説明

コンバイン

【課題】横オーガの収納状態を簡易且つ直接的に確認することができるようにすること。
【解決手段】受け台30が横オーガを収納するよう底部35aと該底部35aの両端から上方に延出された一対の縦向き部35bとで構成される収納空間Sを備え、収納空間Sを上方から覆う閉姿勢と、収納空間Sの上方を開放する開姿勢とに移動自在なアーム部41を、縦向き部35bに設け、アーム部41に、横オーガと接触する接触部分44を一体に設け、開姿勢において接触部分が収納空間Sの上方に配置され、横オーガを収納空間Sに収納するときの横オーガの接触部分44に対する上からの押圧によってアーム部41が揺動して閉姿勢となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒タンクの底部から穀粒を揚送する縦オーガと、この縦オーガの上端部に起伏揺動可能に連結され、前記縦オーガの縦向き軸心周りに旋回可能な横オーガと、この横オーガを収納位置において支持する受け台とを備えるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインとしては、例えば、特許文献1及び2に示すものが知られている。ここでは、上向きに弾性付勢されるスイッチが受け台に設けられており、横オーガが受け台に収納されてそのスイッチに接触すると、横オーガが収納状態となったことが電気的に検出される仕組みになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−17445号公報(図3、図5)
【特許文献2】特開2001−275467号公報(図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2に記載されるコンバインでは、例えば、横オーガが受け台まで旋回してスイッチに接触すると横オーガの旋回動作が自動的に停止するように構成されており、これにより作業者は横オーガが受け台に収納されたことを間接的に知ることができる。
しかし、上記構成では、スイッチや電気系統等に何か不具合が生じると、たとえ横オーガが受け台に収納されていたとしてもその収納状態が検出されないため、作業者にとって横オーガが受け台にきちんと収納されたことを知ることができない場合が生じ、改善する余地が残されていた。
【0005】
本発明の目的は、横オーガの収納状態を確実に確認することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンバインの第1特徴構成は、穀粒タンクの底部から穀粒を揚送する縦オーガと、この縦オーガの上端部に起伏揺動可能に連結され、前記縦オーガの縦向き軸心周りに旋回可能な横オーガと、この横オーガを収納位置において支持する受け台とを備えるコンバインにおいて、前記受け台が前記横オーガを収納するよう底部と該底部の両端から上方に延出された一対の縦向き部とで構成される収納空間を備え、前記収納空間を上方から覆う閉姿勢と、前記収納空間の上方を開放する開姿勢とに移動自在なアーム部を、前記縦向き部に設け、前記アーム部に、前記横オーガと接触する接触部分を一体に設け、前記開姿勢において前記接触部分が前記収納空間の上方に配置され、前記横オーガを前記収納空間に収納するときの前記横オーガの前記接触部分に対する上からの押圧によって前記アーム部が移動して前記閉姿勢となる点にある。
【0007】
〔作用及び効果〕
本構成においては、横オーガが受け台の収納空間に収納されているときには、アーム部が閉姿勢となり、横オーガが受け台の収納空間に収納されていないときには、アーム部が開姿勢となる。
そのため、作業者は、アーム部の姿勢を見れば、横オーガが受け台の収納空間に収納されているか否かを確実に確認することができる。
また本構成においては、横オーガを受け台の収納空間に収納するときに、横オーガがアーム部の接触部分に接触することによってアーム部が移動して閉姿勢となるように構成されているため、アーム部を移動させるための動力源や伝動系等の複雑な構成を必要とせず、簡易な構成で実施することができ、故障等が発生し難く、低コスト化も図れる。
【0008】
第2特徴構成は、前記アーム部が、前記縦向き部の上部に設けられており、開姿勢において上方に向いている点にある。
