説明

コンベアベルト縦裂き検出装置

【課題】小さなスペースでより多量の情報を分かりやすく表示したり入力を容易にしたりすることができ、しかも、タッチパネルが故障してもシステムを継続して使用することのできる信頼性の高いコンベアベルト縦裂き検出装置を提供する。
【解決手段】
コンベアベルト縦裂き検出装置は監視盤50を具え、監視盤50には、縦裂き有無判定手段として第1判定手段および第2判定手段のどれを用いるかを選択する判定手段切替スイッチ52と、第2判定手段における前記間隔上限値を設定する設定カウンタ53とを、監視盤50のタッチパネル51の外の盤面に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用中のコンベアベルトに発生した縦裂きを検出するコンベアベルトの縦裂き検出装置に関し、特に、縦裂きの有無を監視するに際して監視者とのインターフェースを司る監視盤の操作性と装置の信頼性とを高めることができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアベルトの長さ方向(以下単に「長さ方向」という)に間隔をおいて配置されそこでの縦裂きの有無の情報を保持する複数の被検出体と、コンベアベルトの近くに固定配置され、コンベアベルトの転動に伴って検出エリア内を通過する前記被検出体から前記情報を取り出してその情報が「縦裂き無し」の場合だけ所定の信号をリアルタイムに出力する縦裂き検出センサと、この縦裂き検出センサからの前記信号に基づいて縦裂きの有無を判定する縦裂き有無判定手段とを具えたコンベアベルト縦裂き検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなコンベアベルト縦裂き検出装置は、監視者が、縦裂きの有無を監視するに際して監視者とのインターフェースを司る監視盤が設けられ、この監視盤を介して、コンベアベルトの運転状況を監視者に知らせるための表示手段や、監視者が、例えば、縦裂き有無判定手段において縦裂きの有無の判定に用いる種々のパラメータを設定したりするための入力手段が設けられている。
【0004】
従来の監視盤では、このような表示手段や、入力手段は、例えば、図1に示すような、LED表示装置91、切替スイッチ92、押しボタンスイッチ93、設定カウンタ94、表示ランプ95等のハードウエア入出力機器だけで構成した監視盤90A、および、図2に示すように、タッチパネル96だけで、あるいは、タッチパネル96に電源を断接する電源スイッチ98、システムのCPUがフリーズしたときにこれをリセットするリセットスイッチ、及び/又は、システムが稼働していることを示す運転ランプ97を組み合わせた監視盤90Bが用いられている。
【0005】
タッチパネル96は、画面をソフトウエアによって自由に設計することができ、その結果、小さなスペースでより多量の情報を分かりやすく表示することができ、しかも、入力操作に応じて画面を切り替えることにより、表示や入力方法を一層分かりやすいものにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平5−26570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のタッチパネルを用いた監視盤は、これ以外にせいぜい電源スイッチやリセットスイッチがあるだけの構成のため、例えば、タッチパネルを構成する液晶画面のバックライトの故障等によりタッチパネルが機能しなくなったとき、コンベアベルトの運転状況を監視したり、種々のパラメータの入力が全くできなくなってしまったりという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、小さなスペースでより多量の情報を分かりやすく表示したり入力を容易にしたりすることができ、しかも、タッチパネルが故障してもシステムを継続して使用することのできる信頼性の高いコンベアベルト縦裂き検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<1>は、コンベアベルトの長さ方向(以下単に「長さ方向」という)に間隔をおいて配置されそこでの縦裂きの有無の情報を保持する複数の被検出体と、コンベアベルトの近くに固定配置され、コンベアベルトの転動に伴って検出エリア内を通過する前記被検出体から前記情報を取り出してその情報が「縦裂き無し」の場合だけ所定の信号をリアルタイムに出力する縦裂き検出センサと、この縦裂き検出センサからの前記信号に基づいて縦裂きの有無を判定する縦裂き有無判定手段と、縦裂きの有無を監視するに際して監視者とのインターフェースを司る監視盤とを具えたコンベアベルト縦裂き検出装置において、
