説明

コーヒーメーカ

【課題】連続ドリップ式及び間欠ドリップ式を切り替えて行うことができるコーヒーメーカを提供すること。
【解決手段】前記貯湯タンクに供給する水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクの下流側に設けられる散水部材と、前記貯湯タンク内に設けられ前記貯湯タンク内のお湯が所定量になると前記貯湯タンク内のお湯を前記散水部材側へ供給するサイホン機構を有するコーヒーメーカであって、前記貯湯タンクの底部に間欠ドリップ時に閉じ、連続ドリップ時に開放する切替弁を設けるコーヒーメーカ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、コーヒーメーカに関し、さらに詳しくは、間欠ドリップ機能及び連続ドリップ機能を有するドリップ式コーヒーメーカに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コーヒーメーカは、家庭等で気楽にコーヒーを作ることができる機器として広く普及している。ドリップ式コーヒーメーカとしては、連続ドリップ式のコーヒーメーカ及び間欠ドリップ式のコーヒーメーカがあり、連続ドリップ式のコーヒーメーカは苦みや酸味が間欠ドリップ式より強く、間欠ドリップ式のコーヒーメーカは手で注ぐのと同じような効果、即ち雑味がなく、コーヒー豆本来のまろやかな味になることが知られている。
【0003】
図7に従来の連続ドリップ式のコーヒーメーカの一例を示す。機器本体1は、載置部2、庇部3及び支柱部4を有する断面コ字状を呈する。前記載置部2上には、コーヒー粉が入れられる抽出器5を上部に配置するサーバー6が載置され、抽出器5内にお湯を供給しサーバー6内に抽出したコーヒーを回収する。また、前記支柱部4には底部に加熱手段としてのヒータ7を備えた加熱容器8が設けられ、該加熱容器8は導水パイプ9を介して前記庇部3に設けられる水タンク10と連通する。更に、加熱容器8の上面には吐出パイプ11が設けられ、該吐出パイプ11の先端の吐出口12は前記抽出器5の上部に開口され、前記吐出口12の下部近傍には、複数個の穴13を有する断面半円弧状の散水部材14が設けられる。
【0004】
そして、前記水タンク10より導水パイプ9を介して加熱容器8内に導入された水はヒータ7により加熱され、吐出パイプ11先端の吐出口12より散水部材14に設けられる複数個の穴13より前記抽出器5の上部に連続して吐出され、抽出器5内においてコーヒーを抽出し、抽出したコーヒーをサーバー6内に貯留する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図8に従来の間欠ドリップ式のコーヒーメーカの一例を示す。なお、連続ドリップ式と同じ部材には同じ符号を付して説明する。連続ドリップ式と同様に機器本体1は、載置部2、庇部3及び支柱部4を有する断面コ字状を呈する。前記載置部2上には、コーヒー粉が入れられる抽出器5を上部に配置するサーバー6が載置され、抽出器5内にお湯を供給することによりサーバー6内に抽出したコーヒーを回収する。また、載置部2内には加熱手段7が設けられ、前記支柱部4に設けられる水タンク10の水を加熱し、沸騰したお湯を給湯パイプ11より貯湯タンク15に供給する。
【0006】
前記貯湯タンク15内には、サイフォン機構16が設けられる。このサイフォン機構16はサイフォン管であり、貯湯タンク15内のお湯が第1の高さh1まで達するとサイフォン現象により貯湯タンク15内のお湯が吐出口12より散水部材14を有する前記抽出器5に吐出し、抽出器5内においてコーヒーを抽出し、抽出したコーヒーをサーバー6内に貯留する。貯湯タンク15内のお湯が減少し第2の高さh2にまで減るとサイフォン管内に空気が入りサイフォン現象が行われなくなり、吐出口12より散水部材14へのお湯の供給が停止する。このような間欠動作により間欠ドリップ式が行われる(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
上記したように、連続ドリップ式のコーヒーメーカと間欠ドリップ式のコーヒーメーカとはそれぞれに利点を有している。また、コーヒーが好きな人の好みも多様であり、いろいろな味を楽しんでみたいと思う人も増えている。
