説明

コンテンツ蓄積装置およびコンテンツ再生装置、並びに、コンテンツ蓄積プログラムおよびコンテンツ再生プログラム

【課題】デジタルデータの再生の可否がアプリケーションに依存することなく、当該デジタルデータを1つのファイルとして取り扱うファイルシステムにおいて、各ファイルの再生条件(許諾条件)が異なる複数のファイルを1つのファイル群、すなわち、一連のコンテンツとして取り扱うことができるコンテンツ蓄積装置およびコンテンツ再生装置を提供する。
【解決手段】コンテンツ蓄積再生装置1は、コンテンツを記録媒体13に蓄積するもので、コンテンツ入力手段3と、コンテンツ暗号化手段5と、暗号化コンテンツ蓄積実行手段7と、要件拡張属性レンジ情報暗号化手段9と、暗号化要件拡張属性レンジ情報蓄積実行手段11と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツを記録媒体に書き込むコンテンツ蓄積装置およびコンテンツ蓄積プログラム、並びに、コンテンツを記録媒体から読み出すコンテンツ再生装置およびコンテンツ再生プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マルチメディアコンテンツや文書のデジタル化(電子化)の進展に伴い、これらデジタル化されたデータ、すなわち、デジタルデータを、バックアップや再利用等を目的にして、ネットワークを介して転送し、記録媒体に保存して管理する記録再生処理が日常的に行われている。
【0003】
一般に、デジタルデータは、コピーしても劣化しないので、コピーするたびに劣化するアナログデータに比べ、不正利用が行われやすく、改ざんが容易であるため、ネットワークや記録媒体上でのセキュリティ確保が重要になる。それゆえ、ネットワーク上でのセキュリティ確保は、既存の暗号化技術を使うことによって、ある程度解決されている。また、記録媒体上でのセキュリティ確保は、デジタルデータをファイルとして管理するファイルシステムによって行われている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
このファイルシステムでは、例えば、1つのファイルごとにセキュリティをかける技術が存在している。しかし、近年のマルチメディアコンテンツは、主たるデジタルデータ(主コンテンツ、主ファイル)に付随する複数のデジタルデータ(副コンテンツ、副ファイル)がまとまって構成されているものがあり、1つのファイルで完結することがない場合がある。この場合、ファイルシステムでは、主コンテンツと副コンテンツとを1まとまりのファイル群としてまとめると共に、主コンテンツと副コンテンツとについて保護したいセキュリティの強度を変えて取り扱う場合がある。
【0005】
例えば、デジタルデータが放送等に用いられる番組コンテンツの場合、一般的に番組コンテンツは、主コンテンツである本編の番組ファイル以外に、副コンテンツである、ライセンス、試聴コンテンツ、静止画サムネイル、あらすじを記したテキスト(テキストデータ)等の複数のファイルを、ファイル群としてまとめて取り扱う必要がある。
【0006】
そして、この場合、副コンテンツの中でそれぞれ保護したいセキュリティの強度が異なっており、ライセンスは、許諾された装置および記録媒体でのみ再生が許可されているので、これらの装置や記録媒体で取り扱いできるレベルにセキュリティの強度が設定されている。また、試聴コンテンツは、許諾された装置でなくても他の装置でも再生が許可されており、許諾された記録媒体を問わず、他の記録媒体へ自由にコピーすることも許可されている。
【0007】
さらに、静止画サムネイルやあらすじを記したテキストデータは、許諾された装置および記録媒体を問わずに自由に取り扱いできるようにセキュリティの強度が設定されている。
【0008】
ところで、一般に光ディスク(CD、DVD)、磁気ディスク等の記録媒体(記録メディア)は、階層構造を有しており、この階層構造に「アプリケーションレイヤ」、「ファイルシステムレイヤ」および「物理レイヤ」がある。従来、当該記録媒体にデジタルデータを記録しようとした場合、当該デジタルデータを取り扱うアプリケーションによって、CPRM(Content Protection for Recordable Media)、CSS(Content Scramble System)といったコピープロテクションが、アプリケーションレイヤにおいて行われている。
【0009】
また、記録媒体では、様々なアプリケーションによって、様々なデジタルデータが記録されている。そして、様々なアプリケーションがそれぞれコピープロテクションをはずすことによって、コピー制御といったことを当該アプリケーションで担保している。
【特許文献1】特開2000−122816号公報
【特許文献2】特開平10−283262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、あるアプリケーションによって、記録媒体に記録したデジタルデータを、他のアプリケーションによって無理矢理再生しようとすると、共通の「アプリケーションレイヤ」に従っていれば再生でき、従っていなければ再生できず、デジタルデータの再生の可否がアプリケーションに依存してしまうという問題がある。
【0011】
また、デジタルデータを1つのファイルとして取り扱うファイルシステムにおいて、各ファイルの再生条件(許諾条件)が異なる複数のファイルを1つのファイル群、すなわち、一連のコンテンツとして取り扱うことが困難であるという問題がある。ちなみに、例えば、複数のデジタルデータ(複数の副ファイル)を、主ファイルに関連づけて収める機能は、Windows(登録商標)のNTFS(NT File System)やUDF(Universal Disk Format)で実現されており、この中で1つのファイルを暗号化する技術は存在しているが、個々のデジタルデータごとにセキュリティの強度を指定して取り扱う(保存、再生)技術は存在していない。
【0012】
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、デジタルデータの再生の可否がアプリケーションに依存することなく、当該デジタルデータを1つのファイルとして取り扱うファイルシステムにおいて、各ファイルの再生条件(許諾条件)が異なる複数のファイルを1つのファイル群、すなわち、一連のコンテンツとして取り扱うことができるコンテンツ蓄積装置およびコンテンツ再生装置、並びに、コンテンツ蓄積プログラムおよびコンテンツ再生プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため、請求項1に記載のコンテンツ蓄積装置は、コンテンツを記録媒体に蓄積するコンテンツ蓄積装置において、コンテンツ暗号化手段と、暗号化コンテンツ蓄積実行手段と、要件拡張属性レンジ情報暗号化手段と、暗号化要件拡張属性レンジ情報蓄積実行手段と、を備える構成とした。
