説明

コーティング組成物

本発明は、コーティング組成物に関する。より具体的には、本発明は、ビス芳香族第2級ジアミン、ビス芳香族第1級ジアミンおよび任意でモノ芳香族第1級ジアミンを含むアミン硬化剤組成物を含むコーティング組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング組成物に関する。より具体的には、本発明は、ビス芳香族第2級ジアミン、ビス芳香族第1級ジアミンおよび任意でモノ芳香族第1級ジアミンを含むアミン硬化剤組成物を含むコーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンおよびポリ尿素のコーティングは、屋根、床または屋外の条件にさらされる表面などの数多くの用途に用いられてきた。2液型(2K)ポリウレタンまたはポリ尿素のコーティングは、通常、硬化剤とイソシアネート末端プレポリマーを一緒にin−situで混合し、反応させることで調製される。
【0003】
該イソシアネート末端プレポリマーは、ポリオールまたはポリアミンをイソシアネート(例えば、トルエンジイソシアネート、別名「TDI」)と反応させることで得られる。ポリウレタンコーティング用に最も広く使われている硬化剤の1つは、4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン)(以下、簡単に「MOCA」と略称する)である。有機金属鉛触媒および可塑剤などの任意な添加剤も必要であれば使用することができる。混合の後、コーティングは通常、コテ、ヘラ、またはレーキを用いて手塗りで塗布される。
【0004】
MOCAはいくつかの好ましい属性を備えているため、ポリウレタンコーティング用の硬化剤として従来、用いられている。例えば、MOCAは、イソシアネート末端プレポリマーと比較的穏やかに反応するので、作業可能なポットライフを確保することができる。ポットライフとは、プレポリマーと硬化剤とを混合した後、混合物を過度の支障なく塗布することができる期間を指し、一般に、混合後、粘度が10万センチポイズに増加するまでに経過する時間として定義される。さらに、MOCAはポリウレタンコーティングに、良好な硬度、引張強度、破断点伸びおよび引裂強度などの様々な物理的/機械的特性を与える。これらの特性は、特に、ポリウレタンを防水コーティングとして使用するときに重要である。したがって、MOCAは、それがポリウレタン防水コーティングに与える特性のために、硬化剤として広く使用されている。
【0005】
しかし、MOCAには、いくつもの欠点がある。最も重大な欠点は、国際癌研究機関(IARC)によれば、MOCAはヒトに対して発癌性があり、したがって、コーティングを塗布する作業者と不適切に調製されたコーティングにさらされる消費者にとって安全衛生上の懸念となる。(MOCAがマウスおよびラットにおいて数多くの部位で腫瘍を、犬で膀胱腫瘍を引き起こしたことを記述したCarcinogenicity of Some Aromatic Amines, Organic Dyes, and Related Exposures、The Lancet Oncology、第9巻、第4号、322〜323頁、2008年4月も参照)。
【0006】
さらに、MOCAは室温では固体で、結晶性が高いため、溶解しにくく、沈殿し易いので、コーティングの塗布の際、扱いにくい。
【0007】
したがって、MOCAのような安全衛生上の懸念がなく、ポリウレタンまたはポリ尿素のコーティングに良好な物理的/機械的特性を与えるポリウレタンまたはポリ尿素のコーティング用の硬化剤を開発する必要が存在する。
【0008】
日本特許第3445364号Bでは、硬化剤が4,4’−ビス(sec−ブチルアミノ) ジフェニルメタン(SBMDA)およびジエチルトルエン−ジアミン(DEDTA)
から成る、防水コーティングとして有用なポリウレタンが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以下:
a)以下を含むアミン硬化剤組成物:
(i) 式Iを有するビス芳香族第2級ジアミンを約60mol%〜約90mol%
【化1】

