説明

コード長さ調整具

【課題】本発明はコードを短くするために巻物に巻回したコードの余長部分を簡単に解くことができ、コードの長さ調整を容易に行うことができるコード長さ調整具を提供する。
【解決手段】基板5と、基板5に取り付けられ互いに離間するように延伸する一対の突出片11とを含み、一対の突出片11にコードを掛け渡して巻回せしめてなるコード長さ調整具1において、一対の突出片11の先端部が巻回されたコードの内側にきてコードを外せるまで移動できるように、基板5、及び、または、突出片11が、形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に接続するコードを所定の長さに調整するコード長さ調整具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、携帯電話や携帯型音響機器などの電子機器に接続するヘッドフォンコードには、多少の余長を有するように長目のものが用いられている。余長部分の長さは、電子機器の使用者の使用態様によって異なるものであるが、余長部分を弛ませたまま使用すると、余長部分が絡まったり、他のものに引っ掛かったりすることがある。携帯電話や携帯型音響機器は、鞄の中などに入れて持ち歩くことが多いことから、特に、細いコードの余長部分は鞄の中で絡みやすく、鞄の中から携帯電話や携帯型音響機器を引っ張り出すときに、ヘッドフォンコードの余長部分が引っ張られて、損傷を生じることがある。一般に、ヘッドフォンコードが細い場合には、コードとヘッドフォンの接続部分が破断したり、コード自体が断線したりする心配もある。ヘッドフォンコードの外被が損傷していない場合でも、ヘッドフォンコード内側の芯線が断線していることがある。このようなことから、特に、ヘッドフォンコードの細線化に伴う余長部分などで生じる損傷を防止するため、ヘッドフォンコードの長さを適当な長さに調整でき、余長部分を生じないようにするコード長さ調整具が用いられている。
【0003】
コードの余長部分の長さを調整できるものの一例として、特許文献1及び2で開示されているものがある。特許文献1は、電子機器類のコード長さ調整具を開示する。特許文献1には、電子機器のコードの一部を保持するコード保持部8は、湾曲した保持片1の開放側を面ファスナー6の貼り合わせで閉じることにより筒状に形成されていること、また、コード保持部8は、鋭角的に折れ曲がることなく断面視略U字形に湾曲された保持片1と、貼り合わせられた面ファスナー6の一側縁とにより取り囲まれて中空筒状に形成されていること、そして、コード保持部8は、コードが保持片1に巻回されて環状になったその一部を束ねるようにして、コードを保持すること、が記載されている。
【0004】
特許文献2は、コード長さ調整具としてのヘッドホンコード収納クリップを開示する。この収納クリップは、両端に備わる切り込み溝と、二つの切り込み溝の間にあるひょうたん型の凹みとを備え、凹みにコードが巻回され、切り込み溝にコードの接続プラグ側と音声出力部側とをそれぞれ押し込んで挟持させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案公報3152609号
【特許文献2】特開2006−67537号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2によって開示されるものは、いずれもコードの余長部分を保持片(特許文献1)やクリップのひょうたん型の凹み(特許文献2)に巻回して保持するものであり、これによりコードの余長部分の長さを調整するものである。しかしながら、一旦長さを短くしたヘッドフォンコードの長さを延ばす場合は、巻いたコードを解さなければならず、巻いたコードを全部解すには手間と時間が掛かるという問題があった。
本発明は、特許文献1及び2によって開示される従来のコード長さ調整具にの欠点を軽減し、改良されたコード長さ調整具を提供することを目的とする。すなわち、コードを短くするために巻物に巻回したコードの余長部分を簡単に解くことができ、コードの長さ調整を容易に行うことができるコード長さ調整具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、少なくとも第一の目的は、特許請求の範囲の請求項1の特徴記載部分に規定される特徴によって達成される。
すなわち、本発明によれば、基板と、基板に取り付けられ互いに離間するように延伸する一対の突出片を含み、一対の突出片にコードを掛け渡して巻回せしめてなるコード長さ調整具において、一対の突出片の先端部が巻回されたコードの内側にきてコードを外せるまで移動できるように、基板、及び、または、突出片が、形成されている、ことを特徴とするコード長さ調整具が提供される。
