説明

コンピュータ装置

【課題】CD32、FD34、USBメモリ36に対するデータの処理そのものを制限できるパソコン1を提供し、セキュリティレベルを向上させる。
【解決手段】入力を受け付けるマウスおよびキーボードと、画像を表示するモニタと、持ち運び可能なCD32、FD34、USBメモリ36に記憶のデータを処理するCDドライブ12、FDドライブ14、USB端子16と、これらを制御する制御部11とを備えたパソコン1に、前記CDドライブ12、FDドライブ14、USB端子16に、前記CD32、FD34、USBメモリ36に取り付けられたRFIDタグ33,35,37からタグデータを読み取るタグリーダ13,15,17を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばデスクトップ型コンピュータやノート型コンピュータなど、データを用いた情報処理に供されるようなコンピュータ装置に関し、特に外部記憶媒体に対するデータ処理を実行可能なコンピュータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ装置が用いられており、このコンピュータ装置には、USBメモリやフレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、MOといった各種の外部記憶媒体に対してデータを読み書きする各種ドライブが設けられている。
【0003】
この各種ドライブにより、外部記憶媒体にデータを書き込み他のコンピュータ装置へデータをコピーする、あるいは外部記憶媒体からコンピュータ装置にデータを取り込むといったことができる。
【0004】
近年では、個人情報保護法が施行されたこともあり、データの保護が重要視されている。そして、このデータを保護する方法として、不正コピーを防止する種々の方法が提案されている。
【0005】
例えば、外部記憶媒体とセットとなる認証キーを記憶した認証媒体を使用し、該認証媒体から認証キーをインストールしたコンピュータ装置でなければ外部記憶媒体に記憶されているデータを閲覧できない媒体コピープロテクト方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、利用者が使用するコンピュータ装置のドライブIDとシリアル番号を予め聞いて外部記憶媒体または別途の媒体に記憶しておき、このドライブIDとシリアル番号とを照合して不正コピーを防止する方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0007】
しかし、これらの方法では、不正コピーによってデータが記憶された外部記憶媒体からコンピュータ装置がデータを読み取ることを防止できても、外部記憶媒体にデータをコピーすること自体を防止できるものではなかった。このため、データを不正にコピーした外部記憶媒体に対して不正にアクセスされると、データが読み取られる可能性があるという問題点が残っていた。
【0008】
【特許文献1】特開2002−42363号公報
【特許文献2】特開2001−195308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、上述の問題に鑑み、外部記憶媒体に対するデータの処理そのものを制限できるコンピュータ装置を提供し、セキュリティレベルを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、入力を受け付ける入力手段と、画像を表示する表示手段と、持ち運び可能な外部記憶媒体に記憶のデータを処理するデータ処理手段と、これらを制御する制御手段とを備えたコンピュータ装置であって、前記データ処理手段に、前記外部記憶媒体に取り付けられた非接触ICタグからタグデータを読み取るタグリーダ部を備えたコンピュータ装置であることを特徴とする。
【0011】
好ましい形態として、前記制御手段は、前記データ処理手段にセットされた外部記憶媒体の非接触ICタグから前記タグリーダ部によってタグデータを読み取るタグデータ読取処理と、読み取ったタグデータに基づいて前記外部記憶媒体が正規の外部記憶媒体であるか否か判定する判定処理と、正規であると判定した場合に前記データ処理手段による前記外部記憶媒体とのデータ処理を許可し、正規でないと判定した場合に前記データ処理手段による前記外部記憶媒体とのデータ処理を拒否するデータ処理制限処理とを実行する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明により、外部記憶媒体に対するデータの処理そのものを制限できるコンピュータ装置を提供し、セキュリティレベルを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1はパソコン1の概略構成を示す斜視図であり、図2はパソコン1のブロック図である。
【0014】
パソコン1は、本体10と、図示省略する入力手段としてのマウスおよびキーボード、および表示手段としてのモニタによって構成されている。
