説明

コンテンツ管理装置、クライアント端末、コンテンツ管理プログラム、及びコンテンツ生成プログラム

【課題】ユーザ毎に最適なリアルタイム再生を実現することができる。
【解決手段】ネットワークに接続された複数のクライアント端末に対して提供するコンテンツを管理するコンテンツ管理装置において、前記コンテンツに含まれるオブジェクトに対するスクリプト情報を前記クライアント端末から取得するスクリプト取得手段と、前記オブジェクトの位置情報を取得する対象オブジェクト位置取得手段と、前記対象オブジェクト位置取得手段により得られる前記オブジェクトの位置情報に基づいて、前記スクリプト取得手段により得られる前記スクリプトを分類し、分類された所定のスクリプトを前記クライアント端末に出力するスクリプト分類手段とを有することにより、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ管理装置、クライアント端末、コンテンツ管理プログラム、及びコンテンツ生成プログラムに係り、特にユーザ毎に最適なリアルタイム再生を実現するためのコンテンツ管理装置、クライアント端末、コンテンツ管理プログラム、及びコンテンツ生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、番組やSNS(Social Networking Service)、オンラインゲーム等の各種コンテンツサービスが存在する。このようなコンテンツでは、例えばコンテンツ内のCG(Computer Graphics)キャラクタ(アバタ)等を動作させたり、カメラワーク等の映像的効果を付加する場合に、予め所定の動作や映像的効果等をPC(Personal Computer)のキーボードやコントローラ等に割り当てておき、これをユーザのタイミングで操作することで、ユーザが所望するCGキャラクタの動作やカメラワーク等を制御した映像コンテンツを出力する仕組みが存在する。
【0003】
また、従来では、コンテンツ制作時に複数の端末に対して、キャラクタ動作やカメラワーク、カメラのスイッチャ等の演出分担を設定し、各端末で操作した演出内容をサーバで集約してコンテンツを生成する仕組みが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−231522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したようなコンテンツは、サーバ側からクライアント端末側に配信されてユーザに提供される。しかしながら、提供されるコンテンツは、特許文献1に示すように、サーバ側で全てのCG描画や音声合成等が行われてコンテンツが生成されていたり、これとは逆にクライアント端末側で全てのCG描画や音声合成が行われてコンテンツが生成されていた。
【0006】
サーバ側でコンテンツ生成を行う場合には、コンテンツに登場するCGキャラクタやその他の物体(例えば、車や建物等)等のオブジェクトの数が多い場合や画像の高精細化に伴い、処理の遅延が発生する。したがって、従来では、クライアント端末に対してリアルタイム性(即応性)が要求されるような映像コンテンツの再生(リアルタイム再生)には使用できないという問題があった。
【0007】
また、クライアント端末側でコンテンツ生成を行う場合にも、CGキャラクタ等の全てのオブジェクトに対する動作や描画等をクライアント端末側で処理する必要があるため、高性能でないクライアント端末では処理が遅くなり、リアルタイム再生には使用できないという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、ユーザ毎に最適なリアルタイム再生を実現するためのコンテンツ管理装置、クライアント端末、コンテンツ管理プログラム、及びコンテンツ生成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の特徴を有する課題を解決するための手段を採用している。
【0010】
本発明は、ネットワークに接続された複数のクライアント端末に対して提供するコンテンツを管理するコンテンツ管理装置において、前記コンテンツに含まれるオブジェクトに対するスクリプト情報を前記クライアント端末から取得するスクリプト取得手段と、前記オブジェクトの位置情報を取得する対象オブジェクト位置取得手段と、前記対象オブジェクト位置取得手段により得られる前記オブジェクトの位置情報に基づいて、前記スクリプト取得手段により得られる前記スクリプトを分類し、分類された所定のスクリプトを前記クライアント端末に出力するスクリプト分類手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述したコンテンツ管理装置からネットワークを介して提供されるコンテンツを再生するクライアント端末において、前記コンテンツに含まれるオブジェクトに対するスクリプトを生成するスクリプト生成手段と、前記スクリプトから前記コンテンツを生成する処理に対する問い合わせを前記コンテンツ管理装置に対して行う問い合わせ手段と、前記スクリプト生成手段により得られるスクリプトと、前記問い合わせ手段による問い合わせの結果として前記コンテンツ管理装置から取得したスクリプトとに基づいて、映像コンテンツを生成する映像生成手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、コンピュータを、請求項1乃至5の何れか1項に記載のコンテンツ管理装置として機能させることを特徴とするコンテンツ管理プログラムである。
【0013】
また、本発明は、コンピュータを、請求項6又は7に記載のクライアント端末として機能させることを特徴とするコンテンツ生成プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザ毎に最適なリアルタイム再生を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態におけるコンテンツ提供システムの概略構成例を示す図である。
【図2】本実施形態におけるコンテンツ管理装置の機能構成の一例を示す図である。
【図3】本実施形態におけるクライアント端末の機能構成の一例を示す図である。
【図4】本実施形態におけるスクリプト分類例について説明するための図である。
【図5】本実施形態におけるスクリプトとストリーム信号の流れについて説明するための図である。
【図6】本実施形態におけるスクリプトの一例を示す図である。
【図7】本実施形態におけるコンテンツの再生例を説明するための図である。
【図8】本実施形態におけるコンテンツ提供システムの処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【図9】複数のCGカメラを用いた場合におけるスクリプト分類例について説明するための図である。
【図10】図9に対応するスクリプトとストリーム信号の流れについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<本発明について>
