説明

コールドフォイル・エンボス加工法

【課題】画線部提供層を転写フォイルから被印刷物へ転写する箔コーティングモジュールへのフォイル供給において、その使用性を拡大する。
【解決手段】転写フォイル5から層を転写する前記箔コーティングモジュール2には、限定されたプレス面が配置される。それにより、フォイル送りを選択的に制御することが可能である。このとき該転写フォイル5は好適には限定された幅で、かつ、プレス胴3に対してほぼ接線方向に導かれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1および請求項18のおいて書きに記載された、画線部提供層を担体フォイルから枚葉紙に転写するための装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォイル転写法により枚葉紙の上に金属の層を着けられることが知られている。特許文献1には、印刷材料およびこの材料を用いた印刷装置について記載されている。この文献には、給紙装置およびデリバリを備え、この2つの装置の間に複数の印刷装置および一つの箔コーティングモジュールが配置された枚葉紙加工機が記述されている。前記複数の印刷装置の少なくとも一つにおいて、平版印刷法により接着剤パターンがつけられる。この接着剤パターンはコールドプレス法でつけられ、画線部を提供する特定の絵柄を呈している。この印刷装置の後に配置された箔コーティングモジュールには圧胴およびプレス胴があり、フォイルガイドが設けられている。このフォイルガイドは、フォイルストックロールからフォイルストリップもしくは転写フォイルが、圧胴とプレス胴との間に形成された、箔コーティングモジュールの転写間隙を導かれるよう構成されている。前記フォイルストリップは、箔コーティングモジュールを通過した後に排出側において再び巻き取られる。前記転写フォイルには担体層があり、この担体層の上にたとえばアルミニウムなどの金属層といった画線部提供層を載せることができる。この金属層と担体フォイルとの間には分離層が設けられているため、金属層を担体層からはがすことができる。
【0003】
枚葉紙が前記印刷装置の中を通過する際、各枚葉紙に接着剤パターンがつけられる。その後枚葉紙は箔コーティングモジュール内を導かれるが、ここで、プレス胴を用いて、圧胴の上に載っている枚葉紙にフォイル材料を接触させる。このとき、下を向いている金属層は、枚葉紙の、接着剤が着けられた領域と密着する。枚葉紙がさらに搬送されると、前記金属層は接着剤がつけられたパターンの領域のみに付着する。そのため、前記金属層は、接着剤パターンの領域において担体フォイルからはぎとられる。このように消費された転写フォイルは再び巻き取られる。枚葉紙は、箔コーティングされた状態で排出される。
このような箔コーティングモジュールを、たとえば印刷機の印刷装置内に組み込むことが知られている。しかし、既知の装置においては、フレキシブルに組み込めないという短所がある。
【特許文献1】欧州特許第0569520号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって本発明の課題は、たとえば金属被覆層などの画線部提供層を、枚葉紙に確実に、経済的に、精確に転写するための装置を提供することであり、しかも該装置は、さらに幅広い利用法に利用できる。特にフォイルの部分的接着も可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題は、請求項1の特徴を備える装置、および請求項18の特徴を備える方法により解決できる。
【0006】
前記装置は好適には、プレス胴が、枚葉紙の全体面のうちの一部分面を担当するプレス面を備えることを特徴とする。
【0007】
好適には前記プレス面は、取付け可能なセグメントとして、または切り抜いたゴムブランケットとして、またはぴったり合うように作製された、好適には感光性樹脂の凸版圧刷版として、または取外し可能な、たとえば磁力により取付けられるプレスセグメントとして実施される。
【0008】
そのために、以下のようなさまざまな作業材料を利用することができる。
− いわゆるストリッピングされたゴムブランケットであって、印刷対象の表面が作用面まではがされている。
− たとえばフラットベッド・プロッタによる印刷版製造に用いられるポリマー製切断プレートであって、場合によってはアルミニウムまたはポリエステルの担体材料を備えている。
− 露光などに用いられる感光性樹脂プレートであって、場合によっては担体材料としてアルミニウムプレート/フォイルを備えている。
− 金属担体上に載せられたゴムブランケットを用いることもできる。そのようなゴムブランケットは場合によっては弾力性のある中間層を備えることができ、また、厚さが薄くて硬く、また平滑な表面層を備えることができる。
【0009】
