説明

コンデンサ装置

【課題】コンデンサ素子にリップル電流が流れた場合でもコンデンサ素子の振動がケースに伝播しにくく、且つ、外部回路との接続が容易となるコンデンサ装置の提供すること。
【解決手段】本発明のコンデンサ装置1は、正極膜2bと負極膜2cとその間に介在する誘電体2dとを有するコンデンサ素子2を、その中空部2aに挿通した第1シャフト5と第2シャフト6によってケース11へ固定する。そして、コンデンサ素子2の正極端子3と第1シャフト、負極端子4と第2シャフト6との間には導電性の振動吸収部材7、8が介在し、第1シャフトが正極端子3へ、第2シャフトが負極端子4へ導通する。これによって、コンデンサ素子の振動を外部へ伝播することを抑制すると共に、シャフトも電極の一部として利用できることで、コンデンサ装置の外部回路との接続を容易にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等に用いられるインバータ等の電力変換装置の構成部品として、コンデンサモジュールが知られている。
特許文献1に記載のコンデンサモジュールは、金属化フィルムを巻回したコンデンサ素子を金属ケース内に配置して構成される。ケース内には、樹脂が充填され、コンデンサ素子全体が樹脂によって覆われている。即ち、コンデンサ素子は樹脂によってケース内に固定されている。また、コンデンサ装置と外部回路を接続するために、ケース内においてコンデンサ素子の正極膜、負極膜をそれぞれバスバーに接続し、バスバーの端部を樹脂の外へ突出させ、これに外部回路を接続している。
【特許文献1】特開2006−196678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のコンデンサモジュールにおいて、コンデンサ素子にリップル電流が流れた場合、金属化フィルムからなる電極間のクーロン力の変動によってコンデンサ素子が振動し、この振動が樹脂を介してケースへ伝播することで、騒音が発生し、静粛性が損なわれる懸念がある。
【0004】
このため、樹脂によってコンデンサ素子をケース内に固定する代りに、コンデンサ素子の両端に軸部材を設け、この軸部材の両端を支持する構成が考えられる。しかし、上記の構成によれば、コンデンサ素子の振動が軸部材に伝播し、軸部材を支持するケースに振動が伝播する恐れがある。また、上記の構成によれば、コンデンサ装置と外部回路を接続するために、導線をコンデンサ素子両端に設けられる電極端子まで引き込み、接続する必要がある。
【0005】
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、コンデンサ素子にリップル電流が流れた場合でもコンデンサ素子の振動がケースに伝播しにくく、且つ、外部回路との接続が容易となるコンデンサ装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1の発明)
本発明は、正極膜と負極膜とその間に介在する誘電体とを有するコンデンサ素子と、コンデンサ素子の一端部に配置されて正極膜と導通する正極端子と、コンデンサ素子の他端部に配置されて負極膜と導通する負極端子と、正極端子を貫通する第1軸部材と、負極端子を貫通する第2軸部材と、を備えるコンデンサ装置において、正極端子と第1軸部材との間および負極端子と第2軸部材との間にそれぞれ振動吸収部材が介在すると共に、2つの軸部材のうち少なくとも一方が導電性を有し、2つの振動吸収部材のうち導電性軸部材に接する少なくとも一方が導電性を有することを特徴とする。
【0007】
軸部材によってコンデンサ素子を固定する構成によれば、コンデンサ素子のリップル電流による振動が外部へ伝播する経路は軸部材のみである。そこで、正極端子と第1軸部材との間および負極端子と第2軸部材との間にそれぞれ振動吸収部材を介在させることで、コンデンサ素子の振動が軸部材へ伝播することを抑制することができる。このため、コンデンサ素子の振動が外部へ伝播することが抑制され、振動による騒音を著しく低減することができる。
【0008】
また、振動吸収部材に導電性を有するものを用いることで、軸部材は正極端子または負極端子の一部として利用できる。これによって、外部回路からの導線を、コンデンサ素子両端の端子に接続する必要がなく、軸部材へ接続することができるため、外部回路との接続を容易にできる。
(請求項2の発明)
請求項1に記載のコンデンサ装置において、正極端子と第1軸部材及び負極端子と第2軸部材のうち少なくとも一方が、振動吸収部材よりも熱伝導率が大きい放熱部材により接続されていることを特徴とする。
【0009】
コンデンサ素子で発生する熱は、両端の電極を介して軸部材へ放熱されるが、熱伝導率の大きい放熱部材によって電極端子と軸部材を接続することにより、より効率的に軸部材へ放熱することができる。