【0014】
かかる構成によれば、コンテンツ蓄積装置は、コンテンツ暗号化手段によって、コンテンツを暗号化する際に参照するセキュリティの強度に関して規定する要件拡張属性レンジ情報に基づいて、コンテンツを暗号化する。なお、要件拡張属性レンジ情報は、メタ情報(メタデータ)の1種である。続いて、コンテンツ蓄積装置は、暗号化コンテンツ蓄積実行手段によって、コンテンツ暗号化手段で暗号化された暗号化コンテンツを、記録媒体の予め指定されているコンテンツ区画に蓄積する。
【0015】
そして、コンテンツ蓄積装置は、要件拡張属性レンジ情報暗号化手段によって、要件拡張属性レンジ情報を、予め規定されているファイルシステム識別情報に基づいて、暗号化する。ファイルシステム識別情報は、様々なファイルシステムを識別するファイルシステムIDのことである。そしてまた、コンテンツ蓄積装置は、暗号化要件拡張属性レンジ情報蓄積実行手段によって、要件拡張属性レンジ情報暗号化手段で暗号化された暗号化要件拡張属性レンジ情報を、記録媒体の予め規定されているメタ情報区画に蓄積する。
【0016】
つまり、このコンテンツ蓄積装置は、記録媒体の階層構造の中の「ファイルシステムレイヤ」に着目し、当該記録媒体上の論理ボリュームとして、2つの区画(コンテンツ区画、メタ情報区画)を定義し、コンテンツ区画にコンテンツを暗号化した暗号化コンテンツを、メタ情報区画に要件拡張属性レンジ情報を暗号化した要件拡張属性レンジ情報を蓄積している。そして、コンテンツを暗号化する際に要件拡張属性レンジ情報を用いて、さらに、要件拡張属性レンジ情報を暗号化する際にファイルシステムIDを用いることで、アプリケーションによらずに、暗号化要件拡張属性レンジ情報を復号し、暗号化コンテンツを復号でき、記録媒体に記録したデジタルデータを管理することにしている。これによって、コンテンツ蓄積装置では、ファイルシステムにおけるファイルシステムレイヤにてデジタルデータを制御することで、アプリケーションから見れば、当該デジタルデータを論理的に管理することができる。
【0017】
請求項2に記載のコンテンツ蓄積装置は、請求項1に記載のコンテンツ蓄積装置において、前記コンテンツが1つの主コンテンツとこの主コンテンツに従属する1つまたは複数の副コンテンツとからなり、前記要素拡張属性レンジ情報が、当該主コンテンツおよび当該副コンテンツごとに設定されていることを特徴とする。
【0018】
かかる構成によれば、コンテンツ蓄積装置は、1つの主コンテンツとこの主コンテンツに従属する(従属関係にある)1つまたは複数の副コンテンツとからなるコンテンツを、要素拡張属性レンジ情報に基づいて、コンテンツ区画に蓄積する。なお、副コンテンツには、ライセンス、試聴コンテンツ、静止画サムネイル、テキストデータ等が含まれている。
【0019】
請求項3に記載のコンテンツ再生装置は、コンテンツを記録媒体から読み出して再生するコンテンツ再生装置において、暗号化要件拡張属性レンジ情報読出手段と、暗号化要件拡張属性レンジ情報復号手段と、暗号化コンテンツ読出手段と、暗号化コンテンツ復号手段と、を備える構成とした。
【0020】
かかる構成によれば、コンテンツ再生装置は、暗号化要件拡張属性レンジ情報読出手段によって、記録媒体の予め規定されているメタ情報区画から、コンテンツを暗号化する際に参照するセキュリティの強度に関して規定する要件拡張属性レンジ情報が暗号化された暗号化要件拡張属性レンジ情報を読み出す。続いて、コンテンツ再生装置は、暗号化要件拡張属性レンジ情報復号手段によって、暗号化要件拡張属性レンジ情報読出手段で読み出された暗号化要件拡張属性レンジ情報を、予め規定されているファイルシステム識別情報に基づいて、復号する。
【0021】
そして、コンテンツ再生装置は、暗号化コンテンツ読出手段によって、記録媒体の予め規定されているコンテンツ区画から、コンテンツが暗号化された暗号化コンテンツを読み出す。そしてまた、コンテンツ再生装置は、暗号化コンテンツ復号手段によって、暗号化コンテンツ読出手段で読み出された暗号コンテンツを、暗号化要件拡張属性レンジ情報復号手段で復号された要件拡張属性レンジ情報に基づいて復号する。
【0022】
請求項4に記載のコンテンツ再生装置は、請求項3に記載のコンテンツ再生装置において、前記コンテンツが1つの主コンテンツとこの主コンテンツに従属する1つまたは複数の副コンテンツとからなり、前記要素拡張属性レンジ情報が、当該主コンテンツおよび当該副コンテンツごとに設定されていることを特徴とする。
【0023】
かかる構成によれば、コンテンツ再生装置は、1つの主コンテンツとこの主コンテンツに従属する(従属関係にある)1つまたは複数の副コンテンツとからなるコンテンツが暗号化された暗号化コンテンツを、コンテンツ区画から読み出して復号する。
【0024】
請求項5に記載のコンテンツ蓄積プログラムは、コンテンツを記録媒体に蓄積するために、コンピュータを、コンテンツ暗号化手段、暗号化コンテンツ蓄積実行手段、要件拡張属性レンジ情報暗号化手段、暗号化要件拡張属性レンジ情報蓄積実行手段、として機能させる構成とした。
【0025】
かかる構成によれば、コンテンツ蓄積プログラムは、コンテンツ暗号化手段によって、コンテンツを暗号化する際に参照するセキュリティの強度に関して規定する要件拡張属性レンジ情報に基づいて、コンテンツを暗号化し、暗号化コンテンツ蓄積実行手段によって、コンテンツ暗号化手段で暗号化された暗号化コンテンツを、記録媒体の予め指定されているコンテンツ区画に蓄積する。
【0026】
そして、コンテンツ蓄積プログラムは、要件拡張属性レンジ情報暗号化手段によって、要件拡張属性レンジ情報を、予め規定されているファイルシステム識別情報に基づいて、暗号化し、暗号化要件拡張属性レンジ情報蓄積実行手段によって、要件拡張属性レンジ情報暗号化手段で暗号化された暗号化要件拡張属性レンジ情報を、記録媒体の予め規定されているメタ情報区画に蓄積する。
【0027】
請求項6に記載のコンテンツ再生プログラムは、コンテンツを記録媒体から読み出して再生するために、コンピュータを、暗号化要件拡張属性レンジ情報読出手段、暗号化要件拡張属性レンジ情報復号手段、暗号化コンテンツ読出手段、暗号化コンテンツ復号手段、として機能させる構成とした。
【0028】
