説明

コンテンツ配信システム

【課題】インターネット等のネットワークと接続するのが困難な場所であっても、コンテンツ配信を行うことを可能とする。
【解決手段】コンテンツを供給するコンテンツサーバ3と、コンテンツを中継する複数のコンテンツ中継サーバ4a,6aと、中継されたコンテンツを再生する複数の携帯端末5(5a〜5n)と、複数のネットワーク1,2a,2bと、を備える。第1の無線ネットワーク2aに接続されている携帯端末5が、1次中継サーバ4aから配信されるコンテンツを受信する。その携帯端末5が移動して第1の無線ネットワーク2aとの接続が切断され、第2の無線ネットワーク2bに接続される。携帯端末5は、2次中継サーバ6aに対し保有するコンテンツを2次中継サーバ6aに送信する。2次中継サーバ6aは、携帯端末5から送信されたコンテンツを記憶装置7に記憶した後、無線ネットワーク2b上の各携帯端末5に対して配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテキストデータ、音声データ、動画像データなどのコンテンツを、無線ネットワークを介して複数の端末へ配信するコンテンツ配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ホットスポットと呼ばれる、駅などに設置された公衆無線LANアクセスポイントを介して、テキストデータ、音声データ、動画像データなどのコンテンツをユーザの持つ携帯端末に配信するコンテンツ配信が行われている。
【0003】
上記コンテンツ配信を実現する従来技術としては、特許文献1に記載の技術がある。
図9は、特許文献1の技術を用いたコンテンツ配信システムの構成図である。図9において、1はインタ−ネット等の広域ネットワーク、2aは無線LAN、Bluetooth等の第1の無線ネットワーク、3はテキストデータ、音声データ、動画像データなどのコンテンツを供給するコンテンツサーバ、4aはコンテンツサーバ3から供給されるコンテンツを第1の無線ネットワーク2aに接続された機器へ配信する1次中継サーバ、5a〜5nは第1の無線ネットワーク2aを介してコンテンツを受信し、再生する携帯端末である。
【0004】
上記図9のコンテンツ配信システムの動作について、図10を用いて説明する。まずコンテンツサーバ3に蓄積されたコンテンツが広域ネットワーク1を介して1次中継サーバ4aへ送信される(ステップS41)。そしてコンテンツを受信した1次中継サーバ4aは、第1の無線ネットワーク2aに接続された機器に対して当該コンテンツを配信する(ステップS42)。1次中継サーバ4aを介して配信されるコンテンツを、ユーザは携帯端末5(5a〜5n)を用いて再生する(ステップS43)。なお、携帯端末5は配信されるコンテンツを全て受信した後に、再生(ダウンロード再生)する構成でも良いし、コンテンツを受信しながら、順次再生(ストリーミング再生)する構成であっても構わない。
以上説明したように、特許文献1のコンテンツ配信システムを用いることで、例えば駅などに設置されたホットスポットにおけるコンテンツ配信が実現される。
【特許文献1】特開2004−54792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら前述のコンテンツ配信システムでは、例えば駅構内に設置されたホットスポットではコンテンツ配信を行うことが可能であるが、コンテンツサーバと中継サーバ間がネットワーク接続されている必要があるため、インターネット等のネットワークと接続するのが困難な場所、例えば移動中の電車内等に中継サーバを設置してコンテンツ配信を行うことが困難であった。
【0006】
本発明は上述のごとき実情に鑑みてなされたものであって、テキストデータ、音声データ、動画像データなどのコンテンツを無線ネットワークを介して複数の端末へ配信するコンテンツ配信システムにおいて、ホットスポットによるコンテンツ配信だけでなく、インターネット等のネットワークと接続するのが困難な場所であっても、コンテンツ配信を行うことを可能としたコンテンツ配信システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1の技術手段は、コンテンツを配信するコンテンツ配信システムにおいて、コンテンツを供給するコンテンツ供給手段と、コンテンツを中継する複数のコンテンツ中継手段と、コンテンツを再生する複数のコンテンツ再生手段と、コンテンツ供給手段からコンテンツ中継手段を介してコンテンツ再生手段にコンテンツを送信するための複数のネットワークと、を備えることを特徴としたものである。
