説明

コーティングされた水膨潤性材料を含む吸収性構造体

本発明は、コーティング剤でコーティングされた水膨潤性ポリマーを含む水膨潤性材料を含む吸収性構造体に関し、前記コーティング剤は相分離エラストマー材料を含み、このエラストマー材料は前記水膨潤性ポリマーが前記コーティングを破断せずに膨潤することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティングされた水膨潤性ポリマー、すなわち相分離エラストマー材料を含むコーティング剤でコーティングされた水膨潤性ポリマーを含有する水膨潤性材料を含む吸収性構造体に関し、この相分離エラストマー材料は前記水膨潤性ポリマーがそのコーティングを破断せずに膨潤することを可能にする。
【背景技術】
【0002】
おむつなどの使い捨て吸収性物品の重要な構成要素は、水膨潤性ポリマー、典型的には吸収性ゲル材料(absorbent gelling material)、AGM、又は超吸収性ポリマー(super-absorbent polymers)、すなわちSAPとも称されるヒドロゲル形成水膨潤性ポリマーを含む吸収性コア構造体である。このポリマー材料は、その使用時に大量の体液、例えば尿が前記物品によって確実に吸収されて閉じ込められることができるようにし、こうして低い再湿潤性及び良好な皮膚乾燥性を提供する。
【0003】
特に有用な水膨潤性ポリマー又はSAPは、最初に重合不飽和カルボン酸又はそれらの誘導体、例えばアクリル酸、アクリル酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム及び/若しくはカリウム)又はアンモニウム塩、アルキルアクリレートなどを、比較的少量のジ−若しくはポリ−官能性モノマー、例えばN,N’−メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジ(メト)アクリレート、又はトリアリルアミンの存在下で重合することによって製造されることが多い。ジ−若しくはポリ−官能性モノマー材料は、ポリマー鎖を軽く架橋させてそれによりそれらを非水溶性にし、さらには水膨潤性とする役割を果たす。これらの軽く架橋された吸収性ポリマーは、ポリマー主鎖に結合された多数のカルボキシレート基を含有する。中和されたカルボキシレート基が、その架橋されたポリマー網状組織による体液の吸収のための浸透性の駆動力を生ずるものと、一般に考えられている。
【0004】
加えて、ポリマー粒子は、特に乳幼児用おむつの用途のためのそれらの性能を改善するために、その外側表面上に表面架橋層を形成するように処理されることが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
使い捨ておむつなどの吸収性部材及び物品における吸収剤として有用な水膨潤性(ヒドロゲル形成)ポリマーは、十分に高い収着能と共に十分に高いゲル強度を有している必要がある。収着能は、その吸収性物品の使用時に遭遇するかなりの量の水性体液をその吸収性ポリマーが吸収できるために十分なだけ高い必要がある。ゲルの他の特性に加えて、ゲル強度は、膨潤したポリマー粒子が加えられた応力の下で変形するのに抵抗する傾向に関係する。ゲル強度は、吸収性部材又は物品において、その粒子が変形して、いわゆるゲルブロッキングを引き起こす許容できない程度まで毛管空隙を塞ぐことがないように十分高い必要がある。このゲルブロッキングは流体取り込み又は流体分配の速度を妨げ、すなわち、一旦ゲルブロッキングが起こると、吸収性物品の比較的乾燥した区域又は領域への流体の分配を実質的に遅らせる可能性があり、水膨潤性ポリマー粒子が十分に飽和され得る前に、又は流体がその「ブロッキング」粒子を通り過ぎて残りの吸収性物品へと拡散し若しくは運ばれ得る前に、吸収性物品からの洩れが起こり易くなる可能性がある。このように、水膨潤性ポリマーが(吸収性構造体又は物品に組み込まれた場合)高い湿潤多孔性を維持し、変形に対する高い抵抗性を有し、こうして膨潤したゲルベッドを通る流体の移送のための高い透過性を生ずることは、重要である。
【0006】
比較的高い透過性を有する吸収性ポリマーは、内部架橋又は表面架橋の程度を増加させて、着用者によって引き起こされる圧力のような外的な圧力による変形に対する膨潤ゲルの抵抗性を増大させることによって作製することができるが、このことはまた、望ましくないことに、典型的にはゲルの吸収能を減少させる。
【0007】
本発明者らは、表面架橋水膨潤性ポリマー粒子は表面架橋「シェル」によって束縛され、十分に吸収し及び膨潤することができないことが多いこと、及び/又はそのシェルは膨潤の応力又は負荷のかかった状態での実用(performance under load)に関連する応力に耐えるのに十分なだけ強くはないということを見出した。
【0008】
本発明者らは、水膨潤性ポリマーのコーティング又はシェル(当該技術分野において使用されるとき、表面架橋「コーティング」を包含する)は、ポリマーが著しく膨潤した場合に破断すること、又はその「コーティング」はある期間の間膨潤した状態におかれた後で破断することを見出した。本発明者らはまた、その結果として、コーティングされた及び/若しくは表面架橋された水膨潤性ポリマー又は当該技術分野において公知の超吸収性材料が使用時に著しく変形し、これにより湿潤状態におけるゲルベッドの多孔性及び浸透性が比較的低くなることを見出した。本発明者らは、このことがこうしたポリマー材料の最適な吸収性、液体分配、又は強度性能にとって不利になり得ることを見出した。
【0009】
こうして、本発明者らは、必要とされているものは、湿潤状態において力を及ぼすことができ、典型的な使用条件下でポリマーが体液で膨潤した場合に破裂しないコーティングを有する、コーティングされた水膨潤性ポリマーを含む水膨潤性材料であることを見出した。本発明の状況では、本発明者らは、尿などの体液の良好な代替物として、0.9重量%塩化ナトリウム(食塩水)水溶液(さらには「0.9%食塩水」とも呼ばれる)を使用することができることを見出した。それ故に、本発明者らは、材料が0.9%食塩水で膨潤した場合にコーティングが実質的に破裂しない、コーティングされた水膨潤性材料が必要とされていることを見出した。
【0010】
本発明者らは、水膨潤性材料を特定のエラストマー材料でコーティングすることが有益であることを見出した。しかしながら、本発明者らは、すべてのエラストマー材料がコーティング剤としてのあらゆる用途に好適であるわけではないことを見出したが、それは幾つかの材料は乾燥状態において良好な伸張性を有するが湿潤状態においては良好な伸張性を有さないからである。
【0011】
本発明者らは、上述の特性及び利益を提供するために、エラストマー材料が相分離している必要があり、典型的には、少なくとも2つの異なるガラス転移温度を有する必要があり、例えば典型的に第1のガラス転移温度Tgを有する少なくとも第1のソフトな相及び第2のガラス転移温度Tgを有する第2のハードな構成要素を有する必要があることを見出した。
【0012】
本発明者らは、ヒドロゲルポリマーの内部コアが膨潤した場合に、相分離エラストマーポリマーを有するこの特定のコーティングは延伸し、実質的に完全なままである、すなわち破断することがないということを見出した。
【0013】
このことは、エラストマー材料の凝集性と相分離材料の破断に対する高い伸張性に起因すると考えられる。
【0014】
本発明者らはまた、水膨潤性ポリマーの周りのコーティングが本明細書の下記で定義するように通気性であり、コーティング剤から形成されるコーティングが通気性であることが有利であることを見出した。
【0015】
本発明者らは更に、湿潤状態における高い伸張性を付与するためには、コーティング剤を適用し及び/又はその後にそのコーティング剤を処理するプロセスが重要である場合が多いことを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明はコーティング剤でコーティングされた水膨潤性ポリマーを含む水膨潤性材料を含む吸収性構造体を提供し、前記コーティング剤は、相分離しているエラストマー材料であって、少なくとも、第1のガラス転移温度Tgを有する第1の相と第2のガラス転移温度Tgを有する第2の相とを有し、好ましくはTgとTgの差が少なくとも30℃であるエラストマー材料を含む。
【0017】
本発明はまた、コーティング剤でコーティングされた水膨潤性ポリマーを含む水膨潤性材料を含む吸収性構造体を提供し、前記水膨潤性材料は次の工程:
a)水膨潤性ポリマー粒子を得る工程;
b)工程a)と同時に又は工程a)の後に、前記水膨潤性ポリマー粒子の少なくとも一部にコーティング剤を適用する工程;所望により
c)工程b)で得られたコーティングされた水膨潤性ポリマー粒子をアニーリングして水膨潤性材料を得る工程;
を含むプロセスによって得ることが可能であり、
ここで、工程b)の前記コーティング剤は、少なくとも、第1のガラス転移温度Tgを有する第1の相と第2のガラス転移温度Tgを有する第2の相とを有し、好ましくはTgとTgの差は少なくとも30℃であるエラストマー相分離材料を含む。
【0018】
こうして、本発明は次のプロセス:
a)水膨潤性ポリマー粒子を得る工程;
b)工程a)と同時に又は工程a)の後に、前記水膨潤性ポリマー粒子の少なくとも一部に本明細書に記載される前記コーティング剤を適用する工程;所望により、
c)工程b)で得られたコーティングされた水膨潤性ポリマー粒子をアニーリングする工程、
d)工程b)又はc)で得られた水膨潤性材料を吸収性構造体に組み込む工程
によって得ることが可能である吸収性構造体を提供する。
【0019】
吸収性構造体は、おむつ、トレーニングパンツ、生理用ナプキン、パンティライナー若しくはタンポンなどの使い捨て吸収性物品であってよく、又は吸収性構造体はこのような吸収性物品の一部であってよく、例えば、吸収性構造体は、おむつ、トレーニングパンツ、生理用ナプキン若しくはパンティライナーのいわゆる獲得層、収納層、及び/又は吸収性コアであってよい。
【0020】
一般に、エラストマー相分離材料は、室温よりも低い、例えば25℃未満のTgを有するが、本明細書ではTgは20℃未満、又は更には0℃未満であることが好ましく、及びTgは室温よりも高い、好ましくは50℃超過、又は更には60℃超過であることが好ましい。
【0021】
エラストマー材料は、好ましくは重量平均分子量が、当該技術分野において公知であるような多角度レーザー光線散乱検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって決定し得る場合、少なくとも50kDa、好ましくは少なくとも70kDaである相分離ブロックコポリマー材料である。
【0022】
コーティング剤及び/又は前記エラストマー材料は、好ましくは湿潤延伸性であり、(本明細書の試験方法によって決定した場合の)破断時の湿潤伸張が少なくとも400%であり、湿潤状態における破断時の引張応力が少なくとも1MPa、又は更には少なくとも5MPaであり、及び好ましくは湿潤状態で、400%延伸時における湿潤割線弾性率が少なくとも0.25MPa、好ましくは少なくとも0.50MPa、より好ましくは少なくとも約0.75MPa、又は更には少なくとも約2MPa、最も好ましくは少なくとも3MPaである。
【0023】
好ましくは、(下記の試験方法で記述されるようにフィルムへと作製される)コーティング剤及び/又は湿潤延伸性エラストマー材料は、乾燥状態における、400%伸張時における乾燥割線弾性率(SMdry400)及び湿潤割線弾性率(SMwet400%)を有し、ここでSMwet400%のSMdry400%に対する比は1.4〜0.6である。
【0024】
コーティング剤から形成されるコーティングは、好ましくは通気性であり、このことは本発明の目的に関しては本明細書のフィルムが(下記で記述されるMVTR試験方法に記載されるように)好ましくは少なくとも800g/m/日、又は好ましくは少なくとも1200g/m/日、又は更には少なくとも1500g/m/日、又は好ましくは少なくとも2100g/m2/日の水蒸気透過速度を有することを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(吸収性構造体)
本発明の吸収性構造体は、尿又は血液などの液体を吸収して保持するために使用される、あらゆる吸収性構造体であってよい。
【0026】
吸収性構造体は典型的に、好ましくは陰唇間製品、生理用ナプキン、パンティライナー、好ましくは成人用失禁製品、乳幼児用おむつ、及びトレーニングパンツなどの使い捨て吸収性物品であり、又は典型的にそれら使い捨て吸収性物品の一部を形成する。
【0027】
吸収性構造体が使い捨て吸収性物品の一部である場合には、本発明の吸収性構造体は典型的には、吸収性物品の体液を蓄える役割を果たす部分、例えば吸収性物品の収納層である。当該技術分野で公知であるように、これは獲得層と直接接触していてもよく、又は本発明の一実施形態では、獲得層と共に一体の構造体を形成していてもよい。本発明の更に別の実施形態では、吸収性構造体は吸収性物品で使用するための獲得層である。
【0028】
吸収性構造体は水膨潤性材料からなり、必要とされる構造へと成形される構造体であってよく、又は好ましくは、当該技術分野で吸収性構造体のために使用されているもののような追加の構成成分を含んでいてよい。
【0029】
吸収性構造体は本明細書の水膨潤性材料をいかなる重量レベル又は濃度で含んでいてもよい。例えば、吸収性構造体はまた、発泡体、フィルム、織布ウェブ及び/又は不織布ウェブなどの1つ以上の支持材料又はラッピング材料を含んでいてもよい。好ましくは、特に吸収性構造体が上記の吸収性物品の収納層である場合、又は吸収性構造体が収納層の役割をする層を含んでいる場合、この構造体又は層は本明細書の水膨潤性材料を、構造体の可能性のある他の構成成分と比較して大量に、好ましくは構造体の50重量%超過、又は更には70重量%超過、又は更には80重量%超過を含み、又は更により好ましくは構造体の90重量%超過の本明細書の水膨潤性材料を含む。
【0030】
それは、あるいは又はさらには、構造剤若しくはマトリックス剤、例えば接着剤を含んでいてもよく、又は例えば水膨潤性材料は吸収性繊維性材料、例えば水膨潤性材料を不動化するためにマトリックスを提供できるエアフェルト材料と混合されてもよい。しかしながら、この吸収性構造体では、好ましくは比較的少量の吸収性繊維性(セルロース)材料が使用される。こうして、吸収性構造体が液体収納層である場合、又は吸収性構造体が1つ以上の液体収納層を含んでいる場合には、前記液体構造体又は前記液体収納層は大量の本明細書の水膨潤性材料を含み、ごく少量の吸収性(セルロース)繊維を含んでいるか若しくは吸収性(セルロース)繊維を含まないのが好ましい場合があり、例えば好ましくはその層の40重量%未満、又は更には20重量%未満、又は更には10重量%未満、又は更には5重量%未満の吸収性繊維性(セルロース)材料、好ましくは50重量%超過、又は更には70重量%超過、又は更には80重量%超過、又は更には90重量%超過の本明細書の水膨潤性材料を含む。好ましくは、水膨潤性材料と吸収性繊維、好ましくはあらゆる他のマトリックス剤との重量比は、少なくとも1:1、好ましくは少なくとも3:2、又は更には少なくとも2:1、又は更により好ましくは少なくとも3:1、又は更により好ましくは少なくとも4:1である。
【0031】
好ましくは、吸収性構造体は少なくとも、水膨潤性材料(を含む部分)を包むラッピング材料、いわゆるコアラップ材料を含む。1つの好ましい実施形態では、コアラップ材料は最上層及び最下層を含み、後者は使用者の皮膚から最も遠く、ここでコアラップ材料全体又は最上層及び/又は最下層は、例えばスパンボンド、メルトブローン及び/又はカーディング不織布などの不織布材料から供給することができる。1つの好ましい材料は、スパンボンド層、メルトブローン層、及び更なるスパンボンド層を含むいわゆるSMS材料である。永久的に親水性の不織布、特に耐久性の親水性コーティングを有する不織布が極めて好ましい。他の好ましい材料は、SMMS構造を含む。最上層及び最下層は、別個の2シート以上の材料から供給してもよく、又は単一シートの材料から供給してもよい。
【0032】
好ましい不織布材は、PE、PET、及び最も好ましくはPPなどの合成繊維から供給される。不織布製品に使用されるポリマーは本来疎水性であるので、それらは好ましくは親水性コーティングでコーティングされ、例えば当該技術分野で公知のナノ粒子でコーティングされる。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、吸収性構造体は、ラッピング材料、本明細書に記載される水膨潤性材料及び熱可塑性材料、並びに/又は接着剤及び/若しくは熱可塑性接着剤(これは接着剤の(非吸収性)繊維層であってもよい)を含む。
【0034】
好ましい吸収性構造体は、例えば次のように作製できる:
a)ラッピング材料として機能できる基材材料を準備すること;
b)本明細書の水膨潤性材料を前記基材材料の第1の表面上に、好ましくは水膨潤性材料を実質的に含まない少なくとも1つの領域を含むパターン、及び水膨潤性材料を含む少なくとも1つの領域を含むパターンで、好ましくは水膨潤性材料を有する別々の領域の間に開口が形成されるように付着させること;
c)熱可塑性材料を前記基材材料の第1の表面上及び前記水膨潤性材料上に、前記熱可塑性材料の一部が前記基材の第1の表面に直接接触し及び前記熱可塑性材料の一部が前記水膨潤性材料に直接接触するように、付着させる工程;
d)次に典型的には、前記基材材料を上記を覆って折り畳むことによって、又は別の基材物質を上記を覆って配置することによって上記を閉じること。
【0035】
本発明の吸収性構造体を含む好ましい使い捨て吸収性物品は、生理用ナプキン、パンティライナー、成人用失禁製品、及び乳幼児用おむつ又はトレーニングパンツ若しくはプルオンパンツであり、ここで、尿を吸収する働きをする物品、例えば成人用失禁製品、おむつ及びトレーニングパンツ若しくはプルオンパンツが本明細書で最も好ましい物品である。
【0036】
本明細書で好ましい物品は、トップシート及びバックシートを有し、そのそれぞれが前側部、後側部、及びそれらの間に位置決めされた股部を有している。本発明の吸収性構造体は典型的にトップシートとバックシートの間に位置決めされる。好ましいバックシートは蒸気透過性であるが液体不透過性である。好ましいトップシート材料は少なくとも部分的に親水性であり、いわゆる有孔トップシートもまた好ましい。トップシートがスキンケア組成物、例えばローションを含んでいるのが好ましいこともある。
