説明

コーキング用ノズル

【課題】塗布面を傷付けることなく、ノズルを塗布面に沿ってスムーズに移動することができ、コーキング材のはみ出しが防止され、かすれることもなく、塗布量が常時適量吐出されるようにしたコーキング用ノズルを提供すること。
【解決手段】塗布面にコーキング材3を塗布するためのコーキング用ノズル1であって、コーキング材3を吐出する吐出口2の周囲を円柱状部材からなる可撓性部材で構成した複数のガイド部材4で隙間を設けて囲むようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコーキング用ノズルに関し、特に、コーキング作業の作業効率を大幅に向上させ、施工性及び施工精度を高めることができるように改良されたコーキング用ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
パネルの突き合わせ部に生じた隙間などにコーキング材を塗布するには、コーキングガンにカートリッジを保持し、該カートリッジの先端に取り付けられたノズルからコーキング材を前記隙間部分に塗布するようにしている。
このような機能を持つコーキング用ノズルとして、例えば、特許文献1に記載されたコーキング用ノズルがある。
このコーキング用ノズルは、図5に示すように、コーキングガン50に保持されたカートリッジ51の先端にユニオンナット52によってノズル53が取り付けられている。このノズル53の先端面に設けられた凸部54を目地隙間55に入り込ませ、ノズル53の移動を案内する。また、ノズル53の先端面の押さえ面56によって、注入されたコーキング材57を押さえつける。そして、カバー58によって、コーキング材57のはみ出しを防止するようにしている。
【0003】
しかし、このコーキング用ノズルは、凸部54を塗布面の目地隙間55に入り込ませるため、また、ノズル53の先端面の押さえ面56によって、注入されたコーキング材57を押さえつけ、さらに、カバー58によって、コーキング材57のはみ出しを防止するようにしているため、塗布面が柔らかい材質の場合には塗布面を傷付けてしまうという問題があった。
また、コーキング材の貯留部の考慮がなされていないため、コーキング材が過剰に吐出され、塗布面に凹凸ができたり、また、コーキング材が不足することにより塗布が不十分でコーキング材にかすれが生じるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−216392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来のコーキング用ノズルの有する問題点に鑑み、塗布面を傷付けることなく、ノズルを塗布面に沿ってスムーズに移動することができ、コーキング材のはみ出しが防止され、かすれることもなく、塗布量が常時適量吐出されるようにしたコーキング用ノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のコーキング用ノズルは、塗布面にコーキング材を塗布するためのコーキング用ノズルであって、コーキング材を吐出する吐出口の周囲を可撓性部材で構成した複数のガイド部材で囲むようにしたことを特徴とする。
【0007】
この場合において、ガイド部材を円柱状部材から構成することができる。
【0008】
また、隣接するガイド部材の間に隙間を設けることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコーキング用ノズルによれば、コーキング材を吐出する吐出口の周囲を可撓性部材で構成した複数のガイド部材で囲むようにすることにより、ノズルにより塗布面を傷付けることなく、ノズルを塗布面に沿ってスムーズに移動することができ、コーキング材のはみ出しが防止され、吐出口に押し出されるコーキング材の圧力変動及び流量変動を抑制して、コーキング材の塗布量を常時適量に均一化できるため、コーキング材が過剰に吐出され、塗布面に凹凸ができたり、また、コーキング材が不足することにより塗布が不十分でコーキング材にかすれが生じるという問題点を解消することができる。
また、塗布面が隙間を有する場合であっても、また、その隙間が多少ゆがんでいる場合であっても、可撓性部材で構成した複数のガイド部材が適宜変形することによって、その隙間にコーキング材を確実に塗布することができる。
【0010】
また、ガイド部材を円柱状部材から構成したり、隣接するガイド部材の間に隙間を設けることにより、コーキング材がガイド部材に接触する面積を小さくすることができ、コーキング材をガイド部材に沿ってスムーズに吐出させることができ、また、隙間を含むコーキング材の貯留部がコーキング材の吐出される圧力及び流量を均一化させるためのバッファの役目を果たすことにより、コーキング材の塗布量を常時適量に均一化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のコーキング用ノズルの一実施例を示す側面図である。
【図2】同コーキング用ノズルの底面図である。
【図3】同コーキング用ノズルの使用時の状態を示す側面図である。
【図4】同コーキング用ノズルの使用時の状態を示す説明図である。
【図5】従来コーキング用ノズルの使用時の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のコーキング用ノズルの実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0013】
図1〜図4に、本発明のコーキング用ノズルの一実施例を示す。
このコーキング用ノズル1は、塗布面10にコーキング材3を塗布するためのもので、コーキング材3を吐出する吐出口2の周囲を可撓性部材で構成した複数のガイド部材4で囲むようにしている。
【0014】
ガイド部材4は、例えば、シリコンゴムなどの可撓性部材で構成するようにする。
【0015】
また、ガイド部材4は、円柱状部材から構成したり、隣接するガイド部材4の間に隙間5を設けることにより、吐出口2の下面にはガイド部材4とその隙間5で構成されるコーキング材3の貯留部6となる空間が確保されるとともに、コーキング材3がガイド部材4に接触する面積を小さくすることができ、これにより、コーキング材3をガイド部材に沿ってスムーズに吐出させることができる。
【0016】