【0008】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、複数のネットワークが、第1のネットワーク及び第2のネットワークを有し、第1のネットワークは、コンテンツ供給手段にネットワーク接続された第1のコンテンツ中継手段によりコンテンツ再生手段にコンテンツが中継される無線ネットワークであって、第2のネットワークは、コンテンツを蓄積する記憶手段を備えた第2のコンテンツ中継手段によりコンテンツ再生手段にコンテンツが中継される無線ネットワークであることを特徴としたものである。
【0009】
第3の技術手段は、第2の技術手段において、コンテンツ再生手段が、第1のネットワークに配信されたコンテンツを記録する一時記憶手段を備え、第2のネットワークへの接続時に、一時記憶手段に記録されたコンテンツを第2のコンテンツ中継手段に送信し、第2のコンテンツ中継手段は、送信されたコンテンツを記憶手段に蓄積することを特徴としたものである。
【0010】
第4の技術手段は、第2の技術手段において、コンテンツ再生手段が、第1のネットワークに配信されたコンテンツを記録する一時記憶手段を備え、第1のネットワークに配信されるコンテンツは、複数のコンテンツ再生手段の一時記憶手段に分割記録され、コンテンツ再生手段は、第2のネットワークへの接続時に、一時記憶手段に分割記録されたコンテンツを第2のコンテンツ中継手段に送信し、第2のコンテンツ中継手段は、送信されたコンテンツを再構築し記憶手段に蓄積することを特徴としたものである。
【0011】
第5の技術手段は、第4の技術手段において、第1の中継サーバが、コンテンツ再生手段に対し同一コンテンツを繰り返し配信することを特徴としたものである。
【0012】
第6の技術手段は、第4の技術手段において、コンテンツが、動画像データ、あるいは音声データであって、第2のコンテンツ中継手段は、複数のコンテンツ再生手段に分割記録されたコンテンツの一部が受信できない場合、受信できないコンテンツの一部が所定の割合以下ならば、当該コンテンツを第2のネットワークに配信することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコンテンツ配信システムによれば、例えば駅構内に設置されたホットスポットによるコンテンツ配信だけでなく、インターネット等のネットワークと接続するのが困難な移動中の電車内のような場所であっても、コンテンツ配信を行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施形態1)
本発明の実施形態1におけるコンテンツ配信システムの構成を図1に示す。図1において、2bは無線LAN、Bluetooth等の第2の無線ネットワーク、6aは第2の無線ネットワーク2bに接続された機器へコンテンツを配信する2次中継サーバ、7はコンテンツを蓄積するための記憶装置である。図1において、その他の構成要素は、図9のコンテンツ配信システムと同一の構成であり、同一の符号を付与し説明を省略する。また、本発明のコンテンツ供給手段はコンテンツサーバ3が該当し、本発明のコンテンツ中継手段は1次中継サーバ4a及び2次中継サーバ6aが該当し、また本発明のコンテンツ再生手段は携帯端末5(5a〜5n)が該当する。
【0015】
本実施形態のコンテンツ配信システムでは、無線ネットワーク2a、2bの2つの無線ネットワークを有することを特徴とする。一方の第1の無線ネットワーク2aは、従来技術と同様、1次中継サーバ4aとコンテンツサーバ3が広域ネットワーク1で接続されており、コンテンツサーバ3が供給するコンテンツが第1の無線ネットワーク2a上の機器に配信される。もう一方の第2の無線ネットワーク2bは、広域ネットワーク1とは接続されていないため、第2の無線ネットワーク2b上の機器は、直接コンテンツサーバ3からコンテンツの供給を受けられないことを特徴とする。
【0016】
また本実施形態のコンテンツ配信システムを構成する2つの無線ネットワーク2a、2bは、無線LANなどネットワーク上の機器と直接通信可能な範囲が数十メ−トル程度の比較的狭い範囲に限定されるネットワークである。また各携帯端末5(5a〜5n)は移動することで、無線ネットワーク2a、2bのいずれか一方に接続する。さらに当該無線ネットワークに存在する1次中継サーバ4a、2次中継サーバ6aのいずれかを介してコンテンツを受信、再生する。2次中継サーバ6aには、コンテンツデータを記憶するための記憶装置7が接続されている。
【0017】
次に本実施形態のコンテンツ配信システムの動作について説明する。本実施形態のコンテンツ配信システムでは、ユーザがコンテンツを視聴するための携帯端末5が無線ネットワーク2a、2bのいずれか一方に接続されることになるが、第1の無線ネットワーク2aにおける携帯端末5へのコンテンツ配信の動作は従来技術のコンテンツ配信システムと同様であり説明を省略する。したがって、第2の無線ネットワーク2bにおける携帯端末5へのコンテンツ配信の動作についてのみ、図2を参照しながら以下説明する。
