説明

コンバイン

【課題】刈刃の上方への穀稈屑や泥土の堆積による切断性能の低下。
【解決手段】刈取装置4の刈刃10は刈取装置4のフレーム20に固定状態に設けた下刃21と左右に往復摺動する上刃22により構成し、前記下刃21のうち左右中央位置の中央下刃部23は他の下刃21の刃部24より大きく形成し、この中央下刃部23を基準に前記左右の上刃22を左側に位置する左側上刃22Aと右側に位置する右側上刃22Bとに分割形成する。上刃22の上側には刈刃押さえ部材26を上刃22の摺動方向に所定間隔を置いて複数設け、刈刃押さえ部材26は刈刃押さえ部材26の基部の取付部27をフレーム20側に固定する。刈刃押さえ部材26の先端部に固定のプレート部29を前記上刃22の上面に臨ませた構成とし、複数の刈刃押さえ部材26のうち、前記中央下刃部23の左右両側の刈刃押さえ部材26Aのプレート部29は互いに接近させて中央下刃部23上に臨ませる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、刈取装置の刈刃を、刈取装置のフレームに固定状態に設けた下刃と左右に往復摺動する上刃により構成し、前記下刃のうち左右中央位置の中央下刃部は、他の下刃の刃部より大きく形成し、この中央下刃部を基準に、左側に位置する左側上刃と右側に位置する右側上刃とに夫々別体に形成して前記上刃を構成し、該上刃の上方位置には、摺動する上刃を上方から押さえる刈刃押さえ部材を上刃の摺動方向に所定間隔を置いて複数設けた構成は公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−322738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例の刈刃押さえ部材は、該刈刃押さえ部材の基部の取付部を前記フレームに固定し、取付部に固定のプレート部を前記上刃の上面上方に臨ませて構成しているが、前記中央下刃部の左右両側に設けた刈刃押さえ部材は互いに離れており、中央下刃部の上方に穀稈屑や泥土が堆積し、切断性能が低下するという課題がある。
本願は、刈刃押さえ部材の構成を工夫し、刈刃の切断性能を向上させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、走行装置2の上方に脱穀装置3を設け、走行装置2の前側に穀稈を刈り取る刈刃10を有する刈取装置4を設け、前記刈刃10は、前記刈取装置4のフレーム20に固定状態に設けた下刃21と左右に往復摺動する上刃22により構成し、前記下刃21のうち左右中央位置の中央下刃部23は、他の下刃21の刃部24より大きく形成し、この中央下刃部23を基準に、前記左右の上刃22を左側に位置する左側上刃22Aと右側に位置する右側上刃22Bとに分割形成し、該上刃22の上側には、摺動する上刃22を上方から押さえる刈刃押さえ部材26を上刃22の摺動方向に所定間隔を置いて複数設け、刈刃押さえ部材26は、該刈刃押さえ部材26の基部の取付部27を前記フレーム20側に固定し、刈刃押さえ部材26の先端部に固定のプレート部29を前記上刃22の上面に臨ませた構成とし、複数設けた刈刃押さえ部材26のうち、前記中央下刃部23の左右両側の刈刃押さえ部材26Aのプレート部29は互いに接近させて中央下刃部23上に臨ませたことを特徴とするコンバインとしたものであり、刈刃10の上刃22の左側上刃22Aと右側上刃22Bは、下刃21のうち左右中央位置の中央下刃部23を基準に、互いに接近し、互いに離れるように移動して穀稈を切断する。
刈刃10の上刃22の上方位置には、摺動する上刃22を上方から押さえる刈刃押さえ部材26を設け、複数の刈刃押さえ部材26のうち、中央下刃部23の左右両側の刈刃押さえ部材26Aのプレート部29は互いに接近させて、中央下刃部23上に臨むように形成しているので、穀稈屑や泥土は中央下刃部23上に堆積せず、刈刃押さえ部材26Aのプレート部29と下刃21の間を上刃22の左側上刃22Aと右側上刃22Bは移動して穀稈を切断する。
請求項2の発明は、前記中央下刃部23の左右両側の刈刃押さえ部材26Aのプレート部29の夫々の先端は、少なくとも、中央下刃部23の前後方向中心部よりも夫々前方に突出させたことを特徴とするコンバインとしたものであり、左右両側の刈刃押さえ部材26Aのプレート部29は、中央下刃部23の前後方向中心部よりも夫々前方に突出させているので、中央下刃部23上に穀稈屑や泥土が堆積するのを抑制する。
