説明

コンピュータシステム、ディスクアレイ装置、世代情報管理方法、及び、プログラム

【課題】業務処理で作成される業務ボリュームから複製される各世代毎の複製ボリューを複数のサーバで利用する際に、その複製ボリュームの世代を管理する。
【解決手段】ディスクアレイ装置の記録領域を、それぞれが複数の複製ボリュームを記憶する複数の記録領域グループに分ける。各複製ボリュームには、グループ内世代情報と、グループ共通世代情報とを付与し、全てのグループに対して一斉に複製ボリュームを書き込む際には、書き込む複製ボリュームにグループ共通世代情報を与え、そのグループ内の複製ボリュームのグループ内世代情報を更新し、グループ個別に複製ボリュームを書き込む際には、グループ内世代情報を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータシステム、ディスクアレイ装置、世代情報管理方法、及び、プログラムに関し、更に詳しくは、コンピュータシステムにおいて、1つの業務ボリュームから作成した複数の複製ボリュームについて、複製ボリュームグループ間で複製ボリュームのデータの同一性を管理できる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータシステムでは、業務処理に従って逐次更新される一つの業務ボリュームからの複製によって、複数の複製ボリュームを作成する技術がある。従来の技術では、作成された複製ボリュームは個々にその更新世代が管理されている。このため、複製データをグループに分けて作成し、かつグループ間で同一時刻に作成された複製ボリュームを利用したい場合には、複製ボリュームグループ間の複製データの同一性は利用者側で管理する必要があった。この場合、利用者側の管理情報が消失した場合には、複製ボリュームグループ間の複製データの同一性が確認できなくなるという問題があった。
【0003】
複数の複製ボリュームを作成して管理する技術は、例えば特許文献1に記載がある。特許文献1に記載の技術では、一つの業務ボリュームを起源としたペアの複製ボリュームを作成するバックアップデータの世代管理に関し、一世代について世代管理を行っている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−164318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の技術では、複数の複製ボリュームに関し1世代についての世代管理を行っている。しかし、この技術では、サーバ毎に取り扱う複数の複製ボリュームを、用途別に且つ複数世代にわたって世代管理を行うものではない。
【0006】
出願人は、本出願の先願発明(特願2005−066720号)において、1つの業務ボリュームに対して、複製ボリュームイメージをストレージ内で作成する機能を有するストレージで、複製ボリュームを利用する複数のサーバごとに複製ボリュームグループを割り当てることにより、用途毎に複製ボリュームの世代管理を可能とする複製ボリューム管理システムを提案している。
【0007】
しかし、上記先願に記載された技術では、複製ボリュームはグループ内で世代管理されるものの、複製ボリュームグループ間での複製データの同一性は、利用者側で管理する必要があった。つまり、一つの業務ボリュームに対して、異なる用途で利用するサーバが同時に存在する場合には、一台のサーバに割り当てたボリュームグループに対しては複数世代にわたって世代情報管理ができるものの、他のサーバに割り当てたボリュームグループとの間では、複数世代にわたる世代情報管理が出来ないという問題があった。
【0008】
本発明は、一つの業務ボリュームから作成した複製ボリュームをグループに分けて保存し、これらを異なるサーバで利用するコンピュータシステムにおいて、上記先願発明における問題を解消し、複製ボリュームグループ間で複製ボリュームのデータの同一性を管理できるコンピュータシステム、ディスクアレイ装置、世代情報管理方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のコンピュータシステムは、業務処理に基づいてデータが更新される業務ボリュームと、該業務ボリュームから複製されて複数のデータ処理装置に入力される複製ボリュームとを記録するコンピュータシステムであって、