【0008】
上記したように従来、連続ドリップ式のコーヒーメーカ及び間欠ドリップ式のコーヒーメーカが知られており、それぞれのコーヒーメーカを用いてそれぞれの味を楽しむことができる。しかしながら、従来のコーヒーメーカはそれぞれ別々に作られているため、両者の味を家で楽しもうとする場合、それぞれのコーヒーメーカを持つ必要があり置き場所並びにコスト的に大きな負担となるという問題があった。
【特許文献1】特公昭64−3493号公報
【特許文献2】特開昭58−143722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明の目的は、このような問題をなくすことで、連続ドリップ式及び間欠ドリップ式を簡単に切り替えて行うことができるコーヒーメーカを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本願発明は以下の構成を採用する。
【0011】
本願発明は、前記貯湯タンクに供給する水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクの下流側に設けられる散水部材と、前記貯湯タンク内に設けられ前記貯湯タンク内のお湯が所定量になると前記貯湯タンク内のお湯を前記散水部材側へ供給するサイホン機構を有するコーヒーメーカであって、前記貯湯タンクの底部に間欠ドリップ時に閉じ、連続ドリップ時に開放する切替弁を設ける構成。
【0012】
請求項2に係る発明では、請求項1の構成に加え、前記散水部材を回動自在にするとともに、前記散水部材に切替レバー及び切替弁駆動部材を設け、前記切替レバーにより前記散水部材を回動することにより前記切替弁を開閉する構成。
【0013】
請求項3に係る発明では、請求項2の構成に加え、前記切替弁駆動部材は凸部であり、連続ドリップ時に前記切替弁を押し上げて開放する構成。
【0014】
請求項4に係る発明では、請求項1ないし3の構成に加え、前記散水部材は取り外し可能である構成。
【0015】
そして上記した構成により、1つのコーヒーメーカにより間欠ドリップ及び連続ドリップでのコーヒーの抽出が可能になる。また、散水部材の洗浄が容易になる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、貯湯タンクの底部に間欠ドリップ時に閉じ、連続ドリップ時に開放する切替弁を設けることにより、1つのコーヒーメーカで間欠ドリップ及び連続ドリップでのコーヒーの抽出を容易に行うことができるとともに、ユーザーにとってより多くの味を楽しむことができるようになる。また、ユーザーのコスト並びに保管負担を低減するとともに、コーヒーメーカの利便性を高めることができる。
【0017】
請求項2に係る発明では、散水部材を回動自在にするとともに切替レバー及び切替弁駆動部材を設け、切替レバーの回動により切替弁を開閉すること、請求項3に係る発明では、切替弁駆動部材は凸部であり、連続ドリップ時に切替弁を押し上げて開放することにより、請求項1に係る発明と同様、1つのコーヒーメーカで間欠ドリップ及び連続ドリップでのコーヒーの抽出を容易に行うことができるとともに、ユーザーにとってより多くの味を楽しむことができるようになる。また、ユーザーにとってのコスト並びに保管負担を低減するとともに、コーヒーメーカの利便性を高めることができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、散水部材は取り外すことができることにより、請求項1ないし3に係る発明の効果に加え、散水部材を容易に洗浄することができ、コーヒーメーカの安全性並びに信頼性を高めることができる。
【実施例】
【0019】
図1乃至図5に本願発明のコーヒーメーカを示す。図1はコーヒーメーカの全体断面図を示し、図2は散水部材の正面図を示し、図3は図1のB−B線からみた断面図を示し、図4は図1のA部拡大断面図を示し、図5は散水部材の斜視図を示す。
【0020】
コーヒーメーカMは、ロート状の抽出器21が着脱自在に装着されるサーバー22を載置する載置台23と、載置台23の一端から上方に延設される支柱部24と、支柱部24の上部において前記載置台23の上方に向かって庇状に突出して形成される庇部25とを有する樹脂製で、且つ断面コ字状の機器本体20、及び前記庇部25上に着脱自在に装着される同じく樹脂製の水タンク27とを備えている。そして前記載置台23の下部には、加熱手段してのヒータ26を有する伝熱部30が形成される。
