説明

コンバイン

【課題】刈取部の接地圧を軽減するために単一のバネを設けているので、付勢力が不足する。単一のバネで刈取部の上下ストロークの全てを支持するため、バネ機構の作動スペースが大きくなる。
【解決手段】橇体22を有し刈取上下シリンダ19により昇降する刈取部4を設ける。刈取上下シリンダ19とは別に刈取部4を上昇側に付勢する補助付勢手段20を設ける。補助付勢手段20は、前側小径バネ29の前側バネホルダ27により構成した前側バネ機構25Aと、後側大径バネ30を有する伸縮自在の後側バネホルダ28により構成した後側バネ機構25Bから構成する。前側バネ機構25Aの基部と後側バネ機構25Bの先端部とを上下方向に屈曲回動自在に中間取付軸26により連結し、前記後側バネホルダ28は前後方向にのみ伸縮し、上下方向に回動しないように機体フレーム1側に取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、機体フレームの下方に走行装置を設け、機体フレームの上方に脱穀装置を設け、機体フレームの前方には刈取上下シリンダにより昇降する刈取部を設け、刈取上下シリンダとは別に刈取部を支持して刈取部の接地圧を軽減する補助支持手段を設けた構成は公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−267123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、単に、刈取部の接地圧を軽減するだけであるため、単一のバネを設けているが、刈取部の重量が重くなると、付勢力が不足するという課題がある。
また、単一のバネで刈取部の上下ストロークの全てを支持する構成のため、バネ機構の作動スペースを大きく必要とする課題がある。
本願は、刈取部の接地圧を軽減する付勢手段の構成を工夫し、付勢手段の作動スペースを小さくして、刈取部の後方の空間を有効利用できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、機体フレーム1の下方に走行装置2を設け、機体フレーム1の上方一側に脱穀装置3を設け、機体フレーム1の前方には橇体22を有し刈取上下シリンダ19により昇降する刈取部4を設け、前記刈取上下シリンダ19とは別に刈取部4を上昇側に付勢して前記橇体22が圃場面の凸部で突き上げられた際の刈取部4の上方退避を補助する補助付勢手段20を設け、補助付勢手段20は、刈取部4を機体フレーム1側に支持する刈取支持フレーム16側に先端部を取付け内部に前側小径バネ29を有する伸縮自在の前側バネホルダ27により構成した前側バネ機構25Aと、基部を機体フレーム1側に取付け内部に後側大径バネ30を有する伸縮自在の後側バネホルダ28により構成した後側バネ機構25Bから構成し、前側バネ機構25Aの基部と後側バネ機構25Bの先端部とを上下方向に屈曲回動自在に中間取付軸26により連結し、前記後側バネホルダ28は前後方向にのみ伸縮し、上下方向に回動しないように機体フレーム1側に取付けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、コンバインを前進させて、分草装置で分草するとともに引起装置9で引起し、その後刈刃で穀稈の根本側を切断し、切断した穀稈を穀稈搬送装置で搬送して穀稈の刈取作業を行う。
刈取部4のフレームは刈取支持フレーム16の先側に設け、刈取上下シリンダ19により刈取部4を昇降させて刈り高さを調節し、調節された刈り高さを保持した状態で、前進しながら刈取作業を行う。
刈取部4には、圃場面への接地圧力を軽減する補助付勢手段20を刈取上下シリンダ19とは別に設けているので、刈取部4の橇体22が圃場面の凸部で突き上げられると、その反力により刈取部4を上方退避させる。
請求項2記載の発明は、前記前側バネホルダ27の先端は刈取支持フレーム16側に前側取付軸31により回動自在に取付け、前側バネホルダ27の基部は後側バネホルダ28の先端に前記中間取付軸26により回動自在に取付け、後側バネホルダ28の基部は機体フレーム1に設けたバネ機構支持部材33に固定状態に取付けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、刈取部4が最上昇位置から下降すると、前側バネホルダ27が中間取付軸26中心に下方回動して屈曲しながら縮小し、更に刈取部4が下降すると、後側バネホルダ28が縮小し、橇体22が圃場面に接地する。
請求項3記載の発明は、前記刈取上下シリンダ19は正面視において刈取支持フレーム16と略重なるように刈取支持フレーム16の後方に配置し、補助付勢手段20は刈取上下シリンダ19の外側に所定間隔をおいて配置したことを特徴とするコンバインとしたものであり、刈取上下シリンダ19と補助付勢手段20と前側取付軸31と機体フレーム1により刈取部4の支持を強固にし、特に、捻れを防止する。
請求項4記載の発明は、記前側バネ機構25Aの前側バネホルダ27の前側先端筒36の基部には、前側先端筒36よりも大径の前側基部筒50の先端を嵌合させ、前側基部筒50の基部は断面コの字形状の前側連結部材51の前板部52に固定し、前記前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とを前記中間取付軸26により回動自在に連結し、前側バネホルダ27が最も縮小したとき、前側先端筒36が前側連結部材51の前板部52に当接するか、もしくは、前側基部筒50の先端面が前側取付軸31を嵌合させた筒部材35の外面に当接するように設定したことを特徴とするコンバインとしたものであり、刈取部4の橇体22が圃場に接地すると、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とが略直線状に近い状態となり、前側バネホルダ27の前側小径バネ29が最も圧縮され、前側小径バネ29と後側大径バネ30とが最も付勢力を発揮する状態となって、刈取作業中、補助付勢手段20は最も効率よく刈取部4を上方へ付勢し、刈取部4の圃場面に対する追従性を良好にする。
