説明

コントローラ特性変更装置、記憶装置、コントローラ特性変更方法、およびコントローラ特性変更プログラム

【課題】外部の要因によって引き起こされた外部振動の影響を減少させることを課題とする。
【解決手段】外部の要因によって引き起こされたヘッドにおける外部振動の有無を検出し、ヘッドの位置決めの精度を重視する位置決め重視用コントローラ特性でコントローラがヘッドの位置決めを制御している時に、ヘッドにおける外部振動が有ることが検出された場合に、位置決め重視用コントローラ特性を、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる振動圧縮用コントローラ特性に変更し、振動圧縮用コントローラ特性でコントローラがヘッドの位置決めを制御している時に、ヘッドにおける外部振動が無いことが検出された場合に、振動圧縮用コントローラ特性を、位置決め重視用コントローラ特性に変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コントローラ特性変更装置、記憶装置、コントローラ特性変更方法、およびコントローラ特性変更プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ディスク装置内部の機構(例えば、アクチュエータ・アームなど)に共振が生じた際に、ホスト・コンピュータを含む装置全体のパフォーマンスを低下させないことを目的として、ディスク装置において、ディスク駆動部(ヘッドやアクチュエータ・アームなどで構成される部)を制御するコントローラのコントローラ特性を変更する手法が提案されている。
【0003】
具体的に説明すると、ディスク装置内部の機構に共振が生じると、ディスクの上でわずかな隙間を空けて浮上しているヘッドが共振の影響を受け、ディスクに対するデータのリードフォルトやライトフォルトが発生しやすくなる。この時、通常、ディスク装置は、例えば、ライトフォルトが発生すると、ディスクに対するライトを再び行うためのリトライ処理を繰り返し実行する。このようなリトライ処理が繰り返し実行されるということは、ディスク装置のホスト・コンピュータにおけるコマンド処理に時間がかかるということになってしまうので、ホスト・コンピュータを含む装置全体のパフォーマンスが低下する結果になる。
【0004】
このため、ディスク装置において、ディスク駆動部を制御するコントローラのコントローラ特性を変更する手法が提案されている。例えば、特許文献1では、アクチュエータ・アームの共振により引き起こされる共振の影響を減少させることを目的として、ディスク駆動部を制御するコントローラのコントローラ特性を変更する手法が開示されている。また、例えば、特許文献2では、ディスク駆動部の劣化により引き起こされる共振の影響を減少させることを目的として、ディスク駆動部を制御するコントローラのコントローラ特性を変更する手法が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特表2004−503893号公報
【特許文献2】特開2000−298958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した従来の技術では、以下に説明するように、外部の要因によって引き起こされた外部振動の影響を減少させることができないという課題がある。すなわち、ディスク装置において、外部の要因によって引き起こされた外部振動が生じると、上記した共振の場合と同様、ディスクに対するデータのリードフォルトやライトフォルトが発生しやすくなり、結局、ホスト・コンピュータを含む装置全体のパフォーマンスが低下する結果になる。しかしながら、特許文献1および特許文献2の手法では、ディスク装置内部における共振や劣化に基づいてコントローラ特性を変更するものに過ぎず、また、共振の影響を低下させることに効果があるコントローラ特性に変更するものに過ぎないことから、外部の要因によって引き起こされた外部振動の影響を減少させることができない。
【0007】
そこで、この発明は、上記した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、外部の要因によって引き起こされた外部振動の影響を減少させることが可能なコントローラ特性変更装置、記憶装置、コントローラ特性変更方法、およびコントローラ特性変更プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、記憶媒体にデータのリードおよび/またはライトを行うヘッドの位置決めを制御するコントローラに係るコントローラ特性を変更するコントローラ特性変更装置や、記憶装置であって、外部の要因によって引き起こされた前記ヘッドにおける外部振動の有無を検出する外部振動検出部と、前記ヘッドの位置決めの精度を重視する位置決め重視用コントローラ特性で前記コントローラが当該ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出部によって当該ヘッドにおける外部振動が有ることが検出された場合に、当該位置決め重視用コントローラ特性を、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる振動圧縮用コントローラ特性に変更する第一の変更部と、前記振動圧縮用コントローラ特性で前記コントローラが前記ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出部によって当該ヘッドにおける外部振動が無いことが検出された場合に、当該振動圧縮用コントローラ特性を、前記位置決め重視用コントローラ特性に変更する第二の変更部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、記憶媒体にデータのリードおよび/またはライトを行うヘッドの位置決めを制御するコントローラに係るコントローラ特性を変更するコントローラ特性変更方法であって、外部の要因によって引き起こされた前記ヘッドにおける外部振動の有無を検出する外部振動検出工程と、前記ヘッドの位置決めの精度を重視する位置決め重視用コントローラ特性で前記コントローラが当該ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出工程によって当該ヘッドにおける外部振動が有ることが検出された場合に、当該位置決め重視用コントローラ特性を、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる振動圧縮用コントローラ特性に変更する第一の変更工程と、前記振動圧縮用コントローラ特性で前記コントローラが前記ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出工程によって当該ヘッドにおける外部振動が無いことが検出された場合に、当該振動圧縮用コントローラ特性を、前記位置決め重視用コントローラ特性に変更する第二の変更工程と、を含んだことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、記憶媒体にデータのリードおよび/またはライトを行うヘッドの位置決めを制御するコントローラに係るコントローラ特性を変更する方法をコンピュータに実行させるコントローラ特性変更プログラムであって、外部の要因によって引き起こされた前記ヘッドにおける外部振動の有無を検出する外部振動検出手順と、前記ヘッドの位置決めの精度を重視する位置決め重視用コントローラ特性で前記コントローラが当該ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出手順によって当該ヘッドにおける外部振動が有ることが検出された場合に、当該位置決め重視用コントローラ特性を、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる振動圧縮用コントローラ特性に変更する第一の変更手順と、前記振動圧縮用コントローラ特性で前記コントローラが前記ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出手順によって当該ヘッドにおける外部振動が無いことが検出された場合に、当該振動圧縮用コントローラ特性を、前記位置決め重視用コントローラ特性に変更する第二の変更手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