【0037】
これらの好ましい吸収性物品は典型的には液体不透過性の(しかし好ましくは空気又は水蒸気透過性の)バックシート、そのバックシートに接合され又は他の態様で関連付けられた流体透過性トップシートを含む。こうした物品は当該技術分野で周知であり、本記述全体に渡って言及される様々な文書に十分に開示されている。
【0038】
本明細書の水膨潤性材料は非常に高い吸収能を有するので、本明細書の吸収性物品ではこの材料をごく少ないレベルで使用することが可能である。こうして本発明の吸収性構造体を含む薄い吸収性物品、例えば成人用及び乳幼児用おむつ、トレーニングパンツ、生理用ナプキンが好ましく、これらの物品は股部における平均のキャリパー(厚さ)が1.0cm未満、好ましくは0.7cm未満、より好ましくは0.5cm未満、又は更には0.3cm未満である(この目的だけに関しては、股部は、平らに及び広げておいた場合、物品の長さの20%の寸法及び物品の幅の50%の寸法を有する、製品の中央領域として定義される)。
【0039】
本明細書で好ましいおむつは、前側ウエストバンド及び後側ウエストバンドを有し、ここでその前側ウエストバンド及び後側ウエストバンドはそれぞれ、第1の端部及び第2の端部並びにそれらの端部の間に配置された中間部を有しており、好ましくは、それらの端部はそれぞれ前記前側ウエストバンドを後方ウエストバンドに締結するための締結システムを含み、又は好ましくは、それらの端部は互いに連結され、後側ウエストバンドの中間部及び/又はバックシートの後側部及び/又はバックシートの股部はランディング部材、好ましくはループ、フック、スロット、スリット、ボタン、マグネットから選択される第2の係合要素を含むランディング部材を含んでいる。フック、接着剤又は粘着剤の第2の係合要素が最も好ましい。物品、又は好ましくはおむつ上の係合要素には、それらがある瞬間においてだけ係合できることを確実にするための手段が設けられているのが好ましい場合があり、例えばそれらは除去可能なタブで覆われていてもよく、そのタブは係合要素が係合されるときには取り外され、上述のようにもはや係合が必要でなくなった場合には再び閉じられてよい。
【0040】
本明細書で好ましいおむつ及びトレーニングパンツは、当該技術分野において公知のような1組以上の脚部弾性体及び/又はバリアレグカフを有している。
【0041】
トップシートが開口、好ましくはその長さに沿って弾性手段を有する開口を有していることがまた好ましい場合があり、この開口を通って排泄物が吸収性構造体の上部の空隙に抜けることができ、このことが排泄物がこの空隙において着用者の皮膚から確実に隔離されるようにする。
【0042】
(水膨潤性材料)
本明細書の水膨潤性材料は水を吸収することによって水で膨潤するようになされており、それによりゲルを形成してもよい。それはまた他の液体を吸収して膨潤してもよい。このように、本明細書で使用するとき、「水膨潤性」とはその材料が少なくとも水で膨潤するが、典型的には他の液体又は溶液、好ましくは水系の液体例えば0.9%食塩水でも膨潤することを意味する。
【0043】
本明細書の水膨潤性材料は、後述のようなコーティング剤でコーティングされた水膨潤性ポリマーを含む。水膨潤性材料はまた、コーティングされていない水膨潤性ポリマーをも含有していてよい。しかしながら、コーティングされた水膨潤性ポリマーは、好ましくは(水膨潤性材料の)少なくとも20重量%、より好ましくは50重量%〜100重量%、又は更には80重量%〜100重量%、最も好ましくは90重量%〜100重量%のレベルで存在する。
【0044】
コーティングされた水膨潤性ポリマーは、他の構成成分、例えば繊維、(繊維性)のり(glues)、有機又は無機の増量材料、又は流動助剤、加工助剤、固化防止剤、悪臭抑制剤、着色剤、湿潤粘性を付与するためのコーティング、親水性の表面コーティングなどと混合された本明細書の水膨潤性材料中に存在してもよい。
【0045】
コーティング剤は、得られるコーティング層が好ましくは薄く、好ましくはこのコーティング層の平均キャリパー(厚さ)が1ミクロン(μm)〜100ミクロン、好ましくは1ミクロン〜50ミクロン、より好ましくは1ミクロン〜20ミクロン、又は更には2〜20ミクロン、又は更には2〜10ミクロンとなるように適用される。
【0046】
コーティングはキャリパー及び/又は形状が均一であるのが好ましい。好ましくは、平均キャリパーは、最小キャリパーと最大キャリパーの比が1:1〜1:5、好ましくは1:1〜1:3、又は更には1:1〜1:2、又は更には1:1〜1:1.5であるようになされる。
【0047】
コーティング剤のレベルはコーティングされるポリマーのレベルによって決まるが、典型的にはコーティング剤は水膨潤性材料の0.5重量%〜40重量%、より好ましくは1重量%〜30重量%、又は更には1重量%〜20重量%、又は更には2重量%〜15重量%のレベルで存在する。
【0048】
水膨潤性材料は典型的には、得られる材料が固体であるような本明細書に記載のプロセスによって得ることが可能であり、これはゲル、フレーク、繊維、凝集体、大きなブロック、粒剤、粒子、球体、及び後述する水膨潤性ポリマーのために当該技術分野で公知の他の形態を包含する。
【0049】
好ましくは、この材料は質量中央粒径が、例えばEP−A−0691133に記載されている方法によって測定され得る場合、10ミクロン〜2mm、又は更には50ミクロン〜1mm、又は好ましくは100μm〜800μmである粒子の形態である。
【0050】
本明細書の一実施形態では、本明細書の水膨潤性材料は、10μm〜1200μm、又は更には50μm〜800μmの粒径、100〜800μm若しくは好ましくは更に〜600μmの質量中央粒径を有する(自由流動)粒子の形態である。
【0051】
加えて、又は本明細書の他の実施形態においては、水膨潤性材料は実質的に球状の粒子を含んでいる。
【0052】
本明細書における更に別の好ましい実施形態では、本明細書の水膨潤性材料は、比較的狭い範囲の粒径を有しており、粒子の大部分(例えば少なくとも80%、又は好ましくは少なくとも90%、又は更には少なくとも95%)が50μm〜800μm、好ましくは100μm〜600μm、更により好ましくは200μm〜600μmの粒径を有している。
【0053】
本明細書の水膨潤性材料は、好ましくは20重量%未満の水、又は更には10重量%未満、又は更には8重量%未満、又は更には5重量%未満の水を含み、又は更には水を全く含まない。水膨潤性材料の水分含有量は、水膨潤性材料を105℃において3時間乾燥させ乾燥後の水膨潤性材料の重量損失によって水分含有量を決定することを伴う、エダナ(Edana)試験、ERT430.1−99番(1999年2月)によって決定することができる。
【0054】
下記で更に詳細に説明するように、本明細書の水膨潤性材料は典型的に、いわゆるコア−シェル粒子の形態となるように作製され、水膨潤性ポリマー(類)は内部構造又はコア中に存在し、コーティング剤は水膨潤性ポリマーの周りにコーティングシェルを形成する。
【0055】
本明細書の1つの好ましい実施形態では、コーティングは水膨潤性ポリマー(コア)の周りの実質的に連続したコーティング層又はシェルであり、前記コーティング層はポリマー(類)の表面全体を覆っており、すなわちポリマーの表面(コア表面)に露出されている領域はない。これにより、後述するように、水膨潤性材料が液体で膨潤すると、「コア」中の水膨潤性ポリマーの周りに最大の接線力が及ぼされると考えられる。特にこの実施形態では、コーティング材料及び得られるコーティングは、液体の水膨潤性材料への(コアへの)急速な浸透/吸収を可能にすることなどのために好ましくは極めて水透過性である。
【0056】
本明細書の他の実施形態では、コーティングシェル又は層は多孔質であり、例えば、繊維性網状構造(例えばこの網状構造は本明細書に定義されるように粒子と結合され及び粒子を取り囲んでいる)の形態のような水の浸透のための細孔を含む網状構造の形態の、多孔質である。
【0057】
換言すれば、本明細書のプロセスにおいて形成される得られるコーティング又はコーティング層若しくはシェルは、パスワイズ連結され(pathwise connected)、より好ましくはコーティング層はパスワイズ連結されて水膨潤性ポリマー(類)を包み込んでいる(完全に取り囲んでいる)(例えば、E.W.ワインシュタイン(E.W.Weinstein)ら、マスワールド−「カプセル化」及び「パスワイズ連結」に関するウォルフラムウェブリソース(Mathworld-A Wolfram Web Resource for‘encapsulation’and‘pathwise connected’)参照)。
【0058】
コーティング層は、好ましくは水膨潤性ポリマー(類)(の「コア」)の表面上でパスワイズ連結された(pathwise connected)完全な面である。この完全面は、コーティング剤が存在し例えば網状構造のようにパスワイズ連結された(pathwise connected)第1の領域からなり、コーティング剤は存在せず例えばミクロ細孔であり、ばらばらの集合体である第2の領域を含んでいてもよい。好ましくは、各第2の領域、例えばミクロ細孔は、表面積が0.1mm未満、又は更には0.01mm未満、好ましくは8000μm未満、より好ましくは2000μm未満であり、更により好ましくは80μm未満である。
【0059】
第2の領域が存在せず、コーティング剤が水膨潤性ポリマー(類)の周りに完全なカプセル化を形成しているのが最も好ましい。
【0060】
水膨潤性材料が水膨潤性ポリマーを2度以上コーティングすることによって得ることが可能なコーティング剤(シェル)の2つ以上の層を含んでいるのが好ましい場合もある。これは同じコーティング剤であっても異なるコーティング剤であってもよい。
【0061】
本明細書のプロセスにより作製される特に好ましい水膨潤性材料は、下記で概略を説明するシリンダー遠心分離保持能力(Cylinder Centrifugation Retention Capacity)(CCRC)試験によって測定される、高い収着能を有する。
【0062】
本明細書のプロセスで作製される特に好ましい水膨潤性材料は、米国特許第5,599,335号、米国特許第5,562,646号、及び米国特許第5,669,894号に開示されているSFC試験によって測定できるような、液体に対する高い浸透性を有し、これらの特許はすべて参考として本明細書に組み込まれる。
【0063】
本発明のプロセスで作製される最も好ましい水膨潤性材料は、高い浸透性(SFC)及び高い湿潤多孔性(コーティング剤の使用により増大する)と組み合わせて、好ましくは下記で概略を説明するCCRC試験によって測定されるような高い吸着能を有する。
【0064】
加えて、本明細書のプロセスにより作製される特に好ましい水膨潤性材料は、高い湿潤多孔性を有する(すなわち、このことは一旦一定量の本明細書の水膨潤性材料が液体を吸収して膨潤できるようになされると、それは、特にコーティングされていない水膨潤性ポリマーと比較してある一定の湿潤多孔性を有する(ヒドロ)ゲル又は(ヒドロ)ゲルベッドを通常形成するということを意味しており、この場合、このことは本明細書で説明されるSFC試験(又は参考として本明細書に組み込まれる米国特許第5,562,646号に開示されているPHL試験;水膨潤性材料及び水膨潤性ポリマーがこの試験方法に記載されているのと異なる圧力で試験されるべき場合には、この試験で使用される重量はそれに応じて調節されなければならない)によって測定できる)。
【0065】
コーティング剤の使用は本明細書の水膨潤性材料の湿潤多孔性を、コーティングされていない水膨潤性ポリマーと比較して増大させることが好ましく、好ましくはこの増大は少なくとも50%、又は更には少なくとも100%、又は更には少なくとも150%である。より好ましくは、本明細書のコーティングされた水膨潤性材料の湿潤多孔性は、圧力下で、例えば着用者によって引き起こされる圧力下で増大する。
【0066】
(水膨潤性ポリマー)
本明細書の水膨潤性ポリマーは、固体、好ましくは粒子(例えばフレーク、繊維、粒塊の形態の粒子を包含する)の形態の固体であるのが好ましく、最も好ましくは、それらのポリマーは上記で水膨潤性材料に対して特定したような質量中央粒径を有する粒子である。水膨潤性ポリマーは上記でコーティングされた材料に対して引用した質量中央粒径及び分布並びにコーティングの厚さ(キャリパー)を有していてよいが、本発明の目的に関する場合、コーティングの厚さは無視でき(例えば2〜20ミクロン)、水膨潤性ポリマーは典型的には、上記でコーティングされた材料に関して引用したのと同じ質量中央粒径/分布を有する。
【0067】
本明細書で使用するとき、用語「水膨潤性ポリマー」とは、実質的に非水溶性、水膨潤性であり、好ましくは水ゲル化してヒドロゲルを形成し、典型的には下記で定義されるようなシリンダー遠心分離保持能力(Cylinder Centrifuge Retention Capacity)(CCRC)が少なくとも10g/gであるポリマーを言う。これらのポリマーはまた、当該技術分野で(超)吸収性ポリマー(SAP)又は吸収性ゲル材料(AGM)とも呼ばれることも多い。
【0068】
これらのポリマーは典型的に(軽く)架橋されたポリマーであり、好ましくは軽く架橋された親水性ポリマーである。これらのポリマーは一般に非イオン性、カチオン性、双性イオン性、又はアニオン性であってよいが、好ましいポリマーはカチオン性又はアニオン性である。カルボン酸基などの多数の酸官能基、又はそれらの塩、好ましくはナトリウム塩を含有する酸ポリマー類が特に好ましい。本明細書で使用するのに好適な酸ポリマーの例としては、重合可能な酸含有モノマー又は重合後に酸基へと変換できる官能基を含有するモノマーから調製されるものが挙げられる。こうしたモノマーには、オレフィン系不飽和カルボン酸及び無水物、並びにこれらの混合物が挙げられる。酸ポリマーはオレフィン系不飽和モノマーから調製されないポリマーも含むことができる。こうしたポリマーの例としてはまた、多糖類系ポリマー、例えばカルボキシメチルデンプン及びカルボキシメチルセルロース、並びにポリ(アスパラギン酸)などのポリ(アミノ酸)系ポリマーが挙げられる。ポリ(アミノ酸)吸収性ポリマーの説明に関しては、例えば、米国特許第5,247,068号(ドナシー(Donachy)ら、1993年9月21日発行)を参照のこと。
【0069】
上記に引用した特許及び以下で引用する文書はすべて参考として本明細書に組み込まれる。
【0070】
幾つかの非酸モノマーもまた、通常は微量で、本明細書の吸収性ポリマーの調製において包含されることができる。こうした非酸モノマーとしては、例えば、以下の種類の官能基を含有するモノマーを挙げることができる:カルボキシレート又はスルホネートエステル、ヒドロキシル基、アミド基、アミノ基、ニトリル基、第四級アンモニウム塩基、及びアリール基(例えば、スチレンモノマーから誘導されるもののようなフェニル基)。他の任意の非酸モノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、ブタジエン、及びイソプレンなどの不飽和炭化水素が挙げられる。これらの非酸モノマーは周知の物質であり、例えば、米国特許第4,076,663号(マスダ(Masuda)ら、1978年2月28日発行)、及び米国特許第4,062,817号(ウェスターマン(Westerman)、1977年12月13日発行)に更に詳細に記載されている。
【0071】
本明細書で有用なオレフィン系不飽和カルボン酸及び無水モノマーとしては、アクリル酸そのものによって代表されるアクリル酸類、メタクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、アンゲリカ酸、ケイ皮酸、p−クロロケイ皮酸、β−ステアリルアクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸(citroconic acid)、メサコン酸、グルタコン酸、アコニット酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレン、及び無水マレイン酸が挙げられる。
【0072】
好ましい水膨潤性ポリマーは、上述のカルボン酸/カルボキシレート含有基のようなカルボキシル基を含有する。これらのポリマーとしては、加水分解デンプン−アクリロニトリルグラフトコポリマー類、部分的に中和された加水分解デンプン−アクリロニトリルグラフトコポリマー類、デンプン−アクリル酸グラフトコポリマー類、部分的に中和されたデンプン−アクリル酸グラフトコポリマー類、加水分解酢酸ビニルアセテート−アクリルエステルコポリマー類、加水分解アクリロニトリル又はアクリルアミドコポリマー類、前述のコポリマー類のいずれかのわずかに網状架橋されたポリマー類、ポリアクリル酸、及びポリアクリル酸のわずかに網状架橋されたポリマー類が挙げられる。これらのポリマーは単独で、又は2以上の異なるポリマーの混合物の形態で用いることができる。これらのポリマー材料の例は、米国特許第3,661,875号、米国特許第4,076,663号、米国特許第4,093,776号、米国特許第4,666,983号、及び米国特許第4,734,478号に開示されている。
【0073】
本明細書の水膨潤性ポリマーの製造に使用される最も好ましいポリマー材料は、ポリアクリレート類/アクリル酸類及びそれらの誘導体、好ましくは(わずかに)網状架橋されたポリマー類、その部分的に中和されたポリアクリル酸類及び/又はデンプン誘導体類である。
【0074】
本明細書のプロセスにおいては部分的に中和された重合アクリル酸を使用するのが好ましい場合がある。
【0075】
本明細書で有用な水膨潤性ポリマーはいずれかの重合及び/又は架橋技術によって形成することができる。これらのポリマーを製造するための典型的なプロセスは、米国再発行特許第32,649号(ブラント(Brandt)ら、1988年4月19日発行)、米国特許第4,666,983号(ツバキモト(Tsubakimoto)ら、1987年5月19日発行)、及び米国特許第4,625,001号(ツバキモトら、1986年11月25日発行)、米国特許第5,140,076号(ハラダ(Harada));米国特許第6,376,618B1号、米国特許第6,391,451号、及び米国特許第6,239,230号(ミシェル(Mitchell));米国特許第6,150,469号(ハラダ)に記載されている。架橋は好適な架橋モノマーの組み込みによって重合時に作用され得る。あるいは、ポリマーは好適な反応性架橋剤との反応により重合後に架橋され得る。初期に形成されるポリマーの表面架橋は、吸収能、多孔性、及び浸透性をある程度まで制御するために好ましい方法である。