かかる構成によれば、コンテンツ再生プログラムは、暗号化要件拡張属性レンジ情報読出手段によって、記録媒体の予め規定されているメタ情報区画から、コンテンツを暗号化する際に参照するセキュリティの強度に関して規定する要件拡張属性レンジ情報が暗号化された暗号化要件拡張属性レンジ情報を読み出し、暗号化要件拡張属性レンジ情報復号手段によって、暗号化要件拡張属性レンジ情報読出手段で読み出された暗号化要件拡張属性レンジ情報を、予め規定されているファイルシステム識別情報に基づいて、復号する。
【0029】
そして、コンテンツ再生プログラムは、暗号化コンテンツ読出手段によって、記録媒体の予め規定されているコンテンツ区画から、コンテンツが暗号化された暗号化コンテンツを読み出し、暗号化コンテンツ復号手段によって、暗号化コンテンツ読出手段で読み出された暗号コンテンツを、暗号化要件拡張属性レンジ情報復号手段で復号された要件拡張属性レンジ情報に基づいて復号する。
【発明の効果】
【0030】
請求項1、5に記載の発明は、要件拡張属性レンジ情報およびファイルシステム識別情報(ファイルシステムID)を用いることで、記録媒体の「ファイルシステムレイヤ」に着目し、要件拡張属性レンジ情報に基づいて暗号化した暗号化コンテンツを、コンテンツ区画に蓄積させ、ファイルシステム識別情報に基づいて暗号化した暗号化要件拡張属性レンジ情報を、メタ情報区画に蓄積させる。これによって、コンテンツ(デジタルデータ)の再生の可否がアプリケーションに依存することを無くすことができる。
【0031】
請求項2に記載の発明によれば、主コンテンツおよび副コンテンツからなるコンテンツ(デジタルデータ)を1つのファイルとして取り扱うファイルシステムにおいて、主コンテンツおよび副コンテンツ(各ファイル)の再生条件(許諾条件)が異なる複数のファイルを1つのファイル群、すなわち、一連のコンテンツとして、コンテンツ区画に蓄積することができる。
【0032】
請求項3、6に記載の発明は、メタ情報区画に蓄積されている暗号化要件拡張レンジ情報を読み出して復号し、コンテンツ区画に蓄積されている暗号化コンテンツを読み出して復号しており、これらメタ情報区画やコンテンツ区画が記録媒体の「ファイルシステムレイヤ」に存在しているので、コンテンツ(デジタルデータ)の再生の可否がアプリケーションに依存することを無くすことができる。
【0033】
請求項4に記載の発明によれば、主コンテンツおよび副コンテンツからなるコンテンツ(デジタルデータ)を1つのファイルとして取り扱うファイルシステムにおいて、主コンテンツおよび副コンテンツ(各ファイル)の再生条件(許諾条件)が異なる複数のファイルを1つのファイル群、すなわち、一連のコンテンツとして、再生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
次に、本発明の実施形態について、適宜、図面を参照しながら詳細に説明する。
(コンテンツ蓄積再生装置の構成)
図1はコンテンツ蓄積再生装置のブロック図である。この図1に示すように、コンテンツ蓄積再生装置1は、入力されたコンテンツを蓄積および再生(出力)するもので、コンテンツ入力手段3と、コンテンツ暗号化手段5と、暗号化コンテンツ蓄積実行手段7と、要件拡張属性レンジ情報暗号化手段9と、暗号化要件拡張属性レンジ情報蓄積実行手段11と、記録媒体13と、暗号化要件拡張属性レンジ情報読出手段15と、暗号化要件拡張属性レンジ情報復号手段17と、暗号化コンテンツ読出手段19と、暗号化コンテンツ復号手段21と、コンテンツ出力手段23とを備えている。
【0035】
コンテンツ入力手段3は、入力されたコンテンツを受け取る(受信する)インターフェースの役割をするものである。このコンテンツ入力手段3に入力されるコンテンツは、1つの主コンテンツと、1つまたは複数の副コンテンツとからなるものであり、さらに、当該コンテンツには、要件拡張属性レンジ情報が付加されている。
【0036】
なお、このコンテンツ入力手段3では、当該コンテンツを物理的なデータとしてどのように取り扱うのかを設定するファイルエントリ情報が生成される。このファイルエントリ情報は、コンテンツを構成する主コンテンツおよび副コンテンツのそれぞれに生成される。さらに、主コンテンツと副コンテンツとの関係を示すディレクトリである副コンテンツディレクトリが作成(定義)され、この副コンテンツディレクトリに、主コンテンツおよび副コンテンツの要件拡張属性レンジ情報を配置する(対応付ける)ためのデータ秘匿ストリームを作成する。すなわち、データ秘匿ストリームでは、主コンテンツおよび副コンテンツの名前と、セキュリティロバストネスレンジとが対応付けられている。
【0037】
主コンテンツは、コンテンツの本体となるもので、例えば、コンテンツが放送番組である場合、当該放送番組の映像(動画ファイル)や音声(音声ファイル)が該当する。また、副コンテンツは、コンテンツに付随するもので、例えば、コンテンツがネットワークを介して放送される番組である場合、ライセンス(視聴条件を記したもの)、試聴コンテンツ(試聴用の動画ファイル)、静止画サムネイル等が該当する。
【0038】
要件拡張属性レンジ情報は、コンテンツ(主コンテンツ、副コンテンツ)の暗号化の仕方を規定したメタデータの一種であり、主コンテンツおよび副コンテンツごとに、セキュリティの強度である基本レンジ(セキュリティロバストネスレンジ)が記述されたものである。なお、基本レンジ(セキュリティロバストネスレンジ)は、コンテンツを構成する主コンテンツおよび副コンテンツのセキュリティ情報といえるものである。
【0039】
そして、この要件拡張属性レンジ情報に従ってデータ秘匿ストリームがコンテンツ入力手段3において作成されている。なお、データ秘匿ストリーム、セキュリティロバストネスレンジの具体的な例は後記する。
【0040】
そして、このコンテンツ入力手段3は、入力されたコンテンツと、このコンテンツに付加されている要件拡張属性レンジ情報とを分離し、コンテンツをコンテンツ暗号化手段5に、要件拡張属性レンジ情報をコンテンツ暗号化手段5および要件拡張属性レンジ情報暗号化手段9に出力する。
【0041】
コンテンツ暗号化手段5は、コンテンツ(主コンテンツ、副コンテンツ)を、要件拡張属性レンジ情報に基づいて暗号化するものである。つまり、主コンテンツおよび副コンテンツでは、要件拡張属性レンジ情報で記述されているセキュリティ強度にあわせて暗号化が施される。なお、このコンテンツ暗号化手段5で施される暗号化処理は、一般的なものである。また、主コンテンツを暗号化したものを暗号化主コンテンツと、副コンテンツを暗号化したものを暗号化副コンテンツとする。
【0042】