(請求項3の発明)
請求項2に記載のコンデンサ装置において、放熱部材は、弾性変形可能に構成されていることを特徴とする。
【0010】
これによって、放熱部材が電極端子の振動を抑制するため、軸部材への振動の伝播をより確実に抑制することができる。
(請求項4の発明)
請求項2または3に記載のコンデンサ装置において、放熱部材は、導電性を有することを特徴とする。
【0011】
軸部材は導電性の振動吸収部材を介して電極端子に導通するが、放熱部材が導電性を有することで、軸部材と電極端子との間の導電経路を増やすことができる。これによって、軸部材と電極端子間の導電経路の電気抵抗を小さくし、損失を低減することができる。
(請求項5の発明)
請求項1〜4に記載の何れかのコンデンサ装置において、振動吸収部材は、潤滑性を有することを特徴とする。
【0012】
潤滑性を有する振動吸収部材を用いることで、軸部材に対しコンデンサ素子の軸方向への移動が許容される。これによって、コンデンサ素子の軸方向の振動がシャフトに伝播することを抑制できる。
(請求項6の発明)
請求項1〜5に記載の何れかのコンデンサ装置において、コンデンサ素子は、正極膜と負極膜と誘電体からなる積層体を螺旋状に巻回されてなるフィルムコンデンサであることを特徴とする。
【0013】
薄膜と誘電体の積層体を螺旋状に巻回すことで、電極面積を大きくとることができ、且つ、電極間距離も短くすることができるため、省スペースの空間において効率的に電気容量を稼ぐことができる。
(請求項7の発明)
請求項1〜6に記載の何れかのコンデンサ装置において、フィルムコンデンサの中空部に軸部材が挿通されていることを特徴とする。
【0014】
フィルムコンデンサ素子において、巻回軸である中空部は、軸に対して両側の振動が相殺されるため最も振動が小さい。このため、ここに軸部材を挿通することで、軸部材へ伝播する振動を最小限とすることができる。
(請求項8の発明)
本発明は、正極膜と負極膜とその間に介在する誘電体とを有するコンデンサ素子と、コンデンサ素子の一端部に配置されて正極膜と導通する正極端子と、コンデンサ素子の他端部に配置されて負極膜と導通する負極端子と、正極端子と負極端子を貫通する導電性の軸部材と、を備えるコンデンサ装置において、正極端子と軸部材との間および負極端子と軸部材との間にはそれぞれ振動吸収部材が介在すると共に、2つの振動吸収部材のうち一方が導電性を有し、他方が絶縁性を有することを特徴とする。
【0015】
軸部材によってコンデンサ素子を固定する構成によれば、コンデンサ素子のリップル電流による振動が外部へ伝播する経路は軸部材のみである。そこで、正極端子と軸部材との間および負極端子と軸部材との間にそれぞれ振動吸収部材を介在させることで、コンデンサ素子の振動が軸部材へ伝播することを抑制することができる。これによって、コンデンサ素子の振動が外部へ伝播することが抑制され、振動による騒音を著しく低減することができる。
【0016】
また、正極端子側と負極端子側の振動吸収部材のうち一方に導電性を有するものを用いることで、軸部材は正極端子または負極端子に導通し、電極の一部として利用できる。また、他方の振動吸収部材に絶縁性を有するものを用いることで、正極と負極が短絡することはない。これによって、外部回路からの導線のうち一方は、コンデンサ素子両端の正極端子または負極端子に接続する必要がなく、軸部材へ接続することができるため、外部回路との接続を容易にできる。
(請求項9の発明)
正極膜と負極膜とその間に介在する誘電体とを有するコンデンサ素子と、コンデンサ素子の一端部に配置されて正極膜と導通する正極端子と、コンデンサ素子の他端部に配置されて負極膜と導通する負極端子と、正極端子と負極端子のうち一方を貫通する導電性の軸部材と、を備えるコンデンサ装置において、正極端子と負極端子のうち軸部材が貫通する方と軸部材との間に介在する振動吸収部材が導電性を有することを特徴とする。
シャフトによってコンデンサ素子を固定する構成によれば、コンデンサ素子のリップル電流による振動が外部へ伝播する経路は軸部材のみである。そこで、正極端子と負極端子のうち軸部材が貫通する方と軸部材との間に振動吸収部材が介在することで、コンデンサ素子の振動が軸部材へ伝播することを抑制することができる。これによって、コンデンサ素子が固定されるケース等に振動が伝播することが抑制され、振動による騒音を著しく低減することができる。
【0017】
また、振動吸収部材に導電性を有するものを用いることで、軸部材は正極端子または負極端子に導通し、電極の一部として利用できる。これによって、外部回路からの導線のうち一方は、コンデンサ素子両端の端子に接続する必要がなく、軸部材へ接続することができるため、外部回路との接続を容易にできる。