【0076】
水膨潤性ポリマーはまた、本明細書のプロセスのコーティング工程の前に、コーティング工程と同時に、又はコーティング工程の後に表面架橋されてもよい。本発明に従う吸収性ポリマーの表面架橋を行うのに好適な一般方法は、米国特許第4,541,871号(オバヤシ(Obayashi)、1985年9月17日発行);PCT国際特許出願公開WO92/16565(published PCT application WO92/16565)(スタンレー(Stanley)、1992年10月1日公開);PCT国際特許出願公開WO90/08789(published PCT application WO90/08789)(タイ(Tai)、1990年8月9日公開);PCT国際特許出願公開WO93/05080(published PCT application WO93/05080)(スタンレー、1993年3月18日公開);米国特許第4,824,901号(アレクサンダー(Alexander)、1989年4月25日発行);米国特許第4,789,861号(ジョンソン(Johnson)、1989年1月17日発行);米国特許第4,587,308号(マキタ(Makita)、1986年5月6日発行);米国特許第4,734,478号(ツバキモト(Tsubakimoto)、1988年3月29日発行);米国特許第5,164,459号(キムラ(Kimura)ら、1992年11月17日発行);ドイツ特許出願公開第4,020,780号(published German patent application 4,020,780)(ダーメン(Dahmen)、1991年8月29日公開);米国特許第5,140,076号(ハラダ(Harada))、米国特許第6,376,618B1号、米国特許第6,391,451号、及び米国特許第6,239,230号(ミシェル(Mitchell))、米国特許第6,150,469号(ハラダ)、及び欧州特許出願公開第509,708号(published European patent application 509,708)(ガートナー(Gartner)、1992年10月21日公開)に開示されている。
【0077】
最も好ましくは、水膨潤性ポリマーは約50%〜約95%(モルパーセント)、好ましくは約75モル%中和された、(わずかに)架橋された、ポリアクリル酸(すなわち、ポリ(アクリル酸ナトリウム/アクリル酸))を含む。架橋は、ポリマーを実質的に非水溶性にし、部分的に、吸収性ポリマーの吸収能及び抽出可能なポリマー内容物の特性を決定する。これらのポリマーを架橋するプロセス及び典型的なバルク架橋剤は、米国特許第4,076,663号に詳細に記載されている。
【0078】
水膨潤性ポリマーは、1種類(すなわち、均質)であるのが好ましいが、水膨潤性ポリマー類の混合物もまた本明細書で用いることができる。例えば、デンプン−アクリル酸グラフトコポリマー類とポリアクリル酸のわずかに網状架橋されたポリマー類との混合物も本明細書で用いることができる。異なる物理特性、所望により異なる化学特性をも有する、例えば本明細書に参考として組み込まれる米国特許第5,714,156号に開示されているような、例えば異なる平均粒径、吸収能、吸収速度、SFC値を有する(コーティングされた)ポリマーの混合物も使用され得る。
【0079】
本明細書の水膨潤性ポリマーは、コーティング前に、少なくとも30g/g、好ましくは少なくとも40g/g、より好ましくは少なくとも50g/gのシリンダー遠心分離保持能力(Cylinder Centrifuge Retention Capacity)(CCRC)を有する。
【0080】
水膨潤性ポリマーは好ましくは、少量の抽出可能物、好ましくは(ポリマーの)15重量%未満、より好ましくは10重量%未満、最も好ましくは5重量%未満の抽出可能物、又は更には3重量%未満(1時間の試験値)を有する。抽出可能物及びそれらのレベル並びにその測定は、例えば米国特許第5,599,335号、米国特許第5,562,646号、又は米国特許第5,669,894号に更に記載されている。
【0081】
(コーティング剤及びそのエラストマー相分離材料)
本明細書のコーティング剤は相分離している少なくとも1つのエラストマー材料を含む。
【0082】
「エラストマー(Elastomeric)」とは、本明細書で使用するとき、その材料が応力誘引性の変形を示し、この変形が前記応力の除去時に部分的に又は完全に逆行することを意味する。(フィルムに成形される)エラストマー材料の好ましい引張特性は、破断に対する湿潤及び乾燥伸張性及び400%伸張時の割線弾性率を決定するために本明細書に規定された試験方法に従って測定されてよい。
【0083】
「相分離(Phase-separating)」エラストマー材料とは、本明細書で使用するとき、エラストマー材料のフィルムが(すなわちコーティング剤での使用及び水膨潤性ポリマーへの適用の前に)、少なくとも2つの別々に離間した相を有していることを意味し、それらの相はそれらの熱力学的な不適合性のために互いに異なっており分離している。
【0084】
それらの不適合性の相はエラストマー材料の1種類のみの繰り返し単位又はセグメントの集合体からなる。これは例えばエラストマー材料がブロック(又はセグメント)コポリマーか、又は2つの不混和性のポリマーのブレンドである場合に起こり得る。相分離の現象は、例えば熱可塑性エラストマー(Thermoplastic Elastomers):総論(A Comprehensive Review)、レッジ,N.R.(Legge,N.R.)、ホールデン,G.(Holden,G.)、シュローダー,H.E.(Schroeder,H.E.)編、1987年、第2章に記載されている。
【0085】
典型的には、相分離はブロックコポリマーにおいて起こり、室温よりも低い(すなわち25℃よりも低い)Tgを有するコポリマーのセグメント又はブロックはソフトセグメント又はソフトブロックであると言われ、室温よりも高いTgを有するコポリマーのセグメント又はブロックはハードセグメント又はハードブロックであると言われる。
【0086】
Tgは、本明細書で言及するように、加熱時に材料が経験する特定の熱の変化を測定するための示差走査熱量計(DSC)によって測定されてよい。DSCは試料の温度を不活性対照物質(例えばインジウム)の温度と同じになるように維持するために必要なエネルギーを測定する。Tgは基線の傾きにおける吸熱変化の中間点から決定される。Tg値は試料中のあらゆる残留溶媒が除去されるように2度目の加熱サイクルから報告される。
【0087】
加えて、相分離はまた、特に1つの相が優先的に染色できる場合には電子顕微鏡によって視覚化することもできる。本明細書で後述される好ましい熱可塑性ポリウレタンのモルホロジー(相分離挙動)を特徴付けするのに特に有用な技術として、原子間力顕微鏡もまた記載されてきた。
【0088】
本明細書のエラストマー材料は、異なるガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも2つの相を含んでおり、第2の相のTgよりも低いTgを有する少なくとも第1の相を含み、その差は少なくとも30℃である。
【0089】
好ましくは、エラストマー材料は、25℃未満、好ましくは20℃未満、より好ましくは0℃未満、又は更には−20℃未満のTgを有する第1の(ソフトな)相、及び少なくとも50℃、又は更には少なくとも55℃であるがより好ましくは60℃超過、又は更には70℃超過、又は特定の実施形態においては、100℃超過のTgを有する第2の(ハードな)相を有しており、但しTgとTgの間の温度差は少なくとも30℃、好ましくは少なくとも50℃、又は更には少なくとも60℃、又は特定の実施形態では少なくとも90℃である。
【0090】
本発明の目的のためには、エラストマー材料そのもの(すなわちコーティング剤に組み込まれる前又は水膨潤性ポリマー上のコーティングへと形成される前のエラストマー材料)が本明細書で特定された特性を有するが、典型的には、エラストマー材料がコーティング剤及び/又はコーティング中におかれてもこれらの特性を維持し、従って得られるコーティング(のフィルム)が好ましくは同じ特性を有していなければならないことを理解すべきである。
【0091】
典型的には、エラストマー材料及びコーティング剤は湿潤状態においてエラストマー性である必要がある。ここで、コーティング剤及び/又はエラストマー材料は破断時の湿潤伸張が、本明細書の下記で説明する試験方法によって決定した場合、少なくとも400%である(この試験法では、破断時の湿潤伸張を測定するためにエラストマー材料又はコーディング剤の湿潤フィルムを特定の条件下におく;エラストマー材料は、従ってフィルムに形成することができる材料、すなわちフィルム形成材料である)。
【0092】
好ましくは、エラストマー材料は破断時の湿潤伸張が少なくとも400%、又は更には少なくとも500%、又は更には少なくとも800%、又は更には少なくとも1000%である。
【0093】
本発明の目的のためには、エラストマー材料及びコーティング剤のフィルム又はコーティングは典型的に(湿潤状態において)、液体吸収によって(実質的に)体積を拡大することなしにそれらの表面積を拡張するということを理解すべきである。エラストマー材料及びコーティング剤は、このように典型的には、例えば下記に記述する方法によって決定され得る場合に、典型的には実質的に非水膨潤性である。このことは、事実上、コーティング剤及び/又はエラストマー材料が、好ましくは下記に記述するような方法によって決定し得る場合に、1g/g未満、又は更には0.5g/g未満、又は更には0.2g/g未満、又は更には0.1g/g未満の水膨潤能を有することを意味する。
【0094】
本発明者らは、高い水蒸気透過速度(本明細書の方法によって記述される場合少なくとも2100g/m/日)を有するエラストマー材料(のフィルム)は低いMVTRを有するものよりも高い水又は食塩水吸収性を有するが、水又は食塩水吸収性は得られるコーティングの湿潤引張特性に悪影響を及ぼさないということを見出した。
【0095】
エラストマー材料(及び好ましくは全体としてのコーティング剤)は湿潤状態における破断時の引張応力が少なくとも1MPa、又は更には少なくとも3MPa、より好ましくは少なくとも5MPa、又は更には少なくとも8MPaである。これは下記に記載する湿潤引張応力試験方法によって決定できる。
【0096】
本明細書で特に好ましいエラストマー材料及び/又はコーティング剤は、400%伸張時における湿潤割線弾性率(SMwet400%)が少なくとも0.25MPa、好ましくは少なくとも約0.50MPa、より好ましくは少なくとも約0.75MPa、又は更には少なくとも2.0MPa、最も好ましくは少なくとも約3.0MPaである。
【0097】
本明細書の好ましいエラストマー材料又はコーティング剤は、[400%伸張時における湿潤割線弾性率(SMwet400%)]の[400%伸張時における乾燥割線弾性率(SMdry400%)]に対する比が1.4以下、好ましくは1.2以下、又は更には1.0以下であり、この比は少なくとも0.6、又は更には少なくとも0.7であることが好ましい場合もある。
【0098】
好ましくは、コーティング剤は(理論等価シェルキャリパー)×(400%伸張時における平均湿潤割線弾性率)として定義されるシェル張力が2〜20N/m、又は好ましくは3〜10N/m、又はより好ましくは3〜5N/mであるコーティングの形態で存在する。
【0099】
コーティング剤は、好ましくは本明細書の水膨潤性ポリマー上に得られるコーティングが水透過性であるが、水溶性ではなく、好ましくは水分散性ではないようなものである。コーティングの水透過性は、コーティングされた水膨潤性材料が本明細書で定義されるような十分高い自由膨潤速度(free swell rate)を有するように、好ましくは自由膨潤速度(FSR)が少なくとも0.05g/g/秒、好ましくは少なくとも0.1g/g/秒、より好ましくは少なくとも0.2g/g/秒となるように、十分高くなければならない。
【0100】
コーティング剤及び/又はエラストマー材料は、好ましくは水蒸気が通り抜けられるように、中程度の通気性又は極めて高い通気性である。好ましくは、コーティング剤及び/又はエラストマー材料(本明細書で記載されるように、特定のキャリパーのフィルムの形態で試験される)は、少なくとも水蒸気透過速度(MVTR)が800g/m/日、又は好ましくは1200g/m/日から1400g/m/日以下である中程度の通気性であり、好ましくはMVTRが少なくとも1500g/m/日、2000g/m/日以下の通気性であり、更により好ましくはコーティング剤又は材料はMVTRが2100g/m/日以上と極めて通気性が高い。
【0101】
エラストマー材料は、それぞれが異なるTgを有する2つ以上の異なるポリマーの混合物であって、それらが相分離混合物を形成していてもよい。
【0102】
好ましい相分離エラストマー材料は、少なくとも以下のグループAから選択される(コ)ポリマーと以下のグループBから選択される(コ)ポリマーの混合物を含んでいる:
A:ポリエチレン(コ)ポリマー類、ポリプロピレン(コ)ポリマー類、ポリブチレン(コ)ポリマー類、ポリイソプレン(コ)ポリマー類、ポリブタジエン(コ)ポリマー類、ポリエチレン−コ−ポリプロピレン、ポリエチレン−コ−ポリブチレン、ポリエチルエチレン−コ−ポリプロピレン、ポリエーテル(コ)ポリマー類、ポリエステル(コ)ポリマー類;これらはすべて、所望によりグラフト化されていてもよく及び/又は化学置換基(例えばヒドロキシル基又はカルボキシレート)で部分的に変性されていてもよい;
B:ポリビニル(コ)ポリマー類(例えば、スチレン、ビニルアセテート、ビニルホルムアミド)、ポリウレタン類(コ)ポリマー類、ポリエステル(コ)ポリマー類、ポリアミド(コ)ポリマー類、ポリジメチルシロキサン類、タンパク質類;これらはすべて所望によりグラフト化されていてもよく、及び/又は化学置換基(例えばヒドロキシル基又はカルボキシレート)で部分的に変性されていてもよい。
【0103】
より好ましくは、エラストマー材料は1つ以上の相分離ブロックコポリマー(類)を含んでおり、このブロックコポリマー類のそれぞれは2つ以上のTgを有する。本明細書で特に好ましい相分離エラストマー材料は、少なくとも50kDa、好ましくは少なくとも70kDaの重量平均分子量を有する1つ以上の相分離ブロックコポリマーを含む。
【0104】
このようなブロックコポリマーは、互いに重合された、少なくとも第1の重合ホモポリマーセグメント(ブロック)及び第2の重合ホモポリマーセグメント(ブロック)を有し、好ましくは第1の(ソフトな)セグメントは25℃未満、又は更には20℃未満、又は更には0℃未満のTgを有し、第2の(ハードな)セグメントは少なくとも50℃、又は55℃以上、好ましくは60℃以上、又は更には70℃以上のTgを有する。
【0105】
(少なくとも50℃のTgを有する)ハードな第2のセグメントの総重量平均分子量は、好ましくは少なくとも28kDa、又は更には少なくとも45kDaである。
【0106】
第1の(ソフトな)セグメントの好ましい重量平均分子量は、少なくとも500Da、好ましくは少なくとも1000Da、又は更には少なくとも2000Daであるが、好ましくは8000Da未満、又は更には5000Da未満である。
【0107】
但し、第1の(ソフトな)セグメントの合計の合計は典型的に、総ブロックコポリマーの20重量%〜95重量%、又は更には20重量%〜70重量%、又はより好ましくは30重量%〜60重量%、又は更には30重量%〜40重量%である。更に、ソフトなセグメントの総重量レベルが70%超過である場合には、個々のソフトなセグメントが5000Da未満の重量平均分子量を有することが更により好ましい。
【0108】
ブロックコポリマーが異なるソフトセグメントの混合物及び/又は異なるハードセグメントの混合物、例えば、それぞれが異なるTgを有するがすべてが25℃未満、又は更には20℃未満、又は更には0℃未満である異なるソフトセグメントの混合物、又は例えばそれぞれが異なるTgを有するがすべてが50℃よりも高いハードセグメントの混合物を含むことが好ましい場合もある。
【0109】
25℃未満、又は更には20℃未満、又は更には0℃未満のTgを有する第1のセグメントの(ブロックコポリマーにおける)正確な重量レベルは、得られるコーティングに必要とされる引張強度によって決まり、例えば、ブロックコポリマー中の第1のセグメントの重量レベルを減少させることによって、引張強度は増加することがある。しかしながら、第1のセグメントの重量百分率が低すぎると、MVTRは所望されるよりも低くなることがある。
【0110】
本明細書で有用なブロックコポリマーは、好ましくは分子内H−結合を有するブロックコポリマーである。
【0111】
本明細書で有用なブロックコポリマーは、好ましくはポリウレタン(コ)ポリエーテル類、ポリウレタン(コ)ポリエステル類、ポリウレタン/尿素−コ−ポリエーテル類又は−コ(ポリ)エステル類、ポリスチレンブロックコポリマー類、水素添加ポリスチレンブロックコポリマー類、ポリエステル(コ)ポリエーテル類、ポリエステル(コ)ポリエーテル類、ポリアミド−コ−ポリエーテル類又は−コ(ポリ)エステル類、ポリオキシエチレン−コ−ポリエピクロロヒドリンから選択される。
【0112】
ポリウレタン−コ−ポリ(エチレングリコール)、ポリウレタン−コ−ポリ(テトラメチレングリコール)、及びポリウレタン−コ−ポリ(プロピレングリコール)及びこれらの混合物が好ましい。
【0113】
ポリウレタン(ハード)セグメントは、好ましくはジイソシアネートと例えばブタンジオール若しくはシクロヘキサンジオールなどのジオールとの重合反応、又は好ましくは芳香族ジイソシアネートとエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、若しくはこれらの混合物などの脂肪族ジオールとの重合反応から誘導される。
【0114】
本明細書のブロックコポリマーのポリウレタンセグメントを形成するのに使用される好ましいジイソシアネートは、メチレンビス(フェニルイソシアネート)である。
【0115】
ハードセグメントは、本明細書の好ましい相分離ブロックコポリマーを形成するために、例えばマクロジオール類と反応させる。
【0116】