請求項3の発明は、前記左側上刃22Aと右側上刃22Bとが接近方向に摺動した状態で、各刈刃押さえ部材26Aの左右のプレート部29の端縁の間に、上下に貫通する孔部31が形成される構成としたことを特徴とするコンバインとしたものであり、刈刃押さえ部材26Aの左右のプレート部29の端縁の間に、上下に貫通する孔部31が形成されるので、刈刃押さえ部材26Aの左右のプレート部29の上方の藁屑等は孔部31から落下し、左右の刈刃押さえ部材26Aの各プレート部29上に堆積するのを抑制する。
請求項4の発明は、前記中央下刃部23の左右両側の刈刃押さえ部材26A以外の他の刈刃押さえ部材26のプレート部29には、下刃21の刃部24の上方に臨む凸形状の突出部30を設けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、刈刃押さえ部材26のプレート部29の突出部32が下刃21の刃部24の上方に臨み、左右の刈刃押さえ部材26Aの各プレート部29上に堆積するのを抑制する。
請求項5の発明は、前記下刃21の各刃部24の上面には、下方に凹んで潤滑部材を充填させる凹部33を形成したことを特徴とするコンバインとしたものであり、凹部33にグリス等の潤滑部材を充填させることで、上刃22および下刃21が摩耗しにくくなる。
請求項6の発明は、複数の刈刃押さえ部材26のうちの、所定位置の刈刃押さえ部材26に注油ノズル35を取付けたことを特徴とするコンバインとしたものであり、所定位置の刈刃押さえ部材26の注油ノズル35から上刃22に適宜注油することで、上刃22および下刃21が摩耗しにくくなる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、左右の刈刃押さえ部材26Aのプレート部29が互いに接近して中央下刃部23上に堆積する穀稈屑や泥土を落とすことができ、上刃22の左側上刃22Aと右側上刃22Bの移動を円滑にでき、穀稈の切断性能を向上させることができる。
請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の発明の効果に加え、左右側の刈刃押さえ部材26Aの各プレート部29が中央下刃部23の上面を覆うことができ、中央下刃部23上に穀稈屑や泥土が堆積するのを抑制でき、穀稈の切断性能を向上させることができる。
請求項3記載の発明では、上記請求項2記載の発明の効果に加え、刈刃押さえ部材26Aの左右のプレート部29の端縁の間に形成される孔部31からプレート部29の上側の藁屑等を落下させることができ、左右の刈刃押さえ部材26Aの各プレート部29上に堆積するのを抑制し、穀稈の切断性能を向上させることができる。
請求項4記載の発明では、上記請求項1または請求項2または請求項3記載の発明の効果に加え、刈刃押さえ部材26のプレート部29の突出部32によって下刃21の刃部24の上側に堆積する穀稈屑や泥土を落とすことができ、左側上刃22Aと右側上刃22Bの摺動を円滑にでき、穀稈の切断性能を向上させることができる。
請求項5記載の発明では、上記請求項1または請求項2または請求項3または請求項4記載の発明の効果に加え、凹部33にグリス等の潤滑部材を充填させているので、上刃22の摺動抵抗を軽減でき、切断性能を向上させることができ、また、刈刃10の耐久性を向上させられることができる。
請求項6記載の発明では、上記請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5記載の発明の効果に加え、注油ノズル35により適宜上刃22に注油でき、上刃22の摺動抵抗を軽減して、切断性能を向上させられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】刈刃部分の平面図。
【図3】刈刃の中央部分の平面図。
【図4】刈刃の縦断側面図。
【図5】刈刃押さえ部材の他の実施例の平面図。
【図6】刈刃押さえ部材の他の実施例の平面図。
【図7】刈刃押さえ部材の他の実施例の平面図。
【図8】同縦断側面図。
【図9】刈刃押さえ部材の他の実施例の平面図。
