説明

コード読取装置およびプログラム

【課題】一度に読み取った複数のコードパターンを表示する画面上において、正常にデコードされたコードパターンを容易に確認できるようにする。
【解決手段】ハンディターミナルにおいてCPU1は、トリガー操作に応答し、イメージスキャナ7によって複数のコードパターンが一度に読み取られた場合に、各コードパターン毎にデコード処理を行うと共にそのデコード結果に基づいて正常にデコードされたか否かを特定し、この特定状態を示す識別マークを各コードパターンのイメージ表示に対応付けて付加表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バーコード、2次元コードなどのコードパターンを読み取ってデコード処理すると共に、そのデコード結果を表示するコード読取装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品などに印刷記録されているバーコードを読み取るコード読取装置(バーコードスキャナ)としては、様々なものが提案されて実用化されており、たとえば、レーザビーム式のスキャナ、CMOSイメージセンサを備えたイメージキャプチャ式のスキャナ、CCDイメージセンサを備えたデジタルスチルカメラ式のスキャナなどが存在している。この場合、一回のスキャンで複数のバーコードを同時に読み取ることが可能なスキャナとしては、たとえば、バーコードラベルにレーザ光を照明してその反射光を受光することによって複数のバーコードを読み取る際に、読み取ったバーコードに対応付けて記録したカウンタデータ、時刻データに基づいて同一のデータを重複して処理することを防ぐようにした複数バーコードラベルの走査方法が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−314299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の特許文献1にあっては、同一データの重複処理を防ぐことによって複数のバーコードを同時に読み取ることを実現可能としたものであり、複数のバーコードを全て読み取り対象とすることを前提するものであった。
ところで、CMOSなどのイメージセンサ付きのスキャナにおいては、一回のスキャンで複数のコードパターン(バーコード、2次元コード)を同時に読み取ることも可能であり、一度に読み取った画像データを解析しながらコードパターン毎にデコード処理を順次実行して、そのデコード結果を表示出力するようにしているため、作業性を大幅に向上させることが可能となるが、正常にデコードすることができなかった場合には、画像データ内の次ぎのコードパターンを指定してデコードするようにしているため、コードパターンとデコード結果との対応関係を見間違えるおそれがあった。また、読み取り対象外のコードパターンを含めて読み取ってしまったような場合でも、画像データ内の全てのコードパターンをデコードするようにしているため、デコード結果を見間違えるおそれがあった。
【0004】
第1の発明の課題は、一度に読み取った複数のコードパターンを表示する画面上において、正常にデコードされたコードパターンを容易に確認できるようにすることである。
第2の発明の課題は、一度に読み取った複数のコードパターンを表示する画面上において、デコード対象あるいは対象外として任意に選択指定されたコードパターンを容易に確認できると共に、所望するコードパターンのデコード結果のみを表示できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明(第1の発明)は、コードパターンを読み取ってデコード処理すると共に、そのデコード結果を表示するコード読取装置において、コード読み取りの指示に応答して複数のコードパターンが一度に読み取られた場合に、各コードパターン毎にデコード処理を行うと共にそのデコード結果に基づいて正常にデコードされたか否かを特定するデコード処理手段と、このデコード処理手段によって各コードパターン毎に正常にデコードされたか否かが特定された場合に、この特定状態を各コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別可能に表示する表示手段とを具備したことを特徴とする。
さらに、コンピュータに対して、上述した請求項1記載の発明に示した主要機能を実現させるためのプログラムを提供する(請求項4記載の発明)。
なお、上述した「コードパターン」とは、ラベル、商品などに記録されているバーコード、2次元コード(たとえば、「PDF417コード」、「QRコード」)などを意味し、そのコード内容、コード形式は任意である(以下、同様)。
【0006】
なお、請求項1記載の発明は次のようなものであってもよい。
前記表示手段は、各コードパターンのイメージ表示に対応して正常にデコードされたか否かを識別可能に表示する際に、正常にデコードされたか否かを示す特定マークを各コードパターンのイメージ表示に対応付けて付加表示する(請求項2記載の発明)。
【0007】
一度に読み取られた複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、どのコードパターンをデコード対象とするか否かを任意に選択指定する選択手段と、前記複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、前記選択手段によって選択されたデコード対象の可否を各コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別可能に案内表示する案内手段とを設け、前記デコード処理手段は、前記選択手段によってデコード対象として選択されたコードパターン毎にデコード処理を行うと共にそのデコード結果に基づいて正常にデコードされたか否かを特定する(請求項3記載の発明)。