前記複数のデータ処理装置に対応して配設される複数の記録領域グループを有するディスク装置であって、各記録領域グループが、それぞれが複製ボリュームを記録する複数の記録領域を有するディスク装置と、
業務ボリュームから一斉に複製した複製ボリュームを前記複数の記録領域グループに対して一斉に書き込む一斉書込み処理と、業務ボリュームから個別に複製した複製ボリュームを前記記録領域グループに個別に書き込む個別書込み処理とを実行する書込み処理手段と、
各複製ボリューム毎にグループ内世代情報とグループ共通世代情報とを記録する世代管理手段であって、前記一斉書込み処理が実行されたときには、書込み処理が実行された当該複製ボリュームにグループ共通世代情報を付与すると共に各複製ボリュームの前記グループ内世代情報を更新し、前記個別書込み処理が実行されたときには、書込み処理が実行された当該複製ボリュームにグループ内世代情報を付与する世代管理手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のディスク装置は、業務処理に基づいてデータが更新される業務ボリュームと、該業務ボリュームから複製されて複数のデータ処理装置に入力される複製ボリュームとを記録するディスクアレイ装置であって、
前記複数のデータ処理装置に対応して配設される複数の記録領域グループを有するディスク本体であって、各記録領域グループが、それぞれが複製ボリュームを記録する複数の記録領域を有するディスク本体と、
業務ボリュームから一斉に複製した複製ボリュームを前記複数の記録領域グループに対して一斉に書き込む一斉書込み処理と、業務ボリュームから個別に複製した複製ボリュームを前記記録領域グループに個別に書き込む個別書込み処理とを実行する書込み処理手段と、
各複製ボリューム毎にグループ内世代情報とグループ共通世代情報とを記録する世代管理手段であって、前記一斉書込み処理が実行されたときには、書込み処理が実行された当該複製ボリュームにグループ共通世代情報を付与すると共に各複製ボリュームの前記グループ内世代情報を更新し、前記個別書込み処理が実行されたときには、書込み処理が実行された当該複製ボリュームにグループ内世代情報を付与すると共に当該グループ内の複製ボリュームのグループ内世代情報を更新する世代管理手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
更に、本発明の世代情報管理方法は、業務処理に基づいてデータが更新される業務ボリュームと、該業務ボリュームから複製されて複数のデータ処理装置に入力される複製ボリュームとを記録するディスクアレイ装置で、前記複製ボリュームの世代を管理する世代情報管理方法であって、
前記ディスクアレイ装置の記録領域を、前記複数のデータ処理装置に対応して配設される複数の記録領域グループであって、各記録領域グループが、それぞれが複製ボリュームを記録する複数の記録領域を有する記録領域グループに区分し、
業務ボリュームから一斉に複製した複製ボリュームを前記複数の記録領域グループに対して一斉に書き込む一斉書込み処理と、業務ボリュームから個別に複製した複製ボリュームを前記記録領域グループに個別に書き込む個別書込み処理とを実行し、
前記一斉書込み処理が実行されたときには、書込み処理が実行された当該複製ボリュームにグループ共通世代情報を付与すると共に各複製ボリュームのグループ内世代情報を更新し、前記個別書込み処理が実行されたときには、書込み処理が実行された当該複製ボリュームにグループ内世代情報を付与すると共に当該グループ内の複製ボリュームのグループ内世代情報を更新することを特徴とする。
【0012】
更に、本発明のプログラムは、業務処理に基づいてデータが更新される業務ボリュームと、該業務ボリュームから複製されて複数のデータ処理装置に入力される複製ボリュームとを記録するディスクアレイ装置で、前記複製ボリュームの世代を管理するコンピュータのためのプログラムであって、前記コンピュータに、
前記ディスクアレイ装置の記録領域を、前記複数のデータ処理装置に対応して配設される複数の記録領域グループであって、各記録領域グループが、それぞれが複製ボリュームを記録する複数の記録領域に区分する処理と、
業務ボリュームから一斉に複製した複製ボリュームを前記複数の記録領域グループに対して一斉に書き込む一斉書込み処理と、業務ボリュームから個別に複製した複製ボリュームを前記記録領域グループに個別に書き込む個別書込み処理とを実行する処理と、