前記被検出体のそれぞれに一対一に対応付けされた識別符号および長さ方向位置を記憶するメモリと、前記縦裂き検出センサの検出エリアを通過するコンベアベルト部分の長さ方向位置(以下「現在位置」という)をリアルタイムに取得する現在位置取得手段とを設け、
前記縦裂き有無判定手段は、現在位置が前記メモリに記憶されている被検出体の位置に対応する範囲内にあっても前記縦裂き検出センサから信号の出力がない場合に「縦裂き有り」と判定する第1判定手段と、直前に縦裂き検出センサから信号が出力された際の現在位置から、次に縦裂き検出センサから信号が出力される際の現在位置までの間隔が予め設定された間隔上限値より大きい場合に、「縦裂き有り」と判定する第2判定手段との両方を具え、
前記監視盤に、直前、及び/又は、次に縦裂き検出センサから出力される信号に対応する被検出体の識別符号と、現在位置取得手段で取得された現在位置とを少なくとも表示する表示手段、および、前記縦裂き有無判定手段に関わる設定パラメータを少なくとも一部を入力する入力手段とを有するタッチパネルを設けるともに、前記縦裂き有無判定手段として第1判定手段および第2判定手段のどれを用いるかを選択する判定手段切替手段と、前記第2判定手段における前記間隔上限値を設定する設定カウンタとを、前記監視盤のタッチパネル外の盤面に設けたことを特徴とするコンベアベルト縦裂き検出装置である。
【0010】
<2>は、<1>において、前記縦裂き有無判定手段によって「縦裂き有り」と判定された場合にこのことを表示する表示部を、前記監視盤のタッチパネル外の盤面に設けたことを特徴とするコンベアベルト縦裂き検出装置である。
【0011】
<3>は、<1>又は<2>において、前記縦裂き検出センサから信号の出力があった時これを表示する表示部を、前記監視盤のタッチパネル外の盤面に設けたことを特徴とするコンベアベルト縦裂き検出装置である。
【0012】
<4>は、<1>〜<3>のいずれかにおいて、コンベアベルトを駆動支持もしくは従動支持するプーリの所定回転角度ごとに信号を出力するプーリ回転センサを設け、このプーリ回転センサから信号の出力があった時これを表示する表示部を、前記監視盤のタッチパネル外の盤面に設けたことを特徴とするコンベアベルト縦裂き検出装置である。
【0013】
<5>は、<2>〜<4>のいずれかにおいて、前記表示部を、消灯、点灯、もしくは、点滅の1つもしくは、これらの組み合わせによって前記表示を行う表示ランプで構成したことを特徴とするコンベアベルト縦裂き検出装置である。
【0014】
<6>は、<1>〜<5>のいずれかにおいて、前記タッチパネルの入力手段からの入力の許可と禁止とを切り替える入力可否切替手段を、前記監視盤のタッチパネル外の盤面に設けたことを特徴とするのコンベアベルト縦裂き検出装置である。
【発明の効果】
【0015】
<1>によれば、前記監視盤に、直前、及び/又は、次に縦裂き検出センサから出力される信号に対応する被検出体の識別符号と、現在位置取得手段で取得された現在位置とを少なくとも表示する表示手段、および、前記縦裂き有無判定手段に関わる設定パラメータを少なくとも一部を入力する入力手段とを有するタッチパネルを設けたので、少なくともこれらの頻度の高い表示や入力に関し、小さなスペースでより多量の情報を分かりやすく表示したり、入力を容易にしたりすることができ、しかも、タッチパネル外の盤面に、前記縦裂き有無判定手段として第1判定手段および第2判定手段のどれを用いるかを選択する判定手段切替手段と、前記第2判定手段における前記間隔上限値を設定する設定カウンタとを設けたので、タッチパネルが故障しても、第2判定手段を用いてコンベアベルトの縦裂き検出を継続して監視したりパラメータの設定変更をしたりすることができる。
【0016】
<2>によれば、前記縦裂き有無判定手段によって「縦裂き有り」と判定された場合にこのことを表示する表示部を、前記監視盤のタッチパネル外の盤面に設けたので、タッチパネルが故障しても、「縦裂き有り」との情報を表示して監視者に知らせることができる。
【0017】
<3>によれば、前記縦裂き検出センサから信号の出力があった時これを表示する表示部を、前記監視盤のタッチパネル外の盤面に設けたので、タッチパネルが故障しても、コンベアベルト縦裂き検出装置が正常に動作しているか否かを表示して監視者に知らせることができる。
【0018】