【0008】
請求項5記載の発明(第2の発明)は、コードパターンを読み取ってデコード処理すると共に、そのデコード結果を表示するコード読取装置において、コード読み取りの指示に応答して複数のコードパターンが一度に読み取られた場合に、各コードパターンをイメージ表示するコードパターン表示手段と、前記複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、どのコードパターンをデコード対象とするか否かを任意に選択指定する選択手段と、前記複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、前記選択手段によって選択されたデコード対象の可否を各コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別可能に案内表示する案内手段と、この案内表示後においてデコード指示を受け付けたことを条件に、前記選択手段によってデコード対象として選択されたコードパターンをデコード処理すると共に、そのデコード結果を表示するデコード処理手段とを具備したことを特徴とする。
さらに、コンピュータに対して、上述した請求項5記載の発明に示した主要機能を実現させるためのプログラムを提供する(請求項7記載の発明)。
【0009】
なお、請求項5記載の発明は次のようなものであってもよい。
前記案内手段は、任意に選択指定されたデコード対象の可否を各コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別可能に表示する際に、デコード対象の可否を示す特定マークを各コードパターンのイメージに対応付けて付加表示する(請求項6記載の発明)。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明(第1の発明)によれば、コード読み取りの指示に応答して複数のコードパターンが一度に読み取られた場合に、各コードパターン毎にデコード処理を行うと共にそのデコード結果に基づいて正常にデコードされたか否かを特定し、この特定状態を各コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別可能に表示するようにしたから、一度に読み取った複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、正常にデコードされたコードパターンを容易に確認することができ、コードパターンとデコード結果との対応関係を見間違えることを効果的に防止することが可能となる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有する他、各コードパターンのイメージ表示に対応して正常にデコードされたか否かを識別可能に表示する際に、正常にデコードされたか否かを示す特定マークを各コードパターンのイメージ表示に対応付けて付加表示するようにしたから、正常にデコードされたか否かを直感的に確認することが可能となる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、上述した請求項1記載の発明と同様の効果を有する他、一度に読み取られた複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、どのコードパターンをデコード対象とするか否かが任意に選択指定された場合に、選択されたデコード対象の可否を各コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別可能に案内表示し、デコード対象として選択されたコードパターン毎にデコード処理を行うと共にそのデコード結果に基づいて正常にデコードされたか否かを特定するようにしたから、デコード対象あるいはデコード対象外として任意に選択指定されたコードパターンを容易に確認することができると共に、デコード処理後においては、次ぎの3種類の識別が可能となる。すなわち、デコード対象として選択指定され、かつ、正常にデコードすることができたコードパターンを識別することができ、デコード対象外として選択指定されたコードパターンを識別することができ、デコード対象として選択指定されたが、そのデコードに失敗したコードパターンを識別することができる。
【0013】
請求項5記載の発明(第2の発明)によれば、コード読み取りの指示に応答して複数のコードパターンが一度に読み取られた場合に各コードパターンをイメージ表示すると共に、この複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、どのコードパターンをデコード対象とするか否かが任意に選択指定された場合に、この選択状態を各コードパターンに対応付けて識別可能に案内表示するようにしたから、一度に読み取った複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、デコード対象あるいはデコード対象外として任意に選択指定されたコードパターンを容易に確認することができる。この場合、デコード対象として選択されたコードパターンをデコード処理すると共に、そのデコード結果を表示するようにしたから、読み取り対象外のコードパターンを含めて読み取ってしまったような場合でも、所望するコードパターンのデコード結果のみが表示されるため、デコード結果を見間違えることもない。