【0018】
予め第1の無線ネットワーク2aに接続されている携帯端末5の一部が、1次中継サーバ4aから配信されるコンテンツを受信し、携帯端末内に記録する(ステップS1)。当該携帯端末5を所持するユーザの移動に伴い、当該携帯端末5は第1の無線ネットワーク2aとの接続が切断され、あらたに第2の無線ネットワーク2bに接続される。
2次中継サーバ6aは、第2の無線ネットワーク2b上の全ての携帯端末5に対し、保有するコンテンツの有無の問い合わせを行う(ステップS2)。
【0019】
2次中継サーバ6aの問い合わせに対し、事前に第1の無線ネットワーク2aに接続し、コンテンツサーバ3から供給されたコンテンツを保有する一部の携帯端末5は、2次中継サーバ6aに対し保有するコンテンツの識別子を送信する(ステップS3)。そして2次中継サーバ6aは、受信したコンテンツの識別子を有するコンテンツが記憶装置7に存在するか否かを判定し(ステップS4)、当該コンテンツが存在する場合はステップS9へ進み、当該コンテンツが存在しない場合はステップS5へ進む。
【0020】
上記ステップS4でコンテンツが記憶装置7に存在しない場合、2次中継サーバ6aは当該コンテンツを保有する携帯端末に対し当該コンテンツの送信を要求する(ステップS5)。なお複数の携帯端末が当該コンテンツを保有している場合、1つの携帯端末を選択し、当該コンテンツの送信を要求する。そしてコンテンツの送信要求を受けた携帯端末5は、2次中継サーバ6aに対し当該コンテンツを送信する(ステップS6)。2次中継サーバ6aは、受信したコンテンツを記憶装置7に保存する(ステップS7)。
【0021】
また携帯端末の保有コンテンツが複数ある場合、2次中継サーバ6aは、全てのコンテンツを記憶装置に保存したかどうかを判断し(ステップS8)、保存していないコンテンツがあれば、上記ステップS4に戻って保存処理を繰り返す。
【0022】
2次中継サーバ6aは、全てのコンテンツを記憶装置7に記憶した後、記憶装置7に保存されたコンテンツを、無線ネットワーク2b上の各携帯端末5に対して配信する(ステップS9)。そして2次中継サーバ6aから配信されたコンテンツを、ユーザが携帯端末5を用いて再生する(ステップS10)。なお、携帯端末5は配信されるコンテンツを全て受信した後に、再生(ダウンロード再生)する構成でも良いし、コンテンツを受信しながら、順次再生(ストリーミング再生)する構成であっても構わない。
【0023】
以上説明したステップS1〜S10を繰り返すことで、複数のコンテンツが連続して配信される。なお上記のステップを繰り返すことで、記憶装置7に保存されたコンテンツは増加する。その結果、ステップS3における携帯端末5の無駄な応答が増加することになる。したがって、ステップS2における携帯端末5に対する保有コンテンツの問い合わせに、さらに条件を付加して、ステップS3における携帯端末の無駄な応答を削減する構成であっても構わない。例えば、予めコンテンツと共に付加情報として当該コンテンツの作成日時を示す情報を配信し、ステップS2では、所定の時間内に作成されたコンテンツの有無を問い合わせるようにすれば、ステップS3における無駄な応答を大幅に削減することが可能である。
【0024】
またコンテンツのデータ量が比較的小さい場合には、上記の一部のステップを省略し、図3に示すような動作フローであっても構わない。
図3において、まず予め第1の無線ネットワーク2aに接続されている携帯端末5の一部が、1次中継サーバ4aから配信されるコンテンツを受信し、携帯端末内に記録する(ステップS11)。当該携帯端末5を所持するユーザの移動に伴い、当該携帯端末5は第1の無線ネットワーク2aとの接続が切断され、あらたに第2の無線ネットワーク2bに接続される。
【0025】
2次中継サーバ6aは、第2の無線ネットワーク2b上の全ての携帯端末5に対し、保有するコンテンツの有無の問い合わせを行う(ステップS12)。そして2次中継サーバ6aの問い合わせに対し、事前に第1の無線ネットワーク2aに接続し、コンテンツサーバ3から供給されたコンテンツを保有する一部の携帯端末5は、2次中継サーバ6aに対して保有するコンテンツの識別子および当該コンテンツを送信する(ステップS13)。
【0026】
2次中継サーバ6aは、受信したコンテンツの識別子を有するコンテンツが記憶装置7に存在するか否かを判定する(ステップS14)。当該コンテンツが記憶装置7に存在する場合はステップS17へ進み、当該コンテンツが記憶装置7に存在しない場合はステップS15へ進む。
【0027】