【図10】同縦断側面図。
【図11】搬送装置の展開状態平面図。
【図12】同背面図。
【図13】同平面図。
【図14】同側面図。
【図15】ホルダ部分の正面図。
【図16】取付部材の平面図。
【図17】搬送装置および取付部材の位置説明図。
【図18】操縦部の概略側面図。
【図19】同概略斜視図。
【図20】操縦部および刈取装置のはみ出し部の概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施例をコンバインの図面により説明すると、1はコンバインの機体フレーム、2は機体フレーム1の下方に設けた走行装置、3は機体フレーム1の上方に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前側に設けた刈取部、5は脱穀装置3の側部に設けたグレンタンク、6はグレンタンク5の前側に設けた操縦部である。
前記刈取装置4は、最先端位置に分草装置8を左右に並設し、各分草装置8の後側に分草装置8が分草した穀稈を引起す引起装置9を設け、引起装置9の後側には刈刃10を設け、刈刃10の上方の後側には刈刃10によって刈り取った穀稈を搬送する穀稈搬送装置11を設ける。
穀稈搬送装置11の構成は任意であり、分草装置8で分草して引起装置9で引起して刈刃10で株元を切断した穀稈を搬送する前側搬送装置(図示省略)や掻き込み装置13や後方に搬送する後側搬送装置(図示省略)等により構成する。12は脱穀装置3に穀稈を供給搬送する穀稈供給搬送装置であり、穀稈供給搬送装置12の始端部に後側搬送装置(図示省略)からの穀稈を引き継ぐ引継搬送装置13を設けており、引継搬送装置13は前記穀稈搬送装置11の一部を構成している。
【0009】
14は刈取装置4側の刈取フレーム、15は下部伝動ケース、16は刈刃フレーム、17は分草杆、18はクランクである。
前記刈取装置4の刈刃10は、刈取装置4側の刈刃フレーム16に固定状態に設けた下刃21と左右に往復摺動する上刃22により構成する。上刃22は、中央より左側に位置する左側上刃22Aと右側に位置する右側上刃22Bとを夫々別体に形成し、この左側上刃22Aと右側上刃22Bは、左右独立したナイフバー22C、22Dに夫々リベットで取付け、このナイフバー22C、22Dを摺動駆動することで、左側上刃22Aと右側上刃22Bを互いに反対に移動させる。
即ち、前記下刃21のうち左右中央位置の中央下刃部23は、他の下刃21の刃部24より大きく形成し、この中央下刃部23を基準に、上刃22は左右に分割すると共に、左側上刃22Aと右側上刃22Bは、互いに接近し、互いに離れるように移動する。
【0010】
前記刈刃10の上刃22の上方位置には、摺動する上刃22を上方から押さえる刈刃押さえ部材26を設ける。刈刃押さえ部材26は上刃22の摺動方向に所定間隔を置いて複数設ける。刈刃押さえ部材26は、基部の取付部27を前記刈刃フレーム16に固定し、刈刃押さえ部材26の先端のプレート部30は上刃22の上面の上方に臨ませる。
前記刈刃押さえ部材26のうち、前記中央下刃部23の左右側の刈刃押さえ部材26Aのプレート部29は互いに接近させて、プレート部29の突出部30を中央下刃部23上に臨むように形成する。
そのため、切断性能を向上させられる。
また、前記左右側の刈刃押さえ部材26Aのプレート部29の突出部30の先端は、少なくとも、中央下刃部23の前後方向中心部よりも夫々前方に突出させる。
そのため、切断性能を向上させられる。
また、図3の刈刃押さえ部材26Aのプレート部29の端縁は互いに略隙間なく当接させている。
【0011】
図5は、刈刃押さえ部材26の他の実施例を示し、刈刃押さえ部材26Aの左右のプレート部29の端縁の間に、上下に貫通する孔部31を設ける。
そのため、刈刃押さえ部材26Aの左右のプレート部29の上方に藁屑等が堆積するのを防止でき、切断性能を向上させられる。
図6は、刈刃押さえ部材26の他の実施例を示し、刈刃押さえ部材26のプレート部29には、下刃21の刃部24の上方に臨む凸形状の突出部32を設ける。
そのため、プレート部29の前後長さが長くなるので、切断性能を向上させられる。
前記下刃21の各刃部24の一部または全部には、下方に凹む凹部33を形成し、凹部33にグリス等の潤滑部材を充填させる(図7,図8)。
