説明

ゴム発泡体およびシール材

【課題】白色フィラーを用いた耐圧縮永久変形性に優れる白色系のゴム発泡体、および該ゴム発泡体からなるシール材を提供すること。
【解決手段】下記成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)を含有し、成分(A)100重量部あたり、成分(B)の含有量が50〜200重量部、成分(C)の含有量が0.2〜1.8重量部、成分(D)の含有量が1〜3重量部、成分(E)の含有量が1.5〜5重量部であって、下記成分(F)の含有量が2重量部以下であるゴム組成物を加硫発泡してなるゴム発泡体。
(A)エチレン単位の含有量が35〜80重量%、α−オレフィン単位の含有量が15〜60重量%、共役ジエン単位の含有量が5〜20重量%、ムーニー粘度が20〜100であるエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体
(B)タルク
(C)シランカップリング剤
(D)硫黄系加硫剤
(E)発泡剤
(F)カーボンブラック

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム発泡体およびシール材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のドア周りやトランクルーム周り、冷蔵庫やショーケースの扉周り等に用いられるシール用のゴム発泡体には、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、カーボンブラック、加硫剤および発泡剤を含有するゴム組成物を加硫発泡してなるゴム発泡体が多く使用されている(例えば、特許文献1参照。)。該カーボンブラックは、引張強度、耐磨耗性などのゴム発泡体の機械的性質を高めるために、補強剤として用いられている。そのため、ゴム発泡体中のカーボンブラックの含有量は、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体100重量部あたり、50重量部以上であることが多く、このようなゴム発泡体は黒色となる。
昨今、シール用のゴム発泡体を備えた自動車や家電製品の意匠性を高める観点から、黒色以外、特に白色のゴム発泡体が求められており、炭酸カルシウムやタルクなどの白色フィラーを補強剤として用いたゴム発泡体の検討が行われている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−310654号公報
【特許文献2】特開2002−167459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の白色フィラーを補強剤として用いたゴム発泡体は、耐圧縮永久変形性において十分満足できるものではなかった。
かかる状況のもと、本発明が解決使用とする課題は、白色フィラーを用いた耐圧縮永久変形性に優れる白色系のゴム発泡体、および該ゴム発泡体からなるシール材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一は、下記成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)を含有し、成分(A)100重量部あたり、成分(B)の含有量が50〜200重量部であり、成分(C)の含有量が0.2〜1.8重量部であり、成分(D)の含有量が1〜3重量部であり、成分(E)の含有量が1.5〜5重量部であって、下記成分(F)の含有量が2重量部以下であるゴム組成物を加硫発泡してなるゴム発泡体にかかるものである。
(A)エチレンに基づく単量体単位の含有量が35〜80重量%であり、α−オレフィンに基づく単量体単位の含有量が15〜60重量%であり、共役ジエンに基づく単量体単位の含有量が5〜20重量%であり、150℃で測定したムーニー粘度(ML1+4150℃)が20〜100であるエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体
(B)タルク
(C)シランカップリング剤
(D)硫黄系加硫剤
(E)発泡剤
(F)カーボンブラック
【0006】
本発明の第二は、上記ゴム発泡体からなるシール材にかかるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、白色フィラーを用いた耐圧縮永久変形性に優れる白色系のゴム発泡体、および該ゴム発泡体からなるシール材を提供することができる。また、本発明のゴム発泡体は、低伸長時の応力も高く、シール性能に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
成分(A)はエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体である。α−オレフィンとしては、炭素原子数3〜20のα−オレフィンが好適であり、具体的には、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどがあげられる。これらのα−オレフィンは、単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。これらのうち、炭素原子数3〜8のα−オレフィンが好ましく、プロピレンがより好ましい。
【0009】