本発明は、例えば番組や、SNS、オンラインゲーム等の各種コンテンツをスクリプト言語で制作・記述し、CGや音声合成等を用いてリアルタイム再生する分野等に関し、クライアント側のコンピュータ(クライアント端末)とサーバ側のコンピュータ(コンテンツ管理装置)とを用いて、コンテンツを提供するユーザ毎にコンテンツ生成に関する処理を分担し、各ユーザに適した映像コンテンツを生成する。この仕組みによって、本発明では、クライアント端末が高性能でなくとも、多くのオブジェクトを含むコンテンツを生成し、コンテンツ再生の即応性を維持したままコンテンツを提供することができる。
【0017】
以下に、上述したような特徴を有する本発明におけるコンテンツ管理装置、クライアント端末、コンテンツ管理プログラム、及びコンテンツ生成プログラムを好適に実施した形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
なお、本実施形態では、制作するコンテンツの一例として番組を用いることとし、また番組等の制作や提示等に用いられるスクリプトの一例としてTVML(TV program Marking Language)を用いることとするが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、他のコンテンツ(例えば、ゲームやSNS等)やスクリプトを用いてもよい。
【0019】
また、TVMLでは、通常、台本データと、番組制作エンジンと、素材データとに基づいて番組が生成される。つまり、TVMLでは、演出内容等を記述した台本データに任意の番組制作エンジンを適用し、更に台本データに対応する素材データ等を用いて番組が制作される。
【0020】
<コンテンツ提供システム:概略構成例>
まず、本実施形態におけるコンテンツ提供システム全体の概略構成例について図を用いて説明する。図1は、本実施形態におけるコンテンツ提供システムの概略構成例を示す図である。図1に示すコンテンツ提供システム10は、サーバ側であるコンテンツ管理装置11と、クライアント側である1又は複数のクライアント端末12−1〜12−nとを有するよう構成されている。また、コンテンツ管理装置11とクライアント端末12−1〜12−nとは、インターネット等に代表される通信ネットワーク13を用いてデータの送受信が可能な状態で接続されている。
【0021】
コンテンツ管理装置11は、スクリプト管理装置21と、レンダリング・エンコーディング装置22とを有するよう構成されている。コンテンツ管理装置11は、スクリプト管理装置21によって、各クライアント端末12−1〜12−nの各ユーザの管理と、各クライアント端末12−1〜12−nから得られるそれぞれのスクリプトに対するコンテンツの生成をサーバ側(コンテンツ管理装置11)とクライアント側(クライアント端末12)のどちらで行うかの分類分け等の処理を管理する。
【0022】
また、スクリプト管理装置21は、上述した分類分けした結果、サーバ側でコンテンツを生成するスクリプトがある場合には、そのクライアント端末12から得られるスクリプトに基づいて、レンダリング・エンコーディング装置22によりコンテンツを生成する。具体的には、レンダリング・エンコーディング装置22は、例えば、入力されたスクリプトに対するレンダリングにより、映像及び音声等を含むコンテンツを生成し、更にエンコーディングにより、生成したコンテンツのストリーム信号を生成する。また、コンテンツ管理装置11は、レンダリング・エンコーディング装置22で得られたストリーム信号を対象のクライアント端末12に出力する。
【0023】
更に、コンテンツ管理装置11は、上述したスクリプトの分類分け結果、クライアント端末12でコンテンツを生成するスクリプトがある場合には、スクリプト管理装置21から、そのスクリプトをクライアント端末12に出力する。なお、スクリプトの分類分けの具体的な手法については、後述する。
【0024】
クライアント端末12は、例えば、通信ネットワーク13を介してコンテンツ管理装置11にログインし、コンテンツの提供を受ける装置である。なお、クライアント端末12は、コンテンツ管理装置11にログインする際、ユーザIDやパスワード等のユーザ情報の入力を行う。
【0025】
また、クライアント端末12は、スクリプト管理装置21からスクリプトが送信されると、その送信されたスクリプトに対応するコンテンツを生成する。ここで、クライアント端末12は、コンテンツを完成させる上で、十分でない部分(例えば、背景や自分以外のCGキャラクタの動作等)が含まれる場合、コンテンツ管理装置11のレンダリング・エンコーディング装置22から得られる映像及び音声のストリーム信号を用いてコンテンツ全体を生成する。また、クライアント端末12は、生成された映像及び音声等を含むコンテンツを表示してユーザに提供する。
【0026】
なお、スクリプト管理装置21から取得するスクリプトとしては、例えばそのコンテンツに登場する自分のCGキャラクタに対応するスクリプトや、そのCGキャラクタ付近にあるオブジェクトやCGキャラクタに対するスクリプト等がある。
【0027】
ここで、図1に示すコンテンツ提供システム10では、サーバ側、クライアント側の両方に、コンテンツを生成するための「TVMLプレイヤー」等が映像生成エンジンとして設けられている。したがって、本発明では、コンテンツ管理装置11及びクライアント端末12の両方でコンテンツを再生することができる。
【0028】
上述した構成により、本実施形態では、ユーザ毎に最適なリアルタイム再生を実現することができる。なお、上述したコンテンツ管理装置11は、スクリプト管理装置21と、レンダリング・エンコーディング装置22とをそれぞれ別体で設けていたが、それぞれを一体として管理してもよい。
【0029】
次に、上述したコンテンツ提供システム10におけるコンテンツ管理装置11及びクライアント端末12の機能構成例について具体的に説明する。
【0030】
<コンテンツ管理装置11:機能構成例>
図2は、本実施形態におけるコンテンツ管理装置の機能構成の一例を示す図である。図2に示すコンテンツ管理装置11は、入力手段31と、出力手段32と、蓄積手段33と、ユーザ管理手段34と、スクリプト取得手段35と、対象オブジェクト位置取得手段36と、スクリプト分類手段37と、映像生成手段38と、ストリーム生成手段39と、再生手段40と、配信手段41と、送受信手段42と、制御手段43とを有するよう構成されている。なお、図2の例では、上述した図1に示すスクリプト管理装置21と、レンダリング・エンコーディング装置22とが一体に構成されたコンテンツ管理装置11に付いて示しているが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば上述したスクリプト管理装置21における機能と、レンダリング・エンコーディング装置における機能とをそれぞれ別体のサーバ等に設けてもよい。
【0031】
入力手段31は、管理者(ユーザ)等からのユーザ管理指示やスクリプト取得指示、対象オブジェクト位置取得指示、スクリプト分類指示、映像生成指示、ストリーム生成指示、再生指示、配信指示、送受信指示等、コンテンツの制作や管理における各入力を受け付ける。なお、入力手段31は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、マイク等の音声入力デバイス、タッチパネル、ペン入力、コントローラ等を有する。
【0032】
出力手段32は、例えば、入力手段31により入力された指示内容や、各指示内容に基づいて生成された制御データやユーザ管理データ、台本データ、スクリプト、番組(例えば、映像等)の内容を表示したり、音声を出力する。なお、出力手段32は、ディスプレイ等の画面表示デバイスやスピーカ等の音声出力デバイス等を有する。