請求項5記載の発明は、前記バネ機構25は、前側バネ機構25Aの前側小径バネ29よりも後側バネ機構25Bの後側大径バネ30をバネ定数を大きく設定し、前側バネ機構25Aの前側バネホルダ27の外径よりも後側バネ機構25Bの後側バネホルダ28の外径を大きく構成し、前記刈取部4の橇体22が圃場に接地した刈取作業状態で、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とが略直線状態となり、かつ、前側バネホルダ27の前側小径バネ29が最圧縮状態となるように設定したことを特徴とするコンバインとしたものであり、前側バネホルダ27の伸縮の方が後側バネホルダ28の伸縮より軽い力で行われ、そのため、刈取部4の振動に連動して振動する刈取支持フレーム16の振動を、前側バネホルダ27の伸縮により吸収する。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、刈取上下シリンダ19とは別に設けた補助付勢手段20により刈取部4の接地圧力を軽減させて、刈取部4の橇体22が圃場上面に接触すると刈取部4を上方退避させることができ、刈取部4の破損を防止でき、更に、前側バネ機構25Aと後側バネ機構25Bとは上下方向に屈曲し、後側バネホルダ28は前後方向にのみ伸縮し、上下方向に回動しないので、刈取部4の刈取支持フレーム16の移動スペース付近に存在する他の構成品を避けて、補助付勢手段20を設けることができ、機体フレーム1の前側のスペースを有効利用することができる。
請求項2記載の発明では、刈取部4の刈取支持フレーム16側に取付けた前側バネホルダ27の基部を、基部は機体フレーム1に設けたバネ機構支持部材33に固定状態に取付けた後側バネホルダ28の先端に中間取付軸26により回動自在に取付けているので、バネ機構25を、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28を連結する中間取付軸26の部分で刈取部4の上下により屈折するように簡単に構成できる。
請求項3記載の発明では、刈取上下シリンダ19は正面視において刈取支持フレーム16と略重なるように刈取支持フレーム16の後方に配置し、補助付勢手段20は刈取上下シリンダ19の外側に所定間隔をおいて配置しているから、刈取上下シリンダ19と補助付勢手段20とが互いに互いを支持して、刈取上下シリンダ19および補助付勢手段20による刈取部4の支持を強固にし、特に、刈取部4の捻れ強度を向上させることができる。これによって、刈取穀稈の株元が揃い、脱穀作業を効率よく行うことができ、また、刈跡の美観を向上させることができる。
請求項4記載の発明では、設計上、前側先端筒36の前側連結部材51との当接および前側基部筒50の筒部材35との当接の両者を併存させているので、製造・組立上の公差があったとしても、必ず、前側先端筒36の前側連結部材51との当接と前側基部筒50の筒部材35との当接との一方が行われ、スットパ作用を確実にできる。
請求項5記載の発明では、前側バネ機構25Aの前側小径バネ29よりも後側バネ機構25Bの後側大径バネ30をバネ定数を大きく設定し、前側バネ機構25Aの前側バネホルダ27の外径よりも後側バネ機構25Bの後側バネホルダ28の外径を大きく構成し、前記刈取部4の橇体22が圃場に接地した刈取作業状態で、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とが略直線状態となり、かつ、前側バネホルダ27の前側小径バネ29が最圧縮状態となるように設定しているので、刈取部4の橇体22を圃場に接地させて行う刈取作業において、補助付勢手段20は最も効率よく刈取部4を上方へ付勢し、刈取部4の圃場面に対する追従性を良好にする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】刈取部を上昇させたコンバインの側面図。
【図3】脱穀装置等を省略した側面図。
【図4】補助付勢手段の断面図。
【図5】補助付勢手段の展開状態平面図。
【図6】補助付勢手段および刈取上下シリンダの展開状態平面図。
【図7】補助付勢手段の前側バネ機構付近の展開状態平面図。
【図8】前側バネ機構の伸長状態の側面および平面の断面図。
【図9】同最縮小状態断面図。
【図10】後側バネ機構の伸長状態および最縮小状態の断面図。
【図11】刈取装置の昇降時の補助付勢手段付近の側面図。
【図12】刈取装置の最上昇状態の補助付勢手段付近の側面図。
【図13】刈取装置の通常作業高さ位置の補助付勢手段付近の側面図。
【図14】刈取装置の最下降状態の補助付勢手段付近の側面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施例を図により説明すると、1は機体フレーム、2は該機体フレーム1の下方位置に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方位置に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前側に設けた刈取部、5はグレンタンク、6はグレンタンク5内の穀粒を排出する排出オーガ、7は操縦部である。