【0009】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、アーム部が縦向き部の上部に設けられており、開姿勢において上方に向いている。これにより、横オーガを受け台の上側に配置して、横オーガを下降させて受け台の収納空間に収納するとき、横オーガの位置が受け台の上側において少しアーム部寄りにずれていたとしても、横オーガを下降させて受け台の収納空間に収納するときに、アーム部がガイドとして機能して横オーガを受け台の収納空間に導き得るため、横オーガをより確実に収納空間に収納することができる。
【0010】
第3特徴構成は、前記アーム部を閉姿勢に保持及び保持解除自在な保持手段を備える点にある。
【0011】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、保持手段によってアーム部が閉姿勢に保持されるため、アーム部が横オーガを受け台に固定するストッパーとしての機能を有するようになり、受け台の収納空間に収納された横オーガがより確実に受け台に保持される。
【0012】
第4特徴構成は、前記アーム部の開姿勢からさらに前記収納空間から離れる側への移動を止めるストッパー部材を備える点にある。
【0013】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、アーム部の開姿勢からさらに収納空間から離れる側への移動を止めるストッパー部材を備えるため、ストッパー部材によってアーム部の開姿勢が一定の姿勢に保たれ、作業者が確認し易い。
【0014】
第5特徴構成は、前記アーム部が開姿勢にあることを検出する検出手段と、前記アーム部が開姿勢にあることを表示する表示手段とを備える点にある。
【0015】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、作業者が、アーム部を直接視認しなくとも、検出手段及び表示手段によってアーム部の開姿勢を確認することができるため、特にアーム部を視認し難い夜間において、横オーガが受け台の収納空間に収納されているか否かを確認することができる。
【0016】
第6特徴構成は、前記表示手段が、前記横オーガに備えられる点にある。
【0017】
〔作用及び効果〕
本構成によれば、表示手段が横オーガに備えられているため、横オーガの動きと、表示手段とを同時に確認することができ、横オーガが受け台の収納空間に収納されているか否かをより確認し易い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】自脱型コンバイン全体の左側面図である。
【図2】自脱型コンバイン全体の平面図である。
【図3】受け台とアーム部の分解斜視図である。
【図4】受け台とアーム部の平面図(a)及び正面図(b)である。
【図5】第2実施形態における受け台とアーム部の斜視図である。
【図6】第2実施形態における受け台とアーム部の平面図(a)及び正面図(b)である。
【図7】第2実施形態におけるアーム部の開姿勢(a)及び閉姿勢(b)の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔第1実施形態〕
図1〜図4に基づいて、本発明を自脱型コンバインに適用した場合の実施形態について説明する。
[コンバインの全体構成]
図1及び図2に示すように、自脱型コンバインは、クローラ走行装置1、機体2、4条全面刈り仕様の刈取部3、刈取部3で刈り取った穀稈を徐々に横倒ししながら脱穀部5に受け渡す縦搬送装置19、操縦部4、縦搬送装置19により搬送された穀稈を脱穀及び選別する脱穀部5、脱穀部5から供給される穀粒を貯留する穀粒タンク6、穀粒タンク6から機外に穀粒を排出する縦オーガ8及び横オーガ9、並びに横オーガ9を収納位置において支持する受け台30を備える。
【0020】
縦オーガ8は、穀粒タンク6の底部の排出スクリュ(図示せず)の後端部に連結されたロアケース(図示せず)と、ロアケースから上方に延出された外装ケース15と、この外装ケース15の内部に回転可能に支持された縦送りスクリュ(図示せず)とを備える。
【0021】
横オーガ9は、機体側に位置する機体側部分9Aと、先端側に位置する先端側部分9Bと、機体側部分9Aの内部に回転可能に支持された第1搬送スクリュ(図示せず)と、機体側部分9Bの内部に回転可能に支持された第2搬送スクリュ(図示せず)とを備え、縦オーガ8の上端部に起伏揺動可能に連結されている。