【0033】
蓄積手段33は、コンテンツを制作するために必要な台本データ、生成された台本データに記述されている演出を行い、番組を生成するために必要なキャラクタ、セット、音声、動作、静止画、動画、テキストデータ等の各種データからなる複数の素材データ、番組制作エンジン、ユーザ管理手段34により管理されるユーザ情報、スクリプト取得手段35により取得されたスクリプト、対象オブジェクト位置取得手段36により得られる位置情報、スクリプト分類手段37により得られるスクリプト分類結果、映像生成手段38により得られる映像や音声等を含むコンテンツ、ストリーム生成手段39により生成されたストリーム信号、配信手段41により配信されるユーザのアドレス情報、ユーザに割り当てるCGキャラクタ等の各種情報等を蓄積する。
【0034】
また、蓄積手段33は、送受信手段42を介してクライアント端末12−1〜12−nや他の外部装置等から受信した各種データを蓄積することができる。また、蓄積手段33は、本実施形態に対応する処理内容に応じて、蓄積された各種データの読み出しや書き込みを行う。
【0035】
ユーザ管理手段34は、制作した番組(コンテンツ)サービスを受けようとするユーザからのログインがあった場合に、そのユーザ情報を取得する。なお、ユーザ管理手段34は、初めてのユーザからログインがあった場合に、住所、連絡先、メールアドレス、性別、年齢等をユーザに登録させ、登録後にユーザIDやパスワード等を設定し、それらのデータをユーザ情報として管理する。また、ユーザ管理手段34は、既に登録済みのユーザからログインがあった場合に、ユーザ情報(例えば、ユーザID、パスワード等)をユーザに入力させ、入力されたユーザ情報に基づいて認証等を行う。更に、ユーザ管理手段34は、コンテンツ毎に現時点で参加しているユーザの数等についても管理する。
【0036】
スクリプト取得手段35は、クライアント端末12−1〜12−nから得られる各ユーザに対応するスクリプト(例えば、TVMLスクリプト等)を取得する。また、ここで取得されるスクリプトは、台本データに相当する。
なお、スクリプト取得手段35は、クライアント端末12からスクリプト取得する際、こちらから所定のクライアント端末12に対して取得要求を送信して該当するスクリプトを取得してもよい。なお、スクリプト取得手段35は、各クライアント端末12−1〜12−nのそれぞれで視聴している画面の位置情報(例えば、カメラ位置情報等)や自分が操作するCGキャラクタ等の動作状態に基づいて、同一又は異なったスクリプトが取得される。
【0037】
なお、スクリプト取得手段35は、ユーザが実行中(再生中)のコンテンツに対して即応的に処理を行うため、予め設定された短い期間でスクリプトを取得する。つまり、スクリプト取得手段35は、所定の間隔でスクリプトを生成し続けることになる。
【0038】
対象オブジェクト位置取得手段36は、例えば、各クライアント端末12−1〜12−nで使用しているCGキャラクタ毎に、各クライアント端末12−1〜12−nがそれぞれ視聴している画面の映像中に含まれるキャラクタの位置を取得する。なお、対象オブジェクト位置取得手段36は、映像(再生)中に含まれる全てのオブジェクト、又は予め設定された種類(例えば、CGキャラクタや道具(例えば、鞄、帽子、眼鏡、ボール、バット)等)のオブジェクトや、動作可能なオブジェクトのみを対象にして位置情報(例えば、映像中に含まれる仮想空間上の座標情報等)を取得してもよい。
【0039】
スクリプト分類手段37は、対象オブジェクト位置取得手段36により得られるオブジェクト毎の位置情報と、視聴している画面の位置情報とに基づいて、各オブジェクトに対応するスクリプトに対し、サーバ(コンテンツ管理装置11)側とクライアント端末12側のどちらでコンテンツを生成するかを判断する。
【0040】
また、スクリプト分類手段37は、分類されたスクリプトが、クライアント端末12側で処理される場合には、その対象のスクリプトをクライアント端末12に送信する。更に、スクリプト分類手段37は、サーバ側で処理する方に分類されたスクリプトを映像生成手段38に出力する。
【0041】
つまり、本実施形態では、実際に自分が操作するCGキャラクタ等については、即応性が要求されるため、自分の装置(クライアント端末)で作成することとし、それ以外のオブジェクト等については、サーバ側で映像として生成する。なお、本実施形態では、サーバ側で生成される映像を、例えばコンテンツの仮想空間上における背景や壁にビデオウォールとして配置し、そのストリーム映像を再生する(ライブストリーミング)。これにより、本実施形態では、あたかも奥行きのある3次元空間上の広い空間で動作しているように見せることができる。また、本実施形態では、上述した処理により、サーバ側又はクライアント側で全てのスクリプトを用いてコンテンツを生成するよりも効率的かつ高精度なコンテンツを提供することができる。
【0042】
映像生成手段38は、スクリプト取得手段35により得られるスクリプトに基づいて、蓄積手段33等からそのスクリプトに記述された番組制作エンジン、素材データ等を取得し、スクリプトに対応するコンテンツを生成する。
【0043】
また、ストリーム生成手段39は、映像生成手段38により生成された映像からエンコーダ等によりクライアント端末12−1〜12−nに配信するためのストリーム映像を生成する。
【0044】
再生手段40は、ストリーム生成手段39により生成されたストリーム映像(音声等も含む)等の番組(コンテンツ)を再生し、出力手段22により出力させる。これにより、管理者側において、コンテンツの内容を確認することができる。なお、再生手段40は、例えば上述したTVMLプレイヤーを用いることができる。TVMLプレイヤーは、TVMLスクリプトを解釈してリアルタイムCG、音声合成等を用いてコンテンツを生成し、再生出力するソフトウェア(映像生成エンジン)である。
【0045】
配信手段41は、スクリプト分類手段37によりクライアント端末12側で生成するように分類されたスクリプトを、対象のクライアント端末12に出力する。また、配信手段41は、ストリーム生成手段39により生成されたストリーム映像を、対象のクライアント端末12に出力する。
【0046】
送受信手段42は、通信ネットワーク13を介して各クライアント端末12−1〜12−nから送信されるスクリプトを受信したり、ストリーム映像やスクリプト等を対象のクライアント端末12に出力する。つまり、送受信手段42は、送受信可能な各種データを、コンテンツ提供システム10を構成する他の装置に送信したり、他の装置から各種データを受信するための通信インタフェースである。
【0047】
制御手段43は、コンテンツ管理装置11における各機能構成全体の制御を行う。具体的には、制御手段43は、例えばコンテンツ毎にクライアント端末12の接続の増減等の管理処理を行ったり、クライアント端末12からスクリプトを取得したり、その取得したスクリプトを対象のクライアント端末12に配信したり、ストリーム映像を生成したり、ストリーム映像を配信したり、コンテンツを再生する等の処理を制御する。
【0048】