【0014】
請求項6記載の発明によれば、上述した請求項5記載の発明と同様の効果を有する他、任意に選択指定されたデコード対象の可否を各コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別可能に表示する際に、デコード対象の可否を示す特定マークを各コードパターンのイメージ表示に対応付けて付加表示するようにしたから、デコード対象か否かを直感的に確認することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図1〜図9を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、この実施例におけるハンディターミナルHTの外観斜視図であり、一度に複数の2次元コードパターンCDをスキャンした状態を示している。なお、図示の例では、隣接している3つの2次元コードパターンCDを一度にスキャンした状態を示している。
このハンディターミナルHTには、電荷蓄積型のイメージセンサ、たとえば、CMOSエリアセンサを使用してバーコード、2次元コード(たとえば、「PDF417コード」、「QRコード」)などのコードパターンを光学的に読み取るイメージキャプチャ式のスキャナが設けられている。
【0016】
このイメージスキャナは、トリガーキー(スキャン開始スイッチ)が操作されると、ラベル、商品などに記録されている複数の2次元コードパターンCDを光学的に読み取ることが可能なもので、図中、三角錐で示した範囲は、一度のスキャンで読み取りが可能な有効範囲を示している。この場合、一度のスキャンで読み取られた有効範囲内のデータ、つまり、エリアセンサ上の1面分の画像データ(スキャンデータ)は、当該ターミナル画面TDにイメージ表示されると共に、コードパターンCD毎にその領域が特定され、この領域内のデータの切り出しが行われたり、2値化されたり、歪補正等の加工が施された後にデコード処理される。
【0017】
この実施例のハンディターミナルHTは、一度に読み取った複数のコードパターンCDをイメージ表示するターミナル画面TD上において、正常にデコードされたコードパターンであるか否かを識別可能に表示とすると共に、デコード対象として任意に選択指定されたコードパターンであるか否かを識別可能に表示するために、各コードパターンのイメージ表示に対応付けて所定の識別マークを合成表示するようにしたことを特徴としている。
なお、この実施例においては、後述する4種類の識別マークを記憶管理するための図形データファイル(図示せず)が設けられており、この図形データファイルから選択的に読み出した識別マークを各コードパターンのイメージ表示に対応付けて付加表示するようにしている。
【0018】
図2は、一度に読み取られた複数のコードパターンのイメージ表示に対応付けて合成表示される識別マークを説明するための図である。なお、図中、破線で示した矩形領域は、コードパターンCDのイメージ表示領域を示している。
ここで、図2(A)は、デコード対象として任意に選択指定されたコードパターンのイメージ表示に対応付けて合成表示される識別マーク(実線の円形マーク)を示している。図2(B)は、デコード対象として選択されない非選択のコードパターンのイメージ表示に対応付けて合成表示される識別マーク(破線の円形マーク)を示している。図2(C)は、正常にデコードされたコードパターンのイメージ表示に対応付けて合成表示される識別マーク(二重の円形マーク)を示し、(D)は、正常にデコードすることができなかったコードパターンのイメージ表示に対応付けて合成表示される識別マーク(×マーク)を示している。
以下、この実施例の特徴部分を詳述する前に、この実施例のハードウェア上の構成について以下、説明しておく。
【0019】
図3は、ハンディターミナルHTの基本的構成要素を示したブロック図である。
CPU1は、ROM2内のオペレーティングシステム、各種アプリケーションソフトに応じてハンディターミナルの全体動作を制御する中央演算処理装置である。このROM2内のプログラム領域には、後述する図6および図7に示す動作手順に応じて本実施例を実現するためのアプリケーションプログラムが格納されている。RAM3は、プログラム実行領域とデータ領域とを有し、このデータ領域には、後述するコード位置テーブルが設けられている。一方、CPU1には、その入出力周辺デバイスであるキー入力装置4、タッチパネル5a付きの表示装置5、スピーカ6、イメージスキャナ7、外部記憶装置8、通信I/F(インターフェイス)9がバスラインを介して接続されており、入出力プログラムに応じてCPU1は、これらの入出力デバイスの動作制御を行う。なお、CPU1は、通信I/F9を介して他の電子機器側のプログラム/データを直接アクセスしたり、ダウンロード受信することもできるようになっている。
【0020】
