説明

コンピュータシステム、ネットワークブートシステム、OSイメージ切替方法、OSイメージ切替プログラム

【課題】複数OSのイメージの保持機能と容量効率性を両立するとともに、OSのバージョンアップに要する時間の短縮や確実な従来OSイメージの保持をも行うことができるOSイメージ切替方法等を提供すること
【解決手段】コンピュータシステム10は、最新OSイメージ3を生成し外部記憶装置に書き込むOSイメージ更新手段1と、OSイメージ更新手段の作動に先立ってスナップショットOSイメージ4を生成し外部記憶装置に書き込むスナップショット生成手段5と、最新OSイメージとスナップショットOSイメージの中から一つをブートOSイメージとして選択するブートイメージ選択手段5と、ブートOSイメージを外部記憶装置から読み出して主記憶装置に書き込むブート手段6とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバージョンのオペレーティングシステム(以下、「OS」という)を保持しその中から選択したものを用いコンピュータを起動する技術に関し、特に複数OSのイメージの保持機能と容量効率性を両立するOS切り替え技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンピュータシステムが起動に要するOSイメージを構成するファイル群等を複数バージョン備えるには大別して次の2つの方式がある。
ひとつは複数のファイル群のセットを抱える方法であり、この方法では相互に整合性を保ったファイル群が特定のディレクトリ化もしくは名前付けルールのもとに集められ、起動時の指定等によりファイル群を切り替えることにより、起動するOSイメージを変更することができる。
【0003】
もうひとつの方式は通常起動するOSイメージを通常ファイルイメージとして持ち、そのほかのバージョンのOSイメージは現バージョンとの差分のあるファイルをアーカイブとして保持する方式である。主に、OSの更新を行った際に不具合があった場合などに以前のバージョンのOSイメージに戻せるようにするなどの目的で用いられる。
この方式のもとでは通常起動するOSバージョン以外のOSイメージを起動するためには差分ファイルアーカイブからの復元を要する。
【0004】
このような方式の一例が、特許文献1に記載されている。
この文献に記載のソフトウェアインストール方法では、次の手順で、コンピュータに格納された第1のソフトウェアを実行可能に保持しつつ、第1のソフトウェアをバージョンアップした第2のソフトウェアをコンピュータにインストールする。
まず、第2のソフトウェアを構成する各ファイルについて、第1のソフトウェアの各ファイルと同一か異なるかを判断する。そして同一である場合には、同一と判断された第1のソフトウェアのファイルを第2のソフトウェアのファイルとして利用できるようにリンク付けを行う。一方異なる場合には、異なると判断された第2のソフトウェアのファイルをインストールする。
【0005】
【特許文献1】特開2004−206353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前者のファイル群を複数持つ方式は、切り替えが容易であるものの、容量効率の面において非常に悪い。特にOSの場合、部分的な修正・更新を行ってもその他の大部分の変更されていない部分について複数のコピーを持つのは無駄が大きい。
後者の方式は容量効率は改善されるものの、起動OSイメージの切り替えにはアーカイブからの復旧を要するのに加え、複数バージョンのOSの保持を行うとアーカイブの内容の整合性保持が著しく困難になるという欠点もある。
【0007】
本発明は上記のような状況に対して、複数OSのイメージの保持機能と容量効率性を両立するとともに、OSのバージョンアップに要する時間の短縮や確実な従来OSイメージの保持をも行うことができるOSイメージ切替方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の、コンピュータシステムは、オペレーティングシステムのイメージであるOSイメージを更新して最新OSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むOSイメージ更新手段と、OSイメージ更新手段の作動に先立って更新前のOSイメージのスナップショットであるスナップショットOSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むスナップショット生成手段と、最新OSイメージとスナップショットOSイメージの中から一つをブートOSイメージとして選択するブートイメージ選択手段と、ブートOSイメージを外部記憶装置から読み出して主記憶装置に書き込むブート手段とを備えている(請求項1ないし請求項3)。
