説明

ゴム組成物の製造方法およびそれにより得られたゴム組成物、ならびに該ゴム組成物を用いたタイヤ

【課題】剛性が高く、操縦安定性が優れ、発熱性が低く、破断伸びも向上させることができるゴム組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含むゴム成分(A)100質量部に対して、カーボンブラック3〜80質量部、ならびに酸化亜鉛10〜200質量部を添加して混練し、マスターバッチを調製する工程(MB)、
天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含む全ゴム成分(B)100質量部に対して、シリカ10〜50質量部を添加して混練りする工程(X)、
次に、前記工程(MB)により得られたマスターバッチと前記工程(X)により得られた混練物を、それぞれのゴム成分として5〜20:95〜80の質量比で添加し混練りする工程(Y)、
次に、前記工程(Y)により得られた混練物に対して、全ゴム成分(B)100質量部に対してさらに加硫促進剤を添加して混練する工程(F1)
を含むゴム組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物の製造方法およびそれにより得られたゴム組成物、ならびに該ゴム組成物を用いたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
シリカを配合したゴム組成物においては、シランカップリング剤を用いて、ポリマーとシリカの結合を強化させる手法あるいはシリカ分散を高める手法が採用されている。
【0003】
酸化亜鉛(亜鉛華)は、シリカ表面のOH基(水酸基)と吸着し、カップリング剤とシリカの結合を阻害することが知られている。それ故、亜鉛華をシリカとシランカップリング剤の練りが終了させた後の、練りステージで投入することが好ましい。しかし、シリカはストラクチャーを形成しており、カップリング剤が完全にシリカ表面を覆い、シランカップリング剤とシリカを結合させることは困難である。この現象は、練り終了後のゴムを化学抽出した結果、フリーの(つまり、化学結合していない)カップリング剤が検出されることから裏付けられる。すなわち、シランカップリング剤をシリカ量、更にはシリカ表面積BETに応じて、6〜10%配合しても、練りゴムには、シリカと結合していないシランカップリング剤が存在し、過剰にある状態が生じている。過剰にあるシランカップリング剤は、加硫中に自己縮合結合が形成されたり、ポリマー間の結合剤となって消費される。
【0004】
一方、亜鉛華をF練り(加硫剤および加硫促進剤を加えて混練する段階)で投入した場合、亜鉛華の分散が悪くなり、亜鉛華の塊が破壊核となって、摩耗や破断強度を低下させる原因となる。また、F練りで加える加硫促進剤促進剤と亜鉛華の複合体の形成が少なくなり、加硫反応も不十分になり易い問題が生じる。この亜鉛華がカップリング剤を吸着したり、亜鉛華が分散し難いために生じる物性低下は、シリカ量の配合量が、ゴム成分100質量部に対して10〜50質量部と少ない場合、総フィラー量の配合量がゴム成分100質量部に対して20〜50質量部と少ない場合に顕著に現れる。これは、フィラー自体にロータートルクが効率よく発生せず、温度上昇が遅い、またシリカが分散し難い事も影響していると考えられる。
【0005】
現在の、X練り、Y練りおよびF練りと3段階、あるいはY練りとF練りの間にリミル練りを入れる4段階に分けて練る方法では、カップリング剤がシリカと反応する130℃から150℃条件下(X練りあるいはY練り)では、亜鉛華が障害となって、シランカップリング剤が効率よくシリカと結合しない(リミルとはF練り並に低い温度(110℃程度で排出する工程である)。すなわち、シリカ分散を向上させ、ゴム組成物の30℃におけるtanδを低く保ち、破断強度EBを高く向上させることは困難である。
【0006】
特許文献1には、グリップ性能を維持しながら、低転がり抵抗性と耐摩耗性を高度に両立し得るタイヤ用ゴム組成物の製造方法、該タイヤ用ゴム組成物、および、該タイヤ用ゴム組成物を用いたタイヤを提供することを目的として、(A)ブタジエンゴム、(B)ブタジエンゴム以外のジエン系ゴム、(C)補強用充填剤および(D)架橋剤を混練りするタイヤ用ゴム組成物の製造方法であって、架橋剤(D)の一部または全部をブタジエンゴム(A)に添加してマスターバッチを得、ついで該マスターバッチにジエン系ゴム(B)および補強用充填剤(C)を混練りすることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物の製造方法が開示されている。しかし、カーボンブラック配合であり、シランカップリング剤を用いてない点、亜鉛華をX練りで入れる点、特にシリカ配合を考慮していない点については改善の余地がある。
【0007】