非共役ジエンとしては、1,4−ヘキサジエン、3−メチル−1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、4,5−ジメチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどの鎖状非共役ジエン;5−メチレン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−2プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(1−チメル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(2,3−ジメチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−メチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(3,4−ジメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(3−エチル−4−ペンテニル)、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−6−ヘプテニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2−ジメチル−5−ヘキセシル)−2−ノルボルネン、5−(5−エチル−5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(1,2,3−トリメチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネンなどの環状非共役ジエンをあげることができる。これらの非共役ジエンは、単独で、または2種以上組み合わせて用いられる。これらのうち、5−エチリデン−2−ノルボルネン単独使用または5−エチリデン−2−ノルボルネンとジシクロペンタジエンの併用が好ましい。
【0010】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体において、エチレンに基づく単量体単位の含有量が35〜80重量%であり、α−オレフィンに基づく単量体単位の含有量が15〜60重量%であり、共役ジエンに基づく単量体単位の含有量が5〜20重量%である。エチレンに基づく単量体単位の含有量が少なすぎると、機械的強度が低下することがあり、一方、エチレンに基づく単量体単位の含有量が多すぎると、柔軟性が低下することがある。α−オレフィンに基づく単量体単位の含有量が少なすぎると、柔軟性が低下することがあり、一方、α−オレフィンに基づく単量体単位の含有量が多すぎると、機械的強度が低下することがある。また、共役ジエンに基づく単量体単位の含有量が少なすぎると、耐圧縮永久変形性が低下することがあり、一方、共役ジエンに基づく単量体単位の含有量が多すぎると、引張破断伸びが低下することがある。好ましくは、エチレンに基づく単量体単位の含有量が45〜60重量%であり、α−オレフィンに基づく単量体単位の含有量が33〜48重量%であり、共役ジエンに基づく単量体単位の含有量が7〜15重量%である。
【0011】
成分(A)のエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体の150℃で測定したムーニー粘度(ML1+4150℃)は、20〜100である。該ムーニー粘度が低すぎると、ロール加工性が低下することがあり、ムーニー粘度が高すぎると、成形体の肌(表面)性状が劣ることがある。好ましくは35〜100であり、より好ましくは55〜100である。該ムーニー粘度は、JIS K6300−1(2001)に従って測定される。
【0012】
成分(B)は、タルクである。タルクの平均粒子径は、通常、0.2〜10μmであり、耐圧縮永久変形性を高める観点から、該平均粒径は大きい方が好ましい。市販品としては、竹原化学社製 ハイトロン(商品名)(平均粒子径4μm)、日本ミストロン社製 ミストロンベーパー(商品名)(平均粒子径0.32μm)をあげることができる。
【0013】
成分(C)は、シランカップリング剤である。例えば、ビニル−トリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピル−トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン;γ−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピル−メチルジメトキシシラン等のメルカプトシラン;γ−グリシドキシプロピル−トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル−メチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル−トリエトキシシランなどのエポキシシラン;p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリルシラン;γ−メタクリロキシプロピルメチルジメチキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのメタクリロキシシラン;γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリロキシシラン;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン;ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィドシランがあげられる。耐圧縮永久変形性を高める観点から、メルカプトシランが好ましく、γ−メルカプトプロピル−トリメトキシシランがより好ましい。
【0014】
