリガについては多様に考えることができるが、例えば次のようなものを具体的に考えることができる。
例えば、ダイジェストコンテンツ転送装置4は、作成したユーザ用ダイジェストコンテンツ・データをアップロードしたWebサイトを提供する、Webサーバとしての機能も与えられているものとする。一般ユーザは、任意のときに、コンテンツ再生装置1を上記Webサーバに対してネットワーク経由でアクセスさせ、このWebサイトから、任意のダイジェストコンテンツを選択してダウンロードさせる。これに応じて、ダイジェストコンテンツ転送装置4から、コンテンツ再生装置1に対してユーザ用ダイジェストコンテンツ・データが転送される。
【0043】
また、予め指定された時刻において、ダイジェストコンテンツ転送装置4からコンテンツ再生装置1に対して、ユーザ用ダイジェストコンテンツ・データを一斉に転送するようにすることも考えられる。この場合には、上記の時刻においてネットワークに接続されていたコンテンツ再生装置1において、ダイジェストコンテンツ転送装置4から送信されてきたユーザ用ダイジェストコンテンツ・データが自動的に受信取得されることになる。
【0044】
[手順8]
コンテンツ再生装置1では、上記のようにして転送されてきたユーザ用ダイジェストコンテンツ・データをローカルに保存して管理するものとする。そして、このようにしてコンテンツ再生装置1においては、例えばユーザ操作に応じて、このようにして保存されたユーザ用ダイジェストコンテンツを再生することができる。
【0045】
なお、コンテンツ再生装置1の実際としては、例えば1つには、ダイジェストコンテンツの再生に関連した機能を実現するプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータなどを代表的なものとして挙げることができる。
また、携帯電話装置であるとか、ネットワーク接続機能を有するコンテンツ再生のための専用装置などを挙げることができる。
【0046】
また、この手順8としてのダイジェストコンテンツの再生は、ユーザ用ダイジェストコンテンツ・データにおける、完全パッケージ・ダイジェストコンテンツファイルについて、例えばそのオーディオデータ形式に対応した再生信号処理を実行することによって行うものとする。
一般ユーザは、このようにして再生されるダイジェストコンテンツの音を聴いて楽しむことができる。
【0047】
なお、本実施形態のコンテンツ再生装置1は、暗号化原コンテンツファイルを復号して再生する機能を有してはいる。ただし、後述するようにしてその原コンテンツファイルの購入手続きを完了するまでは復号処理を実行しないようになっている。
【0048】
なお、本実施形態のシステムに対応するビジネスモデルとして、ダイジェストコンテンツのコンテンツ再生装置1へのダウンロードは無料であるものとする。これは、ダイジェストコンテンツの配布は、コンテンツ提供者にとって、そのダイジェストコンテンツに含まれる曲コンテンツ(原コンテンツ)の販売促進を目的とすることによる。つまり、ダイジェストコンテンツは、複数の曲コンテンツについての試聴版としてみることができる。
もちろん、これは一例であって、ダイジェストコンテンツそのものを有料で配布することとしても、本実施形態の構成を妨げるものではない。例えばダイジェストコンテンツをいわゆるMIXCD音源として見た場合には、これ自体が音楽的に相当の価値を持つ場合もしばしばあると考えられる。
また、ダウンロードは無料であるが、再生回数については制限が与えられるような仕組みとすることも考えられる。
【0049】
[手順9]
ユーザがダイジェストコンテンツを再生して試聴したところ、このダイジェストコンテンツに利用されている原コンテンツ(曲コンテンツ)のうちで、気に入った原コンテンツが見つかったとする。
本実施形態のコンテンツ再生装置1では、所定の操作により、自身が再生可能なダイジェストコンテンツにおいて利用されている原コンテンツを選択して購入するための操作が可能なようにされている。
この原コンテンツ購入操作に対応するユーザインターフェースの態様としては、例えば次のようなものを考えることができる。
例えば、コンテンツ再生装置1においては、保存しているダイジェストコンテンツにおいて利用されている原コンテンツのリストを、表示により提示できるようになっているものとする。なお、このような原コンテンツリストは、例えば保存しているユーザ用ダイジェストコンテンツ・データにおける利用コンテンツ情報を利用して作成できる。
ユーザは、この原コンテンツリストに提示される一覧のうちから、購入したい原コンテンツのタイトル(曲名)を選択する操作を行ったうえで、購入決定の操作を行うようにする。
【0050】
また、次のようなユーザインターフェースの態様も考えられる。
ここで、コンテンツ再生装置1により、1つのダイジェストコンテンツ・データ(完全パッケージダイジェストコンテンツファイル)を再生しているものとする。ユーザはこれを聴きながら、自分が気に入った原コンテンツが再生されているときに、購入決定操作を行うことができる。これにより、購入操作が行われたときに再生されていた原コンテンツが購入対象であるとして決定されることになる。
また、これの変形として、ダイジェストコンテンツ・データを再生させながら、気に入った曲コンテンツの再生中に、マーキングのための操作をしておくようにする。この操作に応じて、マーキング操作が行われたときに再生されていた原コンテンツが、購入対象候補として設定される。そして、マーキング操作を一通り終えた後において、マーキングされた購入対象候補の原コンテンツのリストを表示するなどして、このリストから、購入する原コンテンツを選択したうえで購入決定操作を行うようにするものである。
【0051】
[手順10]
上記のようにして原コンテンツを選択しての購入決定操作が行われたとすると、ここでは、この購入決定操作が行われたことに応じて、その原コンテンツを一般ユーザが購入したものとしてみなされるものとする。
これまでの説明から理解されるように、購入決定操作が行われた原コンテンツは、既にコンテンツ再生装置1のローカルにて、その暗号化原コンテンツファイルが保存されている。コンテンツ再生装置1は、購入決定操作が行われて以降、この暗号化原コンテンツファイルを復号して得られる原コンテンツファイル(再生可能原コンテンツデータ)を、通常の他の曲コンテンツファイルと同様にして再生することができる。
【0052】
[手順11]
上記のようにして購入決定操作が行われたことに応じて、コンテンツ再生装置1は、課金サーバ6にアクセスする。これに応じて、課金サーバ6は、今回の購入決定操作により購入したとされる原コンテンツの料金についての課金処理を実行する。
【0053】
このようにして、本実施形態においては、コンテンツ再生装置1により再生可能なダイジェストコンテンツにおいて利用されている原コンテンツを、同じコンテンツ再生装置1に対して行う購入操作により購入することができる。つまり、原コンテンツを再生しているのと同じ装置によってすぐに購入操作が行える。また、購入操作のユーザインターフェースとしても、例えば表示された原コンテンツのリストから選択する、若しくは、ダイジェストコンテンツにおいて所望の原コンテンツの再生中に購入若しくはマーキングなどの操作を行って購入対象のコンテンツを指定できるようにしている。そして、購入操作に応じては、同じコンテンツ再生装置1により、購入した原コンテンツを再生することができる。つまり、購入した原コンテンツがコンテンツ再生装置1のローカルにダウンロードされたのと同じ結果が得られる。
【0054】
例えばこれまでにおいては、ユーザがMIXCDを聴いて気に入った曲コンテンツを入手するには、先にも述べたように、曲コンテンツのタイトルなどの特定から入手するまでの経路など、比較的に多くの手間がかかってしまう。
これに対して、本実施形態であれば、上記のようにして、曲コンテンツを調べて特定するような手間を掛けることなく、コンテンツ再生装置1にて所望の曲コンテンツ(原コンテンツ)選んで購入できる。
また、購入した原コンテンツは、元来、ネットワーク経由でコンテンツ再生装置1にダウンロードされていることから、購入決定操作ののちにすぐに聴くことができる。つまり、購入操作に応じて、即座に、原コンテンツを購入してコンテンツ再生装置1にて再生可能な環境が得られる。
このようにして本実施形態によっては、MIXCD相当のダイジェストコンテンツの試聴から、気に入った原コンテンツを一般ユーザが入手するまでの手間が大幅に省かれるものとなる。
【0055】