イメージスキャナ7は、上述したようにCMOSセンサを使用してバーコード、2次元コードなどのコードパターンを読み取るイメージキャプチャ式のスキャナであり、ラベルなどに記録されている複数の2次元コードパターンを1度のスキャンで読み取り可能なもので、この1面分の画像データ(スキャンデータ)は、コードパターン用のビデオRAM(V−RAM)10に書き込まれてイメージ表示される。この場合、複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、正常にデコードされたコードパターンか否かを識別するための識別マークを各コードパターンのイメージ表示に対応付けて合成表示したり、デコード対象として任意に選択指定されたコードパターンか否かを識別するための識別マークを各コードパターンのイメージ表示に対応付けて合成表示するために、識別マーク用のV−RAM11が設けられている。
【0021】
図4は、コード位置テーブル12の内容を示した図である。
このコード位置テーブル12は、1面分の画像データ内の各コードパターン毎にその領域位置などを解析することによって得られた情報などを記憶管理するためのテーブルである。コード位置テーブル12は、「コード番号」に対応してその領域の「開始位置」および「終了位置」を示す項目のほか、「デコード選択」、「デコード結果」の項目を有している。「コード番号」は、1面分の画像データの中からコードパターン領域を順次特定するごとに自動生成された一連番号である。「開始位置」、「終了位置」は、1面分の画像データ内の所定位置を基準として、コードパターン領域の位置を2点座標によって示すもので、図5に示すように、「開始位置」は、コードパターン領域の左上位置を始点アドレス(Xn1、Yn1) として、「終了位置」は、コードパターン領域の右下位置を終点アドレス(Xn2、Yn2)としていることを示している。
【0022】
「デコード選択」は、一度に読み取った複数のコードパターンをイメージ表示するターミナル画面上において、デコード対象として任意に選択指定されたか否かを示す状態フラグがセットされる項目で、フラグとして0、1、2の何れかがセットされる。この場合、フラグ“0”、“1”、“2”は、「選択なし」、「デコード選択」、「デコード非選択」を意味するもので、「フラグ0:選択なし」は、デコード対象を選択する選択操作が行われていない初期状態であることを示し、「フラグ1:デコード選択」は、デコード対象として選択されたコードであることを示し、「フラグ2:デコード非選択」は、デコード対象外のコードであることを示している。ここで、CPU1は、「デコード選択」としてフラグ1がセットされている場合には、当該コードパターンをデコードするが、フラグ2がセットされている場合には、当該コードパターンのデコードをスキップする。
【0023】
「デコード結果」は、対応するコードパターンをデコードした際に、正常にデコードすることができたか否かを示す状態フラグがセットされる項目で、フラグとして“0”、“1”、“2”の何れかがセットされる。この場合、フラグ“0”、“1”、“2”は、「未処理」、「OK」、「NG」を意味するもので、「フラグ0:未処理」は、デコード処理の実行前である初期状態であることを示し、「フラグ1:OK」は、正常にデコードできたことを示し、「フラグ2:NG」は、デコードに失敗したことを示している。ここで、CPU1は、コードパターンをデコードした際に、正常にデコードすることができたか否かに基づいて「デコード結果」として「フラグ1:OK」あるいは「フラグ2:NG」をセットする。
【0024】
なお、上述した図形データファイルは、「デコード選択」、「デコード結果」の内容に対応付けられた4種類の識別マークが記憶されている。すなわち、「フラグ1:デコード選択」に対応して図2(A)の識別マーク(実線の円形マーク)が記憶され、「フラグ2:デコード非選択」に対応して図2(B)の識別マーク(破線の円形マーク)が記憶され、さらに、「フラグ1:OK」に対応して図2(C)の識別マーク(二重の円形マーク)が記憶され、「フラグ2:NG」に対応して図2(D)の識別マーク(×マーク)が記憶されている。この場合、各識別マークは、ビットマップイメージデータに限らず、ベクトルフォントなどであってもよく。
【0025】
次ぎに、この実施例におけるハンディターミナルの動作概念を図6および図7に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体の他に、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施例特有の動作を実行することもできる。
【0026】
図6は、ハンディターミナルの全体動作を示したメインのフローチャートであり、トリガーキー(スキャン開始スイッチ)が操作された際に実行開始される。
先ず、CPU1は、ラベルなどに記録されている複数の2次元コードパターンをスキャンして光学的に読み取ってその1面分の画像データ(スキャンデータ)をコードパターン用のV−RAM10に書き込む(ステップS1)。このV−RAM10に書き込まれた画像データは、タッチパネル5a付きの表示装置5を構成するターミナル画面上にイメージ表示される(ステップS2)。この場合、1面分の画像データがそのままイメージ表示されるため、一度のスキャンで読み取られた複数のコードパターンは、その実物の配列状態のままイメージ表示される。
【0027】