そのため、上刃22の摺動抵抗を軽減できるので、切断性能を向上させられる。
また、刈刃10の耐久性を向上させられる。
【0012】
図9、図10は、刈刃押さえ部材26の他の実施例を示し、複数の刈刃押さえ部材26のうちの、所定位置の刈刃押さえ部材26には、注油ノズル35を取付ける。注油ノズル35には注油ホース36を接続し、注油ノズル35に送油する。
そのため、上刃22の摺動抵抗を軽減できるので、切断性能を向上させられる。
また、刈刃10の耐久性を向上させられる。
図11〜図17は、穀稈供給搬送装置12の始端部に穀稈を引き継ぐ引継搬送装置13を示し、引継搬送装置13は、ラグ式の穂先搬送装置40とチエン式の株元側搬送装置41により構成する。株元側搬送装置41は搬送チエン42と搬送チエン42に対して遠近移動する挾扼杆43により構成する。
この挾扼杆43は、穀稈に当接する当接部44の取付部45に取付杆46の先端を固定する。取付杆46の基部は、ホルダ47に摺動自在に取付ける。
ホルダ47は取付部材48に着脱自在に取付け、取付部材48に対してホルダ47を当接部44ごと着脱して、挾扼杆43を固定部に対して着脱自在に構成する。
【0013】
この場合、取付部材48を固定部に対して、前記搬送チエン42に対峙する挾持方向と挾持方向に対する交差方向(上下方向)に位置調節自在に構成する(図14、図17)。
そのため、挾扼杆43の製造誤差を取付時の位置調整で吸収することができ、製造組付が容易となる。
また、挾扼杆43の変形に対しても、位置調整で対応することも可能となって、耐久性を向上させられる。
前記取付部材48は、固定フレーム49に固定の支持部材50に対して上下に移動自在に取付けた固定側部材51と、固定側部材51に対して挾持方向に位置変更自在に設けた移動側部材52とにより構成する。
そのため、挾扼杆43の移動調節機構を簡素に構成する。
即ち、固定フレーム固定フレーム49側の支持部材50に対して長孔53と止着部材54により固定側部材51を移動自在に取付ける。
【0014】
また、固定側部材51には、複数の取付孔53を設け、取付孔53を選択することにより、長稈作業と短稈作業とに切替える。
即ち、標準穀稈の場合は長孔53Aにより取付け、短穀稈の場合は長孔53Bに切り替えて取付ける(図17)。
前記ホルダ47の搬送チエン42側には係合孔(図示省略)を設け、係合孔に移動側部材52に設けた係合ピン57を係合させる。反搬送チエン42側のホルダ47には係合ピン58を設け、係合ピン58に移動側部材52に設けた係合フック59を係合させる。係合フック59は軸61により回動自在に構成する。
また、係合フック59より上方に突出する係合ピン58には操作レバー60の係合溝61を係合させる。操作レバー60はホルダ47に取付軸62により回動自在に取付け、係合ピン58に係合溝61を係合させると、前記係合フック59の上面と重なって、係合フック59の係合解除不能状態に押さえるように構成する。
【0015】
したがって、操作レバー60を係合ピン58より外すと、係合フック59を係合ピン58から離脱させ、ホルダ47を移動側部材52に対して移動させて、ホルダ47の係合孔56を係合ピン57から外すと、ホルダ47を移動側部材52から外すことができる。
それゆえ、単に、操作レバー60を解除させただけでは、ホルダ47を取り外すことができず、ホルダ47を意識的に移動側部材52に対して移動させることで、外せることになり、不用意なロック解除を防止できる。
反対に、ホルダ47を移動側部材52に対して移動させて、ホルダ47の係合孔56を係合ピン57に係合させると、ホルダ47は移動側部材52に納まり、係合フック59を係合ピン58に係合させると、挾持方向および上下方向にホルダ47を固定状態とし、更に、操作レバー60の係合溝61を係合ピン58に係合させて、係合フック59をロックする。
【0016】
したがって、意識的に、操作レバー60をロックさせなければ、ロックできず、操作レバー60をロックさせられないときは、挾扼杆43の装着作業に不具合発生していることになり、挾扼杆43の挾扼杆43の装着作業の確実性を向上させることができる。
図18、図19は、操縦部6の床面65に搭乗する際に使用するステップに関するものであり、機体フレーム1側に設けた固定ステップ66と格納式補助ステップ67を設ける。