前記本体10は、ベース筐体10aとカバー筐体10bとで構成されており、その内に、マザーボードで構成される制御部11、CDドライブ12、FDドライブ14、USB端子16、キーボード接続端子21、マウス接続端子22、モニタ接続端子23、電源部24、ハードディスク25、およびPCIカード27が設けられている。
【0015】
制御部11は、CPU、ROM、およびRAMと配線基板等で構成されており、CPUがROMに記憶された起動プログラムによって起動し、ハードディスク25に記憶されたOS(オペレーティングシステム)およびアプリケーションプログラムを実行し、RAMを一時領域として各種動作を実行する。
【0016】
CDドライブ12は、制御部11の制御信号に従って、CD(コンパクトディスク)32に記憶されているデータ(純粋データだけでなくプログラムも含む)を読み込み、該データを制御部11に渡す。また、CDドライブ12にはタグリーダ13が設けられており、該タグリーダ13がCD32に取り付けられたRFIDタグ33から読み取ったタグデータも制御部11に渡す。
【0017】
このタグリーダ13は、CD32がセットされるトレイ12aの近傍に備えられており、好ましくはトレイ12aを閉状態としてCD32を内部に取り込んだ状態で該CD32の中心を保持して回転させる回転駆動部(図示省略)の近傍に備えられている。また、円盤形のCD32には、中心近傍にRFIDタグ33が備えられている。従って、回転するCD32がどの位置で停止していても、RFIDタグ33とタグリーダ13が近い位置関係となるように構成されている。
【0018】
FDドライブ14は、制御部11の制御信号に従って、FD(フレキシブルディスク)34に対してデータ(純粋データだけでなくプログラムも含む)の読み書きを行う。また、FDドライブ14にはタグリーダ15が設けられており、該タグリーダ15がFD34に取り付けられたRFIDタグ35から読み取ったタグデータも制御部11に渡す。
【0019】
このタグリーダ15はFDドライブ14の内部に備えられており、好ましくはFD34を内部に取り込んだ状態で該FD34のRFIDタグ35の近傍となる位置に備えられている。また、FD34には、内部の磁気ディスク(図示省略)を傷つけない位置にRFIDタグ35が備えられている。
【0020】
USB端子16は、USBメモリ36などのUSB機器を接続する端子であり、接続されたUSB機器は制御部11の制御信号に従って制御される。USB端子16の近傍には、タグリーダ17が設けられており、該タグリーダ17がUSBメモリ36に取り付けられたRFIDタグ37から読み取ったタグデータも制御部11に渡す。
【0021】
このタグリーダ17は、USB端子16に接続されたUSBメモリ36のRFIDタグ37の近傍となる位置で、2つ並べて設けられているUSB端子16の互いの外側に対称に配置されている。また、USBメモリ36には、USB端子16に接続する接続部36aの近傍にRFIDタグ37が備えられている。
【0022】
これらのRFIDタグ33,35,37は、ICチップとアンテナとで構成されており、ICチップ内の不揮発性メモリに所有者を特定する社員ナンバーなどの所有者特定情報を予め記憶している。従って、タグリーダ13,15,17でRFIDタグ33,35,37からタグデータを読み取る際に、このタグデータに含まれている所有者特定情報を読み取ることで、誰が所有する外部記憶媒体であるか特定できる。
【0023】
キーボード接続端子21は、キーボードを接続する端子であり、キーボードからの入力信号を制御部11に渡す。
マウス接続端子22は、マウスを接続する端子であり、マウスからの入力信号を制御部11に渡す。
【0024】
モニタ接続端子23は、CRTモニタや液晶モニタといったモニタを接続する端子であり、制御部11からの画像信号を接続されたモニタに渡す。
電源部24は、AC100ボルトの電源を整流および変圧して制御部11などの各種ユニットに電力供給を行う。
【0025】
ハードディスク25は、制御部11の制御信号に従ってデータの読み書きを実行する。このハードディスク25には、OSや各種アプリケーションプログラムが記憶されており、データの書き込みや読み込みといったデータ処理を制限するデータ処理制限プログラムも記憶されている。
PCIカード27は、LANカードやモデムカードやテレビキャプチャカードといった拡張機能用のカード類であり、制御部11の制御信号に従って動作する。
【0026】
図1に示すように、制御部11を構成するマザーボードとCDドライブ12およびFDドライブ14の間には、電磁波防止シート42が設けられている。この電磁波防止シート42は、制御部11を構成するマザーボードに対してCDドライブ12およびFDドライブ14全体を完全に分離するように隙間なく設けられている。
【0027】
また、CDドライブ12とFDドライブ14の間には、両者を完全に分離するように電磁波防止シート43が隙間なく設けられている。
また、2つのUSB端子16,16の間には、電磁波防止シート41が設けられている。