(式中、Rは、それぞれ独立に、C−C10アルキルである);
(ii)式IIを有するビス芳香族第1級ジアミンを約10mol%〜約40mol%
【化2】

(式中、Rは、それぞれ独立に、C−C10アルキルであり、Rは、それぞれ独立に、塩素、臭素、フッ素、または水素であり、mol%は、ビス芳香族第2級ジアミンおよびビス芳香族第1級ジアミンの合計モル数に基づく);ならびに
(b)遊離イソシアネート(NCO)基を有するプレポリマー(ただし、プレポリマー中のNCO基対アミン硬化組成物中のアミン(−NH)基のモル比は、約0.8〜約2.0の範囲である)
を含むコーティング組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下:
a)以下を含むアミン硬化剤組成物:
(i) 式Iを有するビス芳香族第2級ジアミンを約60mol%〜約90mol%
【化3】

(式中、Rは、それぞれ独立に、C−C10アルキルである);および
(ii)式IIを有するビス芳香族第1級ジアミンを約10mol%〜約40mol%
【化4】

(式中、Rは、それぞれ独立に、C−C10アルキルであり、Rは、それぞれ独立に、塩素、臭素、フッ素、または水素であり、mol%は、ビス芳香族第2級ジアミンおよびビス芳香族第1級ジアミンの合計モル数に基づく);ならびに
(b)遊離イソシアネート(NCO)基を有するプレポリマー(ただし、プレポリマー中のNCO基対アミン硬化組成物中のアミン(−NH)基のモル比は、約0.8〜約2.0の範囲である)
を含むコーティング組成物に関する。
【0011】
1つの実施例では、式Iのビス芳香族第2級ジアミンは、4,4’−ビス(sec−ブチルアミノ)ジフェニルメタン(SBMDA)から成る群から選択される。
【0012】
もう1つの実施例では、式IIのビス芳香族第1級ジアミンは、4,4’−メチレン−ビス−(2−エチル−6−メチル−アニリン)(NMMEA);4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)(MDEA);4,4’−メチレン−ビス−(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)(MMIPA); メチレン−ビス−オルトクロロアニリン(MBOCA);4,4’−メチレン―ビス―(2−メチルアニリン)(MMA);4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロ−6−エチルアニリン)(MCEA);4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(MCDEA);4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)(MDIPA)またはこれらの混合物から成る群から選択される。
【0013】
もう1つの実施例では、式Iのビス芳香族第2級ジアミンの量は、ビス芳香族第2級ジアミンおよびビス芳香族第1級ジアミンの合計モル数にに基づくて65mol%〜85mol%または約70mol%〜約80mol%の範囲とすることができる。式IIのビス芳香族第1級ジアミンの量は、ビス芳香族第2級ジアミンおよびビス芳香族第1級ジアミンの合計モル数にに基づく、約15mol%〜約35mol%または約20mol%〜約30mol%の範囲とすることができる。
【0014】
本発明は、また、 以下:
a)以下を含むアミン硬化剤組成物:
(i)約50mol%より多くの式Iを有するビス芳香族第2級ジアミン
【化5】

(式中、Rは、それぞれ独立に、C−C10アルキルである)、
(ii)式IIを有するビス芳香族第1級ジアミンを約3mol%〜約47mol%
【化6】

(式中、Rは、それぞれ独立に、C−C10アルキルであり、Rは、それぞれ独立に、塩素、臭素、フッ素、または水素である);および
(iii)式IIIa、IIIbまたはそれらの混合を有するモノ芳香族第1級ジアミンを約3mol%〜約47mol%
【化7】