<4>によれば、プーリ回転センサから信号の出力があった時これを表示する表示部を、前記監視盤のタッチパネル外の盤面に設けたので、タッチパネルが故障しても、コンベアベルトが正常に運転されており、プーリ回転センサが正常に動作しているか否かを表示して監視者に知らせることができる。
【0019】
<5>によれば、前記表示部を、消灯、点灯、もしくは、点滅の1つもしくは、これらの組み合わせによって前記表示を行う表示ランプで構成したので、分かりやすい表示ができ、しかも、表示の信頼性を高めることができる。
【0020】
<6>によれば、前記タッチパネルの入力手段からの入力の許可と禁止とを切り替える入力可否切替手段を、前記監視盤のタッチパネル外の盤面に設けたので、タッチパネルの入力手段を用いないときには、入力可否切替手段を入力禁止に切り替えておくことによって、物が軽く当たった程度でも入力信号が入ってしまうおそれのあるタッチパネルの誤動作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来の監視盤の盤面の例を示す模式図である。
【図2】従来の監視盤の盤面の他の例を示す模式図である。
【図3】本発明のコンベアベルト縦裂き検出装置が縦裂きを検出する際の対象であるコンベア装置の構成を示す構成図である。
【図4】駆動プーリ及び近接センサを示す斜視図である。
【図5】図2は、図1の2A−2A線矢視図である。
【図6】運転時における各種信号のタイミングチャートである。
【図7】縦裂きが発生している状態の、運転時における各種信号のタイミングチャートである。
【図8】コンベアベルト縦裂き検出装置の監視盤の盤面配置を示す模式図である。
【図9】監視盤上のタッチパネルに表示された画面の例を示す模式図である。
【図10】監視盤上のタッチパネルに表示された画面の他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明におけるコンベアベルトの縦裂き検出装置の実施の形態を図面に基づき説明する。コンベアベルト縦裂き検出装置は、コンベアベルト装置の一部を構成するコンベアベルトにおいて発生する可能性のある縦裂きを検出する装置であり、まず、コンベアベルト装置10について説明する。図3には、コンベアベルト装置10の構成図が示されている。図3に示すように、コンベアベルト装置10には、動力回転体としての駆動プーリ12が配置され、この駆動プーリ12と対となる従動プーリ14が設けられ、駆動プーリ12及び従動プーリ14には、無端環状のゴム製のコンベアベルト22が巻き掛けられている。また、コンベアベルト22の下方には、ホッパ24が配設されており、このホッパ24からコンベアベルト22上に被搬送物質が供給されることになる。なお、駆動プーリ12には、図示しないモータがギヤを介して連結されて回転されるようになっている。
なお、図3において、Cはコンベアベルトの進行方向、Wはコンベアベルトの幅方向を表す。
【0023】
コンベアベルト縦裂き検出装置100には、コンベアベルト22を駆動する駆動プーリ12もしくはコンベアベルト22に従動する従動プーリ14が回転する際、その所定回転角度ごとに信号を出力するプーリ回転センサが設けられており、このプーリ回転センサの構成するものの例として、第1近接センサ20A及び第2近接センサ20Bを次に説明する。
【0024】
図4に示される従動プーリ14の側面14Aには、1枚以上(図示の場合は2枚)の検出用金属である鉄片16が取り付けられている。従動プーリ14の側面14Aの近傍には、回転センササポートフレーム18が配置され、この回転センササポートフレーム18には、2個の近接センサ(第1近接センサ20A、第2近接センサ20B)が従動プーリ14の軸心を中心とした同一円弧上に若干の間隔を持って固定されている。第1近接センサ20A及び第2近接センサ20Bには、図示しない増幅部を介してCPU35が接続されており、第1近接センサ20A及び第2近接センサ20Bは、従動プーリ14の回転によって鉄片16が第1近接センサ20A及び第2近接センサ20Bを通過する毎に、CPU35にパルス信号を出力するようになっている。なお、第1近接センサ20A及び第2近接センサ20Bは、同一円弧上から半径方向にずらして配置され、従動プーリ14の回転方向を判断可能とされている。
【0025】
ここで、従動プーリ14の回転量とコンベアベルト22の走行距離とは、従動プーリ14とコンベアベルト22とのずれを除いてほぼ対応するので、第1、第2近接センサ20A、20BからCPU35に出力されるパルス信号の数もコンベアベルト22の走行距離にほぼ対応することになる。
【0026】