なお、本実施形態において、上述した映像生成手段38、ストリーム生成手段39、再生手段40、配信手段41が、上述したレンダリング・エンコーディング装置22としての処理を行い、ユーザ管理手段34、スクリプト取得手段35、対象オブジェクト位置取得手段36、スクリプト分類手段37が、上述したストリーム管理装置21としての処理を行う。
<クライアント端末12:機能構成例>
次に、クライアント端末12における機能構成例について図を用いて説明する。図3は、本実施形態におけるクライアント端末の機能構成の一例を示す図である。図3に示すクライアント端末12は、入力手段51と、出力手段52と、蓄積手段53と、スクリプト生成手段54と、問い合わせ手段55と、映像生成手段56と、再生手段57と、送受信手段58と、制御手段59とを有するよう構成されている。
【0049】
入力手段51は、コンテンツ管理装置11から提供される所定のコンテンツサービスを受ける場合に、コンテンツ利用者(ユーザ)等からの所定のコンテンツの取得要求や、コンテンツ利用時における自分のCGキャラクタの動作内容、スクリプト生成指示、問い合わせ指示、映像生成指示、再生指示、送受信指示等の各入力を受け付ける。なお、入力手段51は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイス、マイク等の音声入力デバイス、タッチパネル、ペン入力、コントローラ等を有する。
【0050】
出力手段52は、例えば、入力手段51により入力された指示内容や、各指示内容に基づいて生成された番組等のコンテンツを表示したり、音声を出力する。なお、出力手段52は、ディスプレイ等の画面表示デバイスやスピーカ等の音声出力デバイス等を有する。
【0051】
蓄積手段53は、コンテンツ管理装置11から得られるスクリプト(台本データ)、番組制作エンジン、素材データ、ユーザが使用するCGキャラクタ等の各種情報や、スクリプト生成手段54により生成されたスクリプト、問い合わせ手段55により得られる問い合わせ情報、映像生成手段56により生成される映像や音声等を含むコンテンツ等の各種情報等を蓄積する。
【0052】
また、蓄積手段53は、送受信手段58を介してコンテンツ管理装置11や他の外部装置等から受信した各種データを蓄積することができる。また、蓄積手段53は、本実施形態に対応する処理内容に応じて、蓄積された各種データの読み出しや書き込みを行う。
【0053】
スクリプト生成手段54は、例えば、番組等のコンテンツに参加(登場)している自分のCGキャラクタに対してユーザが入力手段51により操作した内容等に対応させてスクリプトを生成する。なお、スクリプト生成手段54により生成されるスクリプトの内容としては、例えば、自分のCGキャラクタに対する動作や発言内容、視聴するコンテンツ画面のカメラワーク、現時点で同じコンテンツに参加している他のCGキャラクタやその他の物体オブジェクトに対する処理内容等である。
【0054】
問い合わせ手段55は、スクリプト生成手段54により生成されたスクリプトをコンテンツ管理装置11に送信し、送信したスクリプトに対するコンテンツ(例えば、番組映像や音声等)の生成をどちらで行うかの問い合わせを行う。なお、問い合わせ手段55は、即応性を重視するコンテンツやスクリプトである場合には、例えば新たなスクリプトが生成される毎に問い合わせを行う。また、問い合わせ手段55は、即応性を求めていないコンテンツやスクリプトである場合には、例えば予め設定された時間間隔で、コンテンツ管理装置11に対して問い合わせを行う。
【0055】
映像生成手段56は、コンテンツ管理装置11から取得したスクリプトから番組制作エンジンや素材データ等を用いて映像及び音声を含むコンテンツを生成する。このとき、本実施形態において、コンテンツ管理装置11で生成されたストリーム映像を受信した場合には、そのストリーム映像を含めてコンテンツを生成する。
【0056】
再生手段57は、映像生成手段56により生成された映像又は音声等を含む番組(コンテンツ)を再生し、出力手段52により出力させる。なお、再生手段57は、例えば上述したTVMLプレイヤーを用いることができる。
【0057】
ここで、本実施形態では、例えば、ユーザ等における操作によりコンテンツ中のCGキャラクタを動作させる際、スクリプト生成手段54によって入力手段51から入力された操作内容に対応するスクリプトが生成される。生成されたスクリプトは、問い合わせ手段55によりコンテンツ管理装置11に問い合わせを行った後、コンテンツ管理装置11かクライアント端末12の何れかでコンテンツが生成され、再生手段57により再生される。したがって、再生手段57は、スクリプトから得られるコンテンツのストリーム映像を現在再生中のストリーム映像の直後に再生するようにする。これを繰り返すことで、連続するコンテンツを提供することができる。
【0058】
送受信手段58は、通信ネットワーク13を介してコンテンツ管理装置11から送信される番組コンテンツ(ストリーム)や、TVMLスクリプト等の各種情報を受信する。また、送受信手段58は、通信ネットワーク13を介して問い合わせ手段55により得られる問い合わせ情報をコンテンツ管理装置11に送信する。なお、問い合わせ情報には、スクリプト生成手段54により生成されたスクリプト等を含んでもよい。つまり、送受信手段58は、送受信可能な各種データを、コンテンツ提供システム10を構成する他の装置に送信したり、他の装置から各種データを受信するための通信インタフェースである。
【0059】
制御手段59は、クライアント端末12における各機能構成全体の制御を行う。具体的には、制御手段59は、例えば入力手段51により入力されたユーザ等からの入力情報に基づいて、スクリプトを生成したり、その生成したスクリプトをコンテンツ管理装置11に送信して、サーバ側とクライアント側のどちらで映像コンテンツを生成するかを問い合わせを行ったり、スクリプトに対応する映像コンテンツを生成したり、生成した映像コンテンツを再生する等の処理を制御する。
【0060】
<スクリプト分類の具体例>
次に、本実施形態における上述したスクリプト分類の具体例について、図を用いて説明する。図4は、本実施形態におけるスクリプト分類例について説明するための図である。
【0061】
ここで、本実施形態におけるスクリプト分類を具体的に説明するため、例えば、あるクライアント端末(例えば、クライアント端末12−1)が、コンテンツ管理装置11から提供されているコンテンツ(例えば、番組やオンラインゲーム、SNS等)の仮想空間中に、自分のCGキャラクタ(例えば、CGキャラクタA)を参加させている場合を想定する。更に、そのような場合に、例えば図4に示すようなCGカメラ(仮想撮像手段)Aのカメラ位置から画角60の撮影領域で撮影された映像がクライアント端末12−1で再生されているものとする。
【0062】
図4に示すCGカメラAから撮影された映像には、CGキャラクタA〜Dが撮影されている。このとき、コンテンツ管理装置11のスクリプト取得手段35は、CGキャラクタA〜Dに関するスクリプトを、各CGキャラクタを操作するそれぞれのクライアント端末から取得する。なお、CGキャラクタの少なくとも1つがコンテンツ管理装置11で生成されている場合には、スクリプト取得手段35は、そのCGキャラクタに関するスクリプトをコンテンツ管理装置11から取得する。
【0063】