従って、本発明によれば、記憶媒体にデータのリードおよび/またはライトを行うヘッドの位置決めを制御するコントローラに係るコントローラ特性を変更するコントローラ特性変更装置や、記憶装置であって、外部の要因によって引き起こされたヘッドにおける外部振動の有無を検出し、ヘッドの位置決めの精度を重視する位置決め重視用コントローラ特性でコントローラがヘッドの位置決めを制御している時に、ヘッドにおける外部振動が有ることが検出された場合に、位置決め重視用コントローラ特性を、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる振動圧縮用コントローラ特性に変更し、振動圧縮用コントローラ特性でコントローラがヘッドの位置決めを制御している時に、ヘッドにおける外部振動が無いことが検出された場合に、振動圧縮用コントローラ特性を、位置決め重視用コントローラ特性に変更するので、ヘッドにおいて外部振動が引き起こされている場合には、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させるコントローラ特性で、コントローラがヘッドの位置決めを制御することから、外部の要因によって引き起こされた外部振動の影響を減少させることが可能になる。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記外部振動検出部は、前記記憶媒体における前記ヘッドの位置を示すポジション信号を取得し、取得した当該ポジション信号が所定の閾値を超えるか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする。
【0013】
従って、本発明によれば、外部振動検出部は、記憶媒体におけるヘッドの位置を示すポジション信号を取得し、取得したポジション信号が所定の閾値を超えるか否かによって、外部振動の有無を検出するので、通常のヘッドの位置決め制御に利用されるポジション信号を利用し、新たな振動検出機構を利用することなくヘッドにおける外部振動の有無を検出することから、外部の要因によって引き起こされた外部振動の有無を簡易に検出して、外部振動の影響を減少させることが可能になる。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記外部振動検出部は、取得した前記ポジション信号にフィルタをかけた値が所定の閾値を超えるか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする。
【0015】
従って、本発明によれば、外部振動検出部は、取得したポジション信号にフィルタをかけた値が所定の閾値を超えるか否かによって、外部振動の有無を検出するので、通常のヘッドの位置決め制御に利用されるポジション信号を利用し、新たな振動検出機構を利用することなくヘッドにおける外部振動の有無を検出することから、また、ポジション信号にフィルタをかけた値を利用してヘッドにおける外部振動の有無を検出することから、外部の要因によって引き起こされた外部振動の有無を簡易かつ適切に検出して、外部振動の影響を減少させることが可能になる。
【0016】
また、本発明は、上記の発明において、前記外部振動検出部は、外部振動を所定の感度に設定されたセンサで検知するショックセンサの検知信号を取得したか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする。
【0017】
従って、本発明によれば、外部振動検出部は、外部振動を所定の感度に設定されたセンサで検知するショックセンサの検知信号を取得したか否かによって、外部振動の有無を検出するので、通常のディスク装置に利用されるショックセンサを利用し、新たな振動検出機構を利用することなくヘッドにおける外部振動の有無を検出することから、外部の要因によって引き起こされた外部振動の有無を簡易に検出して、外部振動の影響を減少させることが可能になる。
【0018】
また、本発明は、上記の発明において、前記外部振動検出部は、前記ヘッドが前記記憶媒体にライトできなかった回数を取得し、取得した当該ライトできなかった回数に係る値が所定の閾値を超えるか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする。
【0019】
従って、本発明によれば、外部振動検出部は、ヘッドが記憶媒体にライトできなかった回数を取得し、取得したライトできなかった回数に係る値が所定の閾値を超えるか否かによって、外部振動の有無を検出するので、通常のディスク装置に利用されるライトフォルトを利用し、新たな振動検出機構を利用することなくヘッドにおける外部振動の有無を検出することから、外部の要因によって引き起こされた外部振動の有無を簡易に検出して、外部振動の影響を減少させることが可能になる。
【0020】
また、本発明は、上記の発明において、前記外部振動検出部は、外部振動を所定の感度に設定されたセンサで検知するショックセンサの検知信号を取得した場合、および/または、前記記憶媒体における前記ヘッドの位置を示すポジション信号を取得し、取得した当該ポジション信号が所定の閾値を超えた場合に、当該ヘッドが当該記憶媒体にライトできなかったものとして、当該ライトできなかった回数を取得することを特徴とする。
【0021】
従って、本発明によれば、外部振動検出部は、外部振動を所定の感度に設定されたセンサで検知するショックセンサの検知信号を取得した場合、および/または、記憶媒体におけるヘッドの位置を示すポジション信号を取得し、取得したポジション信号が所定の閾値を超えた場合に、ヘッドが記憶媒体にライトできなかったものとして、ライトできなかった回数を取得するので、通常のディスク装置に利用されるショックセンサや、通常のヘッドの位置決め制御に利用されるポジション信号を利用し、新たな振動検出機構を利用することなくヘッドにおける外部振動の有無を検出することから、外部の要因によって引き起こされた外部振動の有無を簡易に検出して、外部振動の影響を減少させることが可能になる。また、ショックセンサの検知信号を取得した場合か、取得したポジション信号が所定の閾値を超えた場合の、いずれかの場合に該当すればライトフォルトとして判定することから、外部の要因によって引き起こされた外部振動の有無を漏れなく検出して、外部振動の影響を減少させることが可能になる。
【0022】
また、本発明は、上記の発明において、前記外部振動検出部は、前記記憶媒体の偏心を補正する偏心補正値の変化量を取得し、取得した当該変化量が所定の周波数帯域において所定の閾値を超えるか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする。
【0023】
従って、本発明によれば、外部振動検出部は、記憶媒体の偏心を補正する偏心補正値の変化量を取得し、取得した変化量が所定の周波数帯域において所定の閾値を超えるか否かによって、外部振動の有無を検出するので、通常のヘッドの位置決め制御に利用される偏心補正値を利用し、新たな振動検出機構を利用することなくヘッドにおける外部振動の有無を検出することから、外部の要因によって引き起こされた外部振動の有無を簡易に検出して、外部振動の影響を減少させることが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ヘッドにおいて外部振動が引き起こされている場合には、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させるコントローラ特性で、コントローラがヘッドの位置決めを制御することから、外部の要因によって引き起こされた外部振動の影響を減少させることが可能になる。また、このようなコントローラ特性に基づいて制御するコントローラを備えた記憶装置においては、外部振動の影響が減少することから、記憶装置全体のパフォーマンスを向上させることが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に添付図面を参照して、この発明に係るコントローラ特性変更装置、記憶装置、コントローラ特性変更方法、およびコントローラ特性変更プログラムの実施例を詳細に説明する。なお、以下では、この発明に係るコントローラ特性変更装置を含んで構成される記憶装置を実施例として説明する。また、以下の実施例で用いる主要な用語、実施例1における記憶装置の概要および特徴、実施例1における記憶装置の構成および処理の手順、実施例1の効果を順に説明し、次に、他の実施例について説明する。
【実施例1】
【0026】
[用語の説明]
まず最初に、以下の実施例で用いる主要な用語を説明する。「記憶装置」とは、データを記録するディスクと、ディスクにデータのリードやライトを行うヘッドと、ヘッドを所定の位置に移動させるボイス・コイル・モータ(VCM)と、これらを制御する制御用回路とで主に構成される装置のことである。「ディスク装置」においては、ディスクが一定の回転数で回転し、その上をヘッドが浮上しながら、データのリードやライトを行う。
【0027】
ところで、データのリードは、ヘッドがディスクの所定の位置に位置決めされ、所定の位置に記録されたデータをリードすることによって実現される。また、データのライトは、ヘッドがディスクの所定の位置に位置決めされ、所定の位置にデータをライトすることによって実現される。このようなヘッドの位置決めは、ディスク装置のマイクロ・コントロール・ユニット(MCU)などに備えられる「コントローラ」によって制御される。