さらに、コンベアベルト縦裂き検出装置100には、コンベアベルト22の長さ方向に間隔をおいて配置されそこでの縦裂きの有無の情報を保持する複数の被検出体と、コンベアベルト22の近くに固定配置され、コンベアベルトの転動に伴って検出エリア内を通過する前記被検出体から前記情報を取り出してその情報が「縦裂き無し」の場合だけ所定の信号をリアルタイムに出力する縦裂き検出センサが設けられる。この被検出体を構成するものの例としてのループコイル26、及び、縦裂き検出センサ28について次に説明する。
【0027】
コンベアベルト22の内部(下面に近いゴム内)には、走行方向に沿って所定間隔毎に細い撚り亜鉛めっき鋼線のループコイル26(26A、26B、26C、26D、26E、・・・)が埋設されている。ループコイル26は、図5に示すように、同心状に配置された2本のスチールケーブルからなり、長辺がコンベアベルト22のほぼ全幅にわたる略矩形状の閉ループを導線で形成している。これらのループコイル26には、コンベアベルト22の縦裂き時に必ず断線する低い強度の導線が用いられる。
【0028】
図5に示される、近接して(本実施例では間隔Aが5mで)埋設された2本のループコイル26A、26Bは、スタートループコイルとされてベルト走行距離を計算するための基準とされている。スタートループコイル26Bに続く各ループコイル26C、26D、26Eは、本実施例では、間隔Bが50〜100mとなるように配置されてスタートループコイル26Aからの移動距離が検出できるようになっている。なお、ループコイル26の数や間隔は、種々の設定が可能である。
【0029】
図3及び図5に示すように、コンベアベルト22の近傍下方には、縦裂き検出センサ28が固定配置されている。縦裂き検出センサ28は、コンベアベルト22の縦裂きが発生しやすい位置に対応して配置するのが好ましく、本実施例では、図3に示すように、ホッパ24の配設位置からコンベアベルト22の走行方向(矢印C方向)にややずれた位置に対応して配置している。
【0030】
図3に示すように、縦裂き検出センサ28は、発信器28Aと受信器28Bとを備え、コンベアベルト22の下方にて幅方向(矢印W方向)両側近くでサポートフレーム32に装着されている。発信器28Aは、高周波(例えば、11kHz程度)を発し、ループコイル26が通過するときに、ループコイル26に高周波を供給するようになっている。ここで、通過するループコイル26が断線していなければ、発信器28Aからの高周波により電磁誘導が生じてループコイル26に誘導電流が流れ、受信器28Bは、この誘導電流を各々検知することができる。縦裂き検出センサ28には、図示しない増幅部を介してCPU35が接続され出力されるようになっている。
【0031】
コンベアベルト縦裂き検出装置100には、さらに、CPU35、メモリ38、監視盤50が設けられる。CPU35は、メモリ38に記憶されたプログラムに基づき、第1近接センサ20A及び第2近接センサ20Bからのパルス数等を記憶し、第1、第2近接センサ20A、20Bからのパルス信号と縦裂き検出センサ28からの信号とによりコンベアベルト22の縦裂きの有無を判定しその結果を監視盤50に出力する縦裂き有無判定手段、及び、縦裂き検出センサ28を通過するコンベアベルトの位置を取得しその結果を監視盤50に出力する現在位置取得手段を構成する。
【0032】
CPU35には、駆動制御部40が接続されており、コンベアベルト22の縦裂きが有ると判定された場合にCPU35から駆動制御部40に信号が出力され、これにより、駆動プーリ12を駆動するモータ(図示省略)が縦裂き部を所定位置に停止させるようになっている。
【0033】
コンベアベルト22の縦裂きの有無を判定する縦裂き有無判定手段、及び、縦裂き検出センサ28を通過するコンベアベルトの位置を取得する現在位置取得手段について説明する。縦裂き有無判定手段は、第1判定手段と、第2判定手段とよりなり、いずれも、CPU35とそれに読み込まれたソフトウエアとによって作動し、第1、第2判定手段は、監視盤50上に設けられた判定手段切替スイッチ52によって、これらの手段の両方もしくはいずれか1つで判定が行われるよう切替ることができるようになっている。
【0034】
まず、図3に示されるループコイル26A〜26Pの各位置を記憶するために、コンベアベルト装置10を運転する。図5には、運転時における各種信号のタイミングチャートが示されている。ここで、回転センサ信号V1は、第1近接センサ20Aから入力される信号であり、回転センサ信号V1よりも所定時間遅延してパルス信号が入力される回転センサ信号V2は、第2近接センサ20Bから入力される信号である。また、ループコイル信号V3は、縦裂き検出センサ28からの信号が図示しない増幅部で増幅されてCPU35に入力されたものである。
