説明

コンバイン

【課題】デバイダが穀稈の株を割らずに分草し、円滑に穀稈を搬送すると共に乱れなく穀稈を刈取り可能な8条刈りのコンバインを提供する。
【解決手段】8条刈りのコンバイン1は、9本のデバイダを有していると共に、これら9本のデバイダのうち左端から数えて4番目、右端から数えて6番目の機体内側のデバイダを刈取り基準位置としている。上記9本のデバイダは、刈取り基準位置のデバイダが左右の穀稈の中央に位置する際、尺植え及び尺一寸植えのどちらでも穀稈の株を割らないように配設されている。また、この刈取り基準位置のデバイダを支持するデバイダフレーム23aには、方向自動制御用の方向センサ18が取付けられており、この方向センサ18の左右のセンサバー18L,18Rと穀稈とが接触すると、その接触した側のセンサバー18L,18Rとは逆方向に機体の進行方向が修正される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、多条列の穀稈を刈取りつつ脱穀するコンバインに係り、詳しくは、8条刈りの大型のコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多条列の穀稈をデバイダによって分草し、分草された穀稈を刈取ると共に、脱穀部まで搬送する前処理部を機体前方に備えた8条刈りのコンバインが案出されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】実開昭55−81534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に苗は、圃場に略々一直線状に植付けられていくが、その並びは左右に多少の誤差を有しているのが普通であると共に、苗を植付ける地域によってその植付間隔は、一尺であったり(尺植え)、一尺一寸(尺一寸植え)であったりする。
【0005】
このように、苗の植付間隔が相違すると、特許文献1記載のコンバインのような8条刈りのコンバインの場合、刈取り条数が多いため、尺植えと尺一寸植えとの間で穀稈の位置の差が大きくなりどちらの植付間隔でも株を割らないようにデバイダを配置することが難かった。そのため、一部のデバイダが株を割って、穀稈の搬送が乱れると共に刈跡が悪くなってしまうことがあった。
【0006】
そこで本願発明は、機体進行方向左端もしくは右端から数えて4番目のデバイダを刈取り基準位置とし、この刈取り基準位置を基準としてその他のデバイダも、尺植え及び尺一寸植えのどちらの場合でも穀稈の株を割らないように配置したことによって、上記課題を解決したコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、機体前方に昇降自在に支持された前処理部(5)の機体左右方向に延設された横フレーム部(21,22)及び、該横フレーム部(21,22)から機体前方に突出し、機体左右方向に所定間隔を存して設けられた9本の縦フレーム部(23,24L,24R)を有する前処理フレーム(28)と、これら各縦フレーム部(23,24L,24R)の先端に取付けられ、穀稈を分草する9本のデバイダ(13)とを備えた8条刈りのコンバイン(1)において、
機体進行方向左端もしくは右端から数えて4番目のデバイダ(13a,13c)を刈取り基準位置とし、
該刈取り基準位置のデバイダ(13a,13c)が左右の穀稈の中央に位置した状態で、尺植え又は尺一寸植えのどちらの場合でも穀稈の株を割らない位置に前記デバイダ(13)を配置した、
ことを特徴とする8条刈りのコンバイン(1)にある。
【0008】
請求項2に係る発明は、穀稈に対する前記デバイダ(13a,13c)の位置を検出する方向センサ(18)と、該方向センサ(18)の検出信号に応じて前記機体の進行方向を自動的に制御する方向自動制御手段とを備え、
前記方向センサ(18)を、前記刈取り基準位置のデバイダ(13a,13c)を支持する前記縦フレーム部(23a,23c)に設けた、
請求項1記載のコンバイン(1)にある。
【0009】