(式中、Rはそれぞれ独立して、−CH−または−S−、mol%は、ビス芳香族第2級ジアミン、ビス芳香族第1級ジアミンおよびモノ芳香族第1級ジアミンの合計モル数に基づく);ならびに
(b)遊離イソシアネート(NCO)基を有するプレポリマー(ただし、プレポリマー中のNCO基対アミン硬化組成物中のアミン(−NH)基のモル比は、約0.8〜約2.0の範囲である)
を含むコーティング組成物に関する。
【0015】
他の実施例においては、式Iのビス芳香族第2級ジアミンの量は、ビス芳香族第2級ジアミン、ビス芳香族第1級ジアミンおよびモノ芳香族第1級ジアミンの合計モル数に基づいて、約55mol%〜約90mol%または約60mol%〜約85mol%の範囲にすることができる。式IIのビス芳香族第1級ジアミンの量は、ビス芳香族第2級ジアミン、ビス芳香族第1級ジアミンおよびモノ芳香族第1級ジアミンの合計モル数に基づいて、約5mol%〜約30mol%または約10mol%〜約25mol%の範囲とすることができる。式IIIa、IIIbまたはそれらの混合を有するモノ芳香族第1級ジアミンの量は、ビス芳香族第2級ジアミン、ビス芳香族第1級ジアミンおよびモノ芳香族第1級ジアミンの合計モル数にに基づく、約5mol%〜約30mol%または約10mol%〜約25mol%の範囲とすることができる。
【0016】
1つの実施例では、式Iのビス芳香族第2級ジアミンは、4,4’−ビス(sec−ブチルアミノ)ジフェニルメタン(SBMDA)から成る群から選択される。
【0017】
もう1つの実施例では、式IIのビス芳香族第1級ジアミンは、4,4’−メチレン−ビス−(2−エチル−6−メチルアニリン)(NMMEA);4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)(MDEA);4,4’−メチレン−ビス−(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)(MMIPA);メチレン−ビス−オルトクロロアニリ
ン(MBOCA);4,4’−メチレン−ビス−(2−メチルアニリン)(MMA);4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロ−6−エチルアニリン)(MCEA);4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(MCDEA);4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)(MDIPA)またはそれらの混合物から成る群から選択される。
【0018】
もう1つの実施例では、式IIIaまたはIIIbのモノ芳香族第1級ジアミンは、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミンまたはそれらの混合物から成る群から選択される。これらの2つの化合物の混合物は、一般に、DEDTAと呼ばれており、市販製品の例の1つはAlbemarle Corporation製Ethacure 100である。
【0019】
本明細書で使用される用語「アルキル」は、直鎖または分枝鎖部分を有する飽和1価炭化水素基を含む。アルキル基の例としては、以下に限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチルおよびヘキシルが挙げられる。
【0020】
該イソシアネート末端プレポリマーは、過剰なトルエンジイソシアネート (TDI)とポリオールとの反応、過剰な「高2,4−MDI」とポリオールとの反応、過剰なトルエンジイソシアネート(TDI)とポリアミンとの反応、過剰な「高2,4−MDI」とポリアミンとの反応またはそれらのブレンドによって形成することができる。好ましくは、該イソシアネート末端プレポリマーは、過剰なルエンジイソシアネート (TDI)とポリオールとの反応、または過剰な「高2,4−MDI」とポリオールとの反応またはそれらのブレンドによって形成されるポリウレタンプレポリマーである。
【0021】
2,4−異性体の含有量が、65〜100重量%の範囲にある市販のTDIを、イソシアネート末端プレポリマーの製造において出発TDIとして使用することができる。2,4−異性体の含有量が少ないTDIから形成されるイソシアネート末端プレポリマーは、ポットライフが短くなる可能性が高い。したがって、所望のポットライフを得るには、2,4−異性体の含有量が少なくとも80重量%、特に少なくとも85重量%のTDIを用いることが好ましい。
【0022】
「高2,4−MDI」は、(i)10〜60重量%の2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、(ii)6重量%未満の2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、および(iii)4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである平衡を含む、ジフェニルメタンジイソシアネートと定義されている。
【0023】
プレポリマーの形成のために使用することのできるポリオールは、ポリウレタンコーティングで従来、使用されている任意のポリオールとすることができる。好ましくは、ポリオールは、ポリオキシプロピレンポリオール、 ポリオキシエチレンプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエステル、ポリカプロラクトンまたはこれらの混合物である。
【0024】
プレポリマーの形成のために使用することのできるポリアミンは、ポリ尿素コーティングで従来、使用されている任意のポリアミンとすることができる。好ましくは、ポリアミンはポリオキシプロピレンポリアミンまたはポリオキシポリオキシエチレンポリアミンである。
【0025】
所望のイソシアネート末端プレポリマーを得るには、ポリオールまたはポリアミンの平均分子量が1000〜8000、好ましくは1700〜6000であることが好ましい。
上記のポリオールまたはポリアミンの30〜90重量%がジオールまたはジアミンであることがさらに好ましい。また、プレポリマーのヒドロキシまたはアミン官能価が約2以上であることも好ましい。
【0026】
使用することのできる市販のポリオールの例としては、Dow Chemical Company製Voranol(登録商標)ポリオールおよびBASF Corporation製Pluracol(登録商標)ポリオールがある。
【0027】
市販されているポリアミンの例としては、Huntsman Performance
Products製Jeffamine(登録商標)およびXTJポリアミンならびにPolyetheramines D2000などのBASF製ポリエーテルアミンがある。
【0028】
該イソシアネート末端プレポリマーは、NCO基の含有量がプレポリマーの総重量にに基づいて、約1.0〜約15.0重量%または約1.25〜約10.0重量%または約1.5〜約5.0重量%であるべきである。
【0029】
本発明では、市販のプレポリマーを使用することができる。かかる市販ポリマーの例としては、以下に限定されないが、Air Products and Chemicals Inc.,製Airthane(登録商標) およびVersathane(登録商標)ポリウレタンプレポリマー、Chemical Corporation製Adiprene(登録商標)およびVibrathane(登録商標)プレポリマー、Chemtura Corporation製Vibrathane(登録商標)プレポリマー、Mitsui Chemicals製Takenate(登録商標)プレポリマー、Dow Chemicals Company製EchelonTMポリウレタンプレポリマー、C.O.I.M. S.p.A製ImuthaneTM ポリウレタンプレポリマーならびにBayer MaterialSciences製Baytec(登録商標)ポリウレタンプレポリマーがある。
