コンバイン
【課題】センサにより旋回機構の異常を検出しても、作業者が旋回機構の異常を認識しないで作業することがある。
【解決手段】コンバインは、左右の車軸51の回転に回転差を発生させて旋回する無段階に変速可能な走行装置3と、走行装置3の操向レバー75の操作位置を検出する操向レバー位置検出手段76と、前記左右の車軸51の夫々の回転数を検出する回転検出手段78とを有する。制御コントローラ79の旋回制御異常検出手段80は、検出した左右の車軸51の回転差と、前記操向レバー75の傾倒操作角度とを対比して、旋回制御異常検出手段80で旋回制御の異常を検出し、該旋回制御異常検出手段80が異常と判定すると、異常を報知手段81により報知する。
【解決手段】コンバインは、左右の車軸51の回転に回転差を発生させて旋回する無段階に変速可能な走行装置3と、走行装置3の操向レバー75の操作位置を検出する操向レバー位置検出手段76と、前記左右の車軸51の夫々の回転数を検出する回転検出手段78とを有する。制御コントローラ79の旋回制御異常検出手段80は、検出した左右の車軸51の回転差と、前記操向レバー75の傾倒操作角度とを対比して、旋回制御異常検出手段80で旋回制御の異常を検出し、該旋回制御異常検出手段80が異常と判定すると、異常を報知手段81により報知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行装置は、旋回機構を切り替えて種々の旋回モードに応じたミッションケースの左右の車軸の回転の回転差に大小変化させて、所望の旋回半径で旋回するように構成し、ミッションケースには複数のセンサを設け、該センサにより旋回機構の異常を検出すると、現在の旋回モードから実行可能な旋回モードに自動的に切り替える構成は、公知である(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平08−80119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例は、単に、センサにより旋回機構の異常を検出すると、現在の旋回モードから実行可能な旋回モードに自動的に切り替えるので、作業者は旋回機構の異常を認識しないで走行して、ミッションケースの故障被害が大きくなるという課題がある。
本願は、簡単な構成で操作系の異常を検出して、故障被害を最小限にするように工夫したものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では、走行用静油圧式無段変速装置12により走行速度を無段階に変速可能な走行装置3の前方に刈取部4を設け、走行装置3の上方には脱穀装置2を設け、前記走行装置3は、操向レバー75の操作によりミッションケース18の左右の車軸51の回転に回転差を発生させて旋回するように構成し、前記操向レバー75の操作位置を検出する操向レバー位置検出手段76を設け、前記左右の車軸51の夫々の回転数を検出する回転検出手段78を設け、該回転検出手段78により検出した左右の車軸51の回転数の回転差と、前記操向レバー75の傾倒操作角度とを対比して、制御コントローラ79の旋回制御異常検出手段80で旋回制御の異常の有無を検出する構成とし、該旋回制御異常検出手段80で異常と判定されると、その旨を報知手段81により報知する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、直進あるいは旋回走行中の操向レバー75の操作位置を操向レバー位置検出手段76で検出し、左右の車軸51の夫々の回転数を回転検出手段78で検出し、操向レバー75の傾倒操作角度と回転検出手段78により検出した左右の車軸51の回転数の回転差とを対比して、制御コントローラ79の旋回制御異常検出手段80で旋回制御の異常の有無を検出し、旋回制御異常検出手段80が異常と判定すると、その旨を報知手段81により報知する。
本発明では、前記操向レバー75が左右何れ一方に所定角以上傾倒操作していることを操向レバー位置検出手段76で検出し、左右の車軸51に操向レバー75の操作角に応じた回転差が生じていないことを回転検出手段78で検出した場合に、前記旋回制御異常検出手段80で異常と判定し、該異常を前記報知手段81により報知するように構成したことを特徴とするコンバインとしたものであり、操向レバー75で左右何れ一方への所定角以上傾倒操作を操向レバー位置検出手段76が検出し、左右の車軸51が操向レバー75の操作角に応じた回転差が生じていないことを回転検出手段78で検出したとき、旋回制御異常検出手段80は異常と判定し、この異常を報知手段81により報知する。
本発明では、前記操向レバー75が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段76が検出しているにも拘わらず、左右の車軸51に所定以上の回転差が生じた場合に、旋回制御異常検出手段80で異常と判定し、該異常を報知手段81により報知するように構成したことを特徴とするコンバインとしたものであり、操向レバー75が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段76で検出しているにも拘わらず、左右の車軸51に所定以上の回転差が生じていることを回転検出手段78が検出したときは、旋回制御異常検出手段80で異常と判定し、この異常を報知手段81により報知する。
本発明では、前記走行用静油圧式無段変速装置12を操作する主変速レバー13の操作位置を検出する主変速位置検出手段82を設け、前記操向レバー75の左右何れ一方に所定角以上傾倒操作しているときの左右の車軸51の所定以上の回転差が検出できないとき、または、操向レバー75が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段76が検出しているにも拘わらず、左右の車軸51に所定以上の回転差が生じることにより、旋回制御異常検出手段80が走行異常と判定した状態で、前記主変速位置検出手段82で主変速レバー13の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となる位置にあることを検出すると、エンジン22を自動的に停止させるように構成したことを特徴とするコンバインとしたものであり、操向レバー位置検出手段76と回転検出手段78の検出値の不一致により旋回制御異常検出手段80で異常と判定した状態で、主変速位置検出手段82で主変速レバー13の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となる操作位置にあることを検出すると、エンジン22を自動停止させる。
本発明では、前記刈取部4および前記脱穀装置2の駆動の入切を検出する刈脱レバー位置検出手段86と、前記刈取部4に搬送中の穀稈の有無を検出する穀稈有無検知手段87を設け、前記刈脱レバー位置検出手段86が刈取部4および脱穀装置2の駆動の入りを検出し、且つ、穀稈有無検知手段87が搬送中の穀稈の有りを検出した場合には、前記旋回制御異常検出手段80が走行異常と判定した状態で、主変速位置検出手段82が主変速レバー13の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となる位置にあることを検出しても、エンジン22を停止させず、作業を続行しうる構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、操向レバー位置検出手段76と回転検出手段78の検出値の不一致により旋回制御異常検出手段80で異常と判定した状態で、主変速位置検出手段82で主変速レバー13の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となる操作位置にあることを検出しても、刈脱レバー位置検出手段86と穀稈有無検知手段87の両者がオンのときには、エンジン22の自動停止はさせず、作業を続行し、点検・修理に最適な場所まで移動し、エンジン22を停止させて、点検・修理を行う。
本発明では、前記旋回制御異常検出手段80で走行異常と判定し、前記刈脱レバー位置検出手段86が刈取部4および脱穀装置2の駆動の入りを検出し、且つ、穀稈有無検知手段87が搬送中の穀稈の有りを検出した場合には、走行速度の減速操作を促す表示をモニタ88に表示するように構成したことを特徴とするコンバインとしたものであり、旋回制御異常検出手段80で異常と判定し、刈脱レバー位置検出手段86と穀稈有無検知手段87の両者がオンのときには、モニタ88に走行速度の減速操作を促す表示を表示する。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、操向レバー75と操向レバー位置検出手段76による簡単な構成で、操作系の異常を検出でき、旋回制御異常検出手段80が走行異常と判定すると、報知手段81により報知するので、故障被害を最小限にできる。
請求項2の発明では、上記請求項1記載の発明の効果を奏する上に、旋回走行中の走行異常を報知手段81が報知するので、故障被害を最小限にできる。
請求項3の発明では、上記請求項1または請求項2記載の発明の効果を奏する上に、直進走行中の走行異常を報知手段81が報知するので、故障被害を最小限にできる。
請求項4の発明では、上記請求項1または請求項2または請求項3記載の発明の効果を奏する上に、走行異常の状況を報知し、かつ、所定以上の走行速度のときエンジン22を停止させて、機体を停止させることができる。
請求項5の発明では、上記請求項4記載の発明の効果を奏する上に、作業中の場合は、エンジン22を停止させず、作業の継続を可能にし、作業性を低下させない。
請求項6の発明では、上記請求項5記載の発明の効果を奏する上に、モニタ88により走行速度の減速操作を促すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施例を図面により説明すると、1は機体フレ−ム、2は機体フレ−ム1の上方位置に設けた脱穀装置、3は機体フレ−ム1の下方位置に設けた走行装置、4は機体フレ−ム1の前方に設けた刈取部、5は前記脱穀装置2の側部に設けた該脱穀装置2より取出された穀物を一時貯留するグレンタンク、6は操縦部、7はグレンタンク5内の穀物を排出する排出オーガーである。
前記刈取部4の一例を示すと、分草体8、引起装置(図示省略)、刈刃9および搬送装置を有して構成する。
10は搬送装置により搬送され穀稈を脱穀装置2の脱穀室(図示省略)に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置、11は穀稈供給搬送装置10の始端側に設けたシンクロ用前側供給搬送装置である。
前記穀稈供給搬送装置10は、前記刈取部4で刈り取られた穀稈を脱穀装置2の脱穀室(図示省略)の穀稈供給口(図示省略)から供給し、脱穀されて脱穀室の穀稈排出口(図示省略)より排出するまで搬送するものであるが、刈取部4で刈り取った穀稈を穀稈供給搬送装置10まで搬送する構成は任意である。