なお、括弧内の符号等は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る発明によると、機体進行方向左端もしくは右端から数えて4番目のデバイダを刈取り基準位置としたことによって、刈取り基準位置が機体の中央側に位置することとなり、8条刈りのコンバインのように刈取り条数が多くなっても、尺植えの苗と、尺一寸植えの苗との間で位置の差が大きくならず、尺植え及び尺一寸植えのどちらの場合でもデバイダは穀稈の株を割らないで分草することができる。そのため、穀稈の搬送が乱れることがないと共に、刈跡が悪化することもない。
【0011】
請求項2に係る発明によると、刈取り基準位置のデバイダを支持している縦フレーム部に方向センサを取付けたことによって、方向自動制御状態で機体が進行している際に、他のデバイダが穀稈の株を割ることがなく、穀稈の搬送乱れや刈跡の悪化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に図面に沿って、本願発明の実施の形態に係るコンバイン1について説明をする。なお、説明中の方向は作業者が機体に着座した状態を基準として考えるものとする。また、伝動筒(例えば縦伝動筒12、横伝動筒21、引起し伝動筒25、中間伝動筒27など)は伝動軸(12b,21b,27a)を内装しており、伝動筒により動力伝達が行われるとは、これら伝動筒に内装された伝動軸によって動力が伝達されることを意味する。
【0013】
図1乃至図3に示すように、コンバイン1は8条刈りのコンバインであり、左右一対のクローラ走行装置2,2に支持された機体3を有している。機体3の前方には作業者が運転操作するキャビン6が設けられていると共に前処理部5が昇降自在に取付けられており、この前処理部5の後方には、穀稈を脱穀する脱穀部7及び排藁を処理する後処理部9が設けられている。また、脱穀された穀粒は、脱穀部7の側方かつ、キャビン6の後方に設けられたグレンタンク10に一時的に貯留され、排出オーガ11によって機外へと排出されるように構成されている。
【0014】
図4乃至図8に示すように、上記前処理部5は、エンジン(不図示)からの動力を前処理部5に伝達する縦伝動筒12によって昇降自在に支持されており、前処理部5の前部に複数設けられたデバイダ13と、デバイダ13の後方で分草された穀稈を引起す引起装置15と、穀稈を刈取るレシプロ式の刈刃16aを有する刈取装置16と、引起された穀稈の株元側を掻き込む掻込搬送装置17と、刈取装置16によって刈取られた穀稈を搬送して脱穀部7のフィードチェーン19に受け渡す穀稈搬送装置20とから構成されている。
【0015】
上記縦伝動筒12の前端部は、前処理部5の下端部の略々全幅に亘って延設された左右の横伝動筒21L,21Rと連結しており、該横伝動筒21L,21Rによって刈取装置16に動力が伝達されている。また、図6に示すように、横伝動筒21には、その前方で機体幅方向に延設された横フレーム22がブラケット(不図示)及び左右のサイドフレーム24L,24Rを介して取付けられており、この横伝動筒21及び横フレーム22からなる横フレーム部21,22と、横フレーム22から機体前方に向って突設し、その先端にデバイダ13が取付けられるデバイダフレーム23・・・及び前処理部5の刈幅の両端に位置する左右のサイドフレーム24L,24Rからなる9本の縦フレーム部23,24L,24Rによって前処理部5の前処理フレーム28が構成されている。また、左右のサイドフレーム24L,24Rの先端にもデバイダ13,13は取付けられ、これらのデバイダ13,13はナローガイド14,14によってその分草位置を調節可能に構成されている。
【0016】
上述した9本のデバイダ13・・・のうち左端から数えて4番目、右端から数えて6番目の機体中央側のデバイダ13aはコンバイン1の刈取り基準位置となっており、デバイダ13はこの刈取り基準位置にあるデバイダ13aが左右の穀稈の中央にある際に、他のデバイダ13が尺植えでも尺一寸植えでも穀稈の株を割らないように配設されている。特に、刈取り基準位置から離れるため穀稈の株を割りやすい左右端から数えて2番目のデバイダ13b,13bのデバイダフレーム23b,23bは、株を割らないように機体外側に屈曲して形成されている。