ここで、CPU1は、この1面分の画像データを解析し、この画像データ内に含まれている各コードパターン毎に、その領域を順次特定しながら各コードパターン領域の始点座標および終点座標を特定すると共に、この始点座標、終点座標をコード位置テーブル12に「コード番号」に対応付けて「開始位置」、「終了位置」としてセットする(ステップS3)。この場合、コードパターン領域を順次特定するごとに「コード番号」を自動生成し、この「コード番号」を含む新たなレコードを生成し、この生成レコード内にコードパターン領域の始点座標および終点座標を「開始位置」、「終了位置」としてセットする動作を繰り返すようにしている。このようにして一度のスキャンで読み取られた複数のコードパターンに対応してその位置情報をコード位置テーブル12にセットする処理が終了した後は、デコード対象/デコード対象外の選択操作を受け付けてその選択状態を識別可能に案内表示する選択処理に移る (ステップS4)。
【0028】
図7は、上述のデコード対象/デコード対象外の選択処理を詳述するためのフローチャートであり、図8は、この場合の選択画面を示している。
先ず、選択キー(図8参照)STが操作された際には(ステップS21)、それに応答して選択画面を表示出力させる(ステップS22)。すなわち、図8に示すように、タッチパネル5a付きの表示装置5を構成するターミナル画面TD上に複数のコードパターンがイメージ表示されている状態において、デコード選択用の処理メニューが選択画面として表示出力される。この選択画面内の処理メニュー「1:デコード選択」、「2:デコード非選択」のうち、その何れかのメニュー項目が選択指定されると、ステップS23では、「1:デコード選択」のメニュー項目が指定されたか否かを判別する。
【0029】
いま、「1:デコード選択」が指定された場合において(ステップS23でYES)、ターミナル画面上でデコード対象を選択するためにそのコードパターンの表示位置がタッチ指定されると(ステップS28)、指定されたタッチ位置(コードパターン位置)を検出すると共に、この検出位置に基づいてコード位置テーブル12を検索することによって当該位置に対応するレコードを指定し、この指定レコード内の「デコード選択」の項目にデコード対象であることを示すフラグ“1”をセットする(ステップS29)。そして、この「フラグ1:デコード選択」に対応する識別マーク(実線の円形マーク)を図形データファイルから読み出すと共に、この指定コードパターンの位置を基準として、当該識別マークを識別マーク用のV−RAM11に書き込むことによって指定コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別マークを合成表示させる(ステップS30)。この場合、指定コードパターンを囲むように実線の円形マークが付加表示される。
【0030】
また、「2:デコード非選択」が指定された場合において(ステップS24でYES)、ターミナル画面上でデコード対象外を選択するためにそのコードパターンの表示位置がタッチ指定されると(ステップS25)、指定されたタッチ位置(コードパターン位置)を検出すると共に、この検出位置に基づいてコード位置テーブル12を検索することによって当該位置に対応するレコードを指定し、この指定レコード内の「デコード選択」の項目にデコード対象外であることを示すフラグ“2”をセットする(ステップS26)。そして、この「フラグ2:デコード非選択」に対応する識別マーク(破線の円形マーク)を図形データファイルから読み出すと共に、この指定コードパターンの位置を基準として、当該識別マークを識別マーク用のV−RAM11に書き込むことによって指定コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別マークを合成表示させる(ステップS27)。この場合においても、指定コードパターンを囲むように破線の円形マークが付加表示される。
【0031】
このような選択処理が終了し、図8に示した確定キー(選択内容の確定を指示するキー、言い換えれば、デコード開始を指示するキー)ETが操作されると(図6のステップS5)、CPU1は、コード位置テーブル12の内容をその先頭から1レコードごとに順次読み出すが、その際、ステップS6では、最終レコードまで全て読み出したか否かをチェックする。最初は、先頭レコードが読み出された場合であるから、このレコード内の「デコード選択」のフラグ内容をチェックし(ステップS7)、「フラグ2:デコード非選択」であれば、次ぎのレコードを読み出すが(ステップS14)、「フラグ1:デコード選択」であれば、当該レコード内の「開始位置」、「終了位置」によって特定される領域からコードパターンを切り出してデコードすると共に、正常にデコードされたか否かをチェックし、正常にデコードすることができた場合には、当該レコード内の「デコード結果」として「フラグ1:OK」をセットし、デコードに失敗した場合には、「フラグ2:NG」をセットする(ステップS9)。
【0032】
この場合、デコード結果が「フラグ1:OK」であれば(ステップS10でYES)、これに対応する識別マーク(二重の円形マーク)を図形データファイルから読み出すと共に、このコードパターンの位置を基準として、当該識別マークを識別マーク用のV−RAM11に書き込むことによって指定コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別マークを合成表示させる(ステップS11)。この場合、指定コードパターンを囲むように二重の円形マークが付加表示される。そして、正常にデコードすることができたデコード結果を表示出力させる(ステップS13)。
【0033】
また、デコード結果が「フラグ2:NG」であれば(ステップS10でNO)、これに対応する識別マーク(×マーク)を図形データファイルから読み出すと共に、このコードパターンの位置を基準として、当該識別マークを識別マーク用のV−RAM11に書き込むことによって指定コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別マークを合成表示させる(ステップS12)。この場合、指定コードパターン上に×マークを重ね合わせて付加表示される。