【特許文献1】特開2003−147124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、剛性が高く、操縦安定性が優れ(E*が大きい)、発熱性が低く(tanδが小さい)、破断伸び(EB%)も向上させることができるゴム組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、(ゴム成分100質量部に対して)シリカ10〜50質量部あるいはカーボンブラック10質量部以下と、フィラーを少量配合したゴム組成物の物性を向上させることを目的としている。なぜなら、シリカを少量配合した場合、通常の混練り方法では、シリカの分散性が悪くなる傾向があるからである。マスターバッチ(MB)を適用する配合は、カーボンブラックではなくシリカリッチで、シリカの配合量が(ゴム成分100質量部に対して)10〜50質量部と少ない場合、最大の効果を得られる。シリカの配合量が多い場合、練り生地は硬く、通常練り工程でも十分なトルクが、フィラーに作用する。また、加工性を良くするために、練り生地を可塑化する必要が生じ、(X)、(Y)、(F)練りに追加して、リミル練りを追加する場合が多い。このリミル練りは、フィラーの分散にも良い方向で作用する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の(MB)、(X)、(Y)および(F1)の工程、
(1)天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含むゴム成分(A)100質量部に対して、カーボンブラック3〜80質量部、ならびに酸化亜鉛10〜200質量部を添加して混練し、マスターバッチを調製する工程(MB)、
(2)天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含む全ゴム成分(B)100質量部に対して、シリカ10〜50質量部を添加して混練りする工程(X)、
(3)次に、前記工程(MB)により得られたマスターバッチと前記工程(X)により得られた混練物を、それぞれのゴム成分として5〜20:95〜80の質量比で添加し混練りする工程(Y)、
(4)次に、前記工程(Y)により得られた混練物に対して、全ゴム成分(B)100質量部に対してさらに加硫促進剤を添加して混練する工程(F1)
を含むゴム組成物の製造方法であって、
天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含む全ゴム成分(B)100質量部に対してシリカを10〜50質量部含有し、かつカーボンブラックおよびシリカの配合量が全ゴム成分(B)100質量部に対して20〜70質量部であるゴム組成物の製造方法に関する。
【0011】
本発明は、以下の(MB)、(X)および(F2)の工程、
(1)天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含むゴム成分(A)100質量部に対して、カーボンブラック3〜80質量部、ならびに酸化亜鉛10〜200質量部を添加して混練し、マスターバッチを調製する工程(MB)、
(2)天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含む全ゴム成分(B)100質量部に対して、シリカ10〜50質量部を添加して混練りする工程(X)、
(3)次に、前記工程(MB)により得られたマスターバッチと前記工程(X)により得られた混練物を、それぞれのゴム成分として5〜20:95〜80の質量比で添加し、
全ゴム成分(B)100質量部に対してさらに加硫促進剤を添加して混練する工程(F2)
を含むゴム組成物の製造方法であって、
天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含む全ゴム成分(B)100質量部に対してシリカを10〜50質量部含有し、かつカーボンブラックおよびシリカの配合量が全ゴム成分(B)100質量部に対して20〜70質量部であるゴム組成物の製造方法に関する。
【0012】
前記ゴム組成物の製造方法において、前記工程(F2)の混練温度が110℃以下であることが好ましい。
【0013】
前記ゴム組成物の製造方法において、前記マスターバッチを調製する工程(MB)においてゴムの加工性向上のため、オイルおよび/または粘着レジンを含む軟化剤1〜80質量部を添加することが好ましい。
【0014】
本発明は、前記ゴム組成物の製造方法により得られたゴム組成物に関する。
【0015】
本発明は、前記ゴム組成物の製造方法により得られたゴム組成物をベーストレッド、キャップトレッドあるいはブレーカークッションに用いたタイヤに関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の製造方法によれば、剛性が高く、操縦安定性が優れ(E*が大きい)、発熱性が低く(tanδが小さい)、破断伸び(EB%)も向上させることができるゴム組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の第1のゴム組成物の製造方法について説明する。
【0018】
本発明は、以下の(MB)、(X)、(Y)および(F1)の工程、
(1)天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含むゴム成分(A)100質量部に対して、カーボンブラック3〜80質量部、ならびに酸化亜鉛10〜200質量部を添加して混練し、マスターバッチを調製する工程(MB)、