【0017】
また、刈取り基準位置のデバイダ13aのデバイダフレーム23aには、機体の方向自動制御用の方向センサ18が設けられており、この方向センサ18はデバイダフレーム23aから左右に延びたセンサバー18L,18Rを有し、左右のセンサバー18L,18Rと穀稈とが接触することによって、穀稈とデバイダ13aとの位置関係を検出している。
【0018】
この方向センサ18からの検出信号は、コンバイン1の機体進行方向を制御する方向自動制御手段(不図示)によって検出され、機体3は、左右のセンサバー18L,18Rと穀稈が接触していない場合は直進、左右どちらか一方のセンサバー18L,18Rが穀稈と接触している場合は左右のサイドクラッチ(不図示)を断接して、接触しているセンサバー18L,18Rとは逆方向に進むように方向自動制御手段によって進行方向を制御される。また、左右のセンサバー18L,18Rが共に穀稈に接触している場合には、コンバイン1の機体3は右方向に進むように進行方向を制御される。
【0019】
なお、刈取り基準位置は、左端から数えて6番目、右端から数えて4番目のデバイダ13cにしてもよく、方向センサ18もこのデバイダ13cを支持するデバイダフレーム23cに取付けても良い。また、これら刈取り基準位置のデバイダ13a,13cを支持するデバイダフレーム23a,23c両方に方向センサ18を取付け、一方を通常の方向制御用とし、他方を中割制御用として使用しても良い。
【0020】
一方、図5及び図8に示すように、前処理部5の上部には各引起装置15に動力を伝達する引起し伝動筒25が機体幅方向に延設されており、中間伝動筒27を介して横伝動筒21から動力が伝達されている。中間伝動筒27は上記横伝動筒21の左端から機体上方に向けて立設されており、その引起し伝動筒25との連結部には圃場の穀稈の状況に応じて引起装置15の引起し速度を変速する引起し変速装置26が設けられている。
【0021】
次に、掻込搬送装置17について説明をする。掻込搬送装置17は、引起装置15によって引起された穀稈の株元を掻き込む掻込ベルト31と、掻込ベルト31によって掻き込まれた穀稈を集束するスターホイール32とから構成されており、これら掻込ベルト31及びスターホイール32は、それぞれ刈取り条数に対応した数(本実施形態においては8つ)だけ設けられている。
【0022】
上記スターホイール32は、樹脂からなる略々星型の部材であり、一対のスターホイール間を噛合させて穀稈の搬送路を形成している。図8に示すように、スターホイール32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32hは、4組のスターホイール対33A,33B,33C,33Dを形成しており、このうち機体左右外側の2組のスターホイール対33A,33Dは、機体内側の2組のスターホイール対33B,33Cに対して平面視で上下に重複して配置されている。
【0023】
また、上記機体内側の2組のスターホイール対33B,33Cは、穀稈の搬送路ではない機体中央部の隣接する2つのスターホイール32d,32eも噛合させており、これら機体内側の2組のスターホイール対間Tにおいて動力伝達する構成となっている。
【0024】
更に、これらスターホイール32a,32b,32c,32d,32e,32f,32g,32hと、掻込ベルト31とは同軸上に設けられ、同期して回転するように構成されており、詳しくは後述する駆動側のスターホイール32a,32d,32e,32hの取付軸95,62,61,93に動力が伝達されて駆動している。
【0025】
次に、穀稈搬送装置20について説明をする。穀稈搬送装置20は、刈取装置16によって刈取られた穀稈の穂先側を搬送する穂先搬送装置20aと、株元側を搬送する株元搬送装置20bとからなり、該穂先搬送装置20aは、図9に示すように機体搬送方向右端から中央部まで機体幅方向に長く延設されると共に、該中央部で機体後方側に変向し、穀稈の穂先側を縦方向に脱穀部7まで搬送する右主穂先搬送装置36と、機体搬送方向左端から中央部まで延設され、穀稈の合流搬送部Iである前処理部5の中央部において、搬送してきた穀稈の穂先側を右主穂先搬送装置36に受け渡す左主穂先搬送装置35と、これら左右の主穂先搬送装置35,36間に位置し、前処理中央部で刈取られた穀稈の穂先側を後方に搬送して、左右の穂先搬送装置にそれぞれ受け渡す左右の副穂先搬送装置37,39と、前処理部5の左右端部において刈取られた穀稈の穂先上段を搬送する左右の上段穂先搬送装置40,41とから構成されている。