[1−2.コンテンツ再生装置の構成]

図9は、コンテンツ再生装置1の内部構成例を示している。
この図に示されるコンテンツ再生装置1は、制御部11、記憶部12、コンテンツ再生処理部13、音声出力部14、表示部15、暗号解除処理部16、課金対応処理部17、通信処理部18、操作部19から成るものとしている。
【0056】
制御部11は、この図に示される機能部位に対する制御を実行して、コンテンツ再生装置1としての機能を実現する部位となる。この制御部11の動作は、例えばコンテンツ再生装置1が備えるCPUと、主記憶装置となるRAMなどのハードウェアと、CPUに実行させるプログラムなどにより実現される。
【0057】
記憶部12は、コンテンツのデータ、プログラムのデータなどが記憶される部位であり、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)であるとかフラッシュメモリなどの不揮発性メモリ素子などにより構成できる。ここで記憶部12に記憶されるコンテンツファイルは、これまでの説明との対応では、原コンテンツファイル、ユーザ用ダイジェストコンテンツ・データなどとなる。なお、図1にしたコンテンツ流通以外の経路により取得したオーディオコンテンツファイルのデータなどが記憶されていてもよい。
記憶部12に対するデータの書き込み、読み出しは、制御部11が制御する。
【0058】
コンテンツ再生処理部13は、例えば記憶部12から読み出されたオーディオデータを再生するための信号処理を実行可能とされている。コンテンツ再生処理部13の再生信号処理により得られた再生音声信号は、音声出力部14に出力される。
この場合の音声出力部14は、例えば、入力された再生音声信号を増幅して、ここでは図示していないヘッドフォン端子、スピーカなどドライブ信号を出力する。ユーザは、ヘッドフォン端子に接続したヘッドフォン、若しくはスピーカから出て来る音として、コンテンツの再生音声を聴くことができる。
【0059】
表示部15は、制御部11の表示制御によって、ユーザインターフェース画像などが表示される部位である。また、例えばコンテンツ再生装置1がビデオコンテンツを再生する機能を有している場合には、再生したビデオコンテンツの画像も、表示部15に表示させることができる。
【0060】
暗号解除処理部16は、暗号化原コンテンツの暗号化の解除、つまり暗号化に対する復号処理を実行するための部位である。この暗号解除処理部16は、ハードウェアにより構成することもできるし、DSP(Digital Signal Processor)により構成することもできる。また、CPUがプログラムを実行することによる、いわゆるソフトウェアにより実現することもできる。
【0061】
課金対応処理部17は、制御部11の制御に従って、通信処理部18により課金サーバ6とネットワーク経由で接続させるための処理と、接続した課金サーバ6との間で、購入決定された原コンテンツについて行われる課金に対応した処理とを実行する用にされた部位である。この課金対応処理部17は、例えばソフトウェアにより実現できる。
【0062】
通信処理部18は、所定のネットワーク通信プロトコルに従った物理層に対応する構成と、これより上位の所定層に対応するプログラムにより構成されるもので、当該コンテンツ再生装置1がネットワーク経由での通信を実行するために設けられる部位である。
【0063】
操作部19は、コンテンツ再生装置1に対して備えられる操作子、若しくは、操作子として扱うことのできる入力デバイスなどを一括して示したものである。操作部19を形成するとされる操作子に対して行われた操作に応じては、その操作信号が制御部11に対して出力される。制御部11は、検知した操作信号に応じてしかるべき処理を実行する。これにより、操作に応答したコンテンツ再生装置1としての動作が得られる。
【0064】
[1−3.コンテンツ再生装置のアルゴリズム例]

図10のフローチャートは、図1の手順9,10に対応してコンテンツ再生装置1が実行する処理のためのアルゴリズムを示している。なお、原コンテンツ購入操作のためのユーザインターフェースとして、先に、次のような例を挙げた。1つは、コンテンツ再生装置が暗号化原コンテンツとして記憶している原コンテンツのリストを表示させたうえで、この原コンテンツリストから購入すべき原コンテンツを選択するようにしたものである。また、もう1つは、ダイジェストコンテンツの再生中において購入決定操作が行われたときに再生されていた原コンテンツを購入対象の原コンテンツとするものである。
先ず、図10のフローチャートにより、前者のユーザインターフェースを採用した場合のアルゴリズムについて説明する。
【0065】
図10のステップS101において、先ず、コンテンツ再生装置1の制御部11は、自身が保存しているダイジェストコンテンツ・データにおける編集内容ファイル内の利用コンテンツ情報を利用して、原コンテンツリストのユーザインターフェース画像を作成して、これを表示部15に表示させるための制御を実行する。
【0066】
次のステップS102において制御部11は、上記ステップS101により表示させた原コンテンツリストに対して原コンテンツの選択操作が行われる都度、購入候補となる原コンテンツを選択する処理を実行する。
そして、ステップS103において制御部11は、購入決定操作が行われか否かについて判別しており、否定の判別結果が得られているのであればステップS102に戻る。つまり、原コンテンツリストに対する原コンテンツの選択操作は、購入決定操作が行われるまで何度でも行えるようにされている。
そして、ステップS103において購入決定操作が行われたことが判別されると、制御部11は、ステップS104に進む。
【0067】
ステップS104においては、購入決定操作のときに選択されていた原コンテンツのコンテンツIDを取得する。例えば原コンテンツリストにおいては、その作成時において、リストアップされた原コンテンツごとに、利用コンテンツ情報から読み出したコンテンツIDが対応付けられている。
【0068】
ここでは、次のステップS105により、ステップS103の購入決定操作に応じた課金処理を実行することとしている。
ここでの課金処理は、課金対応処理部17が実行する。課金対応処理部17は、通信処理部18を制御してネットワーク経由でコンテンツ再生装置1を課金サーバ6に接続させる。そして、この接続された状態の下、例えば、今回の購入決定操作が行われた原コンテンツのコンテンツIDを課金サーバ6に通知する。
課金サーバ6は、コンテンツIDと料金とを対応付けた料金情報により、原コンテンツの料金を管理している。そこで、料金情報から、通知されたコンテンツIDに対応付けられている料金を認識し、この料金がユーザ側に課金されるようにして処理を実行する。課金サーバ6は、この課金処理の過程において必要に応じてコンテンツ再生装置1と通信を行う。コンテンツ再生装置1の課金対応処理部17は、通信が行われる都度、これに対応した所要の処理を実行する。
【0069】
上記の課金処理が完了したとされると、この場合には、制御部11が、ステップS106により、先のステップS104により取得したコンテンツIDと一致するコンテンツIDを有する暗号化原コンテンツを検索する。この検索処理にあたって、暗号化原コンテンツとしてオーディオデータとともにヘッダも暗号化されているときには、暗号解除処理部16により例えばヘッダを復号してコンテンツIDを読み出せるようにすればよい。
【0070】
次にステップS107により、制御部11は、上記ステップS106により検索された暗号化原コンテンツを、暗号解除処理部16により復号処理を施して、完全に暗号化が解除された通常形式の原コンテンツファイルを得る。そして、ステップS108により、例えば復号して得た原コンテンツファイルを、記憶部12に保存し直したうえで、コンテンツ再生装置1が管理する再生コンテンツリストに対して新規登録する。このようにして再生コンテンツリストに登録された状態となることで、以降、今回復号された原コンテンツは、他の曲コンテンツと同じようにして、コンテンツ再生装置1に対する通常の再生操作によって再生することができる。
【0071】
そのうえで、本実施形態においては、今回、ユーザが購入したとされる原コンテンツ、即ち、上記ステップS108によりコンテンツ再生リストに新規登録された原コンテンツについての確認再生を実行するものとする。ここでの確認再生とは、今回のステップS103の購入決定操作により購入した原コンテンツが、実際に、ユーザが購入したいと思った原コンテンツと違っていないかどうかを確認できるようにすることを目的としたものである。