【0008】
本発明によるコード長さ調整具の追加の技術的事項は従属請求項に規定されている、
すなわち、基板が突出片の側に撓むことのできる可撓性部材で形成されているコード長さ調整具が提供される。
また、基板が弾性を有するプラスチックで形成されているコード長さ調整具が提供される。
また、基板の一対の突出片の間に薄肉部が形成されているコード長さ調整具が提供される。
また、薄肉部が一対の突出片のそれぞれに隣接して形成されているコード長さ調整具が提供される。
また、基板の一対の突出片の間に、突出片をコードの巻回時に移動しないように補強する、基板と同じプラスチックで形成された補強手段を有するコード長さ調整具が提供される。
また、補強手段は、基板に取り付けられた中空の筒状部材と、中空の筒状部材の上部外側と突出片とを連結する連結部材からなるコード長さ調整具が提供される。
また、中空の筒状部材は、基板の長手方向に平行な部分でのみ基板に取り付けられているコード長さ調整具が提供される。
また、突出片が、基板と同じプラスチックで形成されているコード長さ調整具が提供される。
また、突出片の端部側が互いに接近できるように撓むことのできる可撓性部材で形成されているコード長さ調整具が提供される。
また、基板、及び、または、突出片が、金属で形成されているコード長さ調整具が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明のコード長さ調整具によれば、一対の突出片に掛け渡してコードを巻回することにより、コードの長さを短く調整することができる。また、一対の突出片にコードが巻回されている状態で、一対の突出片の先端部が巻回されたコードの内側にきてコードを外せるまで移動することで、コードの巻回部分を一対の突出片から外すことができる。これにより、一対の突出片からコードを解す手間を軽減することができ、コードの長さ調整が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係わるコード長さ調整具を示す斜視図である。
【図2】図1に示すコード長さ調整具を裏側からみた斜視図である。
【図3】コード長さ調整具の底面図である。
【図4】コード長さ調整具の側面図である。
【図5】コード長さ調整具にコードの巻回部分が保持されている状態を示す説明図である。
【図6】コード長さ調整具からコードの巻回部分を外した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1〜4には、本発明のコード長さ調整具の一実施形態が示され、図5及び6には、コード長さ調整具の作用を説明する説明図が示されている。
【0012】
本実施形態のコード長さ調整具1は、携帯電話や携帯型音響機器などに使用されるヘッドフォンコードの余長部分の長さを調整することができる付属品(アタッチメント)である。コード長さ調整具の全体又は可撓性を必要とするその部分は、プラスチックや金属などの可撓性部材から形成することができる。本実施形態のコード長さ調整具1は、プラスチックから射出成形にて一体的に形成されている。
【0013】
図1及び図2に示すように、コード長さ調整具1は、略フラットな基板5と、基板5に取り付けられ互いに離間するように延伸する一対の突出片11と、を備えている。一対の突出片11には、ヘッドフォンコード3が掛け渡して巻回される。本実施形態においては、一対の突出片11の先端部は、基板5を撓ませることにより、巻回されたコードを外せる内側位置まで移動できるように構成されているが、可撓性を有する一対の突出片11を撓ませることにより、同様の機能を奏するように構成することもできる。また、本実施形態のコード長さ調整具1は、コード巻回時の一対の突出片11の倒れを防止するために、一対の突出片11の間に補強手段をさらに備えている。
【0014】
プラスチックの基板5は、平面状又はやや下向きに反った形態をなし、細長く形成されている(図3参照)。基板5の両端に備わる一対の可撓片6の間には基部7が形成されている。この基部7は、基板5の中央に配置されている。基部7と一対の可撓片6との間には、一対の突出片11の内側に隣接する位置で、基板5の厚みが最も薄い部分としての溝状の一対の薄肉部8(図4参照)が備わっている。すなわち、基部7と一対の可撓片6とは薄肉部8をそれぞれ介して相互接続している。これにより、一対の可撓片6は薄肉部8に接する基端を支点として撓むことが容易となり、一対の突出片11の先端部が巻回されたコードを外せる内側位置まで移動できるようになる。基部7と一対の可撓片6との間の接続部としての溝状の薄肉部8は、円弧形状に湾曲して表面が滑らかに形成されると共に、所定の厚みを有しているため、一対の可撓片6が繰り返し撓んでも、薄肉部8において破断などの損傷が生じず強度が維持されるように設計されている。