【0028】
ここで、「コントローラ」によって制御されるヘッドの位置決めについて、具体的に説明する。ディスクには、ホスト・コンピュータにおける処理に利用されるデータである「ユーザデータ」の他に、ヘッドの位置決め制御に用いられるデータである「サーボ制御用データ」が記録されている。この「サーボ制御用データ」には、ディスクにおける位置情報などが記録されているので、ヘッドによってリードされた「サーボ制御用データ」が「コントローラ」に送信されると、「コントローラ」は、ヘッドの現在位置を計算する。次に、「コントローラ」は、ヘッドの現在位置に基づいてフィルタ計算を行い、フィルタ計算で得られた制御値によって、ボイス・コイル・モータを制御する。ボイス・コイル・モータは、上記したように、ヘッドを所定の位置に移動させる駆動部であるので、ボイス・コイル・モータが制御されると、その結果、ヘッドの位置決めが制御されることになる。
【0029】
このように、「コントローラ」は、フィルタ計算で得られた制御値によって、ボイス・コイル・モータを制御してヘッドの位置決めを制御しているので、どのような計算式でフィルタ計算を行うかによって、得られる制御値が異なり、ヘッドの位置決めも異なる制御となる。このため、フィルタの計算式を「コントローラ特性」というが、正確な位置決め制御を行うためには、どのような計算式でフィルタ計算を行うべきか、すなわち、どのような「コントローラ特性」で位置決め制御を行うべきであるかが、ディスク装置におけるヘッドの位置決め制御にとって重要な点となる。
【0030】
[実施例1における記憶装置の概要および特徴]
続いて、図1を用いて、実施例1における記憶装置の概要および特徴を説明する。図1は、実施例1における記憶装置の概要および特徴を説明するための図である。
【0031】
実施例1における記憶装置は、上記したように、ディスクにデータのリードやライトを行うヘッドの位置決めをコントローラ特性に基づいて制御するコントローラを備えることを概要とし、外部の要因によって引き起こされた外部振動の影響を減少させることを主たる特徴とする。
【0032】
この主たる特徴について簡単に説明すると、実施例1における記憶装置のコントローラは、通常、図1の(A)に示すように、ヘッドの位置決めの精度を重視する位置決め重視用コントローラ特性で、ヘッドの位置決めを制御している。
【0033】
まず、実施例1における記憶装置が備えるコントローラ特性変更装置は、外部の要因によって引き起こされたヘッドにおける外部振動が有ることを検出する(図1の(B)の(1)を参照)。すると、コントローラ特性変更装置は、位置決め重視用コントローラ特性を、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる振動圧縮用コントローラ特性に変更する(図1の(C)の(2)を参照)。
【0034】
次に、コントローラ特性変更装置は、ヘッドにおける外部振動が無いことを検出する(図1の(D)の(3)を参照)。すると、コントローラ特性変更装置は、振動圧縮用コントローラ特性を、位置決め重視用コントローラ特性に変更する(図1の(E)の(4)を参照)。
【0035】
このようにして、実施例1における記憶装置は、ヘッドにおいて外部振動が引き起こされている場合には、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させるコントローラ特性で、コントローラがヘッドの位置決めを制御することから、外部の要因によって引き起こされた外部振動の影響を減少させることが可能になる。また、このようなコントローラ特性に基づいて制御するコントローラを備えた記憶装置においては、外部振動の影響が減少することから、記憶装置全体のパフォーマンスを向上させることが可能になるという効果を奏する。
【0036】
[実施例1における記憶装置の構成]
次に、図2〜図4を用いて、実施例1における記憶装置の構成を説明する。図2は、実施例1における記憶装置の構成を示すブロック図であり、図3および図4は、コントローラ特性を説明するための図である。
【0037】
図2に示すように、実施例1における記憶装置10は、ディスク11と、ディスク駆動部12と、ショックセンサ15と、サーボ・コントローラ部20と、リード・チャネル部30と、ハードディスク・コントローラ部40と、マイクロ・コントロール・ユニット部50と、ランダム・アクセス・メモリ部60とから主に構成される。なお、実施例1における記憶装置10が備えるコントローラ特性変更装置は、以下に説明するように、マイクロ・コントロール・ユニット部50において備えられる。
【0038】
ディスク11は、ユーザデータおよびサーボ制御用データを記録する手段である。具体的には、ディスク11は、金属またはガラス製の円盤(ディスク)状の基板に磁性膜を形成した円盤であり、ユーザデータおよびサーボ制御用データを磁気で記録する。ここで、ユーザデータとは、ホスト・コンピュータ1における処理に利用されるデータのことであり、サーボ制御用データとは、ヘッド13の位置決め制御に利用されるデータのことである。ディスク11は、ヘッド13によって、記録しているデータ(ユーザデータおよびサーボ制御用データ)をリードされたり、データ(ユーザデータ)をライトされたりする。
【0039】
ディスク駆動部12は、ディスク11において、ユーザデータおよびサーボ制御用データのリードや、ユーザデータのライトを行う手段であり、図2に示すように、ヘッド13やボイス・コイル・モータ14などを備える。ヘッド13は、ディスク11にデータのリードやライトを行う手段である。具体的には、ヘッド13は、磁気を電気信号に変換する素子で形成され、回転するディスク11の上を浮上しながら、データのリードやライトを行う。例えば、ヘッド13は、ディスク11に磁気で記録されたユーザデータおよびサーボ制御用データをリードし、電気信号に変換したデータを、図示しないヘッド・アンプを介して、リード・チャネル部30に送信する。
【0040】
ここで、ヘッド13が、ディスク11上の所定の位置でユーザデータのリードやライトを行うためには、ヘッド13がディスク11上の所定の位置に位置決めされるように、記憶装置10において、ヘッド13の位置決め制御が行われる必要がある。このようなヘッド13の位置決め制御は、ボイス・コイル・モータ14、サーボ・コントローラ部20、および後述するコントローラ部51によって実現される。
【0041】
ボイス・コイル・モータ14(VCM:Voice Coil Motor)は、ヘッド13の位置決め制御を行う手段である。具体的には、ボイス・コイル・モータ14は、ディスク駆動部12を動作させるモータであり、モータを回転することで、ヘッド13の位置決め制御を行う。また、ボイス・コイル・モータ14は、サーボ・コントローラ部20に接続され、サーボ・コントローラ部20によって制御される。
【0042】
ショックセンサ15は、記憶装置10において生じた振動を検出する手段である。具体的には、ショックセンサ15は、圧電素子などで形成され、振動を圧電効果により電圧に変換することで、記憶装置10において生じた振動を電気的に検出する。また、ショックセンサ15は、サーボ・コントローラ部20に接続され、記憶装置10において検出した振動に係る情報を、サーボ・コントローラ部20に送信する。例えば、ショックセンサ15が振動を検出し、振動に係る情報をサーボ・コントローラ部20に送信すると、サーボ・コントローラ部20においては、ヘッド13がディスク11から退避するようにボイス・コイル・モータ14を制御するなどする。
【0043】
サーボ・コントローラ部20(SVC:Servo Controller)は、主に、図示しないスピンドル・モータ(SPM:Spindle Motor)とボイス・コイル・モータ14(VCM:Voice Coil Motor)とを駆動する手段である。具体的には、サーボ・コントローラ部20は、ディスク11を回転させるためのモータであるスピンドル・モータを駆動するパワー回路や、ヘッド13の位置決め制御を行うボイス・コイル・モータ14を駆動するパワー回路などを備え、図示しないスピンドル・モータと、ボイス・コイル・モータ14と、ショックセンサ15と、ハードディスク・コントローラ部40と、マイクロ・コントロール・ユニット部50とに接続される。
【0044】
例えば、サーボ・コントローラ部20は、マイクロ・コントロール・ユニット部50から、後述するコントローラ部51におけるフィルタ計算で得られた制御値の入力を受け付け、この制御値に基づいてボイス・コイル・モータ14を制御する。また、例えば、サーボ・コントローラ部20は、ショックセンサ15から振動に係る情報の入力を受け付け、この振動に係る情報に基づいてボイス・コイル・モータ14を制御する。また、例えば、サーボ・コントローラ部20は、振動に係る情報を、ハードディスク・コントローラ部40やマイクロ・コントロール・ユニット部50などに送信する。