前記刈取部4は、最先端位置に分草装置8を左右に並設し、各分草装置8の後側に分草装置8が分草した穀稈を引起す引起装置9を設け、引起装置9の後側には刈刃10を設け、刈刃10の上方の後側には刈刃10によって刈り取った穀稈を搬送する穀稈搬送装置11を設ける。
穀稈搬送装置11の構成は任意であり、分草装置8で分草して引起装置9で引起して刈刃10で株元を切断した穀稈を搬送する前側搬送装置(図示省略)や掻き込み装置13や後方に搬送する後側搬送装置(図示省略)等により構成する。12は脱穀装置3に穀稈を供給搬送する穀稈供給搬送装置であり、穀稈供給搬送装置12の始端部に後側搬送装置(図示省略)からの穀稈を引き継ぐ引継搬送装置13を設けており、引継搬送装置13は前記穀稈搬送装置11の一部を構成している。
【0009】
分草装置8と引起装置9と刈刃10と刈り取った穀稈を搬送する穀稈搬送装置の一部を刈取フレーム15に設け、刈取フレーム15は刈取支持フレーム16の先側に設ける。刈取支持フレーム16の基部には上部横伝動ケース17を設け、上部横伝動ケース17を機体固定部に設けた刈取懸架支持台18に回転自在に取付け、もって、刈取支持フレーム16の基部を回動自在に取付ける。
刈取支持フレーム16と機体フレーム1の間には、刈取部4を昇降させる刈取上下シリンダ19を取付ける。刈取上下シリンダ19は油圧ポンプ19Aにより送油されて刈取部4を上昇させ、送油した油を戻すと刈取部4を下降させる単動式シリンダにより構成する。
刈取上下シリンダ19とは別に、刈取部4の接地圧力軽減する補助付勢手段20を設け、分草装置8を取付けた分草杆21の下面に設けた橇体22を圃場面に接地させて刈取作業を行って、刈取部4が圃場面の凸部で突き上げられると、刈取部4を上昇退避するように付勢し、上昇退避した刈取部4が圃場面の凸部を通過すると、刈取部4の自重で刈取部4が下降するように構成する(図1では刈取上下シリンダ19および補助付勢手段20の図示を省略している)。
【0010】
即ち、刈取部4の分草装置8を接地させた状態で刈取作業を行う際に、分草装置8が圃場の凸部で突き上げられると、刈取部4を上昇退避させるので、刈取部4の刈取高さを低く一定にでき、刈取高さ調節が容易になる。
補助付勢手段20はバネ機構25を有して構成し、バネ機構25は、刈取支持フレーム16側に取付けた前側バネ機構25Aと機体フレーム1に取付ける後側バネ機構25Bとにより構成し、前側バネ機構25Aと後側バネ機構25Bとを回動自在に中間取付軸26により連結してリンク機構のように互いに連結して構成する。
前側バネ機構25Aと後側バネ機構25Bともに伸縮自在の前後側バネホルダ27、28内に前側小径バネ29と後側大径バネ30とを夫々内蔵して構成する。
前側バネホルダ27の先端は刈取支持フレーム16側に前側取付軸31により回動自在に取付け、前側バネホルダ27の基部は後側バネホルダ28の先端に前記中間取付軸26により回動自在に取付ける。
また、後側バネホルダ28の基部は機体フレーム1に設けたバネ機構支持部材33バネ機構支持部材33に固定状態に取付ける。
【0011】
そのため、バネ機構25は、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28を連結する中間取付軸26の部分で刈取部4の上下により屈折して刈取支持フレーム16を支持するように構成する。
即ち、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28を連結する中間取付軸26が刈取部4の上下により前後方向に移動し、この前後に移動する中間取付軸26を支点として、前側バネホルダ27の先端が上下して刈取部4の上下に追随する動きとなる。
したがって、バネ機構25は、前側バネ機構25Aと後側バネ機構25Bに分割構成し、前側バネ機構25Aと後側バネ機構25Bとは上下方向に屈曲し、後側バネホルダ28は前後方向にのみ伸縮し、上下方向に回動しないので、刈取支持フレーム16の移動軌跡付近に存在する他の構成品(油圧ポンプ19Aや走行装置2のミッションケース等)を避けて、補助付勢手段20を設けることができ、機体フレーム1の前側のスペースを有効利用することができる。
前記前側バネホルダ27の先端の前側取付軸31は左右方向の横軸により形成し、前側取付軸31の一端に横筒部材35を回転自在に嵌合させ、横筒部材35に前側バネホルダ27の前側先端筒36の先端側を固定する。
【0012】
横筒部材35の内側(操縦部7側)には内側カラー40を固定し、横筒部材35の外側(反操縦部7側)の前側取付軸31には外側カラー41を着脱自在に嵌合させ、前側取付軸31にピン42を係止して外側カラー41を固定する。
前側取付軸31の他端は刈取支持フレーム16の下面側に設けた刈取側取付部材45に固定する。刈取側取付部材45は左右一対の取付板46を刈取支持フレーム16に固定して構成し、取付板46に設けた取付孔47に前記前側取付軸31を挿通して固定する。
そのため、前側取付軸31は、左右一対の取付板46の両者に夫々固定されて、二カ所により支持されるので、取付を強固にできる。
また、刈取側取付部材45には前記刈取上下シリンダ19のシリンダロッド48の先端をピン49により軸着するが、ピン49も一対の取付板46を貫通させて取り付けている。
【0013】
したがって、刈取側取付部材45は、補助付勢手段20と刈取上下シリンダ19の両者の取付部材を兼用して、部品点数を減らして、合理的構成となる。
