説明

コンバイン

【課題】出荷・輸送時におけるコンバインの全高を低くできるようにする。
【解決手段】機体フレーム2の左右一側に配置される脱穀装置31と、機体フレーム2の左右他側の前部に配置される操縦部40と、機体フレーム2の左右他側の後部に配置されるエンジンルーム50と、脱穀装置31及びエンジンルーム50の上方に跨るように配置されるグレンタンク60と、グレンタンク60の前後中央部に立設されて、脱穀装置31で脱穀された後の一番穀粒をグレンタンク60内に搬入する揚穀装置90と、を具備するコンバインにおいて、グレンタンク60の上部60A、及び、揚穀装置90の上部90Aを、着脱可能に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀後の穀粒を貯溜するグレンタンクを具備するコンバインが公知となっている。例えば特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のコンバインの機体フレームの上には脱穀装置が搭載され、該脱穀装置の上には脱穀後の穀粒を貯溜するためのグレンタンクが搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−20743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コンバインの輸送時にかかるコストや輸送効率の観点からは、コンバインを出荷・輸送する際に全高を低くできる構成であることが望ましい。特に、特許文献1に記載のコンバインのように、脱穀装置の上方にわたるようにグレンタンクが配置されている構成の場合、コンバインの全高が高くなりがちであり、そのため、出荷・輸送の際に何らかの方法により全高を低くできるようにすることが望まれていた。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、出荷・輸送時におけるコンバインの全高を低くできるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、機体フレームの左右一側に配置される脱穀装置と、前記機体フレームの左右他側の前部に配置される操縦部と、前記機体フレームの左右他側の後部に配置されるエンジンルームと、前記脱穀装置及び前記エンジンルームの上方に跨るように配置されるグレンタンクと、前記グレンタンクの前後中央部に立設されて、前記脱穀装置で脱穀された後の一番穀粒を前記グレンタンク内に搬入する揚穀装置と、を具備するコンバインにおいて、前記グレンタンクの上部、及び、前記揚穀装置の上部を、着脱可能に構成したことを特徴としている。
【0008】
したがって、コンバインを出荷・輸送する際に、グレンタンクの上部、及び、揚穀装置の上部を、グレンタンクの下部に対して取り外すことができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のコンバインにおいて、前記グレンタンクの前部に固定されるとともに前記操縦部の上方に配置されるサンバイザをさらに具備し、該サンバイザを前記グレンタンクに対して着脱可能に構成したことを特徴としている。
【0010】
したがって、コンバインを出荷・輸送する際に、サンバイザをグレンタンクに対して取り外すことができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のコンバインにおいて、前記グレンタンク内の穀粒を機外に取り出す排出オーガと、前記グレンタンクの前部に固定されるとともに前記排出オーガを下方から支持するオーガレストと、をさらに具備し、前記オーガレストの前記グレンタンクに対する上下位置を変更可能に構成したことを特徴としている。
【0012】