エラストマー相分離材料が、(20℃未満のTgを有する第1の(ソフト)セグメントとして)ポリ(テトラメチレングリコール)、又はより好ましくはポリ(エチレングリコール)セグメントを有するブロックコポリマーを含むのが好ましい場合があるが、それはポリ(エチレングリコール)が得られるコーティングの高い通気性を与えるためである。また、これらの第1の(ソフト)セグメントの(上述したように、総ブロックコポリマーの重量基準での)分子量百分率は、必要とされる通気性を与えるように選択することができ、例えば、これらのセグメントの百分率が高いと、より通気性の高いコーティングを与えることになる。
【0117】
好ましい相分離ブロックコポリマーは、ベクトル(Vector)4211、ベクトル4111、セプトン(Septon)2063、セプトン2007、エスタン(Estane)58245、エスタン4988、エスタン4986、エスタンT5410、アイログラン(Irogran)PS370−201、アイログランVP654/5、ペレタン(Pellethane)2103−70A、エラストラン(Elastollan)LP9109である。エスタン(Estane)はノベオン社(Noveon Inc.)(米国、141−3247、オハイオ州、クリーブランド、ブレックスビルロード9911(9911 Brecksville Road,Cleveland,OH 44 141-3247,USA))の商標名である。ベクトル(Vector)はデクスコポリマーズ(Dexco Polymers)(米国、77079、テキサス州、ヒューストン、ウィックチェスターレーン12012(12012 Wickchester Lane,Houston,TX 77079,USA))の商標名であり、セプトン(Septon)はセプトン・カンパニー・オブ・アメリカ(the Septon Company of America)、クラレイ・グループ・カンパニー(A Kuraray Group Company)(米国、77507、テキサス州、パサデナ、チョートロード11414(11414 Choate Road,Pasadena,TX 77507,USA))の商標名であり、アイログラン(Irogran)はハンツマン・ポリウレタンズ(Huntsman Polyurethanes)(米国、03038、ニューハンプシャー州、デリー、ケンドール52(52 Kendall Pond Road,Derry,NH 03038,USA))の商標名であり、ペレタン(Pellethane)はダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)(米国、48674、ミシガン州、ミッドランド、ダウセンター2040(2040 Dow Center,Midland,MI 48674,USA))の商標名であり、エラストラン(Elastollan)はバスフ(BASF)(48192、ミシガン州、ワイアンドット、ビドルアベニュー1609(1609 Biddle Avenue,Wyandotte,MI 48192))の商標名である。
【0118】
本明細書のコーティング剤が、粘性を減少させるために、市販の樹脂エスタン(Estane)58245−047P(ノベオン社(Noveon Inc.)(米国、44141−3247、オハイオ州、クリーブランド、ブレックスビルロード9911(9911Brecksville Road,Cleveland,OH44 141-3247,USA))から入手可能)、又は市販のフィルムデュラフレックス(Duraflex)PT1700S、デュラフレックス1710S、デュラフレックスU073、デュラフレックスX2075(ディアフィールド・ウレタン(DeerfieldUrethane)(01373、マサチューセッツ州、サウスディアフィールド、P.O.Box186(P.O.Box 186,South Deerfield,MA 01373))から入手可能)のような増量剤を含むのが好ましいことがある。
【0119】
本明細書のコーティング剤で用いるのに好ましい高分子エラストマー材料は、ひずみ硬化性及び/又はひずみ結晶化性である。ひずみ硬化は弾性の平坦域の後に起こり、ひずみの増大に伴う応力の急激な増加である。ひずみ硬化は、引き伸ばし方向の延伸に対してのより高い抵抗性を生ずる配向性をフィルムに導入することができる。
【0120】
ひずみ結晶性である、幾つかのエラストマーポリマーがあるが、この特性はまた、コーティング剤又はポリマー内に、有機若しくは無機の増量剤のような追加の物質を加えるか又はブレンドすることによって付与することもできる。無機の増量剤の非限定例としては、種々の非水溶性塩、及びその他の(好ましくはナノ粒子)物質、例えば化学変性シリカなど(これは例えば合成ゴムのための増量剤として利用可能である、活性若しくは半活性シリカとも呼ばれる)が挙げられる。こうした増量剤の例は、デグサ社(Degussa AG)(ドイツ、フランクフルト・アム・マイン、D−60287)(Weiβfrauenstraβe 9,D-60287 Frankfurt am Main,Germany)から入手可能な、ウルトラシル(UltraSil)VN3、ウルトラシルVN3P、ウルトラシルVN2P、及びウルトラシル7000GRである。
【0121】
好ましい増量剤は、本明細書に記載されているプロセスにおいて流動剤として有用であり、典型的にはコーティングされた水膨潤性材料又はコーティングされる水膨潤性ポリマーの粘性を減少させる、有機又は無機の化合物である。こうした流動助剤の例は、半活性又は疎水性シリカ、ユリアホルムアルデヒド、(ナトリウム)シリケート類、珪藻土、及び粘土類である。
【0122】
コーティング剤及び/又はエラストマー材料は好ましくは親水性であり、特に表面親水性である。表面親水性は当該技術分野で公知の方法によって決定されてよい。好ましい手法では、親水性コーティング剤又はエラストマー材料は、吸収される液体(0.9%食塩水;尿)によって濡らされる材料である。それらは90度よりも小さな接触角によって特徴付けられてよい。接触角は、例えばクルース(Kruess)(ドイツ)から入手可能な、ビデオによる接触角測定装置、クルス(Kruss)G10−G1041を用いて、又は当該技術分野で公知の他の方法によって測定することができる。
【0123】
得られる水膨潤性材料が親水性であることもまた好ましい場合がある。水膨潤性材料の親水性は同時係属出願EP03014926.4に記載されているように測定されてよい。
【0124】
エラストマー材料又はコーティング剤自体が親水性である場合には、コーティング剤は、例えば界面活性剤、プラズマコーティング、プラズマ重合、又は当業者には公知のもののような他の親水性表面処理で処理することによって親水性とすることができる。
【0125】
親水性のコーティング剤を作製するために加える、又はその後に、得られたコーティングされた水膨潤ポリマーに加えられる好ましい化合物は、例えば、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸、N−(2−アセトアミド)−イミノ二酢酸、N−アセチル−グリシン、β−アラニン、アルミニウム−ヒドロキシ−アセテート、N−アミジノ−グリシン、2−アミノ−エチル−リン酸水素化物、2−アミノ−エチル−硫酸水素化物、アミノ−メタン−スルホン酸、マレイン酸、アルギニン、アスパラギン酸、ブタン−二酸、ビス(1−アミノグアニジニウム)−サルフェート、2−オキソ−プロピオン酸、二クエン酸三カルシウム、グルコン酸カルシウム、サッカリン酸カルシウム、カルシウム−チトリプレックス(Titriplex)(登録商標)、カルニチン、セロビオース、シトルリン(Citrullin)、クレアチン、ジメチルアミノ酢酸、THAM−1,2−ジスルホン酸、エチレンジアンモニウムサルフェート、フルクトース、フマル酸、ガラクトース、グルコサミン、グルコン酸、グルタミン、2−アミノ−グルタル酸、グルタル酸、グリシン、グリシルグリシン、イミノ二酢酸、グリセロリン酸マグネシウム、シュウ酸、テトラヒドロキシ−アジピン酸、タウリン、N−メチル−タウリン、トリス−(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N−(トリス−(ヒドロキシメチル)−メチル)−2−アミノエタンスルホン酸である。
【0126】
あるいは、コーティング剤は親水性を向上させる量のナノ粒子を含む親水性向上組成物を用いて親水性とすることができる。親水性を向上させる量とは、組成物が適用される基材を更に親水性にするのに十分である、親水性向上組成物中に存在するナノ粒子の量を意図している。このような量は当業者によって容易に確認され、使用される基材、使用されるナノ粒子、得られる水膨潤性材料の所望の親水性を包含するがそれらに限定されない、多くの要因に基づく。
【0127】
ナノ粒子は、主な粒径、すなわち直径がナノメートルの桁を有する粒子である。すなわち、ナノ粒子は約1〜約750ナノメートルの範囲の粒径を有する。約2nm〜約750nmの範囲の粒径を有するナノ粒子は経済的に生産できる。ナノ粒子の粒径分布の非限定例は、約2nm〜約750nm未満、あるいは約2nm〜約200nm未満、あるいは約2nm〜約150nm未満の範囲内に入るものである。
【0128】
ナノ粒子の粒径はナノ粒子の最大直径であり、当業者に公知であるいずれかの方法によって測定されてよい。
【0129】
(ナノ粒子粒径分布から決定されるような)種々のタイプのナノ粒子の平均粒径は、ナノ粒子の粒子の個々の粒径とは異なっていてよい。例えば、層状合成シリケートは約25nmの平均粒径を有し得るが、その粒径分布は一般に約10nm〜約40nmの間で変化し得る。(本明細書で記載される粒径は、それらが水性媒体に分散されている場合の粒子に関するものであり、平均粒径は粒子数分布の平均に基づくものであることを理解すべきである。ナノ粒子の非限定例としては、約2〜約750ナノメートルの粒径を有する結晶性又は非晶質粒子を挙げることができる。ベーマイトアルミナは、2〜750nmの平均粒径分布を有することができる。
【0130】
親水性向上組成物は、ナノ粒子からなっていてよく、次にそのナノ粒子が、表面処理剤に、又はプロセスに、例えば工程b)において、直接加えられる。
【0131】
あるいは、ナノ粒子は組成物中で、他のキャリア成分、例えば溶媒又は分散液と共に存在してもよく、1つの好ましい実施形態では、ナノ粒子は工程b)において液体中の分散物として適用される。親水性向上組成物がナノ粒子から構成されているのではなく、他の成分を含んでいる場合には、ナノ粒子は親水性向上組成物中に組成物の約0.0001重量%〜約50重量%、好ましくは約0.001重量%〜約20重量%、又は更には〜15重量%、より好ましくは約0.001重量%〜約10重量%の濃度で存在する。
【0132】
親水性向上組成物においては、有機又は無機のいずれのナノ粒子を使用してもよく、無機のナノ粒子が好ましい。無機のナノ粒子は、一般に、酸化物類、ケイ酸塩類、炭酸塩類、及び水酸化物類として存在する。幾つかの層状粘土鉱物類及び無機金属酸化物類は、ナノ粒子の例であることが可能である。本明細書で使用されるのに好適な層状の粘土鉱物には、地質学的分類のスメクタイト、カオリン、イライト、緑泥石、アタパルジャイト、及び混合した層状粘土のものが挙げられる。これらの分類に属する具体的な粘土類の典型的な例は、スメクタイト類(smectices)、カオリン類、イライト類、クロライト類、アタパルジャイト類及び混合層状粘土類である。スメクタイトとしては、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、葉蝋石、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト(sauconite)、ノントロナイト、タルク、バイデライト、ボルコンスコイト(volchonskoite)が挙げられる。カオリンには、カオリナイト、ディッカイト、ナクライト、アンチゴライト、アナウキシト(anauxite)、ハロイサイト、インデライト、及びクリソタイルが挙げられる。イライトには、ブラバイサイト(bravaisite)、白雲母、パラゴナイト、金雲母及び黒雲母、並びにバーミキュライトが挙げられる。クロライトには、コレンサイト(corrensite)、ペニナイト(penninite)、ドンバサイト(donbassite)、スドイト(sudoite)、ペナイン(pennine)及びクライノクロア(clinochlore)が挙げられる。アタパルジャイトには、海泡石及びポリゴルスカイト(polygorskyte)が挙げられる。混合層状粘土には、アレバルダイト(allevardite)及びバーミキュライトバイオタイトが挙げられる。このような層状粘土鉱物の変異型及び同型の置換体は、独特の用途を提供する。
【0133】
層状粘土鉱物は、天然に存在する物又は合成物のいずれかであってよい。コーティング組成物の非限定的な一実施形態の例は、天然又は合成のヘクトライト類、モンモリロナイト類、及びベントナイト類を使用する。別の実施形態は、市販のヘクトライト粘度を使用し、典型的なヘクトライトの商業的な供給源はサザン・クレイ・プロダクツ(Southern Clay Products,Inc.)(米国)からのラポナイト(LAPONITE)類(商標);R.T.バンデルビルト(Vanderbilt)(米国)からのビーガム・プロ(Veegum Pro)及びビーガムF(Veegum F);及びナショナル・リード社(National Read Comp.)のバロイド・ディビジョン(Baroid Division)(米国)からのバラシム類(Barasyms)、マカロイド類(Macaloids)、及びプロパロイド類(Propaloids)である。
【0134】
本明細書の1つの好ましい実施形態では、ナノ粒子は合成ヘクトライト、ケイ酸リチウムマグネシウムを含む。このような好適なケイ酸リチウムマグネシウムの1つは、次の構造を有するラポナイト(LAPONITE)(商標)である:
[MgLiSi20OH4−yz−
式中、w=3〜6、x=0〜3、y=0〜4、z=12−2w−xであり、全体として負の格子電荷は、対イオンによって平衡を保たれており、対イオンは、選択されたNa、K、NH、Cs、Li、Mg++、Ca++、Ba++、N(CH、及びこれらの混合物から成る群から選択される。(ラポナイト(LAPONITE)(商標)がカチオン性有機化合物で「変性」されている場合、「対イオン」は、いずれかのカチオン性有機基(R)とみなすことができる。)
他の好適な合成ヘクトライトには、ラポナイト(LAPONITE)(商標)の同型置換型、例えばラポナイトB(商標)、ラポナイトS(商標),ラポナイトXLS(商標)、ラポナイトRD(商標)、ラポナイトXLG(商標)、及びラポナイトRDS(商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
ナノ粒子はまた、酸化チタンシリカ、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、及びこれらの混合物などであるが、これらに限定されない無機酸化物を包含する、他の無機物質であってもよい。他の好適な無機酸化物としては、アルミナ及びシリカの種々の他の無機酸化物がある。
【0136】
本明細書の1つの好ましい実施形態では、ナノ粒子は、水分散性の無機金属酸化物であるベーマイトアルミナ([Al(O)(OH)])を含み、これは、約2nm〜約750nm以下の平均粒径分布を包含する、種々の粒径又は粒径の範囲を有するように調製できる。例えば、ノース・アメリカン・セイソル社(North American Sasol,Inc.)から、平均粒径分布が25nm前後のベーマイトアルミナのナノ粒子が商品名ジスペラル(Disperal)P2(商標)として、また平均粒径分布が140nm前後のナノ粒子が商品名ジスパール(Dispal)(登録商標)14N4−25として入手可能である。
【0137】
本明細書の1つの好ましい実施形態では、ナノ粒子は、二酸化チタン、ベーマイトアルミナ、フルオロケイ酸ナトリウムマグネシウムリチウム、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される
親水性向上組成物中でのナノ粒子の混合物の使用もまた、本発明の範囲内である。
【0138】
所望により、水に加えて又は水の代わりに、キャリアは低分子量の有機溶媒を含むことができる。好ましくは、溶媒は水への溶解度が高く、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロパノール、イソプロパノールなど、及びこれらの混合物である。低分子量のアルコールは、ナノ粒子分散物の表面張力を減少させて基材の湿潤性を改善することができる。このことは特に基材が疎水性である場合に役立つ。低分子量のアルコール類はまた、処理された基材を速く乾燥させるのにも役立つことができる。任意の水溶性低分子量溶媒は、あらゆる好適なレベルで使用することができる。キャリアは、コーティング組成物の約10重量%〜約99重量%、あるいは約30重量%〜約95重量%を包含するが、これらに限定されない、組成物あらゆる好適な量で含まれることができる。
【0139】
親水性向上組成物はまた、有機の、例えばラテックスナノ粒子、いわゆるナノラテックスを含んでいてもよい。本明細書で使用するとき、「ナノラテックス」とは、粒径が約750nm以下のラテックスである。「ラテックス」とは、通常は球形の非水溶性ポリマー粒子の分散物である。ナノラテックスは、エマルション重合によって形成してもよい。「エマルション重合」とは、界面活性剤を用いてラテックスのモノマーを水に分散させ、安定したエマルションを形成した後で、重合化する方法である。典型的には約2nm〜約600nmの範囲のサイズを取り得る粒子が生成される。ナノラテックスがエラストマー材料、例えばフィルム形成エラストマーポリマーである場合には、それらは本発明の目的のためのコーティング剤とみなされ、親水性向上組成物(の一部)ではない。
【0140】
界面活性剤は、本明細書のコーティング剤の追加の成分として、又は本明細書のプロセス工程a)又はb)における追加の成分として、例えばコーティング剤の基材上への分散を促進するための湿潤剤として、特に有用である。界面活性剤は、コーティング組成物が疎水性基材を処理するために使用される場合には、包含されるのが好ましい。
【0141】