【0026】
また、株元搬送装置20bは、図10に示すように上記穂先搬送装置20aの下方に位置し、機体進行方向右端から中央部まで延設された右主株元搬送装置43と、機体進行方向左端から合流搬送部Iである前処理部の中央部まで延設された左主株元搬送装置42と、これら左右の主株元搬送装置42,43の間に配置され、前処理中央部において刈取られた穀稈を後送する左右の副株元搬送装置45,46と、合流搬送部Iで合流した穀稈の株元側を搬送し、穀稈の扱ぎ深さを調節する扱深搬送装置49と、扱深搬送装置49から搬送されてきた穀稈の株元側をフィードチェーン19へと受け渡す補助株元搬送装置47
などから構成されている。なお、これら穂先搬送装置20a及び株元搬送装置20bは、複数のスプロケット間にタイン(爪付きチェーン)もしくはチェーンを巻装して構成されており、穀稈の穂先側の搬送はタイン、株元側の搬送はチェーンでおこなわれる。
【0027】
次に、前処理部5の取付け構造について説明をする。図7、図11及び図12に示すように、縦伝動筒12の前端には鋳物によって形成されたホルダ部12aが設けられており、このホルダ部12aの側部には、左右の横伝動筒21L,21Rがフランジ部21aを複数のボルト53によって固定されることで取付けられている。これら縦伝動筒12と左右の横伝動筒21L,21Rとの連結部55は、前処理部5の機体幅方向中央部に位置しており、その前方には中央左右の掻込搬送装置17a,17a及びデバイダ13dが配設されている(図5参照)。
【0028】
掻込搬送装置17は、横フレーム部21,22である左右の横伝動筒21L,21Rから機体前方に突設された支持フレームによって取付けられていると共に、上述した中央左右の掻込搬送装置17a,17aの支持フレーム56は、横長に形成された断面L字状のプレート部材57a及びその中央から上方に立設した円柱部材57bからなる取付部57と、該円柱部材57bの上端から機体前方に突出する縦部材59a及びこの縦部材59aの中途部から直交する方向に延設された横部材59bからなるフレーム部59とによって構成されており、横部材59bの左右端に設けられたボス部60,60には中央左右の掻込搬送装置17a,17aの取付軸61,62がそれぞれ嵌挿されて、掻込ベルト31,31、スターホイール32d,32e及び左右の副株元搬送装置45,46が取付けられている。
【0029】
また、この支持フレーム56の取付部57のプレート部材57aは、縦伝動筒12と横伝動筒21の連結部55を跨ぐように機体幅方向に長く形成されており、この連結部55を挟んで左右の横伝動筒21L,21Rにボルト63,63によって取付けられている。更に、支持フレーム56は、縦部材59aの前端部もデバイダフレーム23dに設けられたブラケット65にボルト66によって固定されていると共に、横部材59bの左右端には掻込搬送装置17a,17aの他に、左右の副株元搬送装置45,46の従動スプロケット45c,45b,46c,46b及びこれら中央左右の掻込搬送装置17a,17aが後送した穀稈の株元側を案内する左右の副株元搬送装置45,46の搬送ガイド67,67が機体後方側に向って取付けられている。なお、従動スプロケット45c,45b,46c,46b及び支持フレーム46の後方に位置する駆動スプロケット45d,46dに搬送チェーン45a,46aが巻着することによって、上記副株元搬送装置45,46は構成されている。
【0030】