それぞれ部分的なプレスカバーの土台として、アンダーブランケットなど、弾力性のある、または弾力性のないアンダーパッキングを用いる。
【0010】
取付けシステムとしては、ゴム胴において既知の取付けバーまたは、ゴム胴または版胴において既知の、印刷ブランケットまたは印刷プレート用のいわゆるコンビネーション固定バーが挙げられる。プレス胴カバーの表面はその構造に応じて、輪郭づけしたエンボス加工にも適している。
【0011】
これにより、コールドフォイル・エンボス加工法のもう一つの利用法が生じる。また、プレス胴カバーを準備しておくことによりセットアップタイムを短縮できる。さらに、見当を自動化することもできる。
【0012】
課題解決法としてさらに、プレス胴に見当ピンなどを介した見当システムを備えることが追加できる。プレス胴は、印刷プレートの自動取付けのための見当システムなどの場合と同様に調整可能である必要がある。横見当および縦見当は、版胴の場合と同様、調整可能にすることができる。また、プレス胴カバーには見当パンチ穴を開けることができる。
【0013】
本装置は、転写フォイルを、より幅の狭い1つまたは複数の部分フォイルウェブに分割することにより、フォイルをさらに効率的に利用するために好適に導入することができる。前記の方法と組み合わせることにより、さまざまな種類のフォイルを横に並べてセットすることができる。
【0014】
箔コーティング方法の経済性を確保するために、画線部提供層もしくは金属皮膜層の転写が行われないときには、転写フォイルを停止するようフォイル送りを制御できる。
【0015】
好適には転写フォイルは、枚葉紙をガイドする圧胴のグリッパが入り込むシリンダーギャップが通過する際にフォイル送りが停止し、このときプレス胴は転写フォイルの下をスライドして通過するように制御される。
【0016】
光沢効果を改善するために、画線部提供層をいわゆるUVサイジングインキにより付着させることができる。このUVサイジングインキは、接着剤用の印刷装置により、同様の方法でオフセット印刷プレートを使って塗布される。
【0017】
好適には、一つの枚葉紙加工機内に複数の箔コーティングモジュールを連続して組み込むことも可能である。それにより、さまざまな画線部提供層もしくは金属皮膜層を一つの絵柄の中に次から次に付着させることができる。このとき、すべての画線パターン要素を備えるただ一つの接着剤パターンを使って複数の画線部提供層を次々に転写することが可能である。また、第1箔コーティングモジュールにおいて、第1の画線部提供層もしくは金属皮膜層により第1接着剤パターンを付着させ、それに重ねるように次にもう一つの、前記第1パターンも含まれた接着剤パターンを塗布して、もう一つの別の画線部提供層もしくは金属皮膜層を付着させることも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明を、図を用いてさらに詳しく説明する。
図1に図示されているのは、2つの印刷装置を備え、以下の目的に用いられる枚葉紙印刷機の部分である:
− 枚葉紙にまず面状または画線部を提供する接着剤パターンが塗布される(印刷装置を塗布装置1として利用)。
− 次の印刷装置において前記枚葉紙は、プレスされながら転写フォイル5と一緒に転写間隙6を通過する(箔コーティング装置2)。
【0019】
塗布装置1は、インキ装置11、プレート胴12および印刷ブランケット胴13を備える既知のオフセット印刷装置とすることができる。印刷ブランケット胴13は圧胴4と協働する。
【0020】
箔コーティング装置2も、オフセット印刷装置により構成できる。箔コーティング装置2内の転写間隙6は、プレス胴3と圧胴4とから形成される。プレス胴3は印刷ブランケット胴に相当すると考えられる。プレス胴3はまた、ニスびきモジュールの版胴に相当するとも考えられる。フォイル転写に用いられる箔コーティング装置2の中に、転写フォイル用のウェブガイド14が図示されている。転写フォイル5は箔コーティング装置2の保護装置15の中に送り込まれ、再び送り出される。
【0021】
代替的に、塗布装置1のところに図示されているように、塗布装置1内に組み込まれたフォイル転写装置を設けることもでき、この場合は、一体型箔押しモジュールとなる。このとき、圧胴4には、印刷ブランケット胴または版胴13と、圧胴4との間の印刷間隙に後置されたプレス胴3’が割り当てられる。そのため、転写フォイルのフォイルウェブ5’は被印刷物にフォイルをつけた後に、塗布装置1により、先述のように形成された転写間隙6’に送り込まれてすぐに送り出される。コールドフォイルエンボス加工は、図1に示したように、一体型の、ただ一つの箔押しモジュールFA内で行われる。
【0022】