【0045】
リード・チャネル部30(RDC:Read Channel)は、主に、ディスク11からリードされたデータのコード復調を行い、また、ディスク11にライトするデータのコード変調を行う手段である。具体的には、リード・チャネル部30は、データの信号処理用の回路や、サーボ制御用データからディスクにおける位置情報などを取り出す回路などを備え、ヘッド13とハードディスク・コントローラ部40とに接続される(ただし、ヘッド13とは、図示しないヘッド・アンプを介して接続される)。
【0046】
ハードディスク・コントローラ部40(HDC:Hard Disk Controller)は、主に、ホスト・コンピュータ1と記憶装置10とのインタフェース制御や、記憶装置10における各部のインタフェース制御を行う手段である。具体的には、ハードディスク・コントローラ部40は、ホスト・コンピュータ1と記憶装置10との間で転送されるデータのエラーを訂正するエラー訂正回路や、ホスト・コンピュータ1と記憶装置10との間のインタフェースや、リード・チャネル部30とマイクロ・コントロール・ユニット部50との間のインタフェースなどを制御するインタフェース制御回路などを備え、ホスト・コンピュータ1と、サーボ・コントローラ部20と、リード・チャネル部30と、マイクロ・コントロール・ユニット部50とに接続される。
【0047】
例えば、ハードディスク・コントローラ部40は、ホスト・コンピュータ1からデータ(ユーザデータ)の入力を受け付け、データにエラー訂正コードを追加して、リード・チャネル部30に送信する。また、例えば、ハードディスク・コントローラ部40は、リード・チャネル部30からデータ(ユーザデータ)の入力を受け付け、必要に応じてエラー訂正を行い、ホスト・コンピュータ1に送信する。
【0048】
マイクロ・コントロール・ユニット部50(MCU:Micro Control Unit)は、主に、記憶装置10全体の制御や、ヘッド13の位置決め制御を行う手段である。具体的には、マイクロ・コントロール・ユニット部50は、CPU(Central Processing Unit)や、ROM(Read Only Memory)などを備え、サーボ・コントローラ部20と、ハードディスク・コントローラ部40と、ランダム・アクセス・メモリ部60とに接続される。また、マイクロ・コントロール・ユニット部50は、特に、この発明に密接に関連するものとして、図2に示すように、本実施例ではCPUのファームウェアのプログラムモジュールとして構成された、コントローラ部51と、ライトフォルト検出部52と、外部振動検出部53と、第一のコントローラ特性変更部54と、第二のコントローラ特性変更部55とを備える。
【0049】
かかるマイクロ・コントロール・ユニット部50のなかで、コントローラ部51は、ディスク11にデータのリードやライトを行うヘッド13の位置決めを制御する手段である。ここで、コントローラ部51によって実行されるヘッド13の位置決め制御について具体的に説明すると、まず、コントローラ部51は、ヘッド13によってディスク11からリードされたサーボ制御用データの入力を受け付ける。このサーボ制御用データには、ディスクにおける位置情報などが記録されているので、コントローラ部51は、ヘッド13の現在位置を計算する。次に、コントローラ部51は、ヘッド13の現在位置に基づいてフィルタ計算を行い、フィルタ計算で得られた制御値を、サーボ・コントローラ部20に送信する。すると、サーボ・コントローラ部20は、制御値に基づいてボイス・コイル・モータ14を制御する。ボイス・コイル・モータ14は、ヘッド13を所定の位置に移動させる駆動部であるので、ボイス・コイル・モータ14が制御されると、その結果、ヘッド13の位置決めが制御されることになる。なお、このような位置決め制御は、図3に示すような、オープンループ制御を行っている。
【0050】
ところで、上記したフィルタ計算の計算式を、コントローラ部51の「コントローラ特性」という。コントローラ部51は、フィルタ計算で得られた制御値によって、ボイス・コイル・モータ14を制御してヘッド13の位置決めを制御しているので、どのようなコントローラ特性で位置決め制御を行うかによって、得られる制御値が異なり、ヘッドの位置決めも異なる制御となる。実施例1におけるコントローラ部51のコントローラ特性は、図3に示すような「u=Fx」という計算式で表される。ここで、「u」は、ボイス・コイル・モータ14に流す電流(操作量)であり、「x」はオブザーバの状態変数(例えば、推定速度、推定位置など)であり、「F」は係数である。
【0051】
例えば、この係数「F」の値を大きな値にすると、サーボ帯域がアップし、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させることになることから、実施例1におけるコントローラ部51は、このようなコントローラ特性を、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる「振動圧縮用コントローラ特性」とする。この時、振動圧縮用コントローラ特性は、特に高周波数帯域において、ヘッドの位置決めの精度を悪化する。一方、この係数「F」の値を小さな値にすると、サーボ帯域がダウンし、低周波数帯域の振動の圧縮効果は低下する。この時、このようなコントローラ特性は、ヘッドの位置決めの精度を向上することから、実施例1におけるコントローラ部51は、このようなコントローラ特性を、ヘッドの位置決め精度を重視する「位置決め重視用コントローラ特性」とする。なお、実施例1においては、コントローラ部51のコントローラ特性の計算式として、「u=Fx」という計算式を説明したが、この発明はこれに限られるものではなく、ヘッドの位置決めの精度を重視する制御値を算出する計算式および低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる制御値を算出する計算式であれば、いずれでもよい。
【0052】
次に、上記した振動の圧縮効果について、図4を用いて説明すると、図4は、ディスク装置のヘッドにおける振動の圧縮率(縦軸)を、周波数(横軸)ごとにプロットしたものである。縦軸の値が負値の場合には、振動の圧縮効果が向上することを意味し、正値の場合には、振動の圧縮効果が低下し、逆に振動を大きくすること意味する。図4は、5種類のコントローラによるコントローラ特性をプロットしている。「FW00」(太線の実線)が、ヘッドの位置決めの精度を重視する「位置決め重視用コントローラ特性」であり、「FW02」、「FW03」、「FW04」、「FW05」などその他の4本の線が、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる「振動圧縮用コントローラ特性」である。
【0053】
ここで、周波数が300Hz〜500Hz程度のところに着目してみると、「位置決め重視用コントローラ特性」の実線(太線)よりも、「振動圧縮用コントローラ特性」の4本の線の方が、負値をとっており、振動の圧縮効果が向上している様子を読み取ることができる(図4の(1)を参照)。一方、周波数が1kHz〜2.5kHz程度のところに着目してみると、「位置決め重視用コントローラ特性」の実線(太線)よりも、「振動圧縮用コントローラ特性」の4本の線の方が、正値をとっており、振動の圧縮効果が低下している様子を読み取ることができる(図4の(2)を参照)。すなわち、周波数300Hz〜500Hz程度の振動では、コントローラの特性が、「位置決め重視用コントローラ特性」より「振動圧縮用コントローラ特性」であった方が、振動の圧縮効果をより向上させることが可能になるが、逆に、周波数1kHz〜2.5kHz程度の振動では、コントローラの特性が「振動圧縮用コントローラ特性」であると、振動の圧縮効果をより低下させる(振動を大きくしてしまう)ことがわかる。
【0054】
図2に戻ると、ライトフォルト検出部52は、ヘッド13がディスク11にライトできなかったこと(ライトフォルト)を検出する手段である。具体的には、ライトフォルト検出部52は、ハードディスク・コントローラ部40とライトフォルト記憶部61とに接続され、ハードディスク・コントローラ部40などからライトフォルトに係る情報を受信し、ライトフォルトを検出してライトフォルト記憶部61に記憶する。
【0055】
外部振動検出部53は、外部の要因によって引き起こされたヘッド13における外部振動の有無を検出する手段である。具体的には、実施例1における外部振動検出部53は、ヘッド13がディスク11にライトできなかった回数(ライトフォルト回数)を取得し、取得したライトフォルトが一定時間内に発生した回数(ライトフォルト発生率)を計算し、計算したライトフォルト発生率が、所定の閾値を超えるか否かによって、外部振動の有無を検出する。また、外部振動検出部53は、ライトフォルト記憶部61と、第一のコントローラ特性変更部54と、第二のコントローラ特性変更部55とに接続され、ライトできなかった回数(ライトフォルト回数)をライトフォルト記憶部61から取得し、外部振動の検出結果を第一のコントローラ特性変更部54または第二のコントローラ特性変更部55に送信する。