このステップS109は、上記確認再生のための処理となる。
【0072】
上記ステップS109としての確認再生のための処理は、図11のフローチャートに示すものとなる。なお、この図11の説明にあたっては、確認再生すべき原コンテンツを、「再生対象コンテンツ」という。
【0073】
制御部11は、先ず、ステップS201により、再生対象コンテンツを原コンテンツとして利用しているダイジェストコンテンツ・データから、編集内容ファイル内の編集内容記述情報を読み出して参照する。そして、この編集内容記述情報から、ダイジェストコンテンツにおいて利用されている再生対象コンテンツの区間(利用区間)の開始位置Tsを認識する。利用区間は、図7においては、position=xx-xx のようにして利用区間の開始アドレスと終了アドレスを記述して示されている。従って、開始位置(開始アドレス)Tsを認識するには、再生対象コンテンツのコンテンツIDに対応する利用区間において示される上記開始アドレスを取得すればよい。
【0074】
次に制御部202は、ステップS202により、既に復号化されて記憶部12に記憶されている再生対象コンテンツの原コンテンファイルについて、開始位置Tsからの再生をコンテンツ再生処理部に実行させる。
この再生処理は、例えば再生対象コンテンツの終端まで再生を完了すれば終了する。また、再生中においては、ユーザによる停止、早送り、早戻し、一時停止などの操作も、通常の再生時と同様にして行えるようにして良い。
【0075】
この確認再生として、例えば、先に図2に示したダイジェストコンテンツにおける原コンテンツ2を再生対象コンテンツとした場合を、図12に示す。
図12(a)には、図2と同じダイジェストコンテンツの内容が示されている。ここで、ダイジェストコンテンツにおいて原コンテンツ2は、図12(b)との対応として示されるように、その開始時刻(00:00)から終端(end)までの全区間における時刻ee:ee〜ff:ffまでの一部区間が利用区間とされているものとする。
図11のステップS201においては、再生対象コンテンツである原コンテンツ2の利用区間の開始位置Tsとして、上記時刻ee:eeに対応するアドレスが認識されることになる。すると、ステップS202の再生処理によっては、図12(b)に示される原コンテンツ2の開始から終端までの全区間のうち、その途中の時刻ee:eeから再生が開始されることになる。
【0076】
例えば、確認再生として、再生対象コンテンツの全区間における開始位置から再生を開始させるようにすることも考えられる。しかし、今回購入した原コンテンツが、ダイジェストコンテンツを試聴するまでユーザが聴いたことのない曲であったような場合、ユーザは、再生対象コンテンツについて、ダイジェストコンテンツにおいて再生される利用区間の音しか聴き覚えがないことになる。
仮に、確認再生として、再生対象コンテンツの全区間における開始位置から再生を開始させたとする。この場合において冒頭部分と、ダイジェストコンテンツにおいて利用されている区間とが違うパートである可能性は決して低くない。この場合、ユーザは、その冒頭部分については聴き覚えがないことになる。この場合、ユーザは、すぐには、購入したコンテンツが間違いのないものであるのか判断することが難しくなる。ユーザは、自分に聴き覚えのあるパートまで再生が進行するのを待たねばならない。あるいは、自分が購入した曲コンテンツではないと思いこんでしまうことも場合によってはあると考えられる。
そこで、本実施形態のようにして、利用区間の開始位置Tsから確認再生を開始させることとすれば、ユーザにとって聴き覚えのあるパートから原コンテンツの再生が開始されることになる。つまり、確認再生が行われてすぐ、ユーザは、購入したコンテンツに間違いがないかどうかを確認できる。
【0077】
次に、ダイジェストコンテンツの再生中において購入決定操作が行われたときに再生されていた原コンテンツを購入対象の原コンテンツとして扱うものとした場合に対応して、コンテンツ再生装置1が実行する処理のアルゴリズム例について説明する。このアルゴリズム例は、図13のフローチャートに示される。
【0078】
図13に示す処理が開始されるときには、コンテンツ再生処理部13によりダイジェストコンテンツ(完全パッケージダイジェストコンテンツファイル)の再生出力を実行している。このとき一般ユーザは、コンテンツ再生装置1により再生されているダイジェストコンテンツの音を聴いている状態にある。
【0079】
上記のようにしてダイジェストコンテンツが再生中の状態において、先ず、制御部11は、ステップS301により購入決定操作行われるのを待機している。そして、購入決定操作が行われたとすると、ステップS302以降の処理に移行する。
【0080】
ステップS302において制御部11は、そのときに再生中であるダイジェストコンテンツについての、現在の再生時間(現再生時間)を取得する。例えばダイジェストコンテンツの再生を頭から開始させて1分が経過していれば、上記現再生時間についても1分(01:00)を示す値が取得される。
【0081】
そのうえで、ここでは、これまでのダイジェストコンテンツの再生を、ステップS303により停止させることとしている。このためには、制御部11が、現在の再生信号処理の停止をコンテンツ再生処理部13に対して指示すればよい。
【0082】
次のステップS304において、制御部11は、これまで再生させていたダイジェストコンテンツに対応するダイジェストコンテンツ・データの編集内容記述情報を参照して、ステップS302にて取得した現再生時間にて利用されている原コンテンツのコンテンツIDを取得する。
例えば、ステップS302にて取得した現再生時間が00:18であるとする。また、再生していたダイジェストコンテンツの編集内容記述情報は、図7に示すものであったとする。
すると、現再生時間=00:18を含む利用区間は、3番目の利用区間となる。3番目の利用区間においてはtime=00:15−00:20と記述されており、上記現再生時間=00:18は、この利用区間に含まれるからである。そして、この利用区間においては、file_id=BBBBBBとなっている。つまり、この場合には、ステップS304により、原コンテンツのコンテンツIDとしては、ID=BBBBBBが取得されることになる。
【0083】
この場合、ステップS305〜ステップS308の処理は、図10のステップS105〜S108と同様となる。ただし、ステップS305にて通知するコンテンツID、及びステップS306にて検索キーとなるコンテンツIDは、ステップS304にて取得したものとなる。
【0084】
そして、ステップS309においては、図10のステップS109と同様に、コンテンツの確認再生を実行する。ステップS303によるダイジェストコンテンツの再生停止からステップS309により確認再生が開始されるまでの比較的短く、また、ステップS304〜S308の処理の実行中においては、例えば処理経過状況を示すメッセージなどを表示部15に表示させることができる。従って、ユーザからすれば、購入決定操作に応じてダイジェストコンテンツの再生が停止されて、少しの時間を経てから、原コンテンツの確認再生が開始されるようにして、コンテンツ再生装置1が動作するようにみえるものである。なお、例えば暗号化に対する復号処理に或る程度の時間が必要であるなどして、ダイジェストコンテンツの再生停止から、コンテンツ確認再生までの間の時間が一定以上になるときには、内部で処理を実行中であることの経過状況を示す表示などを行うようにすればよい。これで、ユーザが、故障などであると勘違いしてとまどうようなことが無くなる。
【0085】
なお、購入決定操作のユーザインターフェースとして、先に、上記の例の変形として、ダイジェストコンテンツの再生中において気に入った原コンテンツの音が流れているときにマーキング操作を行えるようにしたものも挙げている。そして、その後において、マーキングした原コンテンツリストのうちから購入する原コンテンツを選択決定する操作を行うようにしたものである。
この場合には、フローチャートによる説明は省略するが、マーキング操作が行われたことに応じて、図13のステップS302,S304の処理に準じて、マーキングされた原コンテンツのコンテンツIDを保持しておくようにする。そして、この後において、マーキングした原コンテンツリストを表示させる場合には、利用コンテンツ情報を参照して、保持したコンテンツIDに対応する原コンテンツが視覚的に分かるようにされた原コンテンツリストの画像を生成して表示させる。そのうえで、この表示された原コンテンツリストに対する操作により、購入する原コンテンツが選択決定されるようにすればよい。この後、例えば図13のステップS305〜S309に準じた処理を実行すればよい。