コーキング用ノズル1における吐出口2からコーキング材3の吐出機構の詳細はここでは述べないが、従来ディスペンサーとして採用されている公知の各種の方式、例えば、手動力、ばね力、空気圧力などにより吐出する方式を採用することができる。
【0017】
次に、このコーキング用ノズル1の動作について、図3〜図4により説明する。
図3は、コーキング用ノズル1を塗布面10に適用しようとする場合の側面図を示し、図4は、コーキング用ノズル1を矢符11の方向に移動させて、塗布面10にコーキング材3を塗布している時の動作を示している。
【0018】
コーキング用ノズル1を塗布面10に対して接近させ、ガイド部材4の先端部41が軽く塗布面10に接触する位置まで近付けると、図3に示すように、各ガイド部材4は可撓性であるために軽く屈曲した状態でガイド部材4の先端部41が塗布面10に接触する。
これにより、コーキング用ノズル1が上下に変動しても、ガイド部材4の先端部41が塗布面10に接触した状態を安定して維持することができる。
なお、コーキング用ノズル1を近付ける条件によっては、内側に屈曲するガイド部材4も存在することになるが、特に問題はない。
【0019】
次に、コーキング材3を吐出口2より既知の方法で吐出しながら、コーキング用ノズル1を矢符11の方向に移動させると、塗布面10には、コーキング材3の貯留部6からコーキング材3が塗布される。
【0020】
以下、このコーキング用ノズル1の作用効果を説明する。
まず、ガイド部材4は可撓性部材で構成しているため、塗布面10を傷付けることはなく、軽く、かつ、スムーズにコーキング用ノズル1を矢符11の方向に移動させ、コーキング材3の塗布作業が可能となる。
また、矢符11の移動方向に対して後方側のガイド部材42により、コーキング材3と塗布面10との間に空気のボイドなどが発生してもそれを押しつぶすことで、除去することができる。同時にコーキング材3を塗布面10に押し付けることにより、均一の厚さと幅でコーキング材3を塗布することができる。
また、パネルの突き合わせ部に生じた隙間などにコーキング材を塗布して隙間を埋める場合には、その隙間にガイド部材42などが入り込むため、塗布むらを生じることなく十分均一に塗布することができる。
また、この隙間が多少曲がっていても、コーキング用ノズル1の移動方向をその曲がり具合に合わせる必要はなく、ガイド部材4が可撓性のため、自然にその隙間に入り込むように曲がることにより十分均一に塗布することができる。
また、隣接するガイド部材4の間には隙間5を設けているため、コーキング材3の吐出口2からの吐出量が多目の場合、この隙間5に入り込むことにより塗布面10への塗布量が押さえられる。また、コーキング材3の吐出口2からの吐出量が少な目の場合、この隙間5に溜まっていたコーキング材3が流れ出すことにより、自動的に補充されることにより塗布量が常に均一化される。すなわち、この隙間5を含むコーキング材3の貯留部6がコーキング材3の吐出される圧力及び流量を均一化させるためのバッファの役目を果たすことにより、吐出口2に押し出されるコーキング材3の圧力変動及び流量変動を抑制して均一化させることができる。
【0021】
以上、本発明のコーキング用ノズルについて、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、コーキング材3の硬度、粘性に合わせて、ガイド部材4の硬度、長さ、大きさ、隙間5の間隔などを適宜変更することができる。
また、上記実施例では、コーキング用ノズル1を矢符11の方向に移動させながらコーキング材の塗布方法を説明したが、コーキング用ノズル1を固定し、塗布面10を移動しても同様な効果を生じることはいうまでもないことである。
また、上記実施例では、塗布面10に対して、コーキング用ノズル1を直角に配置しているので、コーキング用ノズル1の移動方向は、図4に示した矢符11の方向に限られるものではなく、その逆方向、あるいは直角方向や斜め方向であっても、特にコーキング用ノズル1の方向を変化させることなく、そのままの角度で移動方向だけを変更することが可能で、これにより、目的に合わせたコーキング作業を行うことができる。
なお、図4における矢符11の方向のみのコーキング作業しか行わない場合には、図示しないが、コーキング用ノズル1を図4において右方向に傾斜させ、また、後方側のガイド部材42の長さをあらかじめ長目になるように設定すれば、ガイド部材4の屈曲量を少なくすることができるので、ガイド部材4の寿命を延ばすことも可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明のコーキング用ノズルは、塗布面を傷付けることなく、ノズルを塗布面に沿ってスムーズに移動することができ、コーキング材のはみ出しが防止され、かすれることもなく、塗布量が常時適量吐出されるようにすることができることから、パネルの突き合わせ部に生じた隙間、板材に膜材などを溶着した場合の膜材端面などにコーキング材を塗布することにより段差を解消するなどのコーキング作業の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 コーキング用ノズル
2 吐出口
3 コーキング材
4 ガイド部材
41 先端部
42 ガイド部材
5 隙間
6 貯留部
10 塗布面
11 矢符(移動方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布面にコーキング材を塗布するためのコーキング用ノズルであって、コーキング材を吐出する吐出口の周囲を可撓性部材で構成した複数のガイド部材で囲むようにしたことを特徴とするコーキング用ノズル。
【請求項2】
ガイド部材が円柱状部材からなることを特徴とする請求項1記載のコーキング用ノズル。
【請求項3】
隣接するガイド部材の間に隙間を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のコーキング用ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−104495(P2011−104495A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−260897(P2009−260897)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】