【0009】
上記コンピュータシステムによれば、最新OSイメージの更新に先立ってその時点の最新OSイメージのスナップショットであるスナップショットOSを生成して、外部記憶装置に格納する。コンピュータシステムの起動時には、ブートOSイメージを選択して、OSを起動する。
そのため、複数OSのイメージの保持機能と容量効率性を両立するとともに、OSのバージョンアップに要する時間を短縮し、更新前のOSイメージを確実に保持することができる。
【0010】
上記コンピュータシステムにおいて、スナップショット生成手段は、ファイル単位でスナップショットOSイメージを生成し、ブートイメージ選択手段は、ブートOSイメージの外部記憶装置における参照開始位置をブート手段に通知するようにしてもよい(請求項2)。
【0011】
上記コンピュータシステムにおいて、スナップショット生成手段は、デバイス単位でスナップショットOSイメージを生成し、ブートイメージ選択手段は、ブートOSイメージが書き込まれているデバイスを特定する情報をブート手段に通知するようにしてもよい(請求項3)。
【0012】
本発明のネットワークブートシステムは、ブートサーバとクライアントにより構成される。
ブートサーバは、OSイメージを更新して最新OSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むOSイメージ更新手段と、OSイメージ更新手段の作動に先立って更新前のOSイメージのスナップショットであるスナップショットOSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むスナップショット生成手段と、クライアントにより指定された最新OSイメージまたはスナップショットOSイメージであるブートOSイメージをクライアントに送信するブートOSイメージ送信手段とを備えている。
クライアントは、最新OSイメージとスナップショットOSイメージの中から一つをブートOSイメージとして選択し、ブートOSイメージを特定する情報を含むOSイメージ送信要求をブートサーバに送信するブートイメージ選択手段と、OSイメージ送信要求に応じてブートサーバから送信されたブートOSイメージを受信して主記憶装置に書き込むブート手段とを備えている(請求項4)。
【0013】
上記ネットワークブートシステムによれば、ブートイメージ選択手段は、クライアントで動作し、OSイメージを保持するブートブートサーバは、クライアントのブートイメージ選択手段に対して複数のバージョンのOSイメージを提供することができる。
そのため、クライアントごとに異なる設定情報を含むOSイメージを生成する手間やそれらの格納コストなどを大きく削減することができる。
【0014】
本発明の、OSイメージ切替方法では、オペレーティングシステムのイメージであるOSイメージのスナップショットであるスナップショットOSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むスナップショット生成工程と、OSイメージを更新して最新OSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むOSイメージ更新工程と、最新OSイメージとスナップショットOSイメージの中から一つをブートOSイメージとして選択するブートイメージ選択工程と、ブートOSイメージを外部記憶装置から読み出して主記憶装置に書き込むブート工程とによりコンピュータの起動に使用するOSイメージを切り替える(請求項5ないし請求項7)。
【0015】
上記OSイメージ切替方法によれば、最新OSイメージの更新に先立ってその時点の最新OSイメージのスナップショットであるスナップショットOSを生成して、外部記憶装置に格納する。コンピュータシステムの起動時には、ブートOSイメージを選択して、OSを起動する。
そのため、複数OSのイメージの保持機能と容量効率性を両立するとともに、OSのバージョンアップに要する時間を短縮し、更新前のOSイメージを確実に保持することができる。
【0016】
上記OSイメージ切替方法において、スナップショット生成工程では、ファイル単位でスナップショットOSイメージを生成し、ブートイメージ選択工程では、ブートOSイメージの外部記憶装置における参照開始位置を取得し、ブート工程では参照開始位置に従ってブートOSイメージを読み出すようにしても良い(請求項6)。