成分(D)は、硫黄系加硫剤である。硫黄系加硫剤としては、硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレンなどがあげられる。好ましくは硫黄である。
【0015】
成分(E)は、発泡剤である。例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどの無機発泡剤;N,N'−ジメチル−N,N'−ジニトロソテレフタルアミド、N,N'−ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどのニトロソ化合物;アゾジカルボンアミド(略称ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル、アゾシクロヘキシルニトリル、アゾジアミノベンゼン、バリウムアゾジカルボキシレートなどのアゾ化合物;ベンゼンスルホニル・ヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド、p,p'−オキシビス(ベンゼンスルホニル・ヒドラジド)(略称OBSH)、ジフェニルスルホン−3,3′−ジスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド化合物;カルシウムアジド、4,4−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホニルアジドなどのアジド化合物があげられる。光による耐変色性を高める観点から、p,p'−オキシビス(ベンゼンスルホニル・ヒドラジド)が好ましい。
【0016】
本発明では、上記成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)を含有するゴム組成物を加硫発泡してゴム発泡体とする。該ゴム組成物において、成分(B)の含有量は、成分(A)100重量部あたり、50〜200重量部である。成分(B)の含有量が少なすぎると、ゴム発泡体を低伸長したときの応力が低くなることがあり、該含有量が多すぎると、ロール加工性が低下することがある。好ましくは、80〜150重量部である。
【0017】
成分(C)の含有量は、成分(A)100重量部あたり、0.2〜1.8重量部である。成分(C)の含有量が少なすぎると、耐圧縮永久変形性が低下することがあり、該含有量が多すぎても、耐圧縮永久変形性が低下することがある。好ましくは、0.8〜1.6重量部である。
【0018】
成分(D)の含有量は、成分(A)100重量部あたり、1〜3重量部である。成分(D)の含有量が少なすぎると、耐圧縮永久変形性が低下することがあり、該含有量が多すぎると、引張破断伸びが低下することがある。好ましくは、1.3〜3重量部である。
【0019】
ゴム組成物におけるカーボンブラック(成分(F))の含有量は、成分(A)100重量部あたり、2重量部以下である。該含有量が多くなると、ゴム組成物の黒色度合いが高くなり好ましくない。
【0020】
ゴム組成物には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲において、加硫促進剤、発泡助剤、軟化剤、隠蔽剤、脱水剤等の添加剤を配合してもよい。
【0021】
加硫促進剤としては、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルルなどのジチオカルバミン酸塩類;テトラメチルチウラムモノサルファイド、テトラエチルチウラムジサルファイド、ジペンタメチレンチウラムテトラファイド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルファイドなどのチウラム類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2−ベンゾチアゾールジサルファイド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどのチアゾール類;ジアルキルジチオリン酸亜鉛類;ジフェニルグアニジンなどのグアニジン類;エチレンチオウレアなどのチオウレア類があげられる。加硫促進剤を用いる場合、加硫促進剤の含有量は、通常、成分(A)100重量部あたり、3〜12重量部である。
【0022】
発泡助剤としては、例えば、サリチル酸、フタル酸、ステアリン酸、しゅう酸などの有機酸;尿素またはその誘導体などがあげられる。発泡助剤を用いる場合、発泡助剤の含有量は、通常、成分(E)の0.1〜1倍量である。
【0023】
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系物質;コールタール、コールタールピッチなどのコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油などの脂肪油;トール油、密ロウ、カルナウバロウ、ラノリンなどのロウ類などがあげられる。軟化剤を用いる場合、軟化剤の含有量は、通常、成分(A)100重量部あたり、20〜70重量部である。
【0024】
隠蔽剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、鉛白、リトボン、バライト、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、沈降シリカなどがあげられる。中でも酸化チタンが好ましい。隠蔽剤を用いる場合、隠蔽剤の含有量は、通常、成分(A)100重量部あたり、5〜60重量部である。
【0025】