【0022】
尚、先端側部分9Bは、機体側部分9Aに折り畳み機構20を介して揺動可能に支持されている。これにより横オーガ9は、先端側部分9Bの後端と機体側部分9Aの前端とが互いに接合して先端側部分9Bが機体側部分9Aと略一直線状になって展開した展開状態(図1及び図2参照)と、先端側部分9Bが機体側部分9A側に折り畳まれて、機体側部分9Aの側部に沿って格納した格納状態(図示せず)とに、先端側部分9Bを揺動させることにより、横オーガ9の状態を切換え可能に構成されている。
【0023】
操縦部4に設けたオーガ操作部(図示せず)を操作することによって、縦オーガ8と横オーガ9とに亘って設けた油圧シリンダ12によって、縦オーガ8の上端部を支点として横オーガ9を起伏揺動させることができ、また縦オーガ8下方のロアケース(図示せず)に設けた旋回モータ(図示せず)を回転させて、縦オーガ8の縦向き軸心周りに縦オーガ8及び横オーガ9を旋回させることができる。
【0024】
穀粒タンク6に貯留された穀粒を排出する場合、受け台30に収納されている横オーガ9を、縦オーガ8の上端部を支点として上方に揺動させて受け台30から外し、さらに、縦オーガ8の縦向き軸心周りに横オーガ9を機体の左側に旋回させて(図2の紙面における反時計周り)、横オーガ9の排出口9bをトラックの荷台等(図示せず)が置かれている位置にセットし、排出姿勢とする。
【0025】
オーガ操作部を操作して、エンジンEの動力によって穀粒タンク6の底部の排出スクリュを回転させると、べベルギア機構(図示せず)を介して縦オーガ8の縦送りスクリュが回転し、さらにアッパーケース18内のべベルギア機構(図示せず)を介して横オーガ9の第1及び第2搬送スクリュ(図示せず)が回転する。
【0026】
これにより穀粒タンク6に貯留された穀粒が、穀粒タンク6の排出スクリュ(図示せず)によって機体後方の縦オーガ8に搬送され、さらに縦オーガ8の内部の縦送りスクリュ(図示せず)によって揚送されて横オーガ9に搬送され、横オーガ9の内部の第1及び第2搬送スクリュ(図示せず)によって横オーガ9の先端の排出口9bに搬送され、排出口9bからトラックの荷台等(図示せず)に排出される。
【0027】
穀粒の排出が完了したら、縦オーガ8の縦向き軸心周りに横オーガ9を機体の右側に旋回させて(図2の紙面における時計周り)、横オーガ9の機体側部分9Aを受け台30に収納する。このとき、図2に示すように、横オーガ9は、穀粒タンク6の後部から機体の前部左側部に向かって平面視で対角状に配設されるように受け台30に収納される収納姿勢となる。
【0028】
[受け台の構成]
図2に示すように、角形鋼管の支柱31が、操縦部4と縦搬送装置19との間であって操縦部4の運転席4aの左斜め後ろ側において機体2から上方に立設しており、その上部に受け台30を備える。
【0029】
図3に示すように、受け台30は、断面がL字状のベースプレート32と、支柱31を嵌挿可能なリップ溝形鋼33と、直角三角形状の支持プレート34と、U字状の受けプレート35とを備える。
【0030】
ベースプレート32は、水平方向に沿う横板部32cと上下方向に沿う縦板部32aとを備える。横板部32cの端部には支柱31及びリップ溝形鋼33を挿通させるための貫通孔(図示せず)が形成されており、縦板部32aには受けプレート35を固定するための円弧状の凹部32bが形成されている。
【0031】
リップ溝形鋼33は、横板部32cの貫通孔(図示せず)に挿通した状態で、横板部32cの貫通孔(図示せず)の周縁部の下面側において溶接されている(図4(b)参照)。またリップ溝形鋼33の開放面と対峙する側面に、固定ピン36を挿通させるためのピン孔(図示せず)が設けられている。
【0032】
図3及び図4(b)に示すように、支柱31の上部には、固定ピン36を挿通させるために水平方向に貫通するピン挿通孔37が上下方向に2箇所設けられている。
支柱31を、ベースプレート32に溶接されたリップ溝形鋼33の中に嵌挿させて、支柱31のピン挿通孔37のいずれかとリップ溝形鋼33のピン孔(図示せず)との位置を合わせる。そして、固定ピン36をリップ溝形鋼33のピン孔と支柱31のピン挿通孔37とにわたるように挿通させて、リップ溝形鋼33の開放面側に突出させ、ベータピン38を差し込んで抜け止めする。即ち、固定ピン36を挿通させる支柱31のピン挿通孔37を適宜選択することによって、受け台30の高さ(支柱31における上下方向の位置)を調節することができる。