次に前処理部5の動力伝達について説明をする。図13に示すように、エンジンからの動力が入力される搬送HST69の出力軸70に設けられたプーリ70aと、縦伝動筒12の前処理入力プーリ71との間にはべルト72が巻着しており、前処理部5へとエンジンからの動力が伝達されている。この縦伝動筒12の縦伝動軸12bからの動力は、横伝動筒21の横伝動軸21bに伝達されると共に、中間伝動筒27の中間伝動軸27aを介して引起し伝動筒25の引起し伝動軸25aへと伝達される。また、縦伝動筒12の中途部からは、複数の副伝動軸が分岐しており、これらの副伝動軸に設けられた複数の駆動スプロケット73,75,76,77,45d,46d,81,82によって、上述した右主穂先搬送装置36、補助株元搬送装置47、右主株元搬送装置43、扱深搬送装置49、左副株元搬送装置45、左副穂先搬送装置37、右副株元搬送装置46及び右副穂先搬送装置39を駆動させている。
【0031】
更に、横伝動筒21の両端に設けられた刈刃駆動部16b,16bによって、刈取装置16の刈刃16aが駆動していると共に、中間伝動筒27の中間伝動軸27aから分岐した副伝動軸83には駆動スプロケット85,86,87が設けられており、左主株元搬送装置42、左主穂先搬送装置35及び左上段穂先搬送装置40に動力を伝達している。また、中間伝動筒27に設けられた引起し変速装置26の変速駆動軸26b(中間伝動筒27の中間伝動軸27aの上端部)と変速従動軸26aとの間には複数の変速ギヤが設けられ、これらの噛合によって変速された動力が引起し伝動筒25の引起し伝動軸25aに伝達される。
【0032】
上記引起し伝動筒25からは、機体前方に向けて複数の穂先伝動筒89が突設しており、該穂先伝動筒89の穂先伝動軸89aの先端には駆動スプロケット90が設けられていると共に、これら駆動スプロケット90によって引起装置15に動力が伝達されている。
【0033】
上述した左主株元搬送装置42及び右主株元搬送装置43の従動スプロケット91,92は、それぞれ機体左右端に設けられたスターホイール32h,32aの取付軸93,95に固設されており、この取付軸93,95に動力を伝達して駆動側のスターホイール32h,32aを回転させている。また、左右の副株元搬送装置45,46の従動スプロケット45b,46bのうち、右副株元搬送装置46の従動スプロケット46bは、機体中央のスターホイール32dの取付軸62に固設されており、駆動側のスターホイール32dを回転させると共に、左副株元搬送装置45の従動スプロケット45bは、機体中央のスターホイール32eの取付軸61に遊嵌されている。
【0034】
そのため、4組のスターホイール対33A,33B,33C,33Dのうち、機体外側のスターホイール対33A,33Dは、駆動側のスターホイール32a,32hによって従動側のスターホイール32b,32g及び掻込ベルト31を駆動させていると共に、機体内側のスターホイール対33B,33Cは駆動側のスターホイール32dによって、従動側のスターホイール32c及び掻込ベルト31を駆動させ、またスターホイール32d,32eの噛合によって従動側のスターホイール32f及び掻込ベルト31も駆動させている。
【0035】
なお、7条刈りコンバインとして構成する際には、機体内側のスターホイール対33B,33Cのうち、32c,32fのスターホイールのどちらか一方が抜けた構成となり、32d,32eのスターホイールのうち、どちらか一方はガイドとの間に穀稈の搬送路を形成することとなる。
【0036】
次に、本実施形態に係るコンバイン1の作用について説明する。作業者はコンバイン1に乗込むと、刈取り基準位置である左端から数えて4番目のデバイダ13aが左右の穀稈の中央に位置するように機体3を操舵し、収穫作業を開始する。このとき、圃場の穀稈を分草する9つのデバイダ13・・・は、刈取り基準位置にあるデバイダ13aが、左右の穀稈の間にある場合に尺植え、尺一寸植えのどちらでも穀稈の株を割らないように配設されているため、どのデバイダ13・・・も株を割らずに圃場の穀稈を分草して行く。
【0037】
また、機体の進行方向がずれて刈取り基準位置のデバイダ13aのデバイダフレームに23aに設けられた方向センサ18の右センサバー18Rと穀稈とが接触すると、方向センサ18からの検出信号を受けた方向自動制御手段が左サイドクラッチを切断して機体の進行方向を左方向へと修正する。また、方向センサ18の左センサバー18Lと穀稈とが接触すると、方向センサ18からの検出信号を受けた方向自動制御手段が右サイドクラッチを切断して機体の進行方向を右方向へと修正する。