(請求項10の発明)
請求項8または9に記載のコンデンサ装置において、
正極端子と軸部材及び負極端子と軸部材のうち少なくとも一方が、振動吸収部材よりも熱伝導率が大きい放熱部材により接続されていることを特徴とする。
【0018】
コンデンサ素子で発生する熱は、両端の電極を介して軸部材へ放熱されるが、熱伝導率の大きい放熱部材によって電極端子と軸部材を接続することにより、より効率的に軸部材へ放熱することができる。
(請求項11の発明)
請求項10に記載のコンデンサ装置において、放熱部材は、弾性変形可能に構成されていることを特徴とする。
【0019】
これによって、放熱部材が電極端子の振動を抑制するため、軸部材への振動の伝播をより確実に抑制することができる。
(請求項12の発明)
請求項10または11に記載のコンデンサ装置において、放熱部材は、導電性を有することを特徴とする。
【0020】
軸部材は導電性の振動吸収部材を介して電極端子に導通するが、放熱部材が導電性を有することで、軸部材と電極端子との間の導電経路を増やすことができる。これによって、軸部材と電極端子間の導電経路の電気抵抗を小さくし、損失を低減することができる。
(請求項13の発明)
請求項8〜12に記載の何れかのコンデンサ装置において、振動吸収部材は、潤滑性を有することを特徴とする。
【0021】
潤滑性を有する振動吸収部材を用いることで、軸部材に対しコンデンサ素子の軸方向への移動が許容される。これによって、コンデンサ素子の軸方向の振動がシャフトに伝播することを抑制できる。
(請求項14の発明)
請求項8〜13に記載の何れかのコンデンサ装置において、コンデンサ素子は、正極膜と負極膜と誘電体からなる積層体を螺旋状に巻回されてなるフィルムコンデンサであることを特徴とする。
【0022】
薄膜と誘電体の積層体を螺旋状に巻回すことで、電極面積を大きくとることができ、且つ、電極間距離も短くすることができるため、省スペースの空間において効率的に電気容量を稼ぐことができる。
(請求項15の発明)
請求項8〜14に記載の何れかのコンデンサ装置において、フィルムコンデンサの中空部に軸部材が挿通されていることを特徴とする。
【0023】
フィルムコンデンサ素子において、巻回軸である中空部は、軸に対して両側の振動が相殺されるため最も振動が小さい。このため、ここに軸部材を挿通することで、軸部材へ伝播する振動を最小限とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を実施するための最良の形態を以下の実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
【0025】
本発明の実施例にかかるコンデンサ装置につき、図1〜図5を用いて説明する。
【0026】
本例のコンデンサ装置1は、図1に示す様に、正極膜2bと負極膜2cとその間に介在する誘電体2dとを有するコンデンサ素子2と、コンデンサ素子2の一端部に配置されて正極膜2bと導通する正極端子3と、コンデンサ素子2の他端部に配置されて負極膜2cと導通する負極端子4と、正極端子3を貫通する第1軸部材(本実施例における第1シャフト5)と、負極端子4を貫通する第2軸部材(本実施例における第2シャフト6)と、を備える。
【0027】
コンデンサ素子2は、中空部2aを有する円筒構造となっている。また、コンデンサ素子2は、図2と図3に示す様に、樹脂フィルムの表面に金属層を蒸着させてなる正極膜2bと負極膜2cを互いにずらした状態で積層して、一体的に形成した金属化フィルムを巻回したフィルムコンデンサである。ここで、樹脂フィルムは絶縁性であり、正極膜2bと負極膜2cを絶縁する誘電体2dとなる。また、コンデンサ素子2の最外周には、防湿のためのコート剤2eがコーティングされている。ここで、樹脂フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)などからなる。また、金属層の金属としては、アルミニウム、亜鉛、これらの合金などが挙げられる。
【0028】
正極端子3は、図1に示す様に、コンデンサ素子2の巻回軸方向の一端側に露出した正極膜2bの端部にメタリコン金属が溶射されることで形成される。
【0029】
負極端子4は、図1に示す様に、コンデンサ素子2の巻回軸方向の他端側に露出した負極膜2cの端部にメタリコン金属が溶射されることで形成される。
【0030】
第1シャフト5と第2シャフト6は共に、図1に示す様に、コンデンサ素子2の中空部2eに挿通しており、両電極端面より突出して設けられている。これらは、導電性の金属であり、例えばアルミニウムやステンレス等の材料からなる。
【0031】