図1の塗布装置1に図示したように、一体型箔押しモジュールFAには、前記箔コーティングモジュール内にコンパクトな構成の塗布装置を配置することができる。そのためには、接着剤塗布装置1’を圧胴4に割り当て、この場合はゴム胴13と圧胴3との間に設けられる転写間隙に前置して配置する。転写フォイルはゴム胴13の周囲を回ってまたはこのゴム胴の接線方向に、図示された印刷間隙を通過することになる。
そのような接着剤塗布装置1’はさらに、接着剤用印刷版を取付けるためのコンパクトな版胴、チャンバドクターブレードによる塗布装置、接着剤を供給するためのアニロックスローラを備えることができる。この場合は、組み込まれた形で、同じ圧胴4においてまず被印刷物への接着剤塗布が行われ、その直後にフォイルつけが行われる。
【0023】
フォイルストックロール8は、枚葉紙供給側において箔コーティング装置2に割り当てられている。フォイルストックロール8には、転写フォイルを連続的に箔コーティング装置2に供給するための回転駆動装置7が備わっている。フォイル供給においては、方向転換胴、もしくは転写フォイル5をプレス胴3に対してほぼ一定の張りで保つためのテンションローラが設けられている。印刷装置の排紙側には、消費されたフォイル材料のためのフォイル回収ロール9が設けられている。フォイル回収ロール9に回転駆動装置7を配置することは常に望ましい。また、回転駆動装置7により転写フォイル5を排紙側においては搬送し、給紙側においてはブレーキによりピンと張って保持しておくこともできる。
【0024】
プレス胴3(印刷ブランケット胴または版胴または別個のプレス胴として)の表面には、圧縮可能もしくは緩衝性のある、たとえば、やはり圧縮可能な中間層を備えた要素が載せられている。プレス胴3にはさらに、たとえばゴムブランケットもしくは印刷ブランケットに相当するプラスチックカバーとしてプレスカバー10を取付けることもでき、このプレスカバーはシリンダーギャップ内にある固定装置で保持される。
【0025】
前記箔コーティング方法の経済性を確保するために、フォイルストックロール8から転写間隙6およびフォイル回収ロール9への転写フォイル5のフォイル送りを段階的に制御できるようにすることができ、その際、転写フォイル5は、画線部提供層またはカバー層の転写が行われない場合には停止する。
そのための付属装置には好適には、転写フォイル5用の適切な送り制御装置が備わっており、この制御装置は、シリンダーギャップが通過する間は、少なくともプレス胴3および圧胴4の領域内に位置するフォイルウェブ部分を停止させる。
【0026】
先述のフォイル利用法をさらに改善するために、転写フォイル5を、より幅の狭い一つまたは複数の部分フォイルウェブに分割することができる。これにより、部分フォイルウェブの各ウェブのフォイル送りのタイミング用の一つもしくは複数の装置を用いてそれぞれ適切な制御を行うことにより、枚葉紙内のゾーンにより長さが異なる箔コーティング領域においても、転写フォイル5の効率利用を改善することができる。
【0027】
塗布装置1および箔コーティング装置2から先述のように構成された箔押しモジュールにはドライヤー16を備えることができ、このドライヤーで接着剤塗布部または箔づけ部全体を乾燥させることができる。この場合はUVドライヤーなどが用いられる。
【0028】
さらに箔押しモジュールには、枚葉紙表面をスキャンする監視装置17を備えることができる。この監視装置17により、箔コーティング部分の画線内容の評価および箔づけ部分のエラー確定が行える。このような監視装置は、箔押しモジュールが組み込まれた印刷機に接続して設けることもできる。その場合、該監視装置はたとえば印刷機の枚葉紙デリバリまたは最後の印刷装置に配置することができる。
【0029】
図2によると、本図の箔コーティングモジュールには、層転写および箔コーティング結果を改善するために、転写フォイルをシーズニングする装置を備えることができる。この場合、フォイルウェブ5はフォイル誘導装置14により影響される可能性がある。
【0030】
本発明の特別な実施形態においては、プレス胴3の表面として、輪郭がつけられた、もしくはセグメント化されたプレス面21が設けられている。そのために表面全体を覆うプレス面20ではなく、箔コーティング対象領域に限定された、セグメント化された、一つまたは複数のプレス面21がプレス胴3に取付けられる。
このセグメント化されたプレス面21は、孤立した表面要素として、プレス胴3を取り囲む細いリング状の表面要素として、外形線に沿って、限定された円周部分をカバーし、プレス胴3の幅全体にわたる表面要素として、またはこれらの表面要素が複数集まった形で凸部を形成することができる。
【0031】