【0033】
支持プレート34における直角の隣片のそれぞれが、リップ溝形鋼33の側面及びベースプレート32の横板部32cの上面に溶接されて固定されている。これにより、リップ溝形鋼33がベースプレート32に対してより強固に固定される。
【0034】
受けプレート35は、U字状に折り曲げ加工されており、底部35aと該底部35aの両端から上方に延出された一対の縦向き部35bとで構成される収納空間Sを備える。収納空間Sには、横オーガ9の機体側部分9Aを収納することができる。また一対の縦向き部35bの端部のそれぞれが、下方側にさらに折り曲げられて折り曲げ部35cが形成されている。
【0035】
受けプレート35は、上方に向いた姿勢で縦板部32aの円弧状の凹部32bの中に嵌め込まれつつ、さらに支持プレート34の斜辺部によって支持された状態で溶接されて固定されている。
受けプレート35の一対の縦向き部35bのうち、リップ溝形鋼33の遠位に位置する縦向き部35bの折り曲げ部35c(縦向き部35bの上部)に、円筒形のボス部材39が溶接されて固定されている。
【0036】
[アーム部の構成]
図3及び図4(a),(b)に示すように、アーム部41は箱状の部材であり、底面41aと、底面41aから直角に折り曲げられて対峙する2つの横側面41bと、底面41aから円弧状に折り曲げられた前面41cと、前面41cと対峙する位置で底面41aから直角に折り曲げられた後面41dとを備える。前面41cは2つの横側面41bの前端よりも前にはみ出ており、後面41dは2つの横側面41bの後端よりも前面41c側に配置される。また、アーム部41の後面41dは、その端部が横側面41bの後端側に折り曲げられており、アーム部41が開姿勢にあるときに縦向き部35bの折り曲げ部35cに係止可能なストッパー部材として構成されている。
【0037】
2つの横側面41b,41bにおける後面41dよりも後端側の位置には、支点軸となる頭付きボルト43を挿通させるためのボルト孔42が設けられている。
【0038】
また、2つの横側面41bのうちの1つ横側面41bであって、その横側面41bのボルト孔42よりも後端側の位置の外面には、横オーガ9の機体側部分9Aと接触する接触部分としての接触棒44が溶接されている。
【0039】
接触棒44は、アーム部41の延伸方向と略直交する向きで固定されており、固定される基部から先端部にかけてなだらかに山状に隆起する形状を有する。
【0040】
アーム部41は、円筒形のボス部材39を備える折り曲げ部35cに対して、その2つの横側面41bの後端部分を外嵌し、ボス部材39と2つの横側面41bのボルト孔42に亘るように頭付きボルト43を挿通させ、頭付きボルト43の軸心方向におけるアーム部41のガタツキを抑える圧縮バネ45と、平座金46とを介して2重ナット47で締結することにより、頭付きボルト43の軸心周りに揺動自在に連結される。
【0041】
上記構成により、アーム部41は、収納空間Sの上方を開放すべく上方に向く開姿勢(図4(b)の実線部分)と、収納空間Sを上方から覆う閉姿勢(図4(b)の2点鎖線部分)とに揺動自在に構成される。
【0042】
即ち図4(b)の実線部分に示すように、アーム部41が開姿勢にあるとき、アーム部41の底面41aと受けプレート35の縦向き部35bとが略面一となり、アーム部41が縦向き部35bの延伸方向に沿って上方に向かう姿勢となる。このとき、アーム部41の後面41dが、ストッパーとして縦向き部35bの折り曲げ部35cに係止することによって、アーム部41が収納空間Sからさらに離れる側への揺動が阻止されて、アーム部41の開姿勢が保持される。
【0043】
アーム部41が開姿勢にある状態では、接触棒44が収容空間Sの上方に配置される。本実施形態においては、接触棒44の先端部が、横オーガ9の機体側部分9Aを収納空間Sに収納したときの機体側部分9Aの軸心を通る鉛直面Wと交差するように構成されている。
【0044】
また、アーム部41が開姿勢にある場合、横オーガ9は、受け台30の収納空間Sに収納されていない。つまり、このときの横オーガ9は、穀粒タンク6に貯留された穀粒を排出すべく、機体の左側に張り出しており、その先端の排出口9bが、例えば、機体の左側に配置されたトラックの荷台等に向いている状態となっている。