【0015】
なお、本実施形態では、基板5が一対の突出片11の内側に隣接する位置で一対の薄肉部8を備えているが、基部7の中央に一つの薄肉部のみを備えることもできる。また、基板5の可撓性が十分である場合は、薄肉部8を省略することも可能である。薄肉部を備えても、逆に備えなくても、一対の突出片11の先端部を、基板5の巻回されたコードを外せる内側位置まで移動させることができるように、基部7の長手方向の両端部が一対の可撓片6として機能すればよい。
【0016】
また、基板5には、一対の可撓片6の自由端側で、回転対称の位置に、ヘッドフォンコード3を挟持する一対の係止溝9が形成されている。この係止溝9を一対設けたのは、ヘッドフォンコード3の2箇所を係止するためである。この係止溝9は、挿入端の溝幅がヘッドフォンコード3の直径より狭い幅に形成され、挿入端に続く奥側の溝幅が広く形成されているため、ヘッドフォンコード3が挿入端の開口から押し込まれて係止されると、ヘッドフォンコード3が係止溝9から不用意に抜け外れないようになっている。係止溝9の位置は、本実施形態の位置に制限されるものではないが、基板5の両端にそれぞれ設けることが好ましい。
【0017】
一対の突出片11は、基板5の裏面で薄肉部8に続く基端12と、この基端12から基板5に対して斜め外向きに突出する突出端13とを有している(図4参照)。一対の突出片11は、補強手段17により補強されているため、その撓みが規制されるようになっている。基板5の一対の可撓片6が薄肉部8に接する基端を支点として内向きに撓むと、一対の突出片11はその撓みが規制されつつ、一対の可撓片6と一体的に動作して一対の突出片11の接近する方向に動くことができる。すなわち、一対の突出片11の先端部は、巻回されたコードを外せる内側位置まで移動する。本実施形態の一対の突出片11は、基板5と同じプラスチックで形成されているが、基板5と異なる材料で形成することもできる。例えば、基板5および、または突出片11を可撓性を有する薄い金属板で形成することもできる。
【0018】
なお、一対の突出片11は、一対の突出片11の間に備わる補強手段17と相互接続しているため、一対の可撓片6と連動して一対の突出片11が互いに接近する方向に動くことができても、一対の突出片11が互いに離れる方向には動けないようになっている。一対の可撓片6の撓み動作に連動して一対の突出片11が互いに接近する方向に動く際には、補強手段17の中央に備わる中空の筒状部材18を弾性変形させながら(凹ませながら)動くことになる。すなわち、筒状部材18の上部外側18aが突出片11の内面に突設された連結部材19を介して突出片11からの内向きの力を受けて凹むことにより、一対の突出片11が互いに接近する方向に動くことが可能となる。
【0019】
また、一対の突出片11の先端側には、ヘッドフォンコード3の巻回部分が一対の突出片11から不用意に抜け外れることを防止するように、外向きに湾曲した延長部13aが形成されている。この延長部13aを含む突出片11の滑らかな外面と基板5の裏面とで囲まれる空間は、ヘッドフォンコード3の巻回部分を保持する保持空間15として存し、ヘッドフォンコード3の巻回部分はこの保持空間15からはみ出さないように巻回される。ヘッドフォンコード3の巻回部分の長さは、保持空間15の大きさやコードの太さに関係し、これにより、ヘッドフォンコード3の調整範囲が決まる。なお、コード長さ調整具1のサイズは特定のサイズに制限されるものではなく、任意のサイズに形成することができる。
【0020】
一対の突出片11の間に備わり、一対の突出片11を補強する補強手段17は、一対の突出片11がヘッドフォンコード3の巻回時にそれらが互いに接近する方向に移動することを規制するものであり、可撓性を有する中空の筒状部材18と、筒状部材18の対向する上部外側18aと一対の突出片11の内面とに接続する一対の連結部材19とを有している。筒状部材18は、基板5の長手方向に平行な部分でのみ基板5の基部7に取り付けられている。一対の連結部材19は、基板5の基部7に対して略平行に設けられ、突出片11の内面に接続する側が広幅に形成され、筒状部材18の上部外側18aに接続する側が狭幅に形成されている。筒状部材18の上部外側18aには狭幅の連結部材19の端部が接続することにより、応力が集中する結果として筒状部材18の上部外側18aが凹みやすくなり、一対の可撓片11と連動する一対の突出片11の内向きへの移動が可能になっている。なお、本発明は本実施形態の補強手段の構成に制限するものではなく、基板5に対する一対の突出片11の撓みを規制する機能を奏するものであれば、他の構成の補強手段とすることも可能である。