そのためには、切り抜かれた印刷ブランケット、画線書き込み可能なプラスチック凸版印刷版、または平滑なアンダーパッキングの上に、好適には取外し可能なように取付ける、場合によっては接着可能または磁力で取付け可能な押圧セグメント22を、セグメント化されたプレス面21を載せた形で用いることができる。下側に磁力による接着面を備えた押圧セグメント22は、たとえばプレス胴3の表面に直接載せることができる。または、マグネットフォイルをプレス胴3の表面に取付けた上に、セグメント化されたプレス面21を載せるためもしくは位置決めするために、磁力で接着する裏面を持つ押圧セグメント22を載せることができる。押圧セグメント22の表面および内側の構造は、先述の弾力性および平滑性についての記述が当てはまる。このとき、好適には平滑で比較的固い機能層24を載せた、圧縮可能なアンダーパッキング23を設けることができる。
【0032】
前記の、限定されてセグメント化されたプレス面21の機能は、シリンダーギャップ19通過の際と同様、セグメント化されたプレス面21が転写フォイル5に接触しながら転写間隙6を通過する場合にのみ、転写フォイル5が挟み込まれるようにすることである。つまり、プレス面21が転写フォイル5に作用を及ぼすのは、画線部提供層が転写フォイル5から枚葉紙に実際に転写される場所においてのみである。
【0033】
それにより、前記箔コーティングモジュール内で以下の2つの効果が得られる:
I.
まず、フォイルタイミングを合わせるために、箔コーティング対象の領域が枚葉紙の画線領域内のどこかにあって、まだセグメント化されたプレス面21の領域に到達していない場合、またはセグメント化されたプレス面21の領域が箔コーティング対象の枚葉紙領域の終了の前で終了した場合にも、転写フォイル5の送りを非常に好適な方法で停止することができる。転写フォイル5の搬送はつまり、セグメント化されたプレス面21が、プレス胴3と圧胴4との間の転写間隙6において押し付けられている場合にのみ行われる必要がある。このようにして、箔コーティング対象の枚葉紙と枚葉紙との間における転写フォイル5の効率利用がほぼ完全に行われる。
リング状のプレス面21を用いる場合には、フォイル送りはギャップ通過の際にのみ停止される。
プレス面21が、一つまたは複数の、胴幅の、部分円周にわたるセグメントである場合、フォイル送りはさらに、プレス胴3の円周上の面が接触ない場合にも停止される。
II.
ここで記述されたフォイル効率利用法のもう一つの改善法においては、転写フォイル5が、より幅の狭い一つまたは複数の部分フォイルウェブに分割される。このことは、セグメント化されたプレス面21と組み合わせることにより、特に大きな長所となる。転写フォイル5は、セグメント化されたプレス面21に、プレス面21の幅に限定して押し付けられる。節約できるフォイル消費量は有意である。少なくとも転写間隙6内においては、転写フォイル5の細いウェブの全面がセグメント化されたプレス面21に接するため、転写間隙6内におけるフォイルガイドは大幅に改善される。
各部分フォイルウェブのフォイル送りのタイミング合わせのための一つもしくは複数の装置を用いて適切に制御することにより、一枚の枚葉紙内においてゾーンごとに長さが異なる箔コーティング領域においても、転写フォイル5の効率利用を改善することができる。そのためには、各部分フォイルウェブは、画線部を提供する表面層をつける領域においてのみ、精確に送る必要がある。箔コーティング対象ではない領域においては、各部分フォイルウェブはその他の部分フォイルウェブとは別個に停止でき、その際不必要なフォイル消費は生じない。
【0034】
先述の方法と組み合わせることにより、異なる種類のフォイルを並べてセットすることも可能である。それにより、色の異なるフォイルまたは平滑度または構造が異なる表面を作製することができる。
【0035】
部分的なプレスカバーを作製するには、以下のような、それ自体は既知のさまざまな作業材料を用いることができる。
− いわゆるストリッピングされたゴムブランケット。つまり、印刷ブランケットの印刷対象のゴム表面を、エンボス加工の際に作用する面に達するまではがしたもの。
− いわゆるポリマー切断プレート。たとえば、フレキソ印刷に使用する印刷版作製の際に用いられるもので、フラットベッド・プロッタを使って作製できる。このプレートは、アルミニウムまたはポリエステル製の担体材料が備わった構造になっていることもある。
− 感光性樹脂プレート。たとえばフレキソ印刷に用いられ、その表面の輪郭付けは光照射および洗浄で行う。このプレートも、担体材料としてアルミニウムプレートもしくはアルミニウムフォイルが備わった構造になっていることもある。
− ストリッピングされたゴムブランケットもしくは印刷ブランケットと同様に準備して取付けられる、金属担体を備えたゴムブランケットも利用できる。
【0036】
それぞれ部分的なプレスカバーの土台として、アンダーブランケットなど緩衝性のある、または緩衝性のないアンダーパッキングを用いることができる。土台が考慮されるのは、プレスカバーに固い金属層が含まれない場合のみである。