また、ベース筐体10aおよびカバー筐体10bは、内側面の全面に渡って電磁波防止シート44,45が設けられている。
これらの電磁波防止シート41〜45は、アルミなどの金属部材、アルミに炭素を含有した素材、パーマロイ、あるいはこれらを重合させた多層構造の素材等により構成する。
【0028】
このように、電磁波防止シート41〜45が設けられていることにより、タグリーダ13,15,17はそれぞれが確実に分離され、自己が非接触通信すべき対象となるRFIDタグ33,35,37以外のRFIDタグと非接触通信することを防止できる。
【0029】
図3は、外部記憶媒体であるCD32、FD34およびUSBメモリ36に対してデータの読み書きを行う際のデータ処理を制限するデータ処理制限プログラムによる制御部11の動作を示すフローチャートである。このデータ処理制限プログラムは、各デバイス(CDドライブ12、FDドライブ14、USB端子16)を動作させるためのドライバプログラムに組み込み、このデータ制限プログラムの実行なしでは各デバイスに対するデータ処理を実行できない構成としている。従って、例えば各デバイスの専用プログラムのみによってデータ処理を実行可能とし、パソコン1のOSに付属している通常のファイル操作プログラムや他のプログラム等ではデバイスに対するデータ処理を実行できない構成とすることが好ましい。
【0030】
制御部11は、データ処理制限プログラムを実行し、マウスやキーボードの利用者の操作によるデータ処理の要求を受け付ける(ステップS1)。
制御部11は、要求されたデータ処理を実行するデバイス(CDドライブ12、FDドライブ14、USB端子16のいずれか)に設けられたタグリーダ(13,15,17のいずれか)により、RFIDタグ(33,35,37のいずれか)からタグデータを読み込む(ステップS2)。この読み込みの際、デバイスがCDドライブ12であれば、回転駆動部の回転を停止してCD32を停止させた状態でRFIDタグ33からタグデータを読み込む。
【0031】
制御部11は、読み込んだタグデータに基づいて正規のRFIDタグであるか否かを判定する(ステップS3)。この判定は、予め定めた正規品IDをRFIDタグに記憶させておき、この正規品IDが存在するか否かで判定する、または、予め定めた法則により処理した数列をRFIDタグに記憶させておき、この数列が前記法則に従ったものであるか否かで判定する、あるいは全ての外部記憶媒体(この実施例ではCD32、FD34およびUSBメモリ36)の正規品IDをハードディスク25等の記憶手段に記憶しておき、記憶している正規品IDと一致するか否かで判定するなど、適宜の構成とすることができる。
【0032】
正規品であると判定した場合(ステップS4:YES)、制御部11は、要求されたデータ処理(データの書き込み処理や読み取り処理)を実行し(ステップS5)、データ処理実行記録を履歴として保存し(ステップS6)、処理を終了する。このデータ処理実行記録として保存する情報は、RFIDタグ33,35,37から読み取った所有者特定情報、どのデータをどのデバイスに対して書き込みあるいは読み込みしたかという処理情報、及び実行日時等の情報で構成すると良い。
【0033】
正規品でないと判定した場合(ステップS4:NO)、制御部11は、モニタ接続端子23に接続されたモニタにエラーメッセージを表示し(ステップS7)、処理を終了する。
【0034】
以上の構成および動作により、全ての外部記憶媒体(この実施例ではCD32、FD34およびUSBメモリ36)に対するデータの処理そのものを制限でき、セキュリティレベルを向上させることができる。
【0035】
書き込み制限では、サーバからダウンロードする等してパソコン1のハードディスク25に記憶されている個人情報や機密情報などの重要なデータが不正にコピーされることを防止することができる。この書き込み制限により、例えば使用可能な外部記憶媒体を社内で特定のものに限定し、この外部記憶媒体を用いなければデータを外部記憶媒体にコピーできないといった運用が可能となる。
【0036】
また、読み込み制限では、破壊活動などを実行するウィルスが利用者の気づかないうちに外部記憶媒体からパソコン1のハードディスク25にコピーされることを防止できる。つまり、正規の外部記憶媒体しか扱えないため、利用者が個人的に持ち込んだ外部記憶媒体などからデータをパソコン1に移すことができず、個人所有のパソコンなどから個人的なデータを持ち込むことによって社内のパソコン1がウィルス感染することを防止できる。
【0037】
また、全てのタグリーダ13,15,17は、電磁波防止シート41,42,43,44,45によって分離されているため、異なる外部記憶媒体のRFIDタグ33,35,37からタグデータを読み取ってしまうことを防止できる。特に、RFIDタグが設けられていない外部記憶媒体(例えばFD)をセットし、正規の外部記憶媒体(FD32)をタグリーダ部(タグリーダ13)に近づけて、タグデータのみ正規のものを認識させて実際には異なる外部記憶媒体にデータを書き込む(あるいは読み込む)といった不正行為を防止できる。