【0086】
<2.コンテンツ流通システム:第2構成例>

図14は、本実施形態のコンテンツ流通システムとしての第2構成例を示している。なお、この図において、第1構成例に対応する図1と同じとされる部分については説明を省略して、ここでは、第1構成例と異なる点について説明する。
【0087】
図14に示すシステム構成では、一般ユーザが、コンテンツ記憶装置7と、携帯型コンテンツ再生装置1Aを所有しているものとする。
この場合において、コンテンツ記憶装置7は、大容量の記憶装置を内部に備えており、多数のコンテンツファイルのデータを記憶管理できるようになっている。また、コンテンツデータをダウンロードするのには充分な通信速度のネットワーク通信機能を有しているものとする。なお、コンテンツ記憶装置7の実際としては、例えばパーソナルコンピュータなどとされればよい。
携帯型コンテンツ再生装置1Aは、コンテンツ記憶装置7よりは容量の小さい記憶媒体を有して、この記憶媒体に記憶されたコンテンツファイルのデータを再生し、ユーザは、これを聴くことができる。ただし、ネットワーク接続機能は有していないものとする。
携帯型コンテンツ再生装置1Aの構成としては、例えば、その外形形状、サイズについては、携帯に適したものとなるようにされたうえで、図9に示したコンテンツ再生装置1の構成から、通信処理部18と課金対応処理部17とを省略した構成とすればよい。課金処理は、図14において手順14として示しているように、コンテンツ記憶装置7と課金サーバ6との間で行う。
【0088】
そして、この場合においては、手順7により、ダイジェストコンテンツ転送装置4にて作成されて転送されるユーザ用ダイジェストコンテンツ・データは、コンテンツ記憶装置7により受信し、ここにて記憶させるものとしている。
なお、この場合のユーザ用ダイジェストコンテンツ・データとしては、第1構成例と同じく、図8に示す構造のものとされてよい。
【0089】
上記のようにして、コンテンツ記憶装置7には、ダイジェストコンテンツ・データを複数記憶保存させることができる。そして、コンテンツ記憶装置7に対して、所定のデータインターフェースなどにより携帯型コンテンツ再生装置1Aを接続した状態では、図14の手順8として示すようにして、コンテンツ記憶装置7にて保存しているダイジェストコンテンツ・データのうちから選んだものを転送して、携帯型コンテンツ再生装置1Aの記憶媒体に記憶させることができる。
なお、コンテンツ記憶装置7から携帯型コンテンツ再生装置1Aに対しては、ダイジェストコンテンツ・データだけではなく、通常の曲コンテンツのファイルなども転送して記憶させることができる。
【0090】
上記のようにして記憶媒体にダイジェストコンテンツ・データを記憶している携帯型コンテンツ再生装置1Aでは、手順9として示すようにしてダイジェストコンテンツを再生して、一般ユーザは、これを聴くことができる。なお、この手順9による再生は、図1の手順8の場合と同様に、ダイジェストコンテンツ・データにおける、完全パッケージ・ダイジェストコンテンツファイルを再生する。
【0091】
また、図14の手順10では、携帯型コンテンツ再生装置1Aに対する操作として、図1の手順9と同じ要領で、原コンテンツの購入決定操作を行うことができる。
ただし、携帯型コンテンツ再生装置1Aは、ネットワーク接続機能を有していないために、購入決定操作に応答して、課金サーバ6との間での課金処理を行うことができない。そこで、携帯型コンテンツ再生装置1Aは、手順11として、購入決定操作に応じて、購入情報を作成、更新して記憶することとしている。この購入情報は、例えば、購入決定操作が行われた原コンテンツのコンテンツIDをリスト化した内容を有するものであればよい。また、購入決定操作が行われた原コンテンツのコンテンツIDの認識は、例えば図10のステップS104、若しくは図13のステップS304などに準じた処理を実行すればよい。
【0092】
このシステムにおいて携帯型コンテンツ再生装置1Aは、上記手順11によって購入情報にコンテンツIDが登録された原コンテンツについては、購入が完了したものとしてみなすようにされる。
このことに応じて、携帯型コンテンツ再生装置1Aは、手順12として示すように、上記手順11により購入情報に登録された原コンテンツについては、その実体である暗号化原コンテンツファイルのデータを復号化して、通常に再生することができる。
【0093】
そして、上記のようにして原コンテンツの購入決定操作が行われた後の或る機会において、携帯型コンテンツ再生装置1Aを、コンテンツ記憶装置7に接続したとする。
このとき、携帯型コンテンツ再生装置1Aにおいては、購入情報を記憶していることになる。購入情報には、これまで携帯型コンテンツ再生装置1Aがコンテンツ記憶装置7と接続されていない状態の下で行われた購入決定操作により購入したものとみなされる1以上の原コンテンツのコンテンツIDのリストが示されている。
そこで、手順13として示すように、携帯型コンテンツ再生装置1Aにおいて購入情報が記憶されている場合、コンテンツ記憶装置7は、この購入情報を転送させて取得する。
【0094】
コンテンツ記憶装置7は、購入情報を取得したことに応じて、手順14として示すようにして、課金サーバ6との通信により課金処理を実行する。このとき、コンテンツ記憶装置7は、購入情報において示されるコンテンツIDを通知して、これらの通知したコンテンツIDに対応する全ての原コンテンツについての課金処理を実行する。
【0095】
なお、手順13により携帯型コンテンツ再生装置1Aからコンテンツ記憶装置7に購入情報を転送した後においては、しかるべきタイミング、機会でもって、それまで携帯型コンテンツ再生装置1Aが記憶していた購入情報については、これを消去するか、既に課金処理に利用されたものとして無効化するなどの処理を行っておくようにする。
【0096】
現状、携帯型コンテンツ再生装置1Aに相当する実際の機器については、例えばコストであるとか小型化技術の問題などで、ネットワーク通信機能が与えられていないものが多数存在している。
本実施形態では、原コンテンツの購入の手続き(課金処理)をネットワーク経由での通信により行うこととしている。このために、携帯型コンテンツ再生装置1Aがネットワーク通信機能を有していない構成の場合、そのままでは、ダイジェストコンテンツは再生できるとしても、購入決定操作とこれに応じた課金処理を行うことができない。
仮に、実際に課金サーバ6との間で課金処理を実行した後でなければ、購入決定した原コンテンツの暗号化を復号して再生できないとする。すると、コンテンツ記憶装置7と接続できない周囲環境において、コンテンツ再生装置1Aにより、ダイジェストコンテンツに利用されている原コンテンツを購入してすぐに聴きたいとおもったとしても、これは無理であることになる。
そこで、上記図14のシステム構成の場合に対応させては、手順10、手順11の流れとして示したように、携帯型コンテンツ再生装置1Aに対する原コンテンツの購入決定操作が行われたことに応じては、購入情報を作成・更新することとしている。このようにして、購入決定操作の履歴が携帯型コンテンツ再生装置1A内に確保されていれば、後の機会であっても、課金処理は、携帯型コンテンツ再生装置1Aがコンテンツ記憶装置7に接続されたときに行われる。つまり、購入情報が作成・更新されたことをもって、原コンテンツが購入されたものとして扱える。そこで、携帯型コンテンツ再生装置1Aとしては、手順12として示したように、購入情報が作成・更新された後に、購入したとされる暗号化原コンテンツを復号して再生するアルゴリズムとすることができる。
【0097】
図15のシーケンス図は、図14の手順13、手順14に対応して、携帯型コンテンツ再生装置1A、コンテンツ記憶装置7、課金サーバ6が実行するものとされる処理手順例を示している。
ここで、例えば携帯型コンテンツ再生装置1Aをコンテンツ記憶装置7に対してデータインターフェース経由で接続させるために、有線であればケーブルを接続し、無線であれば通信可能な環境を設定するなどの作業をユーザが行ったとする。これに応じて、携帯型コンテンツ再生装置1Aとコンテンツ記憶装置7は、図15のステップS401として示すように接続処理を実行し、接続状態を確立する。
【0098】