【0007】
しかして、走行装置3は走行用静油圧式無段変速装置12により走行速度変更可能に構成し、刈取部4へ伝達する回転も走行装置3の走行速度に同調して変速するようにする。
即ち、走行用静油圧式無段変速装置12は、主変速レバー13の傾倒操作量に応じて増減速し、例えば、図2のように、走行速度に対して所定割合で伝動回転を増速する標準作業ラインAと、該標準作業ラインAよりも短時間で増速するようにした倒伏作業ラインBにより変速するように構成する。
刈取搬送専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21による走行速度への同調は、脱穀装置2と穀稈供給搬送装置10とをエンジン22からの一定駆動回転で駆動して脱穀作業を安定させつつ、穀稈供給搬送装置10への引継を円滑・確実にする。
【0008】
刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11への伝達回転は、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により変速するので、通常は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21が刈取部4を走行速度の増減速に合わせて同調させて変速するが、所定条件のときは、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21単独で刈取部4および/またはシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動するように構成する。
そのため、機体停止状態から所定走行速度の間でも、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を十分な回転数で駆動させることができ、機体走行開始直後から安定して刈取部4および脱穀装置2を駆動させられ、刈取作業および脱穀作業を安定・確実に行える。
また、走行用静油圧式無段変速装置12から走行装置3への回転を停止させたとき、単独の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21でシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動すると、機体走行停止状態でシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動し、シンクロ用前側供給搬送装置11および穀稈供給搬送装置10へ手刈り穀稈を供給でき、刈取作業および脱穀作業の作業性および操作性を向上させられる。
【0009】
前記走行用静油圧式無段変速装置12と刈取搬送用静油圧式無段変速装置21は、主変速レバー13の傾倒角度に応じて、同期させて作動させるが、同期および作動させるための構成は任意であり、例えば、主変速レバーと走行用静油圧式無段変速装置12および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21をリンク等の機械的構成により連結したり、主変速レバーの傾倒角度を電気的に検出し、この信号により走行用静油圧式無段変速装置12と刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を電気的に制御するようにしてもよい。
【0010】
エンジン22から走行用静油圧式無段変速装置12および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への回転伝達機構の構成は任意であるが、図3により一例を示すと、25Aは走行用出力プーリー、25Bは刈取脱穀用出力プーリー,26は走行用静油圧式無段変速装置12の入力プーリー、28は刈取脱穀用出力プーリー25Bの回転が伝達される中間プーリー,29は中間軸、30は中間歯車、31は中間伝動軸、32は一対の脱穀用傘歯車、33は脱穀伝動軸、33Aは脱穀用中間プーリー、34は扱胴、35は処理胴、36は刈取用中間歯車、37は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST入力軸、38は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST出力軸、39は刈取用中間出力軸、40は搬送シンクロ用出力軸、41は穀稈供給搬送中間出力軸、41Aは供給搬送用プーリー、42は唐箕、43は穀稈供給搬送装置10の駆動歯車、44は刈取脱穀クラッチ、45は刈取用中間出力軸39に設けた刈取中間出力プーリー,46は刈取中間入力プーリー、47は刈取中間出力プーリー45と刈取中間入力プーリー46に掛け回したベルト、50は刈取用中間歯車36および刈取用中間出力軸39等を設けたギヤケースであり、ギヤケース50の操縦部6側に刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を設ける。そのため、機体重量バランスやギヤケース50の取付バランスを良好にする。
【0011】
ギヤケース50の穀稈供給搬送装置10側の刈取用中間出力軸39と搬送シンクロ用出力軸40と穀稈供給搬送中間出力軸41には、刈取中間出力プーリー45に掛け回したベルト47等の張力が作用するが、この張力の作用する反対側のギヤケース50に刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を設けているので、バランスが良好になる。
しかして、前記走行用静油圧式無段変速装置12は、油圧ポンプ14のポンプ斜板15の傾斜を変更して油圧モータ16への送油量を無段階に変更して回転を伝達し(図4)、油圧モータ16にも傾斜角度を二段階に切替可能なモータ斜板17を設け、機体の走行速度の上限の高速走行Cと通常走行Dとに切替可能に構成する(図2)。
したがって、本願の走行用静油圧式無段変速装置12が油圧モータ16により二段階に走行速度を切替可能にすることで副変速機能を奏するように構成しているので、ミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略している。
19はモータ斜板17を切替える切替手段(油圧シリンダ)である(図4)。
【0012】
圃場の状態等の条件で主変速レバー13を操作して走行速度を設定し、刈取作業中に穀稈が密集する等の作業条件が変化したとき、従来であれば副変速機構により減速操作するが、本願では、走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ斜板17を低速側に切り替えて減速するので、円滑に走行でき、ミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略でき、部品点数削減でき、コストダウンおよび軽量化が図れる。
また、機械的な副変速機構では副変速用歯車の噛み合い切替えのときにショックが生じることがあるが、本願では油圧モータ16のモータ斜板17の高速・低速の切り替えになるので、ノークラッチ化して、操作性を向上させられる。
このミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略して走行用静油圧式無段変速装置12の回転を車軸51に伝達するミッションMの構成は任意であるが、図5で一例を示すと、ミッションケース18の上部に走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ出力軸52を設け、モータ出力軸52に出力歯車53を設ける。出力歯車53には入力軸54の入力歯車55を噛み合わせる。入力軸54には別途回転数を調節するための中間歯車54Aを設け、中間歯車54Aはサイドクラッチ軸56に固定の受動歯車57を常時噛合せる。そのため、入力軸54および入力歯車55(中間歯車54A)とサイドクラッチ軸56および単一の受動歯車57との間には、副変速軸および副変速軸の軸方向に摺動して噛み合いを変更する複数の副変速用歯車等により構成する機械的な副変速機構を省略している。
【0013】
サイドクラッチ軸56の左右側には左右サイドクラッチ58を設ける。サイドクラッチ軸56の受動歯車57には遊星歯車機構60の駆動軸61に固定の駆動歯車67を噛み合わせる。遊星歯車機構60は公知の構成でよく、簡単に説明すると、左右一対の浅い円筒形状のキャリア62に遊星歯車63を夫々設け、遊星歯車63には駆動軸61に遊嵌状態に設けた遊星歯車64を、中間遊星歯車65を介して噛み合わせる。キャリア62にはキャリア62の回転に制動を付与する多板式のブレーキ66を設ける。
68はサイドクラッチ58からの回転を出力するサイドクラッチ歯車、68Aはサイドクラッチ歯車68に噛み合うキャリア62に設けた歯車である。
しかして、操縦部6に設けた操向レバー(パワステレバー)75を左右の何れにも傾倒させないと、左右のサイドクラッチ58を入りの状態ではサイドクラッチ歯車68とキャリア62の歯車68Aとの噛み合いで回転が遊星歯車機構60に伝達されて直進する。
【0014】
操向レバー75を左右何れか一方に傾倒すると、旋回内側となるサイドクラッチ58を切りにすると共に、旋回内側となるキャリア62に駆動軸61からの回転を伝達しつつこの回転にブレーキ66により制動を掛けて緩旋回を開始し、更に、操向レバー75を傾倒させると、ブレーキ66により旋回内側となるキャリア62に制動を掛けて旋回内側の車軸51の回転が零になるとブレーキターンとなり、更に、操向レバー75を傾倒させると、キャリア62に制動を掛けると旋回外側と旋回内側の車軸51の回転が逆転してスピンターンとなる。
操向レバー75には、操向レバー75の操作位置を検出する操向レバー位置検出手段(パワステポジションセンサ)76を設ける。操向レバー位置検出手段76は所定の中間基準位置から左または右方向の操向レバー75の操作を検出可能に構成する。この操向レバー75の左または右の傾倒操作に連動して、サイドクラッチ58とブレーキ66との油圧回路システム(図示省略)を制御する旋回制御出力手段77に旋回信号を出力し、旋回制御出力手段77はサイドクラッチ58とブレーキ66に旋回信号を出力し、遊星歯車機構60により左右の車軸51の回転に回転差を発生させて旋回を開始する。
【0015】
一方、左右の車軸51に至る回転の回転数または左右の車軸51の回転数を検出する回転検出手段78を夫々設ける。
コンバイン制御コントローラ79には、回転検出手段78の左右の車軸51の回転数の回転差と、操向レバー75の傾倒操作量とを対比して、旋回制御の異常の有無を検出する旋回制御異常検出手段80を設ける。
旋回制御異常検出手段80は、操向レバー75が左右何れ一方に所定角以上傾倒操作していることを操向レバー位置検出手段76により検出し、左右の車軸51が操向レバー75の操作角に応じた回転差が生じていないとき、異常(旋回走行異常)と判定し、異常を報知手段(ブザー等)81により報知する。
