説明

コールセンタシステム及びガイダンス音声再生方法

【課題】顧客の希望のサービスに到達するまでの時間を短縮して顧客の労力及び通信費の低減を図ることができるコールセンタシステムを提供する。
【解決手段】外線端末からの呼の着信時に外線端末の発信者番号を検出する検出手段と、音声再生手段による音声信号の出力中における外線端末からの選択指令に応じてその選択指令が示す複数の音声信号のうちの1の音声信号を示すガイダンス識別情報を外線端末の発信者番号に対応させて追加記憶する履歴記憶手段と、外線端末の発信者番号について履歴記憶手段に記憶されたガイダンス識別情報各々に応じて音声再生手段による複数の音声信号の再生回数を算出する手段と、再生回数が大なる順のガイダンス識別情報に応じて複数の音声信号の再生順序を設定する設定手段と、を備えたコールセンタシステムであって、音声再生手段は設定手段によって設定された再生順序で複数の音声信号を外線端末に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動音声応答機能を有するコールセンタシステム及びガイダンス音声再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IVR(自動音声応答)機能を有するコールセンタシステムは、コールセンタにおいて顧客の外線端末からの呼の着信を検出するとそれに応答し、管理者によって事前に定義されたIVRフロー(複数の選択肢で構成されたツリー形式の処理の流れ)に基づいて、ガイダンス音声を再生して顧客に対して数々の選択の指示を促し、その指示に対する顧客の応答結果に応じて顧客の希望するサービスを特定し、顧客に対してそのサービスを提供するものである(特許文献1参照)。
【特許文献1】特願2003−78625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のコールセンタシステムにおいては、多階層で構成されたIVRフローが用いられる場合には、顧客が希望するサービスを受けるために、数々の選択肢において再生されるガイダンス音声の内容を確認する必要があるため、その希望のサービスに到達するまでに時間、労力及び通信費がかかるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明の目的は、顧客の希望のサービスに到達するまでの時間を短縮して顧客の労力及び通信費の低減を図ることができるコールセンタシステム及びガイダンス音声再生方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のコールセンタシステムは、外線端末からの呼の着信に応答して各々がガイダンス音声を示す複数の音声信号を前記外線端末に順次再生出力するようにされた音声再生手段と、前記外線端末からの呼の着信時に前記外線端末の発信者番号を検出する検出手段と、前記音声再生手段による音声信号の出力中における前記外線端末からの選択指令に応じてその選択指令が示す前記複数の音声信号のうちの1の音声信号を示すガイダンス識別情報を前記外線端末の発信者番号に対応させて追加記憶する履歴記憶手段と、前記外線端末の発信者番号について前記履歴記憶手段に記憶されたガイダンス識別情報各々に応じて前記音声再生手段による前記複数の音声信号各々の再生回数を算出する手段と、前記再生回数が大なる順のガイダンス識別情報に応じて前記複数の音声信号の前記再生順序を設定する設定手段と、を備えたコールセンタシステムであって、前記音声再生手段は前記設定手段によって設定された再生順序で前記複数の音声信号を前記外線端末に出力することを特徴としている。
【0006】
本発明のガイダンス音声再生方法は、外線端末からの呼の着信に応答して各々がガイダンス音声を示す複数の音声信号を前記外線端末に順次再生出力するガイダンス音声再生方法であって、前記外線端末からの呼の着信時に前記外線端末の発信者番号を検出する検出ステップと、前記音声信号の出力中における前記外線端末からの選択指令に応じてその選択指令が示す前記複数の音声信号のうちの1の音声信号を示すガイダンス識別情報を前記外線端末の発信者番号に対応させて履歴記憶手段に追加記憶する履歴記憶ステップ段と、前記外線端末の発信者番号について前記履歴記憶手段に記憶されたガイダンス識別情報各々に応じて前記複数の音声信号各々の再生回数を算出するステップと、前記再生回数が大なる順のガイダンス識別情報に応じて前記複数の音声信号の前記再生順序を設定する設定ステップと、前記設定ステップにて設定された再生順序で前記複数の音声信号を前記外線端末に出力するステップと、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のコールセンタシステム及びガイダンス音声再生方法によれば、複数の音声信号のうちの選択指令によって選択された1の音声信号を示すガイダンス識別情報が外線端末の発信者番号に対応して履歴記憶手段に追加記憶され、履歴記憶手段に記憶されたガイダンス識別情報各々に応じて複数の音声信号各々の再生回数が算出され、再生回数が大なる順のガイダンス識別情報に応じて複数の音声信号の再生順序が設定され、外線端末からの呼の着信時にはその外線端末の発信者番号に対応した再生順序で複数の音声信号が外線端末に出力される。