以下、コード位置テーブル12から次ぎのレコードを読み出し(ステップS14)、最終レコードまで全て読み出すまで(ステップS6でYES)、上述の動作が繰り返される(ステップS6〜S14)。
【0034】
図9は、デコード終了時点の表示内容を示した図である。
この場合、各コードパターンのイメージ表示に対応付けて表示されている識別マークによって以下の状態を確認することができる。すなわち、図中、二重の円形マークで囲まれたコードパターンは、デコード対象として選択指定され、かつ、正常にデコードすることができたコードパターンであることを確認することができる。この場合、コードパターンのイメージ表示とそのデコード結果とはターミナル画面TD内に並列的に表示されており、このデコード結果は、二重の円形マークで囲まれたコードパターンに対応するものであることを確認することが可能となる。また、破線の円形マークで囲まれたコードパターンは、デコード対象外として選択指定されたコードパターンであることを確認することができる。さらに、×マークが付されたコードパターンは、デコード対象として選択指定されたが、そのデコードに失敗したコードパターンであることを確認することができる。
【0035】
以上のように、この実施例のハンディターミナルにおいてCPU1は、トリガー操作に応答し、イメージスキャナ7によって複数のコードパターンが一度に読み取られた場合に、各コードパターン毎にデコード処理を行うと共にそのデコード結果に基づいて正常にデコードされたか否かを特定し、この特定状態を各コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別可能に表示するようにしたから、一度に読み取った複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、正常にデコードされたコードパターンを容易に確認することができ、コードパターンとデコード結果との対応関係を見間違えることを効果的に防止することが可能となる。
【0036】
この場合、一度に読み取られた複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、どのコードパターンをデコード対象とするか否かが任意に選択指定された場合に、選択されたデコード対象の可否を各コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別可能に案内表示するようにしたから、デコード対象として任意に選択指定されたコードパターンを容易に確認することができると共に、デコード処理後においては、次ぎの3種類の識別が可能となる。すなわち、デコード対象として選択指定され、かつ、正常にデコードすることができたコードパターンを識別することができ、デコード対象外として選択指定されたコードパターンを識別することができ、デコード対象として選択指定されたが、そのデコードに失敗したコードパターンを識別することができる。
【0037】
また、デコード対象とするか否かが任意に選択指定された場合に、この選択内容を示す識別マーク、正常にデコードされたか否かを示す識別マークを各コードパターンのイメージ表示に対応付けて付加表示するようにしたから、正常にデコードされたか否かを直感的に確認することが可能となると共に、4種類の識別マークを使い分けることによって色々な状態を案内することができる。
【0038】
一方、この実施例のハンディターミナルにおいてCPU1は、トリガー操作に応答し、イメージスキャナ7によって複数のコードパターンが一度に読み取られた場合に各コードパターンをイメージ表示すると共に、この複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、どのコードパターンをデコード対象とするか否かが任意に選択指定された場合に、この選択状態を各コードパターンのイメージに対応付けて識別可能に案内表示するようにしたから、一度に読み取った複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、デコード対象あるいはデコード対象外として任意に選択指定されたコードパターンを容易に確認することができる。この場合、デコード対象として選択されたコードパターンをデコード処理すると共に、そのデコード結果を表示するようにしたから、読み取り対象外のコードパターンを含めて読み取ってしまったような場合でも、所望するコードパターンのデコード結果のみが表示されるため、デコード結果を見間違えることもない。
【0039】
なお、上述した実施例においては、イメージスキャナ7によって複数のコードパターンが一度に読み取られた場合を前提としたが、1つのコードパターンを読み取った場合か、複数のコードパターンを一度に読み取った場合かを自動的に判別し、複数のコードパターンを読み取ったことを検出した場合に、各コードパターンのイメージ表示に対応付けて所定の識別マークを合成表示するようにしてもよい。この場合、1スキャン分の画像データを解析することによって当該画像データ内に含まれているコードパターンの数を計数するようにすればよい。
【0040】