また、対象オブジェクト位置取得手段36は、CGカメラAで撮影されているCGキャラクタA〜Dの位置情報を取得する。その後、スクリプト分類手段37は、CGカメラAから予め設定された距離(例えば、距離L)以内の範囲にいるオブジェクト(図4の例では、CGキャラクタA及びB)を取得し、そのオブジェクトに関するスクリプトに対しては、対象のクライアント端末(クライアント端末12−1)でコンテンツを生成させる。自分のキャラクタに近いキャラクタは、会話や接する可能性が高く、よりリアルタイムな再生処理を行う必要があるからである。そのため、コンテンツ管理装置11は、対応するスクリプト情報を、通信ネットワーク13を介してクライアント端末12−1に送信する。
【0064】
なお、クライアント端末12−1は、CGキャラクタAを操作しているため、CGキャラクタAに関するスクリプトは、既に生成されている。したがって、コンテンツ管理装置11は、CGキャラクタBのスクリプトをクライアント装置12−1に出力する。
【0065】
また、図4に示すように、CGカメラAから予め設定された距離(例えば、距離L)を超える範囲にいるオブジェクト(図4の例では、CGキャラクタC及びD)については、クライアント端末12−1が操作するCGキャラクタAとは、会話等や接する可能性が低いため、動作が遅れてもCGキャラクタAの操作するユーザは全く気にならない。
【0066】
そのため、CGキャラクタC及びDに関するスクリプトについては、コンテンツ管理装置11で生成する。なお、コンテンツ管理装置11で生成された映像コンテンツは、例えばライブストリーミング等によるストリーム映像がクライアント端末12―1に配信され、その映像は、いわゆるビデオウォールとしてクライアント端末12−1に表示される映像コンテンツに合成される。
【0067】
なお、スクリプト分類手段37における分類例については、上述した内容に限定されるものではなく、例えば、クライアント端末12が自分の端末でコンテンツを生成する対象のCGキャラクタを選択してもよい。また、本実施形態では、図4に示す距離Lを、クライアント端末12毎の性能や、表示画質、CGキャラクタの動作内容等に基づき任意に変更して設定できるようにしてもよい。具体的には、クライアント端末の性能が低い場合や高画質の場合、CGキャラクタの動作が複雑な場合には、映像生成等における処理時間がかかるため、その場合には、設定される距離Lを短くしてクライアント端末12−1で処理する対象のオブジェクト(スクリプト)の数を減らすことができる。
【0068】
なお、図4の例において、所定の距離Lの含まれる範囲を、クライアント端末側で処理するようにしたのは、例えば実際に操作しているCGキャラクタは、画面の中央の場合が多く、またCGカメラに一番接近しているかそれに近いオブジェクトである可能性が高いことによる。したがって、本実施形態では、例えばCGカメラからの距離Lを基準とするのではなく、CGキャラクタAからの距離を基準としてスクリプトを分類してもよい。
【0069】
更に、本実施形態では、スクリプト分類手段37において、スクリプトの具体的な内容を解析し、その解析結果に基づいて、クライアント端末に出力するスクリプトと、コンテンツ管理装置11でコンテンツを生成するスクリプトとを分類してもよい。これにより、例えば、距離Lの範囲内に存在するオブジェクトであってもCGキャラクタAと直接関係を持たない一部のオブジェクトの処理をコンテンツ管理装置11側で行うことができるため、クライアント端末12側の処理負担を更に軽減させることができる。
【0070】
<スクリプトとストリーム信号の流れ>
ここで、上述した図4の条件におけるスクリプトとストリーミング信号の流れについて図を用いて説明する。図5は、本実施形態におけるスクリプトとストリーム信号の流れについて説明するための図である。なお、図5の例では、コンテンツ管理装置11として、スクリプト管理装置21と、レンダリング・エンコーディング装置22とを有しており、4人のクライアント(クライアントA〜D)が4つのクライアント端末12−1〜12−4を用いて、同一のコンテンツ(例えば、番組やオンラインゲーム、SNS等)に参加しているものとする。
【0071】
また、図5に示す各クライアント端末12−1〜12−4は、自らが操作するオブジェクト(例えば、CGキャラクタA〜D)をそれぞれ動作させるために、オブジェクトに関するスクリプト70−1〜70−4を生成する(スクリプトA〜D)。また、各クライアント端末12−1〜12−4は、スクリプトからコンテンツを生成し、生成されたコンテンツを再生するための再生手段(エンコーダ)としてTVMLプレイヤー71を有する。また、図5に示すレンダリング・エンコーディング装置22は、レンダリング機能としてTVMLプレイヤー72を有し、エンコーダ機能としてライブエンコーダ73を有している。
【0072】
ここで、本実施形態では、各クライアント端末12−1〜12−4は、生成した各スクリプトA〜Dを、TVMLプレイヤー71に出力すると共に、コンテンツ管理装置11のスクリプト管理装置21に送信する。
【0073】
スクリプト管理装置21は、取得した各クライアント端末12−1〜12−4からのスクリプトA〜Dについて、上述したようにスクリプトの分類を行う。ここで、図4の例に対応させれば、スクリプト管理装置21は、コンテンツ管理装置11内で処理を行うスクリプトC,Dと、クライアント端末で処理を行うスクリプトA,Bとに分ける。したがって、コンテンツ管理装置11は、スクリプト管理装置21からスクリプトC,Dの内容をレンダリング・エンコーダ装置22に出力し、スクリプトA,Bは、まだクライアント側で取得していないスクリプトを、対応するクライアント端末12に出力する。
【0074】
つまり、図5の例において、コンテンツ管理装置11は、クライアント端末12−2で生成されたスクリプトBをクライアント端末12−1に出力し、クライアント端末12−1で生成されたスクリプトAをクライアント端末12−2に出力する。
【0075】
また、レンダリング・エンコーダ装置22は、スクリプトC,DからTVMLプレイヤー72でコンテンツを生成し、ライブエンコーダ73でストリーム映像を生成して、生成されたストリーム映像をクライアント端末12−1及びクライアント端末12−2に出力する。つまり、生成されたストリーム映像(ライブストリーム)は、仮想空間上におけるビデオウォールの素材データとしてクライアント端末12−1,12−2に送信されることになる。
【0076】
したがって、例えば、クライアント端末12−1では、スクリプトA,Bが取得されるため、これらのスクリプトを用いてTVMLプレイヤー71で映像コンテンツを生成する。このとき、CGキャラクタC,Dに係るスクリプトC,Dに対する動作等は、コンテンツ管理装置11でストリーム映像として再生される。クライアント端末12−1は、上述したCGキャラクタC,Dに対するストリーム映像を素材データの1つとして扱い、例えばスクリプトA,Bから映像コンテンツを生成する際に背景(例えば、ビデオウォール)等として付加し、全体のストリーム映像を生成する。
【0077】
つまり、図5の例では、クライアント端末12−1におけるTVMLプレイヤー71において、受信したCGキャラクタC,Dのライブストリームをビデオウォールで背景に表示し、その前方にCGキャラクタA及びBを合成する。このとき、クライアントA及びBでは、ビデオウォールからはみ出ない(見切れない)範囲内で、CGカメラAのカメラワーク(例えば、パン、チルト、ズーム等)を変化させることができる。