【0017】
上記OSイメージ切替方法において、スナップショット生成工程では、デバイス単位でスナップショットOSイメージを生成し、ブートイメージ選択工程では、ブートOSイメージが書き込まれているデバイスを特定する起動デバイス特定情報を取得し、ブート工程では起動デバイス特定情報に示されるデバイスからブートOSイメージを読み出すようにしても良い(請求項7)。
【0018】
本発明の、ネットワークブート方法は、ブートサーバが、オペレーティングシステムのイメージであるOSイメージのスナップショットであるスナップショットOSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むスナップショット生成工程と、ブートサーバが、OSイメージを更新して最新OSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むOSイメージ更新工程と、クライアントが、最新OSイメージとスナップショットOSイメージの中から一つをブートOSイメージとして選択するブートイメージ選択工程と、クライアントが、ブートOSイメージを特定する情報を含むOSイメージ送信要求をブートサーバに送信する送信要求工程と、ブートサーバが、OSイメージ送信要求に応じてブートOSイメージをクライアントに送信するブートOSイメージ送信工程と、クライアントが、ブートサーバから送信されたブートOSイメージを受信して主記憶装置に書き込むブート工程とによりクライアントの起動を行う(請求項8)。
【0019】
上記ネットワークブート方法によれば、ブートイメージの選択はクライアントで行い、OSイメージを保持するブートブートサーバは、クライアントに対して複数のバージョンのOSイメージを提供することができる。
そのため、クライアントごとに異なる設定情報を含むOSイメージを生成する手間やそれらの格納コストなどを大きく削減することができる。
【0020】
本発明のOSイメージ切替プログラムは、コンピュータに、オペレーティングシステムのイメージであるOSイメージのスナップショットであるスナップショットOSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むスナップショット生成処理と、OSイメージを更新して最新OSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むOSイメージ更新処理と、最新OSイメージとスナップショットOSイメージの中から一つをブートOSイメージとして選択するブートイメージ選択処理と、ブートOSイメージを外部記憶装置から読み出して主記憶装置に書き込むブート処理とを実行させる(請求項9ないし請求項11)。
【0021】
上記OSイメージ切替プログラムによれば、最新OSイメージの更新に先立ってその時点の最新OSイメージのスナップショットであるスナップショットOSを生成して、外部記憶装置に格納する。コンピュータの起動時には、ブートOSイメージを選択して、OSを起動する。
そのため、複数OSのイメージの保持機能と容量効率性を両立するとともに、OSのバージョンアップに要する時間を短縮し、更新前のOSイメージを確実に保持することができる。
【0022】
上記OSイメージ切替プログラムにおいて、スナップショット生成処理では、ファイル単位でスナップショットOSイメージを生成し、ブートイメージ選択処理では、ブートOSイメージの外部記憶装置における参照開始位置を取得し、ブート処理では参照開始位置に従ってブートOSイメージを読み出すようにしても良い(請求項10)。
【0023】
上記OSイメージ切替プログラムにおいて、スナップショット生成処理では、デバイス単位でスナップショットOSイメージを生成し、ブートイメージ選択処理では、ブートOSイメージが書き込まれているデバイスを特定する起動デバイス特定情報を取得し、ブート処理では起動デバイス特定情報に示されるデバイスからブートOSイメージを読み出すようにしても良い(請求項11)。
【0024】