また、上述した図9においては、二重の円形マークで囲まれたコードパターン、つまり、デコード対象として選択指定され、かつ、正常にデコードすることができたコードパターンが1つの場合を例示したが、二重の円形マークで囲まれたコードパターンが複数個表示されている場合において、現在表示されているデコード結果は、この複数個のコードパターンのうち、何れのコードパターンに対応するものかを識別可能とするために、当該コードパターンを囲む二重の円形マークを点滅表示によって明示するようにしてもよい。この場合、切り換え操作に応答して次ぎのデコード結果に切り換え表示させると共に、それに連動して円形マークの点滅表示も切り換えるようにしてもよい。
【0041】
上述した実施例においては、選択画面上においてデコード対象およびデコード対象外を選択可能としたが、その何れか一方を選択するようにしてもよい。
また、上述した実施例においては、識別マークとして、実線の円形マーク、破線の円形マーク、二重の円形マーク、×マークを合成表示するようにしたが、識別マークの形状は任意であり、また、識別マークの表示位置も任意であり、コードパターンと識別マークとの対応関係を明示できれば、コードパターンの下側、上側などに付加表示するようにしてもよい。
【0042】
また、識別マークの合成表示に限らず、コードパターン自体を点滅表示させたり、コードパターン自体の表示輝度を変化させることよって識別可能としてもよく、さらには、正常にデコードされたコードパターン、デコード対象として選択されたコードパターンのみを識別表示するようにしてもよく、逆に、デコードに失敗したコードパターン、非選択のコードパターンのみを識別表示するようにしてもよい。
【0043】
その他、スキャナの種類は限定せず、CMOSイメージセンサを備えたイメージキャプチャ式のスキャナのほか、レーザビーム式のスキャナ、CCDイメージセンサを備えたデジタルスチルカメラ式のスキャナであってもよく、さらに、ハンディ式のスキャナに限らず、定置式のスキャナであってもよい。
さらに、コード読取装置の各構成要素を2以上の筐体に物理的に分離し、通信回線、ケーブル等の有線伝送路あるいは電波、マイクロウエーブ、赤外線等の無線伝送路を介してデータを送受信するコード読取装置であってもよい。
【0044】
一方、コンピュータに対して、上述した各手段を実行させるためのプログラムコードをそれぞれ記録した記録媒体(たとえば、CD−ROM、フレキシブルディスク、RAMカード等)を提供するようにしてもよい。すなわち、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードを有する記録媒体であって、コード読み取りの指示に応答して複数のコードパターンが一度に読み取られた場合に、各コードパターン毎にデコード処理を行うと共にそのデコード結果に基づいて正常にデコードされたか否かを特定する機能と、各コードパターン毎に正常にデコードされたか否かが特定された場合に、この特定状態を各コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別可能に表示する機能とを実現させるためのプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体を提供するようにしてもよい。
【0045】
また、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードを有する記録媒体であって、コード読み取りの指示に応答して複数のコードパターンが一度に読み取られた場合に、各コードパターンをイメージ表示する機能と、前記複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、どのコードパターンをデコード対象とするか否かが任意に選択指定された場合に、このデコード対象の可否を各コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別可能に案内表示する機能と、この案内表示後においてデコード指示を受け付けたことを条件に、デコード対象として選択されたコードパターンをデコード処理すると共に、そのデコード結果を表示する機能とを実現させるためのプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体を提供するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】ハンディターミナルの外観斜視図であり、一度に複数の2次元コードパターンをスキャンした状態を示した図。
【図2】度に読み取られた複数のコードパターンのイメージ表示に対応付けて合成表示される識別マークを説明するための図。
【図3】ハンディターミナルの基本的構成要素を示したブロック図。
【図4】コード位置テーブル12の内容を示した図。
【図5】コードパターン領域の始点アドレス(左上位置)、終点アドレス(右下位置)によってコードパターン領域が特定されることを説明するための図。
【図6】トリガーキー(スキャン開始スイッチ)の操作に応答して実行開始されるハンディターミナルの全体動作を示したメインのフローチャート。
【図7】図6で示したデコード対象/デコード対象外の選択処理を詳述するためのフローチャート。
【図8】選択画面を示した図。
【図9】デコード終了時点の表示内容を示した図。
【符号の説明】
【0047】
1 CPU
2 ROM
3 RAM
4 キー入力装置
5a タッチパネル
5 表示装置
7 イメージスキャナ
10 コードパターン用のV−RAM
11 識別マーク用のV−RAM