上記ステップS14でコンテンツが記憶装置に存在しない場合、2次中継サーバ6aは、受信したコンテンツを記録装置7に保存する(ステップS15)。そして携帯端末の保有コンテンツが複数ある場合、2次中継サーバ6aは、全てのコンテンツを記憶装置に保存したかどうかを判断し(ステップS16)、保存していないコンテンツがあれば、上記ステップS14に戻って保存処理を繰り返す。
【0028】
2次中継サーバ6aは、記憶装置7に保存されたコンテンツを、第2の無線ネットワーク2b上の各携帯端末5に対し配信する(ステップS17)。そして2次中継サーバ6aから配信されたコンテンツを、ユーザが携帯端末5を用いて再生する(ステップS18)。なお、携帯端末5は配信されるコンテンツを全て受信した後に、再生(ダウンロード再生)する構成でも良いし、コンテンツを受信しながら、順次再生(ストリーミング再生)する構成であっても構わない。
なおステップS11〜S18を繰り返すことで、複数のコンテンツが連続して配信される。
【0029】
以上説明したように、上記実施形態のコンテンツ配信システムでは、第1の無線ネットワーク2aに接続された各携帯端末5に一旦コンテンツが保存され、さらにそれら携帯端末5が、第1の無線ネットワーク2aから第2の無線ネットワーク2bへ移動することで、第2の無線ネットワーク2bでの当該コンテンツの配信が可能となる。例えば、1次中継サーバ4aを駅構内のホットスポットに設置し、2次中継サーバ6aを電車の車両内に設置したとすれば、駅構内の第1の無線ネットワーク2aにてコンテンツの配信を受けた携帯端末5を持つユーザAが、電車内の第2の無線ネットワーク2bの通信可能領域内へ移動することで、電車内の他のユーザもまたユーザAが受信したコンテンツの配信を受けることが可能となる。
【0030】
なお図4に示すような複数の1次中継サーバ4、及び複数の2次中継サーバ6が存在する構成であっても構わない。その場合、例えば1次中継サーバ4を駅毎、2次中継サーバを車両毎に設置すれば、各駅で携帯端末5を持ったユーザが乗り降りを繰り返す度に、新規のコンテンツが車内に設置された記憶装置7に蓄積され、より高い頻度で車内の無線ネットワークにおけるコンテンツの更新が可能となる。
【0031】
(実施形態2)
次に本発明の実施形態2のコンテンツ配信システムについて説明する。本実施形態のコンテンツ配信システムの構成は、実施形態1の構成と同じであり、説明を省略する。なお、本実施形態のコンテンツ配信システムでは、無線ネットワーク上でのコンテンツの伝送単位として、コンテンツを所定のデータ長で分割して得られるパケットを用いる。
【0032】
図5にパケット化されたコンテンツの例を示す。図5に示す通り、分割されたコンテンツから成るパケットには、元のコンテンツへ再構成する際に必要な付加情報として、当該パケットがどのコンテンツの一部であるかを示すコンテンツ識別子、また当該パケットが元のコンテンツのどの部分であるかを示すパケット識別子などが付加されている。例えば、コンテンツ識別子としては、元のコンテンツデータのファイル名、パケット識別子としては、コンテンツの先頭パケットから順に1、2、3、・・・と番号を付与すれば良い。
【0033】
また本実施形態のコンテンツ配信システムでは、第1の無線ネットワーク2aにおける携帯端末5へのコンテンツ配信の動作は、コンテンツを伝送する単位がパケット単位になった点を除いて従来技術および実施形態1のコンテンツ配信システムと同じであり、以下では第2の無線ネットワーク2bにおける携帯端末5へのコンテンツ配信の動作例についてのみ図6を用いて説明する。
【0034】
予め第1の無線ネットワーク2aに接続されている携帯端末5の一部が、1次中継サーバ4aから配信されるコンテンツを受信し、端末内に記録する(ステップS21)。当該携帯端末5を所持したユーザの移動に伴い、当該携帯端末5は第1の無線ネットワーク2aとの接続が切断され、あらたに第2の無線ネットワーク2bと接続される。なお記録はパケット単位で行い、各携帯端末5は、コンテンツを構成する一部のパケットを記録できればよく、コンテンツ全てを記録する必要はない。
【0035】
2次中継サーバ6aは、第2の無線ネットワーク2b上の全ての携帯端末5に対し、保有するコンテンツの有無の問い合わせを行う(ステップS22)。そして2次中継サーバ6aの問い合わせに対し、事前に第2の無線ネットワーク2bに接続し、コンテンツサーバ3から供給されたコンテンツの一部(パケット)を保有する携帯端末5は、2次中継サーバ6aに対し保有するパケットを示すコンテンツ識別子とパケット識別子の組み合わせを送信する(ステップS23)。
【0036】