【0021】
前記支柱部24は、載置台23と庇部25とを連結するとともに、庇部25及び水タンク27を支持する支柱の作用をする断面略円弧状の部材であり、その内部には液通路としての往路液通路28及び復路液通路29が配置される。前記庇部25は、載置台23の上方に向かって庇状に突出して形成され、その上面には、前記水タンク27を着脱自在に載置するための水平な載置面25a及び図示しない取水口が形成される。なお、水平な載置面25aの略中央部には貯湯タンク40を取り付けるための取付開口25bを有する。
【0022】
前記機器本体20内には、前記往路液通路28及び復路液通路29が上下方向に配設される。前記往路液通路28の一端は、機器本体20の上部において載置面25aに形成される図示しない取水口に連結されるとともに、その他端は、機器本体20の下部においてヒータ26を有する伝熱部30に連結され、水タンク27内の水Wを往路液通路28を介して前記伝熱部30に導き該水Wを加熱沸騰する。
【0023】
また、前記復路液通路29の一端は、機器本体20の下部において前記伝熱部30に連結されるとともに、その他端は、機器本体20の上部において貯湯タンク40に連結され、伝熱部30で加熱沸騰された熱湯を復路液通路29を介して貯湯タンク40に供給し、貯湯タンク40のお湯を散水部材55を介して前記抽出器21へ供給する。即ち、復路液通路29内を流れる水は、伝熱部30においてヒータ26により加熱沸騰され、その際発生する水蒸気の圧力によって復路液通路29の上方に押し上げられて貯湯タンク40に導入される。
【0024】
なお、復路液通路29は、その途中位置は、水タンク27の満水位置以上の高さにまで持ち上げられ、空気溜まり空間を形成し、該空気溜まり空間から下方に延び前記貯湯タンク40に至る形状とされており、前記空気溜まり空間を形成することにより、コーヒーを適量作り、その加熱をオフにした場合でもサイフォン現象により水タンク27内の残りの水が全て導出することを防止する。
【0025】
前記サーバー22は、透明な耐熱ガラス製からなるコップ形状の部材で、その側面には、把手22aが付設され、その上端開口面には、樹脂製で且つロート状の抽出器21が着脱可能な状態で載置される。
【0026】
抽出器21は断面三角状の部材で、その底部には図示しない複数個の抽出口が形成され、コーヒー抽出時には内部に図示しないフィルターを介してコーヒー粉が入れられ、上部よりお湯が注がれる。また、抽出器21の上方開口面には蓋体31が設けられる。この蓋体31の中央部には、供給されるお湯を均等に拡散するための複数の羽根状部材からなる拡散部材32が形成される。
【0027】
符号40は貯湯タンクである。この貯湯タンク40は、タンク上部材41及びタンク下部材42からなる中空状の樹脂製部材であり前記庇部25に設けられる。前記タンク上部材41は、下方開放のハット状の部材で、その上方側面部には復路液通路29の吐出端部29aが開口し、更にその上壁面には下方開放の第1筒状部材43が垂下する。貯湯タンク40は、タンク下部材42の上方にタンク上部材41を重ねて置き、両部材のそれぞれの上下端部を超音波溶着によって固定することにより一体化される。貯湯タンク40の保持量は約60ccである。
【0028】
前記タンク下部材42は、上方開放の容器状の部材であり、その底壁面には上下に貫通する第2筒状部材44が立設し、更にその底壁面には切替弁50が位置する連続ドリップ用の開口45と、ドリップ終了後に貯湯タンク40内の残りのお湯を排出するための小孔46を有する。なお、前記小孔46は間欠ドリップ時にも開放していることになるが、貯湯タンク40のお湯の排出は滴状のものがポタポタ垂れる程度であり間欠ドリップに影響はない。仮にこの小孔46がなく、前記開口45が閉鎖状態にあるとドリップ終了後に貯湯タンク40内に排出されなかったお湯が水になっていつまでも残ることになり、衛生的にもよくなく、使用後にコーヒーメーカを傾けた場合においては水が溢れるといった問題も生じる。
【0029】