したがって、コンバインを出荷・輸送する際に、オーガレストのグレンタンクに対する上下位置を変更して、排出オーガを低い位置で支持することができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、グレンタンクの上部、及び、揚穀装置の上部を取り外すことにより、出荷・輸送時におけるコンバインの全高を低くすることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、サンバイザを取り外すことにより、出荷・輸送時におけるコンバインの全高を低くすることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、オーガレストの上下位置を変更して排出オーガを低い位置で支持することにより、出荷・輸送時におけるコンバインの全高を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の一形態に係るコンバインの全体的な構成を示す右側面図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係るコンバインの全体的な構成を示す正面図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係るコンバインを右側方からみたときの斜視図である。
【図4】グレンタンクの斜視図である。
【図5】グレンタンクの分解斜視図である。
【図6】揚穀装置の上部の分解斜視図である。
【図7】籾取出機構の構成を示す分解斜視図である。
【図8】オーガレストの構成を示す斜視図である。
【図9】オーガレストのグレンタンクへの取り付け方を示す斜視図であり、(a)は高い方の位置に取り付けた状態を示す図、(b)は低い方の位置に取り付けた状態を示す図である。
【図10】オーガレスト及びサンバイザの構成を示す正面図である。
【図11】グレンタンク、オーガレスト、及びプレクリーナの配置を示す後面図である。実線で示したオーガレストの位置は高い方の位置を、二点鎖線で示したオーガレストの位置は低い方の位置を、それぞれ示している。
【図12】別の実施の一形態に係る揚穀装置の上部の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施の一形態に係るコンバイン1の全体的な構成について、図1〜図3を参照して説明する。
【0018】
コンバイン1は、稲や麦や蕎麦や小豆や大豆等の種々の収穫物を収穫するための汎用型のコンバインであり、本発明に係るコンバインの実施の一形態である。コンバイン1は、図1〜図3に示すように、機体フレーム2、走行装置10、刈取装置20、脱穀装置31を収容した筐体30、操縦部40、サンバイザ43、エンジン55を収容したエンジンルーム50、グレンタンク60、揚穀装置90、排出オーガ65、及び籾取出口71・72等を具備して構成される。
【0019】
機体フレーム2は、コンバイン1の骨格を成すものである。機体フレーム2の下部は、走行装置10により支持されている。走行装置10は、左右一対のクローラ17・17等を含んで構成される。
【0020】
機体フレーム2の前部には、圃場の未刈取の穀物を刈り取るための刈取装置20が具備される。刈取装置20は、往復動する刈刃等を備えて構成される。また、刈取装置20の前部には、未刈取の穀物を掻き込むための掻込リール22が具備される。
【0021】
機体フレーム2の左右一側(本実施形態では進行方向左側)には、筐体30が具備される。筐体30は、概ね直方体形状のケースである。筐体30内には脱穀装置31及び選別装置が収容される。脱穀装置31は、筐体30内の上部に配置され、扱胴等を備えて構成される。前記扱胴の下方には、受け網(またはコーンケーブ)が配置され、該受け網の下方には、前記選別装置が配置される。該選別装置は、揺動選別装置や唐箕等を備えて構成される。
【0022】
機体フレーム2の左右他側(本実施形態では進行方向右側)の前部には、操縦部40が設けられる。操縦部40には、オペレータが着座するための座席41や、コンバイン1の操向操作及び収穫作業に用いる種々の操作具等が備えられる。座席41の上方には、サンバイザ43が配置される。
【0023】
機体フレーム2の左右他側(本実施形態では進行方向右側)の後部には、エンジン55を収容したエンジンルーム50が設けられる。図3に示すように、エンジンルーム50は、操縦部40の後方に配置される。エンジンルーム50は、筐体30の右後側方に隣接するように、該筐体30と横並びに設けられる。
【0024】