よって、外線端末毎に過去に選択した回数が多いガイダンス音声の音声信号の順序で複数の音声信号が再生出力されるので、希望するサービスまで到達するのに、時間及び労力がかからず、また通信費の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明の第1の実施例としてコールセンタシステムの構成を示している。このコールセンタシステムは、テレフォニーサーバ1と、データベースサーバ2とを備えている。テレフォニーサーバ1は公衆網3に接続する機能と共に、LAN(ローカルネットワーク)4を介してIP網5に接続する機能を備えている。
【0010】
公衆網3には外線端末6が接続され、IP網5にはIP外線端末7が接続されている。外線端末6及びIP外線端末7各々は電話機である。
【0011】
また、テレフォニーサーバ1は図2に示すように、IVR(Interactive Voice Response:音声自動応答)装置10を機能として備えており、外線端末6又は7からの顧客の問い合わせに対して自動音声応答によるサービスを提供する。
【0012】
IVR装置10は、制御部11と、IVRフロー処理部12と、IVRフロー管理部13とを備え、更にガイダンスリスト14をデータとして備える。制御部11はIVR装置10全体を制御する。
【0013】
データベースサーバ2はデータベース部2aを有し、データベース部2aは図3に示すように、IVRフローアクセス履歴21及びガイダンス再生ステータスリスト22をデータとして保持する。また、データベースサーバ2はLAN4に接続されている。
【0014】
IVRフローアクセス履歴21は、発信者番号、ガイダンスID(ガイダンス識別情報)、アクセス時刻のフィールドで構成されたテーブルである。IVRフローアクセス履歴21には、IVR装置10のIVRフロー処理部12でガイダンス音声が再生処理される毎に、顧客に選択された選択肢のガイダンス音声のガイダンスID及びそのガイダンス音声の再生開始時刻(アクセス時刻)がその顧客の発信者番号と共に登録される。
【0015】
発信者番号は、顧客の外線端末(以下、上記の外線端末6,7とする)に割り当てられた電話番号であり、顧客が外線端末6又はIP外線端末7でコールセンタシステムヘ呼を発信するときに通知され、テレフォニーサーバ1のIVR装置10にそれが着信した際に記録される番号である。ガイダンスIDは、IVR装置10のIVRフロー処理部12において再生されたガイダンス音声を識別するIDであり、このガイダンスIDはガイダンスリスト14にファイル単位で登録されているガイダンスコンテンツデータと関連付けられている。ガイダンスコンテンツデータはファイル単位の例えば、音声データやテキストデータであり、ガイダンス音声の音声信号を生成するためのデータである。アクセス時刻は、IVRフロー処理部12においてIVRフローで定義されたフローに応じてガイダンス音声の再生が開始された時刻である。
【0016】
ガイダンス再生ステータスリスト22は、ガイダンスID及び再生回数で構成されたテーブル形式のデータである。ガイダンス再生ステータスリスト22は、IVR装置10のIVRフロー管理部13のIVRフロー更新処理において利用されるデータである。ガイダンス再生ステータスリスト22のガイダンスIDは、上記したように、ファイル単位のガイダンスコンテンツデータ、すなわちIVR装置10のIVRフロー処理部12においてガイダンスコンテンツデータに応じて再生されたガイダンス音声(音声信号)を識別するIDである。再生回数は、IVR装置10のIVRフロー処理部12において再生されたガイダンス音声の再生回数である。ガイダンス再生ステータスリスト22は、IVR装置10のIVRフロー管理部13が、データベースサーバ2に発信者番号を指定することによって、IVRフローアクセス履歴21のデータから算出して得られるデータである。従って、ガイダンス再生ステータスリスト22は、発信者番号で特定される顧客に対して再生されたガイダンス音声の履歴情報を保持するデータを意味する。