本発明のネットワークブートプログラムは、ブートサーバに、OSイメージのスナップショットであるスナップショットOSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むスナップショット生成処理と、OSイメージを更新して最新OSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むOSイメージ更新処理と、クライアントにより指定された最新OSイメージまたはスナップショットOSイメージであるブートOSイメージをクライアントに送信するブートOSイメージ送信処理とを実行させ、クライアントに、最新OSイメージとスナップショットOSイメージの中から一つをブートOSイメージとして選択するブートイメージ選択処理と、ブートOSイメージを特定する情報を含むOSイメージ送信要求をブートサーバに送信し、このOSイメージ送信要求に応じてブートサーバから送信されたブートOSイメージを受信して主記憶装置に書き込むブート処理とを実行させる(請求項12)。
【0025】
上記ネットワークブートプログラムによれば、ブートイメージの選択はクライアントで行い、OSイメージを保持するブートブートサーバは、クライアントに対して複数のバージョンのOSイメージを提供することができる。
そのため、クライアントごとに異なる設定情報を含むOSイメージを生成する手間やそれらの格納コストなどを大きく削減することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、最新OSイメージの更新に先立ってその時点の最新OSイメージのスナップショットであるスナップショットOSを生成して、外部記憶装置に格納する。コンピュータの起動時には、ブートOSイメージを選択して、OSを起動する。
そのため、複数OSのイメージの保持機能と容量効率性を両立するとともに、OSのバージョンアップに要する時間を短縮し、更新前のOSイメージを確実に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図を参照しながら本発明の第1の実施形態であるコンピュータシステム10の構成と動作について説明する。
図1は、コンピュータシステム10の機能ブロック図である。
コンピュータ10は、機能ブロックとして、OSイメージ更新手段1と、ファイルシステム2と、ブート手段6と、ブートイメージ選択手段7とを備えている。ファイルシステム2は、スナップショット生成手段5、最新OSイメージ3、スナップショットOSイメージ4とにより構成されている。
また、コンピュータシステム10は、ハードウェアとして、CPU(Central Processing Unit)、外部記憶装置、主記憶装置、入出力装置を備えている。
【0028】
OSイメージ更新手段1は、ハードディスク装置等の外部記憶装置に記憶されているOSイメージを更新して最新OSイメージ3を生成し外部記憶装置に書き込む。OSイメージ更新手段1は、不具合の修正や機能強化などの理由により、OSイメージを更新する必要が生じた場合、コンピュータシステム10の使用者の指示またはOSの自動更新プログラムにより起動され、一般的にはOSイメージを構成するファイルの置換などを行う。
【0029】
ファイルシステム2はコンピュータシステム10の起動に必要なファイル等から構成されるOSイメージを複数保持している。具体的には、OSイメージ更新手段により生成された最新OSイメージ3と、スナップショット生成手段5により生成された1または2以上のスナップショットOSイメージ4を保持している。
【0030】
スナップショット生成手段5は、OSイメージ更新手段1の作動に先立って、その時点の最新OSイメージ3のスナップショットであるスナップショットOSイメージ4を生成し、ハードディスク装置等の外部記憶装置に書き込む。スナップショットの作成は、OSイメージ更新手段1が作動する都度行われ、スナップショットOSイメージ4は、複数のバージョンが保持されている。
ファイルシステム2が提供するスナップショット機能を用いると、スナップショットを採取した時点以降に最新OSイメージ3が更新されても、コンピュータシステム10で動作するソフトウェアは、スナップショット採取時点の最新OSイメージを参照することができる。
コンピュータシステム10においては、OSイメージを構成するファイルの置換に伴いシステムに不具合が発生した場合でも、後述するブートイメージ選択手段7により、置換前のスナップショットOSイメージ4を選択して起動することができる。
【0031】
スナップショット機能の具体的な実装方式や参照方式は本発明においては本質的ではない。
しかし、以降の説明を簡明にするため、スナップショットはファイルシステム単位でとられ、最新部分(最新OSイメージ3)とスナップショット部分(スナップショットOSイメージ4)との間で異なっている部分のみが個別に保持され、最新部分とスナップショットとで共通の部分については、同一の格納部分を共有する、コピーオンライト方式をとっており、また、参照においては、階層化ディレクトリシステムにおいてスナップショットを特定する名称のディレクトリの下に、スナップショット採取時のファイルシステムイメージが見える方式であるとする。