そのため、作業者は、操作の異常状態の発生をコンバイン制御コントローラ79による報知手段81の報知で認識することができる。
操向レバー75が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段76が検出しているにも拘わらず、左右の車軸51に所定以上の回転差が生じているときは、旋回制御異常検出手段80は異常(走行異常)と判定し、異常を報知手段(ブザー等)81により報知する。
【0016】
そのため、作業者は、旋回操作するまでもなく、直進走行状態であっても、操作の異常状態の発生をコンバイン制御コントローラ79による報知手段81の報知で認識することができる。
主変速レバー13の操作位置を検出する主変速位置検出手段(ポジションセンサ)82を設ける。
前記操向レバー75の左右何れ一方に所定角以上傾倒操作しているときの左右の車軸51の所定以上の回転差が検出できないとき、または、操向レバー75が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段76が検出しているにも拘わらず、左右の車軸51に所定以上の回転差が生じることにより、旋回制御異常検出手段80が異常と判定した状態で、主変速位置検出手段82が主変速レバー13の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となることを検出すると、コンバイン制御コントローラ79がエンジン停止出力手段83により出力してエンジン22を自動的に停止させるエンジン停止手段(ソレノイド等)84を設ける。
したがって、操作系のトラブル発生を旋回制御異常検出手段80が検出し、これに応じて、エンジン22を停止させて、未然に事故発生を防止する。
【0017】
この場合、刈取脱穀クラッチ(図示省略)を入切する刈脱クラッチレバー(図示省略)の刈脱レバー位置検出手段(ポジションセンサ)86、および、穀稈有無検知手段87を設け、刈脱レバー位置検出手段86と穀稈有無検知手段87の両者がオンのときには、前記旋回制御異常検出手段80が走行異常と判定した状態で、主変速位置検出手段82が主変速レバー13の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となることを検出しても、エンジン停止出力手段83からの信号でエンジン停止手段(ソレノイド等)84の作動によるエンジン22の停止はさせず、作業を続行するように構成する。
そのため、異常を検出しても、刈取脱穀作業中では、作業を中断させず、走行可能とし、異常検出後の作業中断可能になってから、点検できるようにし、圃場の真ん中で停止して修理作業に支障が生じる事態を避けるようにしている。
【0018】
また、前記旋回制御異常検出手段80が走行異常と判定し、前記刈脱レバー位置検出手段86と穀稈有無検知手段87の両者がオンのときには、走行速度の減速操作を促す表示をモニタ88に表示するように構成する。
したがって、操作系の異常を検出しても、刈取脱穀作業中では、作業続行可能であるが、操作系の異常を作業者に報知し、未然に事故発生を防止する。
しかして、グレンタンク5内の穀物を揚穀する揚穀排出装置6および排出オーガー7は、所謂リモコンである通信操作手段91により遠隔操作可能に構成し、通信操作手段91とコンバイン制御コントローラ79との間の通信異常状態を検出時、排出オーガー7の旋回や上下動および排出駆動を含めたオーガ自動停止スイッチ92の信号を制御プログラムでONにし、オーガ出力を全停止するように構成する(図11,図12)。
【0019】
そして、通信異常状態を検出時のオーガ自動停止スイッチ92のONにする時間は、異常発生後、一定時間とし、その後は通信操作手段91とコンバイン制御コントローラ79との間の通信が正常判定されれば、オーガ自動停止スイッチ92の制御プログラムによるON状態を解除して、オーガ出力して作業を再開し、所定時間経過後も通信異常状態を検出しているときは、オーガ自動停止スイッチ92の信号を制御プログラムでONにし、オーガ出力を全停止すると共に、その旨をモニタ88に表示するように構成する。
そのため、通信操作手段91の操作中に、通信が断線もしくは異常になった際、揚穀排出装置6および排出オーガ排出オーガー7等を停止させられ、所望位置以外での穀粒排出等の事故発生を未然の防止することができる。
【0020】
(実施例の作用)
機体を走行させると、刈取部4が圃場の穀稈を刈り取って搬送し、刈取部4により搬送された穀稈はシンクロ用前側供給搬送装置11に引き継がれ、シンクロ用前側供給搬送装置11は穀稈を穀稈供給搬送装置10に受け渡し、穀稈供給搬送装置10は穀稈を一定速度で搬送して脱穀装置2の脱穀室に供給して脱穀する。
走行装置3は走行用静油圧式無段変速装置12により主変速レバー13を傾倒させると、走行用静油圧式無段変速装置12がエンジン22の一定回転を無段階に変速して伝達し、走行速度変更可能に構成し、刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11へ伝達する回転も走行装置3の走行速度に同調して変速するようにしているので、刈取部4は走行速度に応じて最適な作業回転数が伝達される。
しかして、操縦部6に設けた操向レバー(パワステレバー)75を左右の何れにも傾倒させないと、左右のサイドクラッチ58を入りの状態ではサイドクラッチ歯車68とキャリア62の歯車68Aとの噛み合いで回転が遊星歯車機構60に伝達されて直進し、操向レバー75を左右何れか一方に傾倒すると、旋回内側となるサイドクラッチ58を切りにすると共に、旋回内側となるキャリア62に駆動軸61からの回転を伝達しつつこの回転にブレーキ66により制動を掛けて緩旋回を開始し、更に、操向レバー75を傾倒させると、ブレーキ66により旋回内側となるキャリア62に制動を掛けて旋回内側の車軸51の回転が零になるとブレーキターンとなり、更に、操向レバー75を傾倒させると、キャリア62に制動を掛けると旋回外側と旋回内側の車軸51の回転が逆転してスピンターンとなる。
【0021】
この場合、操向レバー75には、操向レバー75の操作位置を検出する操向レバー位置検出手段76を設け、この操向レバー75の左または右の傾倒操作角度に連動して、遊星歯車機構60により左右の車軸51の回転に回転差を発生させて旋回を開始する。
一方、左右の車軸51に至る回転の回転数または左右の車軸51の回転数を検出する回転検出手段78を夫々設けているので、コンバイン制御コントローラ79の旋回制御異常検出手段80は、回転検出手段78の左右の車軸51の回転数の回転差と、操向レバー75の傾倒操作量とを対比して、旋回制御の異常の有無を検出する。
旋回制御異常検出手段80は、操向レバー75が左右何れ一方に所定角以上傾倒操作していることを操向レバー位置検出手段76が検出し、左右の車軸51が操向レバー75の操作角に応じた回転差が生じていないとき、旋回走行異常と判定し、異常を報知手段81により報知するので、作業者は、操作の異常状態の発生を報知手段81の報知で認識することができる。
また、操向レバー75が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段76が検出しいるにも拘わらず、左右の車軸51に所定以上の回転差が生じているときは、旋回制御異常検出手段80は走行異常と判定し、異常を報知手段81により報知するので、作業者は、旋回操作するまでもなく、直進走行状態であっても、操作系の異常状態の発生をコンバイン制御コントローラ79による報知手段81の報知で認識することができる。
【0022】
しかして、主変速レバー13の操作位置を検出する主変速位置検出手段82を設け、操向レバー75の左右何れ一方に所定角以上傾倒操作しているときの左右の車軸51の所定以上の回転差が検出できないとき、または、操向レバー75が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段76が検出しているにも拘わらず、左右の車軸51に所定以上の回転差が生じることにより、旋回制御異常検出手段80が走行異常と判定した状態で、主変速位置検出手段82が主変速レバー13の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となることを検出すると、コンバイン制御コントローラ79がエンジン停止出力手段83が出力してエンジン停止手段(ソレノイド等)84によりエンジン22を停止させるように構成しているので、操作系のトラブル発生を旋回制御異常検出手段80が検出し、これに応じて、エンジン22を自動的に停止させて、未然に事故発生を防止する。
【0023】
この場合、刈取脱穀クラッチ(図示省略)を入切する刈脱クラッチレバー(図示省略)の刈脱レバー位置検出手段86および穀稈有無検知手段87を設け、刈脱レバー位置検出手段86と穀稈有無検知手段87の両者がオンのときには、前記旋回制御異常検出手段80が走行異常と判定した状態で、主変速位置検出手段82が主変速レバー13の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となることを検出しても、エンジン停止出力手段83によるエンジン22の自動停止はさせず、作業を続行するように構成しているので、異常を検出しても、刈取脱穀作業中では、作業を中断させず、異常検出後の作業中断可能な状態になってから、最適な状態で点検・修理できる。
【0024】
また、前記旋回制御異常検出手段80が走行異常と判定し、前記刈脱レバー位置検出手段86と穀稈有無検知手段87の両者がオンのときには、走行速度の減速操作を促す表示をモニタ88に表示するように構成しているので、操作系の異常を検出しても、刈取脱穀作業中では、作業続行可能であるが、操作系の異常を作業者に報知し、未然に事故発生を防止する。
しかして、本願の回転伝達機構の作用について説明する。走行装置3の走行速度を変速する走行用静油圧式無段変速装置12は、主変速レバー13の傾倒操作量に応じて増減速するが、更に、走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ斜板17も傾斜角度を二段階に切替可能(切替操作手段の構成は任意)に構成し、通常走行と高速走行との切替え可能に構成しているから、通常走行速度(標準側)で刈取作業(標準作業および倒伏作業)を行い、高速走行速度(高速側)で走行して移動時間を短縮する。
また、本願の走行用静油圧式無段変速装置12は、油圧モータ16により二段階に走行速度を切替可能にすることで副変速機能を奏するように構成しているので、ミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略している。
【0025】