好適な界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性(amphoteric)界面活性剤、両性(ampholytic)界面活性剤、双極性界面活性剤、及びこれらの混合物を包含する群から選択することができる。本明細書の組成物において有用な界面活性剤の非限定例は、マカッチャン(McCutcheon)の「洗剤及び乳化剤(Detergents and Emulsifiers)」、北アメリカ版(1986年)、アルレッド・パブリッシング・コーポレーション(allured Publishing Corporation)出版;マカッチャンの「機能材料(Functional Materials)」、北アメリカ版(1992年);米国特許第5,707,950号及び同第5,576,282号;並びに米国特許第3,929,678号(ラフリン(Laughlin)ら、1975年12月30日発行)に開示されている。
【0142】
コーティング組成物に界面活性剤が使用される場合、界面活性剤はコーティング組成物の適用を提供し又は促進するのに有効な量で添加されてよい。界面活性剤は、存在する場合、典型的には組成物の約0.0001重量%〜約60重量%、好ましくは約0.001重量%〜約35重量%、より好ましくは約0.001重量%〜約25重量%の濃度で組成物中に使用される。
【0143】
典型的に約0.001重量%〜約60重量%の濃度において本明細書で有用な、好ましい非イオン性界面活性剤を包含する界面活性剤の非限定例としては、非イオン性及び両性(amphoteric)界面活性剤、例えばいわゆる狭いピークを有するアルキルエトキシレートを包含するC12〜C18アルキルエトキシレート(「AE」)及びC〜C12アルキルフェノールアルコキシラート(特にエトキシレート及び混合エトキシ/プロポキシ)、C12〜C18ベタイン及びスルホベタイン(「スルタイン」)、C10〜C18アミンオキシドなどが挙げられる。有用な界面活性剤の別の部類は、シリコーン界面活性剤及び/又はシリコーン類である。それらは、単独で、及び/又は本明細書で記載したアルキルエトキシレート界面活性剤と組み合わせて使用できる。シリコーン界面活性剤の非限定例は、以下の一般式を有する、ジメチルポリシロキサン疎水性部分と1以上の親水性ポリアルキレン側鎖とを有するポリアルキレンオキシドポリシロキサン類である:
−(CHSiO[(CH−SiO]−[(CH)(R)SiO]−Si(CH−R
式中、a+bは約1〜約50であり、各Rは同じか又は異なっており、メチル、及び一般式:−(CHO(CO)(CO)を有するポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基から成る群から選択され、式中、nは3又は4であり、cの合計(すべてのポリアルキレンオキシ側基に対する)は1〜約100、あるいは約6〜約100の値を有し、dの合計は0〜約14であり、あるいはdは0であり、c+dの合計は約5〜約150、あるいは約9〜約100の値を有し、各Rは同じか又は異なっており、水素、1〜4個の炭素原子を有するアルキル、及びアセチル基から、あるいは水素及びメチル基から成る群から選択される。各ポリアルキレンオキシドポリシロキサンは、少なくとも1つの、ポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)コポリマー基であるR基を有する。シリコーン超湿潤剤は、ダウ・コーニング(Dow Corning)から、シリコーングリコールコポリマー(例えば、Q2−5211及びQ2−5212)として入手可能である。
【0144】
界面活性剤の混合物を使用することもまた、本発明の範囲内である。
【0145】
コーティング剤は流体形態で、例えば融解物(若しくはいわゆるホットメルト)、溶液、又は分散液として、適用されてよい。したがって、コーティング剤はまた、水、THF(テトラヒドロフラン)、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、トルエン、ジクロロメタン、シクロヘキサン、又はエラストマー材料(例えばエラストマーポリマー)を溶解し若しくは分散させることができ、その後に例えば(乾燥)コーティングシェル又は層を形成するために蒸発させることができる他の溶媒若しくは分散液などの、溶媒又は分散液を含んでいてもよい。
【0146】
好ましくは、コーティング剤は、0重量%〜95重量%の水などの分散液又は溶媒を含んでいる。コーティング剤が(コーティング剤の)少なくとも5重量%のエラストマー材料、より好ましくは10重量%〜80重量%、又は更には20重量%〜70重量%を含み、残りの百分率は本明細書で記載されるような前記液体及び/又は増量剤/親水性助剤、展着助剤などであるのが好ましい。
【0147】
本発明者らはまた、湿潤状態における高い伸張性を付与するためには、コーティング剤を適用し、その後にそのコーティング剤を処理するプロセスが重要である場合があることをも見出した。
【0148】
幾つかのエラストマー材料は、既にそれ自体で高い湿潤伸張性を有している場合もあるが、その材料に、本発明に記載したようなアニーリング工程を適用することが有用である場合もある。
【0149】
上記で概要を説明したように湿潤状態での妥当な機械的特性を与えることに加えて、本明細書の好ましいコーティング剤はまた、それらの特性を顕著に低下させることなく、他の所望の特性、例えば吸収性物品又は構造体への加工に耐え抜くための機械的磨耗に対する高い抵抗性を有していることも好ましい。それらはまた、好ましくは無色、又は白色で不透明であり、加えて例えば臭気を抑制するため、香料を放出するためなどの他の物質を含有してもよい。
【0150】
(固体の水膨潤性材料を製造するための本明細書で好ましいプロセス)
水膨潤性材料は:
a)水膨潤性ポリマー粒子を得る工程;
b)工程a)と同時に又は工程a)の後に、前記水膨潤性ポリマー粒子の少なくとも一部にコーティング剤を適用する工程;所望により、
c)工程b)で得られたコーティングされた水膨潤性ポリマー粒子をアニーリングして、
本明細書の水膨潤性材料を得る工程
を含むプロセスによって得ることができ、
ここで、工程b)の前記コーティング剤については本明細書で記載される通りである。
【0151】
工程a)において、水膨潤性ポリマー粒子を「得る」とは、本明細書で上述したように、市販の水膨潤性ポリマー粒子を使用すること、又は前駆体からいずれかの既知の方法によって水膨潤性ポリマー粒子を形成することを包含する。
【0152】
コーティング工程b)はいずれかの公知の方法によって、例えば、水膨潤性ポリマー(又はその前駆体)をコーティング剤又はその融解物(ホットメルト)若しくは溶液若しくは分散液中に混合し又は分散させることによって;コーティング剤、又はその前記融解物(ホットメルト)、溶液若しくは分散液をポリマー上に噴霧することによって;コーティング剤、又はその融解物、分散液若しくは溶液、及び水膨潤性ポリマー(又はそれらの前駆体)を流動床又はワースターコーター(Wurster coater)に導入することによって;コーティング剤、又はその融解物、溶液若しくは分散液、及び水膨潤性ポリマー(又はその前駆体)を凝集させる(agglomerating)ことによって;(粒子状)水膨潤性ポリマーをコーティング剤、その融解物、分散液若しくは溶液中で浸漬コーティングすることによって、行われてよい。その他の好適な混合機としては、例えば、ツインドラムミキサー、いわゆる「ジグザグ(Zig-Zag)」ミキサー、プローシェアミキサー(plough-share mixers)、例えばロジーグ(Lodige)ミキサー、コーンスクリューミキサー、又は同軸回転ブレードを有する垂直円筒形ミキサーが挙げられる。好ましいコーティングプロセスの例は、例えば米国特許第5,840,329号及び米国特許第6,387,495号に記載されている。
【0153】
本明細書の他の実施形態では、コーティング工程b)は発泡体の形態、好ましくは連続気泡発泡体の形態のコーティング剤を適用することにより行われ、多孔質コーティングがもたらされる。更に他の実施形態では、コーティング工程は、水膨潤性材料の表面上に繊維性網状構造を形成することによって、例えば、メルトブローンマイクロ繊維の形態でコーティング剤を適用することによって、行われてもよく、その結果(本明細書で記載されるように)本質的に連結されたコーティングが形成される。
【0154】
コーティング剤を適用するために、それはまた、水及び/又は有機の、所望により水混和性の溶媒のような溶媒を含んでいてもよい。好適な有機溶媒は、例えば、脂肪族及び芳香族炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、アミド及びケトンである。好適な水混和性溶媒は、例えば、脂肪族アルコール、多価アルコール、エーテル、アミド及びケトンである。
【0155】
コーティング剤が溶液又は分散液の形態である場合、コーティング工程b)の後に又はコーティング工程b)の前に、例えばコーティング層の良好なフィルム形成を助長するために、加工助剤を加えことが更に好ましい場合もある。
【0156】
任意の工程c)では、得られるコーティングされた水膨潤性ポリマーをアニーリングする任意のアニーリング工程c)は典型的には更に強化された又は更に連続的に若しくは更に完全に連結されたコ−ティングを結果として生ずる工程を伴い、それは欠陥を取り除くことがある。
【0157】
典型的には、アニーリング工程)は得られたコーティングされた水膨潤性ポリマーの熱処理を伴い、それは例えば、輻射加熱、オーブン加熱、対流加熱、共沸加熱によって行われてよく、例えば乾燥に使用される従来の装置、例えば流動床乾燥機中で実施されてもよい。(酸化を回避するために)真空も適用すること、又はアニーリングを不活性ガスの下で行うことが好ましいこともある。
【0158】
好ましくは、アニーリング工程は、コーティングされた水膨潤性ポリマーをそのコーティング剤又はそのエラストマー相分離材料の最も高いTgよりも高い温度に、好ましくは前記最も高いTgよりも少なくとも20℃高い温度に加熱することを伴う。
【0159】
例えば、その最も高いTgは典型的には少なくとも50℃であり、アニーリング温度は少なくとも70℃、又は更には少なくとも100℃、又は更には少なくとも140℃、及び200℃まで、又は更には250℃までである。
【0160】
その材料が融点Tmを有する場合には、アニーリング工程はそのTmよりも少なくとも20℃低く、可能ならば及び好ましくは、最も高いTgよりも少なくとも20℃、又は更には少なくとも50℃高くする。
【0161】
アニーリング工程は、例えば、少なくとも5分間、又は更には少なくとも10分間、又は更には少なくとも15分間、又は更には少なくとも30分間、又は更には少なくとも1時間、又は更には少なくとも2時間行われてよい。
【0162】
この熱処理は一度だけ行われてもよく、又は繰り返し行われてもよく、例えば、熱処理は異なる温度で、例えば1度目は低い温度で、例えば上記のように70℃又は80℃〜100℃で、例えば少なくとも30分間、又は更には1時間〜12時間、その後により高い温度で、例えば120℃〜140℃で少なくとも10分間、行われてもよい。
【0163】
典型的には、温度及び時間は、良好なコーティング(フィルム)形式及び良好な相分離を可能にするために、例えば機械的に強靭なコーティング(フィルム)を形成するように、調節される。
【0164】
アニーリング工程時に、コーティングされた水膨潤性ポリマーは同時に乾燥されてもよい。あるいは、別個の乾燥工程を実施してもよい。
【0165】
得られた水膨潤性材料は好ましくは固体であり、従って工程a)の水膨潤性ポリマー又は工程b)で得られるコーティングされたポリマーが固体でない場合、工程b)で得られるコーティングされたポリマーを固化するために、その後のプロセス工程、例えばいわゆる固化又は好ましくは当該技術分野で公知の粒子形成工程が必要である。これは工程c)の前に、又は工程c)と同時に行われてよい。
【0166】
固化工程は、例えば、本明細書に記載するように温度を上げ及び/又は真空を適用することによって、水膨潤性ポリマー及び/又は(例えば、工程bが成分のいずれかの分散液又は溶液を伴う場合)工程b)のコーティングされたポリマーを乾燥させることを包含する。これは、アニーリング工程c)と同時に行われてもよく、又はアニーリング工程c)と共に自動的に起こってもよい。固化工程はまた、例えば融解物が使用される場合には、冷却工程を包含してもよい。
【0167】
その後、アグロメレーション、押出成形、グリンディング、所望によりその後に必要とされる粒径分布を得るために篩にかけることを包含する、いずれかの既知の粒子形成プロセスもまた本明細書で使用してよい。
【0168】
本発明者らは、水膨潤性ポリマーのコア上にエラストマーコーティングを提供するための、別の好ましい方法、すなわち、ポリマーが膨潤したときにコーティングが「折り畳みを開いて(unfold)」広がることができるように水膨潤性ポリマー(コア)の外部表面積よりも著しく大きい表面積を有するコーティングを提供することによる方法を見出した。本発明者らは、このようなコーティングされた水膨潤性ポリマーを提供するための非常に簡単で便利な方法、すなわち、液体(例えば水)の吸収によって膨潤した状態にある水膨潤性ポリマー上にコーティング剤を適用し、次にその液体又はその一部を除去して、その結果その(コア中の)水膨潤性ポリマーは再び収縮するが、コーティングはその元の表面積を維持するようにすることによる方法を見出した。コーティングの表面積はそうしてポリマーコアの表面積よりも大きくなり、次にコーティングは典型的には皺が寄せられ;コーティングは水膨潤性ポリマーが水を吸収して膨潤したときに、水膨潤性ポリマーの膨潤に起因するコーティング上のいかなるひずみ/応力にも遭遇することなしに、皺を伸ばすことができる。こうして、コーティング剤は、ひずみ又は応力にあまり曝されることなく、及び破裂の危険を伴わずに、湿潤延伸性又はエラストマー性となる。
【0169】
こうして、極めて好ましいプロセスは、水膨潤性ポリマー(粒子)を得て、これらを、その水膨潤性ポリマーを膨潤させるための量の水を含んでいてよい液体中で、エラストマー材料の分散液又は溶液に、典型的には徹底的な攪拌下で浸漬する工程を伴う。
【0170】
水膨潤性ポリマーは、液体を吸収してよく、それにより、エラストマー材料は自動的に水膨潤性ポリマー(粒子)の表面へと「移送される」。水膨潤性ポリマーの量及び水を包含する液体の量、並びにエラストマー材料は、水膨潤性ポリマーが溶液又は分散液中に存在するほぼすべての水を吸収することができ、このことが達成されたときに、エラストマー材料でコーティングされた水膨潤性ポリマーがゲル「粒子」の形態であるように、調節することができる。得られるコーティングには、典型的にはひずみ/応力が全くない。
【0171】
このプロセスはまた、いずれかの工程において、造粒助剤、流動助剤、乾燥助剤のような更なる加工助剤の添加を伴ってもよい。幾つかの種類のコーティング剤に関しては、コーティングされた水膨潤性ポリマーは凝集体を形成する可能性があってよい。当該技術分野において既知のいずれかの流動助剤を添加してもよい(例えば後述するようにコーティング工程の前若しくはコーティング工程時、又は好ましくは乾燥及び/若しくはアニーリング工程時において;例えばデグサ(Degussa)から入手可能なエアロシル(Aerosil)200が良好な流動助剤であることが見出された)。
【0172】
プロセスがコーティング工程b)を促進する、上述したような展着助剤及び/又は界面活性剤の添加を伴うことが極めて好ましい場合がある。
【0173】
(プロセス例及びそのプロセスによって作製される材料)
(本明細書のプロセス工程a)で使用するために特に有用な水膨潤性ポリマーの調製)
実施例1.1:球状水膨潤性ポリマー粒子を調製するためのプロセス:
球状のコアポリマー粒子は、ウムジヒト(UMSICHT)(フラウンホーファー・インスティテュート・ウンベルト−ジヒャーハイツ−、エネルギーテクニック、オーバーハウゼン、ドイツ(Fraunhofer Institut Umwelt-Sicherheits-,Energietechnik,Oberhausen,Germany)により得てもよく、又は下記の適切な手順に従って作製してもよい:
40gの氷状アクリル酸(AA)をビーカーに入れ、1712mgのメチレンビスアクリルアミド(MBAA)をその酸に溶解させる。別個に、13.224gの固体NaOHを58.228gの水に溶解させて冷却する。そのNaOH溶液を次に前記アクリル酸にゆっくり加え、得られた溶液を4〜10℃に冷却する。
【0174】
第2のビーカーに、400mgのペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS)と400mgのメタ重亜硫酸ナトリウムとを混合して、99.2mlの水に溶解させる。この溶液もまた4〜10℃に冷却する。
【0175】
2つの等しい蠕動ポンプを使用して、両方の溶液を組み合わせ、短いスタチックミキサー装置を通して等しい速度でくみ上げ、その後、それらを個々の液滴として、長さ約2mの加熱されたガラス管中の60〜80℃の熱シリコーンオイル(ロスM50(Roth M 50)、カタログ番号4212.2)内へと滴下する。ポンプ速度は、個々の液滴が管内のオイルを通って沈み、一方でまた混合装置内での時期尚早な重合が回避されるように調節される。重合はオイルを通る液滴が降下する間に進行し、粒子(ゲル化ポリマー液滴)が形成され、この粒子は管の下部に装着された加熱された1l三角フラスコ内に収集することができる。
【0176】
添加が完了した後、オイルを冷却して、オイルを抜き取ることによって球状物を収集する。i−プロパノールで洗浄することによって過剰のオイルを除去し、粒子(球状物)を過剰のi−プロパノールに12〜24時間曝すことによって予備乾燥させる。微量のシリコーンオイルを除去するためにi−プロパノールによる追加の洗浄が必要である場合もある。次に粒子(球状物)を60〜100℃の真空オーブン内で、一定の重量が得られるまで乾燥させる。
【0177】
MBAAの量は、得られるポリマーからいかなる特性が必要とされているかによって調節されてよく、例えば、(AA1mol当たり)0.3mol%のMBAAを使用すると、得られる水膨潤性ポリマー粒子はCCRCが約50g/g(当該技術分野で既知の及び本明細書に記載される方法によって決定した場合の、0.9%食塩水溶液の吸収)となり;(AA1mol当たり)1.0mol%のMBAAを使用すると、得られる水膨潤性ポリマー粒子はCCRCが約19g/gとなり;(AA1mol当たり)2.0mol%のMBAAを使用すると、得られる水膨潤性ポリマー粒子はCCRCが約9g/gとなる。