【0078】
なお、本実施形態におけるTVMLプレイヤー71,72では、音声合成等を用いてCGキャラクタに発話させることができるが、1つのコンテンツ内で多数の(例えば数十体の)CGキャラクタが別々に発話してしまうと、聞き取りにくく映像コンテンツとして破綻してしまう。したがって、本実施形態では、上述した所定距離(例えば、距離L)を基準とし、その距離Lの範囲内のみ発話させるようにしてもよい。この場合、コンテンツ管理装置11で生成される映像コンテンツには、音を入れないようにする。これにより、CGカメラに近いオブジェクトだけの音声を再生させることができる。
【0079】
<スクリプト例>
ここで、本実施形態におけるスクリプト例について図を用いて説明する。図6は、本実施形態におけるスクリプトの一例を示す図である。なお、図6の例では、例えば、上述したコンテンツ管理装置11におけるスクリプト分類等で用いられるTVMLスクリプトや、コンテンツ管理装置11からクライアント端末12に配信されるTVMLスクリプト等のスクリプト例を示しており、これらの情報には、各クライアント端末で生成されたスクリプトの内容も含まれている。また、図6では、説明の便宜上、左端に行番号を付している。
【0080】
図6において、(02)〜(26)行目は、CGカメラ、CGキャラクタ、ビデオウォールの配置等を設定するセットアップ用のスクリプトが記述されている。(04)、(05)行目では、CGカメラA(CamA)の配置位置に関するスクリプトが記述されている。ここで、図6の例では、CGカメラAの垂直画角(vangle)を50°としている。
【0081】
また、(06)〜(09)行目では、上述した距離L=5に基づいて、ビデオウォールの配置位置等が設定されている。例えば、垂直画角が50°でL=5,画面のアスペクト比を4:3とすると、ビデオウォールは、縦(platesizev=5×tan(50°÷2))が4.67、横(platesizeh=4.67÷3×4)が6.23となる。
【0082】
また、(07)行目の「filename=“mms://serverrendering.jp/serversidevideoA/”」は、ライブストリーミングのストリーミングアドレスであり、このアドレスから取得されるストリーム映像がビデオウォールとして表示される。
【0083】
また、(10)〜(25)行目は、CGキャラクタの配置等のセットアップの内容が記述されている。図6の例では、例えばCGカメラからの距離L=5の場合に、それに対応する位置座標zを2とする(z=2)。したがって、z≦2の範囲に存在するオブジェクトについては、クライアント端末12−1で対応する映像コンテンツが生成され、z>2の範囲に存在するオブジェクトについては、コンテンツ管理装置11で対応する映像コンテンツが生成される。
【0084】
図6の例では、CGキャラクタA(CharA),B(CharB)がz≦2で、CGキャラクタC(CharC),D(CharD)がz>2に位置している。したがって、(27),(28)行目に示す内容は、クライアント端末12で処理される。また、(29),(30)行目に示す内容は、コンテンツ管理装置11処理され、その結果のストリーム映像がビデオウォールとして表示される。
【0085】
なお、上述したスクリプトは、クライアント端末毎に個別に生成される。また、本実施形態におけるスクリプトの内容や順序等については、これに限定されるものではない。
【0086】
<コンテンツ再生例について>
ここで、本実施形態におけるコンテンツの再生例について、図を用いて説明する。図7は、本実施形態におけるコンテンツの再生例を説明するための図である。
【0087】
本実施形態では、図7(a)に示すように、CGカメラAで撮影された映像のうち、CGキャラクタA,Bについては、所定距離L内にある。そのため、CGキャラクタA,Bについては、各クライアント端末12側で生成し、CGキャラクタC,Dについては、コンテンツ管理装置11側で生成されるストリーム映像をビデオウォールとして付加して再生する(ライブストリーミング)。
【0088】
これにより、クライアント端末12−1により再生される合成されたコンテンツは、図7(b)のようになる。なお、図7(b)は、上述した図5に対応させると、クライアント端末12−1,12−2で最終的に生成される映像コンテンツである。
【0089】
ここで、CGキャラクタC,Dにおける動作は、実際にクライアントC,Dが操作した時間よりも、コンテンツ管理装置11側で処理して配信されてくる分、遅くなる。しかしながら、クライアントAが操作するCGキャラクタAが遠くにいるキャラクタC,Dとやりとりすることはない。したがって、キャラクタC,Dの動作の遅れは、CGキャラクタAの動作上影響はない。
【0090】
また、本実施形態では、あるキャラクタ(例えば、キャラクタB)が距離Lを跨いで、遠くに行く場合や近くに来る場合が考えられる。この場合には、サーバ側(コンテンツ管理装置11側)での処理と、クライアント端末12側での処理が切り替わるため、時間上の誤差が生じる恐れがある。例えば、距離Lから遠くに行く場合には、一次的にCGキャラクタBが表示されない場合が生じる可能性がある。しかしながら、距離Lから離れることは、CGキャラクタAから離れることを意味しているため、コンテンツ上は、直接の影響を受けず問題とはならない。
【0091】
更に、例えば、距離Lの範囲内に近づいて来る場合には、距離Lを跨ぐ瞬間にストリーム映像とクライアント端末12により生成されるコンテンツの両方にCGキャラクタBが存在する可能性がある。しかしながら、その場合に重要になるのは、CGキャラクタAに近い方のCGキャラクタであり、遠近法によりCGキャラクタAに近い方がCGカメラAに近づくためCGキャラクタの描画も大きくなる。
【0092】
したがって、本実施形態では、距離Lを跨いでCGカメラAに近づくような場合でも、クライアント端末12で生成されたCGキャラクタBにより、その背後にいるビデオウォールに映し出されたストリーム映像中のCGキャラクタBが隠れることになり、見た目上は近い方のCGキャラクタBだけが表示されるため問題とはならない。
【0093】
<コンテンツ提供システムにおける処理シーケンス>
次に、本実施形態におけるコンテンツ提供システム10の処理シーケンスについてシーケンス図を用いて説明する。図8は、本実施形態におけるコンテンツ提供システムの処理手順の一例を示すシーケンス図である。なお、図8の例では、コンテンツ提供システム10における各装置間の処理内容が明確になるように、クライアント端末12と、コンテンツ管理装置11(スクリプト管理装置21及びレンダリング・エンコーディング装置22)間における各処理について説明する。
【0094】
まず、クライアント端末12は、コンテンツ管理装置11が提供するコンテンツにログイン処理を行い(S01)、更にそのコンテンツに登場している自分のCGキャラクタのスクリプトを生成し(S02)、生成したスクリプトをスクリプト管理装置21に送信し、コンテンツ管理装置11とクライアント端末のどちらで映像コンテンツを生成するかの問い合わせを行う(S03)。
【0095】