更に、前記刈取装置4は、操縦部6より右側にはみ出て構成し、この操縦部6より右側にはみ出し部分68に刈取側補助ステップ69を設ける。
刈取側補助ステップ69は格納式補助ステップ67より低い位置に設ける。
そのため、操縦部6への乗降が容易となる。
また、刈取装置4のはみ出し部分68を有効利用できる。
【0017】
前記はみ出し部分68には、作業灯70を設けると、前記刈取側補助ステップ69や格納式補助ステップ67の位置を容易に視認できて、乗降を動作を容易にする。
図20は、作業灯70の実施例を示し、作業灯70をはみ出し部分68の上部または上下中間部の何れか一方または両方に設けている。
そのため、夜間。刈取装置4の側方の視認性や刈取側補助ステップ69や格納式補助ステップ67の視認性を向上させられる。
【0018】
(実施例の作用)
走行装置2により走行し、分草装置8により分草し、各分草装置8が分草した穀稈を引起装置9により引起し、引起装置9が引き起こした穀稈を刈刃10が切断して搬送し、脱穀する。
刈取装置4の刈刃10は、刈取装置4の刈刃フレーム16に固定状態に設けた下刃21と左右に往復摺動する上刃22により構成し、該上刃22は、中央より左側に位置する左側上刃22Aと右側に位置する右側上刃22Bとを夫々別体に形成し、左側上刃22Aと右側上刃22Bは互いに反対に移動し、下刃21のうち左右中央位置の中央下刃部23を基準に、左側上刃22Aと右側上刃22Bは互いに接近し、互いに離れるように移動して穀稈切断する。
【0019】
刈刃10の上刃22の上方位置には、摺動する上刃22を上方から押さえる刈刃押さえ部材刈刃押さえ部材26を設け、刈刃押さえ部材26は基部の取付部取付部27を刈刃フレーム16に固定し、刈刃押さえ部材26の先端のプレート部プレート部29は上刃22の上面の上方に臨ませているから、刈刃押さえ部材26のプレート部29と下刃21の間を上刃22が移動して圃場の穀稈を刈り取る。
複数の刈刃押さえ部材26のうち、中央下刃部23の左右側の刈刃押さえ部材26Aのプレート部29は互いに接近させて、中央下刃部23上に臨むように形成しているので、切断性能を向上させられる。
即ち、上刃22は穀稈を切断するとき、穀稈が中央下刃部23の上に乗り上げて、上刃22を上方に押し上げるように作用し、所謂切断抵抗となるが、左右の刈刃押さえ部材26Aと刈刃押さえ部材26Bのプレート部29を互いに接近させると、上刃22はプレート部29により押さえられて、浮き上がりが防止され、これにより、切断抵抗を軽減させ、切断性能を向上させられる。
【0020】
また、前記左右側の刈刃押さえ部材26Aのプレート部29は、中央下刃部23の前後中間部よりも夫々前方に突出させているので、プレート部29による押さえ効果を向上させ、切断性能を向上させられる。
図5の刈刃押さえ部材26の他の実施例では、刈刃押さえ部材26Aの左右のプレート部29の端縁の間に、上下に貫通する孔部31を設けているので、刈刃押さえ部材26Aの左右のプレート部29の上方に藁屑等が堆積するのを防止でき、切断性能を向上させられる。
図6の刃押さえ部材26の他の実施例では、刈刃押さえ部材26のプレート部29には、下刃21の刃部24の上方に臨む凸形状の突出部30を設けているので、プレート部29の前後長さが長くなって、切断性能を向上させられる。
前記下刃21の各刃部24の一部または全部には、下方に凹む凹部33を形成し、凹部33にグリス等の潤滑部材を充填させているので、上刃22の摺動抵抗を軽減できるので、切断性能を向上させ、また、刈刃10の耐久性を向上させられる。
【0021】
図9の刈刃押さえ部材26の他の実施例では、複数の刈刃押さえ部材26のうちの、所定位置の刈刃押さえ部材26には、注油ノズル35を取付けているので、注油ノズル35により適宜上刃22に注油でき、上刃22の摺動抵抗を軽減して、切断性能を向上させられる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しているが、これらは夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。
【符号の説明】
【0022】