そのため、圃場の状態等の条件で主変速レバー13を操作して走行速度を設定し、刈取作業中に穀稈が密集する等の作業条件が変化したとき、従来であれば副変速機構により減速操作するが、本願では、走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ斜板17を低速側に切り替えて減速するので、円滑に走行でき、ミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略でき、部品点数削減でき、コストダウンおよび軽量化が図れる。
また、機械的な副変速機構では副変速用歯車の噛み合い切替えのときにショックが生じることがあるが、本願では油圧モータ16のモータ斜板17の高低の切り替えになるので、ノークラッチ化して、操作性を向上させられる。
このミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略して走行用静油圧式無段変速装置12の回転を車軸51に伝達するミッションMの構成は任意であるが、一例を示すと、ミッションケース18の上部に走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ出力軸52を設け、モータ出力軸52に出力歯車53を設ける。出力歯車53には入力歯車55を噛み合わせ、入力歯車55はサイドクラッチ軸56に固定の受動歯車57を常時噛合せ、入力軸54および単一の入力歯車55とサイドクラッチ軸56および単一の受動歯車57との間には、機械的な副変速機構である副変速軸および複数の副変速用歯車を省略している。
【0026】
しかして、ミッションケース18の作動を簡単に説明すると、サイドクラッチ軸56の左右側には左右サイドクラッチ58を設け、サイドクラッチ軸56の受動歯車57には遊星歯車機構60の駆動軸61に固定の駆動歯車67を噛み合わせ、遊星歯車機構60は、浅い円筒形状のキャリア62に遊星歯車63を設け、駆動軸61に遊嵌状態に設けた遊星歯車64に中間遊星歯車65を介して噛み合わせる。キャリア62にはキャリア62の回転に制動を付与する多板式のブレーキ66を設けているから、左右のサイドクラッチ58を入りの状態では直進し、パワステを傾倒させるとブレーキ66により旋回内側となるキャリア62に制動を掛けて緩旋回を開始し、更に、ブレーキ66により旋回内側となるキャリア62に制動を掛けて旋回内側の車軸の回転が零になるとブレーキターンとなり、更に、キャリア62に制動を掛けると旋回外側と旋回内側の車軸の回転が逆転してスピンターンとなる。
ミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略しているので、走行用静油圧式無段変速装置12あるいはミッションケース18に不具合があったとき、機械的な副変速機構のニュートラル位置への切替えができないが、本願では、入力歯車55を設けた入力軸54をミッションケース18に対して抜けるように構成しているので、入力軸54を抜くと、モータ出力軸52と車軸51との伝達は切断されて自由状態になって、ニュートラル化可能になる。
【0027】
エンジン22の回転伝動について簡単に説明すると、エンジン22の回転が中間プーリー28に伝達され、中間プーリー28は中間軸29と中間歯車30を介してケースの中間伝動軸31に回転を伝達し、中間伝動軸31で扱胴34側と穀稈供給搬送中間出力軸41および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21とに伝動を分岐する。脱穀用傘歯車32に伝達された回転は扱胴34に伝達して駆動する。
中間伝動軸31の回転は穀稈供給搬送中間出力軸41に伝達されて、穀稈供給搬送中間出力軸41の回転は穀稈供給搬送装置10の終端側から入力させて、穀稈供給搬送装置10を駆動する。
したがって、穀稈供給搬送中間出力軸41は走行用静油圧式無段変速装置12および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21とは無関係にエンジン22からの一定に設定された回転を、穀稈供給搬送装置10に伝達し、穀稈供給搬送装置10と扱胴34とは常時同じ関係で回転する。
【0028】
穀稈供給搬送中間出力軸41の下手側には刈取用中間歯車36により回転が伝達される刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST入力軸37を設けているので、穀稈供給搬送中間出力軸41の回転が刈取搬送用静油圧式無段変速装置21のポンプに入力されて、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21のモータから変速された回転が刈取HST出力軸38により出力され、刈取HST出力軸38は刈取用中間出力軸39および搬送シンクロ用出力軸40により刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動回転させる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しており、ブロック図等を含めたこれらの実施例は相互に夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】刈取部の回転数と車速との関係図。
【図3】伝動機構の概略図。
【図4】無段変速装置の油圧回路図。
【図5】ミッション機構の概略図。
【図6】ミッションケースの断面図。
【図7】ミッションケースの断面図。
【図8】ブロック図。
【図9】フロー図。
【図10】他の実施例のフロー図。
【図11】他の実施例のブロック図。
【図12】他の実施例のフロー図。
【符号の説明】
【0030】
1…機体フレ−ム、2…脱穀装置、3…走行装置、4…刈取部、5…グレンタンク、7…排出オーガー、10…穀稈供給搬送装置、11…シンクロ用前側供給搬送装置、12…走行用静油圧式無段変速装置、13…主変速レバー、14…油圧ポンプ、15…ポンプ斜板、16…油圧モータ、17…モータ斜板、18…ミッションケース、21…刈取搬送用静油圧式無段変速装置、22…エンジン、26…入力プーリー、27…ミッションケース、28…中間プーリー、29…中間軸、30…中間歯車、31…中間伝動軸、32…脱穀用傘歯車、33…脱穀伝動軸、34…扱胴、35…処理胴、36…刈取用中間歯車、37…刈取HST入力軸、38…刈取HST出力軸、39…刈取用中間出力軸、40…搬送シンクロ用出力軸、41…穀稈供給搬送中間出力軸、42…唐箕、43…駆動歯車、44…刈取脱穀クラッチ、45…刈取中間出力プーリー、46…刈取中間入力プーリー、47…ベルト、50…ギヤケース、52…モータ出力軸、53…出力歯車、55…入力歯車、54…入力軸、56…サイドクラッチ軸、57…受動歯車、58…サイドクラッチ、60…遊星歯車機構、61…駆動軸、62…キャリア、63…遊星歯車、64…遊星歯車、65…中間遊星歯車、66…ブレーキ、67…駆動歯車、75…操向レバー、76…操向レバー位置検出手段、77…旋回制御出力手段、78…回転検出手段、79…コンバイン制御コントローラ、80…旋回制御異常検出手段、81…報知手段、82…主変速位置検出手段、83…エンジン停止出力手段、84…エンジン停止手段、86…刈脱レバー位置検出手段、87…穀稈有無検知手段、88…モニタ、91…通信操作手段、92…オーガ自動停止スイッチ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、走行装置は、旋回機構を切り替えて種々の旋回モードに応じたミッションケースの左右の車軸の回転の回転差に大小変化させて、所望の旋回半径で旋回するように構成し、ミッションケースには複数のセンサを設け、該センサにより旋回機構の異常を検出すると、現在の旋回モードから実行可能な旋回モードに自動的に切り替える構成は、公知である(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平08−80119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例は、単に、センサにより旋回機構の異常を検出すると、現在の旋回モードから実行可能な旋回モードに自動的に切り替えるので、作業者は旋回機構の異常を認識しないで走行して、ミッションケースの故障被害が大きくなるという課題がある。
本願は、簡単な構成で操作系の異常を検出して、故障被害を最小限にするように工夫したものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では、走行用静油圧式無段変速装置12により走行速度を無段階に変速可能な走行装置3の前方に刈取部4を設け、走行装置3の上方には脱穀装置2を設け、前記走行装置3は、操向レバー75の操作によりミッションケース18の左右の車軸51の回転に回転差を発生させて旋回するように構成し、前記操向レバー75の操作位置を検出する操向レバー位置検出手段76を設け、前記左右の車軸51の夫々の回転数を検出する回転検出手段78を設け、該回転検出手段78により検出した左右の車軸51の回転数の回転差と、前記操向レバー75の傾倒操作角度とを対比して、制御コントローラ79の旋回制御異常検出手段80で旋回制御の異常の有無を検出する構成とし、該旋回制御異常検出手段80で異常と判定されると、その旨を報知手段81により報知する構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、直進あるいは旋回走行中の操向レバー75の操作位置を操向レバー位置検出手段76で検出し、左右の車軸51の夫々の回転数を回転検出手段78で検出し、操向レバー75の傾倒操作角度と回転検出手段78により検出した左右の車軸51の回転数の回転差とを対比して、制御コントローラ79の旋回制御異常検出手段80で旋回制御の異常の有無を検出し、旋回制御異常検出手段80が異常と判定すると、その旨を報知手段81により報知する。
本発明では、前記操向レバー75が左右何れ一方に所定角以上傾倒操作していることを操向レバー位置検出手段76で検出し、左右の車軸51に操向レバー75の操作角に応じた回転差が生じていないことを回転検出手段78で検出した場合に、前記旋回制御異常検出手段80で異常と判定し、該異常を前記報知手段81により報知するように構成したことを特徴とするコンバインとしたものであり、操向レバー75で左右何れ一方への所定角以上傾倒操作を操向レバー位置検出手段76が検出し、左右の車軸51が操向レバー75の操作角に応じた回転差が生じていないことを回転検出手段78で検出したとき、旋回制御異常検出手段80は異常と判定し、この異常を報知手段81により報知する。
本発明では、前記操向レバー75が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段76が検出しているにも拘わらず、左右の車軸51に所定以上の回転差が生じた場合に、旋回制御異常検出手段80で異常と判定し、該異常を報知手段81により報知するように構成したことを特徴とするコンバインとしたものであり、操向レバー75が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段76で検出しているにも拘わらず、左右の車軸51に所定以上の回転差が生じていることを回転検出手段78が検出したときは、旋回制御異常検出手段80で異常と判定し、この異常を報知手段81により報知する。