【0178】
すべての化合物はアルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)により得られ、更に精製することなく使用される。
【0179】
実施例1.2:本明細書で有用な水膨潤性ポリマーの調製プロセス:
300gの氷状アクリル酸(AA)に、適当な量のコア架橋剤(例えばメチレンビスアクリルアミド、MBAA)を加え(上記参照)、周囲温度で溶解させる。2500mlの樹脂製ケトル(温度計、注射器の針、所望により機械的攪拌器を導入するのに適した隔膜で塞がれた四口ガラスカバーを装備)にこのアクリル酸/架橋剤溶液を入れる。通常は、内容物全体を混合することができる磁性攪拌器が加えられる。重合のためのすべての成分の総重量が1500gに等しくなるように、(すなわちAAの濃度が20w/w%となるように)水の量を計算する。300mgの反応開始剤(ワコー・ケミカルズ(Waco Chemicals)からの「V50」)をこの計算量の脱イオン水のうちのおよそ20ml中に溶解させる。大部分の水を前記樹脂製ケトルへと加え、モノマーと水とがよく混合されるまで混合物を攪拌する。次に、反応開始剤溶液を残りの水すべてと共に加える。樹脂製ケトルを閉じ、例えば隔膜を貫通する2本の注射針に穴をあけることによって、圧力を解放させる。次に溶液を、約300RPMで攪拌しながら、80cm導入針を介してアルゴンで激しく拡散する(spurged)。攪拌は約8分後に停止されるが、アルゴンパージは続ける。溶液は典型的には全部で12〜20分後にゲル化し始める。この時点で、永続的な泡がゲルの表面上に形成され、アルゴン導入針をゲルの表面よりも上に持ち上げる。アルゴンパージを更に低い流量で続ける。温度を観察するが、典型的には1時間で20℃から60〜70℃まで上昇する。温度が60℃よりも下がったら、ケトルを循環オーブン内に移し、60℃で15〜18時間保持する。
【0180】
この時間の後、樹脂製ケトルを放冷し、得られたゲルを平坦なガラス皿へと取り出す。次にゲルをはさみで小片へと(例えば最大寸法2mmよりも小さな小片へと)破断又は切断し、6Lのガラスビーカーへと移す。ポリマーの酸基の75%を中和するのに必要なNaOH(50%)の量をDI水で2.5Lに希釈し、素早くゲルに加える。すべての液体が吸収されるまでゲルを攪拌し、次いでゲルを覆って60℃のオーブン内へと移し、2日間平衡状態に置く。
【0181】
この時間の後、ゲルを放冷し、次に2つの平坦なガラス皿に分けて、真空オーブン内に移し、100℃/最大減圧にて乾燥させる。ゲルが一定重量に達したなら(通常3日)、機械ミル(例えばIKAミル)を使用して粉砕し、必要とされる粒径、例えば150〜800μmの粒径を有する水膨潤性ポリマー粒子を得るために篩にかける。
(この時点で、本明細書で使用されるような水膨潤性ポリマーの重要なパラメータが決定され得る)。
【0182】
MBAAの量は、得られるポリマーからいかなる特性が必要とされているかによって調節されてよく、例えば、(AA1mol当たり)0.01mol%のMBAAを使用すると、得られる水膨潤性ポリマー粒子はCCRCが約90g/g(当該技術分野で既知の及び本明細書に記載される方法によって決定した場合の、0.9%食塩水溶液の吸収)となり;(AA1mol当たり)0.03mol%のMBAAを使用すると、得られる水膨潤性ポリマー粒子はCCRCが約73g/gとなり;(AA1mol当たり)0.1mol%のMBAAを使用すると、得られる水膨潤性ポリマー粒子はCCRCが約56g/gとなり;(AA1mol当たり)2.0mol%のMBAAを使用すると、得られる水膨潤性ポリマー粒子はCCRCが約16g/gとなり;
(AA1mol当たり)5.0mol%のMBAAを使用すると、得られる水膨潤性ポリマー粒子はCCRCが約8g/gとなる。
(すべての化合物はアルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)により得られ、精製されずに使用される。)
【0183】
実施例1.3:表面架橋プロセス工程:
この実施例は水膨潤性ポリマーを本明細書のプロセス工程b)に供する前のその水膨潤性ポリマーの表面架橋を実例説明する。150mlのガラスビーカーにプラスチックブレードを有する機械攪拌器を備え付け、4gの粒子形態の乾燥水膨潤性ポリマーを入れる。機械的攪拌器は300〜500RPMでポリマーの良好な流動化が得られ得るような様式で選択される。50〜200μlの注射器にデナコール(Denacol)(=エチレングリコールジグリシジルエーテル=EGDGE)の1,2−プロパンジオール中4%溶液(w/w)を入れ、別の300μlの注射器に脱イオン水を入れる。
【0184】
水膨潤性ポリマーはビーカー内でおよそ300RPMで流動化され、30秒以内に表面架橋剤を加える。混合は計3分間続けられる。攪拌を続けながら、次いで300μlの水を3〜5秒以内に加え、更に3分間300〜500RPMで攪拌を続ける。この時間の後、混合物をガラスバイアル瓶に移し、アルミホイルで密封して、1時間平衡状態に置く。次に、このバイアル瓶を140℃のオーブンに移して、この温度で120分間保持する。この時間の後、バイアル瓶を放冷し、内容物を取り出して、表面架橋された水膨潤性ポリマーを得る。あらゆる疑集体は穏やかな機械的作用により注意深く破壊してよい。得られた表面架橋水膨潤性ポリマー粒子は次いで所望の粒径へと篩にかけられてもよい。
【0185】
以下の実施例は、本明細書に記載される好ましいプロセスのコーティング工程b)を実証するのに用いられるコーティングプロセスを示している。
【0186】
実施例2.1:コーティングされた水膨潤性材料を、それらをエラストマー相分離ポリマーの水系分散液へと直接混合することにより提供するプロセス。
【0187】
以下は、コーティング工程の前に、又はコーティング工程と同時に水膨潤性ポリマーを膨潤させることを伴う、本明細書の水膨潤性材料を製造するための好ましいプロセスである。
【0188】
コーティングされる水膨潤性ポリマーの量、コーティングの程度、及び水膨潤性ポリマーを膨潤させるのに必要な水を選択する。
【0189】
次いで、市販のコーティング剤又はエラストマー材料を所望によりTHFを有する水と、例えばガラスビーカー中で磁性攪拌器を使用して約300rpmで約5分間攪拌しながら混合することによって、コーティング剤又はエラストマー材料の分散液又は溶液を調製する。すべての時間において、分散液の表面にフィルムが形成されないように注意を払う必要がある。典型的には、このような分散液はほぼ70重量%のエラストマーポリマーを含有する。
【0190】
コーティングプロセスをよりよく観察するために、分散液に染色染料、例えばニュー・フクシン・レッド(New Fuchsin Red)を加えてもよい。
【0191】
次いで、二重クロステフロンブレードを有する機械的攪拌器を使用して、分散液を渦が見られるように攪拌し、次に水膨潤性ポリマー(粒子)を攪拌を続けながら素早く添加する。この水膨潤性ポリマーが分散液から水を吸収し始めると(典型的には約15秒後)、混合物はゲル化を始め、渦は最終的には消えることになる。次に、自由液体のほとんどすべてが吸収されたなら、攪拌を停止して、得られたコーティングされた水膨潤性ポリマーを乾燥させてもよく、又は本明細書に記載したいずれかの方法によって後処理してもよい。
【0192】
実施例2.2:コーティングされた水膨潤性材料を、それらをエラストマー溶液へと直接混合することにより提供するプロセス。
【0193】
以下は、コーティング工程の前に、又はコーティング工程と同時に、水膨潤性ポリマーを膨潤させることを伴う、本明細書の水膨潤性材料を製造するための好ましいプロセスである。
【0194】
コーティングされる水膨潤性ポリマーの量、コーティングの程度、及び水膨潤性ポリマーを膨潤させるのに必要な水を選択する。
【0195】
次いで、エスタン(Estane)58245などの市販のコーティング剤を有機溶媒(例えばTHF又は必要ならば水とTHFの混合物)に、例えばガラスビーカー内で1時間〜24時間、溶解させることによって、コーティング剤の溶液を調製する。
【0196】
コーティングプロセスをよりよく観察するために、分散液に染色染料、例えばニュー・フクシン・レッド(New Fuchsin Red)を加えてもよい。
【0197】
次に、コーティングを提供するように、攪拌されている又は機械攪拌されている水膨潤性ポリマーにこの溶液を加える。自由な液体が水膨潤性ポリマーに吸収されたとき、攪拌を停止し、得られたコーティングされた水膨潤性ポリマーを乾燥させてもよく、又は本明細書に記載されたいずれかの方法によって後処理してもよい。
【0198】
実施例2.3:個々のコーティングされた水膨潤性材料を提供するプロセス
本明細書の別の好ましいコーティングプロセスは以下の通りである:
(固体、粒子状)水膨潤性ポリマーを好ましくは角度(30〜45度)を持った表面上に載置する。
【0199】
溶液の形態のコーティング剤を、例えばピペットを使用することにより又は噴霧することにより、ポリマー上に液滴の状態で適用する。これによって、気泡が形成されてはならない。
【0200】
こうして、水膨潤性ポリマーの表面上にフィルムを形成する。
【0201】
次にこれらのコーティングされた水膨潤性ポリマーを、室温(20℃)において若しくは例えば40℃/80%湿度のどちらかで2日までの間、又は例えばオーブン(必要ならば真空オーブン)内で低い温度(70℃まで)で、乾燥させる。
【0202】
コーティングされた水膨潤性材料は次いで後述するようにアニーリングすることができる。
【0203】
それはまた次に、所望の形態、例えば粒子へと形成されてもよい。
【0204】
実施例2.4:別の好ましいコーティングプロセス
別の好ましいプロセスでは、最初に水膨潤性ポリマーの分散液を調製し、そこにコーティング剤を添加する。
【0205】
例えば、200gの水膨潤性ポリマー(例えば上記の方法により調製される、架橋重合酸系ポリマー)をプラスチックビーカーに入れ、n−ヘプタンを、そのヘプタンがビーカー内でポリマーの表面よりも約1〜2mmの上の高さになるまで加えるが、これは典型的には約100gのn−ヘプタンである。
【0206】
家庭用ミキサー(例えばクリームをホイップするための)を使用して、構成成分を高速で混合する。エラストマーコーティング材料の溶液、例えば上述したようなポリウレタン溶液の形態のコーティング剤を、例えばピペットを使用することにより水膨潤性ポリマーを有するビーカーに加える。混合物を続けて攪拌し、塊の形成を回避する。
【0207】
得られる材料は表面を覆って薄い層(例えば1cm未満の)として広げて、少なくとも12時間又は(約70℃までのいずれかの温度の)(真空)オーブン中で風乾させることができる。
【0208】
冷却又はその後の工程の後、得られた材料を所望の粒径へと機械的に減少し又は篩にかけてよい。
【0209】
実施例2.5:流動床ワースターコーター(fluidized bed Wurster coater)を用いてコーティングされた水膨潤性材料を提供するプロセス
工程b)はまた、流動床又はワースターコーター(Wurster coater)中で行ってもよい。
【0210】
例えば、ラクソ・ワースター・モデル(Lakso Wurster Model)101(ラクソ・カンパニー(The Lakso Company)、マサチューセッツ州、レオミンスター(Leominster))を使用してもよく、又はグラット(Glatt)GPCG−3造粒機−コーター(グラット・インゲニーアテクニーク(Glatt Ingenieurtechnik GmbH)、ドイツ、ワイマール(Nordstrasse 12,99427 Weimar,Germany)により供給)を使用してもよい。コーティング装置は、空気流下で例えば約30分間、例えば70℃に予め加熱されていることが望ましい場合がある。
【0211】
例えば、典型的には20〜35gの水膨潤性ポリマーを容器に入れる。
【0212】
下記に列記したポリマー溶液/分散液のような、好ましくは流体形態の、コーティング剤を、攪拌台上の容器に入れ、エアの取り込みを防止するためにマグネチックバーを使用して低速で攪拌する。重量を記録することができる。
【0213】
蠕動ポンプを較正し、次に所望の流速(例えば5g/分)に設定し、コーティング剤の流動の方向は前方向に設定する。所望の入り口空気流及び温度を50m/hr及び60℃に設定する。次に、「アトマイジング」エア供給器及びポンプを始動させる。装置への溶媒流量を調節することによって装置の出口温度を45℃に維持する。
(コーティング剤をコーターの入り口近くに進めるために高速を用いてもよく、その後で実験のための正確な速度を設定する。)
【0214】
典型的に、粘性によって粉末の効果的な流動化が阻止されるとき、実験は完了する(10〜60分)。
【0215】
そのとき、コーティング剤の流動を即時に停止して、流動を逆転させる。実験に使用されたコーティング剤の重量を記録する。
【0216】
所望により、得られたコーティングされた水膨潤性ポリマーをコーター内で乾燥させてもよく、このことは、粒子の表面の粘性を低減させるのに役立つ場合がある(乾燥時間は典型的には5〜60分である)。
【0217】
次に、コーターの内部の材料を秤量する。
【0218】
一般に、所望ならば、例えば1つよりも多いコーティング剤が適用される場合には、又は流動助剤、例えば0.5〜2%疎水性シリカを加えるために、このプロセスを続行するように材料をコーティング容器に戻してもよい。
【0219】
一般に、コーティングされた水膨潤性材料の粘着性を減少させるために(例えば溶液に)増量剤を添加してもよく、平均キャリパーが例えば5ミクロン〜20ミクロン又は更には10ミクロンである薄いコーティングを作製するために、5ミクロン未満の中央粒径を有する増量剤を例えば1〜5重量%添加してもよい。
【0220】
コーティングプロセスを視覚化するために、又は審美的な目的のために、コーティング剤に着色剤又は染料溶液、例えばニュー・フクシン・レッド(New Fuchsin Red)を添加してもよい(5ml〜25ml脱イオン水中0.25gのニュー・フクシン・レッド(15〜25℃)を気泡の取り込まないように添加)。染料溶液を約10mlのコーティング剤に攪拌下で滴下することができ、次いでこれを(70mlまでのコーティング剤のために十分な)残りのコーティング剤に攪拌しながら加えることができる。
【0221】
以下の水膨潤性材料は、流動床コーター又はワースターコーター(Wurster coater)を用いて上記のプロセスによって作製され;それぞれの場合において、バスフ(BASF)からASAP500として入手可能な500gのコーティングされていない水膨潤性ポリマーを使用し、指定した量のポリマーを指定した重量%固体濃度で使用した。
【0222】
コーティングされた試料を減圧下室温で24時間乾燥させた。
【表1】

ベクトル(Vector)はデクスコポリマーズ(Dexco Polymers)(米国、77079、テキサス州、ヒューストン、ウィックチェスターレーン12012(12012 Wickchester Lane,Houston,TX 77079,USA)の商標名であり;アイログラン(Irogran)はハンツマン・ポリウレタンズ(Huntsman Polyurethanes)(米国、03038、ニューハンプシャー州、デリー、ケンドールポンドロード52(52 Kendall Pond Road,Derry,NH 03038,USA)の商標名であり;セプトン(Septon)はセプトン・カンパニー・オブ・アメリカ(the Septon Company of America)クラレイ・グループ・カンパニー(A Kuraray Group Company)(米国、77507、テキサス州、パサデナ、チョートロード11414(11414 Choate Road,Pasadena,TX 77507,USA)の商標名であり;エスタン(Estane)はノベオン社(Noveon Inc)(米国、44141−3247、オハイオ州、クリーブランド、ブレックスビルロード9911(9911 Brecksville Road,Cleveland,OH44141-3247,USA)の商標名である。
【0223】
実施例2.6:好ましいその後の乾燥及び/又はアニーリングのプロセス工程
本明細書のプロセスは、溶液、懸濁液若しくは分散液、又は溶液が使用される工程、例えば水膨潤性ポリマーが液体(水)を含んでいるか、又はコーティング剤が分散液、懸濁液、又は溶液の形態である工程を含んでいてもよい。
【0224】
以下は、工程b)のコーティングされた水膨潤性ポリマーを乾燥させるための好ましいプロセス工程である:
液体、例えば水を含むコーティングされた水膨潤性材料を表面上に載置し、例えば、それを厚さ約1cm以下の層の形態でパイレックスガラスパン中に広げる。これを約50℃で少なくとも12時間乾燥させる。
【0225】
コーティングされた水膨潤性ポリマー中に存在する液体の量がわかっている場合には、当該技術分野で公知のように、乾燥前の前記重量の液体を含むコーティングされた水膨潤性材料を測定し、その後に乾燥後の重量を測定することによって、得られた水膨潤性材料(コーティングされた水膨潤性ポリマー)における残留水分を決定することができる。典型的には、得られる水膨潤性材料/コーティングされた水膨潤性ポリマーは(材料の重量基準で)水分含有量を5%未満となるまで乾燥させる。
【0226】
コーティングされた水膨潤性ポリマー又は材料はその後、本明細書に記載されるようにアニーリングされる。
【0227】
幾つかの種類のコーティング剤については、コーティングされた水膨潤性ポリマーが凝集体を形成する可能性があることもある。コーティング工程の前若しくはコーティング工程の間に、又は好ましくは乾燥及び/又はアニーリング工程の間に、当該技術分野で公知のように、流動助剤、例えばデグサ(Degussa)から入手可能なエアロシル(Aerosil)200を添加してもよい。
【0228】
またコーティングされた水膨潤性ポリマーをテフロンコーティングされたメッシュ上に、層を通しての対流が可能なように非常に薄い、例えば5mm未満の層で広げることによって上記の乾燥工程を行ってもよい。
【0229】
別の方法として、液体(水)を含有するコーティングされた水膨潤性ポリマーをまた、例えば材料を真空オーブン中に120〜140℃で2時間、又は使用されているポリマーに対して生ずる温度遷移によって決まるようなそのポリマーに適した温度で入れる、一工程で直接乾燥させアニーリングしてもよい。