(2)天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含む全ゴム成分(B)100質量部に対して、シリカ10〜50質量部を添加して混練りする工程(X)、
(3)次に、前記工程(MB)により得られたマスターバッチと前記工程(X)により得られた混練物を、それぞれのゴム成分として5〜20:95〜80の質量比で添加し混練りする工程(Y)、
(4)次に、前記工程(Y)により得られた混練物に対して、全ゴム成分(B)100質量部に対してさらに加硫促進剤を添加して混練する工程(F1)
を含むゴム組成物の製造方法であって、
天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含む全ゴム成分(B)100質量部に対してシリカを10〜50質量部含有し、かつカーボンブラックおよびシリカの配合量が全ゴム成分(B)100質量部に対して20〜70質量部であるゴム組成物の製造方法である。
【0019】
本発明の第1のゴム組成物の製造方法では、まずマスターバッチを調製する工程(MB)がある。マスターバッチを調製する工程(MB)では、天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含むゴム成分(A)100質量部に対して、カーボンブラック3〜80質量部、ならびに酸化亜鉛10〜200質量部を添加して混練する。
【0020】
マスターバッチに含まれるゴム成分(A)としては、タイヤ用に使用されるものであればとくに制限されるわけではないが、たとえば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などがあげられる。これらのゴム成分(A)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのゴム成分(A)の中でも、天然ゴム(NR)は酸素存在下で、低分子量化し、亜鉛華(酸化亜鉛)やカーボンブラックのバインダーとして機能できるという理由から、天然ゴム(NR)またはブタジエンゴム(BR)を使用することが好ましく、天然ゴム(NR)を使用することがより好ましい。バインダーとして機能できること(バインド効果)により、バンバリーミキサーからの排出後の、ゴムのまとまりが良い。非オイル含有の合成ゴムをマスターバッチに使用する場合、生地はパサパサとなり、バンバリー練り工程で、平坦で穴開きのないシートを作成するのは困難となる傾向がある。非オイル含有の合成ゴムをマスターバッチに使用する場合、シートをマスターバッチとして正確に計量する事は困難であり、またシート冷却工程でシート切れが発生する場合がある。非オイル含有の合成ゴムをマスターバッチに使用する場合、フィラーや亜鉛華の分散も良くない。
【0021】
マスターバッチには、前記ゴム成分(A)100質量部に対してカーボンブラック3〜80質量部が含まれる。カーボンブラックとしては、とくに制限されるわけではないが、たとえば、SAF、ISAF−HM、ISAF−LM、ISAF−HS、HAF、FEFなどのグレードのものを使用することができる。N660〜N110であれば使用することができる。
【0022】
カーボンブラックを配合する目的は、練り生地補強、練りトルク発生であり、例えばN660を使用する場合、トルク発生のため、ゴム成分(A)100質量部に対してカーボンブラック15〜40質量部と多量に配合することが好ましく、例えばN110を使用する場合、トルク発生のため、ゴム成分(A)100質量部に対してカーボンブラック10〜30質量部と少量配合することが好ましい。
【0023】
マスターバッチにカーボンブラックの代わりに、シリカを用いても良いが、シリカの再凝集防止のため、シリカを配合する場合はシランカップリング剤が必要である。しかし、シランカップリング剤は、オイルとして作用し練り粘度を下げる効果が有り、練りトルクを適度に発生させる目的から外れる傾向がある。
【0024】
ゴム成分および亜鉛華のみの配合であると、混練温度が100℃以上になると、ゴムが可塑化し、亜鉛華を分散させるトルクが働かないかないという理由より、カーボンブラックは、亜鉛華(酸化亜鉛)をゴム成分中に効率よく分散させるために必須である。マスターバッチにカーボンブラックを配合することで、カーボンブラックがゴム生地を補強し、亜鉛華にもトルクが働く効果が得られる。マスターバッチには、必要に応じて、軟化剤や、老化防止剤、ステアリン酸を追加しても良いが、これら配合剤の融点は、100℃以下のため練りトルクを低下させる要因となるため、追加することは好ましくない。
【0025】
カーボンブラックの配合量は、配合量が少なすぎると亜鉛華の分散が悪く、また、生地補強効果が少ない。配合量が多すぎると練り生地の温度が急激に上がりすぎ、練り時間が短くなりすぎ、亜鉛華の分散が良くないという理由から、ゴム成分(A)100質量部に対して3〜80質量部が含まれ、好ましくは10〜40質量部、より好ましくは15〜35質量部である。
【0026】