前記一斉書込み処理が実行されたときには、書込み処理が実行された当該複製ボリュームにグループ共通世代情報を付与すると共にグループ内世代情報を更新し、前記個別書込み処理が実行されたときには、書込み処理が実行された当該複製ボリュームにグループ内世代情報を付与すると共に各複製ボリュームのグループ内世代情報を更新する処理とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコンピュータシステム、ディスク装置、世代情報管理方法、及び、プログラムによると、各データ処理装置は、記録領域グループ内の世代情報に基づいて複数世代の複製モジュールを利用したデータ処理が可能であり、また、複数の記録領域グループ間では、グループ共通世代情報に基づいて、複製ボリュームの同一性が管理できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るコンピュータシステムが示されている。コンピュータシステムは、業務処理を行う業務サーバ1と、業務サーバが処理した業務ボリュームを記録するディスクアレイ装置2と、業務ボリュームから複製された複製ボリュームを利用する複数のサーバ11、12、13とから構成される。ディスクアレイ装置2を利用する業務サーバ1は、必要に応じて、自身が作成し更新する業務ボリュームBV4を、各複製ボリュームグループ5、6,7に複製して与える。例えば、サーバA11はバックアップ用に、サーバB12は物理障害調査用に、サーバC13はテスト用として使用され、サーバごとに、複数世代にわたる複製ボリュームを利用している。
【0015】
図2に示すように、業務サーバ1は、複製ボリュームイメージ作成手段21と、複製ボリュームイメージ削除手段22と、複製ボリュームグループに対する複製作成手段23と、複製ボリュームグループに対する複製削除手段24とを有する。これら各手段は、業務サーバ1に格納されたプログラムで構成される。複製ボリュームイメージ作成手段21は、業務ボリューム4のイメージを複製ボリュームSVに複製する機能を有する。複製ボリュームイメージ削除手段22は、複製ボリュームSVに存在したイメージを削除する。複製作成手段23は、ボリュームグループ5〜7に対して複製ボリュームイメージを作成する。複製削除手段24は、ボリュームグループ5〜7に対して複製ボリュームイメージを削除する。これら手段21〜24は、業務サーバ1内の書込み処理手段を構成する。
【0016】
図1に戻り、ディスクアレイ装置2は、世代管理制御を行うファームウェア3を有し、業務ボリューム4と、複製ボリュームグループ5、6、7と、複製ボリュームを利用するための仮想的なリンクボリューム8、9、10とを世代管理制御している。本実施形態のコンピュータシステムでは、複製ボリュームグループ5、6、7毎に、3つの複製ボリュームグループSV1〜SV3、SV4〜SV6、SV7〜SV9をそれぞれ割り当てる。
【0017】
業務ボリューム4に対して、用途毎に複製ボリュームグループ5、6、7を選択し、複製世代を作成する。なお、業務ボリューム4のイメージを複製ボリュームSVに複製した複製ボリュームは、本明細書では複製世代と呼ばれる。業務ボリュームBVの複製ボリュームSVを利用するサーバA11、サーバB12、サーバC13は、作成された複製世代イメージを利用するときには、それぞれリンクボリューム8、9、10経由で読み込みを行う。
【0018】
ディスクアレイ装置2のファームウェア3は、図3に示すように、複製ボリュームイメージ作成モジュール31と、複製ボリュームイメージ削除モジュール32と、複製ボリュームグループ世代管理モジュール33と、複製ボリュームグループ世代管理テーブル34とを有する。モジュール31、32は、ディスクアレイ装置内の書込み処理手段を構成し、モジュール33及びテーブル34は、世代管理手段を構成する。
【0019】
次に、上記実施形態のコンピュータシステムにおける複製ボリュームの世代管理処理について詳細に説明する。まず、業務サーバ1の図2に示した各手段の処理について説明する。図4は、業務サーバ1の複製ボリュームイメージ作成手段21の処理を示す。
【0020】