【0035】
図6のループコイル信号V3において、ほぼ連続して発生するパルス信号326A、326Bは、図3に示される第1の検出センサ28がほぼ連続して2つのループコイル26A、26Bを検知したことを示し、2つのループコイル26A、26Bは、スタートループコイルとして認識される。スタートループコイル26A、26Bの検知以後、縦裂き有無判定手段は、図6に示されるループコイル信号V3にコイル検知の信号であるパルス信号(326A、326B、326C、326D、・・・)が発生する毎に、回転センサ信号V1及び回転センサ信号V2で入力されたパルス数を図3に示される各ループコイル26A〜26P間の間隔として記憶する。縦裂き検出センサ28が、再びほぼ連続して2つのループコイル(スタートループコイル)26A、26Bを検出し、図6に示されるループコイル信号V3において、再びパルス信号326A、326Bが連続して発生した段階で、CPU35は、コンベアベルト22が一周したものと判断して各ループコイル26A〜26P間の間隔の記憶を終了する。
【0036】
ここで、このように、すべてのループコイル26に対して、スタートコイル26A、26Bから数えたループコイルの番号と、そのループコイルから次のループコイルまでの回転センサ信号V1におけるパルス数とのデータがメモリ38に記憶されることになる。但し、記憶されるデータとして、スタートコイル26A、26Bから数えたループコイルの番号と、スタートコイル26A、26Bの位置をゼロとした、回転センサ信号V1における積算パルス数とのセットとして記憶することもできる。
【0037】
メモリへの前記データの記憶が終了したあと、実際にコンベアベルト22を運転している状態においても、図6に示した、V1〜V3の信号は、CPU35に出力される。現在位置取得手段は、スタートループコイル26A、26BからのV1信号のパルス数を積算し、それを、メモリに記憶してある、各ループコイル26A〜26P間の間隔の情報と比較して、現在、何番面のループコイルから何カウント目の位置に対応するコンベアベルト部分が、縦裂き検出センサ28の検出範囲を通過したかを表す現在位置情報を取得する。
【0038】
第1判定手段は、前記現在位置取得手段によって取得された現在位置が、所定の誤差範囲カウントC1を含めた、1つのループコイルに対応する位置範囲にあるとき、縦裂き検出センサ28からの信号入力があるかをチェックし、信号がある場合には縦裂きの発生はないと判定し、逆の場合は、縦裂きが発生していると判定するものである。
縦裂きが発生している場合、図7に示すように、V3信号の、ループコイル26に対応する位置にあるべきパルス326Dが発生しないことになる。
【0039】
また、第2判定手段は、コンベア全長にわたって一律の最長ループコイル間隔に対応するカウント数C2をパラメータとして設定しておき、直前に縦裂き検出センサ28からの信号の入力があったときの現在位置から前記カウント数C2内に、縦裂き検出センサ28からの次の信号の入力がなければ縦裂き有り、あれば縦裂きなしと判定するものである。
【0040】
上記の説明から分かるように、第2判定手段が単に縦裂き発生の有無だけしか判定できないのに対比して、第1判定手段は、縦裂き発生の有無だけではなく縦裂きが発生したループコイルをも判別することができ、一方、第2の縦裂き有無判定手段では、判定に用いるバラメータが最長ループコイル間隔に対応するカウント数C2だけであるのに対比して、第1の縦裂き有無判定手段では、誤差範囲カウントC1の他、各ループコイルに対応する、次のループコイルまでの間隔をパラメータとして用いていて、例えば、縦裂きの発生はないもののループコイルだけが断線した等の故障が発生し、このループコイルがないものとして縦裂きの有無の判定をしなければならなくなった場合等、手動でパラメータの再設定を行い、弾性したループコイルのみを消去するだけで第1の縦裂き有無判定手段を継続して用いることができるというメリットがある。
【0041】
以上、コンベアベルト縦裂き検出装置100の概要について説明したが、本発明のコンベアベルト縦裂き検出装置100は、監視盤50に、直前、及び/又は、次に縦裂き検出センサから出力される信号に対応する被検出体の識別符号と、現在位置取得手段で取得された現在位置とを少なくとも表示する表示手段、および、前記縦裂き有無判定手段に関わる設定パラメータを少なくとも一部を入力する入力手段とを有するタッチパネルを設けるともに、前記縦裂き有無判定手段として第1判定手段および第2判定手段のどれを用いるかを選択する判定手段切替手段と、前記第2判定手段における前記間隔上限値を設定する設定カウンタとを、前記監視盤のタッチパネル外の盤面に設けたことを特徴とする。