暗号化コンテンツ蓄積実行手段7は、コンテンツ暗号化手段5で暗号化されたコンテンツ(暗号化コンテンツ)を、記録媒体13に蓄積するものである。この暗号化コンテンツ蓄積実行手段7は、記録媒体13の論理ボリュームに作成された2つの区画(コンテンツ区画とメタ情報区画)のうち、一方のコンテンツ区画に、暗号化コンテンツを蓄積する。
【0043】
要件拡張属性レンジ情報暗号化手段9は、コンテンツ入力手段3で分離された要件拡張属性レンジ情報を、記録媒体13のファイルシステムレイヤにおいて予め規定されているファイルシステムID(ファイルシステム情報)を用いて暗号化するものである。
【0044】
なお、このファイルシステムIDを用いる場合には、後記する当該装置1を用いたコンテンツ配信システムにおいて、当該装置1をホームサーバとして活用した場合に挿入されるCAS(Conditional Access System)カードによる制約を受けるように構成されている。つまり、ホームサーバ(コンテンツ蓄積再生装置1)またはこのホームサーバに接続されたストレージ(外部記録装置)若しくはリムーバブルメディア(DVD等)にコンテンツを蓄積した後、再生する場合、蓄積時に挿入されたCASカードを用いなければ、再生することができないように構成されている。
【0045】
暗号化要件拡張属性レンジ情報蓄積実行手段11は、要件拡張属性レンジ情報暗号化手段9で暗号化された暗号化要件拡張属性レンジ情報を、記録媒体13に蓄積するものである。この暗号化要件拡張属性レンジ情報蓄積実行手段11は、記録媒体13の論理ボリュームに作成された2つの区画(コンテンツ区画とメタ情報区画)のうち、他方のメタ情報区画に、暗号化要件拡張属性レンジ情報を蓄積する。
【0046】
記録媒体13は、暗号化コンテンツ蓄積実行手段7から出力された暗号化コンテンツ(暗号化主コンテンツ、暗号化副コンテンツ)をコンテンツ区画に、暗号化要件拡張属性レンジ情報蓄積実行手段11から出力された暗号化要件拡張属性レンジ情報をメタ情報区画に蓄積するもので、一般的なハードディスク(HDD)や光ディスク(DVD等)のリムーバブルメディアによって構成されている。
【0047】
この記録媒体13では、当該装置1に設置または挿入された時点で、論理ボリュームを構成するコンテンツ区画とメタ情報区画とが作成されている(フォーマットされている)。そして、これらコンテンツ区画およびメタ情報区画は、記録媒体13上において、区画記述子によって定義されている。
【0048】
暗号化要件拡張属性レンジ情報読出手段15は、記録媒体13のメタ情報区画に蓄積されている暗号化要件拡張属性レンジ情報を読み出すものである。この暗号化要件拡張属性レンジ情報読出手段15により、暗号化要件拡張属性レンジ情報の読み出しが失敗した場合、例えば、記録媒体13の異常等により、当該装置1に接続される表示装置(図示せず)にエラー応答がなされる。
【0049】
暗号化要件拡張属性レンジ情報復号手段17は、暗号化要件拡張属性レンジ情報読出手段15で読み出された暗号化要件拡張属性レンジ情報を、ファイルシステムID(ファイルシステム情報)を用いて復号するものである。そして、この暗号化要件拡張属性レンジ情報復号手段17で暗号化要件拡張属性レンジ情報が復号された要件拡張属性レンジ情報は、暗号化コンテンツ復号手段21に出力される。
【0050】
暗号化コンテンツ読出手段19は、記録媒体13のコンテンツ区画に蓄積されている暗号化コンテンツ(暗号化主コンテンツ、暗号化副コンテンツ)を読み出すものである。この暗号化コンテンツ読出手段19により、暗号化コンテンツの読み出しが失敗した場合、例えば、記録媒体13の異常等により、当該装置1に接続される表示装置(図示せず)にエラー応答がなされる。
【0051】
暗号化コンテンツ復号手段21は、暗号化コンテンツ読出手段19で読み出された暗号化コンテンツを、要件拡張属性レンジ情報に基づいて、復号するものである。この暗号化コンテンツ復号手段21では、場合によって、例えば、暗号化主コンテンツを復号する際にライセンスが必要であり、このライセンスが暗号化副コンテンツとして暗号化されている場合、当該暗号化副コンテンツを復号後、暗号化主コンテンツが復号される。
【0052】
コンテンツ出力手段23は、暗号化コンテンツ復号手段21で暗号化コンテンツが復号されたコンテンツを、当該装置1に接続される表示装置(図示せず)に出力するものである。
【0053】
このようにコンテンツ蓄積再生装置1では、入力されたコンテンツを記録媒体13に蓄積し、当該記録媒体13から読み出して再生を行うことができる。なお、この記録媒体13のコンテンツ区画とメタ情報区画との定義(フォーマット)は、UDF(Universal Disk Format)をベースにしている。ただし、このUDFに限定されず、同等の区画区分を定義できるものであればよい。そして、コンテンツ蓄積再生装置1では、このような定義(フォーマット)をすることによって、コンテンツに含まれている主コンテンツおよび副コンテンツごとにセキュリティ強度を指定して、当該コンテンツを蓄積(保存)している。
【0054】
コンテンツ蓄積再生装置1によれば、要件拡張属性レンジ情報およびファイルシステムID(ファイルシステム識別情報)を用いることで、記録媒体13の「ファイルシステムレイヤ」に着目し、コンテンツ暗号化手段5により要件拡張属性レンジ情報に基づいて暗号化した暗号化コンテンツを、暗号化コンテンツ蓄積実行手段7によりコンテンツ区画に蓄積し、要件拡張属性レンジ情報暗号化手段9によりファイルシステムIDに基づいて暗号化した暗号化要件拡張属性レンジ情報を、暗号化要件拡張属性レンジ情報蓄積実行手段11によりメタ情報区画に蓄積する。これによって、コンテンツ(デジタルデータ)の再生の可否がアプリケーションに依存することを無くすことができる。
【0055】
また、コンテンツ蓄積再生装置1によれば、主コンテンツおよび副コンテンツの再生条件(許諾条件)が異なる複数のファイルを1つのファイル群、すなわち、一連のコンテンツとして、記録媒体13のコンテンツ区画に蓄積することができる。
【0056】
さらに、コンテンツ蓄積再生装置1によれば、暗号化要件拡張属性レンジ情報読出手段15により記録媒体13のメタ情報区画に蓄積されている暗号化要件拡張レンジ情報を読み出して暗号化要件拡張属性レンジ情報復号手段17により復号し、暗号化コンテンツ読出手段19により記録媒体13のコンテンツ区画に蓄積されている暗号化コンテンツを読み出して暗号化コンテンツ復号手段21により復号しており、これらメタ情報区画やコンテンツ区画が記録媒体13の「ファイルシステムレイヤ」に存在しているので、コンテンツ(デジタルデータ)の再生の可否がアプリケーションに依存することを無くすことができる。