筐体30(脱穀装置31)及びエンジンルーム50の上方には、脱穀装置31で脱穀された後の穀粒を貯溜するグレンタンク60が配置される。グレンタンク60は、筐体30及びエンジンルーム50の上方に跨るように配置される。グレンタンク60の底部には、該グレンタンク60内の穀粒を排出オーガ65に送り出すための排出コンベアが設けられる。該排出コンベアは、螺旋羽根を有するコンベアであり、その長手方向を前後方向に向けた状態で設けられる。該排出コンベアの下流側の端部(後端部)は、排出オーガ65の上流側の端部に接続される。
【0025】
グレンタンク60の前後中央部には、脱穀装置31で脱穀されて前記選別装置で選別された後の一番穀粒をグレンタンク60内に送るための揚穀装置90が立設される。揚穀装置90は、機体フレーム2の左右略中央で筐体30の右側方に立設され、その長手方向を上下方向に向けた状態で設けられる。揚穀装置90の下端部は、前記選別装置の一番コンベアに連通し、揚穀装置90の上部はグレンタンク60内に連通している。揚穀装置90の揚穀筒(外郭を成す円筒状の部材)内には、螺旋羽根を有するコンベアが備えられていて、前記一番コンベアからの穀粒を上方に向かって送り出しグレンタンク60内に搬入することができるように構成されている。
【0026】
排出オーガ65は、グレンタンク60内の穀粒を機外に排出するためのものであり、円筒状の部材の内部に螺旋羽根を有するコンベアを備えて構成される。排出オーガ65は、グレンタンク60の後部と連通するように設けられ、オーガレスト67により下方から支持されている。
【0027】
籾取出口71・72は、グレンタンク60内の穀粒を、排出オーガ65を通さずに機外に排出するためのものである。籾取出口71・72の下方に籾袋A・Aをセットすることにより、該籾袋A・Aに穀粒を直接取り出すことができる。
【0028】
以上の如き構成のコンバイン1は、操縦部40での操作具の操作に応じて、エンジン55の動力を各部の装置に伝達して、走行装置10で機体を走行させながら、刈取作業及び脱穀作業を行うことができるものである。より具体的には、掻込リール22により掻きこまれて刈取装置20で刈り取られた穀物は、搬送装置25によって筐体30内に搬送される。そして、筐体30内の脱穀装置31で脱穀されて、前記選別装置で藁屑等と選別される。藁屑等と選別された一番穀粒は、揚穀装置90の前記揚穀筒内を通ってグレンタンク60内に搬入される。グレンタンク60内の穀粒は、排出オーガ65を通してダンプトラックの荷台等に排出されるか、あるいは、籾取出口71・72を通して籾袋A・Aに排出される。
【0029】
以下では、グレンタンク60について、図1〜図6を参照して詳細に説明する。
グレンタンク60は、脱穀後の穀粒を貯溜するタンクである。詳細には、脱穀装置31で脱穀されて藁屑等と選別された一番穀粒が、揚穀装置90によりグレンタンク60内に搬入されて、該グレンタンク60内に貯溜される。
【0030】
図1に示すように、グレンタンク60の前後長は、操縦部40の背後から排出オーガ65の基端部(図1では後端部)に至るまでの長さとなっている。また、グレンタンク60の前端部は、操縦部40の骨格を成す操縦部フレームに支持されて、グレンタンク60の後部は、エンジンルーム50の骨格を成すエンジンフレームに支持されている。このような構成により、グレンタンク60は、脱穀装置31及びエンジンルーム50の上方に跨るように安定的に配置されている(図2及び図3参照)。
図2に示すように、グレンタンク60の左側上部は、脱穀装置31の上方に至るまで左方向に大きく張り出した形状となっている。一方、グレンタンク60の右側上部は、右方向に大きく張り出しておらず、正面視において、排出オーガ65が配置される箇所が切り欠かれた形状となっている。
【0031】
図2、図4及び図5に示すように、グレンタンク60は、上部60Aと、下部60Bと、を合わせて構成される。
【0032】
グレンタンク60の下部60Bは、正面視において下方に向けて狭くなるテーパ形状となっている(図2参照)。すなわち、図4〜図6に示すように、前面60a、後面60b、左斜面60c、右斜面60d(図11参照)、及び底面により、テーパ状の下部60Bが構成されている。グレンタンク60内に貯溜された穀粒は、自重により左斜面60c及び右斜面60dに沿って、底面に向かって流下する。そして穀粒は、グレンタンク60の下部60Bの底部に延設された前記排出コンベアにより、排出オーガ65に送り出される。
【0033】