一方、スクリプト管理装置21では、予めクライアント端末12に提供する映像コンテンツを撮影するCGカメラの配置位置を決定し、決定された配置位置に基づくカメラ配置スクリプトを生成する(S04)。なお、CGカメラの配置位置は、例えばクライアント端末12が指示したCGキャラクタを画面の注視領域中に表示させるため、CGキャラクタが移動すれば、それに伴いカメラの位置も適宜最適な位置に変更される。
【0096】
次に、スクリプト管理装置21は、クライアント端末12から送信されたスクリプトを受信すると(S05)、CGカメラの撮影領域(例えば、画角)に含まれる全てのオブジェクトの位置を取得し(S06)、上述したようにオブジェクトに対応するスクリプト毎に分類を行う(S07)。
【0097】
また、スクリプト管理装置21は、S07の処理により分類された各スクリプトを、対応するクライアント端末12又はレンダリング・エンコーディング装置22の何れかに分配して送信し(S08)、クライアント端末12及びレンダリング・エンコーディング装置22で、スクリプト管理装置21から送信されたスクリプトを受信する(S09、S10)。
【0098】
レンダリング・エンコーディング装置22は、スクリプト管理装置21から受信したスクリプトに対応する映像コンテンツを生成する(S11)。なお、S11の処理としては、例えばCGレンダリングや音声合成等の処理も含むが本発明においてはこれに限定されるものではない。
【0099】
また、レンダリング・エンコーディング装置22は、S11の処理にて得られた映像コンテンツに対して、ライブエンコードを行い、ストリーム映像を生成し(S12)、生成したストリームを対象のクライアント端末12に出力する(S13)。
【0100】
クライアント端末12は、レンダリング・エンコーディング装置22からストリーム映像を受信し(S14)、最終的な映像コンテンツを生成する(S15)。なお、S15の処理としては、例えばCGレンダリングや音声合成、ビデオウォール合成等の処理も含むが本発明においてはこれに限定されるものではない。
【0101】
次に、クライアント端末12は、処理を終了するか否かを判断し(S16)、終了しない場合(S16において、NO)、S02の処理に戻り後続の処理を行う。また、ユーザ等の指示により処理を終了する場合(S16において、YES)、クライアント端末12におけるコンテンツ生成処理を終了する。
【0102】
また、スクリプト管理装置21は、管理者等の指示により処理を終了するか否かを判断し(S17)、処理を終了しない場合(S17において、NO)、S05の処理に戻り後続の処理を行う。また、S17の処理において、処理を終了する場合(S17において、YES)、コンテンツ管理処理におけるスクリプト管理処理を終了する。
【0103】
更に、レンダリング・エンコーディング装置22は、管理者等の指示等により処理を終了するか否かを判断し、処理を終了しない場合(S18において、NO)、S10の処理に戻り、後続の処理を行う。また、S18の処理において、処理を終了する場合(S18において、YES)、コンテンツ管理処理におけるレンダリング・エンコーディング処理を終了する。
【0104】
上述したように、本実施形態によれば、ユーザ毎に最適なリアルタイム再生を実現することができる。
【0105】
<他の実施形態>
ここで、上述した実施形態では、一例としてCGカメラが1台の場合について説明したが、本発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば仮想空間上において複数のCGカメラを有していてもよい。なお、複数のCGカメラを用いる場合には、同一のオブジェクト(例えば、CGキャラクタ)が複数のCGカメラによって撮影される場合がある。
【0106】
したがって、複数のCGカメラを有する場合には、CGカメラの台数に対応させて上述したレンダリング・エンコーディング装置22を設け、各CGカメラに対させて上述したレンダリング・エンコーディング装置22における処理を実行することで、クライアント端末毎に最適なコンテンツを提供することができる。
【0107】
ここで、上述した内容に対応する実施形態について図を用いて説明する。図9は、複数のCGカメラを用いた場合におけるスクリプト分類例について説明するための図である。また、図10は、図9に対応するスクリプトとストリーム信号の流れについて説明するための図である。なお、図9,10の例は、それぞれ上述した図4,5の実施形態に対応させたものである。したがって、上述した実施形態で説明した内容と重複する部分については、説明を省略する。
【0108】
図9の例では、2台のCGカメラ(CGカメラA,B)を有しているが、CGカメラの台数や配置については、これに限定されるものではない。また、図10の例では、CGカメラの数(2台)に対応させたレンダリング・エンコーディング装置22−1,22−2が設けられている。つまり、レンダリング・エンコーディング装置22−1,22−2は、それぞれに対応付けられたCGカメラに対する処理を行う。
【0109】
例えば、図9に示すCGカメラBの視点では、距離L’の範囲内にCGキャラクタC,Dが存在し、距離L’を超える範囲にCGキャラクタA,Bが存在する。つまり、クライアントC,Dがクライアント端末12−3,12−4で視聴している映像は、CGカメラBで撮影された映像となる。
【0110】
そのため、CGキャラクタC,Dに対する映像コンテンツについては、クライアント端末12−3,12−4で生成し、CGキャラクタA,Bに対する映像コンテンツ(ストリーム映像)については、レンダリング・エンコーディング装置22−2で生成する。そして、レンダリング・エンコーディング装置22−2で生成されたストリーム映像は、クライアント端末12−3,12−4でビデオウォールとして使用され、クライアント端末12−3,12−4でそれぞれ生成される映像コンテンツと組み合わせて最終的な映像が生成され画面に表示される。
【0111】
なお、クライアント端末12−1,12−2については、上述したように、レンダリング・エンコーディング装置22−1で生成されたCGキャラクタC,Dに対するストリーム映像と、クライアント端末12−3,12−4でそれぞれ生成されるCGキャラクタA,Bに対する映像コンテンツとを組み合わせて最終的な映像が生成され画面に表示される。
【0112】
なお、各スクリプトの分類と、レンダリング・エンコーディング装置22−1,22−2の振り分けは、図10に示すようにスクリプト管理装置21で行われる。
【0113】
ここで、上述した例では、CGキャラクタがコンテンツ内の仮想空間上を移動すると、それに合わせて映像コンテンツの生成手法も動的に変更される。例えば、CGキャラクタAがCGカメラAの前から、CGカメラBの前(距離L’の範囲内)に移動した場合には、クライアントA(クライアント端末12−1)に表示される映像がCGカメラBで撮影されたものに変更される。この場合、ビデオウォールの映像は、レンダリング・エンコーディング装置22−2で生成されたものになる。つまり、スクリプト管理サーバ21では、CGキャラクタ等のオブジェクトの位置関係を取得し、どのクライアント端末或いはレンダリング・エンコーディング装置22−1,22−2にスクリプトを振り分けるかを動的に管理することになる。
【0114】