この場合の携帯型コンテンツ再生装置1Aは、内部記憶媒体(記憶部)において購入情報が記憶されているものとする。この場合、携帯型コンテンツ再生装置1Aは、ステップS402により、コンテンツ記憶装置に対して購入情報を送信する。
【0099】
この場合のコンテンツ記憶装置7は、上記ステップS402により送信された購入情報を受信すると、ステップS403により、ネットワーク経由で課金サーバ6にアクセスする。そして、受信した購入情報を、さらに課金サーバ6に対して送信する。なお、このときには、必要があれば、受信した購入情報について、課金サーバ6が処理可能な形式に変換する処理をおこなっても良い。
【0100】
この場合の課金サーバ6は、購入情報を受信したことに応じて、ステップS404により、課金処理依頼をコンテンツ記憶装置7に対して送信する。コンテンツ記憶装置7は、この課金処理依頼に応答して、ステップS405として示すように、課金サーバ6との間で課金処理を実行する。
【0101】
なお、ここでは図示していないが、ステップS402にて送信した購入情報を、携帯型コンテンツ再生装置1Aの記憶媒体から消去させる、若しくは無効化する処理については、例えばステップS405の課金処理が完了した後において、実行されるようにすることが考えられる。
このためには、例えばステップS405の課金処理が完了したことに応じて、その旨を、コンテンツ記憶装置7から携帯型コンテンツ再生装置1Aに対して通知するようにする。そして、携帯型コンテンツ再生装置1Aは、上記の通知を受信したことに応答して、これまで記憶媒体に記憶していた購入情報の消去、若しくは無効化の処理を実行させるようにする。
【0102】
<3.コンテンツ流通システム:第3構成例>

図16は、本実施形態のコンテンツ流通システムとしての第3構成例を示している。なお、この図についても、第1構成例に対応する図1と同じとされる部分については説明を省略する。また、ここでも、第1構成例、及び第2構成例と異なる点について説明を行うこととする。
【0103】
先ず、この図16に示される第3構成例においては、ダイジェストコンテンツ転送装置4が作成するユーザ用ダイジェストコンテンツの構造が、先の第1構成例と異なるものとなる。
ユーザ用ダイジェストコンテンツの構造は、第1構成例では、図8に示したものとなる。これに対して、第3構成例におけるユーザ用ダイジェストコンテンツは、図4に示したものと同じものとされる。つまり、編集内容ファイルと完全パッケージ・ダイジェストコンテンツファイルのみであり、暗号化原コンテンツファイルは含まれない。
このために、第3構成例においては、ダイジェストコンテンツ転送装置4は、手順6としてユーザ用ダイジェストコンテンツを作成するのにあたり、原コンテンツサーバ2から原コンテンツをダウンロードして暗号化する処理は行う必要がない。つまり、ユーザ用ダイジェストコンテンツの作成処理としては、ダイジェストコンテンツサーバ3からダイジェストコンテンツ・データを、ダウンロードするだけでよいことになる。
また、手順7により、ダイジェストコンテンツ転送装置4からコンテンツ再生装置1に対して転送されるユーザ用ダイジェストコンテンツ・データとしても、図4に示した構造のものとなる。
【0104】
この場合のコンテンツ再生装置1は、手順8、手順9により、図1の手順8,手順9と同じようにして、ダイジェストコンテンツの再生と、ダイジェストコンテンツにおいて利用されている原コンテンツの購入決定操作を行える。この操作に応答して、図1の場合には、既にコンテンツ再生装置1に記憶されている、暗号化された原コンテンツファイルを復号して再生可能とする。しかし、図16の場合においては、ユーザ用ダイジェストコンテンツ・データにおいて原コンテンツファイルが存在していない、つまり、購入決定操作により再生可能となるべき原コンテンツファイルがコンテンツ再生装置1に記憶されている状態ではない。
【0105】
そこで、図16の場合においては、手順10として示すように、購入決定操作に応じては、コンテンツ再生装置1自体が原コンテンツサーバ2にアクセスして、購入決定操作の対象とされた原コンテンツファイルのダウンロードを実行し、記憶部12に記憶させて再生リストに登録する。なお、この原コンテンツのダウンロードに際して、ダウンロードすべき原コンテンツを指定するのにあたっては、図10のステップS104、若しくは図13のステップS304などにより取得したコンテンツIDにより指定すればよい。
また、この場合には、ダウンロードされる原コンテンツファイルのデータについては、特に暗号化処理が施されている必要はない。
【0106】
コンテンツ再生装置1は、手順11として、原コンテンツサーバ2からダウンロードして記憶部12に保存させ、再生リストに登録した原コンテンツファイルのデータを、いつでも再生出力させることができる。
また、手順12としての課金処理は、図1の手順11と同様にして行うようにすればよい。
【0107】
この図16に示す第3構成例は、例えばコンテンツ再生装置1として、小型パソコンであるとかスマートフォンであるとかなどといわれる、ネットワーク通信機能を有した携帯型の機器である場合に有効になる。
現状においては、これらの携帯機器では、例えば据え置き型などの機器と比較すると、ネットワーク通信速度は低い傾向にある。また、内蔵のストレージデバイス(記憶部)の容量も制限される。これに対して、図8に示した構造のユーザ用ダイジェストコンテンツは、暗号化原コンテンツファイルの数が多くなれば、かなりのデータサイズになる。例えば、1つのダイジェストコンテンツにおいて、百数十から数百の原コンテンツを利用することも場合によっては考えられる。
【0108】
このことを考慮すると、現状において、携帯型のコンテンツ再生装置1に対して、図8に示す構造のユーザ用ダイジェストコンテンツ・データを一度に転送してダウンロードさせることは、必ずしも好ましいとはいえない。例えば、ユーザ用ダイジェストコンテンツのダウンロード中に通信が不可能な状態になって、ダウンロードが失敗する可能性が出てくる。また、コンテンツ再生装置1におけるストレージデバイスの記憶容量を必要以上に圧迫する可能性もでてくる。
【0109】
そこで、このような場合には、図16のシステム構成を採用し、コンテンツ再生装置1についても、これに対応した構成とすればよい。これにより、ユーザ用ダイジェストコンテンツからは暗号化原コンテンツファイルが無くなって、それだけデータサイズが小さくなるので、ダウンロードの負荷は著しく軽くなり、ストレージデバイスの記憶容量も多くを使用しない。
また、購入決定操作に応じては、その操作の対象となった原コンテンツファイルのみをダウンロードすればよいので、この際にも、ダウンロードは短時間で済むことになる。また、ユーザが聴きたい原コンテンツファイルだけが、購入決定操作に応じてコンテンツ再生装置1のストレージデバイスに記憶されていくことになるから、この点でも、ストレージデバイスの記憶容量を無駄に消費しないことになる。
【0110】
<4.コンテンツ流通システム:第4構成例>

図17は、本実施形態のコンテンツ流通システムとしての第4構成例を示している。なお、この図においては、コンテンツ提供者は示されていないが、コンテンツ提供者は、図1の手順1,2に従って、ダイジェストコンテンツに利用する原コンテンツを原コンテンツサーバ2に転送して登録し、コンテンツクリエータに原コンテンツリストを渡すようにされていることを前提とする。
【0111】
図17を参照して、第4構成例でのコンテンツ流通の態様例について説明する。この説明にあたっては、図において○内に示される手順の番号に従う。
【0112】
[手順1]
この場合、コンテンツクリエータは、コンテンツ作成装置5により、図1の手順3と同様にして、原コンテンツサーバ2からネットワーク経由で原コンテンツを取得する。ここで取得する原コンテンツは、コンテンツ提供者から渡された原コンテンツリストに従ったものである点も、図1の場合と同様である。
【0113】
[手順2]
コンテンツクリエータは、図1の手順4と同様にして、ダイジェストコンテンツを作成する。ここで作成して得られるダイジェストコンテンツの実体としては、第1構成例と同様に、図4に示される、編集内容ファイルと完全パッケージ・ダイジェストコンテンツファイルから成るダイジェストコンテンツ・データである。
【0114】
[手順3]
この場合のコンテンツクリエータは、作成したダイジェストコンテンツとしての完全パッケージ・ダイジェストコンテンツファイルのオーディオデータを記録したパッケージメディア20を作成する。そして、作成したパッケージメディア20は、一般ユーザが有料若しくは無料で入手できるようにして、しかるべき流通経路で配布される。