【0032】
ブート手段6は、コンピュータシステム10の電源が投入されたとき、または、リセット信号を受信したときに作動し、OSイメージを外部記憶装置から読み出して、RAM等の主記憶装置に書き込む(ロードする)。主記憶装置に書き込むOSイメージは、ブートイメージ選択手段7から通知される。
【0033】
ブートイメージ選択手段7は、ブート手段6により呼び出されたときに作動し、外部記憶装置に格納されている最新OSイメージ3とスナップショットOSイメージ4の中から起動に使用するもの(ブートOSイメージ)を選択する。
この選択は、例えば、選択可能なOSイメージの一覧と選択のためのインターフェースをディスプレイ装置に表示し、コンピュータシステム10の使用者の入力に従って選択する。また、通常は最新OSイメージ3を選択するようにし、例えば、キーボードの特定のキーを押しながら電源を投入する等の予め定めた特別な起動操作を使用者が行った場合に、選択を促す画面を出力するようにしてもよい。
先に例示したスナップショット参照方式を採用している場合、スナップショットOSイメージ4と最新OSイメージ3は、ファイルシステム2内での参照開始ディレクトリ位置のみが異なるだけで論理的には同じ構造をしている。
したがって、ブートイメージ選択手段7はこの場合、ブートOSイメージの参照開始位置をブート手段6へ通知し、ブート手段6はこの通知にしたがって起動処理を開始する。
【0034】
次に、コンピュータシステム10の動作について説明する。
図2(a)は、コンピュータシステム10の最新OSイメージ3の更新動作を説明するフローチャートである。
まず、スナップショット生成手段5が、その時点の最新OSイメージ3のスナップショットを作成し、スナップショットOSイメージ4として外部記憶装置に書き込む(S101)。
次に、OSイメージ更新手段1が最新OSイメージ3を構成するファイルを置き換える等して、最新OSイメージ3を更新する。
【0035】
図2(b)は、コンピュータシステム10の起動時の動作を説明するフローチャートである。
コンピュータシステム10の電源が投入されると(S111)、ブート手段6はブートイメージ選択手段7を呼び出し、ブートイメージ選択手段7は、最新OSイメージ3とスナップショットOSイメージ4の中からブートOSイメージを選択する(S112)。
ブートイメージ選択手段7は、選択したブートOSイメージの参照開始位置をブート手段6に通知する(S113)。
ブート手段6は、S113で通知された参照開始位置をベースとして、ブートOSイメージを外部記憶装置から読み出して主記憶装置に書き込む。コンピュータシステム10のCPUは、主記憶装置に書き込まれたOSイメージに含まれるプログラムを実行してOSを起動する(S114)。
【0036】
ここまでの説明においてはスナップショット作成方式にファイルシステム単位などの前提をおいたが、スナップショットの参照が可能であれば、スナップショット実現方式は本発明において本質的ではなく、たとえば、デバイス単位のスナップショットを備えるストレージ装置においては、最新OSイメージ3とスナップショットOSイメージ4が別デバイスに見えるような形態でも本発明は同様に適用可能である。この場合、ブートイメージ選択手段7は起動デバイスを選択することになる。
つまり、ファイルシステムレベルのスナップショットを備える環境でもブロックデバイスレベルでのスナップショットを備える環境でも本発明は同様に適用可能である。
【0037】
次に、コンピュータシステム10の効果について説明する。
第1の効果は、複数バージョンのOSイメージ等の保持に必要な実容量の効率化である。
その理由は、ファイルシステム2が備えるスナップショット機能の複数スナップショット保持に関する効率化機能をそのまま流用できるためである。
第2の効果は、複数のバージョンのOSイメージを、整合性をほぼ完全に保ったまま保持し、かつ高速なイメージ更新が可能であることである。
その理由は、ススナップショット生成手段5は、ナップショット機能により迅速にスナップショットOSイメージ4を生成し、また、ファイルシステム2は、複数のバージョンのスナップショットOSイメージを整合性を保ちながら維持することができるからである。
以上のようにコンピュータシステム10によれば、既存のブートイメージ選択手段などの技術を流用しつつも、これまでの複数バージョンのOSイメージ保持手段の欠点を補い、かつ、容量効率、運用性の両面で向上を図ることができる。