【0042】
図8は、コンベアベルト縦裂き検出装置の監視盤の盤面配置を示す模式図、図9は、監視盤上のタッチパネルに表示された画面の例を示す模式図、そして、図10は、監視盤上のタッチパネルに表示された画面の他の例を示す模式図であり、監視盤50の盤面には、タッチパネル51と、縦裂き有無判定手段として、第1判定手段および第2判定手段の両方を使うか、第2判定手段だけを使うかを切り替える判定手段切替手段を構成する判定手段切替スイッチ52と、縦裂き有無判定手段として第2判定手段だけを用いる際に前記間隔上限値を設定する設定カウンタ53とを具えて構成される。
【0043】
また、監視盤50の盤面には、タッチパネル51の外に、前記縦裂き有無判定手段によって「縦裂き有り」と判定された場合にこのことを表示するランプ54が設けられ、このランプは、縦裂きが発生したときに赤く点灯される。
【0044】
さらに、監視盤50の盤面には、装置の状態を監視者に知らせるための、V1〜V3の信号を表示するランプ55、56、57が配置され、これらのランプは55、56、57は、それらの信号V1〜V3においてパルスが立ったときにだけ点灯する。
【0045】
また、符号58は、タッチパネルの入力手段からの入力の許可と禁止とを切り替える入力可否切替手段を構成する入力可否切替スイッチ、符号59は電源の断接を切り替える電源スイッチ兼ランプであり、符号62は、CPU35が暴走等をしたときにこれをリセットスイッチ兼ランプである。
【0046】
図9は、タッチパネルを点灯したときに現れるメニュー画面であり、運転状態をモニターする画面へジャンプさせる「運転モニター」ボタン61、縦裂き有無判定手段として第1判定手段を用いたときに必要なパラメータを設定するための画面へジャンプさせる「番地管理設定」ボタン62、第2判定手段を用いたときに必要なパラメータを設定するための画面へジャンプさせる「パラメータ設定」ボタン63、エラー等の履歴を参照することのできる画面へジャンプさせる「ロギング」ボタン64、ループコイルの検出情報を参照することのできる画面へジャンプさせる「警報履歴」ボタン65、時刻を設定するための画面へジャンプさせる「時刻設定」ボタン66、および、言語選択する画面にジャンプさせる「言語選択」ボタン67が配置される。
【0047】
図10は、運転モニター画面を示す例であり、この画面には、次に縦裂き検出センサ28から出力される信号に対応する被検出体の識別符号(番号)と、現在位置取得手段で取得された現在位置(パルス検出数)とを少なくとも表示する表示手段71が配置され、表示手段71に次のメモリに記憶された識別符号(番号)を表示するよう構成される。また、この画面には、現在運転中のモードを点灯させることによりこれを表示するランプ群72が配置される。
【0048】
以上のような構成にすることによって、液晶のタッチパネルが故障したときには、判定手段切替スイッチ52を操作して、縦裂き有無判定手段として第2判定手段だけを用いるように切り替えることにより、縦裂きが発生したときに発生箇所の情報を犠牲にしても、設定パラメータの入力を容易にすることができ、例えば、ループコイルが故障したとき、最長間隔に対応するカウンタC2を入力し直せばすむようにすることができる。
【0049】
また、タッチパネルの入力手段からの入力の許可と禁止とを切り替える入力可否切替スイッチ58を具えることにより、タッチパネルの入力手段を用いないときには、入力可否切替手段を入力禁止に切り替えておくことによって、物が軽く当たった程度でも入力信号が入ってしまうのを防止しすることができる。
【0050】
また、縦裂き有無判定手段によって「縦裂き有り」と判定された場合にこのことを表示するランプ54や、装置の運転状態を表示するランプ55、56、57をタッチパネル外に配置したので、タッチパネルが壊れても、装置の運転状態を監視者にしらせることができる。
【符号の説明】
【0051】
10 コンベアベルト装置
12 駆動プーリ
14 従動プーリ
14A 従動プーリの側面
16 鉄片
18 回転センササポートフレーム
20A 第1近接センサ
20B 第1近接センサ
22 コンベアベルト
24 ホッパ
26、26A〜26P ループコイル
28 縦裂き検出センサ
28A 発信器
28B 受信器
32 サポートフレーム