【0021】
図5及び6に基づいて、本実施形態のコード長さ調整具1の作用について説明する。
図5には、ヘッドフォンコード3の余長部分が一対の突出片11に巻回されている状態が示されている。ヘッドフォンコード3は巻回部分が弛まない程度の所定の張力で一対の突出片11に巻き付けられ、突出片11の外側に反った外面と基板5の略平坦な裏面とにより包囲される保持空間15内で不用意に外れないように保持されている。
図6には、ヘッドフォンコード3の巻回部分が一対の突出片11から外れた状態が示されている。一対の突出片11は、基板5に対する撓みが規制されつつ、基板5の薄肉部8に隣接する基端を支点として撓む一対の可撓片6と連動し、補強手段17の筒状部材18を凹ませて、一対の突出片11の間隔が狭くなる方向に移動する。そして、一対の突出片11の先端部が、巻回されたコードを外せる内側位置まで移動すると、ヘッドフォンコード3の巻回部分が一対の突出片11から外れる。
【0022】
以上のように、本発明によれば、基板5と、基板5に取り付けられ互いに離間するように延伸する一対の突出片11とを備えた構成により、巻回したコード3をワンタッチで簡単に解すことができ、一対の突出片11からコード3を解す手間を軽減することができ、コード3の長さ調整を容易に行うことができる。
【0023】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、基板に取り付けられ互いに離間するように延伸する一対の突出片を含み、一対の突出片にコードを掛け渡して巻回せしめてなるコード長さ調整具において、
一対の突出片の先端部が巻回されたコードの内側にきてコードを外せるまで移動できるように、基板、及び、または、突出片が、形成されている、
ことを特徴とするコード長さ調整具。
【請求項2】
基板が突出片の側に撓むことのできる可撓性部材で形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のコード長さ調整具。
【請求項3】
基板が弾性を有するプラスチックで形成されている、ことを特徴とする請求項2に記載のコード長さ調整具。
【請求項4】
基板の一対の突出片の間に薄肉部が形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載のコード長さ調整具。
【請求項5】
薄肉部が一対の突出片のそれぞれに隣接して形成されている、ことを特徴とする請求項4に記載のコード長さ調整具。
【請求項6】
基板の一対の突出片の間に、突出片をコードの巻回時に移動しないように補強する、基板と同じプラスチックで形成された補強手段を有する、ことを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載のコード長さ調整具。
【請求項7】
補強手段は、基板に取り付けられた中空の筒状部材と、中空の筒状部材の上部外側と突出片とを連結する連結部材からなる、ことを特徴とする請求項6に記載のコード長さ調整具。
【請求項8】
中空の筒状部材は、基板の長手方向に平行な部分でのみ基板に取り付けられている、ことを特徴とする請求項1に記載のコード長さ調整具。
【請求項9】
突出片が、基板と同じプラスチックで形成されている、ことを特徴とする請求項3から8のいずれか一項に記載のコード長さ調整具。
【請求項10】
突出片の端部側が互いに接近できるように撓むことのできる可撓性部材で形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のコード長さ調整具。
【請求項11】
基板、及び、または、突出片が、金属で形成されている、ことを特徴とする請求項2または10に記載のコード長さ調整具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−77716(P2013−77716A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217045(P2011−217045)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(598000378)イメーション株式会社 (2)
【Fターム(参考)】