また、前記刈取上下シリンダ19は正面視において刈取支持フレーム16と略前後に重なるように後方に配置し、補助付勢手段20は刈取上下シリンダ19の外側に所定間隔をおいて配置している。
そのため、刈取上下シリンダ19と補助付勢手段20と前側取付軸31と機体フレーム1により四角形のボックス形状を呈するので、刈取上下シリンダ19および補助付勢手段20による刈取部4の支持を強固にし、特に、捻れ強度を向上させることができる。
この場合、前記一対の取付板46のうち内側取付板46Aは、刈取支持フレーム16の略左右中心の後面に溶接固定し、外側取付板46Bは前側部分を刈取支持フレーム16の側面に固定している。
そのため、内側取付板46Aと外側取付板46Bとは所定間隔開けて設けられ、刈取支持フレーム16の荷重を前側取付軸31とピン49により確実に支持する。
【0014】
前記前側先端筒36の基部には、大径の前側基部筒50の先端を嵌合させ、前側基部筒50の基部には断面「コ」の字形状の前側連結部材51の前板部52の前面を固定する。前側連結部材51の側板部53には、後側バネホルダ28の後側先端筒54の先端に固定の後側連結部材55の側板部56Aを嵌合させ、前側連結部材51と後側連結部材55の取付孔57を合致させて、前記中間取付軸26を挿入して回動自在に連結する。
後側連結部材55は一対の側板部56Aの基部を連結部56Bで連結し、連結部56Bは後側先端筒54の先端の後板部58の前面に固定する。
この場合、前側バネホルダ27が最も縮小したとき、前側先端筒36が前側連結部材51の前板部52に当接するように設定する。
したがって、前側連結部材51は前側バネホルダ27の荷重を支持してかつ前側バネホルダ27の縮小時のストッパとしての作用も期待する。
それゆえ、不意の衝撃にも対応でき、しかも、別途前側バネホルダ27のストッパ機構を設けなくても良いので、部品点数を減らせる。
59は後側バネホルダ28の後側基部筒である。
【0015】
また、図9では、前側バネホルダ27が最も縮小したときの別のストッパ構成を示し、前側バネホルダ27が最も縮小したとき、前側基部筒50の先端端面が前側取付軸31を嵌合させた横筒部材35の外面に当接するように設定する。
したがって、前側基部筒50は刈取支持フレーム16の荷重を支持してかつ前側バネホルダ27の縮小時のストッパとしての作用も期待する。
なお、設計上公差により、前側先端筒36の前側連結部材51との当接と、前側基部筒50の横筒部材35との当接とが、必ずしも、同時に行われないことになるので、前側先端筒36の前側連結部材51との当接、あるいは、前側基部筒50の横筒部材35との当接の何れかが行われるようにする。
即ち、前側先端筒36が前側連結部材51の前板部52に当接するか、もしくは、前側基部筒50の先端面が前側取付軸31を嵌合させた横筒部材35の外面に当接するように設定することにより、二カ所の当接を設計上併存させ、二重のストッパの安全機構とし、何れかの当接が行われるようにする。
【0016】
しかして、補助付勢手段20は、刈取部4を最上昇位置に上昇させると、前側バネホルダ27が中間取付軸26中心に上向きに屈曲し(図12)、刈取部4を下降させると、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とが略直線状態となるが(図13)、このとき、刈取部4の橇体22が圃場に接地するように構成する。
即ち、補助付勢手段20は、前側小径バネ29と後側大径バネ30とが直線状態のとき、最も効率よく支持するので、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とが略直線状態となった状態で、刈取部4の橇体22が圃場に接地するように構成する。
したがって、通常の刈取作業において、補助付勢手段20は最も効率よく刈取部4を上方へ付勢し、刈取部4の圃場面に対する追従性を良好にする。
なお、湿田等の作業等の走行装置2の後部が下がり、最初から刈取部4が圃場面より高位置になってしまうような場合が想定され、走行装置2が前後に略水平に接地した状態に対して、この通常走行装置2の圃場接地状態より更に下方への刈取部4の下降が可能となるように構成しており(図14)、このような通常走行装置2の圃場接地高さより下方へ刈取部4の下降させたとき、補助付勢手段20の前側バネホルダ27は中間取付軸26中心に下向きに屈曲した状態でも作用し、刈取部4の圃場面に対する追従性の対応範囲を広げ、操作性および作業性を向上させられる。
【0017】
したがって、前側バネホルダ27の先端は刈取支持フレーム16に前側取付軸31により回動自在に取付け、刈取部4が最上昇位置のとき前側取付軸31の高さ位置が中間取付軸26の高さ位置より高くし、刈取部4が最下降位置のとき前側取付軸31の高さ位置が中間取付軸26の高さ位置より低くなる配置構成となる。
この場合、前記走行装置2と前記機体フレーム1との間には機体の水平および車高調節する機体水平機構を設けたときには、機体水平機構により機体フレーム1の高さを最低高さにしたとき、刈取部4の分草装置8が圃場面を零高さとした場合の圃場面より深いマイナス高さ位置まで下降できるように、前側バネホルダ27および後側バネホルダ28が縮小するように構成する。
補助付勢手段20の前側バネホルダ27および後側バネホルダ28は、夫々、前側先端筒36および後側先端筒54と前側基部筒50および後側基部筒61とに分割形成し、前側先端筒36および後側先端筒54と前側基部筒50および後側基部筒61とは刈取部4の最上昇位置から最下降位置の全ストローク域において、互いに重なるように重なり代Sを設ける(図8.図10)。