【0017】
IVRフロー管理部13は、初期状態のIVRフローを保持している。IVRフロー管理部13は、顧客別に異なった自動音声応答サービスを提供するため、IVRフローアクセス履歴21から算出されたガイダンス再生ステータスリスト22に基づいてIVRフローの構成を再構築したIVRフローをIVR装置10に提供する。
【0018】
IVRフローは、図4に示すように、選択フロー及びサービスフローを段階的に備えている。選択フローには、ガイダンスの選択肢及びガイダンス再生順序が定義されている。選択フローは、顧客に対して定義された順序に従ってガイダンス音声を再生して選択の指示を促すためのフローである。選択フローの選択肢には顧客に選択の指示を促す際に再生するガイダンス音声と対応したガイダンスIDが割り当てられており、そのガイダンスIDはガイダンスリストに登録されているガイダンスIDと関連付けられている。ガイダンス再生順序は、顧客に対して再生するガイダンス音声と対応付けられた選択肢の順序を示す。サービスフローは、顧客が希望するサービスを提供できるように、実際にサービスを実現するための処理が定義されたフローであり、定義されているサービスを実行することで顧客に対してサービスを提供することができる。
【0019】
ここで、図4に基づいて説明すると、先ず、顧客には、最上位層の選択フロー1で定義されているガイダンス再生順序1の順にガイダンス音声が再生され、選択肢A〜Dのうちのいずれか1を選択するように指示することが行われる。この結果、例えば、顧客が選択肢Bを選択したとすると、選択肢Bの下の層の選択フロー2で定義されているガイダンス再生順序2の次にガイダンス音声が再生され、顧客には選択肢a〜dのうちのいずれか1を選択するように指示することが行われる。そして、この選択肢a〜dのうちの選択肢aが選択されたとすると、その下の層のサービスフロー1で定義されているサービスAが、顧客が希望したサービス、すなわち顧客に対して提供するサービスとして特定される。
【0020】
IVRフロー処理部12は、IVR装置10で顧客の外線端末6又は7からの着信を検出した際に動作し、制御部11から指定されたIVRフローを実行する。
【0021】
ガイダンスリストは、IVR装置10内で一意なガイダンスとして定義されたガイダンスIDと、テキストメッセージや音声メッセージ等といった具体的に再生するコンテンツを表すガイダンスコンテンツデータで構成されたガイダンス音声のリポジトリデータである。ガイダンスリストに登録されている各ガイダンスコンテンツデータは、IVRフロー管理部13で管理されているIVRフローに関連付けられており、IVRフロー処理部12の音声応答処理で利用される。
【0022】
かかる構成のコールセンタシステムにおいては、顧客による外線端末6又はIP外線端末7からの呼の着信がIVR装置10の制御部11によって検出されると、IVR装置10では自動応答処理が開始される。ここでは、外線端末6から公衆網3を介して着信呼があったとする。
【0023】
自動応答処理においては、図5に示すように、IVR装置10の制御部11は公衆網3を介して着信呼した際に検出した電話番号、すなわち発信者番号をIVRフロー管理部13に指定してIVRフローの取得要求を行う(ステップS1)。
【0024】
IVRフロー管理部13は後述するように、IVRフローの取得要求に応じてIVRフローを取得する処理を行う。
【0025】
IVRフローがIVRフロー管理部13から取得されると(ステップS2)、IVR装置10の制御部11はIVR処理部12に対して、IVRフロー管理部13から取得したIVRフローと共に、発信者番号を指定し、これによりIVRフロー処理部12に音声応答処理を実行させる(ステップS3)。
【0026】
IVRフロー管理部13によるIVRフロー取得処理においては、図6に示すように、保持している初期状態のIVRフローをコピーする(ステップS11)。IVRフローのコピー後、IVRフロー管理部13は、データベースサーバ2に対してIVR装置10の制御部11から指定された発信者番号を指定して、IVRフローアクセス履歴のうちから、指定された発信者番号についての当該選択フローに関する全てのガイダンスIDを検出し、同一のガイダンスID毎にその数を再生回数としてガイダンス再生ステータスリストを算出する(ステップS12)。当該選択フローは最初は選択フロー1である。
【0027】