図4〜図6に示すように、グレンタンク60の上部60Aは、前板60p、後板60q、左側板60r、及び右側板60sを合わせて構成された、平面視で略長方形状の枠状の部材である。図4及び図5に示すように、グレンタンク60の上部60Aは、グレンタンク60の下部60Bの上に、ボルト等を用いて固定されている。グレンタンク60の上部60Aは、グレンタンク60の下部60Bに対して着脱可能に構成されている。コンバイン1を出荷・輸送する際には、ボルト等を取り外すことにより、グレンタンク60の上部60Aをグレンタンク60の下部60Bから取り外すことができる。このグレンタンク60の上部60Aを、グレンタンク60の下部60Bから取り外した時において、下部60Bの上端の高さは、コンバイン1をトラックの荷台等に載せて輸送する場合における制限高さ以下となる所定高さに設定されている。
【0034】
以下では、揚穀装置90について、図5及び図6を参照して説明する。
揚穀装置90は、円筒状の前記揚穀筒と、該揚穀筒内に収納された前記螺旋羽根を有するコンベア等により構成され、上部90Aと下部90Bとに上下分離可能に構成されている。この上部90Aと下部90Bとの分割面の高さは、グレンタンク60の上部60Aと下部60Bとの分割面の高さと略一致させている。つまり、揚穀装置90の下部90Bの上端の高さは、グレンタンク60の下部60Bの上端の高さと略同じ高さとなるように設定されている。
【0035】
上部90Aの前記揚穀筒の下端と、下部90Bの前記揚穀筒の上端と、にはそれぞれフランジが設けられており、それらが重ね合わされてボルト等を用いて固定されている。上部90Aの前記螺旋羽根を有するコンベアの軸部の下端と、下部90Bの前記螺旋羽根を有するコンベアの軸部の上端と、はカップリング等を用いて連結されている。こうして、揚穀装置90の上部90Aは、揚穀装置90の下部90Bに対して着脱可能に構成されている。コンバイン1を出荷・輸送する際には、ボルト等を取り外すことにより、揚穀装置90の上部90Aを揚穀装置90の下部90Bから取り外すことができる。
【0036】
図4〜図6に示すように、本実施形態の揚穀装置90の上部90Aの上端部には、穀粒を一方向に向かって放出するためのガイド部材210が設けられている。したがって、揚穀装置90(の上部90A)の上端部からグレンタンク60内に搬入される穀粒は、ガイド部材210に案内されることにより、揚穀装置90の一方向(放出方向)側に集中して放出される。
こうして、本実施形態のコンバイン1においては、穀粒がグレンタンク60の前部に集中して投入されることとなる。ここで、グレンタンク60の前部の底部であって、揚穀装置90よりも前方には、前述の籾取出口71・72が設けられている。したがって、グレンタンク60内の、穀粒が多く貯溜された側から籾袋A・Aに、当該穀粒を排出することができる。
【0037】
なお、本実施形態の揚穀装置90は、上部90Aの上端部にガイド部材210が設けられている構成のものとしたが、本発明に係る揚穀装置の構成はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば揚穀装置の上部を、穀粒を360度の全方向に向かって放出できるように構成してもよい。図12に示した揚穀装置900は、このような構成の揚穀装置の具体例である。
【0038】
揚穀装置900は、上部90Aに代えて上部90cを具備する点で、揚穀装置90の構成とは相違する。揚穀装置900の上部90cは、三本の柱部材901・901・・・(棒形状の部材)により前記螺旋羽根を有するコンベアの上端を支持するように構成されている。図12に示すように、前記螺旋羽根を有するコンベアの上端は開放されており、従って穀粒をグレンタンク60内において360度の全方向に向かって放出することができる。
【0039】
籾取出口71・72の下方にはそれぞれ、籾取出機構220が設けられている。以下では、籾取出機構220の構成について、図7を参照して簡単に説明する。
【0040】
図7に示すように、籾取出機構220は、第一案内部材221、第二案内部材222、開閉部材223、取っ手224、及び支持部材225等により構成される。
【0041】