以上の構成からなるコンデンサ装置1において、図1に示す様に、コンデンサ素子2の中空部2aの内側面であって、正極端子3と第1シャフト5との間には導電性の振動吸収部材7が、負極端子4と第2シャフト6との間には導電性の振動吸収部材8がそれぞれ介在する。ここで、これらの振動吸収部材7、8は、例えば導電性シリコンや導電性ウレタンなどの材料からなる。
【0032】
また、図1に示す様に、正極端子3と第1シャフト5は放熱部材9、負極端子4と第2シャフト6は放熱部材10によって接続される。これらの放熱部材9、10は、導電性を有すると共にシャフト5、6よりも熱伝導率の大きい材料で、例えば薄い銅板であり、弾力変形可能に構成されている。
【0033】
コンデンサ素子2は、図1に示す様に、その両端から突出する第1シャフト5,第2シャフト6を介してケース11に固定される。ケース11の対向する2つの側面には支持穴が設けられ、この支持穴に第1シャフト5の軸方向端部に設けた凸部5a、第2シャフト6の軸方向端部に設けた凸部6aが挿通する。そして、凸部5a、6aの端面には雌ねじ部が形成されており、これらにナット12,13がそれぞれ螺合することにより、第1シャフト5,第2シャフト6がケース11に固定されることで、コンデンサ素子2がケース11に固定される。
【0034】
図1に示す様に、ナット12とケース11側面との間には板状の接続端子14が設けられ、第1シャフト5を介して正極端子3に導通し、外部回路の正極に接続している。また、これと同様に、ナット13とケース11側面との間には板状の接続端子15が設けられ、第2シャフト6を介して負極端子4に導通し、外部回路の負極に接続している。ここで、接続端子14,15は、導電性を有する金属で、例えば銅板などの材料からなる。
【0035】
ケース11は、例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)などの樹脂から形成される。また、ケース11の開口部側には取付穴が設けられ、これによってコンデンサ装置1は他部品へ固定される。
(実施例1の効果)
実施例1のコンデンサ装置1において、コンデンサ素子2に電流が通電されると、巻回された正極膜2bと負極膜2cの間にクーロン力が作用するが、電流にリップルがあると、このクーロン力が変動し、薄膜間が伸縮を繰り返す。即ち、コンデンサ素子2は、半径方向に伸縮を繰り返すこととなる。従って、コンデンサ素子2が半径方向に伸びたときは、軸方向の長さが短くなり、縮んだときは、軸方向の長さが長くなる。このように、コンデンサ素子2の半径方向の伸縮は、軸方向の振動となる。しかし、正極端子3と第1シャフト5との間には振動吸収部材7が、負極端子4と第2シャフト6には振動吸収部材8がそれぞれ介在することで、コンデンサ素子2の振動が第1シャフト5、第2シャフト6に伝播することを抑制することができる。これによって、第1シャフト5、第2シャフト6が固定されるケース11に振動が伝播することが抑制され、騒音の発生を著しく低減することができる。
【0036】
そして、振動吸収部材7と振動吸収部材8はそれぞれ導電性を有することにより、第1シャフト5は正極端子3に、第2シャフト6は負極端子4にそれぞれ導通する。これによって、外部回路からの導線を、第1シャフト5を介して正極端子3に導通する接続端子14と、第2シャフト6を介して負極端子4に導通する接続端子15に接続すればよいため、外部回路との接続が容易となる。即ち、外部回路からの導線をケース11内に引き込みコンデンサ素子2に直接接続する必要がない。
【0037】
また、コンデンサ素子2で発生する熱は、正極端子3と負極端子4を介して第1シャフト5と第2シャフト6へ放熱されるが、放熱部材9、10が設けられることにより、より効率的に放熱できる。また、放熱部材9、10は弾力変形可能に設けられているため、コンデンサ素子2の振動が第1シャフト5と第2シャフト6へ伝播することを更に抑制できる。そして、放熱部材9、10が導電性であることにより、正極端子3と第1シャフト5との間および負極端子4と第2シャフト6との間の導電経路が増え、電気抵抗を小さくし、損失を低減することができる。
【実施例2】
【0038】
実施例1のコンデンサ装置1においては、第1シャフト5を正極端子3に、第2シャフト6を負極端子4に導通させる例を示した。
【0039】
これに対し、本実施例2では、図4に示す様に、正極端子3と負極端子4を共に貫通する1本のシャフト16がコンデンサ素子2の中空部2aに挿通される。このシャフト16は、実施例1と同様に、導電性の金属からなる。
【0040】