図4において、業務サーバ1で、複製ボリュームイメージ作成指示が発行されると、業務サーバ1の複製ボリュームイメージ作成手段21が処理を開始する。複製ボリュームイメージ作成手段21は、まず、指示内容を取り出して複製ボリューム指定(SV指定)か否かを判断する(ステップ101)。SV指定ではないと判断した場合には、グループ番号指定であるので、そのグループ番号を取り出す(ステップ106)。次いで、複製ボリュームグループ世代管理モジュール33を呼び出して、グループ共通世代情報を取得する(ステップ107)。次いで、そのグループに空きSVが存在するか否かを調べる(ステップ108)。空きSVが存在する場合には、複製ボリューム世代管理モジュール33を呼び出して、そのSV情報を取り出す(ステップ109)。
【0021】
その後に、複製ボリュームイメージ作成ステップ105を実行する。また、ステップ108で空きSVが存在しない場合には、複製ボリュームグループ世代管理モジュール33を呼び出し、最古世代情報を取り出す(ステップ110)。次いで、複製ボリュームイメージ削除モジュール32を呼び出して、その最古世代を削除した後に、そのSV情報を取得する(ステップ111)。その後、複製ボリュームイメージ作成ステップ105を実行する。
【0022】
一方、ステップ101で、SV指定であれば、ディスクアレイ装置2のファームウェア3の複製ボリュームグループ世代管理モジュール33を呼び出し、SVグループ情報を取得し(ステップ102)、次いで、そのグループ世代情報(グループ共通世代情報)を取得する(ステップ103)。そして、SVが空きであるか否かを調べる(ステップ104)。空きである場合には、ファームウェア3の複製ボリュームイメージ作成モジュール31を呼び出して、複製ボリュームイメージ作成して(ステップ105)、処理を終了する。ステップ104でSVが空きでない場合には、そのまま処理を終了する。
【0023】
図5は、複製ボリュームイメージ削除手段22の処理を示す。複製ボリュームイメージ削除手段22は、業務サーバ1から呼び出されると、まず、指示内容を取り出してSV指定か否かを判断する(ステップ201)。SV指定であれば、ディスクアレイ装置2の複製ボリュームイメージ削除モジュール32を呼び出し、指定されたSVを削除させて(ステップ202)、処理を終了する。
【0024】
一方、グループ番号指定で削除する場合には、ステップ201からステップ203に移行して、指定されたグループ番号を取り出し、次いで、全ての世代を削除するかしないかを判断する(ステップ204)。全ての世代削除ではない場合には、複製ボリュームグループ世代管理モジュール33を呼び出して、最古世代SV情報を取得する(ステップ205)。次いで、SV削除ステップ202に移行する。また、全ての世代削除である場合には、複製ボリュームイメージ削除モジュール32を呼び出し、そのグループの全ての世代を削除して(ステップ206)、処理を終了する。
【0025】
図6は、複製ボリュームグループに対する複製作成手段23の処理を示す。複製ボリュームグループに対する複製作成手段23は、業務サーバ1から呼び出されると、ディスクアレイ装置2の複製ボリュームグループ世代管理モジュール33を呼び出し、グループごとの利用可能なSVを探す(ステップ301)。利用可能なSVの一覧を指定して、複製ボリュームイメージ作成モジュール31を呼び出すことで、同一データを持つ複数の複製ボリュームイメージを作成する(ステップ302)。その後、複製ボリュームグループ世代管理モジュール33を呼び出し、グループ共通世代情報を更新して(ステップ303)、処理を終了する。
【0026】
図7は、複製ボリュームグループに対する複製削除手段24の処理を示す。複製ボリュームグループに対する複製削除手段24は、業務サーバ1から呼び出されると、ディスクアレイ装置2の複製ボリュームグループ世代管理モジュール33を呼び出し、グループごとの最古世代のSVを取得する(ステップ401)。ステップ401で取得した最古世代の一覧を指定して、複製ボリュームイメージ削除モジュール32を呼び出し、各グループの最古世代を削除して(ステップ402)、処理を終了する。
【0027】
次いで、図3に示したディスクアレイ装置2のファームウェア3の各モジュールの動作について説明する。図8は、複製ボリュームイメージ作成モジュール31の処理を示す。複製ボリューム作成モジュール31は、業務サーバ1上の複製ボリュームイメージ作成手段21または複製ボリュームグループに対する複製作成手段23から呼び出されると、一時的にI/Oを抑止して、指定された一つ以上の複製ボリュームに対して、複製ボリュームイメージを作成し(ステップ501)、複製ボリュームグループ世代管理モジュール33により、世代情報(グループ内の世代情報)を更新して(ステップ502)、処理を終了する。