なお、ここでは、パッケージメディア20は、現状においても普及率が高いCD(Compact Disc)(商標)であることとする。ただし、パッケージメディア20のメディアとしては特に限定されるべきものではない。
【0115】
[手順4]
図17の構成例では、システムにおいてコンテンツ購入サーバ8が備えられる。コンテンツ購入サーバ8は、第1構成例における課金サーバ6としての機能を含んだうえで、以降説明するようにして、ネットワーク経由でコンテンツ再生装置1からアクセスして実行される、原コンテンの購入手続きに関する処理を行う。
【0116】
また、手順3によりパッケージメディア20を作成したことに応じては、パッケージメディア20のTOCも生成されることになるが、コンテンツクリエータは、このTOCのデータを持っておくようにする。
【0117】
そして、コンテンツクリエータは、コンテンツ作成装置5とコンテンツ購入サーバ8とをネットワーク経由で接続し、上記のTOCのデータと、手順2により作成したダイジェストコンテンツ・データにおける編集内容ファイルのデータとを、コンテンツ購入サーバ8に転送する。
コンテンツ購入サーバ8は、転送されてきたTOCと編集内容ファイルのデータとを対応付けて管理されるようにして登録する。
【0118】
[手順5]
この場合のコンテンツ再生装置1は、CDを再生可能なように構成されている。完全パッケージ・ダイジェストコンテンツファイルが記録されたパッケージメディア20は、通常のオーディオCDと変わるところがない。従って、一般ユーザは、パッケージメディア20を入手したうえで、コンテンツ再生装置1によりいつでもパッケージメディア20を再生して聴くことができる。
【0119】
[手順6]
また、本実施形態のコンテンツ再生装置1は、ネットワーク接続機能を有しており、CDが装填された場合には、その装填されたCDのTOCのデータを、ネットワーク経由でコンテンツ購入サーバ8に対して送信する。
【0120】
[手順7]
コンテンツ購入サーバ8は、手順4にて説明したように、ダイジェストコンテンツごとに、編集内容ファイルとパッケージメディア20のTOCのデータを対応付けて記憶管理している。
そこで、コンテンツ購入サーバ8は、コンテンツ再生装置1からのTOCのデータを受信すると、この受信したTOCのデータと一致するTOCデータと対応付けられている編集内容ファイルを検索する。
【0121】
[手順8]
上記手順7による検索により、編集内容ファイルが検索された場合には、この検索した編集内容ファイルを、TOCのデータの送信元であるコンテンツ再生装置1に送信する。コンテンツ再生装置1では、受信した編集内容ファイルを記憶するようにされている。
【0122】
[手順9]
上記のようにして編集内容ファイルを取得して記憶した後は、例えばユーザ操作に応じて、ダイジェストコンテンツにおいて利用されている原コンテンツを選択して購入するための原コンテンツリストの画像を表示させることができる。先にも述べたように、この原コンテンツリストの画像は、編集内容ファイルの利用コンテンツ情報を利用して作成できる。
一般ユーザは、この原コンテンツリストの画像に対して操作を行って、原コンテンツを選択したうえで、購入決定操作を行うことができる。
【0123】
[手順10]
上記手順9により原コンテンツを購入決定する操作が行われたことに応じて、コンテンツ再生装置は、コンテンツ購入サーバ8に対して、原コンテンツのコンテンツIDを指定して購入要求を送信する。
【0124】
[手順11]
コンテンツ購入サーバ8は、上記の購入要求を受信したことに応じて、原コンテンツサーバに対して原コンテンツの購入要求が行われたことの通知を、原コンテンサーバ2に対して送信する。このとき、コンテンツ購入サーバ8は、通知情報のオペランドに、指定されたコンテンツIDと、購入要求の送信元のコンテンツ再生装置のアドレス(例えばIPアドレス)を格納しておくようにする。
【0125】
[手順12]
原コンテンツサーバ2は、上記の通知を受信すると、先ず、通知情報に格納されたコンテンツIDが付されている原コンテンツファイルを検索する。次に、同じ通知情報に格納されているIPアドレスを送信先として、検索した原コンテンツファイルのアップロードのためのデータ送信を実行する。なお、この送信される原コンテンツファイルのデータには、暗号化は施されていないものとする。
コンテンツ再生装置1側では、アップロードされてきた原コンテンツファイルのデータを受信して、ストレージデバイス(記憶部12)に対して記憶させる。つまり、コンテンツ再生装置1としては、原コンテンツファイルをダウンロードしたことになる。
【0126】
[手順13]
上記のようにして、原コンテンツファイルのデータがストレージデバイスに記憶された後においては、一般ユーザは、コンテンツ再生装置1に対する通常の再生操作によって、ストレージデバイスに記憶されている原コンテンツファイルのデータを再生させて聴くことができる。
【0127】
現在、ネットワーク経由での楽曲データのダウンロードが広く普及してはいるが、CDなどのパッケージメディアによる楽曲データの提供も依然として行われている。
この第4構成例であれば、一般ユーザがパッケージメディアによりダイジェストコンテンツ・データの提供を受けたとしても、これまでのコンテンツ流通システムの構成例と同様、コンテンツ再生装置1に対する操作のみによって、手間を掛けることなく、一般ユーザが所望する原コンテンツを購入して再生可能な状態にすることができる。
【0128】
<5.コンテンツ流通システム:第5構成例>

図18は、本実施形態のコンテンツ流通システムとしての第5構成例を示している。なお、この図においても、コンテンツ提供者は示されていないが、コンテンツ提供者は、図1の手順1,2に従って、ダイジェストコンテンツに利用する原コンテンツを原コンテンツサーバ2に転送して登録し、コンテンツクリエータに原コンテンツリストを渡すようにされている。また、この図の説明にあたっては、第4構成例である図17と同じになる部分は省略して、主としては、その相違点についての説明を行う。
【0129】
図18において、手順1〜手順4までは、図17の手順1〜手順4と同様となる。
ただし、この場合のパッケージメディア20Aは、ブルーレイディスク(BD)とされている。ブルーレイディスク(BD)には、Blu-ray Java(登録商標)といわれる規格が定められている。そこで、第4構成例の手順3としてのパッケージメディア20Aの作成にあたっては、完全パッケージ・ダイジェストコンテンツファイルとしてのオーディオデータを記録するとともに、Javaプログラムも記録する。そして、このJavaプログラムとしては、再生装置が、そのダイジェストコンテンツの編集内容ファイルを利用して原コンテンツを購入(ダウンロード)できるように記述されているものとなる。従って、図示しているように、この場合のパッケージメディア20Aには、作成されたダイジェストコンテンツに対応する完全パッケージ・ダイジェストコンテンツファイル、編集内容ファイル、及びjavaに対応のプログラムが記録されているものとみることができる。
また、手順4によっては、TOCのデータのみを送信することとしてもよい。第4構成例の場合には、編集内容ファイルは、必ずしも必要ではない。
また、パッケージメディア20Aとしても、ブルーレイディスクに限定されるものではなく、コンテンツのデータと、Java若しくはこれに相当するプログラムのデータとを記録、再生可能なメディアフォーマットであればよい。
【0130】
この場合のコンテンツ再生装置は、パッケージメディア20Aのフォーマットに対応して再生が可能なように構成されている。従って、一般ユーザがパッケージメディア20Aを入手すれば、手順5として示すように、このパッケージメディア20Aをコンテンツ再生装置1により再生することができる。
【0131】
ここで、先の図17の場合、コンテンツ再生装置1は、パッケージメディア20が装填されることに応じて、手順6〜8として示したように、装填されたパッケージメディア20のTOCのデータをコンテンツ購入サーバ8に送信して、対応するダイジェストコンテンツの編集内容ファイルを取得するようにしていた。
しかし、図18の例では、パッケージメディア20Aにおいて編集内容ファイルが記録されていることから、図17における手順6〜8は、省略されることになる。図18においては、図17に対応させて、手順6〜8を省略しており、手順5に続くものとしては、手順9となる。