また、上述の例において、自分のCGキャラクタが、複数のカメラの画角(図9の例では、画角60,61)に含まれる場合には、コンテンツ管理装置11によって、例えば自分のCGキャラクタに近い方のCGカメラの映像が表示されるように制御されてもよく、また各クライアントにより設定されたCGカメラ(例えば、CGカメラA等)を優先して映像が表示されるように制御されてもよい。
【0115】
なお、上述した各実施形態においては、結果的に、全てのスクリプトを用いて最終的な映像を生成する処理を、コンテンツ管理装置11又はクライアント端末12の一方だけで行うこともできる。
【0116】
<実行プログラム>
ここで、上述したコンテンツ管理装置11及びクライアント端末12は、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等の揮発性の記憶媒体、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の記憶媒体、マウスやキーボード、ポインティングデバイス等の入力装置、画像やデータを表示する表示装置、並びに外部と通信するためのインタフェース装置を備えたコンピュータによって構成することができる。
【0117】
したがって、コンテンツ管理装置11及びクライアント端末12が有する上述した各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPUに実行させることによりそれぞれ実現可能となる。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピィーディスク、ハードディスク等)、光ディスク(C,D−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記録媒体に格納して頒布することもできる。
【0118】
つまり、上述した各構成における処理をコンピュータに実行させるための実行プログラム(コンテンツ管理プログラム及びコンテンツ生成プログラム)を生成し、例えば汎用のパーソナルコンピュータやサーバ等にそのプログラムをインストールすることにより、コンテンツ管理処理及びコンテンツ生成処理等を実現することができる。
【0119】
上述したように本発明によれば、ユーザ毎に最適なリアルタイム再生を実現することができる。具体的には、クライアント側に高性能のコンピュータがなくとも、多くのオブジェクトを生成し表示させる映像コンテンツを、リアルタイム性(即応性)を維持したまま生成することができる。すなわち、CGカメラに近いオブジェクト同士のインタラクションは、リアルタイムCGを用いるため、即応性を維持することができ、CGカメラから遠いオブジェクトは、サーバ側で生成されたストリーム映像を用いるため、クライアント端末に負荷をかけずに映像コンテンツを生成させることができる。
【0120】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0121】
10 コンテンツ提供システム
11 コンテンツ管理装置
12 クライアント端末
13 通信ネットワーク
21 スクリプト管理装置
22 レンダリング・エンコーディング装置
31,51 入力手段
32,52 出力手段
33,53 蓄積手段
34 ユーザ管理手段
35,54 スクリプト取得手段
36 対象オブジェクト位置取得手段
37 スクリプト分類手段
38,56 映像生成手段
39 ストリーム生成手段
40,57 再生手段
41 配信手段
42,58 送受信手段
43,59 制御手段
60,61 画角
70 スクリプト
71,72 TVMLプレイヤー
73 ライブエンコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された複数のクライアント端末に対して提供するコンテンツを管理するコンテンツ管理装置において、
前記コンテンツに含まれるオブジェクトに対するスクリプト情報を前記クライアント端末から取得するスクリプト取得手段と、
前記オブジェクトの位置情報を取得する対象オブジェクト位置取得手段と、
前記対象オブジェクト位置取得手段により得られる前記オブジェクトの位置情報に基づいて、前記スクリプト取得手段により得られる前記スクリプトを分類し、分類された所定のスクリプトを前記クライアント端末に出力するスクリプト分類手段とを有することを特徴とするコンテンツ管理装置。
【請求項2】
前記スクリプト分類手段は、
前記コンテンツにおける仮想空間上を所定の画角で撮影する仮想撮像手段から各オブジェクトまでの距離に応じて、前記各オブジェクトに対するスクリプトを分類することを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項3】
前記スクリプト分類手段は、
前記距離が予め設定された値以下である場合に、前記クライアント端末に出力するスクリプトとして分類することを特徴とする請求項2に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項4】
前記予め設定された値は、前記クライアント端末毎に変更可能であることを特徴とする請求項3に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項5】
前記クライアント端末に出力しないスクリプトを用いて映像コンテンツを生成する映像生成手段と、
前記映像生成手段により得られる映像コンテンツからストリーム映像を生成し、生成されたストリーム映像を前記クライアント端末に出力するストリーム生成手段とを有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のコンテンツ管理装置からネットワークを介して提供されるコンテンツを再生するクライアント端末において、
前記コンテンツに含まれるオブジェクトに対するスクリプトを生成するスクリプト生成手段と、
前記スクリプトから前記コンテンツを生成する処理に対する問い合わせを前記コンテンツ管理装置に対して行う問い合わせ手段と、
前記スクリプト生成手段により得られるスクリプトと、前記問い合わせ手段による問い合わせの結果として前記コンテンツ管理装置から取得したスクリプトとに基づいて、映像コンテンツを生成する映像生成手段とを有することを特徴とするクライアント端末。
【請求項7】
前記映像生成手段は、
前記コンテンツ管理装置から得られるストリーム映像を、前記スクリプト生成手段により得られるスクリプトと、前記問い合わせ手段による問い合わせの結果として前記コンテンツ管理装置から取得したスクリプトとから生成される映像コンテンツに合成して最終的な映像コンテンツを生成することを特徴とする請求項6に記載のクライアント端末。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至5の何れか1項に記載のコンテンツ管理装置として機能させることを特徴とするコンテンツ管理プログラム。
【請求項9】
コンピュータを、請求項6又は7に記載のクライアント端末として機能させることを特徴とするコンテンツ生成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−230525(P2012−230525A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98033(P2011−98033)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】