2次中継サーバ6aは、受信したコンテンツ識別子とパケット識別子の組み合わせで識別されるパケットが記憶装置7に存在するか否かを判定する(ステップS24)。そして当該パケットが存在する場合はステップS29へ進み、当該パケットが存在しない場合はステップS25へ進む。
【0037】
上記ステップS24で記憶装置7にパケットが存在しない場合、2次中継サーバ6aは、当該パケットを保有する携帯端末に対し当該パケットの送信を要求する(ステップS25)。なお、複数の携帯端末が当該パケットを保有している場合、1つの携帯端末を選択し、当該パケットの送信を要求する。パケットの送信要求を受けた携帯端末5は、2次中継サーバ6aに対し当該パケットを送信する(ステップS26)。2次中継サーバ6aは、受信したパケットを記憶装置7に保存する(ステップS27)。携帯端末の保有パケットが複数ある場合、2次中継サーバ6aは、全てのパケットを記憶装置に保存したかどうかを判断し(ステップS28)、保存していないパケットがあれば、上記ステップS24に戻って保存処理を繰り返す。
【0038】
2次中継サーバ6aは、コンテンツを構成する全てのパケットが揃った場合、再構成したコンテンツを記憶装置7へ記録する(ステップS29)。そして2次中継サーバ6aは、記憶装置7に保存されたコンテンツを、無線ネットワーク2b上の各携帯端末5に対し配信する(ステップS30)。2次中継サーバ6aから配信されたコンテンツを、ユーザが携帯端末5を用いて再生する(ステップS31)。なお、携帯端末5は配信されるコンテンツを全て受信した後に、再生(ダウンロード再生)する構成でも良いし、コンテンツを受信しながら、順次再生(ストリーミング再生)する構成であっても構わない。
以上のステップS21〜S31を繰り返すことで、複数のコンテンツが連続して配信される。
【0039】
なお本実施形態2では、上記実施形態1の場合と同様、ステップS22の携帯端末5の保有コンテンツの有無に特定の条件を設定する構成であっても構わないし、図4に示すような、複数の1次中継サーバ、2次中継サーバからなる構成であっても構わない。また、ステップS28において、コンテンツを構成する全てのパケットが揃った場合にだけ、コンテンツを再構成するものとして説明したが、コンテンツが動画像データや音声データの場合、配信されるコンテンツの一部が欠損するなどの障害が発生しても、その誤りを隠蔽し再生するのが一般的である。従って、ステップS28において、所定の割合以下のパケットが欠損する場合であっても、不完全なコンテンツを再構成し、ステップS30にて当該コンテンツを各携帯端末へ配信する構成であっても構わない。
【0040】
以上説明したように、本実施形態のコンテンツ配信システムでは、複数の携帯端末5を用いて第1の無線ネットワーク2aから第2の無線ネットワーク2bへコンテンツを運搬する。例えば、1次中継サーバ4aを駅改札口のように乗客の往来が激しい場所に設置する。そこを順次通過する複数の携帯端末5にそれぞれ異なるパケットを記録させる。複数の携帯端末5がそれぞれ異なるパケットを運搬することで、動画像データのような大容量コンテンツであっても、各携帯端末5に無線ネットワーク間のコンテンツ運搬のための大容量の記憶容量が不要となる。
【0041】
なお第2の無線ネットワーク2bにおいてコンテンツ配信を行うためには、当該コンテンツを構成する全てのパケットが携帯端末5によって運搬される必要がある。したがって1次中継サーバ4aは、各コンテンツを1度だけ配信するのではなく、例えば図7(A)に示すようなタイムテーブルに従って、例えば、コンテンツA、B、A、Bといった具合に、同一のコンテンツを繰り返し配信する構成としてもよいし、図7(B)に示すように複数のチャンネルにて一定時間差を付けて、配信する構成としてもよい。
【0042】
あるいは図8(A)に示すように、複数のパケットを元に新たに冗長パケットを生成し、送信する構成であっても構わない。なお、図8(A)は、3つのパケットに含まれる8ビットのデータに対し、ビット単位での排他的論理和によって生成される8ビットのデータを基に冗長パケットを生成する例を示している。図8(A)に示す例で生成された冗長パケットを用いれば、図8(B)に示す通り、4パケット中のどの1パケットが欠けた場合でも、欠損パケットを他のパケットから復元することが可能である。
以上図7、図8を用いて説明したような1次中継サーバ4aの構成を用いることで、コンテンツを構成するパケットが携帯端末5によって、第2の無線ネットワーク2bへ高い確率で運搬することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明におけるコンテンツ配信システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明のコンテンツ配信システムの動作例を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明のコンテンツ配信システムの他の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明のコンテンツ配信システムの他の構成例を示す図である。