続いて、その算出したガイダンス再生ステータスリストにデータが存在するか否かを判別する(ステップS13)。その判別の結果、ガイダンス再生ステータスリストにデータが存在しない場合には、コピーしたIVRフローをIVR装置10の制御部11に提供し(ステップS14)、IVRフロー取得処理を終了する。
【0028】
一方、ガイダンス再生ステータスリストにデータが存在する場合には、IVRフロー管理部13はガイダンス再生ステータスリストに基づいて当該選択フローのガイダンス再生順序を更新する(ステップS15)。
【0029】
具体的に説明すると、図4に示す通りツリー形式のデータ構造であるIVRフローに対して、算出したガイダンス再生ステータスリスト22の再生回数のトップから順に、ガイダンス再生ステータスリスト22のガイダンスIDを含む選択フローをバックトラック法(深さ優先探索法)等で検索する。すなわち、ガイダンス再生ステータスリスト22の第1位のガイダンスIDが位置する選択フロー1の選択肢が図4のガイダンス再生順序1の第1再生順位となり、ガイダンス再生ステータスリスト22の第2位のガイダンスIDが位置する選択フロー1の選択肢が図4のガイダンス再生順序1の第2再生順位となり、以下、同様にしてガイダンス再生順序1が更新される。算出したガイダンス再生ステータスリスト22の更新対象となるガイダンスIDが存在する限り、更新処理が繰り返される。例えば、図4の選択フロー1について「(1)選択肢A、(2)選択肢B、(3)選択肢C、(4)選択肢D」と定義されていたガイダンス再生順序1が、「(1)選択肢B、(2)選択肢A、(3)選択肢C、(4)選択肢D」の如く更新されることになる。
【0030】
なお、選択フロー2についても選択フロー1の場合と同様の動作によりガイダンス再生順序2を更新することができる。
【0031】
このようにIVRフローのガイダンス再生順序を更新した後、そのIVRフローをIVR装置10の制御部11に提供して(ステップS14)、IVRフロー取得処理を終了する。
【0032】
IVRフロー処理部12の音声応答処理は、IVR装置10の制御部11から発信者番号及びIVRフローが指定されることによって開始される。この音声応答処理においては、図7に示すように、IVRフロー処理部12はIVRフローの最上位層から実行すべきフローの種別を選択フロー及びサービスフローのいずれであるか判別する(ステップS21)。実行すべきフローがサービスフローである場合には、IVRフロー処理部12は顧客に対してサービスフローのサービスを実行して(ステップS22)、音声応答処理を終了する。
【0033】
実行すべきフローが選択フローである場合には、IVRフロー処理部12は顧客に対して、その選択フローのガイダンス再生順序に示された選択肢に割り当てられたガイダンスID順にガイダンス音声の再生を実行する(ステップS23)。このガイダンス音声再生においては、選択肢に割り当てられているガイダンスIDと対応してガイダンスリストに登録されているガイダンスコンテンツデータ(テキストファイルや音声ファイル)が実行されることにより音声信号が生成され、その音声信号が公衆網3を介して外線端末6に供給され、外線端末6の受話器からガイダンス音声が出力される。外線端末6の顧客がその端末において例えば、キー操作により選択肢を選択して選択指令が発せられた後、データベースサーバ2のデータベース部2a内のデータとして保持されているIVRフローアクセス履歴21に対して履歴を登録し(ステップS24)、次のフローの階層へ進む(ステップS25)。そして再度、ステップS21の次に実行すべきフローの種別を選択フロー及びサービスフローのいずれであるかの判別が実行される。ステップS24では顧客に選択された選択肢のガイダンス音声のガイダンスID及びそのガイダンス音声の再生開始時刻(アクセス時刻)がその顧客の発信者番号と共にIVRフローアクセス履歴21に追加登録される。
【0034】
以上のように、本発明のコールセンタシステムによれば、IVR装置10のIVRフロー管理部13がデータベースサーバ2のIVRフローアクセス履歴21から算出されたガイダンス再生ステータスリスト22に応じて、IVRフローのガイダンス再生順序が再生回数が多い順に更新される。従って、顧客が希望するサービスに問い合わせた場合には、ガイダンス再生順序が更新されたIVRフローがIVR装置10のIVRフロー処理部12で処理されるので、顧客はIVRフローの各選択フローにおいて使用頻度の高いサービスの内容のガイダンス音声が優先的に再生されるようになる。この結果、希望するサービスまで到達するのに、時間及び労力がかからず、また通信費の低減を図ることができる。
【0035】