第一案内部材221及び第二案内部材222は、籾取出口71・72から排出される穀粒を籾袋A・Aへと案内するための筒状の部材である。第一案内部材221及び第二案内部材222は上下に連結されており、第一案内部材221の上端側の開口の外周が、籾取出口71・72の外周と一致する状態で、グレンタンク60の底部に固定される。第二案内部材222の下端側の開口は、下方に向けられている。
【0042】
開閉部材223は、平板形状の部材であり、籾取出口71・72を閉塞したり、開放したりするためのものである。開閉部材223は、グレンタンク60の底部(右斜面60d)にボルトで固定された支持部材225に摺動可能に支持されることにより、グレンタンク60の底部の右斜面60dに沿うように配置される。開閉部材223には、操作が容易にできるように取っ手224が取り付けられている。
【0043】
このような構成の籾取出機構220において、オペレータが取っ手224を手で握って開閉部材223を下方に押し込むと、該開閉部材223が支持部材225に対して閉まる方向に摺動して、籾取出口71・72を閉塞することができる。一方、オペレータが取っ手224を手で握って開閉部材223を上方に引き上げると、該開閉部材223が支持部材225に対して開く方向に摺動して、籾取出口71・72を開放することができる。
【0044】
なお、第一案内部材221及び第二案内部材222は籾取出口71・72に対して着脱可能に構成されており、第一案内部材221及び第二案内部材222を取り外した場合であっても開閉部材223は籾取出口71・72を塞ぐようにグレンタンク60側に残るように構成されている。
【0045】
以下では、オーガレスト67について、図8〜図11を参照して説明する。
オーガレスト67は、排出オーガ65の収納時(非作業時)にその先端部を下方から支持するためのものである。図8及び図9に示すように、オーガレスト67は、グレンタンク60の下部60Bの前右側部、つまり、右側前角部の上部に固定される。詳細には、オーガレスト67は、受け部67a、ステー67b、フレーム67c、ステー67d、補強フレーム67e、及びステー67f等により構成される。なお、後述するように、オーガレスト67はグレンタンク60に対する上下位置を変更可能に設けられる(図9(a)及び図9(b)参照)。
【0046】
以下では、通常の使用位置、すなわち高い方の位置に取り付けられている状態のオーガレスト67について、図8及び図9(a)を参照して説明する。
図8及び図9(a)は、高い方の位置に取り付けられている状態のオーガレスト67を示している。
【0047】
受け部67aは、正面視略U字形状の部材であり、排出オーガ65の一端部(先端部)を下方から受けるものである。受け部67aの下面には、ステー67bが固設される。フレーム67cは、左右方向に長く延設される棒状の部材であり、一端がステー67bを介して受け部67aに固設されるとともに、他端にステー67dが固設される。ステー67dは側面視略L字形状の部材である。ステー67dの下面がグレンタンク60の下部60Bの上面に重ね合わされた状態で、上方からボルトを締結することにより、ステー67dがグレンタンク60の下部60Bの上面(前部)に固定される。補強フレーム67eは、左右方向で左側が下がるように斜めに長く延設される棒状の部材であり、一端がステー67bを介して受け部67aに固設されるとともに、他端にステー67fが固設される。ステー67fは平板形状の部材である。ステー67fの左側面がグレンタンク60の下部60Bの上部右側面60zに重ね合わされた状態で、右側方からボルトを締結することにより、ステー67fがグレンタンク60の下部60Bの右側面60z(前部)に固定される。こうして、オーガレスト67はトラス構造となり、剛性を高めてグレンタンク60に固定される。
【0048】
以下では、出荷・輸送時の位置、すなわち低い方の位置に取り付けられている状態のオーガレスト67について、図9(b)を参照して説明する。
図9(b)は、低い方の位置に取り付けられている状態のオーガレスト67を示している。この状態において、オーガレスト67は、グレンタンク60の下部60Bの前面60aに固定された出荷・輸送時の固定部材となるボックス48を介して、グレンタンク60の下部60Bに固定されている。
【0049】