【0028】
図9は、複製ボリュームイメージ削除モジュール32の処理を示す。複製ボリュームイメージ削除モジュール32は、業務サーバ上の複製ボリューム削除手段22または複製ボリュームグループに対する複製削除手段24から呼び出されると、複製ボリュームイメージ削除処理を行い(ステップ601)、複製ボリュームグループ世代管理モジュール33により、世代情報を更新して(ステップ602)、処理を終了する。
【0029】
図10は、複製ボリュームグループ世代管理モジュール33の処理を示す。複製ボリュームグループ世代管理モジュール33は、業務サーバ1上の複製ボリュームイメージ作成手段21、複製ボリュームイメージ削除手段22、複製ボリュームグループに対する複製作成手段23、複製ボリュームグループに対する複製削除手段24、ファーウェア3の複製ボリュームイメージ作成モジュール31、又は、複製ボリュームイメージ削除モジュール32から呼び出されると、情報取得要求か否かを判断する(ステップ701)。情報取得要求である場合には、要求された情報を取り出し、これを送付して(ステップ702)、処理を終了する。ステップ701で、情報取得要求ではない場合には、世代管理テーブル(表1)の更新処理を行い(ステップ703)、処理を終了する。
【0030】
複製ボリュームグループ世代管理テーブル34は、ある時点における図1のディスクアレイ装置2のストレージボリューム情報の記述である。表1〜表3は、それぞれ特定の段階における各複製ボリュームの世代管理テーブルを示すものである。複製ボリュームは、図1に示すとおり三つのグループに分けてある。各表に示すように、世代管理テーブルには、業務ボリューム名と、グループ番号と、複製ボリューム名と、世代情報(グループ内世代情報)と、リンクボリュームと、グループ共通世代情報とが記録されている。世代情報は、グループ毎に管理しているグループ内の世代情報である。グループ共通世代情報は、複製元の業務ボリューム単位に管理され、全ての複製ボリュームグループに対して業務ボリュームの複製作成指示を実施した場合に、その作成した複製世代に対して共通に割り付けられる。グループ世代に所属するSVの複製データが削除されると、削除されたSVが保持しているグループ共通世代番号を削除する。
【0031】
表1は、ある段階における複製ボリュームグループ世代管理テーブル34を例示する。
【表1】

【0032】
表1の例は、三つのグループ(G1〜G3)に対して、全てグループ世代-1とグループ世代-2とが作成されていることを表す。つまり、各グループは、同じ世代の複製ボリュームを持つ。各グループ(G1〜G3)内の世代番号およびグループ共通世代番号は、その複製ボリュームグループに対する複製の作成と削除に伴い変更される。−1は最新世代であり、−2は1つ前の旧世代になる。NULLは複製ボリュームSVが空き、または、番号として採番されていないことを意味する。
【0033】
表1の状態から、個別書込み処理により、G3グループ(図1の複製ボリュームグループ7)に対して業務ボリュームから複製を作成する場合には、世代番号は表2のように変更される。
【表2】

【0034】
つまり、G3グループ内のSV7ボリュームの世代番号は-2から-3に、SVボリュームの世代番号は−1から−2にそれぞれ更新されるが、SV7、SV8のグループ共通世代番号はそれぞれ-2、−1のままで更新されない。これらは、他のグループの同世代の複製ボリュームのグループ共通世代番号と同じだからである。
【0035】
表2の状態から、更に個別書込み処理により、G3グループ(図1のボリュームグループ7)に対して、業務ボリュームから複製を作成する場合には、世代番号は表3のように変更される。
【表3】

【0036】
表2の状態で、G3グループのSV7ボリュームの世代番号(-3)は最古世代の番号であったため、削除され、そこに最新世代の複製ボリュームが作成される。これに伴い、SV7の世代番号も-3から-1に更新され、SV7が保持していたグループ共通世代番号はNULLになる。これは、グループ7に単独の複製であったことを示す。他のSV8、SV9の複製ボリュームもそれぞれグループ内の世代番号が変更される。SV8のグループ共通世代番号はそのまま保持される。
【0037】