図8は本発明の第2の実施例としてコールセンタシステムの構成を示している。
【0036】
図8のコールセンタシステムは、テレフォニーサーバ1を備え、図1に示したデータベースサーバ2を備えていない。テレフォニーサーバ1は図1のシステムと同様に、公衆網3に接続する機能と共に、LAN(ローカルネットワーク)4を介してIP網5に接続する機能を備えている。公衆網3には外線端末6が接続され、IP網5にはIP外線端末7が接続されている。
【0037】
テレフォニーサーバ1は図9に示すように、IVR装置50を機能として備えており、外線端末6又は7からの顧客の問い合わせに対して自動音声応答によるサービスを提供する。
【0038】
IVR装置50は、制御部51、IVR記憶部52、IVRフロー処理部53、及びIVRフロー管理部54を備えている。制御部51はIVR装置50全体の制御を行う。
【0039】
IVR記憶部52は、IVRフローアクセス履歴61及びガイダンス再生ステータスリスト62をデータとして保持する。IVRフローアクセス履歴61は、発信者番号、IVRフローID、ガイダンスID、アクセス時刻から構成される。IVRフローアクセス履歴61には、IVR装置50のIVRフロー処理部53で処理される毎にアクセス履歴61としてデータが登録される。発信者番号、ガイダンスID及びアクセス時刻は第1の実施例のものと同一である。IVRフローIDはIVR装置50のIVRフロー処理部53で処理されるIVRフローを識別するためのIDである。
【0040】
ガイダンス再生ステータスリスト62は図1のガイダンス再生ステータスリスト62と同一である。
【0041】
IVRフロー管理部54は、IVRフローリスト63と、IVRフロー64とをデータとして保持している。
【0042】
IVRフロー管理部は、顧客別に異なった自動音声応答サービスを提供するために、IVRフローリスト63において顧客毎、すなわち発信者番号毎にIVRフローを管理している。IVRフロー64は初期状態のIVRフローであり、このIVRフロー64をコピーして各顧客のIVRフローは作成され、その際、IVRフローリスト63の各IVRフローを識別するためにIVRフローIDが割り当てられる。IVRフローリスト63の各IVRフロー及びIVRフロー64は第1の実施例のIVRフローと同一の構成を有し、図4に示したように、選択フロー及びサービスフローを段階的に備えている。
【0043】
IVRフロー処理部53は図1のIVRフロー処理部53と同様に、IVR装置50の制御部51で顧客の外線端末6又は7からの着信を検出した際に動作し、制御部51から指定されたIVRフローを実行する。また、ガイダンスリスト65は図1のガイダンスリスト14と同一である。
【0044】
かかる図8の構成のコールセンタシステムにおいては、顧客による外線端末6又はIP外線端末7からの呼の着信がIVR装置50の制御部51によって検出されると、IVR装置50では自動応答処理が開始される。ここでは、外線端末6から公衆網3を介して着信呼があったとする。
【0045】
自動応答処理においては、図10に示すように、IVR装置50の制御部51は公衆網3を介して着信呼した際に検出した電話番号、すなわち発信者番号をIVRフロー管理部54に指定してIVRフローを取得する(ステップS31)。
【0046】
IVRフロー管理部54によるIVRフロー取得処理においては、図11に示すように、制御部51によって指定された発信者番号で特定されるIVRフローがIVRフローリスト63内にあるか否かが判別される(ステップS41)。IVRフローリスト63内に発信者番号で特定されるIVRフローがある場合には、そのIVRフローを制御部51に出力する(ステップS42)。IVRフローリスト63内に発信者番号で特定されるIVRフローがない場合には、IVRフロー64をコピーしてそれをIVRフローリスト63に登録し(ステップS43)、更に、制御部51に出力する(ステップS44)。ステップS43では、IVRフロー64をコピーすると、そのコピーのIVRフローにはフローIDが割り当てられると共に、制御部51によって指定された発信者番号に対応させてIVRフローリスト63に記録される。
【0047】
IVR装置50の制御部51はIVR処理部53に対して、IVRフロー管理部54から取得したIVRフローと共に、発信者番号を指定し、これによりIVRフロー処理部53に音声応答処理を実行させる(ステップS32)。IVRフロー処理部53の音声応答処理は、図7に示した第1の実施例の音声応答処理とはステップS24が図12に示すように、IVR記憶部52内のデータとして保持されているIVRフローアクセス履歴61に対して履歴を登録する(ステップS24’)ことを除いて同一であるので、ここでの更なる説明は省略する。