ボックス48は、略直方体形状の箱状の部材である。ボックス48は、グレンタンク60の下部60Bの前面60aに溶接等により固定されており、前述した高い方の位置においてステー67fが配置されていた位置よりも低い位置に配置される。詳細には、オーガレスト67がボックス48に取り付けられて、排出オーガ65の先端部が当該オーガレスト67に載置された状態において、排出オーガ65の先端部の上端がグレンタンク60の下部60Bの上端よりも低い位置となるように、ボックス48が配置される。ボックス48は、前面、上面48a、下面、左側面、及び右側面48bを有する(図9(a)参照)。
【0050】
上面48aは、グレンタンク60の下部60Bの上面に対して平行な面を成している。上面48aの面積は、ステー67dの下面の面積よりも大きく構成されている。ステー67dの下面がボックス48の上面48aに重ね合わされた状態で、上方からボルトを締結することにより、ステー67dがボックス48の上面48aに固定される。
右側面48bは、グレンタンク60の下部60Bの上部右側面60zに対して平行な面を成している。右側面48bの面積は、ステー67fの左側面の面積よりも大きく構成されている。ステー67fの左側面がボックス48の右側面48bに重ね合わされた状態で、右側方からボルトを締結することにより、ステー67fがボックス48の右側面48bに固定される。
なお、ボックス48の上下高さは、ステー67dとステー67fとの間隔よりも長く構成されている。
【0051】
オーガレスト67は、通常の使用位置(高い方の位置(図9(a)参照))においては、グレンタンク60の下部60Bの上面から上方に突出するように配置されているが、コンバイン1を出荷・輸送する際には、オーガレスト67の上下位置を低い方の位置(図9(b)参照)に変更することにより、グレンタンク60の下部60Bの上面よりも低い位置に配置される状態とすることができる。こうすることにより、排出オーガ65がグレンタンク60の下部60Bの上面からはみ出さない状態で、排出オーガ65をオーガレスト67により支持することができる(図9(b)及び図11参照)。
【0052】
以下では、サンバイザ43について、図4、図5、及び図10を参照して説明する。
サンバイザ43は、座席41に着座するオペレータの上方を覆う日除けである。図10に示すように、サンバイザ43は、フレーム47・47を介して、グレンタンク60の前部に(厳密にはグレンタンク60の下部60Bの前面60a、及び、オーガレスト67のステー67dに)、ボルト等を用いて固定される。サンバイザ43は、座席41(操縦部40)の上方に配置される。サンバイザ43は、グレンタンク60の下部60Bに対して着脱可能に構成されている。サンバイザ43は、通常の使用状態においては、グレンタンク60の上部60Aの最上面から上方に突出するように配置されているが(図10参照)、コンバイン1を出荷・輸送する際には、ボルト等を取り外すことにより、サンバイザ43をフレーム47・47とともに、グレンタンク60の下部60B及びオーガレスト67のステー67dから取り外すことができる(図5参照)。
なお、図10に示すように、サンバイザ43の前部には、前方を照らして夜間の走行や作業を可能とするための左右一対のライト44・44が設けられている。
【0053】
以下では、エンジン55への外気の導入経路について、図11を参照して簡単に説明する。
エンジンルーム50内に収容されたエンジン55には、給気用のエアクリーナ340が設けてあり、該エアクリーナ340には、上下に長い円筒状の外気導入管320が接続されており、この外気導入管320の上端部、すなわち外気の導入口に、プレクリーナ310が接続されている。プレクリーナ310は、通常の使用状態においては、グレンタンク60の下部60Bの上面60n(後部の最上面)よりも上方に突出するように配置されているが、コンバイン1を出荷・輸送する際には、プレクリーナ310と外気導入管320とを接続しているボルト等を取り外すことにより、プレクリーナ310をグレンタンク60から取り外すことができる(図5参照)。
【0054】