上記のように、一つの業務ボリュームに対して、複製ボリュームをグループに分けて作成し、異なるサーバで利用するシステムにおいて、同一時点で全複製ボリュームグループに複製世代を作成する際には、同じグループ共通世代番号をつけることで、それらの複製ボリューム間でデータの同一性が保証できる。また、同時に作成された複製ボリュームを示す複製ボリュームグループ共通世代番号を装置に記録することより、複製ボリュームグループ間で複製データの同一性を簡単に管理できる。
【0038】
以上、本発明をその好適な実施態様に基づいて説明したが、本発明の複製ボリューム管理システム、ディスクアレイ装置、及び、プログラムは、上記実施態様の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施態様の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。また、本発明の好適な態様として記載した各構成や実施形態で記載した各構成については、本発明の必須の構成と共に用いることが好ましいが、単独であっても有益な効果を奏する構成については、必ずしも本発明の必須の構成として説明した全ての構成と共に用いる必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンピュータシステムのブロック図。
【図2】図1に示した業務サーバの構成を示す機能ブロック図。
【図3】図1に示したディスクアレイ装置内のファームウエアの構成を示すブロック図。
【図4】複製ボリュームイメージ作成手段の処理を示すフローチャート。
【図5】複製ボリュームイメージ削除手段の処理を示すフローチャート。
【図6】複製ボリュームグループに対する複製作成手段の処理を示すフローチャート。
【図7】複製ボリュームグループに対する複製削除手段の処理を示すフローチャート。
【図8】複製ボリュームイメージ作成モジュールの処理を示すフローチャート。
【図9】複製ボリュームイメージ削除モジュールの処理を示すフローチャート。
【図10】複製ボリューム世代管理モジュールの処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0040】
1:業務サーバ
2:ディスクアレイ装置
3:ファームウエア
4:業務ボリューム
5、6、7:複製ボリュームグループ
8、9、10:リンクボリューム
11、12、13:サーバ
21:複製ボリュームイメージ作成手段
22:複製ボリュームイメージ削除手段
23:複製ボリュームグループに対する複製作成手段
24:複製ボリュームグループに対する複製削除手段
31:複製ボリュームイメージ作成モジュール
32:複製ボリュームイメージ削除モジュール
33:複製ボリュームグループ世代管理モジュール
34:複製ボリュームグループ世代管理テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務処理に基づいてデータが更新される業務ボリュームと、該業務ボリュームから複製されて複数のデータ処理装置に入力される複製ボリュームとを記録するコンピュータシステムであって、
前記複数のデータ処理装置に対応して配設される複数の記録領域グループを有するディスク装置であって、各記録領域グループが、それぞれが複製ボリュームを記録する複数の記録領域を有するディスク装置と、
業務ボリュームから一斉に複製した複製ボリュームを前記複数の記録領域グループに対して一斉に書き込む一斉書込み処理と、業務ボリュームから個別に複製した複製ボリュームを前記記録領域グループに個別に書き込む個別書込み処理とを実行する書込み処理手段と、
各複製ボリューム毎にグループ内世代情報とグループ共通世代情報とを記録する世代管理手段であって、前記一斉書込み処理が実行されたときには、書込み処理が実行された当該複製ボリュームにグループ共通世代情報を付与すると共に各複製グループの前記グループ内世代情報を更新し、前記個別書込み処理が実行されたときには、書込み処理が実行された当該複製ボリュームにグループ内世代情報を付与すると共に当該グループ内の複製ボリュームのグループ内世代情報を更新する世代管理手段とを備えることを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項2】