【0018】
そのため、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28は、夫々、前側先端筒36および後側先端筒54と前側基部筒50および後側基部筒61の伸縮の全ストローク域において、摺動時の互いに案内部材として作用し、前側先端筒36および後側先端筒54と前側基部筒50および後側基部筒61とが外れるのを防止し、前側小径バネ29と後側大径バネ30とを前側バネホルダ27および後側バネホルダ28内の夫々に収納して適格に作動させられる。
この前側バネホルダ27と後側バネホルダ28は両者共に、直線状態の筒部材により形成した前側先端筒36および後側先端筒54と前側基部筒50および後側基部筒61の一部を重ねて二重筒構成にする。
そのため、前側バネホルダ27および後側バネホルダ28は、前側先端筒36および前側基部筒50と後側先端筒54および後側基部筒61を直線状態で支持でき、少ない前側先端筒36および後側先端筒54と前側基部筒50および後側基部筒61との重なり代Sでも、前側バネホルダ27および後側バネホルダ28の夫々が中間部分で屈曲するのを防止し、前側バネホルダ27および後側バネホルダ28の伸縮を円滑にする。
【0019】
また、補助付勢手段20は、前側小径バネ29よりも後側大径バネ30をバネ定数を大きく設定し、前側バネホルダ27の外径よりも後側バネホルダ28の外径を大きく構成する。
そのため、後側バネホルダ28の後側先端筒54と後側基部筒61による前後伸縮の際の強度を確保し、後側バネホルダ28の前後伸縮作動の確実性を確保でき、その結果、前側小径バネ29による刈取支持フレーム16の支持の確実性も確保できる。
また、補助付勢手段20は、前側小径バネ29よりも後側大径バネ30をバネ定数を強く設定し、前側バネホルダ27の外径よりも後側バネホルダ28の外径を大きく構成しているので、前側バネホルダ27の伸縮の方が後側バネホルダ28の伸縮より軽い力で行われ、そのため、刈取部4の振動に連動して振動する刈取支持フレーム16の振動を、前側バネホルダ27の伸縮により吸収する作用も期待できる。
補助付勢手段20は、刈取部4の橇体22が圃場に接地した通常刈取作業高さ位置のとき、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とを略直線状態とし、このとき、前側バネホルダ27の前側小径バネ29が最圧縮状態となるように設定構成する(図13)。
【0020】
そのため、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とを略直線状態として前側小径バネ29と後側大径バネ30が最も付勢力を発揮する状態で、しかも、前側バネホルダ27の前側小径バネ29を最圧縮状態とすることで、通常刈取作業中、補助付勢手段20は最も効率よく刈取部4を上方へ付勢し、刈取部4の圃場面に対する追従性を良好にする。
また、後側バネホルダ28の後側基部筒61の基部を、機体フレーム1に設けたバネ機構支持部材33に固定状態に取付ける。
そのため、後側バネホルダ28は、後側基部筒61の基部がバネ機構支持部材33に固定されているので、後側先端筒54は後側基部筒61に案内されて前後方向の伸縮となって、機体フレーム1の前側のスペース付近に存在する他の構成品を避けて後側先端筒54を伸縮させることができ、補助付勢手段20を確実に作用させることができる。
【0021】
(実施例の作用)
刈取部4は、最先端位置に分草装置8を左右に並設し、各分草装置8の後側に分草装置8が分草した穀稈を引起す引起装置9を設け、引起装置9の後側には刈刃10を設け、刈刃10の上方の後側には刈刃10によって刈り取った穀稈を搬送する穀稈搬送装置11を設けているので、刈取部4が前進すると、分草装置8が圃場の穀稈を分草し、各分草装置8が分草した穀稈を引起装置9が引起し、引起した穀稈を刈刃10が切断し、刈刃10によって刈り取った穀稈を穀稈搬送装置11が搬送する。
刈取部4の刈取フレーム15は刈取支持フレーム16の先側に設け、刈取上下シリンダ19により刈取部4を上下させて刈り高さを調節し、調節された刈り高さを保持して前進し、刈取作業を行う。
刈取部4は、刈取部4と圃場との接地圧力を軽減する補助付勢手段20を刈取上下シリンダ19とは別に設けているので、刈取部4の橇体22が圃場面の凸部で突き上げられると、その反力により刈取部4を上昇退避させる。
【0022】
即ち、「やじろべえ(弥次郎兵衛)」のように、刈取部4の先端は下から軽く圃場面の凸部で突き上げられると、直ぐに上動するように、補助付勢手段20により刈取部4の重さを支持しているので、刈取部4の橇体22が圃場上面に接触すると、その反力により調節した刈取作業高さよりも高く上方に向けて刈取部4を退避させ、圃場の圃場面の凸部を刈取部4が通過すると、刈取部4は自重で刈取作業高さまで下降して刈取作業を続行する。
補助付勢手段20は刈取部4の不要な沈み込みを防止する。
【0023】