【0037】
取付けシステムとしては、ゴム胴の場合において知られている取付けバー、または、ゴム胴または版胴の場合において知られている、印刷ブランケットまたは印刷プレート用のいわゆるコンビネーション取付けレールが挙げられる。プレス胴カバーの表面は、それぞれの構造によっては輪郭づけを施したエンボス加工にも適している。
【0038】
それにより、記述したコールドフォイル・エンボス加工法にもう一つの利用法が生じる。プレス胴カバーを準備しておくことによりセットアップタイムを短縮できる。また、見当自動化を導入することもできる。
【0039】
課題解決のために、追加的に、プレス胴3には、見当ピンもしくは見当ストッパなどを介して見当システムを備えることができる。これに対応する形で、プレスカバー10もしくはプレスカバー10の担体には、見当パンチ穴を設けることができる。それにより、プレスカバー10自体または担体上にあるプレスカバーは常に見当に精確にプレス胴3に取付けることが可能で、プレスセグメントの位置を常に精確に決定できる。
【0040】
プレスカバー10、もしくはプレスセグメントを備えるプレスカバー10を載せた担体をプレス胴3に取付けるのは、自動供給・固定装置により行うことができる。この場合、プレスカバー10を箔コーティング装置2の外で準備し、このプレスカバーをその他の取付け工程において自動的に取付けることが可能になる。
【0041】
さらにプレス胴3も調整可能である。この調整は、たとえば印刷プレートの自動取付けのための見当システムと同様に行うことができる。そのためにプレス胴3のいわゆる横見当および縦見当が、プレート胴または版胴の場合と同様に調整できるようにする必要がある。同様に圧胴は、枚葉紙を、プレスセグメントを載せるプレス胴3に対して位置決めするために見当調整が行えるようにすることができる。印刷装置の間に配置された枚葉紙輸送胴により、縦、横、斜め方向の枚葉紙自体の見当合わせも可能である。
【0042】
先述の要素を用いることにより、箔押しモジュールを非常に簡単にかつ短時間で操作することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】フォイル転写装置を備える印刷機の基本的な図
【図2】フォイル転写装置を備える箔コーティングモジュールの構造
【図3】箔コーティングモジュールのプレス胴
【図4】プレス胴の詳細図
【符号の説明】
【0044】
1 塗布装置
2 箔コーティングモジュール
3 プレス胴
4 圧胴
5 転写フォイル/フォイルウェブ
6 転写間隙
7 ローラ駆動装置
8 フォイルストックロール
9 フォイル回収ロール
10 プレスカバー
11 インキ装置/湿し装置
12 プレート胴
13 印刷ブランケット胴/ゴム胴
14 フォイル誘導装置
15 印刷装置保護カバー
16 ドライヤー
17 検査装置/監視システム
18 ダンサローラ
19 シリンダーギャップ
20 プレス面
21 セグメント化されたプレス面
22 押圧セグメント
23 アンダーパッキング
24 機能層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉紙に画線部どおりに接着剤を塗布する少なくとも一つの塗布装置(1)と、
圧胴(4)とプレス胴(3)との間の転写間隙(6)において画線部提供層を担体フォイルから枚葉紙に転写するための一つの箔コーティングモジュール(2)であって、前記担体フォイルは、前記層を載せた側が枚葉紙に接した状態で一緒に転写間隙(6)を通過可能であり、このとき画線部提供層を画線どおりに枚葉紙に転写可能である箔コーティングモジュールと、
転写フォイル(5)を箔コーティング装置(2)に送り込み、また、この箔コーティング装置(2)から送り出すための、転写フォイルを作業方向に移動させるための駆動装置と、を備えた画線部提供層を担体フォイルから枚葉紙に転写する装置において、
箔コーティング装置(2)の転写間隙(6)内で画線部提供層が枚葉紙に転写されない場合には、フォイルガイド装置を使った転写フォイル(5)のフォイル送りが停止するよう制御されることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
転写フォイル(5)のフォイルガイドと組み合わせることにより、少なくとも枚葉紙をガイドする圧胴(4)のグリッパが入り込むプレス胴(3)のシリンダーギャップ(19)を通過する際には、フォイル送りが停止するよう制御され、このときプレス胴(3)は引き続き転写フォイル(5)に接しながらスライドするように通過することを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の装置であって、