前記世代管理手段は、前記ディスク装置に付属するファームウエアで構成される、請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記書込み処理手段は、新たな複製ボリュームの書込みに際して、前記記録領域グループ内の記録領域に空きがないと、最も古い世代の複製ボリュームが記録された記録領域のデータを前記新たな複製ボリュームで書き換える、請求項1又は2に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
業務処理に基づいてデータが更新される業務ボリュームと、該業務ボリュームから複製されて複数のデータ処理装置に入力される複製ボリュームとを記録するディスクアレイ装置であって、
前記複数のデータ処理装置に対応して配設される複数の記録領域グループを有するディスク本体であって、各記録領域グループが、それぞれが複製ボリュームを記録する複数の記録領域を有するディスク本体と、
業務ボリュームから一斉に複製した複製ボリュームを前記複数の記録領域グループに対して一斉に書き込む一斉書込み処理と、業務ボリュームから個別に複製した複製ボリュームを前記記録領域グループに個別に書き込む個別書込み処理とを実行する書込み処理手段と、
各複製ボリューム毎にグループ内世代情報とグループ共通世代情報とを記録する世代管理手段であって、前記一斉書込み処理が実行されたときには、書込み処理が実行された当該複製ボリュームにグループ共通世代情報を付与すると共に各複製ボリュームの前記グループ内世代情報を更新し、前記個別書込み処理が実行されたときには、書込み処理が実行された当該複製ボリュームにグループ内世代情報を付与すると共に当該グループ内の複製ボリュームのグループ内世代情報を更新する世代管理手段とを備えることを特徴とするディスクアレイ装置。
【請求項5】
前記世代管理手段は、前記ディスク本体に付属するファームウエアで構成される、請求項4に記載のディスクアレイ装置。
【請求項6】
業務処理に基づいてデータが更新される業務ボリュームと、該業務ボリュームから複製されて複数のデータ処理装置に入力される複製ボリュームとを記録するディスクアレイ装置で、前記複製ボリュームの世代を管理する世代情報管理方法であって、
前記ディスクアレイ装置の記録領域を、前記複数のデータ処理装置に対応して配設される複数の記録領域グループであって、各記録領域グループが、それぞれが複製ボリュームを記録する複数の記録領域を有する記録領域グループに区分し、
業務ボリュームから一斉に複製した複製ボリュームを前記複数の記録領域グループに対して一斉に書き込む一斉書込み処理と、業務ボリュームから個別に複製した複製ボリュームを前記記録領域グループに個別に書き込む個別書込み処理とを実行し、
前記一斉書込み処理が実行されたときには、書込み処理が実行された当該複製ボリュームにグループ共通世代情報を付与すると共に各複製ボリュームのグループ内世代情報を更新し、前記個別書込み処理が実行されたときには、書込み処理が実行された当該複製ボリュームにグループ内世代情報を付与すると共に当該グループ内の複製ボリュームのグループ内世代情報を更新することを特徴とする世代情報管理方法。
【請求項7】
業務処理に基づいてデータが更新される業務ボリュームと、該業務ボリュームから複製されて複数のデータ処理装置に入力される複製ボリュームとを記録するディスクアレイ装置で、前記複製ボリュームの世代を管理するコンピュータのためのプログラムであって、前記コンピュータに、
前記ディスクアレイ装置の記録領域を、前記複数のデータ処理装置に対応して配設される複数の記録領域グループであって、各記録領域グループが、それぞれが複製ボリュームを記録する複数の記録領域に区分する処理と、
業務ボリュームから一斉に複製した複製ボリュームを前記複数の記録領域グループに対して一斉に書き込む一斉書込み処理と、業務ボリュームから個別に複製した複製ボリュームを前記記録領域グループに個別に書き込む個別書込み処理とを実行する処理と、
前記一斉書込み処理が実行されたときには、書込み処理が実行された当該複製ボリュームにグループ共通世代情報を付与すると共に各複製ボリュームのグループ内世代情報を更新し、前記個別書込み処理が実行されたときには、書込み処理が実行された当該複製ボリュームにグループ内世代情報を付与すると共に当該グループ内の複製ボリュームのグループ内世代情報を更新する処理とを実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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