【0056】
例えば、外部振動検出部53は、計算したライトフォルト発生率が、所定の閾値を超えた場合には、ヘッドにおける外部振動が有ることが検出された場合であるとして、第一のコントローラ特性変更部54に、ヘッドにおける外部振動が有ることが検出されたことを送信する。また、例えば、外部振動検出部53は、計算したライトフォルト発生率が、所定の閾値を超えなかった場合には、ヘッドにおける外部振動が無いことが検出された場合であるとして、第二のコントローラ特性変更部55に、ヘッドにおける外部振動が無いことが検出されたことを送信する。
【0057】
第一のコントローラ特性変更部54は、コントローラ部51のコントローラ特性を、ヘッドの位置決めの精度を重視する「位置決め重視用コントローラ特性」から、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる「振動圧縮用コントローラ特性」に変更する手段である。具体的には、第一のコントローラ特性変更部54は、外部振動検出部53と、コントローラ部51とに接続され、「位置決め重視用コントローラ特性」でコントローラ部51がヘッド13の位置決めを制御している時に、外部振動検出部53からヘッド13における外部振動が有ることが検出されたことを受信すると、「位置決め重視用コントローラ特性」を、「振動圧縮用コントローラ特性」に変更する。
【0058】
第二のコントローラ特性変更部55は、コントローラ部51のコントローラ特性を、「振動圧縮用コントローラ特性」から「位置決め重視用コントローラ特性」に変更する手段である。具体的には、第二のコントローラ特性変更部55は、外部振動検出部53と、コントローラ部51とに接続され、「振動圧縮用コントローラ特性」でコントローラ部51がヘッド13の位置決めを制御している時に、外部振動検出部53からヘッド13における外部振動が無いことが検出されたことを受信すると、「振動圧縮用コントローラ特性」を、「位置決め重視用コントローラ特性」に変更する。
【0059】
ランダム・アクセス・メモリ部60(RAM:Random Access Memory)は、記憶装置10において、データを一時的に記憶する手段である。具体的には、ランダム・アクセス・メモリ部60は、マイクロ・コントロール・ユニット部50に接続され、マイクロ・・コントロール・ユニット部50で利用されるデータを、一時的に記憶する。また、ランダム・アクセス・メモリ部60は、特に、この発明に密接に関連するものとして、図2に示すように、ライトフォルト記憶部61を備える。
【0060】
かかるランダム・アクセス・メモリ部60のなかで、ライトフォルト記憶部61は、記憶装置10においてヘッド13がライトできなかった回数(ライトフォルト回数)を記憶する手段である。具体的には、ライトフォルト記憶部61は、ライトフォルト検出部52と、外部振動検出部53とに接続され、ライトフォルト検出部52によって検出されたライトフォルトの回数を記憶し、記憶した回数を、外部振動検出部53に送信する。
【0061】
なお、実施例1においては、記憶装置10として、図2に示す構成の記憶装置10を説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、例えば、リード・チャネル部30とハードディスク・コントローラ部40とマイクロ・コントロール・ユニット部50とが集積して構成される場合や、図示しないその他の部を含めて構成される場合や、ライトフォルト記憶部61が、図2とは異なる部に記憶される場合など、各部の構成や接続の形態などは、いずれでもよい。
【0062】
[実施例1における記憶装置による処理]
次に、図5を用いて、実施例1における記憶装置による処理を説明する。図5は、実施例1における記憶装置による処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下では、記憶装置10による処理のうち、この発明に密接に関連する処理として、実施例1における記憶装置10が備えるコントローラ特性変更装置(外部振動検出部53、第一のコントローラ特性変更部54、および第二のコントローラ特性変更部55)によって実施されるコントローラ特性変更処理について説明する。また、記憶装置10においては、通常、ヘッド13の位置決めの精度を重視する位置決め重視用コントローラ特性でヘッド13の位置決めを制御しているものとし、以下は、そのような記憶装置10のヘッド13において外部振動が生じた際の処理の手順を説明するものである。
【0063】
まず、実施例1おける記憶装置10は、外部振動検出部53において、外部要因によって引き起こされたヘッド13における外部振動が有ることを検出したか否かを判断する(ステップS501)。具体的には、記憶装置10は、外部振動検出部53において、ヘッド13がディスク11にライトできなかった回数(ライトフォルト回数)をライトフォルト記憶部61から取得し、取得したライトフォルト回数からライトフォルト発生率を計算し、計算したライトフォルト発生率が所定の閾値を超えるか否かを判断する。ライトフォルト発生率が所定の閾値を超えなかった場合には(ステップS501否定)、記憶装置10は、外部振動検出部53において、ヘッド13における外部振動が無いことが検出された場合であるとして、ヘッド13における外部振動が有ることを検出したか否かを判断する処理に戻る(S501)。
【0064】
一方、外部振動検出部53において、ライトフォルト発生率が所定の閾値を超えた場合には(ステップS501肯定)、記憶装置10は、第一のコントローラ特性変更部54において、コントローラ部51のコントローラ特性を、振動圧縮用コントローラ特性に変更する(ステップS502)。具体的には、記憶装置10は、位置決め重視用コントローラ特性でコントローラ部51がヘッド13の位置決めを制御している時に、ヘッド13における外部振動が有ることが検出された場合に、第一のコントローラ特性変更部54において、位置決め重視用コントローラ特性を、振動圧縮用コントローラ特性に変更する。
【0065】
次に、記憶装置10は、外部振動検出部53において、外部要因によって引き起こされたヘッド13における外部振動が無いことを検出したか否かを判断する(ステップS503)。具体的には、記憶装置10は、外部振動検出部53において、ヘッド13がディスク11にライトできなかった回数(ライトフォルト回数)をライトフォルト記憶部61から取得し、取得したライトフォルト回数からライトフォルト発生率を計算し、計算したライトフォルト発生率が所定の閾値を超えたか否かを判断する。ライトフォルト発生率が所定の閾値を超えた場合には(ステップS503否定)、記憶装置10は、外部振動検出部53において、ヘッド13における外部振動が有ることが検出された場合であるとして、ヘッド13における外部振動が無いことを検出したか否かを判断する処理に戻る(S503)。
【0066】
一方、外部振動検出部53において、ライトフォルト発生率が所定の閾値を超えない場合には(ステップS503肯定)、記憶装置10は、第二のコントローラ特性変更部55において、コントローラ部51のコントローラ特性を、位置決め重視用コントローラ特性に変更する(ステップS504)。具体的には、記憶装置10は、振動圧縮用コントローラ特性でコントローラ部51がヘッド13の位置決めを制御している時に、ヘッド13における外部振動が無いことが検出された場合に、第二のコントローラ特性変更部55において、振動圧縮用コントローラ特性を、位置決め重視用コントローラ特性に変更する。
【0067】
このようにして、実施例1における記憶装置10は、ヘッドにおいて外部振動が引き起こされている場合には、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させるコントローラ特性で、コントローラがヘッドの位置決めを制御することから、外部の要因によって引き起こされた外部振動の影響を減少させることが可能になる。また、このようなコントローラ特性に基づいて制御するコントローラを備えた記憶装置10においては、外部振動の影響が減少することから、記憶装置10全体のパフォーマンスを向上させることが可能になるという効果を奏する。
【0068】
[実施例1の効果]