12 コード位置テーブル
ST 選択キー
ET 確定キー
TD ターミナル画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードパターンを読み取ってデコード処理すると共に、そのデコード結果を表示するコード読取装置において、
コード読み取りの指示に応答して複数のコードパターンが一度に読み取られた場合に、各コードパターン毎にデコード処理を行うと共にそのデコード結果に基づいて正常にデコードされたか否かを特定するデコード処理手段と、
このデコード処理手段によって各コードパターン毎に正常にデコードされたか否かが特定された場合に、この特定状態を各コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別可能に表示する表示手段と、
を具備したことを特徴とするコード読取装置。
【請求項2】
前記表示手段は、各コードパターンのイメージ表示に対応して正常にデコードされたか否かを識別可能に表示する際に、正常にデコードされたか否かを示す特定マークを各コードパターンのイメージ表示に対応付けて付加表示する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載のコード読取装置。
【請求項3】
一度に読み取られた複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、どのコードパターンをデコード対象とするか否かを任意に選択指定する選択手段と、
前記複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、前記選択手段によって選択されたデコード対象の可否を各コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別可能に案内表示する案内手段と、
を設け、前記デコード処理手段は、前記選択手段によってデコード対象として選択されたコードパターン毎にデコード処理を行うと共にそのデコード結果に基づいて正常にデコードされたか否かを特定する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載のコード読取装置。
【請求項4】
コンピュータに対して、
コード読み取りの指示に応答して複数のコードパターンが一度に読み取られた場合に、各コードパターン毎にデコード処理を行うと共にそのデコード結果に基づいて正常にデコードされたか否かを特定する機能と、
各コードパターン毎に正常にデコードされたか否かが特定された場合に、この特定状態を各コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別可能に表示する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項5】
コードパターンを読み取ってデコード処理すると共に、そのデコード結果を表示するコード読取装置において、
コード読み取りの指示に応答して複数のコードパターンが一度に読み取られた場合に、各コードパターンをイメージ表示するコードパターン表示手段と、
前記複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、どのコードパターンをデコード対象とするか否かを任意に選択指定する選択手段と、
前記複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、前記選択手段によって選択されたデコード対象の可否を各コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別可能に案内表示する案内手段と、
この案内表示後においてデコード指示を受け付けたことを条件に、前記選択手段によってデコード対象として選択されたコードパターンをデコード処理すると共に、そのデコード結果を表示するデコード処理手段と、
を具備したことを特徴とするコード読取装置。
【請求項6】
前記案内手段は、任意に選択指定されたデコード対象の可否を各コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別可能に表示する際に、デコード対象の可否を示す特定マークを各コードパターンのイメージ表示に対応付けて付加表示する、
ようにしたことを特徴とする請求項5記載のコード読取装置。
【請求項7】
コンピュータに対して、
コード読み取りの指示に応答して複数のコードパターンが一度に読み取られた場合に、各コードパターンをイメージ表示する機能と、
前記複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、どのコードパターンをデコード対象とするか否かが任意に選択指定する機能と、
前記複数のコードパターンがイメージ表示されている画面上において、どのコードパターンをデコード対象とするか否かが任意に選択指定された場合に、このデコード対象の可否を各コードパターンのイメージ表示に対応付けて識別可能に案内表示する機能と、
この案内表示後においてデコード指示を受け付けたことを条件に、デコード対象として選択されたコードパターンをデコード処理すると共に、そのデコード結果を表示する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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