プレス胴(3)の表面として、盛り上がった輪郭づけがされたプレス面(21)が設けられており、該プレス面(20、21)が最大でも箔コーティング対象の領域に限定されていることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3に記載の装置であって、
プレス胴(3)の表面に、切り抜かれた印刷ブランケット、または、箔コーティング対象の領域に合わせて輪郭がつけられたプレス面(13)を適切に加工したプラスチック凸版印刷版が、箔コーティング対象の枚葉紙表面にぴったり合わせて配置されることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
プレス胴(3)の表面またはプレス胴(3)のカバー(10)の上に、箔コーティング対象の領域に合わせて輪郭がつけられた、接着可能な、または、その他の、望ましくは取外し可能な状態で固定できる、たとえば磁力で付けられる押圧セグメント(22)が設けられており、セグメント化されたプレス面(21)が形成されることを特徴とする装置。
【請求項6】
枚葉紙に画線部どおりに接着剤を塗布する少なくとも一つの塗布装置(1)と、
圧胴(4)とプレス胴(3)との間の転写間隙(6)において画線部提供層を担体フォイルから枚葉紙に転写するための一つの箔コーティングモジュール(2)であって、前記担体フォイルは、前記層を載せた側が枚葉紙に接した状態で一緒に転写間隙(6)を通過可能であり、このとき画線部提供層を画線どおりに枚葉紙に転写可能である箔コーティングモジュールと、
転写フォイル(5)を箔コーティング装置(2)に送り込み、また、この箔コーティング装置(2)から送り出すための、転写フォイルを作業方向に移動させるための駆動装置と、を備えた画線部提供層を担体フォイルから枚葉紙に転写する装置において、
転写フォイル(5)が、より幅の狭い一つまたは複数の部分フォイルウェブに分割されていること、および、該部分フォイルウェブが位置決めされてもしくは互いに横に並んで転写間隙(6)に送り込まれることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、
前記部分フォイルウェブが、互いに異なる画線部提供層を備えており、このとき、異なる色および/あるいは異なる光沢および/あるいは異なる表面構造の層が作製可能であることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の装置であって、
プレス胴(3)の表面として、盛り上がった輪郭づけがされたプレス面(21)が設けられており、該プレス面(20、21)が最大でも箔コーティング対象の領域に限定されていることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項6から請求項8に記載の装置であって、
プレス胴(3)の表面に、切り抜かれた印刷ブランケット、または、箔コーティング対象の領域に合わせて輪郭がつけられたプレス面(13)を適切に加工したプラスチック凸版印刷版が、箔コーティング対象の枚葉紙表面にぴったり合わせて配置されることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、
プレス胴(3)の表面またはプレス胴(3)のカバー(10)の上に、箔コーティング対象の領域に合わせて輪郭がつけられた、接着可能な、または、その他の、望ましくは取外し可能な状態で固定できる、たとえば磁力で付けられる押圧セグメント(22)が設けられており、セグメント化されたプレス面(21)が形成されることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10に記載の装置であって、
前記プレスカバー(10)に、プレス胴(3)にぴったり合わせて固定するための装置が含まれていることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1から請求項10に記載の装置であって、
前記プレスカバー(10)または前記プレスカバー(10)の担体に、一つまたは複数の見当パンチ穴が設けられていることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12に記載の装置であって、
プレス胴(3)に、プレスカバー(10)の位置を、該プレス胴と協働する圧胴(4)に対して相対的に位置決めする装置が備わっていることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項12に記載の装置であって、
プレス胴(3)に、プレス胴(3)の上において見当パンチ穴を使ってプレスカバー(10)の位置を決定するための見当装置が備わっていることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、