脱水剤としては、例えば、主成分が酸化カルシウムであるCML21、CML41、CML31(いずれも近江化学製)、また、ベスタPP、ベスタ18、ベスタ20、ベスタBS(いずれも井上石灰工業社製)などがあげられる。脱水剤を用いる場合、脱水剤の含有量は、通常、成分(A)100重量部あたり、2〜5重量部である。
【0026】
その他の添加剤としては、亜鉛華(酸化亜鉛)、活性亜鉛華(酸化亜鉛)、炭酸亜鉛、酸化マグネシウム、リサージ(一酸化鉛)、鉛丹、鉛白(塩基性炭酸鉛)、水酸化カルシウム、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸亜鉛、ジ−n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、レシチン、トリアリルトリメリテート等があげられる。
【0027】
ゴム組成物は、一般的なゴム配合物の調製方法によって製造することができる。例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックスのようなインターナルミキサー類を用いて、成分(A)、(B)、(C)および他の任意成分を、80〜170℃の温度で3〜10分間混練した後、成分(D)、(E)および他の任意成分を加えて、オープンロールなどのロール類あるいはニーダーを用いて、ロール温度40〜80℃で5〜30分間混練する方法があげられる。また、上記のインターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、成分(D)、(E)などを同時に混練してもよい。
【0028】
ゴム組成物の100℃のムーニー粘度(ML1+4100℃)は、好ましくは30〜50である。該ムーニー粘度は、JIS K6300−1(2001)に従って測定される。
【0029】
ゴム発泡体は、上記のゴム組成物を、通常、押出成形機、カレンダーロール、プレス、インジェクション成形機、トランスファー成形機など種々の成形法によって所望形状に予備成形し、成形と同時にまたは成形物を加硫槽内に導入して加熱することにより加硫し、且つ発泡させることにより得ることができる。
【0030】
加熱槽としては、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチーム、LCM(熱溶融塩槽)などの加熱形態のものを用いることができ、加熱温度は、通常150〜270℃、加熱時間は、通常1〜30分間である。
【0031】
ゴム発泡体の密度は、耐圧縮永久変形性を高める観点から、好ましくは0.4kg/リットル以上である。また、柔軟性を高める観点から、好ましくは0.6kg/リットル以下である。
【0032】
本発明のゴム発泡体は、自動車のガラス窓のシール、ドアのシール、ボンネットのシール、トランクのシールなどの外気と遮断するためのシール材として、また、電車の窓、ドアなどの外気と遮断するためのシール材として好適に使用される。
【実施例】
【0033】
以下、実施例によって本発明を説明する。
物性測定は次の方法で行った。
【0034】
1.ムーニー粘度(ML1+4
150℃のムーニー粘度(ML1+4150℃)および100℃のムーニー粘度(ML1+4100℃)は、JIS K6300−1(2001)に従って測定した。
【0035】
2.密度(単位:kg/リットル)
空気中での重さと水中での重さを測定し、空気中と純水中の重量差から密度を算出した。
【0036】
3.吸水率(単位:%)
予め空気中で重量を測定しておいたゴム発泡体を水中に沈め、その状態でゴム発泡体を135mmHgまで減圧して3分間保持し、次いで、ゴム発泡体を水中に沈めたまま常圧まで戻し、更に1分間保持する吸水処理を行った。その後、ゴム発泡体を水中から取り出し、ゴム発泡体表面に付着している水分を拭き取り、吸水処理後のゴム発泡体の重量を測定した。吸水率は下記の式により求めた。
吸水率(%)=〔(W1−W0)/W0〕×100
0:吸水処理前のゴム発泡体の重量
1:吸水処理後のゴム発泡体の重量
【0037】
4.25%伸張応力(単位:kPa)、破断伸び(%)
ゴム発泡体を3号ダンベル刃(JIS K6251)で打ち抜き、試験片を作成した。次に、温度23℃、引張速度200mm/minの条件で、試験片を引張り、20mmの標線間が25%伸びた時の応力(25%伸張応力)および破断時の伸びを測定した。
【0038】
5.圧縮永久歪(単位:%)
圧縮永久歪は、チューブ状のゴム発泡体を25mm長さに輪切りにし、直径方向の高さが荷重をかける前の高さの50%になるように圧縮し、70℃のオーブンで22時間保持した。次に、オーブンから取り出し、荷重を解放して室温で静置し、30分経過後に、直径方向の高さを測定した。下記式より圧縮永久歪を算出した。該値が小さいほど、耐圧縮永久変形性に優れる。
圧縮永久歪 = 〔(t0−t1)/(t0×0.5)〕×100
0:圧縮処理前のチューブ状ゴム発泡体の高さ
1:圧縮処理後のチューブ状ゴム発泡体の高さ
【0039】
6.表面性状
ゴム発泡体の表面性状を目視観察し、次の基準により評価した。
○:良好
△:表面に波打ちがややあり
×:不良
【0040】
実施例1
成分(A)として下記化合物(a)100重量部と、成分(B)として下記化合物(b)100重量部と、成分(C)として下記化合物(c)1重量部と、下記軟化剤50重量部と、下記活性亜鉛華5重量部と、下記ステアリン酸2重量部と、下記隠蔽剤20重量部と、下記ポリエチレングリコール1重量部とを、密閉式混練機(神戸製鋼社製 BB−2型混練機)を用いて、循環オイルの温度を100℃に設定し、60rpmで5分間混練した。