以上で説明したように、本実施形態に係るコンバイン1は、機体フレーム2の左右一側(本実施形態では進行方向左側)に配置される脱穀装置31と、機体フレーム2の左右他側(本実施形態では進行方向右側)の前部に配置される操縦部40と、機体フレーム2の左右他側(本実施形態では進行方向右側)の後部に配置されるエンジンルーム50と、脱穀装置31及びエンジンルーム50の上方に跨るように配置されるグレンタンク60と、グレンタンク60の前後中央部に立設されて、脱穀装置31で脱穀された後の一番穀粒をグレンタンク60内に搬入する揚穀装置90と、を具備するコンバインにおいて、グレンタンク60の上部60A、及び、揚穀装置90の上部90Aを、着脱可能に構成したものである。
したがって、コンバイン1を出荷・輸送する際に、グレンタンク60の上部60A、及び、揚穀装置90の上部90Aを、グレンタンク60の下部60Bに対して取り外すことができる。
よって、グレンタンク60の上部60A、及び、揚穀装置90の上部90Aを取り外すことにより、出荷・輸送時におけるコンバイン1の全高を低くすることができる。
【0055】
また、本実施形態に係るコンバイン1は、グレンタンク60の前部に固定されるとともに操縦部40の上方に配置されるサンバイザ43をさらに具備し、該サンバイザ43をグレンタンク60に対して着脱可能に構成したものである。
したがって、コンバイン1を出荷・輸送する際に、サンバイザ43をグレンタンク60に対して取り外すことができる。
よって、サンバイザ43を取り外すことにより、出荷・輸送時におけるコンバイン1の全高を低くすることができる。
【0056】
さらに、本実施形態に係るコンバイン1は、グレンタンク60内の穀粒を機外に取り出す排出オーガ65と、グレンタンク60の前部に固定されるとともに排出オーガ65を下方から支持するオーガレスト67と、をさらに具備し、オーガレスト67のグレンタンク60に対する上下位置を変更可能に構成したものである。
したがって、コンバイン1を出荷・輸送する際に、オーガレスト67のグレンタンク60に対する上下位置を変更して、排出オーガ65を低い位置で支持することができる。
よって、オーガレスト67の上下位置を変更して排出オーガ65を低い位置で支持することにより、出荷・輸送時におけるコンバイン1の全高を低くすることができる。
【符号の説明】
【0057】
1 コンバイン
2 機体フレーム
31 脱穀装置
40 操縦部
43 サンバイザ
50 エンジンルーム
60 グレンタンク
60A (グレンタンクの)上部
60B (グレンタンクの)下部
65 排出オーガ
67 オーガレスト
90 揚穀装置
90A (揚穀装置の)上部
90B (揚穀装置の)下部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレームの左右一側に配置される脱穀装置と、
前記機体フレームの左右他側の前部に配置される操縦部と、
前記機体フレームの左右他側の後部に配置されるエンジンルームと、
前記脱穀装置及び前記エンジンルームの上方に跨るように配置されるグレンタンクと、
前記グレンタンクの前後中央部に立設されて、前記脱穀装置で脱穀された後の一番穀粒を前記グレンタンク内に搬入する揚穀装置と、を具備するコンバインにおいて、
前記グレンタンクの上部、及び、前記揚穀装置の上部を、着脱可能に構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1に記載のコンバインにおいて、
前記グレンタンクの前部に固定されるとともに前記操縦部の上方に配置されるサンバイザをさらに具備し、
該サンバイザを前記グレンタンクに対して着脱可能に構成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコンバインにおいて、
前記グレンタンク内の穀粒を機外に取り出す排出オーガと、
前記グレンタンクの前部に固定されるとともに前記排出オーガを下方から支持するオーガレストと、をさらに具備し、
前記オーガレストの前記グレンタンクに対する上下位置を変更可能に構成したことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−165722(P2012−165722A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31390(P2011−31390)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】