本発明では、前記走行用静油圧式無段変速装置12を操作する主変速レバー13の操作位置を検出する主変速位置検出手段82を設け、前記操向レバー75の左右何れ一方に所定角以上傾倒操作しているときの左右の車軸51の所定以上の回転差が検出できないとき、または、操向レバー75が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段76が検出しているにも拘わらず、左右の車軸51に所定以上の回転差が生じることにより、旋回制御異常検出手段80が走行異常と判定した状態で、前記主変速位置検出手段82で主変速レバー13の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となる位置にあることを検出すると、エンジン22を自動的に停止させるように構成したことを特徴とするコンバインとしたものであり、操向レバー位置検出手段76と回転検出手段78の検出値の不一致により旋回制御異常検出手段80で異常と判定した状態で、主変速位置検出手段82で主変速レバー13の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となる操作位置にあることを検出すると、エンジン22を自動停止させる。
本発明では、前記刈取部4および前記脱穀装置2の駆動の入切を検出する刈脱レバー位置検出手段86と、前記刈取部4に搬送中の穀稈の有無を検出する穀稈有無検知手段87を設け、前記刈脱レバー位置検出手段86が刈取部4および脱穀装置2の駆動の入りを検出し、且つ、穀稈有無検知手段87が搬送中の穀稈の有りを検出した場合には、前記旋回制御異常検出手段80が走行異常と判定した状態で、主変速位置検出手段82が主変速レバー13の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となる位置にあることを検出しても、エンジン22を停止させず、作業を続行しうる構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、操向レバー位置検出手段76と回転検出手段78の検出値の不一致により旋回制御異常検出手段80で異常と判定した状態で、主変速位置検出手段82で主変速レバー13の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となる操作位置にあることを検出しても、刈脱レバー位置検出手段86と穀稈有無検知手段87の両者がオンのときには、エンジン22の自動停止はさせず、作業を続行し、点検・修理に最適な場所まで移動し、エンジン22を停止させて、点検・修理を行う。
本発明では、前記旋回制御異常検出手段80で走行異常と判定し、前記刈脱レバー位置検出手段86が刈取部4および脱穀装置2の駆動の入りを検出し、且つ、穀稈有無検知手段87が搬送中の穀稈の有りを検出した場合には、走行速度の減速操作を促す表示をモニタ88に表示するように構成したことを特徴とするコンバインとしたものであり、旋回制御異常検出手段80で異常と判定し、刈脱レバー位置検出手段86と穀稈有無検知手段87の両者がオンのときには、モニタ88に走行速度の減速操作を促す表示を表示する。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、操向レバー75と操向レバー位置検出手段76による簡単な構成で、操作系の異常を検出でき、旋回制御異常検出手段80が走行異常と判定すると、報知手段81により報知するので、故障被害を最小限にできる。
請求項2の発明では、上記請求項1記載の発明の効果を奏する上に、旋回走行中の走行異常を報知手段81が報知するので、故障被害を最小限にできる。
請求項3の発明では、上記請求項1または請求項2記載の発明の効果を奏する上に、直進走行中の走行異常を報知手段81が報知するので、故障被害を最小限にできる。
請求項4の発明では、上記請求項1または請求項2または請求項3記載の発明の効果を奏する上に、走行異常の状況を報知し、かつ、所定以上の走行速度のときエンジン22を停止させて、機体を停止させることができる。
請求項5の発明では、上記請求項4記載の発明の効果を奏する上に、作業中の場合は、エンジン22を停止させず、作業の継続を可能にし、作業性を低下させない。
請求項6の発明では、上記請求項5記載の発明の効果を奏する上に、モニタ88により走行速度の減速操作を促すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施例を図面により説明すると、1は機体フレ−ム、2は機体フレ−ム1の上方位置に設けた脱穀装置、3は機体フレ−ム1の下方位置に設けた走行装置、4は機体フレ−ム1の前方に設けた刈取部、5は前記脱穀装置2の側部に設けた該脱穀装置2より取出された穀物を一時貯留するグレンタンク、6は操縦部、7はグレンタンク5内の穀物を排出する排出オーガーである。
前記刈取部4の一例を示すと、分草体8、引起装置(図示省略)、刈刃9および搬送装置を有して構成する。
10は搬送装置により搬送され穀稈を脱穀装置2の脱穀室(図示省略)に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置、11は穀稈供給搬送装置10の始端側に設けたシンクロ用前側供給搬送装置である。
前記穀稈供給搬送装置10は、前記刈取部4で刈り取られた穀稈を脱穀装置2の脱穀室(図示省略)の穀稈供給口(図示省略)から供給し、脱穀されて脱穀室の穀稈排出口(図示省略)より排出するまで搬送するものであるが、刈取部4で刈り取った穀稈を穀稈供給搬送装置10まで搬送する構成は任意である。
【0007】
しかして、走行装置3は走行用静油圧式無段変速装置12により走行速度変更可能に構成し、刈取部4へ伝達する回転も走行装置3の走行速度に同調して変速するようにする。
即ち、走行用静油圧式無段変速装置12は、主変速レバー13の傾倒操作量に応じて増減速し、例えば、図2のように、走行速度に対して所定割合で伝動回転を増速する標準作業ラインAと、該標準作業ラインAよりも短時間で増速するようにした倒伏作業ラインBにより変速するように構成する。
刈取搬送専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21による走行速度への同調は、脱穀装置2と穀稈供給搬送装置10とをエンジン22からの一定駆動回転で駆動して脱穀作業を安定させつつ、穀稈供給搬送装置10への引継を円滑・確実にする。
【0008】
刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11への伝達回転は、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により変速するので、通常は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21が刈取部4を走行速度の増減速に合わせて同調させて変速するが、所定条件のときは、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21単独で刈取部4および/またはシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動するように構成する。
そのため、機体停止状態から所定走行速度の間でも、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を十分な回転数で駆動させることができ、機体走行開始直後から安定して刈取部4および脱穀装置2を駆動させられ、刈取作業および脱穀作業を安定・確実に行える。
また、走行用静油圧式無段変速装置12から走行装置3への回転を停止させたとき、単独の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21でシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動すると、機体走行停止状態でシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動し、シンクロ用前側供給搬送装置11および穀稈供給搬送装置10へ手刈り穀稈を供給でき、刈取作業および脱穀作業の作業性および操作性を向上させられる。
【0009】
前記走行用静油圧式無段変速装置12と刈取搬送用静油圧式無段変速装置21は、主変速レバー13の傾倒角度に応じて、同期させて作動させるが、同期および作動させるための構成は任意であり、例えば、主変速レバーと走行用静油圧式無段変速装置12および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21をリンク等の機械的構成により連結したり、主変速レバーの傾倒角度を電気的に検出し、この信号により走行用静油圧式無段変速装置12と刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を電気的に制御するようにしてもよい。
【0010】
エンジン22から走行用静油圧式無段変速装置12および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への回転伝達機構の構成は任意であるが、図3により一例を示すと、25Aは走行用出力プーリー、25Bは刈取脱穀用出力プーリー,26は走行用静油圧式無段変速装置12の入力プーリー、28は刈取脱穀用出力プーリー25Bの回転が伝達される中間プーリー,29は中間軸、30は中間歯車、31は中間伝動軸、32は一対の脱穀用傘歯車、33は脱穀伝動軸、33Aは脱穀用中間プーリー、34は扱胴、35は処理胴、36は刈取用中間歯車、37は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST入力軸、38は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST出力軸、39は刈取用中間出力軸、40は搬送シンクロ用出力軸、41は穀稈供給搬送中間出力軸、41Aは供給搬送用プーリー、42は唐箕、43は穀稈供給搬送装置10の駆動歯車、44は刈取脱穀クラッチ、45は刈取用中間出力軸39に設けた刈取中間出力プーリー,46は刈取中間入力プーリー、47は刈取中間出力プーリー45と刈取中間入力プーリー46に掛け回したベルト、50は刈取用中間歯車36および刈取用中間出力軸39等を設けたギヤケースであり、ギヤケース50の操縦部6側に刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を設ける。そのため、機体重量バランスやギヤケース50の取付バランスを良好にする。
【0011】