【0057】
さらにまた、コンテンツ蓄積再生装置1によれば、主コンテンツおよび副コンテンツ(各ファイル)の再生条件(許諾条件)が異なる複数のファイルを1つのファイル群、すなわち、一連のコンテンツとして、再生することができる。
【0058】
(記録媒体の論理ボリューム、データ秘匿ストリーム、セキュリティロバストネスレンジの具体的な例について)
次に、図2〜図4を参照して、記録媒体の論理ボリュームの概略、データ秘匿ストリームの概略、セキュリティロバストネスレンジの具体的な例について説明する(適宜、図1参照)。図2は、記録媒体上の定義および記録状態の概略を示した図である。図3は、データ秘匿ストリームの概略を示した図である。図4は、セキュリティロバストネスレンジの具体的な例を示した図である。
【0059】
[記録媒体の論理ボリューム]
図2に示すように、記録媒体13は、当該媒体13上に論理ボリュームを有しており、この論理ボリュームにはファイルシステムレイヤにおいて区画記述子によりコンテンツ区画とメタ情報区画とが定義されている。
【0060】
そして、コンテンツ蓄積再生装置1に、コンテンツ(主コンテンツ、副コンテンツa、副コンテンツb、副コンテンツc)が入力された場合、コンテンツ入力手段3により要件拡張属性レンジ情報に基づいて、ファイルエントリ情報であるファイルエントリA、さらに、副コンテンツディレクトリが作成され、図2に示したように、記録媒体13のコンテンツ区画に蓄積される。そして、コンテンツ入力手段3により要件拡張属性レンジ情報に基づいて、データ秘匿ストリームが作成され、図2に示したように、コンテンツ区画の副コンテンツディレクトリと対応付けられた、記録媒体13のメタ情報区画に蓄積される。
【0061】
そして、記録媒体13には、コンテンツ区画のファイルエントリAの下(ツリー構造上)に主コンテンツ(正確には暗号化主コンテンツ)が蓄積されている。また、記録媒体13には、コンテンツ区画の副コンテンツディレクトリの下に、副コンテンツa(ライセンス)のファイルエントリ情報であるファイルエントリa、副コンテンツb(静止画サムネイル)のファイルエントリ情報であるファイルエントリb、副コンテンツc(試聴コンテンツ)のファイルエントリ情報であるファイルエントリcが作成され、これらファイルエントリa〜cの下に副コンテンツ(正確には暗号化副コンテンツ)a〜cがそれぞれ蓄積されている。
【0062】
[データ秘匿ストリーム]
図3に示すように、データ秘匿ストリームは、主コンテンツおよび副コンテンツa〜cとセキュリティロバストネスレンジとを対応付けたものである。このデータ秘匿ストリームでは、主コンテンツとセキュリティロバストネスレンジ“3”とが対応付けられており、副コンテンツa(ライセンス)とセキュリティロバストネスレンジ“4”とが対応付けられており、副コンテンツb(静止画サムネイル)とセキュリティロバストネスレンジ“3”とが対応付けられており、副コンテンツc(試聴コンテンツ)とセキュリティロバストネスレンジ“0”とが対応付けられている。
【0063】
これらのセキュリティロバストネスレンジ“3”、“4”、“0”を簡単に説明すると(詳細は次の図4で説明する)、セキュリティロバストネスレンジ“3”は、セキュリティ強度が「3」であることを示しており、記録媒体13を識別するメディアIDを使用して暗号化することを規定している。また、セキュリティロバストネスレンジ“4”は、セキュリティ強度が「4」(ここでは最大値)であることを示しており、ファイルシステムIDを使用して暗号化することを規定している。さらに、セキュリティロバストネスレンジ“0”は、セキュリティ強度が「0」(ここでは最小値)であることを示しており、暗号化しないことを規定している。
【0064】
[セキュリティロバストネスレンジ]
図4に示すように、セキュリティロバストネスレンジは、「0」から「4」までのセキュリティ強度を示す「レンジ」の他に、「保護方法」、「保護内容」、「脅威」、「用途」の4つの項目が規定されている。
【0065】
「保護方法」は、暗号化の有無、暗号化する場合に用いる暗号鍵を規定した項目である。「保護内容」は、不正閲覧の防止や不正コピーの防止など保護する内容を規定した項目である。「脅威」は、どのような不正行為によって、セキュリティが破られるかを規定した項目である。「用途」は、主コンテンツや副コンテンツに対してどのように用いるかを規定した項目である。なお、この図4において、「FS」とはファイルシステムの略であり、「ハック」とはハッキングの略を指している。
【0066】
これら図2から図4に示したように、コンテンツ蓄積再生装置1では、予め、セキュリティロバストネスレンジごとのセキュリティ強度を設定し、記録媒体13の論理ボリュームにコンテンツ区画とメタ情報区画を作成しておいて、要件拡張属性レンジ情報が付加されたコンテンツが入力された場合に、当該要件拡張属性レンジ情報に基づいて、主コンテンツおよび副コンテンツとセキュリティロバストネスレンジとを対応付けたデータ秘匿ストリームを作成してから、暗号化し蓄積している。
【0067】
(コンテンツ蓄積再生装置の動作)
次に、図5および図6を参照して、コンテンツ蓄積再生装置1の蓄積動作、再生動作を説明する(適宜、図1参照)。図5はコンテンツ蓄積再生装置の蓄積動作を説明したフローチャートであり、図6はコンテンツ蓄積再生装置の再生動作(出力動作)を説明したフローチャートである。
【0068】
[蓄積動作]
図5に示したように、まず、コンテンツ蓄積再生装置1は、コンテンツ入力手段3によって、要件拡張属性レンジ情報が付加されたコンテンツ(主コンテンツ、副コンテンツ)を受信し、要件拡張属性レンジ情報に基づいて、ファイルエントリ情報を作成し、副コンテンツディレクトリを作成し、データ秘匿ストリームを作成し(ステップS1)、コンテンツと要件拡張属性レンジ情報とを分離して出力する。
【0069】
続いて、コンテンツ蓄積再生装置1は、コンテンツ暗号化手段5によって、要件拡張属性レンジ情報に基づいて、コンテンツ(主コンテンツ、副コンテンツ)を暗号化し(ステップS2)、暗号化コンテンツ蓄積実行手段7によって、暗号化コンテンツ(暗号化主コンテンツ、暗号化副コンテンツ)を、記録媒体13のコンテンツ区画に蓄積する(ステップS3)。
【0070】
そして、コンテンツ蓄積再生装置1は、要件拡張属性レンジ情報暗号化手段9によって、ファイルシステムIDを用いて、要件拡張属性レンジ情報を暗号化し(ステップS4)、暗号化要件拡張属性レンジ情報蓄積実行手段11によって、暗号化要件拡張属性レンジ情報を、記録媒体13のメタ情報区画に蓄積する(ステップS5)。