【0030】
イソシアネート末端プレポリマーのNCO基と反応しない、従来の可塑剤も本発明で使用することができる。かかる可塑剤の例としては、以下に限定されないが、ジブチル、ジヘプチル、ジオクチルおよびブチルベンジルフタレート、ジオクチルアジペート、塩素化パラフィン、トリクレジルフォスフェート、ならびにトリス(β−クロロプロピル)フォスフェートが挙げられる。
【0031】
上記の可塑剤は、コーティング組成物のアミン硬化剤組成物構成成分に添加すべきである。使用することのできる可塑剤の量は、イソシアネート末端プレポリマーの重量部100にに基づく、約20〜約130重量部、または約30〜約120重量部、または約40〜100重量部である。
【0032】
本発明には、無機充填剤も使用することができる。かかる充填剤の例としては、以下に制限されないが、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、ゼオライトまたは珪藻土、酸化クロム、ベンガラ、酸化鉄、カーボンブラックまたは酸化チタンなどの顔料が挙げられる。
【0033】
上記の充填剤は、コーティング組成物のアミン硬化剤組成物構成成分に加えるべきである。使用してもよい充填剤の量は、イソシアネート末端プレポリマー100重量部にに基づく、約5〜約150重量部、または約10〜約120重量部、または約15〜約100重量部である。
【0034】
ヒンダードアミン、ヒンダードフェノールまたはベンゾトリアゾール化合物などの組成
物中には、安定剤が存在してもよい。
【0035】
アミン硬化剤組成物に対するプレポリマーの量は、プレポリマー中のNCO基対アミン硬化剤組成物中のアミン(−NH基)のモル比が約0.8〜約2.0または約0.85〜約1.7の範囲になるようにすべきである。
【0036】
本発明は、さらに、アミン硬化剤組成物をプレポリマーと混合または反応させることを含むコーティングに関する。
【0037】
該コーティングのポットライフは、約45分〜180分の範囲、好ましくは60分〜約150分の範囲であるべきである。コーティングは通常、作業者がコテ、ヘラ、またはレーキを使う手塗り作業により塗布されるので、この範囲であれば、組成物を混合して塗布するだけの十分な時間の余裕がある。
【0038】
コーティングは、また、特に防水コーティングとして使用されるとき、一定の機械的皮膜特性を有することも望ましい。例えば、ルーフコーティングの日本工業規格(JIS A 6021)では、20℃における引張強度が245.2N/cm(356 psi)を超えること、20℃における引裂強度が147 N/cm(84 lb/inch)を超えること、および20℃ における破断点伸び が450%を超えることを要求している。コーティングの硬度は、ショアA硬さスケールで30を超える、好ましくは50を超えることが必要とされる。本発明のコーティングは、屋根、床またはコンクリートフロアなど、戸外の条件にさらされる表面用の防水コーティングとして使用することができる。
【0039】
以下の例で、本発明を説明する。ただし、本明細書で十分に記述され、請求項に列挙される本発明は、以下の例の詳細によって限定されるものではないことを理解されたい。
【実施例】
【0040】
実施例1 80/20 SBMDA/MDEA硬化剤組成物を使用したポリウレタンコーティングの調製
【0041】
TDIプレポリマー(3.52% NCO Airthane(登録商標) PPT−80a、Air Products Chemicals)100gを、500mLのプラスチックビーカーに装填した。炭酸カルシウム50gをプレポリマーの上に重ねた。別のビーカーで、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)(MDEA)(Lonza Group Ltd製Lonzacure(登録商標) M−DEA)2.17gを4,4’−ビス−(sec−ブチルアミノ)ジフェニルメタン(SBMDA)(Albemarle Corporation製Ethacure(登録商標) 420)8.67gとSigma−Aldrich Corporation製ジオクチルフタレート(DOP)39.2gに溶解した。このアミン硬化剤ブレンド組成物は、モル比が80/20のSBMDA/MDEAで構成されていた。
【0042】
溶解した後、アミン硬化剤ブレンド組成物を炭酸カルシウムの上に注いだ。 硬化剤、炭酸カルシウムおよびプレポリマーを、1000rpmに設定した2.5インチ3プロペラ式攪拌ブレードを嵌めた機械的攪拌機を使って攪拌した。混合物を1.5分の間、攪拌した。混合物の20mLを30mLのドラムバイアル瓶に注ぎ、粘度計の下に置いた後、混合物の粘度上昇を測定するために使った。RV−7スピンドルを嵌めたBrookfield DV−I粘度計を使って、コーティングのポットライフを測定した。ポットライフは混合の終了から粘度が10万cPsに達するまでの時間と定義された(US5,688,892)。
【0043】
混合物の残りを、サブストレートの3つの縁に8分の1インチアルミニウムレールをクランプで固定した平坦で水平な表面に固定した8インチ×11インチ片の剥離紙に注いだ。混合物を型の一方の端に注ぎ、型の開いている端に降ろした。過剰な混合物を型から外した。得られたコーティングの通常の厚さは約0.2インチ(2.5mm)だった。
【0044】
調製物および型の温度は室温、23〜24℃だった。得られたポットライフは88分だった。完全に硬化させるために、コーティングを室温で7日間、そのまま放置した。コーティングを約24℃で物理的特性試験のために適切な試験形状に切断した。(引張強度ASTM D−412;引裂強度ASTM D−624;硬度ASTM D−2240)。
【0045】
実施例2〜4 SBMDA/MDEA硬化剤組成物を使用したポリウレタンコーティングの調製
【0046】
MDEAおよびSBMDAのアミン硬化剤ブレンド組成物のモル比を変更した点を除き、実施例1と同じ手順を繰り返した。硬化剤の質量が50g、すなわち、プレポリマーの質量の2分の1になるまで十分なDOPを添加した。混合物の総質量はすべての例において200gだった。表1に、これら実施例のポットライフおよび機械的特性を示す。
【0047】
実施例5〜7 SBMDA/MDEA/DETDA硬化剤組成物を使用したポリウレタンコーティングの調製
【0048】
アミン硬化剤ブレンド組成物がSBMDA、MDEAおよびDETDA(Albemarle CorporationのEthacure(登録商標) 100)の3成分ブレンドから成る点を除き、実施例1と同じ手順を使った。硬化剤の質量が50g、すなわち、プレポリマーの質量の2分の1になるまで十分なDOPを添加した。混合物の総質量はすべての例において200gだった。表1に、これら実施例のポットライフおよび機械的特性を示す。
【0049】
比較実施例8〜11 SBMDA/DETDA硬化剤を使用したポリウレタンコーティングの調製
【0050】
アミン硬化剤ブレンド組成物がSBMDAおよびDETDAのブレンドから成る点を除き、実施例1と同じ手順を繰り返した。硬化剤の質量が50g、すなわち、プレポリマーの質量の2分の1になるまで十分なDOPを添加した。混合物の総質量はすべての例において200gだった。表1に、これらの実施例のポットライフおよび機械的特性を示す。
【0051】
【表1】