【0230】
実施例2.7:流動床での乾燥方法
実施例2.5で使用したようなラクソ・ワスター・コーター(Lakso Wuster coater)及び当該技術分野で既知の他の流動床乾燥機もまた、プロセスの工程b)によって形成されたコーティングされた材料を乾燥させるために使用してよい。例えば、実施例2.5の条件を使用し、コーティングされた材料を導入して(及び従ってコーティング材料を乾燥させるためのみにワースター(Wurster)コーティング装置を使用して)もよい。
【0231】
実施例2.8:共沸蒸留及び乾燥の方法
湿潤コーティングポリマーは、コーティング剤を溶解しない好適な液体、例えばシクロヘキサン(コーティング剤がシクロヘキサンに溶解しない場合に限る)からの共沸蒸留によって低い温度で乾燥させ、又は脱水してもよい。例えば、コーティングされたポリマーを、テフロンブレード及びデジタル攪拌モーターを有するトルボア(Trubore)機械的攪拌器、浸漬温度計、及び目盛り付きサイドアーム及び水冷コンデンサを有するバレット型水分受容器を備えた2リットルの樹脂製ケトルに移す。およそ1リットルのシクロヘキサンをその樹脂製ケトルに加える。攪拌しながら、加熱用マントルを使用して攪拌シクロヘキサン/ゲル系の温度を上げて還流させる。還流を系の温度がシクロヘキサンの沸点(およそ80℃)に達するまで続け、最小の追加量の水のみをサイドアームへと送達する。系を冷却し、次にろ過して脱水した又は乾燥したコーティングされた水膨潤性ポリマーを得て、これを減圧下周囲温度(20℃)にて更に一晩乾燥させてもよい。
【0232】
(本明細書で使用される試験方法)
(コーティング剤のフィルムの調製)
本明細書で使用されるコーティング剤又は相分離エラストマー材料を湿潤伸張試験を包含する下記の試験方法の幾つかに供するために、前記コーティング剤又はその相分離エラストマー材料のフィルムを得る必要がある。
【0233】
本明細書の試験方法で評価するための(乾燥)フィルムの好ましい(下記に説明するような)平均キャリパーはおよそ60μmである。
【0234】
フィルムを調製するための方法は、一般に当業者には既知であり、典型的には溶媒キャスト、ホットメルト押出成形、又はメルトブローフィルムを含む。これらの方法によって調製されたフィルムは、フィルムが引き伸ばされる(drawn)又は引っ張られる(pulled)方向として定義される機械方向を有することがある。機械方向と直角な方向は横断方向として定義される。
【0235】
本発明の目的のためには、下記の試験方法で使用されるフィルムは、コーティング剤又は相分離材料が下記に列挙される溶媒のうちのいずれかの溶液若しくは分散液とすることができず、それでフィルムが下記に記載されるようなホットメルト押出成形で作製される場合を除いて、溶媒キャストによって形成される。(後者は、相分離材料からの粒子状物質が、材料又はコーティング剤と溶媒との混合物中で、室温で2〜48時間の間溶解又は分散させるよう試みた後でなおも目に見える場合、又は溶液又は分散液の粘度が高すぎてフィルムの成形ができない場合である。)
本明細書の第1の実施形態では、アニーリング工程は任意の工程にすぎず、フィルムはアニーリング工程なしで調製されることを理解すべきである。アニーリング工程が必要な場合には、試験されるフィルムは同様にアニーリング工程を伴う、下記のプロセスによって作製される。
【0236】
得られるフィルムは滑らかな表面を有していなければならず、気泡又は亀裂などの目に見える欠陥があってはならない。
【0237】
相分離エラストマー材料又はコーティング剤からの本明細書の溶媒キャストフィルムの調製例:
本明細書の試験に供されるフィルムは、以下のように前記材料又はコーティング剤の溶液又は分散液からフィルムを成形することによって調製することができる:
溶液若しくは分散液は相分離材料若しくはコーティング剤を10重量%で水に、又はこれが不可能な場合にはTHF(テトラヒドロフラン)に、又はこれが不可能な場合にはジメチルホルムアミド(DMF)に、又はこれが不可能な場合にはメチルエチルケトン(MEK)に、又はこれが不可能な場合にはジクロロメタンに、又はこれが不可能な場合にはトルエンに、又はこれが不可能な場合にはシクロヘキサンに、溶解又は分散させることによって調製される(及びこれが不可能な場合には下記のホットメルト押出成形プロセスを使用してフィルムを形成する)。
【0238】
次に、その分散液又は溶液を、蒸発を遅らせるためにアルミホイルを有するテフロンの舟形容器へと注ぎ、溶媒又は分散剤をそのポリマーの最低のフィルム形成温度よりも高い温度で、典型的には約25℃で長時間に渡り、例えば少なくとも48時間、又は更には7日までの間ゆっくりと蒸発させる。それから、フィルムを真空オーブン中に25℃で6時間設置し、すべての残存溶媒が確実に除去されるようにする。
【0239】
本明細書のホットメルト押出成形フィルムを調製するためのプロセスは以下の通りである:
溶媒キャスト法が不可能である場合には、本明細書のコーティング剤又は相分離材料のフィルムは、材料又はコーティング剤を流動させるのに十分高い温度で操作される回転単一スクリュー押出成形装置のセットを使用してホットメルトから押出されてよい。材料又はコーティング剤が融点Tmを有する場合には、押出成形が前記Tmよりも少なくとも20℃高い温度で実施されなければならない。材料又はコーティング剤が非晶質である(すなわちTmを有さない)場合には、安定した剪断粘度を実行して材料についての秩序無秩序転移、又は粘度が劇的に低下する温度を決定することができる。フィルムが押出成形器から引き出される方向は機械方向と定義され、引き出し方向と直角な方向は横断方向と定義される。
【表2】

【0240】
フィルムのアニーリング:
本明細書のプロセスはアニーリング工程を伴い、本明細書の水膨潤性材料がアニーリングコーティングを含む場合には、試験方法に使用されるフィルムはアニーリングされる。(上述したように調製され及び乾燥された)このフィルムのアニーリングは、下記の試験方法の目的のためには、フィルムを使用されるコーティング剤又は使用される相分離エラストマー材料の最も高いTgよりも約20℃高い温度で真空オーブン中に設置することによって行われなければならず、これは13Pa(0.1トール)未満の真空オーブン中で2時間行われ、但しコーティング剤又はエラストマー材料が融点Tmを有する場合には、アニーリング温度はTmよりも少なくとも20℃低く、そのとき好ましくは最も高いTgよりも20℃高い温度(に近い温度)である。Tgに達すると、温度はフィルム中に泡をもたらすことのあるガスの放出を回避するために最も高いTgを超えてゆっくりと上昇させなければならない。例えば、ハードセグメントTgが70℃である材料は90℃で10分間アニーリングされてよく、次にアニーリング温度に達するまで徐々に温度を上げる。
【0241】
コーティング剤又は相分離材料がTmを有する場合には、(上述したように調製され及び下記の方法によって試験される)フィルムの前記アニーリングは、その(最も高い)Tgよりも高く、そのTmよりも少なくとも20℃低く及びその(最も高い)Tgよりも20℃(近く)高い温度で行われる。例えば、Tmが135℃であり(ハードセグメント)の最も高いTgが100℃である湿潤延伸性材料は115℃でアニーリングされ得る。
【0242】
(適用可能な場合、フィルムの取り外し)
乾燥され及び任意でアニーリングされたフィルムをフィルム形成基材から取り外すのが困難な場合には、それらを温水浴に30秒〜1分間入れてフィルムを基材から取り外す。その後フィルムを25℃で6〜24時間乾燥させる。
【0243】
(湿潤伸張試験及び湿潤引張応力試験)
この試験法を用いて、平坦な試料に一軸ひずみを適用しその試料を伸張するのに必要な力を測定することにより、本明細書に使用されるような相分離材料又はコーティング剤のフィルムの破断時の湿潤伸張(=破断時の延伸性)及び引張特性を測定する。適用可能な場合、フィルム試料は本明細書では横断方向に引っ張られる(strained)。
【0244】
試験を行うための好ましい機器の1つは、MTSシステムズ社(MTS Systems Corporation)(米国、ミネソタ州、エデンプレイリー、テクノロジードライブ14000((14000 Technology Drive,Eden Prairie,MN,USA)から入手可能な、25N又は50Nロードセルを有するMTSシナジー(MTS Synergie)100又はMTSアライアンス(MTS Alliance)のような引張り試験機である。これは、引張グリップが均一の速度で移動し、力測定機構が増加する力と共に無視できる距離(0.13mm未満)だけ移動する延伸の一定速度を測定する。ロードセルは、試験される試料の測定される負荷(例えば力)がロードセルの能力の10〜90%の間となるように選択される。
【0245】
各試料はフィルムからのダイカットであり、各試料は上述したように2.5×2.5cm(1×1インチ)であり、フィルムを試料へと切断するためにアンビル液圧プレスダイを使用している(従って、フィルムがいずれの配向も導入しないプロセスにより作製される場合には、フィルムはどの方向で試験されてもよい)。気泡、穴、含有物、及び切り傷などの目に見える欠陥が実質的にない試験片(3つのうちの最も少ないもの)を選択する。それらはまた、鋭く実質的に欠陥のない縁端部を有していなければならない。
【0246】
各乾燥試験片の厚みを、ミツトヨはさみ尺(Mitutoyo Caliper Gauge)などの低圧はさみ尺で約700Pa(0.1psi)の圧力を用いて0.001mmの精度まで測定する。試料の3つの異なる領域を測定し、平均キャリパーを決定する。各試験片の乾燥重量を、標準化学てんびんを用いて0.001gの精度まで測定して記録する。乾燥試験片は、更に調製されることなく、本明細書で使用される乾燥伸張、乾燥割線弾性率、及び乾燥引張応力値を決定するために試験される。
【0247】
湿潤試験に関しては、予め秤量された乾燥フィルム試験片を食塩水溶液[0.9%(w/w)NaCl]に周囲温度(23±2℃)で24時間浸漬する。試料が巻き上がり、それ自身にくっつくのを防止する120メッシュ耐腐蝕性金属スクリーンを有する溶液槽内にフィルムを固定する。フィルムを溶液槽から取り出し、過剰の又は吸収されない溶液を表面から除去するためにバウンティ(著作権)タオルなどの吸収性ティッシュで拭いて乾かす。湿潤キャリパーを乾燥試料に関して記載したように決定する。湿潤試験片は更に調製されることなく引張試験のために使用される。試験は調製が完了してから5分以内に完了させなければならない。湿潤伸張、湿潤割線弾性率、及び湿潤引張応力を決定するために、湿潤試験片を評価する。
【0248】
本発明の目的のためには、破断までの(又は破断時の)伸張は、破断までの(又は破断時の)湿潤伸張と呼ばれ、破断時の引張応力は破断時の湿潤応力と呼ばれる。(破断の瞬間における、破断までの伸張%が本明細書で使用する場合の破断時の湿潤延伸性である。
【0249】
引張試験は、テストワーク(Testworks)4ソフトウェアを有するMTSアライアンス引張試験機(MTS Alliance tensile tester)などのコンピュータインターフェースを有する延伸引張試験機の一定速度で実施される。ロードセルは測定される力がセルの能力の10〜90%内に入るように選択される。平坦な1平方インチ(6.45平方cm)ラバー面を有するグリップを取り付けた空気式つかみ具(jaws)を、2.5cm(1インチ)のゲージ長を与えるように設定する。試験片は識別できるたるみを取り除くのに十分であるが、0.05N未満の張力で負荷がかけられる。試験片は、それが完全に破断するまで25cm/min(10インチ/min)の一定クロスヘッドスピードで延伸される。試験片がグリップ境界面で破断するか又はグリップ内でのすべりが検出された場合には、そのデータは破棄し、新しい試験片で試験を繰り返し、グリップ圧を適当に調節する。試料はフィルムの可変性を計算に入れて三度測定される。
【0250】
得られた引張り力変位データは、初期の試料寸法を用いて応力−ひずみ曲線に変換され、その曲線から本明細書で使用される伸張性、引張応力、及び弾性率が導かれる。破断時の引張応力は、試験片が破断までもっていかれたときに測定された最大応力として定義され、MPaで報告される。破断点は、測定された応力がその最大値の90%となる応力−ひずみ曲線上の点として定義される。破断時の伸張は、その破断点におけるひずみとして定義され、初期ゲージ長に対する百分率として報告される。400%伸張時における割線弾性率は、0%及び400%ひずみにおいて応力−ひずみ曲線と交わる直線の傾きとして定義される。評価される各延伸可能なフィルムコーティングに対して3つの応力−ひずみ曲線が作製される。本明細書に使用される伸張性、引張応力、及び弾性率は各曲線から導かれるそれぞれの値の平均値である。
【0251】
400%伸張時における乾燥割線弾性率(SMdry400%)は、上述した方法(但し0.9%NaCl溶液に浸漬しない)によって得ることが可能であるような乾燥フィルムを、上述したのと同様の引張試験に供し、次に上記で行ったようにゼロ切片及び400%においてひずみ−応力曲線と交差する直線の傾きを計算することによって計算される。
【0252】
(ガラス転移温度)
本発明の目的のためには、ガラス転移温度(Tg)は示差走査熱量計(DSC)によって決定される。熱量計は、試験される試料の予想されるTg、例えば−90°〜250℃を包含する温度範囲に渡る少なくとも20℃/分の加熱/冷却速度が可能でなければならず、また熱量計は約0.2μWの感度を有していなければならない。TA機器Q1000DSCは本明細書で言及されるTgを決定するのに好適である。対象の材料は、次のような温度プログラムを用いて分析できる:−90℃で平衡化し、20℃/分で120℃まで上昇させ、5分間等温に保持し、20℃/分で−90℃まで下降させ、5分間等温に保持し、20℃/分で250℃まで上昇させる。2度目の熱サイクルからのデータ(熱流、対、温度)を使用して、標準半外挿熱容量温度アルゴリズム(standard half extrapolated heat capacity temperature algorithm)によりTgを計算する。典型的には、3〜5gの試料物質をクリンプ蓋を有するアルミニウムDSCパン内に量り入れる(±0.1g)。
【0253】
本明細書で使用するとき、TgはTgよりも低い温度となる。
【0254】
(ポリマー分子量)
多角度光散乱検出器(GPC−MALS)を有するゲル浸透クロマトグラフィーを使用して、本明細書の相分離ポリマーの分子量を決定してよい。本明細書で言及する分子量は重量平均モル質量(Mw)である。これらの測定を行うための好適な装置は、ドーン(DAWN)DSPレーザー光度計(ワイアット・テクノロジー(Wyatt Technology)、オプティラボ(Optilab)DSP干渉屈折計(ワイアット・テクノロジー)、及び標準HPLCポンプ、例えばウォーターズ(Waters)600E装置から構成され、すべてアストラ(ASTRA)ソフトウェア(ワイアット・テクノロジー)により操作される。
【0255】
あらゆるクロマトグラフィー分離と同様に、溶媒、カラム、温度、及び溶質の特性及び条件の選択は、試験される具体的なポリマーによって決まる。以下の条件は、本明細書で言及される相分離ポリマーに一般的に適用可能であることが見出された:溶媒及び移動相としてテトラヒドロフラン(THF)を使用し;1mL/分の流量を、直列に配置され40〜45℃に加熱された2本の300×7.5mm、5μm、PLゲル、混合−C GPCカラム(ポリマー・ラボ(Polymer Labs))に通し(オプティラボ(Optilab)屈折計を同じ温度に保持する);THF溶液中0.2%ポリマー溶液100μLを分析のために注入する。dn/dc値は、入手可能である文献から得るか又はアストラ・ユーティリティー(ASTRA utility)を用いて計算する。重量平均モル質量(Mw)はアストラ(ASTRA)ソフトウェアでジム適合法(Zimm fit method)を用いて計算する。
【0256】
(水蒸気透過速度法(MVTR法))
MVTR法により、特定の温度及び湿度においてフィルムを透過する水蒸気の量を測定する。透過蒸気はCaCl吸収剤によって吸収され、重量測定法で決定される。試料を、正の対照として使用される、確立された透過率を有する対照用フィルム試料(例えば、エクソン・エクサイア・ミクロ孔質材料#XBF−110W)と共に3度評価する。
【0257】
この試験はフランジ付きカップ(デルリン(Delrin)(マクマスター−カー(McMaster-Carr)カタログ#8572K34)から機械加工される)及び無水CaCl(ワコー・ピュア・ケミカル・インダストリー(Wako Pure Chemical Industries)、バージニア州リッチモンド(Richmond,Va.);カタログ030−00525を使用する。カップの高さは55mmで内径は30mm及び外径は45mmである。カップには、シリコーンガスケット及びカップを完全に密閉するためのちょうねじのための3つの穴を有する蓋が取り付けられている。乾燥剤粒子はNo.8の篩は通るが、No.10の篩は通らない大きさを有する。明らかな欠陥のない、およそ3.8×6.4cm(1,5インチ×2.5インチ)のフィルム試験片を分析に使用する。フィルムは、0.0007065mであるカップの開口、Aを完全に覆わなければならない。
【0258】
カップを、上部1cm以内までCaClで満たす。カップを台に10回軽く打ち付け、CaClの表面をならす。CaClの量は、フィルム表面とCaCl2の上部との間のヘッドスペースが1.0cmになるまで調節する。フィルムをカップの上部に開口(30mm)を横切って載置して、シリコーンガスケット、保持リング、及びちょうねじを使用して固定する。適切に取り付けられたとき、試験片は皺が寄っていてはならず、又は延伸していてはならない。試料アセンブリを化学てんびんで秤量し、±0.001gまで記録する。アセンブリは一定温度(40±3℃)及び湿度(75±3%RH)の室内に5.0時間±5分間置かれる。試料アセンブリを取り出し、サランラップ(登録商標)で覆い、ゴムバンドで固定する。試料を室温に30分間平衡化し、プラスチックラップを取り除き、アセンブリを再秤量して、その重量を±0.001gまで記録する。吸収された水分Mは最初と最後のアセンブリ重量の差である。MVTRを、次のようにg/m/24時間(g/m/日)において計算する:
MVTR=M/(A*0.208日)