補助付勢手段20はバネ機構25を有して構成し、バネ機構25は刈取支持フレーム16側に取付け内部に前側小径バネ29を有する前側バネ機構25Aと機体フレーム1に取付け内部に後側大径バネ30を有する後側バネ機構25Bとを前側小径バネ29と後側大径バネ30とが直列状態で作用するように構成し、前側バネ機構25Aと後側バネ機構25Bとを回動自在に中間取付軸26により連結してリンク機構のように互いに連結して構成し、バネ機構25は前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とに分割構成で、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とは上下方向に屈曲し、後側バネホルダ28は前後方向にのみ伸縮し、上下方向に回動しないので、刈取支持フレーム16の移動スペース(移動軌跡)付近に存在する他の構成品を避けて、補助付勢手段20を設けることができ、機体フレーム1の前側のスペースを有効利用することができる。
即ち、前側バネホルダ27の先端は刈取支持フレーム16側に前側取付軸31により回動自在に取付け、前側バネホルダ27の基部は後側バネホルダ28の先端に前記中間取付軸26により回動自在に取付け、後側バネホルダ28の基部は機体フレーム1に設けたバネ機構支持部材33に固定状態に取付けているので、バネ機構25は、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28を連結する中間取付軸26の部分で刈取部4の上下により屈折して刈取支持フレーム16を支持する。
【0024】
前側バネ機構25Aと後側バネ機構25Bともに伸縮自在の前後側バネホルダ27、28内に前側小径バネ29と後側大径バネ30とを夫々内蔵して構成し、前側小径バネ29より後側大径バネ30のバネ定数を大きく設定しているから、刈取部4が最上昇位置では、前側バネホルダ27および後側バネホルダ28は最大に伸長し、下降を開始すると、前側小径バネ29が縮小を開始し、前側バネホルダ27は中間取付軸26中心に先端を下降させ、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とが略直線状態となり、更に、刈取部4が下降すると、後側バネホルダ28の縮小が大きくなる。
なお、厳密に言うと、前側小径バネ29が縮小しているとき、後側バネホルダ28も縮小し、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とが略直線状態となる以前から後側バネホルダ28も縮小しているが、前側小径バネ29の縮小に対して後側バネホルダ28の縮小程度は僅かであり、理解を容易にするため、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とが略直線状態となってから後側バネホルダ28が縮小するとしている。
【0025】
前記前側バネホルダ27の先端の横筒部材35を前側取付軸31の一端に回転自在に嵌合させ、前側取付軸31の他端は刈取支持フレーム16の下面側に設けた刈取側取付部材45に固定し、刈取側取付部材45は左右一対の取付板46を刈取支持フレーム16に固定して構成し、取付板46に設けた取付孔47に前側取付軸31を挿通して固定しているから、前側取付軸31は、左右一対の取付板46の両者に夫々固定されて、二カ所により支持される。
したがって、刈取側取付部材45による取付・支持強度を強固にできる。
また、刈取側取付部材45には前記刈取上下シリンダ19のシリンダロッド48の先端をピン49により軸着するが、ピン49も一対の取付板46を貫通させて取り付けているので、刈取側取付部材45は、補助付勢手段20と刈取上下シリンダ19の両者の取付部材を兼用して、部品点数を減らして、合理的構成となる。
【0026】
また、刈取上下シリンダ19は正面視において刈取支持フレーム16と略前後に重なるように後方に配置し、補助付勢手段20は刈取上下シリンダ19の外側に所定間隔をおいて配置しているから、刈取上下シリンダ19と補助付勢手段20と前側取付軸31と機体フレーム1により平面視四角形のボックス形状を呈し、刈取上下シリンダ19と補助付勢手段20と前側取付軸31と機体フレーム1とが互いに互いを支持して、刈取上下シリンダ19および補助付勢手段20による刈取部4の支持を強固にし、特に、刈取部4の捻れ強度を向上させることができる。
この場合、一対の取付板46のうち内側取付板46Aは、刈取支持フレーム16の略左右中心の後面に溶接固定し、外側取付板46Bは前側部分を刈取支持フレーム16の側面に固定し、内側取付板46Aと外側取付板46Bとは所定間隔を開けて設けているので、刈取支持フレーム16の荷重を前側取付軸31とピン49により確実に支持する。
【0027】
前側先端筒36の基部には、大径の前側基部筒50の先端を嵌合させ、前側基部筒50の基部は断面「コ」の字形状の前側連結部材51の前面前板部52に固定し、前側連結部材51の側部は後側バネホルダ28の後側先端筒54の先端に嵌合させ、後側先端筒54と前側連結部材51とを前記中間取付軸26により回動自在に連結し、前側バネホルダ27が最も縮小したとき、前側先端筒36が前側連結部材51の前板部52に当接するように設定しているので、前側連結部材51は前側バネホルダ27の荷重を支持してかつ前側バネホルダ27の縮小時のストッパとしての作用も期待する。
それゆえ、不意の衝撃にも対応でき、しかも、別途前側バネホルダ27のストッパ機構を設けなくても良いので、部品点数を減らせる。
【0028】
また、図9では、前側バネホルダ27が最も縮小したときの別のストッパ構成を示し、前側バネホルダ27が最も縮小したとき、前側基部筒50の先端端面が前側取付軸31を嵌合させた横筒部材35の外面に当接するように設定しているので、前側基部筒50は刈取支持フレーム16の荷重を支持してかつ前側バネホルダ27の縮小時のストッパとしての作用も期待する。