上記マスターバッチのもう1つのメリットとして、シリカリッチ(カーボンブラック少量=ゴム成分100質量部に対してカーボンブラック10質量部以下)配合において、カーボンブラックの分散を良くすることができる。シリカリッチ配合では、練りトルクはシリカの微細化に作用し、少量配合したカーボンブラックには作用し難い。結果としてシリカ分散は良くなるが、カーボンブラック分散が悪い事象が生まれる。マスターバッチ化に用いるカーボンブラックを所望の配合カーボンブラックとすることで、マスターバッチ練り後、既に良好なカーボンブラック分散を得ることができる。
【0027】
マスターバッチには、前記ゴム成分(A)100質量部に対して酸化亜鉛(亜鉛華)10〜200質量部が含まれる。
【0028】
マスターバッチに使用する亜鉛華には、特に指定はないが、タイヤ用であれば安価なものが都合が良い。(粒子径が小さい)微粒子亜鉛華、または(ゴム中に分散し易い)焼成亜鉛華でも良いが、高価である。マスターバッチを作成する段階で亜鉛華はナノレベルまで分散可能である。
【0029】
マスターバッチ(MB)における酸化亜鉛の配合量は、全ての配合剤(酸化亜鉛、カーボンブラック、シリカ、老化防止剤、硫黄、加硫促進剤)の分散を良くし、かつ、MBの加工性を確保するという理由から、ゴム成分(A)100質量部に対して10〜200質量部が含まれ、好ましくは30〜180質量部、より好ましくは50〜150質量部である。酸化亜鉛の配合量が、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物(たとえば、タッキロールV200)の配合量を上回ると、ゴム生地がぼろぼろになり、分散性が悪くなる。
【0030】
マスターバッチを調製する工程(MB)でマスターバッチの混練温度は、ポリマーを可塑化、一部を低分子量化し、バインダーとして機能させるという理由から、120〜200℃が好ましく、140〜180℃がより好ましい。
【0031】
マスターバッチを調製する工程(MB)でマスターバッチの混練時間は、特に制限はなく、1〜6分間が好ましい。
【0032】
本発明の第1のゴム組成物の製造方法では、混練りする工程(X)がある。混練りする工程(X)では、天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含む全ゴム成分(B)100質量部に対して、シリカ10〜50質量部を添加して混練りする。
【0033】
混練りする工程(X)に含まれるゴム成分(B)としては、タイヤ用に使用されるものであればとくに制限されるわけではないが、たとえば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などがあげられる。これらのゴム成分(B)は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのゴム成分(B)の中でも、低発熱性、グリップ性、硬度(操縦安定性)、耐摩耗性に優れるという理由から、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)またはブタジエンゴム(BR)を使用することが好ましい。ベーストレッド用としては、天然ゴム(NR)またはブタジエンゴム(BR)を使用することが好ましい。
【0034】
混練りする工程(X)に含まれるシリカとしては、タイヤ用に使用されるものであればとくに制限されるわけではない。
【0035】
シリカのチッ素吸着比表面積(N2SA)は、耐久性(補強性)に優れるという理由から、100m2/g以上が好ましく、110m2/g以上がより好ましい。また、シリカのN2SAは、分散悪化により発熱が大きくなるのを防ぐことができるという理由から、300m2/g以下が好ましく、290m2/g以下がより好ましい。
【0036】
ベーストレッド用ゴム組成物に充填剤としてシリカを配合する場合、シリカの配合量は、硬度(操縦安定性)および転がり抵抗特性(低発熱性)に優れる点から、ゴム成分100質量部に対して10〜50質量部であり、好ましくは20〜45質量部、より好ましくは25〜40質量部である。
【0037】
キャップトレッド用ゴム組成物に充填剤としてシリカを配合する場合、シリカの配合量は、グリップおよび転がり抵抗特性(低発熱性)に優れる点から、ゴム成分100質量部に対して35〜70質量部であり、好ましくは40〜60質量部である。
【0038】
本発明でシリカを使用する場合、シランカップリング剤を含有することが好ましい。本発明で好適に使用できるシランカップリング剤は、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤とすることができる。具体的には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン等のクロロ系等があげられる。カップリング剤添加効果とコストの両立からビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が好適に用いられる。これらシランカップリング剤は1種、または2種以上組み合わせて用いてもよい。シランカップリング剤としては、Si69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド)、Si75(ビス(3−トリエトキシシリルプロピルジスルフィド)、Si266などがあげられるが、シリカの分散性を向上させる効果が得られ、コストがかからないという理由から、Si75を用いることが好ましい。