【0038】
また、本発明は単一コンピュータのブートイメージ保持方式にとどまらず、ブートサーバ上での複数バージョンのOSイメージを保持し、複数のコンピュータに対してネットワーク経由でブートするイメージを提供する方式にも適用できる。
図3に、このような実施形態の一例であるネットワークブートシステム20の機能ブロック図を示す。
ネットワークブートシステム20は、OSイメージを保持するブートサーバ21と、ブートサーバ21にLAN(Local Area Network)等のネットワークにより接続された複数のクライアント22により構成される。
クライアント22は、起動時にブートサーバ21にOSイメージの送信を要求し、この要求に応じて送信されたOSイメージを使用してOSを起動する。
【0039】
ブートサーバ21は、CPU、主記憶装置、外部記憶装置、通信装置を備えたサーバコンピュータで、第1の実施形態で説明したものと同様の機能を持つOSイメージ更新手段1、ファイルシステム2、スナップショット生成手段4を備え、ファイルシステム2には、最新OSイメージ3とスナップショットOSイメージ4が記憶されている。最新OSイメージ3とスナップショットOSイメージ4は、クライアント毎またはクライアントのグループ毎に複数記憶されている。また、ブートサーバ21は、これらの構成要素に加えて、ブートOSイメージ送信手段23を備えている。
ブートOSイメージ送信手段23は、クライアント22により指定された最新OSイメージまたはスナップショットOSイメージ(ブートOSイメージ)を、クライアント22に送信する。
【0040】
クライアント22は、CPU、主記憶装置、外部記憶装置、通信装置を備えたパーソナルコンピュータで、第1の実施形態で説明したものと同様の機能を持つブート手段6とブートイメージ選択手段7を備えている。ただし、ブートイメージ選択手段7は、選択したブートOSイメージをブート手段6に通知する代わりに、ブートOSイメージを特定する情報、例えばバージョン番号やスナップショット作成日付等を含むブートOSイメージ送信要求をブートサーバ21に送信する。また、ブート手段6は、ブートサーバ21から受信したブートOSイメージを主記憶装置に書き込む。
【0041】
図4は、ネットワークブートシステム20の起動時の動作を説明するフローチャートである。なお、ブートサーバ21の最新OSイメージ更新の動作は、図2(a)に示したものと同様である。
クライアント22の電源が投入されると(S201)、ブート手段6はブートイメージ選択手段7を呼び出し、ブートイメージ選択手段7は、ブートサーバ21が保持している最新OSイメージ3とスナップショットOSイメージ4の中からブートOSイメージを選択する(S202)。
ブートイメージ選択手段7は、選択したブートOSイメージを特定する情報を含むブートOSイメージ送信要求をブートサーバ21に送信する(S203)。
この要求を受信したブートサーバ21のブートOSイメージ送信手段23は、ブートOSイメージを外部記憶装置から読み出してクライアント21に送信する(S204)。
クライアント22のブート手段6は、受信したブートOSイメージを主記憶装置に書き込む。クライアント22のCPUは、主記憶装置に書き込まれたOSイメージに含まれるプログラムを実行してOSを起動する(S205)。
【0042】
このように、ネットワークブートシステム20によれば、ブートイメージ選択手段7は、クライアント22で動作し、ファイルシステム2を抱えるブートサーバ21は、本発明に基づく方式を用いて、クライアント22のブートイメージ選択手段7に対して複数のバージョンのOSイメージを提供することができる。
この場合、クライアントごとに異なる設定情報を含むOSイメージを生成する手間やそれらの格納コストなどを大きく削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施形態であるコンピュータシステムの機能ブロック図である。
【図2】図2(a)は、コンピュータシステムの最新OSイメージの更新動作を説明するフローチャートである。図2(b)は、コンピュータシステムの起動時の動作を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態であるネットワークブートシステムの機能ブロック図である。
【図4】図3のネットワークブートシステムの起動時の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1 OSイメージ更新手段
2 ファイルシステム