【0071】
[再生動作]
図6に示したように、まず、コンテンツ蓄積再生装置1は、暗号化要件拡張属性レンジ情報読出手段15によって、記録媒体13のメタ情報区画に蓄積されている暗号化要件拡張属性レンジ情報を読み出して(ステップS11)、暗号化要件拡張属性レンジ情報復号手段17によって、暗号化要件拡張属性レンジ情報を、ファイルシステムIDを用いて復号し(ステップS12)、復号した要件拡張属性レンジ情報を暗号化コンテンツ復号手段21に出力する。
【0072】
そして、コンテンツ蓄積再生装置1は、暗号化コンテンツ読出手段19によって、記録媒体のコンテンツ区画に蓄積されている暗号化コンテンツを読み出して(ステップS13)、暗号化コンテンツ復号手段21によって、暗号化コンテンツを、要件拡張属性レンジ情報に基づいて復号し(ステップS14)、コンテンツ出力手段23から出力する。
【0073】
(コンテンツ蓄積再生装置を用いたコンテンツ配信システム)
次に、図7を参照して、コンテンツ蓄積再生装置1を、ホームサーバとして用いたコンテンツ配信システムについて説明する(適宜、図1参照)。図7はコンテンツ配信システムの概略図である。
【0074】
図7に示すように、コンテンツ配信システムSは、ネットワークを利用して、各家庭(ここでは、家庭A、家庭Bのみ記載)にコンテンツ(以下、番組コンテンツともいう)の配信を行うものであり、配信側(放送局)と受信側(家庭)とに大別することができる。配信側には、ネットワーク上にコンテンツを配信する放送局サーバ2と、この放送局サーバ2に接続される多数のコンテンツが蓄積されたコンテンツDB4とが備えられている。受信側にはホームサーバ1(1A,1B)と、視聴装置6(6A,6B)と、CASカード8(8A,8B)と、ストレージ10(10A,10B)と、リムーバブルメディア12(12A,12B)とが備えられている。
【0075】
このコンテンツ配信システムSにおいて、コンテンツ蓄積再生装置1を、CASカードを挿入するホームサーバ1(1A,1B)として用いている。また、記録媒体13の代わりとして、外部記録装置であり固定のストレージ10(10A,10B)と、可搬のリムーバブルメディア12(12A,12B)とを用いている。
【0076】
このコンテンツ配信システムSでは、配信側の放送局サーバ2から、予め編成した配信スケジュールに従ってコンテンツを配信する、または、受信側の家庭A,Bからの要求に従ってコンテンツを個別に配信する。そうすると、家庭A,Bでは、配信されたコンテンツを受信し、ホームサーバ1(1A,1B)を介して、ストレージ10(10A,10B)またはリムーバブルメディア12(12A,12B)にコンテンツを蓄積する。
【0077】
なお、受信側の家庭A,Bからの要求には、配信可能なコンテンツの一覧(番組表)の配信を要求する番組表リクエスト、試聴可能なコンテンツである試視聴コンテンツの配信を要求する試視聴コンテンツリクエスト、所望のコンテンツの配信を要求する番組コンテンツリクエスト、ライセンスの配信を要求する視聴ライセンスリクエストが挙げられる。
【0078】
その後、家庭A,Bでは、ホームサーバ1(1A,1B)を介して、視聴装置6(6A,6B)によって、蓄積したコンテンツを視聴する。なお、リムーバブルメディア12A(12A,12B)に蓄積したコンテンツは、別のホームサーバに接続される視聴装置に、蓄積した際に挿入されていたCASカード8(8A,8B)を挿入すれば、当該別のホームサーバに接続される視聴装置で視聴することができる。つまり、このホームサーバ1(1A,1B)では、蓄積した際に挿入されていたCASカード8(8A,8B)を用いることで、暗号化要件拡張属性レンジ情報を復号する際に用いるファイルシステムIDが利用できるように構成されている。
【0079】
なお、このコンテンツ配信システムSによって配信されるコンテンツを視聴するためには、配信側(放送局)からコンテンツの視聴権、いわゆるライセンスを予め取得するか、当該コンテンツを購入する必要がある。また、コンテンツが主コンテンツと副コンテンツとから構成されており、副コンテンツに静止画サムネイル(単に、サムネイルともいう)や試聴コンテンツが含まれている場合には、例えば、これらのセキュリティロバストネスレンジを「0」(暗号化なし)にしておくことで、参照してから購入することも可能である。
【0080】
ここで、このコンテンツ配信システムSで配信するコンテンツのファイル構造を図8に示す。図8に示したように、コンテンツは、主ファイルである「Program Information File」でまとめられたファイル構造をしており、この中に、主コンテンツである「MAIN TS」、副コンテンツである「Sample TS」、「Thumbnail」、「Text」、「License」、「Data Privacy」が収められている。
【0081】
「MAIN TS」はコンテンツの本体であり、「Sample TS」は試聴コンテンツ(以下、試視聴コンテンツともいう)であり、「Thumbnail」はコンテンツの1つ場面を静止画で取り出した静止画サムネイル(以下、単にサムネイルともいう)である。また、「Text」は付随するテキストデータであり、「License」は視聴権(ライセンス)であり、「Data Privacy」は各コンテンツに付加されている要件拡張属性レンジ情報である。
【0082】
そして、このコンテンツ配信システムSでは、コンテンツの蓄積場所によって、或いはコンテンツの視聴権を取得したか否かまたはコンテンツを購入したか否かによって、要件拡張属性レンジ情報に基づいて作成される、データ秘匿ストリームのセキュリティロバストネスレンジが異なるように設定されている。ここで作成されたデータ秘匿ストリーム(ここでは、各コンテンツのレンジ情報という)を図9に示す。なお、この各コンテンツのレンジ情報における各数値は、図4で示したものと同様である。
【0083】
図9では、蓄積場所がホームサーバ1(1A,1B)に接続されるストレージ10(10A,10B)の場合と、リムーバブルメディア12(12A,12B)の場合とにおけるライセンス状況と各コンテンツのセキュリティロバストネスレンジとの関係を示している。
【0084】
ホームサーバ1(1A,1B)において、“試視聴”される場合、「Program Information File」および「MAIN TS」のセキュリティロバストネスレンジが“0”、「Sample TS」および「Thumbnail」のセキュリティロバストネスレンジが“1”、「Text」のセキュリティロバストネスレンジが“2”となっており、「License」にはセキュリティロバストネスレンジが設定されていない。