【0052】
この結果は、本発明のアミン硬化剤ブレンド組成物を使用するポリウレタンコーティングは良好なポットライフ(43〜142分)と従来技術の比較実施例8〜11よりも全体的に優れた機械的特性とを備えていることを証明している。さらに、本発明の発明的ポリウレタンコーティングの実施例は、それらが日本JIS A 6021標準のもとで防水コーティングとして有益になるポットライフと機械的特性を備えていることを証明している。
【0053】
本明細書または請求項のどこであれ、化学名または式で言及される構成成分は、単数と複数のいずれで言及されているかにかかわらず、化学名または化学型(例えば、別の構成成分、溶媒など)により言及される別の物質と接触する以前に存在していた状態のまま識別される。仮にあれば、どのような化学変化、変質および/または反応が、結果として生じる混合物または溶液で起きるかは問題にならない。それはそのような変化、変質および/または反応は、本開示に準拠して要求される条件下で、指定の構成成分を一緒に合わせた自然の結果であるためである。したがって、構成成分は所望の操作の実行と関連して、または所望の組成物を形成する上で、一緒に合わせた成分として識別される。また、以下の請求項では、物質、構成成分および/または成分に現在形(「含む」、「ある」など)で言及することもあるかもしれないが、言及は、本開示に従って、1つまたは複数の他の物質、構成成分および/または成分と最初に接触、ブレンドまたは混合した直前の時点で存在していた状態での物質、構成成分または成分に対しなされるものである。本開示に従って、当業者により実施された場合、接触、ブレンドまたは混合操作の過程で、化学反応または変性により、その元々の固有性を失った可能性あるという事実は、したがって、現実的に問題にならない。
【0054】
本明細書で開示されている具体的な実施例および実施形態は、本発明の複数の態様を説明することを意図したものであるため、本明細書に記述され、主張されている発明は、これらの具体的な実施例および実施形態によって範囲を制限されるものではない。同等な実施形態はすべて本発明の範囲内に入るものとする。実際、本明細書に示し、記述した実施形態に加えて、本発明の様々な改変が前記の記述から当業者には明白になるであろう。そのような改変も添付の請求項の範囲内に入るものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、以下:
a)以下を含むアミン硬化組成物:
(i)式Iを有するビス芳香族第2級ジアミンを約60mol%〜約90mol%
【化1】