【0045】
そして、穀粒タンク6内の穀流の排出を完了した後、横オーガ9を収納姿勢とするために、縦オーガ8の縦向き軸心周りに機体の右側に旋回させて(図2の紙面における時計周り)、横オーガ9の機体側部分9Aを受け台30の真上に配置させる。
【0046】
次いで、縦オーガ8の上端部を支点として横オーガ9を下方に揺動させると、横オーガ9の機体側部分9Aの下面が、開姿勢にあるアーム部41の接触棒44と接触する。これにより、接触棒44が上からの押圧を受けて、頭付きボルト43の軸心周りに下方に揺動すると共に、アーム部41が頭付きボルト43の軸心周りに収納空間S側に揺動して、アーム部41が、収納空間S、即ち横オーガ9の機体側部分9Aを上方から覆う閉姿勢となる。
【0047】
アーム部41が閉姿勢にある状態では、アーム部41の延伸方向が、縦向き部35bの延伸方向と直交しており、アーム部41の延伸方向における縦向き部35bからの長さTは、横オーガ9の機体側部分9Aの断面における半径rよりも長く設定されている(T>r)。
【0048】
尚、本実施形態においては、ベースプレート32の横板部32cのリップ溝形鋼33が固定されている側とは反対側の端部に、L字状のステー48が溶接されている。このステー48には、中にクッション部材52を備える平面視で三角形状の板バネ49がボルトとナットで締結固定されており、さらに、アーム部41が開姿勢にあることを検出する検出手段としてのスイッチ部材50が嵌め込まれて固定されている。また、アーム部41の接触棒44には、アーム部41が閉姿勢にあるときにスイッチ部材50と接触する板片51が溶接されている。
【0049】
板バネ49は、アーム部41を閉姿勢に保持及び保持解除自在な保持手段として機能するものである。即ち、アーム部41が開姿勢から閉姿勢に切り換るとき、収納空間Sの上方から下方に揺動してきた接触棒44が、板バネ49の互いに当接し合う2枚の薄板の間にその当接力に抗して入り込み、板バネ49の内部のクッション部材52に当たって板バネ49の中に収容されると共に、接触棒44の板片51がスイッチ部材50に接触する。
【0050】
アーム部41の接触棒44が板バネ49の中に収容されることで、アーム部41が閉姿勢に保持される。そして、接触棒44の板片51がスイッチ部材50に接触することで、表示手段としてのランプ53に電気信号が伝わり、ランプ53が点灯又は消灯するように構成されている。例えば、横オーガ9が、受け台30に収納されていない場合、即ちアーム部41が開姿勢となって接触棒44の板片51がスイッチ部材50と接触していないときにランプ53が点灯し、接触棒44の板片51がスイッチ部材50と接触するとランプ53が消灯するようにして、アーム部41が開姿勢にあることを検出するようにしても良いし、あるいは逆に、アーム部41が開姿勢となって接触棒44の板片51がスイッチ部材50と接触していないときにランプ53が消灯し、接触棒44の板片51がスイッチ部材50と接触するとランプ53が点灯するようにして、アーム部41が閉姿勢にあることを検出するようにしても良い。
【0051】
ランプ53は、操縦部4や横オーガ9等、適当な位置に設けることができるが、作業者が横オーガ9を収納姿勢に旋回させる際に、視線の移動が少なくて済むように、横オーガ9の先端(排出口9b等)に設けることが好ましい。
【0052】
一方、横オーガ9を再び排出姿勢とする場合には、縦オーガ8の上端部を支点として横オーガ9を上方に揺動させると、横オーガ9の機体側部分9Aの上面が、閉姿勢にあるアーム部41と接触する。これにより、アーム部41が下からの押圧を受けて、頭付きボルト43の軸心周りに上方に揺動すると共に、接触棒44が頭付きボルト43の軸心周りに上方に揺動して板バネ49の互いに当接し合う2枚の薄板の間にその当接力に抗して入り込んで抜け出し、アーム部41の閉姿勢保持が解除される。そして、アーム部41の後面41dが縦向き部35bの折り曲げ部35cに係止すると、アーム部41の底面41aと受けプレート35の縦向き部35bとが略面一となり、アーム部41が縦向き部35bの延伸方向に沿って上方に向かう開姿勢となる。
【0053】
〔第2実施形態〕
以下に本発明の第2実施形態について説明するが、ここでは、上記第1実施形態と異なる受け台30及びアーム部41の構成についてのみ説明し、上記第1実施形態で説明した構成部品と同じ作用を有する構成部品については、同じ符号を付すことにより説明を省略する。