前記見当装置に、プレスカバー(10)またはプレスカバー(10)用の担体のための固定装置が設けられていることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項11から請求項15に記載の装置であって、
プレス胴(3)に、プレスカバー(10)またはプレスカバー(10)用の前記担体を見当に合わせて取付ける自動固定装置が設けられていることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置であって、
プレス胴(3)に、プレスカバー(10)またはプレスカバー(10)用の前記担体を見当に合わせて取付ける前記自動固定装置が、見当装置もしくは見当パンチ穴と組み合わされて作用することを特徴とする装置。
【請求項18】
枚葉紙加工機、特に枚葉紙印刷機内で、画線部提供層を担体フォイルから枚葉紙に転写するための、画線部提供層および担体フォイルから形成される転写フォイル(5)を用いて枚葉紙に箔コーティングする方法であって、
前記転写は、
− 少なくとも一つの塗布装置(1)により、枚葉紙に画線部どおりに接着剤を塗布するステップと、
− 箔コーティングモジュール(2)に転写フォイル(5)がセットされるが、担体フォイル上の転写フォイルの画線部提供層においては、画線要素(21)は、画線側が該担体フォイルに付着した状態で配置されるステップと、
− 箔コーティングモジュール(2)により、画線部提供層もしくは画線要素(21)が前記担体フォイルから枚葉紙に転写され、このとき、箔コーティングモジュール(2)には、圧胴(4)とプレス胴(3)とにより共通の転写間隙(6)が形成されるステップと、
− 転写フォイル(5)はこの転写間隙(6)を通過可能であるが、このとき、前記層が載せられた側が、圧胴(4)上をガイドされる枚葉紙に載せられ、圧力をかけられて枚葉紙と一緒に転写間隙(6)を通過させるステップと、
− 前記画線部提供層もしくは画線要素(21)を、枚葉紙が転写間隙(6)から出た後には、画線部どおりに接着剤を塗布された領域を備える領域において、表面の形状どおりに枚葉紙に付着して、前記担体フォイルからはがすステップと、
− 転写間隙(6)において転写フォイル(5)は、画線部どおりに接着剤を塗布された領域のみが枚葉紙に押し付けられるステップと、
により行われることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
プレス胴(3)に、一つのプレス面(21)を持つ一つまたは複数の押圧セグメント(22)が接触しており、前記プレス面の表面は、画線部どおりに接着剤を塗布された表面部分に対応していること、また、転写フォイル(5)が、プレス胴(3)の軸方向から見て、プレス面(21)がつけられた軸断面領域のみにおいて転写間隙(6)に送り込まれるステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、
転写フォイル(5)が、プレス面(21)がつけられている軸断面ごとに、部分フォイルウェブの形で転写間隙(6)に送り込まれるステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項18に記載の方法であって、
プレス胴(3)に、一つのプレス面(21)を持つ一つまたは複数の押圧セグメント(22)が載せられており、前記プレス面の表面は、画線部どおりに接着剤が塗布された表面部分に対応していること、また、転写フォイル(5)は、プレス胴(3)の円周方向から見て、プレス面(21)がつけられた円周部分領域においてのみ転写間隙(6)に送り込まれるステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
転写フォイル(5)が、プレス面(21)がつけられている軸断面ごとに段階的に、転写間隙(6)に送り込まれるステップを備えていることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項18から請求項22に記載の方法であって、
転写フォイル(5)により箔コーティング後に、一つまたは複数の印刷装置において、枚葉紙に1色または複数の色の印刷画像が着けられるステップを備えていることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−176171(P2007−176171A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349592(P2006−349592)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(599011584)エム・アー・エヌ・ローラント・ドルックマシーネン・アクチエンゲゼルシャフト (257)
【Fターム(参考)】