そして、図4に示す様に、コンデンサ素子2の中空部2aの内側面であって、正極端子3とシャフト16との間には導電性の振動吸収部材7が、負極端子4とシャフト16との間には絶縁性の振動吸収部材17がそれぞれ介在する。ここで、振動吸収部材7は、実施例1と同様に、例えば導電性シリコンや導電性ウレタンなどの材料からなる。一方、振動吸収部材17は、例えば絶縁性シリコンや絶縁性ウレタンなどの材料からなる。
【0041】
また、本実施例2では、放熱部材9は正極端子3側のみに設けられる。
【0042】
その他の構成は、実施例1と同様である。
(実施例2の効果)
実施例2のコンデンサ装置1において、正極端子3と負極端子4を共に貫通するシャフト16に接する正極端子3側の振動吸収部材7を導電性とすることで、シャフト16は正極端子3に導通する。ここで、負極端子4側の振動吸収部材17を絶縁性とすることで、正極端子3に導通したシャフト16と負極端子4が短絡することはない。そして、外部回路の正極は、シャフト16を介して正極端子3に導通する接続端子14へ接続すればよいため、外部回路との接続が容易となる。このとき、接続端子14はシャフト16の両端側にあるため、どちらに接続してもよい。
【0043】
その他の効果は実施例1と同様である。
【実施例3】
【0044】
実施例1のコンデンサ装置1においては、第1シャフト5を正極端子3に、第2シャフト6を負極端子4に導通させる例を示した。
【0045】
これに対し、本実施例3では、図5に示す様に、コンデンサ素子2の中空部2aには第1シャフト5のみ挿通される。即ち、コンデンサ素子2はケース11に片持ちで固定される。
【0046】
そして、図5に示す様に、コンデンサ素子2の中空部2aの内側面であって正極端子3と第1シャフト5との間には、導電性の振動吸収部材7が介在する。ここで、振動吸収部材7は、実施例1と同様に、例えば導電性シリコンや導電性ウレタンなどの材料からなる。
【0047】
また、正極端子3と第1シャフト5は放熱部材9によって接続される。
【0048】
その他の構成は、実施例1と同様である。
(実施例3の効果)
実施例3のコンデンサ装置1において、正極端子3と第1シャフト5との間に介在する振動吸収部材7を導電性とすることで、第1シャフト5は正極端子3に導通する。これによって、外部回路からの正極の導線は、第1シャフト5を介して正極端子3に導通する接続端子14へ接続すればよいため、外部回路との接続が容易となる。
【0049】
その他の効果は実施例1と同様である。
(変形例)
実施例1〜3の何れかのコンデンサ装置1において、振動吸収部材7、8、17は潤滑性を有する部材であってもよい。この場合、シャフト5、6、16に対してコンデンサ素子2の軸方向への移動が許容されるため、コンデンサ素子2の軸方向の振動がシャフト5、6、16に伝播することを抑制できる。また、コンデンサ素子2はセラミックコンデンサなど、他の種類のコンデンサでもよい。
実施例2のコンデンサ装置1において、正極端子3側の振動吸収部材7を絶縁性とし、負極端子4側の振動吸収部材17を導電性とすることで、シャフト16を負極端子4に導電させる構成としてもよい。この場合は、放熱部材9は負極端子4側に設けられる。
【0050】
実施例3のコンデンサ装置1において、第1シャフト5を負極端子側に設け、導通させる構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】コンデンサ装置の断面図である(実施例1)。
【図2】図1のA部拡大図であり、金属化フィルムの積層状態を示す図である。
【図3】図1におけるI−I断面図である。
【図4】コンデンサ装置の断面図である(実施例2)。
【図5】コンデンサ装置の断面図である(実施例3)。
【符号の説明】
【0052】
1 コンデンサ装置
2 コンデンサ素子
2b 正極膜
2c 負極膜
2d 誘電体
3 正極端子
4 負極端子
5 第1シャフト(実施例1、実施例3)
6 第2シャフト(実施例1)
7 導電性の振動吸収部材(実施例1、実施例2、実施例3)
8 導電性の振動吸収部材(実施例1)
9 放熱部材
10 放熱部材
16 シャフト(実施例2)
17 絶縁性の振動吸収部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極膜と負極膜とその間に介在する誘電体とを有するコンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子の一端部に配置されて前記正極膜と導通する正極端子と、
前記コンデンサ素子の他端部に配置されて前記負極膜と導通する負極端子と、
前記正極端子を貫通する第1軸部材と、前記負極端子を貫通する第2軸部材と、
を備えるコンデンサ装置において、