ギヤケース50の穀稈供給搬送装置10側の刈取用中間出力軸39と搬送シンクロ用出力軸40と穀稈供給搬送中間出力軸41には、刈取中間出力プーリー45に掛け回したベルト47等の張力が作用するが、この張力の作用する反対側のギヤケース50に刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を設けているので、バランスが良好になる。
しかして、前記走行用静油圧式無段変速装置12は、油圧ポンプ14のポンプ斜板15の傾斜を変更して油圧モータ16への送油量を無段階に変更して回転を伝達し(図4)、油圧モータ16にも傾斜角度を二段階に切替可能なモータ斜板17を設け、機体の走行速度の上限の高速走行Cと通常走行Dとに切替可能に構成する(図2)。
したがって、本願の走行用静油圧式無段変速装置12が油圧モータ16により二段階に走行速度を切替可能にすることで副変速機能を奏するように構成しているので、ミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略している。
19はモータ斜板17を切替える切替手段(油圧シリンダ)である(図4)。
【0012】
圃場の状態等の条件で主変速レバー13を操作して走行速度を設定し、刈取作業中に穀稈が密集する等の作業条件が変化したとき、従来であれば副変速機構により減速操作するが、本願では、走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ斜板17を低速側に切り替えて減速するので、円滑に走行でき、ミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略でき、部品点数削減でき、コストダウンおよび軽量化が図れる。
また、機械的な副変速機構では副変速用歯車の噛み合い切替えのときにショックが生じることがあるが、本願では油圧モータ16のモータ斜板17の高速・低速の切り替えになるので、ノークラッチ化して、操作性を向上させられる。
このミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略して走行用静油圧式無段変速装置12の回転を車軸51に伝達するミッションMの構成は任意であるが、図5で一例を示すと、ミッションケース18の上部に走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ出力軸52を設け、モータ出力軸52に出力歯車53を設ける。出力歯車53には入力軸54の入力歯車55を噛み合わせる。入力軸54には別途回転数を調節するための中間歯車54Aを設け、中間歯車54Aはサイドクラッチ軸56に固定の受動歯車57を常時噛合せる。そのため、入力軸54および入力歯車55(中間歯車54A)とサイドクラッチ軸56および単一の受動歯車57との間には、副変速軸および副変速軸の軸方向に摺動して噛み合いを変更する複数の副変速用歯車等により構成する機械的な副変速機構を省略している。
【0013】
サイドクラッチ軸56の左右側には左右サイドクラッチ58を設ける。サイドクラッチ軸56の受動歯車57には遊星歯車機構60の駆動軸61に固定の駆動歯車67を噛み合わせる。遊星歯車機構60は公知の構成でよく、簡単に説明すると、左右一対の浅い円筒形状のキャリア62に遊星歯車63を夫々設け、遊星歯車63には駆動軸61に遊嵌状態に設けた遊星歯車64を、中間遊星歯車65を介して噛み合わせる。キャリア62にはキャリア62の回転に制動を付与する多板式のブレーキ66を設ける。
68はサイドクラッチ58からの回転を出力するサイドクラッチ歯車、68Aはサイドクラッチ歯車68に噛み合うキャリア62に設けた歯車である。
しかして、操縦部6に設けた操向レバー(パワステレバー)75を左右の何れにも傾倒させないと、左右のサイドクラッチ58を入りの状態ではサイドクラッチ歯車68とキャリア62の歯車68Aとの噛み合いで回転が遊星歯車機構60に伝達されて直進する。
【0014】
操向レバー75を左右何れか一方に傾倒すると、旋回内側となるサイドクラッチ58を切りにすると共に、旋回内側となるキャリア62に駆動軸61からの回転を伝達しつつこの回転にブレーキ66により制動を掛けて緩旋回を開始し、更に、操向レバー75を傾倒させると、ブレーキ66により旋回内側となるキャリア62に制動を掛けて旋回内側の車軸51の回転が零になるとブレーキターンとなり、更に、操向レバー75を傾倒させると、キャリア62に制動を掛けると旋回外側と旋回内側の車軸51の回転が逆転してスピンターンとなる。
操向レバー75には、操向レバー75の操作位置を検出する操向レバー位置検出手段(パワステポジションセンサ)76を設ける。操向レバー位置検出手段76は所定の中間基準位置から左または右方向の操向レバー75の操作を検出可能に構成する。この操向レバー75の左または右の傾倒操作に連動して、サイドクラッチ58とブレーキ66との油圧回路システム(図示省略)を制御する旋回制御出力手段77に旋回信号を出力し、旋回制御出力手段77はサイドクラッチ58とブレーキ66に旋回信号を出力し、遊星歯車機構60により左右の車軸51の回転に回転差を発生させて旋回を開始する。
【0015】
一方、左右の車軸51に至る回転の回転数または左右の車軸51の回転数を検出する回転検出手段78を夫々設ける。
コンバイン制御コントローラ79には、回転検出手段78の左右の車軸51の回転数の回転差と、操向レバー75の傾倒操作量とを対比して、旋回制御の異常の有無を検出する旋回制御異常検出手段80を設ける。
旋回制御異常検出手段80は、操向レバー75が左右何れ一方に所定角以上傾倒操作していることを操向レバー位置検出手段76により検出し、左右の車軸51が操向レバー75の操作角に応じた回転差が生じていないとき、異常(旋回走行異常)と判定し、異常を報知手段(ブザー等)81により報知する。
そのため、作業者は、操作の異常状態の発生をコンバイン制御コントローラ79による報知手段81の報知で認識することができる。
操向レバー75が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段76が検出しているにも拘わらず、左右の車軸51に所定以上の回転差が生じているときは、旋回制御異常検出手段80は異常(走行異常)と判定し、異常を報知手段(ブザー等)81により報知する。
【0016】
そのため、作業者は、旋回操作するまでもなく、直進走行状態であっても、操作の異常状態の発生をコンバイン制御コントローラ79による報知手段81の報知で認識することができる。
主変速レバー13の操作位置を検出する主変速位置検出手段(ポジションセンサ)82を設ける。
前記操向レバー75の左右何れ一方に所定角以上傾倒操作しているときの左右の車軸51の所定以上の回転差が検出できないとき、または、操向レバー75が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段76が検出しているにも拘わらず、左右の車軸51に所定以上の回転差が生じることにより、旋回制御異常検出手段80が異常と判定した状態で、主変速位置検出手段82が主変速レバー13の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となることを検出すると、コンバイン制御コントローラ79がエンジン停止出力手段83により出力してエンジン22を自動的に停止させるエンジン停止手段(ソレノイド等)84を設ける。
したがって、操作系のトラブル発生を旋回制御異常検出手段80が検出し、これに応じて、エンジン22を停止させて、未然に事故発生を防止する。
【0017】
この場合、刈取脱穀クラッチ(図示省略)を入切する刈脱クラッチレバー(図示省略)の刈脱レバー位置検出手段(ポジションセンサ)86、および、穀稈有無検知手段87を設け、刈脱レバー位置検出手段86と穀稈有無検知手段87の両者がオンのときには、前記旋回制御異常検出手段80が走行異常と判定した状態で、主変速位置検出手段82が主変速レバー13の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となることを検出しても、エンジン停止出力手段83からの信号でエンジン停止手段(ソレノイド等)84の作動によるエンジン22の停止はさせず、作業を続行するように構成する。
そのため、異常を検出しても、刈取脱穀作業中では、作業を中断させず、走行可能とし、異常検出後の作業中断可能になってから、点検できるようにし、圃場の真ん中で停止して修理作業に支障が生じる事態を避けるようにしている。
【0018】
また、前記旋回制御異常検出手段80が走行異常と判定し、前記刈脱レバー位置検出手段86と穀稈有無検知手段87の両者がオンのときには、走行速度の減速操作を促す表示をモニタ88に表示するように構成する。
したがって、操作系の異常を検出しても、刈取脱穀作業中では、作業続行可能であるが、操作系の異常を作業者に報知し、未然に事故発生を防止する。
しかして、グレンタンク5内の穀物を揚穀する揚穀排出装置6および排出オーガー7は、所謂リモコンである通信操作手段91により遠隔操作可能に構成し、通信操作手段91とコンバイン制御コントローラ79との間の通信異常状態を検出時、排出オーガー7の旋回や上下動および排出駆動を含めたオーガ自動停止スイッチ92の信号を制御プログラムでONにし、オーガ出力を全停止するように構成する(図11,図12)。
【0019】
そして、通信異常状態を検出時のオーガ自動停止スイッチ92のONにする時間は、異常発生後、一定時間とし、その後は通信操作手段91とコンバイン制御コントローラ79との間の通信が正常判定されれば、オーガ自動停止スイッチ92の制御プログラムによるON状態を解除して、オーガ出力して作業を再開し、所定時間経過後も通信異常状態を検出しているときは、オーガ自動停止スイッチ92の信号を制御プログラムでONにし、オーガ出力を全停止すると共に、その旨をモニタ88に表示するように構成する。
そのため、通信操作手段91の操作中に、通信が断線もしくは異常になった際、揚穀排出装置6および排出オーガ排出オーガー7等を停止させられ、所望位置以外での穀粒排出等の事故発生を未然の防止することができる。
【0020】
(実施例の作用)
機体を走行させると、刈取部4が圃場の穀稈を刈り取って搬送し、刈取部4により搬送された穀稈はシンクロ用前側供給搬送装置11に引き継がれ、シンクロ用前側供給搬送装置11は穀稈を穀稈供給搬送装置10に受け渡し、穀稈供給搬送装置10は穀稈を一定速度で搬送して脱穀装置2の脱穀室に供給して脱穀する。
走行装置3は走行用静油圧式無段変速装置12により主変速レバー13を傾倒させると、走行用静油圧式無段変速装置12がエンジン22の一定回転を無段階に変速して伝達し、走行速度変更可能に構成し、刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11へ伝達する回転も走行装置3の走行速度に同調して変速するようにしているので、刈取部4は走行速度に応じて最適な作業回転数が伝達される。