3 最新OSイメージ
4 スナップショットOSイメージ
5 スナップショット生成手段
6 ブート手段
7 ブートイメージ選択手段
10 コンピュータシステム
20 ネットワークブートシステム
21 ブートサーバ
22 クライアント
23 ブートOSイメージ送信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレーティングシステムのイメージであるOSイメージを更新して最新OSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むOSイメージ更新手段と、
前記OSイメージ更新手段の作動に先立って更新前の前記OSイメージのスナップショットであるスナップショットOSイメージを生成し前記外部記憶装置に書き込むスナップショット生成手段と、
前記最新OSイメージと前記スナップショットOSイメージの中から一つをブートOSイメージとして選択するブートイメージ選択手段と、
前記ブートOSイメージを前記外部記憶装置から読み出して主記憶装置に書き込むブート手段と、を備えたことを特徴としたコンピュータシステム。
【請求項2】
前記スナップショット生成手段は、ファイル単位で前記スナップショットOSイメージを生成し、前記ブートイメージ選択手段は、前記ブートOSイメージの前記外部記憶装置における参照開始位置を前記ブート手段に通知することを特徴とした請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
前記スナップショット生成手段は、デバイス単位で前記スナップショットOSイメージを生成し、前記ブートイメージ選択手段は、前記ブートOSイメージが書き込まれている前記デバイスを特定する情報を前記ブート手段に通知することを特徴とした請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項4】
ブートサーバに記憶されオペレーティングシステムのイメージであるOSイメージを使用して前記ブートサーバにネットワーク接続されたクライアントを起動するネットワークブートシステムにおいて、
前記ブートサーバは、
前記OSイメージを更新して最新OSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むOSイメージ更新手段と、
前記OSイメージ更新手段の作動に先立って更新前の前記OSイメージのスナップショットであるスナップショットOSイメージを生成し前記外部記憶装置に書き込むスナップショット生成手段と、
前記クライアントにより指定された前記最新OSイメージまたは前記スナップショットOSイメージであるブートOSイメージを前記クライアントに送信するブートOSイメージ送信手段とを備え、
前記クライアントは、
前記最新OSイメージと前記スナップショットOSイメージの中から一つを前記ブートOSイメージとして選択し、前記ブートOSイメージを特定する情報を含むOSイメージ送信要求を前記ブートサーバに送信するブートイメージ選択手段と、
前記OSイメージ送信要求に応じて前記ブートサーバから送信された前記ブートOSイメージを受信して主記憶装置に書き込むブート手段とを備えたことを特徴としたネットワークブートシステム。
【請求項5】
コンピュータの起動に用いるOSイメージを切り替える方法において、
オペレーティングシステムのイメージであるOSイメージのスナップショットであるスナップショットOSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むスナップショット生成工程と、
前記OSイメージを更新して最新OSイメージを生成し前記外部記憶装置に書き込むOSイメージ更新工程と、
前記最新OSイメージと前記スナップショットOSイメージの中から一つをブートOSイメージとして選択するブートイメージ選択工程と、
前記ブートOSイメージを前記外部記憶装置から読み出して主記憶装置に書き込むブート工程と、を備えたことを特徴としたOSイメージ切替方法。
【請求項6】
前記スナップショット生成工程では、ファイル単位で前記スナップショットOSイメージを生成し、前記ブートイメージ選択工程では、前記ブートOSイメージの前記外部記憶装置における参照開始位置を取得し、前記ブート工程では前記参照開始位置に従って前記ブートOSイメージを読み出すことを特徴とした請求項5に記載のOSイメージ切替方法。
【請求項7】