また、前記タンク下部材42の上部周面には外方に水平に突き出てその後下方に垂下するL字状フランジ47を外周に有し、タンク下部材42の周面とL字状フランジ47とで下方開放の係合溝48を形成している。
【0030】
前記開口45には、切替弁50が取り付けられる。切替弁50は、T字状の弁体50aとばね受50bとばね50cとを有する。そして弁体50aをタンク下部材42の上方から挿入し、その下端部にばね受50bを図示しないビスにより固定するが、固定に先立ちタンク下部材42の底面とばね受50bの上面にばね50cを介在させる。そのため、タンク下部材42に切替弁50を取り付けた後においては、弁体50aはばね50cにより下方へ付勢され開口45を閉鎖する。この切替弁50はタンク上部材41とタンク下部材42を一体にする前に取り付けられる。
【0031】
タンク上部材41とタンク下部材42を超音波溶着によって一体にすると、タンク上部材41の第1筒状部材43がタンク下部材42の第2筒状部材44に嵌合し、両部材43、44で内部にサイホン室51を有するサイホン機構Sを形成する。このサイホン機構Sは、復路液通路29の吐出端部29aより貯湯タンク40内にお湯が供給されると、お湯は貯湯タンク40内に貯留され、徐々にサイホン室51に充満する。サイホン室51にお湯が充満する図4で示す第1位置h1になると、お湯はサイホン室51を充満する。すると、サイホン現象により貯湯タンク40のお湯は、第2筒状部材44を通って排出され、その排出は貯湯タンク40内のお湯が第2位置h2になるまで続く。
【0032】
タンク上部材41とタンク下部材42との一体後、貯湯タンク40は、前記庇部25の上方から水平な載置面25aに形成される取付開口25bにタンク下部材42の下端部が嵌合する形態で挿入され、図示しないビスにより庇部25の載置面25aに取り付けられる。タンク下部材42の外周には散水部材55が嵌入するが、載置面25aの取付開口25bの内径は、散水部材55の外径より大きくされ、更に取付開口25bの内周面には、図3に示すように3個の略同形の円弧状切欠52が略等間隔に開口している。
【0033】
符号55は散水部材である。この散水部材55は、上方開放の容器状の本体部材56と切替レバー57とを有する。前記切替レバー57は本体部材56の側面に設けられる把手で、散水部材55の取付時、図1、3に示すようにコーヒーメーカの正面に突き出る形態で取り付けられ、取付後では、図2において左右に回動自在にされ、前記切替弁50を開放したり、閉鎖したり、或いは取り外し自在にする。
【0034】
前記本体部材56の底部には、複数のお湯排出用の開放孔58を有するとともに、切替レバー57の軸心方向上の底部上面であって、且つ底部中心部とは反対側に切替弁駆動部材である1個の凸部59を有する。この凸部59は、前記切替弁50を上動し開放する部材である。また、本体部材56の上端側部には、3個の略同形の円弧状係止片60が略等間隔に外方に突き出る形態で設けられる。なお、この円弧状係止片60は、載置面25aの取付開口25bに形成される円弧状切欠52より若干小さい相似形をしている。
【0035】
散水部材55の取り付けは次のように行われる。散水部材55の3個の円弧状係止片60を載置面25aの3個の円弧状切欠52の下方に位置させる。その位置での切替レバー57の位置は図2において「掃除」の位置になる。その後、散水部材55を上方へ押し上げる。すると、散水部材55の内周面は貯湯タンク40の外周面に沿って載置面25aの取付開口25bに嵌入するとともに、散水部材55の3個の円弧状係止片60は載置面25aの3個の円弧状切欠52に嵌入する。散水部材55が取付開口25bに嵌入後、散水部材55を回動すると、散水部材55の3個の円弧状係止片60と載置面25aの3個の円弧状切欠52との上下方向の位置がずれるため、散水部材55は載置面25aに支持され、載置面25aから外れることはなくなる。そして散水部材55は貯湯タンク40の下流側に位置することになる。
【0036】
その後、切替レバー57の位置を図2において「開」の位置に回動すると、本体部材56の底部内面に設けられる凸部59が切替弁50の下方に位置することになり、凸部59が切替弁50を上方へ押し上げ、開口45を開放する。すると、貯湯タンク40内のお湯は、サイホン機構Sを介することなく開口45から連続して散水部材55上に滴下し、散水部材55により均等に分散され開放孔58から抽出器21に供給される。即ち、連続ドリップが行われる。