【0085】
また、ホームサーバ1(1A,1B)において、“視聴ライセンス取得”される場合、「Program Information File」および「MAIN TS」のセキュリティロバストネスレンジが“0”、「Sample TS」および「Thumbnail」のセキュリティロバストネスレンジが“1”、「Text」および「License」のセキュリティロバストネスレンジが“2”となっている。
【0086】
さらに、ホームサーバ1(1A,1B)において、“コンテンツ購入”される場合、「Program Information File」のセキュリティロバストネスレンジが“0”、「MAIN TS」、「Sample TS」および「Thumbnail」のセキュリティロバストネスレンジが“1”、「Text」のセキュリティロバストネスレンジが“2”となっており、「License」にはセキュリティロバストネスレンジが設定されていない。
【0087】
リムーバブルメディア12(12A,12B)において、“試視聴”される場合、「Program Information File」および「MAIN TS」のセキュリティロバストネスレンジが“0”、「Sample TS」および「Thumbnail」のセキュリティロバストネスレンジが“1”、「Text」のセキュリティロバストネスレンジが“4”となっており、「License」にはセキュリティロバストネスレンジが設定されていない。
【0088】
また、リムーバブルメディア12(12A,12B)において、“視聴ライセンス取得”される場合、「Program Information File」および「MAIN TS」のセキュリティロバストネスレンジが“0”、「Sample TS」および「Thumbnail」のセキュリティロバストネスレンジが“1”、「Text」および「License」のセキュリティロバストネスレンジが“4”となっている。
【0089】
さらに、リムーバブルメディア12(12A,12B)において、“コンテンツ購入”される場合、「Program Information File」のセキュリティロバストネスレンジが“0”、「MAIN TS」、「Sample TS」、「Thumbnail」および「Text」のセキュリティロバストネスレンジが“3”となっており、「License」にはセキュリティロバストネスレンジが設定されていない。
【0090】
(コンテンツ配信システムの全体動作の一例)
次に、図10に示すシーケンシャルチャートを用いて、コンテンツ配信システムSの全体動作の一例について説明する(適宜、図7、図8参照)。
まず、ホームサーバ1Aは、放送局サーバ2に番組表リクエストを行って、放送局サーバ2は、ホームサーバ1Aに番組表を配信する。ここで、ホームサーバ1Aのユーザは、視聴したい番組コンテンツを選択する。
【0091】
そして、ホームサーバ1Aは、放送局サーバ2に試視聴コンテンツリクエストを行って、放送局サーバ2は、ホームサーバ1Aに試視聴コンテンツを配信する。このときに放送局サーバ2からホームサーバ1Aに配信されるものは、「Program Information File」の中の「Sample TS」、「Thumbnail」、「Text」である。そして、ホームサーバ1Aは、これらをストレージ10Aに蓄積し、このときに、「Data Privacy」を作成する。
【0092】
そうすると、ホームサーバ1Aでは、試視聴コンテンツおよび静止画サムネイルの視聴が可能となる(ホームサーバ1Aの試視聴OK、ホームサーバ1AのサムネイルOK)。ここで、ホームサーバ1Aのユーザは、試視聴コンテンツおよび静止画サムネイルを視聴して、番組コンテンツを取得することを決定する。
【0093】
続いて、ホームサーバ1Aは、放送局サーバ2に番組コンテンツリクエストを行って、放送局サーバ2は、番組コンテンツを配信する。このときに放送局サーバ2からホームサーバ1Aに配信されるものは、「Program Information File」の中の「MAIN TS」である。そして、ホームサーバ1Aは、受信した番組コンテンツをストレージ10Aに蓄積する。
【0094】
しかし、ホームサーバ1Aでは、受信した番組コンテンツのライセンスを取得していないので、当該番組コンテンツを視聴することができない(ホームサーバ1Aの視聴NG)。そこで、ホームサーバ1Aは、放送局サーバ2に視聴ライセンスリクエストを行って、放送局サーバ2は、ホームサーバ1Aに視聴ライセンスを配信する。このときに放送局サーバ2からホームサーバ1Aに配信されるものは、「Program Information File」の中の「License」である。そして、ホームサーバ1Aは、受信した視聴ライセンスをストレージ10Aに蓄積する。
【0095】
これによって、ホームサーバ1Aでは、番組コンテンツを視聴することができる(ホームサーバ1Aの視聴OK)。この後、ホームサーバ1Aは、「Program Information File」の記述に従って、リムーバブルメディア12Aに番組コンテンツを移動(蓄積)させても視聴することができる(リムーバブルメディア12Aの視聴OK)。
【0096】
さらに、リムーバブルメディア12Aを、ホームサーバ1Bに挿入すると、ホームサーバ1Bでは、試視聴コンテンツおよび静止画サムネイルの視聴が可能となるが、番組コンテンツがリムーバブルメディア12Aに蓄積された際にホームサーバ1Aに挿入されていたCASカード8Aがホームサーバ1Bに挿入されていないので、CASカードによる制約を受け、番組コンテンツの視聴はできない(ホームサーバ1Bの試視聴OK、ホームサーバ1BのサムネイルOK、ホームサーバ1Bの視聴NG)。
【0097】
そこで、CASカード1Aをホームサーバ1Bに挿入すると、ホームサーバ1Bでは、番組コンテンツを視聴することができる(ホームサーバ1Bの視聴OK)。
【0098】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、本実施形態では、コンテンツ蓄積再生装置1として説明したが、当該装置1の各構成の処理を実現できるように、一般的または特殊なコンピュータ言語で記述したコンテンツ蓄積プログラムおよびコンテンツ再生プログラムとして構成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施形態に係るコンテンツ蓄積再生装置(コンテンツ蓄積装置、コンテンツ再生装置を包含)のブロック図である。