(式中、Rは、それぞれ独立に、C−C10アルキルである);および
(ii)式IIを有するビス芳香族第1級ジアミンを約10mol%〜約40mol%
【化2】

(式中、Rは、それぞれ独立に、C−C10アルキルであり、Rは、それぞれ独立に、塩素、臭素、フッ素、または水素であり、mol%は、ビス芳香族第2級ジアミンおよびビス芳香族第1級ジアミンの合計モル数に基づく);ならびに
(b)遊離イソシアネート(NCO)基を有するプレポリマー;
(ただし、プレポリマー中のNCO基対アミン硬化組成物中のアミン(−NH)基のモル比は、約0.8〜約2.0の範囲である)
を含む組成物。
【請求項2】
式Iのビス芳香族第2級ジアミン が、4,4’−ビス(sec−ブチルアミノ)ジフェニルメタンから成る群から選択される、請求項1の組成物。
【請求項3】
式IIのビス芳香族第1級ジアミンが、4,4’−メチレン−ビス−(2−エチル−6−メチル−アニリン)(NMMEA);4,4’'−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)(MDEA);4,4’−メチレン−ビス−(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)(MMIPA); メチレン−ビス−オルトクロロアニリン(MBOCA);4,4’−メチレン−ビス−(2−メチルアニリン)(MMA);4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロ−6−エチルアニリン)(MCEA);4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(MCDEA);4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)(MDIPA)またはこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1の組成物。
【請求項4】
式IIのビス芳香族第1級ジアミンが4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)(MDEA)である、請求項3の組成物。
【請求項5】
組成物であって、以下:
a)以下を含むアミン硬化剤組成物:
(i)約50mol%より多くの式Iを有するビス芳香族第2級ジアミン
【化3】