【0037】
その後、切替レバー57の位置を図2において「閉」の位置に回動すると、本体部材56の底部内面に設けられる凸部59が切替弁50の下方から外れることになり、切替弁50はばね50cの作用により下動し、開口45を閉鎖する。すると、貯湯タンク40内のお湯は、サイホン機構Sの第2筒状部材44を介して間欠的に散水部材55に滴下し、散水部材55により均等に分散され開放孔58から抽出器21に供給される。即ち、間欠ドリップが行われる。なお、「開」と「閉」との切替レバー57の位置と凸部59の位置との関係を図3に示す。
【0038】
その後、散水部材55を洗浄する場合には、切替レバー57の位置を図2において「掃除」の位置に回動すると、散水部材55の3個の円弧状係止片60と載置面25aの3個の円弧状切欠52との上下方向の位置が合うため、散水部材55を下方に押し下げることにより散水部材55を取り外すことができる。散水部材55を洗浄した後に上記と逆の順序で取り付けることになる。
【0039】
コーヒーメーカの抽出は次のように行われる。まず、連続ドリップ式の場合は、切替レバー57の位置を「開」にし、切替弁50を開放する。次いで、抽出器21内にフィルターをセットし、所定量のコーヒー粉を入れる。その状態で所定量の水Wを入れた水タンク27を装着し、電源を投入する。すると水タンク27内の水Wは、往路液通路28に流れ込む。往路液通路28に流れ込んだ水Wは、伝熱部30を通過する過程でヒータ26により加熱沸騰せしめられ、その時発生する水蒸気の圧力により押し上げられて復路液通路29を経て該復路液通路29先端の吐出端部29aから矢印1のように貯湯タンク40に導入する。
【0040】
貯湯タンク40に導入するお湯は、開口45より矢印2のように連続的に散水部材55に導入する。散水部材55に導入したお湯は、散水部材55で均等に分散され、矢印3のように開放孔58から導出され蓋体31に形成される拡散部材32に供給される。そして該拡散部材32により更に細かく且つ均等に分散され、抽出器21内に導入される。抽出器21においては、導入されたお湯によりコーヒー液が抽出され、抽出されたコーヒー液は図示しない抽出口からサーバー22内に流下し、苦みや酸味が間欠式より強いおいしいコーヒーとして貯留される。
【0041】
次いで、間欠ドリップ式の場合は、切替レバー57の位置を「閉」にし、切替弁50を閉鎖する。次いで、抽出器21内にフィルターをセットし、所定量のコーヒー粉を入れる。その状態で所定量の水Wを入れた水タンク27を装着し、電源を投入する。すると水タンク27内の水Wは、往路液通路28に流れ込む。往路液通路28に流れ込んだ水Wは、伝熱部30を通過する過程でヒータ26により加熱沸騰せしめられ、その時発生する水蒸気の圧力により押し上げられて復路液通路29を経て該復路液通路29先端の吐出端部29aから矢印1のように貯湯タンク40に導入する。
【0042】
貯湯タンク40に導入するお湯は、上記したサイホン現象により矢印4、5、6のように第2筒状部材44から間欠的に散水部材55に導入する。散水部材55に導入したお湯は、散水部材55で均等に分散され、矢印3のように開放孔58から導出され蓋体31に形成される拡散部材32に供給される。そして該拡散部材32により更に細かく且つ均等に分散され、抽出器21内に導入される。抽出器21においては、導入されたお湯によりコーヒー液が抽出され、抽出されたコーヒー液は図示しない抽出口からサーバー22内に流下し、雑味がなくコーヒー豆本来のまろやかな味のおいしいコーヒーとして貯留される。このように簡単な操作により間欠ドリップと通常の連続ドリップとを切り替えて行うことができるようになる。
【0043】
図6に切替弁の他の実施例を示す。この例のものは、切替弁50の弁体50aをバイメタル弁にしたものである。図4のものと異なる箇所を主として説明する。
【0044】
貯湯タンク40下面の開口45には、切替弁70が取り付けられる。切替弁70は、弁頭70aa及び弁棒70abからなるT字状の弁体70aとばね受70bとばね70cとを有する。そして弁体50aをタンク下部材42の上方から挿入し、その下端部にばね受70bを図示しないビスにより固定するが、固定に先立ちタンク下部材42の底面とばね受70bの上面にばね70cを介在させる。そのため、タンク下部材42に切替弁70を取り付けた後においては、弁体50aはばね70cにより下方へ付勢され開口45を閉鎖状態にする。