【0048】
ステップS32の実行後、制御部51はIVR処理部53による音声応答処理が終了したか否かを判別し(ステップS33)、音声応答処理が終了した場合にはIVRフロー管理部54にIVRフローの更新処理を実行させる(ステップS34)。
【0049】
IVRフロー管理部54によるIVRフロー更新処理においては、図13に示すように、IVR装置10の制御部11から指定された発信者番号に応じて、IVR記憶部52のIVRフローアクセス履歴61のうちから、指定された発信者番号についての全てのガイダンスIDを検出し、同一のガイダンスID毎にその数を再生回数としてガイダンス再生ステータスリスト62を算出する(ステップS51)。
【0050】
続いて、その算出したガイダンス再生ステータスリスト62にデータが存在するか否かを判別する(ステップS52)。その判別の結果、ガイダンス再生ステータスリストにデータが存在しない場合には、IVRフロー更新処理を終了する。
【0051】
一方、ガイダンス再生ステータスリストにデータが存在する場合には、IVRフロー管理部54はIVRフローリスト63内に発信者番号で特定されるIVRフローを取得し(ステップS53)、その算出したガイダンス再生ステータスリストに基づいて取得したIVRフローのガイダンス再生順序を更新する(ステップS54)。
【0052】
具体的に説明すると、図4に示す通りツリー形式のデータ構造であるIVRフローに対して、算出したガイダンス再生ステータスリスト65の再生回数のトップから順に、ガイダンス再生ステータスリスト65のガイダンスIDを含む選択フローをバックトラック法(深さ優先探索法)等で検索する。すなわち、ガイダンス再生ステータスリスト65の第1位のガイダンスIDが位置する選択フロー1の選択肢が図4のガイダンス再生順序1の第1再生順位となり、ガイダンス再生ステータスリスト65の第2位のガイダンスIDが位置する選択フロー1の選択肢が図4のガイダンス再生順序1の第2再生順位となり、以下、同様にしてガイダンス再生順序1が更新される。算出したガイダンス再生ステータスリスト65の更新対象となるガイダンスIDが存在する限り、更新処理が繰り返される。例えば、図4の選択フロー1について「(1)選択肢A、(2)選択肢B、(3)選択肢C、(4)選択肢D」と定義されていたガイダンス再生順序1が、「(1)選択肢B、(2)選択肢A、(3)選択肢C、(4)選択肢D」の如く更新されることになる。
【0053】
IVRフローのガイダンス再生順序1を更新した後、そのIVRフローを、特定された発信者番号に対応するIVRフローリスト65の位置に書き込むことによりIVRフローの更新を行い(ステップS55)、IVRフロー更新処理を終了する。
【0054】
以上のように、本発明のコールセンタシステムによれば、IVR装置50のIVRフロー管理部54がIVR記憶部52のIVRフローアクセス履歴61から算出したガイダンス再生ステータスリスト62に応じて、IVRフローのガイダンス再生順序が再生回数が多い順に更新され、その更新後のIVRフローがIVRフローリストに登録される。従って、顧客が希望するサービスに問い合わせた場合には、ガイダンス再生順序が更新されたIVRフローがIVRフローリストから取得され、そのIVRフローに応じてIVR装置50のIVRフロー処理部53で処理されるので、顧客はIVRフローの各選択フローにおいて使用頻度の高いサービスの内容のガイダンス音声が優先的に再生されるようになる。この結果、希望するサービスまで到達するのに、時間及び労力がかからず、また通信費の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施例としてコールセンタシステムを示すブロック図である。
【図2】図1のシステムのテレフォニーサーバ内に形成されるIVR装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図1のシステムのデータベース部に記憶されるデータを示す図である。
【図4】IVRフローの階層構造を示す図である。
【図5】IVR装置の制御部の動作を示すフローチャートである。
【図6】IVRフロー取得処理を示すフローチャートである。
【図7】音声再生処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施例としてコールセンタシステムを示すブロック図である。
【図9】図8のシステムのテレフォニーサーバ内に形成されるIVR装置の構成を示すブロック図である。