【図2】記録媒体の論理ボリュームの概略を示した図である。
【図3】データ秘匿ストリームの概略を示した図である。
【図4】セキュリティロバストネスレンジの具体的な例について説明した図である。
【図5】図1に示したコンテンツ蓄積再生装置の蓄積動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1に示したコンテンツ蓄積再生装置の再生動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】コンテンツ蓄積再生装置を、ホームサーバとして用いたコンテンツ配信システムの概略を示した図である。
【図8】図7に示したコンテンツ配信システムで配信される番組(コンテンツ)のファイル構造を示した図である。
【図9】図7に示したコンテンツ配信システムで用いられる各コンテンツのレンジ情報(データ秘匿ストリーム)を示した図である。
【図10】図7に示したコンテンツ配信システムの全体動作の一例を示したシーケンスチャートである。
【符号の説明】
【0100】
1 コンテンツ蓄積再生装置
3 コンテンツ入力手段
5 コンテンツ暗号化手段
7 暗号化コンテンツ蓄積実行手段
9 要件拡張属性レンジ情報暗号化手段
11 暗号化要件拡張属性レンジ情報蓄積実行手段
13 記録媒体
15 暗号化要件拡張属性レンジ情報読出手段
17 暗号化要件拡張属性レンジ情報復号手段
19 暗号化コンテンツ読出手段
21 暗号化コンテンツ復号手段
23 コンテンツ出力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを記録媒体に蓄積するコンテンツ蓄積装置において、
前記コンテンツを暗号化する際に参照するセキュリティの強度に関して規定する要件拡張属性レンジ情報に基づいて、前記コンテンツを暗号化するコンテンツ暗号化手段と、
このコンテンツ暗号化手段で暗号化された暗号化コンテンツを、前記記録媒体の予め指定されているコンテンツ区画に蓄積する暗号化コンテンツ蓄積実行手段と、
前記要件拡張属性レンジ情報を、予め規定されているファイルシステム識別情報に基づいて、暗号化する要件拡張属性レンジ情報暗号化手段と、
この要件拡張属性レンジ情報暗号化手段で暗号化された暗号化要件拡張属性レンジ情報を、前記記録媒体の予め規定されているメタ情報区画に蓄積する暗号化要件拡張属性レンジ情報蓄積実行手段と、
を備えることを特徴とするコンテンツ蓄積装置。
【請求項2】
前記コンテンツが1つの主コンテンツとこの主コンテンツに従属する1つまたは複数の副コンテンツとからなり、前記要件拡張属性レンジ情報が、当該主コンテンツおよび当該副コンテンツごとに設定されていることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ蓄積装置。
【請求項3】
コンテンツを記録媒体から読み出して再生するコンテンツ再生装置において、
前記記録媒体の予め規定されているメタ情報区画から、前記コンテンツを暗号化する際に参照するセキュリティの強度に関して規定する要件拡張属性レンジ情報が暗号化された暗号化要件拡張属性レンジ情報を読み出す暗号化要件拡張属性レンジ情報読出手段と、
この暗号化要件拡張属性レンジ情報読出手段で読み出された暗号化要件拡張属性レンジ情報を、予め規定されているファイルシステム識別情報に基づいて、復号する暗号化要件拡張属性レンジ情報復号手段と、
前記記録媒体の予め規定されているコンテンツ区画から、前記コンテンツが暗号化された暗号化コンテンツを読み出す暗号化コンテンツ読出手段と、
この暗号化コンテンツ読出手段で読み出された暗号化コンテンツを、前記暗号化要件拡張属性レンジ情報復号手段で復号された要件拡張属性レンジ情報に基づいて復号する暗号化コンテンツ復号手段と、
を備えることを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項4】
前記コンテンツが1つの主コンテンツとこの主コンテンツに従属する1つまたは複数の副コンテンツとからなり、前記要件拡張属性レンジ情報が、当該主コンテンツおよび当該副コンテンツごとに設定されていることを特徴とする請求項3に記載のコンテンツ再生装置。
【請求項5】
コンテンツを記録媒体に蓄積するために、コンピュータを、
前記コンテンツを暗号化する際に参照するセキュリティの強度に関して規定する要件拡張属性レンジ情報に基づいて、前記コンテンツを暗号化するコンテンツ暗号化手段、
このコンテンツ暗号化手段で暗号化された暗号化コンテンツを、前記記録媒体の予め指定されているコンテンツ区画に蓄積する暗号化コンテンツ蓄積実行手段、
前記要件拡張属性レンジ情報を、予め規定されているファイルシステム識別情報に基づいて、暗号化する要件拡張属性レンジ情報暗号化手段、
この要件拡張属性レンジ情報暗号化手段で暗号化された暗号化要件拡張属性レンジ情報を、前記記録媒体の予め規定されているメタ情報区画に蓄積する暗号化要件拡張属性レンジ情報蓄積実行手段、
として機能させることを特徴とするコンテンツ蓄積プログラム。
【請求項6】
コンテンツを記録媒体から読み出して再生するために、コンピュータを、
前記記録媒体の予め規定されているメタ情報区画から、前記コンテンツを暗号化する際に参照するセキュリティの強度に関して規定する要件拡張属性レンジ情報が暗号化された暗号化要件拡張属性レンジ情報を読み出す暗号化要件拡張属性レンジ情報読出手段、
この暗号化要件拡張属性レンジ情報読出手段で読み出された暗号化要件拡張属性レンジ情報を、予め規定されているファイルシステム識別情報に基づいて、復号する暗号化要件拡張属性レンジ情報復号手段、
前記記録媒体の予め規定されているコンテンツ区画から、前記コンテンツが暗号化された暗号化コンテンツを読み出す暗号化コンテンツ読出手段、
この暗号化コンテンツ読出手段で読み出された暗号化コンテンツを、前記暗号化要件拡張属性レンジ情報復号手段で復号された要件拡張属性レンジ情報に基づいて復号する暗号化コンテンツ復号手段、
として機能させることを特徴とするコンテンツ再生プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−188429(P2007−188429A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−7719(P2006−7719)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【出願人】(505327619)株式会社富士通ソフトウェアテクノロジーズ (1)
【Fターム(参考)】