しかして、操縦部6に設けた操向レバー(パワステレバー)75を左右の何れにも傾倒させないと、左右のサイドクラッチ58を入りの状態ではサイドクラッチ歯車68とキャリア62の歯車68Aとの噛み合いで回転が遊星歯車機構60に伝達されて直進し、操向レバー75を左右何れか一方に傾倒すると、旋回内側となるサイドクラッチ58を切りにすると共に、旋回内側となるキャリア62に駆動軸61からの回転を伝達しつつこの回転にブレーキ66により制動を掛けて緩旋回を開始し、更に、操向レバー75を傾倒させると、ブレーキ66により旋回内側となるキャリア62に制動を掛けて旋回内側の車軸51の回転が零になるとブレーキターンとなり、更に、操向レバー75を傾倒させると、キャリア62に制動を掛けると旋回外側と旋回内側の車軸51の回転が逆転してスピンターンとなる。
【0021】
この場合、操向レバー75には、操向レバー75の操作位置を検出する操向レバー位置検出手段76を設け、この操向レバー75の左または右の傾倒操作角度に連動して、遊星歯車機構60により左右の車軸51の回転に回転差を発生させて旋回を開始する。
一方、左右の車軸51に至る回転の回転数または左右の車軸51の回転数を検出する回転検出手段78を夫々設けているので、コンバイン制御コントローラ79の旋回制御異常検出手段80は、回転検出手段78の左右の車軸51の回転数の回転差と、操向レバー75の傾倒操作量とを対比して、旋回制御の異常の有無を検出する。
旋回制御異常検出手段80は、操向レバー75が左右何れ一方に所定角以上傾倒操作していることを操向レバー位置検出手段76が検出し、左右の車軸51が操向レバー75の操作角に応じた回転差が生じていないとき、旋回走行異常と判定し、異常を報知手段81により報知するので、作業者は、操作の異常状態の発生を報知手段81の報知で認識することができる。
また、操向レバー75が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段76が検出しいるにも拘わらず、左右の車軸51に所定以上の回転差が生じているときは、旋回制御異常検出手段80は走行異常と判定し、異常を報知手段81により報知するので、作業者は、旋回操作するまでもなく、直進走行状態であっても、操作系の異常状態の発生をコンバイン制御コントローラ79による報知手段81の報知で認識することができる。
【0022】
しかして、主変速レバー13の操作位置を検出する主変速位置検出手段82を設け、操向レバー75の左右何れ一方に所定角以上傾倒操作しているときの左右の車軸51の所定以上の回転差が検出できないとき、または、操向レバー75が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段76が検出しているにも拘わらず、左右の車軸51に所定以上の回転差が生じることにより、旋回制御異常検出手段80が走行異常と判定した状態で、主変速位置検出手段82が主変速レバー13の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となることを検出すると、コンバイン制御コントローラ79がエンジン停止出力手段83が出力してエンジン停止手段(ソレノイド等)84によりエンジン22を停止させるように構成しているので、操作系のトラブル発生を旋回制御異常検出手段80が検出し、これに応じて、エンジン22を自動的に停止させて、未然に事故発生を防止する。
【0023】
この場合、刈取脱穀クラッチ(図示省略)を入切する刈脱クラッチレバー(図示省略)の刈脱レバー位置検出手段86および穀稈有無検知手段87を設け、刈脱レバー位置検出手段86と穀稈有無検知手段87の両者がオンのときには、前記旋回制御異常検出手段80が走行異常と判定した状態で、主変速位置検出手段82が主変速レバー13の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となることを検出しても、エンジン停止出力手段83によるエンジン22の自動停止はさせず、作業を続行するように構成しているので、異常を検出しても、刈取脱穀作業中では、作業を中断させず、異常検出後の作業中断可能な状態になってから、最適な状態で点検・修理できる。
【0024】
また、前記旋回制御異常検出手段80が走行異常と判定し、前記刈脱レバー位置検出手段86と穀稈有無検知手段87の両者がオンのときには、走行速度の減速操作を促す表示をモニタ88に表示するように構成しているので、操作系の異常を検出しても、刈取脱穀作業中では、作業続行可能であるが、操作系の異常を作業者に報知し、未然に事故発生を防止する。
しかして、本願の回転伝達機構の作用について説明する。走行装置3の走行速度を変速する走行用静油圧式無段変速装置12は、主変速レバー13の傾倒操作量に応じて増減速するが、更に、走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ斜板17も傾斜角度を二段階に切替可能(切替操作手段の構成は任意)に構成し、通常走行と高速走行との切替え可能に構成しているから、通常走行速度(標準側)で刈取作業(標準作業および倒伏作業)を行い、高速走行速度(高速側)で走行して移動時間を短縮する。
また、本願の走行用静油圧式無段変速装置12は、油圧モータ16により二段階に走行速度を切替可能にすることで副変速機能を奏するように構成しているので、ミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略している。
【0025】
そのため、圃場の状態等の条件で主変速レバー13を操作して走行速度を設定し、刈取作業中に穀稈が密集する等の作業条件が変化したとき、従来であれば副変速機構により減速操作するが、本願では、走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ斜板17を低速側に切り替えて減速するので、円滑に走行でき、ミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略でき、部品点数削減でき、コストダウンおよび軽量化が図れる。
また、機械的な副変速機構では副変速用歯車の噛み合い切替えのときにショックが生じることがあるが、本願では油圧モータ16のモータ斜板17の高低の切り替えになるので、ノークラッチ化して、操作性を向上させられる。
このミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略して走行用静油圧式無段変速装置12の回転を車軸51に伝達するミッションMの構成は任意であるが、一例を示すと、ミッションケース18の上部に走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ出力軸52を設け、モータ出力軸52に出力歯車53を設ける。出力歯車53には入力歯車55を噛み合わせ、入力歯車55はサイドクラッチ軸56に固定の受動歯車57を常時噛合せ、入力軸54および単一の入力歯車55とサイドクラッチ軸56および単一の受動歯車57との間には、機械的な副変速機構である副変速軸および複数の副変速用歯車を省略している。
【0026】
しかして、ミッションケース18の作動を簡単に説明すると、サイドクラッチ軸56の左右側には左右サイドクラッチ58を設け、サイドクラッチ軸56の受動歯車57には遊星歯車機構60の駆動軸61に固定の駆動歯車67を噛み合わせ、遊星歯車機構60は、浅い円筒形状のキャリア62に遊星歯車63を設け、駆動軸61に遊嵌状態に設けた遊星歯車64に中間遊星歯車65を介して噛み合わせる。キャリア62にはキャリア62の回転に制動を付与する多板式のブレーキ66を設けているから、左右のサイドクラッチ58を入りの状態では直進し、パワステを傾倒させるとブレーキ66により旋回内側となるキャリア62に制動を掛けて緩旋回を開始し、更に、ブレーキ66により旋回内側となるキャリア62に制動を掛けて旋回内側の車軸の回転が零になるとブレーキターンとなり、更に、キャリア62に制動を掛けると旋回外側と旋回内側の車軸の回転が逆転してスピンターンとなる。
ミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略しているので、走行用静油圧式無段変速装置12あるいはミッションケース18に不具合があったとき、機械的な副変速機構のニュートラル位置への切替えができないが、本願では、入力歯車55を設けた入力軸54をミッションケース18に対して抜けるように構成しているので、入力軸54を抜くと、モータ出力軸52と車軸51との伝達は切断されて自由状態になって、ニュートラル化可能になる。
【0027】
エンジン22の回転伝動について簡単に説明すると、エンジン22の回転が中間プーリー28に伝達され、中間プーリー28は中間軸29と中間歯車30を介してケースの中間伝動軸31に回転を伝達し、中間伝動軸31で扱胴34側と穀稈供給搬送中間出力軸41および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21とに伝動を分岐する。脱穀用傘歯車32に伝達された回転は扱胴34に伝達して駆動する。
中間伝動軸31の回転は穀稈供給搬送中間出力軸41に伝達されて、穀稈供給搬送中間出力軸41の回転は穀稈供給搬送装置10の終端側から入力させて、穀稈供給搬送装置10を駆動する。
したがって、穀稈供給搬送中間出力軸41は走行用静油圧式無段変速装置12および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21とは無関係にエンジン22からの一定に設定された回転を、穀稈供給搬送装置10に伝達し、穀稈供給搬送装置10と扱胴34とは常時同じ関係で回転する。
【0028】
穀稈供給搬送中間出力軸41の下手側には刈取用中間歯車36により回転が伝達される刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST入力軸37を設けているので、穀稈供給搬送中間出力軸41の回転が刈取搬送用静油圧式無段変速装置21のポンプに入力されて、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21のモータから変速された回転が刈取HST出力軸38により出力され、刈取HST出力軸38は刈取用中間出力軸39および搬送シンクロ用出力軸40により刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動回転させる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しており、ブロック図等を含めたこれらの実施例は相互に夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】刈取部の回転数と車速との関係図。
【図3】伝動機構の概略図。
【図4】無段変速装置の油圧回路図。
【図5】ミッション機構の概略図。
【図6】ミッションケースの断面図。