【0038】
上記のようにコンバイン1を構成したことによって、刈取り基準位置が左端から数えて4番目、右端から数えて6番目の機体中央側に位置するデバイダ23aとなり、8条刈りのような大型のコンバイン1において前処理部5の幅が広がって刈取り条数が多くなっても、刈取り基準位置から左右端部までの距離を比較的短くすることができる。そのため、尺植え及び尺一寸植えの植付間隔の差に起因する穀稈の位置の差を小さくすることができ、上述した8条刈りの大型のコンバイン1でもデバイダ13・・・を穀稈の株を割らずに配設することができる。
【0039】
また、デバイダ13・・・が穀稈の株を割らないため、穀稈の搬送が乱れることがないと共に、刈跡が悪化することもないと共に、刈取り基準位置のデバイダ13aを支持しているデバイダフレーム23aに方向センサ18を取付けたことによって、方向自動制御状態で機体が進行している際に、他のデバイダが穀稈の株を割る割合が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本願発明の実施形態に係るコンバインの側面図。
【図2】本願発明の実施形態に係るコンバインの正面図。
【図3】本願発明の実施形態に係るコンバインの平面図。
【図4】本願発明の実施形態に係る前処理部の側面図。
【図5】本願発明の実施形態に係る前処理部の正面図。
【図6】本願発明の実施形態に係る前処理部の伝動平面図。
【図7】本願発明の実施形態に係る前処理部の伝動正面図。
【図8】本願発明の実施形態に係る前処理部の伝動正面図。
【図9】本願発明の実施形態に係る前処理部の穂先搬送装置を示す伝動平面図。
【図10】本願発明の実施形態に係る前処理部の株元搬送装置を示す伝動平面図。
【図11】本願発明の実施形態に係る中央左右の株元搬送装置を示す分解斜視図。
【図12】本願発明の実施形態に係る中央左右の株元搬送装置を示す斜視図。
【図13】本願発明の実施形態に係るコンバインの伝動展開図。
【符号の説明】
【0041】
1 コンバイン
5 前処理部
13 デバイダ
13a,13c 刈取り基準位置のデバイダ
18 方向センサ
21 横伝動筒(横フレーム部)
22 横フレーム(横フレーム部)
23 デバイダフレーム(縦フレーム部)
23a,23c 刈取り基準位置のデバイダフレーム
24L,24R 左右のサイドフレーム(縦フレーム部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体前方に昇降自在に支持された前処理部の機体左右方向に延設された横フレーム部及び、該横フレーム部から機体前方に突出し、機体左右方向に所定間隔を存して設けられた9本の縦フレーム部を有する前処理フレームと、これら各縦フレーム部の先端に取付けられ、穀稈を分草する9本のデバイダとを備えた8条刈りのコンバインにおいて、
機体進行方向左端もしくは右端から数えて4番目のデバイダを刈取り基準位置とし、
該刈取り基準位置のデバイダが左右の穀稈の中央に位置した状態で、尺植え又は尺一寸植えのどちらの場合でも穀稈の株を割らない位置に前記デバイダを配置した、
ことを特徴とする8条刈りのコンバイン。
【請求項2】
穀稈に対する前記デバイダの位置を検出する方向センサと、該方向センサの検出信号に応じて前記機体の進行方向を自動的に制御する方向自動制御手段とを備え、
前記方向センサを、前記刈取り基準位置のデバイダを支持する前記縦フレーム部に設けた、
請求項1記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−57413(P2010−57413A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226231(P2008−226231)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】