なお、設計上公差により、前側先端筒36の前側連結部材51との当接と、前側基部筒50の横筒部材35との当接とが、必ずしも、同時に行われないことになるが、設計上、前側先端筒36の前側連結部材51との当接および前側基部筒50の横筒部材35との当接の両者を併存させると、二重のストッパの安全機構となって、製造・組立上の公差があったとしても、必ず、前側先端筒36の前側連結部材51との当接と前側基部筒50の横筒部材35との当接との一方が行われる。
【0029】
しかして、補助付勢手段20は、刈取部4を最上昇置に上昇させると、前側バネホルダ27が中間取付軸26中心に上向きに屈曲し、刈取部4を下降させると、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とが略直線状態となるが、このとき、刈取部4の橇体22が圃場に接地するように構成しているから、通常の刈取部4の橇体22を圃場に接地させて行う刈取作業において、補助付勢手段20は最も効率よく刈取部4を上方へ付勢し、刈取部4の圃場面に対する追従性を良好にする。
補助付勢手段20の前側バネホルダ27および後側バネホルダ28は、夫々、前側先端筒36および後側先端筒54と前側基部筒50および後側基部筒61とに分割形成し、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28は両者共に、直線状態の筒部材により形成した前側先端筒36および後側先端筒54と前側基部筒50および後側基部筒61の一部を重ねて二重筒構成にし、更に、前側先端筒36および後側先端筒54と前側基部筒50および後側基部筒61とは刈取部4の最上昇位置から最下降位置の全ストローク域において、互いに重なるように重なり代Sを設けているので(図8.図10)、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28は、前側先端筒36および後側先端筒54と前側基部筒50および後側基部筒61の伸縮の全ストローク域において、摺動時の互いに案内部材として作用し、前側先端筒36および後側先端筒54と前側基部筒50および後側基部筒61とが外れるのを防止し、前側小径バネ29と後側大径バネ30とを前側バネホルダ27および後側バネホルダ28内の夫々に収納して適格に作動させられる。
【0030】
また、前側バネホルダ27および後側バネホルダ28は、前側先端筒36および前側基部筒50と後側先端筒54および後側基部筒61を略直線状態で支持でき、前側先端筒36および後側先端筒54と前側基部筒50および後側基部筒61との少ない重なり代Sでも、前側バネホルダ27および後側バネホルダ28の夫々が中間部分で屈曲するのを防止し、前側バネホルダ27および後側バネホルダ28の伸縮を円滑にする。
また、補助付勢手段20は、前側小径バネ29よりも後側大径バネ30をバネ定数を強く設定し、前側バネホルダ27の外径よりも後側バネホルダ28の外径を大きく構成しているので、後側バネホルダ28の後側先端筒54と後側基部筒61による前後伸縮の際の強度を確保し、後側バネホルダ28の前後伸縮作動の確実性を確保でき、その結果、前側小径バネ29による刈取支持フレーム16の支持の確実性も確保できる。
また、補助付勢手段20は、前側小径バネ29よりも後側大径バネ30をバネ定数を強く設定し、前側バネホルダ27の外径よりも後側バネホルダ28の外径を大きく構成しているので、前側バネホルダ27の伸縮の方が後側バネホルダ28の伸縮より軽い力で行われ、そのため、刈取部4の振動に連動して振動する刈取支持フレーム16の振動を、前側バネホルダ27の伸縮により吸収する作用も期待できる。
【0031】
補助付勢手段20は、刈取部4の橇体22が圃場に接地した通常刈取作業高さ位置のとき、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とを略直線状態とし、このとき、前側バネホルダ27の前側小径バネ29が最圧縮状態となるように設定構成しているので、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とを略直線状態として前側小径バネ29と後側大径バネ30が最も付勢力を発揮する状態で、しかも、前側バネホルダ27の前側小径バネ29を最圧縮状態とすることで、通常刈取作業中、補助付勢手段20は最も効率よく刈取部4を上方へ付勢し、刈取部4の圃場面に対する追従性を良好にする。
また、後側バネホルダ28の後側基部筒61の基部を、機体フレーム1に設けたバネ機構支持部材33に固定状態に取付けているので、後側先端筒54は後側基部筒61に案内されて前後方向の伸縮となって、機体フレーム1の前側のスペース付近に存在する他の構成品を避けて後側先端筒54を伸縮させることができ、補助付勢手段20を確実に作用させることができる。
【0032】
しかして、補助付勢手段20は、前側小径バネ29よりも後側大径バネ30をバネ定数を大きく設定し、前側バネホルダ27の外径よりも後側バネホルダ28の外径を大きく構成しているので、刈取部4が最上昇位置から前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とが略直線状態となる所定高さまでの下降速度は速くなり、前側バネホルダ27と後側バネホルダ28とが略直線状態となった以降の刈取部4の下降速度は、最上昇位置からの下降速度よりも遅くなる。
そのため、刈取部4が最上昇位置から速く下降させられて作業の迅速化が図れる。
また、刈取部4の先端部の橇体22が圃場に接地する高さ位置付近では下降速度が遅くなって、刈取部4の先端部が地面に突っ込みにくくなり対地追従の刈取部4の下げ操作を行い易くなる。