【図7】ミッションケースの断面図。
【図8】ブロック図。
【図9】フロー図。
【図10】他の実施例のフロー図。
【図11】他の実施例のブロック図。
【図12】他の実施例のフロー図。
【符号の説明】
【0030】
1…機体フレ−ム、2…脱穀装置、3…走行装置、4…刈取部、5…グレンタンク、7…排出オーガー、10…穀稈供給搬送装置、11…シンクロ用前側供給搬送装置、12…走行用静油圧式無段変速装置、13…主変速レバー、14…油圧ポンプ、15…ポンプ斜板、16…油圧モータ、17…モータ斜板、18…ミッションケース、21…刈取搬送用静油圧式無段変速装置、22…エンジン、26…入力プーリー、27…ミッションケース、28…中間プーリー、29…中間軸、30…中間歯車、31…中間伝動軸、32…脱穀用傘歯車、33…脱穀伝動軸、34…扱胴、35…処理胴、36…刈取用中間歯車、37…刈取HST入力軸、38…刈取HST出力軸、39…刈取用中間出力軸、40…搬送シンクロ用出力軸、41…穀稈供給搬送中間出力軸、42…唐箕、43…駆動歯車、44…刈取脱穀クラッチ、45…刈取中間出力プーリー、46…刈取中間入力プーリー、47…ベルト、50…ギヤケース、52…モータ出力軸、53…出力歯車、55…入力歯車、54…入力軸、56…サイドクラッチ軸、57…受動歯車、58…サイドクラッチ、60…遊星歯車機構、61…駆動軸、62…キャリア、63…遊星歯車、64…遊星歯車、65…中間遊星歯車、66…ブレーキ、67…駆動歯車、75…操向レバー、76…操向レバー位置検出手段、77…旋回制御出力手段、78…回転検出手段、79…コンバイン制御コントローラ、80…旋回制御異常検出手段、81…報知手段、82…主変速位置検出手段、83…エンジン停止出力手段、84…エンジン停止手段、86…刈脱レバー位置検出手段、87…穀稈有無検知手段、88…モニタ、91…通信操作手段、92…オーガ自動停止スイッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用静油圧式無段変速装置(12)により走行速度を無段階に変速可能な走行装置(3)の前方に刈取部(4)を設け、走行装置(3)の上方には脱穀装置(2)を設け、前記走行装置(3)は、操向レバー(75)の操作によりミッションケース(18)の左右の車軸(51)の回転に回転差を発生させて旋回するように構成し、前記操向レバー(75)の操作位置を検出する操向レバー位置検出手段(76)を設け、前記左右の車軸(51)の夫々の回転数を検出する回転検出手段(78)を設け、該回転検出手段(78)により検出した左右の車軸(51)の回転数の回転差と、前記操向レバー(75)の傾倒操作角度とを対比して、制御コントローラ(79)の旋回制御異常検出手段(80)で旋回制御の異常の有無を検出する構成とし、該旋回制御異常検出手段(80)で異常と判定されると、その旨を報知手段(81)により報知する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記操向レバー(75)が左右何れ一方に所定角以上傾倒操作していることを操向レバー位置検出手段(76)で検出し、左右の車軸(51)に操向レバー(75)の操作角に応じた回転差が生じていないことを回転検出手段(78)で検出した場合に、前記旋回制御異常検出手段(80)で異常と判定し、該異常を前記報知手段(81)により報知するように構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記操向レバー(75)が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段(76)が検出しているにも拘わらず、左右の車軸(51)に所定以上の回転差が生じた場合に、旋回制御異常検出手段(80)で異常と判定し、該異常を報知手段(81)により報知するように構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記走行用静油圧式無段変速装置(12)を操作する主変速レバー(13)の操作位置を検出する主変速位置検出手段(82)を設け、前記操向レバー(75)の左右何れ一方に所定角以上傾倒操作しているときの左右の車軸(51)の所定以上の回転差が検出できないとき、または、操向レバー(75)が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段(76)が検出しているにも拘わらず、左右の車軸(51)に所定以上の回転差が生じることにより、旋回制御異常検出手段(80)が走行異常と判定した状態で、前記主変速位置検出手段(82)で主変速レバー(13)の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となる位置にあることを検出すると、エンジン(22)を自動的に停止させるように構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項5】
請求項4において、前記刈取部(4)および前記脱穀装置(2)の駆動の入切を検出する刈脱レバー位置検出手段(86)と、前記刈取部(4)に搬送中の穀稈の有無を検出する穀稈有無検知手段(87)を設け、前記刈脱レバー位置検出手段(86)が刈取部(4)および脱穀装置(2)の駆動の入りを検出し、且つ、穀稈有無検知手段(87)が搬送中の穀稈の有りを検出した場合には、前記旋回制御異常検出手段(80)が走行異常と判定した状態で、主変速位置検出手段(82)が主変速レバー(13)の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となる位置にあることを検出しても、エンジン(22)を停止させず、作業を続行しうる構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項6】
請求項5において、前記旋回制御異常検出手段(80)で走行異常と判定し、前記刈脱レバー位置検出手段(86)が刈取部(4)および脱穀装置(2)の駆動の入りを検出し、且つ、穀稈有無検知手段(87)が搬送中の穀稈の有りを検出した場合には、走行速度の減速操作を促す表示をモニタ(88)に表示するように構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項1】
走行用静油圧式無段変速装置(12)により走行速度を無段階に変速可能な走行装置(3)の前方に刈取部(4)を設け、走行装置(3)の上方には脱穀装置(2)を設け、前記走行装置(3)は、操向レバー(75)の操作によりミッションケース(18)の左右の車軸(51)の回転に回転差を発生させて旋回するように構成し、前記操向レバー(75)の操作位置を検出する操向レバー位置検出手段(76)を設け、前記左右の車軸(51)の夫々の回転数を検出する回転検出手段(78)を設け、該回転検出手段(78)により検出した左右の車軸(51)の回転数の回転差と、前記操向レバー(75)の傾倒操作角度とを対比して、制御コントローラ(79)の旋回制御異常検出手段(80)で旋回制御の異常の有無を検出する構成とし、該旋回制御異常検出手段(80)で異常と判定されると、その旨を報知手段(81)により報知する構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記操向レバー(75)が左右何れ一方に所定角以上傾倒操作していることを操向レバー位置検出手段(76)で検出し、左右の車軸(51)に操向レバー(75)の操作角に応じた回転差が生じていないことを回転検出手段(78)で検出した場合に、前記旋回制御異常検出手段(80)で異常と判定し、該異常を前記報知手段(81)により報知するように構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記操向レバー(75)が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段(76)が検出しているにも拘わらず、左右の車軸(51)に所定以上の回転差が生じた場合に、旋回制御異常検出手段(80)で異常と判定し、該異常を報知手段(81)により報知するように構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記走行用静油圧式無段変速装置(12)を操作する主変速レバー(13)の操作位置を検出する主変速位置検出手段(82)を設け、前記操向レバー(75)の左右何れ一方に所定角以上傾倒操作しているときの左右の車軸(51)の所定以上の回転差が検出できないとき、または、操向レバー(75)が左右何れにも傾倒操作されていない中立位置であると操向レバー位置検出手段(76)が検出しているにも拘わらず、左右の車軸(51)に所定以上の回転差が生じることにより、旋回制御異常検出手段(80)が走行異常と判定した状態で、前記主変速位置検出手段(82)で主変速レバー(13)の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となる位置にあることを検出すると、エンジン(22)を自動的に停止させるように構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項5】
請求項4において、前記刈取部(4)および前記脱穀装置(2)の駆動の入切を検出する刈脱レバー位置検出手段(86)と、前記刈取部(4)に搬送中の穀稈の有無を検出する穀稈有無検知手段(87)を設け、前記刈脱レバー位置検出手段(86)が刈取部(4)および脱穀装置(2)の駆動の入りを検出し、且つ、穀稈有無検知手段(87)が搬送中の穀稈の有りを検出した場合には、前記旋回制御異常検出手段(80)が走行異常と判定した状態で、主変速位置検出手段(82)が主変速レバー(13)の操作位置が前進または後進でかつ所定以上の走行速度となる位置にあることを検出しても、エンジン(22)を停止させず、作業を続行しうる構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項6】
請求項5において、前記旋回制御異常検出手段(80)で走行異常と判定し、前記刈脱レバー位置検出手段(86)が刈取部(4)および脱穀装置(2)の駆動の入りを検出し、且つ、穀稈有無検知手段(87)が搬送中の穀稈の有りを検出した場合には、走行速度の減速操作を促す表示をモニタ(88)に表示するように構成したことを特徴とするコンバイン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−148435(P2010−148435A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330199(P2008−330199)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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