【0132】
コンテンツ再生装置1に対してパッケージメディア20Aを装填した状態では、ユーザは、所定操作により、Javaを起動させて、そのパッケージメディア20Aに記録されているダイジェストコンテンツにおいて利用されている原コンテンツのリストの画像を表示させることができる。そのうえで、手順9として示すようにして、この原コンテンツリストの画像に対する操作により、原コンテンツを選択して購入決定操作を行える。
【0133】
この購入決定操作に応じて、コンテンツ再生装置1は、コンテンツ購入サーバ8に対して、手順10により、原コンテンツの購入要求を送信する。第4構成例の場合も、購入要求の送信に際しては、購入する原コンテンツの原コンテンツIDを送信することになる。
以降、手順11〜手順13としては、図17の場合と同様になる。
【0134】
ところで、本実施形態のコンテンツ流通システムにおける第1、第2構成例において、ダイジェストコンテンツ・データは、編集内容ファイル、完全パッケージ・ダイジェストコンテンツファイル、及びダイジェストコンテンツの作成に利用された暗号化原コンテンツファイルであるとしている。
【0135】
ここで、編集内容ファイルにおける編集内容記述情報は、先にも述べたように、原コンテンツをどのように利用してダイジェストコンテンツとしての音声内容が成り立っているのかを示す情報である。
そこで、編集内容記述情報の記述内容により指定される原コンテンツファイル(コンテンツID:file_ID)について、指定されたダイジェストコンテンツ内の再生時間において、指定された区間のオーディオデータを再生したとする。すると、ダイジェストコンテンツとしての内容が再現されるようにして音声再生が行われることになる。
つまり、編集内容記述情報は、ダイジェストコンテンツの再現・再生のために、そこに利用されている原コンテンツファイルのデータの再生の仕方を指示する、再生指示情報であるとしてみることができる。
【0136】
そこで、例えば第1構成例のコンテンツ再生装置1、若しくは第2構成例の携帯型コンテンツ再生装置1Aについて、コンテンツ再生処理部13について、編集内容記述情報を読み込んでその記述内容を解釈し、その解釈結果に従って、上記のようにして原コンテンツファイルのデータを再生していくことが可能なように構成する。
このような構成とすれば、図1の手順8若しくは図14の手順9のダイジェストコンテンツの再生については、次のような処理とすることができる。つまり、コンテンツ再生処理部13により、ダイジェストコンテンツ・データにおける編集内容記述情報を解釈した結果に基づいて、同じダイジェストコンテンツ・データにおける暗号化原コンテンツファイルのデータを再生していくという処理を実行させる。なお、このときには、一時的に暗号化原コンテンツファイルについて暗号化を解除してから再生処理に利用する。ただし、まだ原コンテンツファイルが購入されたわけではないので、再生リストへ登録する処理は実行しない。
そして、このようなダイジェストコンテンツの再生の仕方とすれば、第1、第2構成例においては、ダイジェストコンテンツ・データについて、完全パッケージ・ダイジェストコンテンツファイルは省略して、編集内容ファイルと、暗号化原コンテンツファイルから成るものとすることもできる。
なお、編集内容ファイル(編集内容記述情報)との関係からすれば、同じダイジェストコンテンツ・データに含まれる完全パッケージ・ダイジェストコンテンツファイル、暗号化原コンテンツファイルのデータは、どちらも、編集内容記述情報が示すダイジェストコンテンツの音声内容の少なくとも一部を再現することのできる実体データ(オーディオデータ)であるとしてみることができる。
【0137】
また、これまでにおいてフローチャート若しくはシーケンス図などの図により説明した装置の処理は、その装置のCPUがプログラムを実行することで得られるものとしてみることができる。このようなプログラムは、リムーバブルの記憶媒体に記憶させておいたうえで、この記憶媒体からインストール(アップデートも含む)させるようにしてフラッシュメモリなどに記憶させることが考えられる。また、所定のデータインターフェースを経由させるなどして、他のホストとなる機器からの制御によってプログラムのインストールを行えるようにすることも考えられる。さらに、ネットワーク上のサーバなどにおける記憶装置に記憶させておいたうえで、装置にネットワーク機能を利用してサーバからダウンロードして取得してインストールできるようにすることも考えられる。
【0138】
また、これまでにおいて本実施形態が扱うコンテンツは、オーディオコンテンツとしているが、動画音声によるビデオコンテンツとしても、これまでの説明と同様のコンテンツ流通を実現できる。
【符号の説明】
【0139】
1 コンテンツ再生装置、1A 携帯型コンテンツ再生装置、2 原コンテンツサーバ、3 ダイジェストコンテンツサーバ、4 ダイジェストコンテンツ転送装置、5 コンテンツ作成装置、6 課金サーバ、11 制御部、12 記憶部、13 コンテンツ再生処理部、14 音声出力処理部、15 表示部、16 暗号解除処理部、17 課金対応処理部、18 通信処理部、19 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の原コンテンツのコンテンツ内容を利用して編集することで作成されたダイジェストコンテンツのデータとして、少なくとも、ダイジェストコンテンツにおいて利用される原コンテンツをコンテンツ識別子により示し、ダイジェストコンテンツにおける原コンテンツの利用結果が示される情報を有する編集内容情報と、上記ダイジェストコンテンツの内容を再生出力することのできる1つのコンテンツ実体データ及び/又はダイジェストコンテンツにおいて利用されている原コンテンツの実体データと、を取得するためのダイジェストコンテンツ・データ取得手段と、
上記1つのコンテンツ実体データ又は上記離散された複数のコンテンツ実体データを利用して、ダイジェストコンテンツの内容を再生するダイジェストコンテンツ再生手段と、
上記ダイジェストコンテンツにおいて利用されている原コンテンツのうちから任意の原コンテンツを選択決定する選択決定操作が可能なユーザインターフェースを提供するユーザインターフェース提供手段と、
上記選択決定操作により選択決定された原コンテンツが何であるのかを、上記編集内容情報を参照して特定する原コンテンツ特定手段と、
上記原コンテンツ特定手段により特定された原コンテンツについて、本コンテンツ再生装置により再生が可能な形式による実体データである、再生可能原コンテンツデータを取得する、再生可能原コンテンツデータ取得手段と、
を備えるコンテンツ再生装置。
【請求項2】
上記再生可能原コンテンツデータ取得手段により再生可能原コンテンツデータを取得した後において、この再生可能原コンテンツデータに対応する原コンテンツがダイジェストコンテンツにおいて利用されている区間である利用区間の開始位置を、上記編集内容情報に基づいて識別する開始位置識別手段と、
上記開始位置識別手段により識別された開始位置から、上記再生可能原コンテンツデータの確認再生を開始させる確認再生手段とをさらに備える、
請求項1に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項3】
上記原コンテンツ特定手段により特定された原コンテンツが購入されたことを示す購入情報を保持する購入情報保持手段と、
ネットワーク接続機能を有し、取得した購入情報を利用して、ネットワーク通信により、購入した原コンテンツについての課金に対応する処理を実行するコンテンツ記憶装置とデータインターフェースを介して通信する通信手段と、
上記通信手段によりコンテンツ記憶装置と接続されているときに、上記購入情報を送信して、このコンテンツ記憶装置により取得させる、購入情報送信手段とをさらに備える、
請求項1又は請求項2に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項4】
上記ダイジェストコンテンツ・データ取得手段は、ダイジェストコンテンツにおいて利用されている原コンテンツの実体データとして、暗号化された実体データを取得するものとされ、
上記原コンテンツデータ取得手段は、上記記原コンテンツ特定手段により特定された原コンテンツの上記実体データの暗号化を解除することにより、本コンテンツ再生装置により再生が可能な形式を得る、
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のコンテンツ再生装置。