前記スナップショット生成工程では、デバイス単位で前記スナップショットOSイメージを生成し、前記ブートイメージ選択工程では、前記ブートOSイメージが書き込まれている前記デバイスを特定する起動デバイス特定情報を取得し、前記ブート工程では前記起動デバイス特定情報に示されるデバイスから前記ブートOSイメージを読み出すことを特徴とした請求項5に記載のOSイメージ切替方法。
【請求項8】
ブートサーバに記憶されオペレーティングシステムのイメージであるOSイメージを使用して前記ブートサーバにネットワーク接続されたクライアントを起動するネットワークブート方法において、
前記ブートサーバが、オペレーティングシステムのイメージであるOSイメージのスナップショットであるスナップショットOSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むスナップショット生成工程と、
前記ブートサーバが、前記OSイメージを更新して最新OSイメージを生成し前記外部記憶装置に書き込むOSイメージ更新工程と、
前記クライアントが、前記最新OSイメージと前記スナップショットOSイメージの中から一つを前記ブートOSイメージとして選択するブートイメージ選択工程と、
前記クライアントが、前記ブートOSイメージを特定する情報を含むOSイメージ送信要求を前記ブートサーバに送信する送信要求工程と、
前記ブートサーバが、前記OSイメージ送信要求に応じて前記ブートOSイメージを前記クライアントに送信するブートOSイメージ送信工程と、
前記クライアントが、前記ブートサーバから送信された前記ブートOSイメージを受信して主記憶装置に書き込むブート工程とを備えたことを特徴としたネットワークブート方法。
【請求項9】
コンピュータに、
オペレーティングシステムのイメージであるOSイメージのスナップショットであるスナップショットOSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むスナップショット生成処理と、
前記OSイメージを更新して最新OSイメージを生成し前記記憶装置に書き込むOSイメージ更新処理と、
前記最新OSイメージと前記スナップショットOSイメージの中から一つをブートOSイメージとして選択するブートイメージ選択処理と、
前記ブートOSイメージを前記外部記憶装置から読み出して主記憶装置に書き込むブート処理とを実行させることを特徴としたOSイメージ切替プログラム。
【請求項10】
前記スナップショット生成処理では、ファイル単位で前記スナップショットOSイメージを生成し、前記ブートイメージ選択処理では、前記ブートOSイメージの前記外部記憶装置における参照開始位置を取得し、前記ブート処理では前記参照開始位置に従って前記ブートOSイメージを読み出すことを特徴とした請求項9に記載のOSイメージ切替プログラム。
【請求項11】
前記スナップショット生成処理では、デバイス単位で前記スナップショットOSイメージを生成し、前記ブートイメージ選択処理では、前記ブートOSイメージが書き込まれている前記デバイスを特定する起動デバイス特定情報を取得し、前記ブート処理では前記起動デバイス特定情報に示されるデバイスから前記ブートOSイメージを読み出すことを特徴とした請求項9に記載のOSイメージ切替プログラム。
【請求項12】
ブートサーバに記憶されオペレーティングシステムのイメージであるOSイメージを使用して前記ブートサーバにネットワーク接続されたクライアントを起動するネットワークブートプログラムにおいて、
前記ブートサーバに、
前記OSイメージのスナップショットであるスナップショットOSイメージを生成し外部記憶装置に書き込むスナップショット生成処理と、
前記OSイメージを更新して最新OSイメージを生成し前記外部記憶装置に書き込むOSイメージ更新処理と、
前記クライアントにより指定された前記最新OSイメージまたは前記スナップショットOSイメージであるブートOSイメージを前記クライアントに送信するブートOSイメージ送信処理とを実行させ、
前記クライアントに、
前記最新OSイメージと前記スナップショットOSイメージの中から一つを前記ブートOSイメージとして選択するブートイメージ選択処理と、
前記ブートOSイメージを特定する情報を含むOSイメージ送信要求を前記ブートサーバに送信し、このOSイメージ送信要求に応じて前記ブートサーバから送信された前記ブートOSイメージを受信して主記憶装置に書き込むブート処理とを実行させることを特徴としたネットワークブートプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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