次に、該混練物と、成分(D)として下記化合物(d)1.3重量部と、成分(E)として下記化合物(e)2.5重量部と、下記加硫促進剤(1)2重量部、(2)2重量部、(3)1.2重量部、(4)1重量部、(5)1.5重量部、(6)2.1重量部、(7)0.5重量部と、下記脱水剤2重量部とを、2本ロール(関西ロール社製 8インチロール)を用いて、循環水の温度40℃の条件で混練してゴム組成物を得た。
【0041】
(a):エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体(住友化学社製 エスプレン5527F、エチレン単位の含有量54重量%、プロピレン単位の含有量37.5重量%、5−エチリデン−2−ノルボルネン単位の含有量8.5重量%、ML1+4150℃=81)
(b):タルク(竹原化学社製 ハイトロン)
(c):γ−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン(日本ユニカー社製 A189)
(d):硫黄
(e):p,p'−オキシビス(ベンゼンスルホニル・ヒドラジド)(永和化成社製 ネオセルボンN1000S)
【0042】
軟化剤:プロセスオイル(出光興産社製 ダイアナプロセスオイルPW−380)
隠蔽剤:酸化チタン(石原産業社製 タイペークR550)
加硫促進剤:
(1)エチレンチオウレア(ラインケミー社製 レノグランETU−80)
(2)2−メルカプトベンゾチアゾール(ラインケミー社製 レノグランMBT−80)
(3)ジフェニルグアニジン(川口化学工業社製 アクセルD)
(4)2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛(川口化学工業社製 アクセルMZ)
(5)テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルファイド(大内新興化学工業社
製 ノクセラーTOT−N)
(6)ジアルキルジチオリン酸亜鉛類(ラインケミー社製 レノグランTP−50)
(7)ジアルキルジチオリン酸亜鉛類(ラインケミー社製 レノグランZAT−70)
脱水剤:酸化カルシウム(井上石灰工業社製 ベスタPP)
その他添加剤:活性亜鉛華(正同化学工業社製 AZO)
ステアリン酸(旭電化工業社製、アデカ脂肪酸SA400)
ポリエチレングリコール(三洋化成工業社製 PEG4000)
【0043】
45mmφの押出機を用いて、ヘッド温度90℃、シリンダー温度80〜60℃に設定し、ゴム組成物を、内径8mm外径11mmのチューブダイスから押出し、チューブ状に成形した。得られたチューブ成形品を、熱風加硫装置を用いて、230℃×5分の条件にて加硫発泡させ、チューブ状のゴム発泡体を得た。ゴム発泡体の物性評価結果を表1に示した。
【0044】
実施例2
化合物(d)(成分(D))の配合量を1.6重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。得られたゴム発泡体の物性評価結果を表1に示した。
【0045】
実施例3
化合物(d)(成分(D))の配合量を2重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。得られたゴム発泡体の物性評価結果を表1に示した。
【0046】
比較例1
化合物(c)(成分(C))を配合しなかった以外は、実施例1と同様に行った。得られたゴム発泡体の物性評価結果を表1に示した。
【0047】
比較例2
化合物(c)(成分(C))の配合量を2重量部とした以外は、実施例1と同様に行った。得られたゴム発泡体の物性評価結果を表1に示した。
【0048】
参考例1
密閉式混練機で混合において、化合物(a)100重量部と、カーボンブラック(旭カーボン社製 旭50HG)110重量部と、軟化剤(出光興産社製 ダイアナプロセスオイルPS−430)92重量部と、活性亜鉛華(正同化学工業社製 AZO) 5重量部と、ステアリン酸(旭電化工業社製、アデカ脂肪酸SA400)1重量部と、炭酸カルシウム(日東紛化工業社製 NS200)40重量部とを、密閉式混練機の循環オイルの温度を100℃に設定し、60rpmで5分間混練した以外は、実施例1と同様に行った。得られたゴム発泡体の物性評価結果を表1に示した。
【0049】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)、(B)、(C)、(D)および(E)を含有し、成分(A)100重量部あたり、成分(B)の含有量が50〜200重量部であり、成分(C)の含有量が0.2〜1.8重量部であり、成分(D)の含有量が1〜3重量部であり、成分(E)の含有量が1.5〜5重量部であって、下記成分(F)の含有量が2重量部以下であるゴム組成物を加硫発泡してなるゴム発泡体。
(A)エチレンに基づく単量体単位の含有量が35〜80重量%であり、α−オレフィンに基づく単量体単位の含有量が15〜60重量%であり、共役ジエンに基づく単量体単位の含有量が5〜20重量%であり、150℃で測定したムーニー粘度(ML1+4150℃)が20〜100であるエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体
(B)タルク
(C)シランカップリング剤
(D)硫黄系加硫剤
(E)発泡剤
(F)カーボンブラック
【請求項2】
密度が0.4〜0.6kg/リットルである請求項1に記載のゴム発泡体。
【請求項3】
請求項1または2に記載のゴム発泡体からなるシール材。

【公開番号】特開2008−239753(P2008−239753A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81168(P2007−81168)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】