【0054】
[受け台の構成]
図5に示すように、本実施形態における受け台30は、ベースプレート32の横板部32cの下面に対して、リップ溝形鋼33の端面が直接溶接されている。そして、支持プレート34における直角の隣片のそれぞれが、リップ溝形鋼33の側面及びベースプレート32の横板部32cの下面に溶接されて固定されている。
【0055】
リップ溝形鋼33の開放面に、リップ溝形鋼33と略同じ幅を持つ平板63が溶接されている。そして、固定ピン36を挿通させるために平板63と、平板63と対峙するリップ溝形鋼33の側面とにわたって水平方向に貫通するピン挿通孔37が、上下方向に2箇所設けられている。また、支柱31の上端には、固定ピン36を挿通させるために水平方向に貫通するピン挿通孔(図示せず)が設けられている。
【0056】
支柱31をベースプレート32に溶接されたリップ溝形鋼33の中に嵌挿させて、支柱31のピン挿通孔(図示せず)とリップ溝形鋼33側のピン挿通孔37のいずれかとの位置を合わせる。そして、固定ピン36をリップ溝形鋼33側のピン挿通孔と支柱31のピン挿通孔(図示せず)とにわたるように挿通させて、リップ溝形鋼33の平板63側に突出させ、ベータピン38を差し込んで抜け止めする。即ち、固定ピン36を挿通させるリップ溝形鋼33のピン挿通孔37を適宜選択することによって、受け台30の高さ(支柱31における上下方向の位置)を調節することができる。
【0057】
図5、及び図6(a),(b)に示すように、ベースプレート32の縦板部32aにおいて、リップ溝形鋼33側とは反対側の端部の側面に、ハット形状に曲げ加工されたケーシング64がボルトで固定されている。
【0058】
図5及び図7(a),(b)に示すように、ケーシング64は、受けプレート35の一対の縦向き部35bのうち、リップ溝形鋼33の遠位に位置する縦向き部35bに沿うように傾斜して固定されている。ケーシング64の凹部64aの天板64bには、凹部64a内に収容されるネジリバネ65を支持するための支持ピン66と、ネジリバネ65の端部を係止させておくための第1係止ピン67とが、天板64bから凹部64a内に突出させるように設けられている。尚、図7(a)及び(b)に示すように、支持ピン66及び第1係止ピン67は、ケーシング64の天板64bにおいて、紙面上の左側に配置され、且つ上下方向に並べて配置される。
【0059】
また図5、図6(b)及び図7(a),(b)に示すように、天板64bの略中央部には、天板64bの厚み方向に貫通する円弧状の長孔69が形成されており、その長孔69の円弧の中心付近に、天板64bの厚み方向に貫通する丸孔70が形成されている。
【0060】
[アーム部の構成]
アーム部41は全体的に細長で丸みを帯びた平板で構成されている。アーム部41の端部には、支点軸となる頭付きピン63を取り付けるための第1取付孔61と、ネジリバネ65の端部を係止させておくための第2係止ピン68を取り付けるための第2取付孔62とが設けられている。尚、第1取付孔61は、第2取付孔62よりも少し大径であり、またアーム部41の少し内側に設けられている。
【0061】
アーム部41の第1取付孔61及び第2取付孔62の付近の端部の側面には、横オーガ9の機体側部分9Aと接触する接触部分としての接触棒44が溶接されている。接触棒44は、アーム部41の延伸方向と略直交する向きで固定されており、固定される基部から先端部にかけてなだらかに山状に隆起する形状を有する。
【0062】
図5に示すように、頭付きピン63が、アーム部41の第1取付孔61と、ケーシング64の天板64bの丸孔70とに亘って挿通されており、丸孔70側で抜け止めされている。これにより、アーム部41が、ケーシング64に対して頭付きピン63の軸心周りに揺動自在に連結される。
【0063】
また、第2係止ピン68が、アーム部41の第2取付孔62と、ケーシング64の天板64bの長孔69とに亘って挿通されており、第2係止ピン68の端部が、ケーシング64の天板64bから凹部64a内に突出した状態となる。アーム部41が頭付きピン63の軸心周りに揺動すると、第2係止ピン68の端部もアーム部41の揺動と共に長孔69に沿って移動する。
【0064】