上記してきたように、実施例1によれば、記憶媒体にデータのリードおよび/またはライトを行うヘッドの位置決めを制御するコントローラに係るコントローラ特性を変更するコントローラ特性変更装置や、記憶装置であって、外部の要因によって引き起こされたヘッドにおける外部振動の有無を検出し、ヘッドの位置決めの精度を重視する位置決め重視用コントローラ特性でコントローラがヘッドの位置決めを制御している時に、ヘッドにおける外部振動が有ることが検出された場合に、位置決め重視用コントローラ特性を、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる振動圧縮用コントローラ特性に変更し、振動圧縮用コントローラ特性でコントローラがヘッドの位置決めを制御している時に、ヘッドにおける外部振動が無いことが検出された場合に、振動圧縮用コントローラ特性を、位置決め重視用コントローラ特性に変更するので、ヘッドにおいて外部振動が引き起こされている場合には、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させるコントローラ特性で、コントローラがヘッドの位置決めを制御することから、外部の要因によって引き起こされた外部振動の影響を減少させることが可能になる。
【0069】
また、実施例1によれば、ヘッドが記憶媒体にライトできなかった回数を取得し、取得したライトできなかった回数に係る値が所定の閾値を超えるか否かによって、外部振動の有無を検出するので、通常のディスク装置に利用されるライトフォルトを利用し、新たな振動検出機構を利用することなくヘッドにおける外部振動の有無を検出することから、外部の要因によって引き起こされた外部振動の有無を簡易に検出して、外部振動の影響を減少させることが可能になる。
【実施例2】
【0070】
ところで、これまで実施例1における記憶装置10について説明したが、この発明は上記した実施例以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、実施例2における記憶装置10として、異なる実施例を説明する。
【0071】
[外部振動検出]
上記の実施例1では、外部振動検出部として、ヘッドがディスクにライトできなかった回数を取得し、取得したライトできなかった回数に係る値(ライトフォルト発生率)が所定の閾値を超えるか否かによって、外部振動の有無を検出する部を説明したが、この発明はこれに限られるものではなく、ディスクにおけるヘッドの位置を示すポジション信号を取得し、取得したポジション信号が所定の閾値を超えるか否かによって、外部振動の有無を検出する部にも、この発明を同様に適用することができる。
【0072】
また、上記の実施例1では、外部振動検出部として、ヘッドがディスクにライトできなかった回数を取得し、取得したライトできなかった回数に係る値(ライトフォルト発生率)が所定の閾値を超えるか否かによって、外部振動の有無を検出する部を説明したが、この発明はこれに限られるものではなく、ディスクにおけるヘッドの位置を示すポジション信号を取得し、取得したポジション信号にフィルタをかけた値が所定の閾値を超えるか否かによって、外部振動の有無を検出する部にも、この発明を同様に適用することができる。
【0073】
ここで、ポジション信号にフィルタをかけて外部振動の有無を検出する部について具体的に説明すると、例えば、ポジション信号を絶対値に置き換え、ポジション信号が絶対値に置き換えられる度に、ポジション信号の絶対値に対してローパスフィルタをかけ、次に、ローパスフィルタをかけられたポジション信号の絶対値から、ヘッドの位置が本来のリードやライトする位置から外れている距離や継続時間に基づいて計算したデータを作成し、作成されたデータが所定の閾値を超えるか否かによって、外部振動の有無を検出する部である。
【0074】
また、上記の実施例1では、外部振動検出部として、ヘッドがディスクにライトできなかった回数を取得し、取得したライトできなかった回数に係る値(ライトフォルト発生率)が所定の閾値を超えるか否かによって、外部振動の有無を検出する部を説明したが、この発明はこれに限られるものではなく、外部振動を所定の感度に設定されたセンサで検知するショックセンサの検知信号を取得したか否かによって、外部振動の有無を検出する部にも、この発明を同様に適用することができる。
【0075】
また、上記の実施例1では、外部振動検出部として、ヘッドがディスクにライトできなかった回数を取得し、取得したライトできなかった回数に係る値(ライトフォルト発生率)が所定の閾値を超えるか否かによって、外部振動の有無を検出する部を説明したが、この発明はこれに限られるものではなく、外部振動を所定の感度に設定されたセンサで検知するショックセンサの検知信号を取得した場合、および/または、ディスクにおけるヘッドの位置を示すポジション信号を取得し、取得したポジション信号が所定の閾値を超えた場合に、ヘッドがディスクにライトできなかったものとして、ライトできなかった回数を取得し、取得したライトできなかった回数に係る値が所定の閾値が超えるか否かによって、外部振動の有無を検出する部にも、この発明を同様に適用することができる。
【0076】
また、上記の実施例1では、外部振動検出部として、ヘッドがディスクにライトできなかった回数を取得し、取得したライトできなかった回数に係る値(ライトフォルト発生率)が所定の閾値を超えるか否かによって、外部振動の有無を検出する部を説明したが、この発明はこれに限られるものではなく、ディスクの偏心を補正する偏心補正値の変化量を取得し、取得した変化量が所定の周波数帯域において所定の閾値を超えるか否かによって、外部振動の有無を検出する部にも、この発明を同様に適用することができる。
【0077】
ここで、偏心補正値の変化量で外部振動の有無を検出する部について具体的に説明すると、例えば、ディスク装置が振動に弱い周波数帯域が500Hz前後であると仮定し、偏心補正値の変化量が300Hz〜500Hzの間で所定の閾値を超えるか否かによって、外部振動の有無を検出する。
【0078】
また、上記の実施例1では、ヘッドにおける外部振動が無いことが検出された場合に、振動圧縮用コントローラ特性を位置決め重視用コントローラ特性に変更する手法を説明したが、この発明はこれに限られるものではなく、例えば、振動圧縮用コントローラ特性でコントローラがヘッドの位置決めを制御している時のライトフォルト発生率が、位置決め重視用コントローラ特性でコントローラがヘッドの位置決めを制御している時のライトフォルト発生率よりも多くなった場合に、振動圧縮用コントローラ特性を位置決め重視用コントローラ特性に変更する手法などにも、この発明を同様に適用することができる。
【0079】
[システム構成等]
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。また、上記の実施例では、CPUのファームウェアプログラムにより実現する手法を説明したが、この発明はこれに限られるものではなく、その他の構成により実現する手法にも、この発明を同様に適用することができる。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示(例えば、図2など)のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる(例えば、リード・チャネル部30とハードディスク・コントローラ部40とマイクロ・コントロール・ユニット部50とを統合して構成することができるなど)。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、MCU(もしくは、CPUやMPUなどの処理装置)および当該MCU(もしくは、CPUやMPUなどの処理装置)にて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0080】
なお、上記の実施例で説明したコントローラ特性変更方法(外部振動検出プログラム、第一のコントローラ特性変更プログラム、および第二のコントローラ特性変更プログラム)は、コンピュータとしてのディスク装置におけるマイクロ・コントロール・ユニットで実行することによって実現することができる。これらのプログラム(外部振動検出プログラム、第一のコントローラ特性変更プログラム、および第二のコントローラ特性変更プログラム)は、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0081】
(付記1)記憶媒体にデータのリードおよび/またはライトを行うヘッドの位置決めを制御するコントローラに係るコントローラ特性を変更するコントローラ特性変更装置であって、
外部の要因によって引き起こされた前記ヘッドにおける外部振動の有無を検出する外部振動検出部と、
前記ヘッドの位置決めの精度を重視する位置決め重視用コントローラ特性で前記コントローラが当該ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出部によって当該ヘッドにおける外部振動が有ることが検出された場合に、当該位置決め重視用コントローラ特性を、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる振動圧縮用コントローラ特性に変更する第一の変更部と、