(式中、Rは、それぞれ独立に、C−C10アルキルである)、
(ii)式IIを有するビス芳香族第1級ジアミンを約3mol%〜約47mol%
【化4】

(式中、Rは、それぞれ独立に、C−C10アルキルであり、Rは、それぞれ独立に、塩素、臭素、フッ素、または水素である);および
(iii)式IIIa、IIIbまたはそれらの混合を有するモノ芳香族第1級ジアミンを約3mol%〜約47mol%
【化5】

(式中、Rはそれぞれ独立して、−CH−または−S−、mol%は、ビス芳香族第2級ジアミン、ビス芳香族第1級ジアミンおよびモノ芳香族第1級ジアミンの合計モル数に基づく);
ならびに
(b)遊離イソシアネート(NCO)基を有するプレポリマー
(ただし、プレポリマー中のNCO基対アミン硬化組成物中のアミン(−NH)基のモル比は、約0.8〜約2.0の範囲である)
を含む組成物。
【請求項6】
式Iのビス芳香族第2級ジアミン が、4,4’−ビス(sec−ブチルアミノ)ジフェニルメタンから成る群から選択される、請求項5の組成物。
【請求項7】
式IIのビス芳香族第1級ジアミンが、4,4’−メチレン−ビス−(2−エチル−6−メチル−アニリン)(NMMEA);4,4’'−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)(MDEA);4,4’−メチレン−ビス−(2−イソプロピル−6−メチルアニリン)(MMIPA); メチレン−ビス−オルトクロロアニリン(MBOCA);
4,4’−メチレン−ビス−(2−メチルアニリン)(MMA);4,4’−メチレン−ビス−(2−クロロ−6−エチルアニリン)(MCEA);4,4’−メチレン−ビス−(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(MCDEA);4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)(MDIPA)またはこれらの混合物から成る群から選択される、請求項5の組成物。
【請求項8】
式IIのビス芳香族第1級ジアミン が4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジエチルアニリン)(MDEA)である、請求項7の組成物。
【請求項9】
式IIIaまたはIIIbのモノ芳香族第1級ジアミンが、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン, 3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミンまたはこれらの混合物から成る群から選択される、請求項5の組成物。
【請求項10】
前記プレポリマーがトルエンジイソシアネート(TDI)とポリオールとの反応または過剰な高2,4−MDIとポリオールとの反応またはこれらのブレンドにより生じるポリウレタンプレポリマーである。請求項1または5の組成物。
【請求項11】
前記ポリオールがポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレンプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエステル、ポリカプロラクトン、またはこれらの混合物である、請求項10の組成物。
【請求項12】
前記ポリウレタンプレポリマーのNCO基含有量が約1重量%〜15重量%である、請求項10の組成物。
【請求項13】
プレポリマー100重量部に対し、約20部〜約130部の量で可塑剤をさらに含む、請求項1または5の組成物。
【請求項14】
プレポリマー100重量部に対し、約10部〜約150部の量で充填剤をさらに含む、請求項13の組成物。
【請求項15】
前記の可塑剤が、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ブチルベンチルフタレート、ジオクチルアジペート、トリクレジルフォスフェート、塩素化パラフィン、トリス(β−クロロプロピル)フォスフェートまたはこれらの混合物であり、前記の充填剤が炭酸カルシウム、タルク、 カオリン、ゼオライトまたは 珪藻土である、請求項13の組成物。
【請求項16】
アミン硬化剤組成物を請求項1または5のプレポリマーと反応させるか、または混合することを含むコーティング。
【請求項17】
過剰なトルエンジイソシアネート(TDI)とポリオールとの反応または過剰な高2,4−MDIとポリオールとの反応またはこれらのブレンドにより生じるポリウレタンプレポリマーである、請求項16のコーティング組成物。
【請求項18】
前記のコーティングが屋根、床または戸外の条件にさらされる表面用の防水コーティングとして使用される、請求項17のコーティング。
【請求項19】
戸外の条件にさらされる前記の表面がコンクリート製である、請求項18のコーティング。

【公表番号】特表2013−514455(P2013−514455A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544827(P2012−544827)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/060775
【国際公開番号】WO2011/084602
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】