34 縦裂き有無判定手段
35 CPU
38 メモリ
40 駆動制御部
50 監視盤
51 タッチパネル
52 判定手段切替スイッチ
54、55、56、57 ランプ
58 入力可否切替スイッチ
59 電源スイッチ
61 「運転モニター」ボタン
62 「番地管理設定」ボタン
63 「パラメータ設定」ボタン
64 「ロギング」ボタン
65 「警報履歴」ボタン
66 「時刻設定」ボタン
67 「言語選択」ボタン
71 表示手段
72 ランプ群
100 コンベアベルト縦裂き検出装置
326A〜326D パルス信号
V1、V2 回転センサ信号
V3 ループコイル信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアベルトの長さ方向(以下単に「長さ方向」という)に間隔をおいて配置されそこでの縦裂きの有無の情報を保持する複数の被検出体と、コンベアベルトの近くに固定配置され、コンベアベルトの転動に伴って検出エリア内を通過する前記被検出体から前記情報を取り出してその情報が「縦裂き無し」の場合だけ所定の信号をリアルタイムに出力する縦裂き検出センサと、この縦裂き検出センサからの前記信号に基づいて縦裂きの有無を判定する縦裂き有無判定手段と、縦裂きの有無を監視するに際して監視者とのインターフェースを司る監視盤とを具えたコンベアベルト縦裂き検出装置において、
前記被検出体のそれぞれに一対一に対応付けされた識別符号および長さ方向位置を記憶するメモリと、前記縦裂き検出センサの検出エリアを通過するコンベアベルト部分の長さ方向位置(以下「現在位置」という)をリアルタイムに取得する現在位置取得手段とを設け、
前記縦裂き有無判定手段は、現在位置が前記メモリに記憶されている被検出体の位置に対応する範囲内ににあっても前記縦裂き検出センサから信号の出力がない場合に「縦裂き有り」と判定する第1判定手段と、直前に縦裂き検出センサから信号が出力された際の現在位置から、次に縦裂き検出センサから信号が出力される際の現在位置までの間隔が予め設定された間隔上限値より大きい場合に、「縦裂き有り」と判定する第2判定手段との両方を具え、
前記監視盤に、直前、及び/又は、次に縦裂き検出センサから出力される信号に対応する被検出体の識別符号と、現在位置取得手段で取得された現在位置とを少なくとも表示する表示手段、および、前記縦裂き有無判定手段に関わる設定パラメータを少なくとも一部を入力する入力手段とを有するタッチパネルを設けるともに、前記縦裂き有無判定手段として第1判定手段および第2判定手段のどれを用いるかを選択する判定手段切替手段と、前記第2判定手段における前記間隔上限値を設定する設定カウンタとを、前記監視盤のタッチパネル外の盤面に設けたことを特徴とするコンベアベルト縦裂き検出装置。
【請求項2】
前記縦裂き有無判定手段によって「縦裂き有り」と判定された場合にこのことを表示する表示部を、前記監視盤のタッチパネル外の盤面に設けたことを特徴とする請求項1に記載のコンベアベルト縦裂き検出装置。
【請求項3】
前記縦裂き検出センサから信号の出力があった時これを表示する表示部を、前記監視盤のタッチパネル外の盤面に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンベアベルト縦裂き検出装置。
【請求項4】
コンベアベルトを駆動する駆動プーリもしくはコンベアベルトに従動する従動プーリの回転に際し所定回転角度ごとに信号を出力するプーリ回転センサを設け、このプーリ回転センサから信号の出力があった時これを表示する表示部を、前記監視盤のタッチパネル外の盤面に設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンベアベルト縦裂き検出装置。
【請求項5】
前記表示部を、消灯、点灯、もしくは、点滅の1つもしくは、これらの組み合わせによって前記表示を行う表示ランプで構成したことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のコンベアベルト縦裂き検出装置。
【請求項6】
前記タッチパネルの入力手段からの入力の許可と禁止とを切り替える入力可否切替手段を、前記監視盤のタッチパネル外の盤面に設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコンベアベルト縦裂き検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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