前記振動圧縮用コントローラ特性で前記コントローラが前記ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出部によって当該ヘッドにおける外部振動が無いことが検出された場合に、当該振動圧縮用コントローラ特性を、前記位置決め重視用コントローラ特性に変更する第二の変更部と、
を備えたことを特徴とするコントローラ特性変更装置。
【0082】
(付記2)前記外部振動検出部は、前記記憶媒体における前記ヘッドの位置を示すポジション信号を取得し、取得した当該ポジション信号が所定の閾値を超えるか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする付記1に記載のコントローラ特性変更装置。
【0083】
(付記3)前記外部振動検出部は、取得した前記ポジション信号にフィルタをかけた値が所定の閾値を超えるか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする付記2に記載のコントローラ特性変更装置。
【0084】
(付記4)前記外部振動検出部は、外部振動を所定の感度に設定されたセンサで検知するショックセンサの検知信号を取得したか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする付記1〜3のいずれかひとつに記載のコントローラ特性変更装置。
【0085】
(付記5)前記外部振動検出部は、前記ヘッドが前記記憶媒体にライトできなかった回数を取得し、取得した当該ライトできなかった回数に係る値が所定の閾値を超えるか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする付記1〜4のいずれかひとつに記載のコントローラ特性変更装置。
【0086】
(付記6)前記外部振動検出部は、外部振動を所定の感度に設定されたセンサで検知するショックセンサの検知信号を取得した場合、および/または、前記記憶媒体における前記ヘッドの位置を示すポジション信号を取得し、取得した当該ポジション信号が所定の閾値を超えた場合に、当該ヘッドが当該記憶媒体にライトできなかったものとして、当該ライトできなかった回数を取得することを特徴とする付記5に記載のコントローラ特性変更装置。
【0087】
(付記7)前記外部振動検出部は、前記記憶媒体の偏心を補正する偏心補正値の変化量を取得し、取得した当該変化量が所定の周波数帯域において所定の閾値を超えるか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする付記1〜6のいずれかひとつに記載のコントローラ特性変更装置。
【0088】
(付記8)記憶媒体にデータのリードおよび/またはライトを行うヘッドの位置決めをコントローラ特性に基づいて制御するコントローラを備えた記憶装置であって、
外部の要因によって引き起こされた前記ヘッドにおける外部振動の有無を検出する外部振動検出部と、
前記ヘッドの位置決めの精度を重視する位置決め重視用コントローラ特性で前記コントローラが当該ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出部によって当該ヘッドにおける外部振動が有ることが検出された場合に、当該位置決め重視用コントローラ特性を、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる振動圧縮用コントローラ特性に変更する第一の変更部と、
前記振動圧縮用コントローラ特性で前記コントローラが前記ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出部によって当該ヘッドにおける外部振動が無いことが検出された場合に、当該振動圧縮用コントローラ特性を、前記位置決め重視用コントローラ特性に変更する第二の変更部と、
を備えたことを特徴とする記憶装置。
【0089】
(付記9)前記外部振動検出部は、前記記憶媒体における前記ヘッドの位置を示すポジション信号を取得し、取得した当該ポジション信号が所定の閾値を超えるか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする付記8に記載の記憶装置。
【0090】
(付記10)前記外部振動検出部は、取得した前記ポジション信号にフィルタをかけた値が所定の閾値を超えるか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする付記9に記載の記憶装置。
【0091】
(付記11)前記外部振動検出部は、外部振動を所定の感度に設定されたセンサで検知するショックセンサの検知信号を取得したか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする付記8〜10のいずれかひとつに記載の記憶装置。
【0092】
(付記12)前記外部振動検出部は、前記ヘッドが前記記憶媒体にライトできなかった回数を取得し、取得した当該ライトできなかった回数に係る値が所定の閾値を超えるか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする付記8〜11のいずれかひとつに記載の記憶装置。
【0093】
(付記13)前記外部振動検出部は、外部振動を所定の感度に設定されたセンサで検知するショックセンサの検知信号を取得した場合、および/または、前記記憶媒体における前記ヘッドの位置を示すポジション信号を取得し、取得した当該ポジション信号が所定の閾値を超えた場合に、当該ヘッドが当該記憶媒体にライトできなかったものとして、当該ライトできなかった回数を取得することを特徴とする付記12に記載の記憶装置。
【0094】
(付記14)前記外部振動検出部は、前記記憶媒体の偏心を補正する偏心補正値の変化量を取得し、取得した当該変化量が所定の周波数帯域において所定の閾値を超えるか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする付記8〜13のいずれかひとつに記載の記憶装置。
【0095】
(付記15)記憶媒体にデータのリードおよび/またはライトを行うヘッドの位置決めを制御するコントローラに係るコントローラ特性を変更するコントローラ特性変更方法であって、
外部の要因によって引き起こされた前記ヘッドにおける外部振動の有無を検出する外部振動検出工程と、
前記ヘッドの位置決めの精度を重視する位置決め重視用コントローラ特性で前記コントローラが当該ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出工程によって当該ヘッドにおける外部振動が有ることが検出された場合に、当該位置決め重視用コントローラ特性を、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる振動圧縮用コントローラ特性に変更する第一の変更工程と、
前記振動圧縮用コントローラ特性で前記コントローラが前記ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出工程によって当該ヘッドにおける外部振動が無いことが検出された場合に、当該振動圧縮用コントローラ特性を、前記位置決め重視用コントローラ特性に変更する第二の変更工程と、
を含んだことを特徴とするコントローラ特性変更方法。
【0096】
(付記16)記憶媒体にデータのリードおよび/またはライトを行うヘッドの位置決めを制御するコントローラに係るコントローラ特性を変更する方法をコンピュータに実行させるコントローラ特性変更プログラムであって、
外部の要因によって引き起こされた前記ヘッドにおける外部振動の有無を検出する外部振動検出手順と、
前記ヘッドの位置決めの精度を重視する位置決め重視用コントローラ特性で前記コントローラが当該ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出手順によって当該ヘッドにおける外部振動が有ることが検出された場合に、当該位置決め重視用コントローラ特性を、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる振動圧縮用コントローラ特性に変更する第一の変更手順と、
前記振動圧縮用コントローラ特性で前記コントローラが前記ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出手順によって当該ヘッドにおける外部振動が無いことが検出された場合に、当該振動圧縮用コントローラ特性を、前記位置決め重視用コントローラ特性に変更する第二の変更手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするコントローラ特性変更プログラム。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上のように、この発明に係るコントローラ特性変更装置、記憶装置、コントローラ特性変更方法、およびコントローラ特性変更プログラムは、ディスクにデータのリードおよび/またはライトを行うヘッドの位置決めを制御するコントローラに係るコントローラ特性を変更することに有用であり、特に、外部の要因によって引き起こされた外部振動の影響を減少させることに適する。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】実施例1における記憶装置の概要および特徴を説明するための図である。