【図10】図9のIVR装置の制御部の動作を示すフローチャートである。
【図11】図9のIVR装置のIVRフロー取得処理を示すフローチャートである。
【図12】図9のIVR装置の音声再生処理を示すフローチャートである。
【図13】図9のIVR装置のIVRフロー更新処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1 テレフォニーサーバ
2 データベースサーバ
3 公衆網
5 IP網
6,7 外線端末
10,50 IVR装置
11,51 制御部
12,53 IVRフロー処理部
13,54 IVRフロー管理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外線端末からの呼の着信に応答して各々がガイダンス音声を示す複数の音声信号を前記外線端末に順次再生出力するようにされた音声再生手段と、
前記外線端末からの呼の着信時に前記外線端末の発信者番号を検出する検出手段と、
前記音声再生手段による音声信号の出力中における前記外線端末からの選択指令に応じてその選択指令が示す前記複数の音声信号のうちの1の音声信号を示すガイダンス識別情報を前記外線端末の発信者番号に対応させて追加記憶する履歴記憶手段と、
前記外線端末の発信者番号について前記履歴記憶手段に記憶されたガイダンス識別情報各々に応じて前記音声再生手段による前記複数の音声信号各々の再生回数を算出する手段と、
前記再生回数が大なる順のガイダンス識別情報に応じて前記複数の音声信号の前記再生順序を設定する設定手段と、を備えたコールセンタシステムであって、
前記音声再生手段は前記設定手段によって設定された再生順序で前記複数の音声信号を前記外線端末に出力することを特徴とするコールセンタシステム。
【請求項2】
前記音声再生手段は、前記複数の音声信号各々についてのガイダンス識別情報及び前記再生順序の初期順序を示すIVRフローをデータとして保存する保存手段と、
前記保存手段から前記IVRフローを読み出してそのIVRフローの前記再生順序の初期順序を前記設定手段によって設定された再生順序で更新する更新手段と、
前記更新手段によって更新された前記IVRフローの再生順番に従って前記複数の音声信号を前記外線端末に出力することを特徴とする請求項1記載のコールセンタシステム。
【請求項3】
前記音声再生手段は、前記更新手段によって更新された前記IVRフローを前記発信者番号に対応させて記憶するIVRフロー記憶手段を有し、
前記外線端末からの呼の着信時には前記検出手段によって検出された発信者番号に対応するIVRフローを前記IVRフロー記憶手段から取得し、その取得したIVRフローの再生順序に従って前記複数の音声信号を前記外線端末に出力することを特徴とする請求項2記載のコールセンタシステム。
【請求項4】
前記保持手段に保持された前記IVRフローは前記複数の音声信号各々についてのガイダンス識別情報及び前記再生順序の初期順序を1つの選択フローとし、その選択フローを多階層で構成して、それら選択フローの選択結果に応じてサービスを提供するようにされている特徴とする請求項2又は3記載のコールセンタシステム。
【請求項5】
外線端末からの呼の着信に応答して各々がガイダンス音声を示す複数の音声信号を前記外線端末に順次再生出力するガイダンス音声再生方法であって、
前記外線端末からの呼の着信時に前記外線端末の発信者番号を検出する検出ステップと、
前記音声信号の出力中における前記外線端末からの選択指令に応じてその選択指令が示す前記複数の音声信号のうちの1の音声信号を示すガイダンス識別情報を前記外線端末の発信者番号に対応させて履歴記憶手段に追加記憶する履歴記憶ステップ段と、
前記外線端末の発信者番号について前記履歴記憶手段に記憶されたガイダンス識別情報各々に応じて前記複数の音声信号各々の再生回数を算出するステップと、
前記再生回数が大なる順のガイダンス識別情報に応じて前記複数の音声信号の前記再生順序を設定する設定ステップと、
前記設定ステップにて設定された再生順序で前記複数の音声信号を前記外線端末に出力するステップと、を備えたことを特徴とするガイダンス音声再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−213027(P2009−213027A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56153(P2008−56153)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】