図7(a)及び(b)に示すように、ネジリバネ65は、支持ピン66で支持されつつ、ケーシング64の凹部64a内に収容される。ネジリバネ65の両端は、互いに離間する方向に付勢されつつ、その一端が第1係止ピン67に係止され、他端が第2係止ピン68に係止されて、上方に向かう姿勢に保持される。
【0065】
上記構成により、アーム部41は、収納空間Sの上方を開放すべく上方に向く開姿勢(図6(b)の実線部分、図7(a))と、収納空間Sを上方から覆う閉姿勢(図6(b)の2点鎖線部分、図7(b))とに揺動自在に構成される。
【0066】
即ち、図6(b)の実線部分、及び図7(a)に示すように、アーム部41が開姿勢にあるとき、アーム部41の底面41aと受けプレート35の縦向き部35bとが略面一となり、アーム部41が縦向き部35bの延伸方向に沿って上方に向かう姿勢となる。このとき、アーム部41の第2係止ピン68が、長孔69の下端側に移動するように(アーム部41が開姿勢側に揺動するように)ネジリバネ65によって付勢されつつ、ストッパーとしてケーシング64の長孔69の下端に当接することによって、アーム部41が収納空間Sからさらに離れる側への揺動が阻止されて、アーム部41の開姿勢が保持される。
【0067】
図6(b)に示すように、アーム部41が開姿勢にある状態では、接触棒44が収容空間Sの上方に配置される。本実施形態においては、接触棒44の先端部が、横オーガ9の機体側部分9Aを収納空間Sに収納したときの機体側部分9Aの軸心を通る鉛直面Wと交差するように構成されている。
【0068】
またアーム部41が開姿勢にある場合、横オーガ9は、受け台30の収納空間Sに収納されていない。つまり、このときの横オーガ9は、穀粒タンク6に貯留された穀粒を排出すべく、機体の左側に張り出しており、その先端の排出口9bが、例えば、機体の左側に配置されたトラックの荷台等に向いている状態となっている。
【0069】
そして、穀粒タンク6内の穀流の排出を完了した後、横オーガ9を収納姿勢とするために、縦オーガ8の縦向き軸心周りに機体の右側に旋回させて(図2の紙面における時計周り)、横オーガ9の機体側部分9Aを受け台30の真上に配置させる。
【0070】
次いで、縦オーガ8の上端部を支点として横オーガ9を下方に揺動させると、横オーガ9の機体側部分9Aの下面が、開姿勢にあるアーム部41の接触棒44と接触する。これにより、接触棒44が上からの押圧を受けて、頭付きピン63の軸心周りに下方に揺動すると共に、アーム部41が頭付きピン63の軸心周りに収納空間S側に揺動する。
【0071】
このとき、アーム部41が収納空間S側に揺動すると、アーム部41の第2係止ピン68が長孔69に沿って上方に移動して、ネジリバネ65の両端が互いに近接する。そして、それまで長孔69の下端側に移動するように付勢されていた第2係止ピン68が、長孔69における所定のデッドポイントを通過すると、今度は長孔69の上端側に移動するように(アーム部41が閉姿勢側に揺動するように)ネジリバネ65によって付勢される。これにより、アーム部41が、収納空間S、即ち横オーガ9の機体側部分9Aを上方から覆う閉姿勢に保持される。
【0072】
また、アーム部41が開姿勢から閉姿勢に切り換るとき、収納空間Sの上方から下方に揺動してきた接触棒44が、板バネ49の互いに当接し合う2枚の薄板の間にその当接力に抗して入り込み、板バネ49の内部のクッション部材52に当たって板バネ49の中に収容されると共に、接触棒44の板片51がスイッチ部材50に接触する。アーム部41の接触棒44が板バネ49の中に収容されることで、アーム部41がさらにより確実に閉姿勢に保持される
【0073】
アーム部41が閉姿勢にある状態では、アーム部41の延伸方向が、縦向き部35bの延伸方向と直交しており、アーム部41の延伸方向における縦向き部35bからの長さTは、横オーガ9の機体側部分9Aの断面における半径rよりも長く設定されている(T>r)。
【0074】
一方、横オーガ9を再び排出姿勢とする場合には、縦オーガ8の上端部を支点として横オーガ9を上方に揺動させると、横オーガ9の機体側部分9Aの上面が、閉姿勢にあるアーム部41と接触する。これにより、アーム部41が下からの押圧を受けて、頭付きピン63の軸心周りに上方に揺動すると共に、接触棒44が頭付きピン63の軸心周りに上方に揺動して板バネ49の互いに当接し合う2枚の薄板の間にその当接力に抗して入り込んで抜け出してアーム部41の閉姿勢保持が解除される。