【図2】実施例1における記憶装置の構成を示すブロック図である。
【図3】コントローラ特性を説明するための図である。
【図4】コントローラ特性を説明するための図である。
【図5】実施例1における記憶装置による処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0099】
1 ホスト・コンピュータ
10 記憶装置
11 ディスク
12 ディスク駆動部
13 ヘッド
14 ボイス・コイル・モータ(VCM)
15 ショックセンサ
20 サーボ・コントローラ部(SVC)
30 リード・チャネル部(RDC)
40 ハードディスク・コントローラ部(HDC)
50 マイクロ・コントロール・ユニット部(MCU)
51 コントローラ部
52 ライトフォルト検出部
53 外部振動検出部
54 第一のコントローラ特性変更部
55 第二のコントローラ特性変更部
60 ランダム・アクセス・メモリ部(RAM)
61 ライトフォルト記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体にデータのリードおよび/またはライトを行うヘッドの位置決めを制御するコントローラに係るコントローラ特性を変更するコントローラ特性変更装置であって、
外部の要因によって引き起こされた前記ヘッドにおける外部振動の有無を検出する外部振動検出部と、
前記ヘッドの位置決めの精度を重視する位置決め重視用コントローラ特性で前記コントローラが当該ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出部によって当該ヘッドにおける外部振動が有ることが検出された場合に、当該位置決め重視用コントローラ特性を、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる振動圧縮用コントローラ特性に変更する第一の変更部と、
前記振動圧縮用コントローラ特性で前記コントローラが前記ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出部によって当該ヘッドにおける外部振動が無いことが検出された場合に、当該振動圧縮用コントローラ特性を、前記位置決め重視用コントローラ特性に変更する第二の変更部と、
を備えたことを特徴とするコントローラ特性変更装置。
【請求項2】
前記外部振動検出部は、前記記憶媒体における前記ヘッドの位置を示すポジション信号を取得し、取得した当該ポジション信号が所定の閾値を超えるか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする請求項1に記載のコントローラ特性変更装置。
【請求項3】
前記外部振動検出部は、取得した前記ポジション信号にフィルタをかけた値が所定の閾値を超えるか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする請求項2に記載のコントローラ特性変更装置。
【請求項4】
前記外部振動検出部は、外部振動を所定の感度に設定されたセンサで検知するショックセンサの検知信号を取得したか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかひとつに記載のコントローラ特性変更装置。
【請求項5】
前記外部振動検出部は、前記ヘッドが前記記憶媒体にライトできなかった回数を取得し、取得した当該ライトできなかった回数に係る値が所定の閾値を超えるか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれかひとつに記載のコントローラ特性変更装置。
【請求項6】
前記外部振動検出部は、外部振動を所定の感度に設定されたセンサで検知するショックセンサの検知信号を取得した場合、および/または、前記記憶媒体における前記ヘッドの位置を示すポジション信号を取得し、取得した当該ポジション信号が所定の閾値を超えた場合に、当該ヘッドが当該記憶媒体にライトできなかったものとして、当該ライトできなかった回数を取得することを特徴とする請求項5に記載のコントローラ特性変更装置。
【請求項7】
前記外部振動検出部は、前記記憶媒体の偏心を補正する偏心補正値の変化量を取得し、取得した当該変化量が所定の周波数帯域において所定の閾値を超えるか否かによって、前記外部振動の有無を検出することを特徴とする請求項1〜6のいずれかひとつに記載のコントローラ特性変更装置。
【請求項8】
記憶媒体にデータのリードおよび/またはライトを行うヘッドの位置決めをコントローラ特性に基づいて制御するコントローラを備えた記憶装置であって、
外部の要因によって引き起こされた前記ヘッドにおける外部振動の有無を検出する外部振動検出部と、
前記ヘッドの位置決めの精度を重視する位置決め重視用コントローラ特性で前記コントローラが当該ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出部によって当該ヘッドにおける外部振動が有ることが検出された場合に、当該位置決め重視用コントローラ特性を、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる振動圧縮用コントローラ特性に変更する第一の変更部と、
前記振動圧縮用コントローラ特性で前記コントローラが前記ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出部によって当該ヘッドにおける外部振動が無いことが検出された場合に、当該振動圧縮用コントローラ特性を、前記位置決め重視用コントローラ特性に変更する第二の変更部と、
を備えたことを特徴とする記憶装置。
【請求項9】
記憶媒体にデータのリードおよび/またはライトを行うヘッドの位置決めを制御するコントローラに係るコントローラ特性を変更するコントローラ特性変更方法であって、
外部の要因によって引き起こされた前記ヘッドにおける外部振動の有無を検出する外部振動検出工程と、
前記ヘッドの位置決めの精度を重視する位置決め重視用コントローラ特性で前記コントローラが当該ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出工程によって当該ヘッドにおける外部振動が有ることが検出された場合に、当該位置決め重視用コントローラ特性を、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる振動圧縮用コントローラ特性に変更する第一の変更工程と、
前記振動圧縮用コントローラ特性で前記コントローラが前記ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出工程によって当該ヘッドにおける外部振動が無いことが検出された場合に、当該振動圧縮用コントローラ特性を、前記位置決め重視用コントローラ特性に変更する第二の変更工程と、
を含んだことを特徴とするコントローラ特性変更方法。
【請求項10】
記憶媒体にデータのリードおよび/またはライトを行うヘッドの位置決めを制御するコントローラに係るコントローラ特性を変更する方法をコンピュータに実行させるコントローラ特性変更プログラムであって、
外部の要因によって引き起こされた前記ヘッドにおける外部振動の有無を検出する外部振動検出手順と、
前記ヘッドの位置決めの精度を重視する位置決め重視用コントローラ特性で前記コントローラが当該ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出手順によって当該ヘッドにおける外部振動が有ることが検出された場合に、当該位置決め重視用コントローラ特性を、低周波数帯域の振動の圧縮効果を向上させる振動圧縮用コントローラ特性に変更する第一の変更手順と、
前記振動圧縮用コントローラ特性で前記コントローラが前記ヘッドの位置決めを制御している時に、前記外部振動検出手順によって当該ヘッドにおける外部振動が無いことが検出された場合に、当該振動圧縮用コントローラ特性を、前記位置決め重視用コントローラ特性に変更する第二の変更手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするコントローラ特性変更プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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