1…機体フレーム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取装置、5…グレンタンク、6…操縦部、10…刈刃、11…穀稈搬送装置、12…穀稈供給搬送装置、13…引継搬送装置、14…フレーム、21…下刃、22…上刃、22A…左側上刃、22B…右側上刃、23…中央下刃部、24…刃部、26、26A、26B…刈刃押さえ部材、27…取付部、29プレート部、30…突出部、31…孔部、33…凹部、35…注油ノズル、36…注油ホース、40…穂先搬送装置、41…株元側搬送装置、42…搬送チエン、43…挾扼杆、44…当接部、45…取付部、46…取付杆、47…ホルダ、48…取付部材、49…固定フレーム、50…支持部材、51…固定側部材、52…移動側部材、53、53A、53B…長孔、54…止着部材、55…取付孔、56…係合孔、57…係合ピン、58…係合ピン、59…係合フック、60…操作レバー、61…係合溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)の上方に脱穀装置(3)を設け、走行装置(2)の前側に穀稈を刈り取る刈刃(10)を有する刈取装置(4)を設け、前記刈刃(10)は、前記刈取装置(4)のフレーム(20)に固定状態に設けた下刃(21)と左右に往復摺動する上刃(22)により構成し、前記下刃(21)のうち左右中央位置の中央下刃部(23)は、他の下刃(21)の刃部(24)より大きく形成し、この中央下刃部(23)を基準に、前記左右の上刃(22)を左側に位置する左側上刃(22A)と右側に位置する右側上刃(22B)とに分割形成し、該上刃(22)の上側には、摺動する上刃(22)を上方から押さえる刈刃押さえ部材(26)を上刃(22)の摺動方向に所定間隔を置いて複数設け、刈刃押さえ部材(26)は、該刈刃押さえ部材(26)の基部の取付部(27)を前記フレーム(20)側に固定し、刈刃押さえ部材(26)の先端部に固定のプレート部(29)を前記上刃(22)の上面に臨ませた構成とし、複数設けた刈刃押さえ部材(26)のうち、前記中央下刃部(23)の左右両側の刈刃押さえ部材(26A)のプレート部(29)は互いに接近させて中央下刃部(23)上に臨ませたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記中央下刃部(23)の左右両側の刈刃押さえ部材(26A)のプレート部(29)の夫々の先端は、少なくとも、中央下刃部(23)の前後方向中心部よりも夫々前方に突出させたことを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
請求項2において、前記左側上刃(22A)と右側上刃(22B)とが接近方向に摺動した状態で、各刈刃押さえ部材(26A)の左右のプレート部(29)の端縁の間に、上下に貫通する孔部(31)が形成される構成としたことを特徴とするコンバイン。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3において、前記中央下刃部(23)の左右両側の刈刃押さえ部材(26A)以外の他の刈刃押さえ部材(26)のプレート部(29)には、下刃(21)の刃部(24)の上方に臨む凸形状の突出部(30)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項5】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4において、前記下刃(21)の各刃部(24)の上面には、下方に凹んで潤滑部材を充填させる凹部(33)を形成したことを特徴とするコンバイン。
【請求項6】
請求項1または請求項2または請求項3または請求項4において、複数の刈刃押さえ部材(26)のうちの、所定位置の刈刃押さえ部材(26)に注油ノズル(35)を取付けたことを特徴とするコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−29594(P2012−29594A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170221(P2010−170221)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】