【請求項5】
複数の原コンテンツのコンテンツ内容を利用して編集することで作成されたダイジェストコンテンツのデータとして、少なくとも、ダイジェストコンテンツにおいて利用される原コンテンツをコンテンツ識別子により示し、ダイジェストコンテンツにおける原コンテンツの利用結果が示される情報を有する編集内容情報と、上記ダイジェストコンテンツの内容を再生出力することのできる1つのコンテンツ実体データ及び/又はダイジェストコンテンツにおいて利用されている原コンテンツの実体データと、を取得するためのダイジェストコンテンツ・データ取得手順と、
上記ダイジェストコンテンツの内容を再生出力することのできる1つのコンテンツ実体データ及び/又はダイジェストコンテンツにおいて利用されている原コンテンツの実体データと、
上記1つのコンテンツ実体データ又は上記離散された複数のコンテンツ実体データを利用して、ダイジェストコンテンツの内容を再生するダイジェストコンテンツ再生手順
上記ダイジェストコンテンツにおいて利用されている原コンテンツのうちから任意の原コンテンツを選択決定する選択決定操作が可能なユーザインターフェースを提供するユーザインターフェース提供手順と、
上記選択決定操作により選択決定された原コンテンツが何であるのかを、上記編集内容情報を参照して特定する原コンテンツ特定手順と、
上記原コンテンツ特定手順により特定された原コンテンツについて、本コンテンツ再生装置により再生が可能な形式による実体データである、再生可能原コンテンツデータを取得する、再生可能原コンテンツデータ取得手順と、
を実行するコンテンツ再生方法。
【請求項6】
複数の原コンテンツのコンテンツ内容を利用して編集することで作成されたダイジェストコンテンツのデータとして、少なくとも、ダイジェストコンテンツにおいて利用される原コンテンツをコンテンツ識別子により示し、ダイジェストコンテンツにおける原コンテンツの利用結果が示される情報を有する編集内容情報と、上記ダイジェストコンテンツの内容を再生出力することのできる1つのコンテンツ実体データ及び/又はダイジェストコンテンツにおいて利用されている原コンテンツの実体データと、を取得するためのダイジェストコンテンツ・データ取得手順と、
上記1つのコンテンツ実体データ又は上記離散された複数のコンテンツ実体データを利用して、ダイジェストコンテンツの内容を再生するダイジェストコンテンツ再生手順
上記ダイジェストコンテンツにおいて利用されている原コンテンツのうちから任意の原コンテンツを選択決定する選択決定操作が可能なユーザインターフェースを提供するユーザインターフェース提供手順と、
上記選択決定操作により選択決定された原コンテンツが何であるのかを、上記編集内容情報を参照して特定する原コンテンツ特定手順と、
上記原コンテンツ特定手順により特定された原コンテンツについて、本コンテンツ再生装置により再生が可能な形式による実体データである、再生可能原コンテンツデータを取得する、再生可能原コンテンツデータ取得手順と、
をコンテンツ再生装置に実行させるプログラム。
【請求項7】
コンテンツ作成・転送装置及びコンテンツ再生装置から成り、
コンテンツ作成・転送装置は、
編集操作に応じて、複数の原コンテンツの少なくとも一部の再生区間が組み合わされて成るコンテンツ内容を有するダイジェストコンテンツを作成する処理を実行するもので、このダイジェストコンテンツの実体データとして、少なくとも、ダイジェストコンテンツにおける原コンテンツの利用結果が示される情報を有する編集内容情報と、上記ダイジェストコンテンツの内容を再生出力することのできる1つのコンテンツ実体データとを作成する処理を実行する、ダイジェストコンテンツ作成手段と、
ネットワーク経由で通信を実行する第1のネットワーク通信手段と、
上記編集内容情報と、上記ダイジェストコンテンツの内容を再生出力することのできる1つのコンテンツ実体データ及び/又は上記ダイジェストコンテンツにおいて利用された原コンテンツの実体データとを、上記第1のネットワーク通信手段により、ユーザ用ダイジェストコンテンツ・データとして送出する、ダイジェストコンテンツ・データ送出手段とを備え、
上記コンテンツ再生装置は、
ネットワーク経由で通信を実行する第2のネットワーク通信手段と、
上記コンテンツ作成・転送装置により送出されるユーザ用ダイジェストコンテンツ・データを、上記ネットワーク通信手段により受信して取得するダイジェストコンテンツ・データ取得手段と、
上記1つのコンテンツ実体データ又は上記離散された複数のコンテンツ実体データを利用して、ダイジェストコンテンツの内容を再生するダイジェストコンテンツ再生手段と、
上記ダイジェストコンテンツにおいて利用されている原コンテンツのうちから任意の原コンテンツを選択決定する選択決定操作が可能なユーザインターフェースを提供するユーザインターフェース提供手段と、
上記選択決定操作により選択決定された原コンテンツが何であるのかを、上記編集内容情報を参照して特定する原コンテンツ特定手段と、
上記原コンテンツ特定手段により特定された原コンテンツについて、本コンテンツ再生装置により再生が可能な形式による実体データである、再生可能原コンテンツデータを取得する、再生可能原コンテンツデータ取得手段と、
上記第2のネットワーク通信手段により、課金サーバと通信を行って、上記原コンテンツ特定手段により特定された原コンテンツに対する課金に対応する処理を実行する課金対応処理手段とを備える、
コンテンツ流通システム。
【請求項8】
上記コンテンツ再生装置は、コンテンツ記憶装置と携帯型コンテンツ再生装置から成るものとされ、
上記コンテンツ作成・転送装置のダイジェストコンテンツ・データ送出手段は、上記編集内容情報と、上記ダイジェストコンテンツの内容を再生出力することのできる1つのコンテンツ実体データ、及び、上記ダイジェストコンテンツにおいて利用された原コンテンツの暗号化実体データとを、上記第1のネットワーク通信手段により、ユーザ用ダイジェストコンテンツ・データとして送出し、
上記コンテンツ記憶装置は、
上記第2のネットワーク通信手段と、
上記ダイジェストコンテンツ・データ取得手段と、
上記ダイジェストコンテンツ・データ取得手段により取得したユーザ用ダイジェストコンテンツ・データを記憶する記憶手段と、
データインターフェース経由で通信を実行する第1のデータインターフェース通信手段と、
上記第1のデータインターフェース通信手段により接続された上記携帯型コンテンツ再生装置に対して、上記ダイジェストコンテンツ・データ記憶手段により記憶されている上記ユーザ用ダイジェストコンテンツ・データを転送するユーザ用ダイジェストコンテンツ・データ転送手段と、
上記第1のデータインターフェース通信手段を経由して接続される上記携帯型コンテンツ再生装置から転送されてきた購入情報に基づいて、上記第2のネットワーク通信手段により課金サーバと通信を行って、上記原コンテンツ特定手段により特定された原コンテンツに対する課金に対応する処理を実行する課金対応処理手段とを備え、
上記携帯型コンテンツ再生装置は、
データインターフェース経由で通信を実行する第2のデータインターフェース通信手段と、
上記第2のデータインターフェース通信手段により、データインターフェース経由で上記コンテンツ記憶装置から転送されてきたユーザ用ダイジェストコンテンツ・データを取得するユーザ用ダイジェストコンテンツ・データ取得手段と、
上記ダイジェストコンテンツ再生手段と、
上記ユーザインターフェース提供手段と、
上記原コンテンツ特定手段と、
上記原コンテンツ特定手段により特定された原コンテンツの上記暗号化実体データの暗号化を解除することにより、本携帯型コンテンツ再生装置により再生が可能な形式を得る、上記再生可能原コンテンツデータ取得手段と、
上記原コンテンツ特定手段により特定された原コンテンツの購入が決定されたことを示す購入情報を作成する購入情報作成手段と、
上記第2のデータインターフェース通信手段を経由して接続される上記コンテンツ記憶装置に対して、上記購入情報を転送する、購入情報転送手段と、
を備える請求項7に記載のコンテンツ流通システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2010−183148(P2010−183148A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22441(P2009−22441)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】