【図5】コンテンツのパケット化についての説明図である。
【図6】本発明のコンテンツ配信システムの更に他の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図7】1次中継サーバの動作の説明図である。
【図8】冗長パケットの説明図である。
【図9】従来のコンテンツ配信システムの構成例を示す図である。
【図10】従来のコンテンツ配信システムの動作例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1…広域ネットワーク、2a…第1の無線ネットワーク、2b…第2の無線ネットワーク、3…コンテンツサーバ、4a…1次中継サーバ、5(5a〜5n)…携帯端末、6a…2次中継サーバ、7…記憶装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを配信するコンテンツ配信システムにおいて、コンテンツを供給するコンテンツ供給手段と、コンテンツを中継する複数のコンテンツ中継手段と、コンテンツを再生する複数のコンテンツ再生手段と、前記コンテンツ供給手段から前記コンテンツ中継手段を介して前記コンテンツ再生手段にコンテンツを送信するための複数のネットワークと、を備えることを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項2】
請求項1記載のコンテンツ配信システムにおいて、前記複数のネットワークは、第1のネットワーク及び第2のネットワークを有し、前記第1のネットワークは、前記コンテンツ供給手段にネットワーク接続された第1のコンテンツ中継手段により前記コンテンツ再生手段にコンテンツが中継される無線ネットワークであって、前記第2のネットワークは、コンテンツを蓄積する記憶手段を備えた第2のコンテンツ中継手段により前記コンテンツ再生手段にコンテンツが中継される無線ネットワークであることを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項3】
請求項2記載のコンテンツ配信システムにおいて、前記コンテンツ再生手段は、前記第1のネットワークに配信されたコンテンツを記録する一時記憶手段を備え、前記第2のネットワークへの接続時に、前記一時記憶手段に記録されたコンテンツを該第2のコンテンツ中継手段に送信し、前記第2のコンテンツ中継手段は、該送信されたコンテンツを前記記憶手段に蓄積することを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項4】
請求項2記載のコンテンツ配信システムにおいて、前記コンテンツ再生手段は、前記第1のネットワークに配信されたコンテンツを記録する一時記憶手段を備え、前記第1のネットワークに配信されるコンテンツは、前記複数のコンテンツ再生手段の一時記憶手段に分割記録され、前記コンテンツ再生手段は、前記第2のネットワークへの接続時に、前記一時記憶手段に分割記録されたコンテンツを第2のコンテンツ中継手段に送信し、前記第2のコンテンツ中継手段は、該送信されたコンテンツを再構築し前記記憶手段に蓄積することを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項5】
請求項4記載のコンテンツ配信システムにおいて、前記第1の中継サーバは、前記コンテンツ再生手段に対し同一コンテンツを繰り返し配信することを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項6】
請求項4記載のコンテンツ配信システムにおいて、前記コンテンツは、動画像データ、あるいは音声データであって、前記第2のコンテンツ中継手段は、前記複数のコンテンツ再生手段に分割記録されたコンテンツの一部が受信できない場合、前記受信できないコンテンツの一部が所定の割合以下ならば、当該コンテンツを前記第2のネットワークに配信することを特徴とするコンテンツ配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−245873(P2006−245873A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57224(P2005−57224)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】