前記正極端子と前記第1軸部材との間および前記負極端子と前記第2軸部材との間にそれぞれ振動吸収部材が介在すると共に、前記2つの軸部材のうち少なくとも一方が導電性を有し、前記2つの振動吸収部材のうち前記導電性軸部材に接する少なくとも一方が導電性を有することを特徴とするコンデンサ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンデンサ装置において、
前記正極端子と前記第1軸部材及び前記負極端子と前記第2軸部材のうち少なくとも一方が、前記振動吸収部材よりも熱伝導率が大きい放熱部材により接続されていることを特徴とするコンデンサ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のコンデンサ装置において、
前記放熱部材は、弾性変形可能に構成されていることを特徴とするコンデンサ装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のコンデンサ装置において、
前記放熱部材は、導電性を有することを特徴とするコンデンサ装置。
【請求項5】
請求項1〜4に記載の何れかのコンデンサ装置において、
前記振動吸収部材は、潤滑性を有することを特徴とするコンデンサ装置。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の何れかのコンデンサ装置において、
前記コンデンサ素子は、前記正極膜と前記負極膜と前記誘電体からなる積層体を螺旋状に巻回されてなるフィルムコンデンサであることを特徴とするコンデンサ装置。
【請求項7】
請求項1〜6に記載の何れかのコンデンサ装置において、
前記フィルムコンデンサの中空部に前記軸部材が挿通されていることを特徴とするコンデンサ装置。
【請求項8】
正極膜と負極膜とその間に介在する誘電体とを有するコンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子の一端部に配置されて前記正極膜と導通する正極端子と、
前記コンデンサ素子の他端部に配置されて前記負極膜と導通する負極端子と、
前記正極端子と前記負極端子を貫通する導電性の軸部材と、を備えるコンデンサ装置において、
前記正極端子と前記軸部材との間および前記負極端子と前記軸部材との間にはそれぞれ振動吸収部材が介在すると共に、前記2つの振動吸収部材のうち一方が導電性を有し、他方が絶縁性を有することを特徴とするコンデンサ装置。
【請求項9】
正極膜と負極膜とその間に介在する誘電体とを有するコンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子の一端部に配置されて前記正極膜と導通する正極端子と、
前記コンデンサ素子の他端部に配置されて前記負極膜と導通する負極端子と、
前記正極端子と前記負極端子のうち一方を貫通する導電性の軸部材と、を備えるコンデンサ装置において、
前記正極端子と前記負極端子のうち前記軸部材が貫通する方と前記軸部材との間に介在する振動吸収部材が導電性を有することを特徴とするコンデンサ装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載のコンデンサ装置において、
前記正極端子と前記軸部材及び前記負極端子と前記軸部材のうち少なくとも一方が、前記振動吸収部材よりも熱伝導率が大きい放熱部材により接続されていることを特徴とするコンデンサ装置。
【請求項11】
請求項10に記載のコンデンサ装置において、
前記放熱部材は、弾性変形可能に構成されていることを特徴とするコンデンサ装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載のコンデンサ装置において、
前記放熱部材は、導電性を有することを特徴とするコンデンサ装置。
【請求項13】
請求項8〜12に記載の何れかのコンデンサ装置において、
前記振動吸収部材は、潤滑性を有することを特徴とするコンデンサ装置。
【請求項14】
請求項8〜13に記載の何れかのコンデンサ装置において、
前記コンデンサ素子は、前記正極膜と前記負極膜と前記誘電体からなる積層体を螺旋状に巻回されてなるフィルムコンデンサであることを特徴とするコンデンサ装置。
【請求項15】
請求項8〜14に記載の何れかのコンデンサ装置において、
前記フィルムコンデンサの中空部に前記軸部材が挿通されていることを特徴とするコンデンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−135559(P2010−135559A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309988(P2008−309988)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】