【0045】
そして、弁体70aの弁頭70aaは、バイメタル弁により形成され、所定温度、例えば、95℃、92℃或いは88℃で上方に反るようにされる。なお、連続ドリップ式の場合、切替弁50は開放するが、この切替弁70の場合には図に示すように切替弁70が上動してもお湯の温度が所定より低いと開口45を開放せず、貯湯タンク40に導入するお湯の温度が所定以上になると図の矢印で示すように上方に反って開口45を開放する。そのため、所定温度より低い温度のお湯が抽出器21に導入されることがなくなり、温度に適したよりおいしいコーヒーの抽出が可能になる。この切替弁70は間欠式の場合であってもお湯の温度が所定以上になると上方に反るが、ばね70cにより下方に押圧されているため開口45を開放しない。この例の発明としては、切替弁を温度可変弁、即ちバイメタル弁にすることを特徴とする。
【0046】
本願発明は、前記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本願発明のコーヒーメーカの全体を示す概略断面図
【図2】本願発明の散水部材の正面図
【図3】図1のB−B線からみた断面図
【図4】図1のA部拡大断面図
【図5】本願発明の散水部材の斜視図
【図6】本願発明の他の実施例の断面図
【図7】従来の連続ドリップ式コーヒーメーカの概略断面図
【図8】従来の間欠ドリップ式コーヒーメーカの概略断面図
【符号の説明】
【0048】
M…コーヒーメーカ S…サイホン機構
20…機器本体 21…抽出器
22…サーバー 22a…把手
23…載置台 24…支柱部
25…庇部 25a…載置面
25b…取付開口 26…ヒータ
27…水タンク 28…往路液通路
29…復路液通路 29a…吐出端部
30…伝熱部 31…蓋体
32…拡散部材 40…貯湯タンク
41…タンク上部材 42…タンク下部材
43…第1筒状部材 44…第2筒状部材
45…開口 46…小孔
47…L字状フランジ 48…係合溝
50…切替弁 50a…弁体
50b…ばね受 50c…ばね
51…サイホン室 52…円弧状切欠
55…散水部材 56…本体部材
57…切替レバー 58…開放孔
59…凸部 60…円弧状係止片
70…切替弁 70a…弁体
70aa…弁頭 70ab…弁棒
70b…ばね受 70c…ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクと、前記貯湯タンクに供給する水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクの下流側に設けられる散水部材と、前記貯湯タンク内に設けられ前記貯湯タンク内のお湯が所定量になると前記貯湯タンク内のお湯を前記散水部材側へ供給するサイホン機構を有するコーヒーメーカであって、
前記貯湯タンクの底部に間欠ドリップ時に閉じ、連続ドリップ時に開放する切替弁を設けることを特徴とするコーヒーメーカ。
【請求項2】
前記散水部材を回動自在にするとともに、前記散水部材に切替レバー及び切替弁駆動部材を設け、前記切替レバーにより前記散水部材を回動することにより前記切替弁を開閉することを特徴とする請求項1に記載のコーヒーメーカ。
【請求項3】
前記切替弁駆動部材は凸部であり、連続ドリップ時に前記切替弁を押し上げて開放することを特徴とする請求項2に記載のコーヒーメーカ。
【請求項4】
前記散水部材は取り外し可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のコーヒーメーカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−160288(P2009−160288A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1865(P2008−1865)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(000003702)タイガー魔法瓶株式会社 (509)
【Fターム(参考)】