【0075】
このとき、アーム部41が上方に揺動すると、アーム部41の第2係止ピン68が長孔69に沿って下方に移動して、ネジリバネ65の両端が互いに離間する。そして、それまで長孔69の上端側に移動するように付勢されていた第2係止ピン68が、長孔69における所定のデッドポイントを通過すると、今度は長孔69の下端側に移動するようにネジリバネ65によって付勢される。そして、アーム部41の第2係止ピン68が長孔69の下端に当接すると、アーム部41の底面41aと受けプレート35の縦向き部35bとが略面一となり、アーム部41が縦向き部35bの延伸方向に沿って上方に向かう開姿勢となる。
【0076】
〔別実施形態〕
〔1〕前述の実施形態におけるアーム部41を、受け台30の縦向き部35bに対して、横方向にスライド移動するように取り付けることによって構成しても良い。即ち、開姿勢においては、アーム部41が受け台30の縦向き部35bの横外方に張り出して収納空間Sの上方を開放しており、閉姿勢においては、横オーガ9を収納空間Sに収納するときにアーム部41の接触部分に接触することによって、アーム部41が受け台30側にスライド移動して収納空間Sの上方を覆うように構成される。
〔2〕前述の第1及び第2実施形態における、板バネ49(保持手段)、スイッチ部材50(検出手段)、及びランプ53(表示手段)については、必要に応じて設けるようにして良い。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、自脱型のコンバインに限らず、普通型のコンバインにも利用することができる。
【符号の説明】
【0078】
6 穀粒タンク
8 縦オーガ
9 横オーガ
30 受け台
35 受けプレート
35a 底部
35b 縦向き部
41 アーム部
41d 後面(ストッパー部材)
44 接触棒(接触部分)
49 板バネ(保持手段)
50 スイッチ部材(検出手段)
53 ランプ(表示手段)
S 収納空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒タンクの底部から穀粒を揚送する縦オーガと、この縦オーガの上端部に起伏揺動可能に連結され、前記縦オーガの縦向き軸心周りに旋回可能な横オーガと、この横オーガを収納位置において支持する受け台とを備えるコンバインにおいて、
前記受け台が前記横オーガを収納するよう底部と該底部の両端から上方に延出された一対の縦向き部とで構成される収納空間を備え、
前記収納空間を上方から覆う閉姿勢と、前記収納空間の上方を開放する開姿勢とに移動自在なアーム部を、前記縦向き部に設け、
前記アーム部に、前記横オーガと接触する接触部分を一体に設け、前記開姿勢において前記接触部分が前記収納空間の上方に配置され、前記横オーガを前記収納空間に収納するときの前記横オーガの前記接触部分に対する上からの押圧によって前記アーム部が移動して前記閉姿勢となるコンバイン。
【請求項2】
前記アーム部が、前記縦向き部の上部に設けられており、開姿勢において上方に向いている請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記アーム部を閉姿勢に保持及び保持解除自在な保持手段を備える請求項1又は2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記アーム部の開姿勢からさらに前記収納空間から離れる側への移動を止めるストッパー部材を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記アーム部が開姿勢にあることを検出する検出手段と、前記アーム部が開姿勢にあることを表示する表示手段とを備える請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記表示手段が、前記横オーガに備えられる請求項5に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−239426(P2012−239426A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112660(P2011−112660)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】