【0038】
また、所有者特定情報を参照することにより、誰がデータ処理を行ったかも特定することができる。これにより、社員によって不正にデータがコピーされた場合、だれがデータを不正にコピーしたか特定することが可能となる。
【0039】
なお、データ処理を行った者の特定は、所有者特定情報ではなく、パソコン1を操作するにあたって登録ユーザーにログインさせておき、履歴を蓄積する際にログインしていたユーザーも記憶することで特定してもよい。
【0040】
なお、この実施例では外部記憶媒体としてCD32、FD34およびUSBメモリ36を利用したが、これに限らず、CD−R,CD−RW,RVD−ROM,DVD−RAM等、多種類の外部記憶媒体を対象とすることができる。
【0041】
また、データを磁気等で記憶する外部記憶媒体に限らず、印刷される印刷媒体を外部記憶媒体に含める構成としても良い。この場合、データの印刷を行うプリンタにタグリーダを備え、紙等の印刷媒体にRFIDタグを備えて、データ処理としてプリントアウトが要求された場合にステップS1〜S7を実行する構成とすればよい。
【0042】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のコンピュータ装置は、実施形態のパソコン1に対応し、
以下同様に、
制御手段は、制御部11に対応し、
データ処理手段は、CDドライブ12、FDドライブ14およびUSB端子16に対応し、
タグリーダ部は、タグリーダ13,15,17に対応し、
外部記憶媒体は、CD32、FD34およびUSBメモリ36に対応し、
非接触ICタグは、RFIDタグ33,35,37に対応し、
通信波遮断手段は、電磁波防止シート41〜45に対応し、
タグデータ読取処理は、ステップS2に対応し、
判定処理は、ステップS3に対応し、
データ処理制限処理は、ステップS4,S5,S7に対応し、
データ書込処理は、ステップS5に対応し、
データ読取処理は、ステップS5に対応し、
入力手段は、マウスおよびキーボードに対応し、
表示手段は、モニタに対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】パソコンの概略構成を示す斜視図。
【図2】パソコンのブロック図。
【図3】データ処理制限プログラムの動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0044】
1…パソコン、11…制御部、12…CDドライブ、14…FDドライブ、16…USB端子、13,15,17…タグリーダ、32…CD、34…FD、36…USBメモリ、33,35,37…RFIDタグ、41〜45…電磁波防止シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力を受け付ける入力手段と、画像を表示する表示手段と、持ち運び可能な外部記憶媒体に記憶のデータを処理するデータ処理手段と、これらを制御する制御手段とを備えたコンピュータ装置であって、
前記データ処理手段に、前記外部記憶媒体に取り付けられた非接触ICタグからタグデータを読み取るタグリーダ部を備えた
コンピュータ装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記データ処理手段にセットされた外部記憶媒体の非接触ICタグから前記タグリーダ部によってタグデータを読み取るタグデータ読取処理と、
読み取ったタグデータに基づいて前記外部記憶媒体が正規の外部記憶媒体であるか否か判定する判定処理と、
正規であると判定した場合に前記データ処理手段による前記外部記憶媒体とのデータ処理を許可し、正規でないと判定した場合に前記データ処理手段による前記外部記憶媒体とのデータ処理を拒否するデータ処理制限処理とを実行する構成とした
請求項1記載のコンピュータ装置。
【請求項3】
前記データ処理を、前記外部記憶媒体にデータを書き込むデータ書込処理とした
請求項1または2記載のコンピュータ装置。
【請求項4】
前記データ処理を、前記外部記憶媒体からデータを読み取るデータ読取処理とした
請求項1または2記載のコンピュータ装置。
【請求項5】
前記データ処理手段を、前記外部記憶媒体の種類に対応させて複数種類備え、
各データ処理手段に備えられた互いのタグリーダ部の間に、通信波を遮断する通信波遮断手段を備えた
請求項1から4のいずれか1つに記載のコンピュータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−40526(P2008−40526A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209725(P2006−209725)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(597120972)オリエント測器コンピュータ株式会社 (56)
【Fターム(参考)】