また、刈取部4の橇体22を接地させた状態のときも、橇体22が圃場面の凸部で突き上げられると、刈取部4を上昇退避させるので、刈取部4の刈取高さを低く一定にでき、刈取高さ調節が容易になる。
また、刈取部4が下降するほど、バネ機構25の前側バネホルダ27と後側バネホルダ28は縮小するから、バネ機構25の作動スペースを小さくできる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しているが、これらは夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0033】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取部4、5…グレンタンク、7…操縦部、8…分草装置、9…引起装置、10…刈刃、11…穀稈搬送装置、16…刈取支持フレーム、17…上部横伝動ケース、18…刈取懸架支持台、19…刈取上下シリンダ、20…補助付勢手段、21…分草杆、22…橇体、25…バネ機構、26…中間取付軸、27…前側バネホルダ、28…後側バネホルダ、29…前側小径バネ、30…後側大径バネ、31…前側取付軸、33…バネ機構支持部材、35…筒部材、36…前側先端筒、40…内側カラー、41…外側カラー、42…ピン、45…刈取側取付部材、46…取付板、47…取付孔、48…シリンダロッド、49…ピン、50…前側基部筒、51…前側連結部材、52…前板部、54…後側先端筒、61…後側基部筒。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレーム(1)の下方に走行装置(2)を設け、機体フレーム(1)の上方一側に脱穀装置(3)を設け、機体フレーム(1)の前方には橇体(22)を有し刈取上下シリンダ(19)により昇降する刈取部(4)を設け、前記刈取上下シリンダ(19)とは別に刈取部(4)を上昇側に付勢して前記橇体(22)が圃場面の凸部で突き上げられた際の刈取部(4)の上方退避を補助する補助付勢手段(20)を設け、補助付勢手段(20)は、刈取部(4)を機体フレーム(1)側に支持する刈取支持フレーム(16)側に先端部を取付け内部に前側小径バネ(29)を有する伸縮自在の前側バネホルダ(27)により構成した前側バネ機構(25A)と、基部を機体フレーム(1)側に取付け内部に後側大径バネ(30)を有する伸縮自在の後側バネホルダ(28)により構成した後側バネ機構(25B)から構成し、前側バネ機構(25A)の基部と後側バネ機構(25B)の先端部とを上下方向に屈曲回動自在に中間取付軸26により連結し、前記後側バネホルダ(28)は前後方向にのみ伸縮し、上下方向に回動しないように機体フレーム(1)側に取付けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記前側バネホルダ(27)の先端は刈取支持フレーム(16)側に前側取付軸31により回動自在に取付け、前側バネホルダ(27)の基部は後側バネホルダ(28)の先端に前記中間取付軸(26)により回動自在に取付け、後側バネホルダ(28)の基部は機体フレーム(1)に設けたバネ機構支持部材(33)に固定状態に取付けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記刈取上下シリンダ(19)は正面視において刈取支持フレーム(16)と略重なるように刈取支持フレーム(16)の後方に配置し、補助付勢手段(20)は刈取上下シリンダ(19)の外側に所定間隔をおいて配置したことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記前側バネ機構(25A)の前側バネホルダ(27)の前側先端筒(36)の基部には、前側先端筒(36)よりも大径の前側基部筒(50)の先端を嵌合させ、前側基部筒(50)の基部は断面コの字形状の前側連結部材(51)の前板部(52)に固定し、前記前側バネホルダ(27)と後側バネホルダ(28)とを前記中間取付軸(26)により回動自在に連結し、前側バネホルダ(27)が最も縮小したとき、前側先端筒(36)が前側連結部材(51)の前板部(52)に当接するか、もしくは、前側基部筒(50)の先端面が前側取付軸31を嵌合させた筒部材(35)の外面に当接するように設定したことを特徴とするコンバイン。
【請求項5】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4において、前記バネ機構(25)は、前側バネ機構(25A)の前側小径バネ(29)よりも後側バネ機構(25B)の後側大径バネ(30)をバネ定数を大きく設定し、前側バネ機構(25A)の前側バネホルダ(27)の外径よりも後側バネ機構(25B)の後側バネホルダ(28)の外径を大きく構成し、前記刈取部(4)の橇体(22)が圃場に接地した刈取作業状態で、前側バネホルダ(27)と後側バネホルダ(28)とが略直線状態となり、かつ、前側バネホルダ(27)の前側小径バネ(29)が最圧縮状態となるように設定したことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−67099(P2011−67099A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218741(P2009−218741)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】