反復結果を平均し、100g/m/24時間単位で近似し、例えば、2865g/m/24時間は本明細書では2900g/m/24時間として与えられ、275g/m/24時間は300g/m/24hrとして与えられる。
【0259】
(非水膨潤性とみなされる、本明細書で使用される湿潤延伸性材料の水膨潤能の決定法)
本明細書のエラストマー材料は非水膨潤性及び/又は吸収性であり、それは、その材料が典型的に1g水/g材料未満、又は更には0.5g/g未満、又は更には0.2g/g未満、又は更には0.1g/g未満を吸収することを意味する。
【0260】
吸水率は次のように決定できる。
重量M(試料)を有する特定の予め秤量された量のエラストマー材料(試料)を、過剰量の脱イオン水に浸漬し、約2.5時間水を「吸収」させる。
試料を水から静かに取り出し、可能ならば、数秒間ティッシュタオルで試料から過剰の水を拭き取る。次に再度試料を秤量し、湿潤試料重量M(試料−湿潤)を決定する。
【0261】
試料の水吸収能、X(AC試料)は、次式によって決定される:
X(AC試料)={M(試料湿潤)−M(試料)}/M(試料)
値Xを乾燥フィルム試料1グラム当たりに吸収された流体のグラム数として報告する。
【0262】
決定されたような吸水率は、本明細書ではまた、相分離エラストマー材料の水膨潤(Water Swellability)(又は膨潤(Swelling))能(Capacity)とも呼ばれる。
【0263】
(シリンダー遠心分離保持能力)
シリンダー遠心分離保持能力(CCRC)法は、水膨潤性材料又はポリマー(試料)の、加速度250gで遠心分離した後の流体保持能力を決定する。遠心分離に先立ち、試料をメッシュ底部及び開いた頂部を有する硬質の試料シリンダー内で過剰の食塩水溶液で膨潤させる。
【0264】
この方法は40g/gよりも実質的に高く、従ってティーバッグ法(例えば、エダナ(EDANA)441.2−02、米国特許第6,359,192B1号、米国特許第5,415,643号)によって評価するのにあまり適さない流体保持能力を有する材料に特に適用可能である。試験される各材料に対して2つずつの試料試験片を評価し、平均値を報告する。
【0265】
CCRCは、上部で開放されており、底部はシリンダー内に食塩水を容易に流せるようにするが評価されている吸収性粒子を収容するステンレス鋼メッシュ(400)で閉じられている予め秤量した(±0.01g)プレキシガラス試料容器に、試料材料(1.0±0.001g)を入れることにより、周囲温度で測定することができる。試料シリンダーは、67mm高さ寸法の丸みの付いた縁部を有する方形角柱に近似する。基部寸法(78×58mmOD、67.2×47.2MMID)は、本明細書ではシリンダースタンドと称されるモジュラーチューブアダプターの寸法に正確に合致し、このアダプターは、遠心分離機(ヘラウスメガフージ(Heraeus Megafuge)1.0;ヘラウス(Heraeus)#75003491、VWR#20300−016)の方形のローターバケット(ヘラウス#75002252、VWR#20300−084)に嵌め込まれる。
【0266】
試料がメッシュ表面に渡って均一に分配されるように充填された試料シリンダーを静かに振盪し、食塩水溶液を含有するパンの中に直立に設置する。メッシュの底部を通って食塩水が確実に自由流動できるようにシリンダーを位置決めしなければならない。シリンダーを互いに対接して、又はパンの壁面に対接して配置しないように、又はパンの底部に対し密閉されないようにしなければならない。封圧なしに、及び過剰の食塩水中で、研究に基づく特定の材料に対するCCRC飽和又は平衡時間の80%に相当する時間の間、試料を膨潤させる。飽和時間は、増加する膨潤時間(増分60分)に対するCCRC値のプロットから決定される。本明細書で使用するとき、飽和時間は、飽和/平衡CCRC値に達するのに必要な膨潤時間として定義される。飽和値は、曲線上の3つの連続点の、CCRC値の標準偏差(SD)を連続的に計算する(第1のSDは時間点1〜3に対して計算し、第2のSDは時間点2〜4に対して、第3のSDは時間点3〜5に対して計算するなど)ことによって決定される。飽和値は2未満の標準偏差を有する3つの連続したCCRC値の最大値として定義される。
【0267】
シリンダーを直ちに溶液から取り出す。各シリンダーをシリンダースタンドに(メッシュ側を下にして)設置し、得られたアセンブリをローターバスケットに、2つの試料アセンブリが遠心分離ローターの釣り合った位置に置かれるように載せる。
【0268】
シリンダースタンドの底部において250±5gの遠心分離加速度を生ずるために要するローターの速度に達した後、試料を3分(±10秒)間遠心分離する。シリンダースタンドの開口が、加えられた遠心力によって吸収剤から排出されたあらゆる溶液が、試料から溶液が収容されるローターバケットの底部へと流動できるようにする。ローターが休止状態になったら試料シリンダーを即座に取り外し、0.01g単位で秤量する。
【0269】
以下のように、試料材料(例えば水膨潤性材料)1グラム当たりに吸収された食塩水溶液のグラム数で表されるシリンダー遠心分離保持能力が、各反復回に対して計算される:
【数1】

式中、
CSは、遠心分離後の試料を有するシリンダーの質量[g]
Cbは、試料を有さない乾燥シリンダーの質量[g]
は、食塩水溶液を有さない試料の質量[g]
本明細書で言及されるCCRCは、0.01g/g単位で報告される2度の試料の平均である。
【0270】
(塩水流伝導度(SFC))
透過率の測定及び多孔性の表示は、米国特許第5,562,646号(ゴールドマン(Goldman)ら、1996年10月8日発行)に記載されるようなゲルベッドの塩水流伝導度によって与えられる(が、ここでは、ジャイコ(Jayco)溶液の代わりに0.9%NaCl溶液を使用する)。
【0271】
(抽出可能物又は抽出可能ポリマーの値)
本明細書で有用な特に好ましい水膨潤性材料及び水膨潤性ポリマーの別の重要な特徴は、その中に存在する抽出可能なポリマー材料又は抽出可能物の濃度である。抽出可能ポリマーのどのレベルがなお許容可能であるかという評価及び説明は、米国特許第4,654,039号に詳細に開示及び説明されている。一般則として、抽出可能量はできるだけ低くあるべきであり、低ければ低いほど、抽出可能材料が起こし得る望ましくない反応は少なくなる。10重量%未満、又は更には5重量%未満、又は更には3重量%未満(1時間試験値)の抽出可能物のレベルが好ましい。
【0272】
(本明細書の水膨潤性材料の自由膨潤速度の測定方法)
この方法は、本明細書の水膨潤性材料の0.9%食塩水溶液における膨潤速度を、攪拌又は封圧を用いずに測定するために役立つ。特定量の流体を吸収するためにかかる時間量を記録し、これを1秒当たりに水膨潤性材料1グラムにつき吸収された流体(0.9%食塩水)のグラム数、例えばg/g/秒で報告する。
【0273】
食塩水溶液は、9.0グラムのNaClを1000mlの蒸留脱イオン水に加えることにより調製され、これをすべてのNaClが溶解するまで攪拌する。
【0274】
試料材料(1.0g±0.001g)を秤量し、25mlビーカーの底部を覆うように均一に配置する。食塩水溶液の20mlアリコート(また、23℃)を即座にビーカーに注ぎ入れる。食塩水溶液を送達した後直ちにタイマーを始動させ、流体相の最終部分が膨潤している試料と合体したときにタイマーを停止させる。
【0275】
これは、バルク食塩水表面、特にビーカー壁面との境界における表面からの光反射の喪失によって容易に示される。経過時間、t、を秒の単位で記録する。g液体/g試料材料/秒における自由膨潤速度は、次のように計算される:FSR=20/t。試験は3度行われ、その平均が試料材料の自由膨潤速度として用いられる。
【0276】
(コーティングキャリパー及びコーティングキャリパー均一性の決定)
水膨潤性ポリマー又は材料上のエラストマーコーティングは、本明細書で使用するとき、典型的には標準走査電子顕微鏡、好ましくは当業者には公知のような環境走査電子顕微鏡(environmental scanning electron micrsocopy)(ESEM)によって調査することができる。以下の方法においてもまた、コーティングされた水膨潤性ポリマー/材料の平均コーティングキャリパー及びコーティングキャリパー均一性をその材料の断面によって決定するために、ESEM評価が使用される。
【0277】
機器モデル:ESEM XL30FEG(電界放射型電子銃(Field Emission Gun))
ESEM設定:低倍率(35×)での画像も同じく得るために金で覆われた試料を用いる高真空モード、並びにコーティング/シェルが存在する場合に(金で覆われている必要はない)それらの画像を得るための、LFD(約80%ガソウス(Gasous)二次電子+20%二次電子を検出する、ラージフィールド検出器(large Field Detector))と、PLA(圧力制限開孔(Pressure Limiting Aperture))を有さないビュレットとを用いるESEM乾燥モード。
【0278】
フィラメント張力:高真空モードで3KV、及びESEM乾燥モードで12KV。
【0279】
ESEM乾燥モードにおけるチャンバ内の圧力:ゼラチン状試料上で40Pa〜133Pa(0.3トール〜1トール)、及び他の試料に対しては107Pa〜133Pa(0.8〜1トール)。
【0280】
コーティングされた水膨潤性材料若しくはポリマーの試料又はコーティングされていないポリマーの試料は、標準ESEM条件/機器を用いて周囲条件(20C、80%相対湿度)で約1時間後に観察することができる。
【0281】
次いで、同じ試料を高真空モードで観察することができる。次に試料を、テフロンブレード(テフロンブレードはAGARサイエンティフィックカタログ(the AGAR scientific catalogue)(ASSING)から参照コードT5332で入手可能である)を用いて断面切断により切断することができ、再び真空モードで観察することができる。
【0282】
コーティングはコーティングされていない水膨潤性ポリマーとは異なるモルホロジーを有し、コーティングはESEM画像において、特に断面図を観察した場合にはっきりと識別可能である。
【0283】
次に、水膨潤性材料又はコーティングされた水膨潤性ポリマーの少なくとも5つの粒子を分析し、5つの平均キャリパー、粒子ごとの平均(各粒子の断面を分析し、少なくとも3つの異なる領域においてコーティングのキャリパーを測定することによる)を決定し、これらの5つの平均キャリパーの平均を取ることにより、平均コーティングキャリパーを決定する。
【0284】
コーティングの均一性は、少なくとも5つの異なる粒子の断面の切り口のESEMによってコーティングの最小及び最大キャリパーを決定し,(5つより多くの)平均最小及び平均最大キャリパー及びそれらの比を決定することにより、決定される。
【0285】
コーティングがESEMにおいてはっきりと識別できない場合には、例えばESEM法を使用する前に、四酸化オスミウム、過マンガン酸カリウムなどで対比性を高めるなどといった、適用されるコーティングに特有である当業者に公知の染色技術を用いてもよい。
【0286】
(本明細書の水膨潤性材料の理論等価シェルキャリパーを決定するための可能な方法)
水膨潤性材料に含まれているコーティング剤の量がわかっている場合には、以下に定義するようにして理論等価平均キャリパーを決定してもよい。
【0287】
この方法は、本明細書の水膨潤性材料上のコーティング層又はシェルの平均キャリパーを、その水膨潤性材料が単分散物であり、球状であるものとするという想定に基づいて(実際にはそうでない場合もある)計算する。
【0288】
(重要なパラメータ)
【表3】

【0289】
(式)
(注:この記述において:百分率で表されるcはすべて、0〜100%と等価である0〜1の範囲を有する。
【数2】

【数3】

【数4】

【実施例】
【0290】
D_AGM_dry:=0.4mm(400μm);Rho_AGM_固有:=Rho_ポリマー_シェル:=1.5g/cc
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング剤でコーティングされた水膨潤性ポリマーを含む水膨潤性材料を含む吸収性構造体であって、前記コーティング剤はエラストマー材料を含み、このエラストマー材料は相分離しており、少なくとも、第1のガラス転移温度Tgを有する第1の相と第2のガラス転移温度Tgを有する第2の相とを有し、好ましくはTgとTgの差が少なくとも30℃である、吸収性構造体。
【請求項2】
コーティング剤でコーティングされた水膨潤性ポリマーを含む水膨潤性材料を含む吸収性構造体であって、前記材料は次の工程
a.水膨潤性ポリマー粒子を得る工程;
b.工程a)と同時に又は工程a)の後に、前記水膨潤性ポリマー粒子の少なくとも一部にコーティング剤を適用する工程;及び所望により、
c.工程b)で得られたコーティングされた水膨潤性ポリマー粒子をアニーリングして、水膨潤性材料を得る工程
を含むプロセスによって得ることが可能であり、
ここで、工程b)の前記コーティング剤は、少なくとも、第1のガラス転移温度Tgを有する第1の相と第2のガラス転移温度Tgを有する第2の相とを有しており、好ましくはTgとTgの差は少なくとも30℃である、エラストマー相分離材料を含む、吸収性構造体。
【請求項3】
前記水膨潤性材料が、前記プロセスによって得ることが可能であり、工程b)において前記コーティング剤及び/又は前記エラストマー材料が湿潤延伸性であり、破断時の湿潤伸張性が少なくとも400%、湿潤状態における破断時の引張応力が少なくとも1MPa、又は更には少なくとも5MPaである、請求項2に記載の吸収性構造体。
【請求項4】
前記水膨潤性材料が、前記プロセスによって得ることが可能であり、工程b)において前記コーティング剤及び/又は前記湿潤延伸性のエラストマー材料は、湿潤状態において、400%伸張(延伸)時の湿潤割線弾性率が少なくとも0.5MPa、好ましくは少なくとも0.75MPa、最も好ましくは少なくとも約3MPaである、請求項3に記載の吸収性構造体。
【請求項5】
前記水膨潤性材料が、前記プロセスによって得ることが可能であり、工程b)において前記コーティング剤及び/又は前記湿潤延伸性のエラストマー材料は、乾燥状態において、400%伸張での乾燥割線弾性率(SMdry400%)及び400%伸張での湿潤割線弾性率(SMwet400%)を有し、SMwet400%とSMdry400%の比が1.4〜0.6である、請求項4に記載の吸収性構造体。
【請求項6】
前記水膨潤性材料が、前記プロセスによって得ることが可能であり、工程b)において前記コーティング剤及び/又は前記エラストマー材料は、少なくとも800g/m/日、又は好ましくは少なくとも1500g/m/日の水蒸気透過速度(MVTR)を有し、又は更により好ましくは少なくとも2100g/m/日のMVTRを有する、請求項2〜5のいずれか一項に記載の吸収性構造体。
【請求項7】
前記エラストマー相分離材料が、20℃未満、好ましくは0℃未満のTg及び50℃超過、又は更には60℃超過のTgを有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性構造体。
【請求項8】
前記エラストマー材料が、分子量が少なくとも50kDa、好ましくは少なくとも70kDaのブロックコポリマー材料である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性構造体。
【請求項9】
前記コーティング剤が、ポリウレタン類−コ−ポリエーテル類、ポリウレタン類−コ−ポリエステル類、ポリウレタン/尿素類−コ−ポリエーテル類、ポリウレタン/尿素類−コ−ポリエステル、ポリスチレンブロックコポリマー類のうちの1つ以上のブロックコポリマーを含む、請求項8に記載の吸収性構造体。
【請求項10】
前記コーティング剤が、前記水膨潤性ポリマー粒子の周りの連続性シェルの形態で存在し、前記シェルは1μm〜50μm、より好ましくは1μm〜20μm、又は更により好ましくは2〜10μmの平均キャリパーを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸収性構造体。
【請求項11】
前記シェルが、均一性であり、最小キャリパーと最大キャリパーの比が1:1〜1:3、好ましくは1:1〜1:2である、請求項10に記載の吸収性構造体。
【請求項12】
乳幼児用おむつ、トレーニングパンツ、成人失禁物品、生理用ナプキン、パンティライナー、陰唇間物品、及び包帯から選択される使い捨て吸収性物品である、又はその一部である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の吸収性構造体。
【請求項13】
次の工程;
a)第1の基材ラッピング材料を準備する工程;
b)前記水膨潤性材料を基材材料の第1の表面に、好ましくは水膨潤性材料を実質的に含まない少なくとも1つの領域を含むパターン、及び水膨潤性材料を含む少なくとも1つの領域を含むパターンで、好ましくは水膨潤性材料を有する別々の領域の間に開口が形成されるように、付着させる工程;所望により
c)熱可塑性材料を前記基材材料の第1の表面上及び前記水膨潤性材料上に、前記熱可塑性材料の一部が前記基材の第1の表面に直接接触し及び前記熱可塑性材料の一部が前記水膨潤性材料に直接接触するように、付着させる工程;
d)前記基材材料を、工程b)若しくはc)の基材材料上の水膨潤性材料を覆うようにその上に折り畳む工程;及び/又は工程b)若しくはc)の基材材料上の前記水膨潤性材料にかぶせて別の基材ラッピング物質を配置する工程
によって得ることが可能な、請求項1〜12のいずれか一項に記載の吸収性構造体。
【請求項14】
トップシート及びバックシートを含み、それらの間に請求項1〜13のいずれか一項に記載の吸収性構造体を含む使い捨て吸収性物品。

【公表番号】特表2007−501082(P2007−501082A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522806(P2006−522806)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/025837
【国際公開番号】WO2005/014065
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.パイレックス
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】