【0039】
シランカップリング剤の配合量は、適正なコストでカップリング効果が得られ、よりいっそう良好な補強性や耐摩耗性が達成できる点から、シリカ100質量部に対して1〜15質量部が好ましく、4〜10質量部がより好ましい。
【0040】
混練りする工程(X)の混練温度は、ポリマーを可塑化しバインダーとして機能させるという理由、フィラー分散を良くするという理由、カップリング剤の焼けを防止するという理由から、120〜180℃が好ましく、140〜160℃がより好ましい。
【0041】
混練りする工程(X)の混練時間は、特に制限されない。
【0042】
本発明の第1のゴム組成物の製造方法では、混練りする工程(Y)がある。混練りする工程(Y)では、前記工程(MB)により得られたマスターバッチと前記工程(X)により得られた混練物を、それぞれのゴム成分として5〜20:95〜80の質量比で添加し混練りする。
【0043】
前記工程(MB)により得られたマスターバッチと前記工程(X)により得られた混練物を混練りする割合は、配合される全成分の均一分散を目指す(MBが多すぎるとMB内のカーボンブラックや酸化亜鉛がXのポリマーと混ざり難い)という理由から、ゴム成分として5〜20:95〜80の質量比で添加し混練りし、10〜15:90〜85の質量比で添加し混練りすることが好ましい。
【0044】
混練りする工程(Y)の混練温度は、ポリマーを可塑化し、MBのゴム成分、カーボンブラック、酸化亜鉛を分散させる、また、ゴム焼けや、シリカとシランカップリング剤の結合の再切断を予防するという理由から、90〜160℃が好ましく、110〜140℃がより好ましい。
【0045】
混練りする工程(Y)の混練時間は、特に制限されない。
【0046】
本発明の第1のゴム組成物の製造方法では、混練りする工程(F1)がある。混練りする工程(F1)では、前記工程(Y)により得られた混練物に対して、全ゴム成分(B)100質量部に対してさらに硫黄1〜10質量部を添加して混練する。
【0047】
混練りする工程(F1)では、加硫促進剤とともに硫黄あるいは加硫促進助剤(例えば、タッキロールV200などのアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物)を用いても良い。なお、加硫促進助剤に硫黄成分が含まれている場合は、硫黄を配合しなくても良い。
【0048】
混練りする工程(F1)の混練温度は、ゴム焼けを防止し、最大限の分散を得るという理由から、80〜120℃が好ましく、90〜110℃がより好ましい。
【0049】
混練りする工程(F1)の混練時間は、特に制限されない。
【0050】
本発明は、天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含む全ゴム成分(B)100質量部に対してシリカを10〜50質量部含有し、かつカーボンブラックおよびシリカの配合量が全ゴム成分(B)100質量部に対して20〜70質量部であるゴム組成物の製造方法である。
【0051】
シリカのチッ素吸着比表面積(N2SA)は、耐久性(補強性)に優れるという理由から、100m2/g以上が好ましく、110m2/g以上がより好ましい。また、シリカのN2SAは、分散悪化により発熱が大きくなるのを防ぐことができるという理由から、300m2/g以下が好ましく、290m2/g以下がより好ましい。
【0052】
ベーストレッド用ゴム組成物に充填剤としてシリカを配合する場合、シリカの配合量は、硬度(操縦安定性)および転がり抵抗特性(低発熱性)に優れる点から、ゴム成分100質量部に対して10〜50質量部であり、好ましくは20〜45質量部、より好ましくは25〜40質量部である。
【0053】
キャップトレッド用ゴム組成物に充填剤としてシリカを配合する場合、シリカの配合量は、グリップおよび転がり抵抗特性(低発熱性)に優れる点から、ゴム成分100質量部に対して35〜70質量部であり、好ましくは40〜60質量部である。
【0054】
本発明でシリカを使用する場合、シランカップリング剤を含有することが好ましい。本発明で好適に使用できるシランカップリング剤は、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤とすることができる。具体的には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4−トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン等のクロロ系等があげられる。カップリング剤添加効果とコストの両立からビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が好適に用いられる。これらシランカップリング剤は1種、または2種以上組み合わせて用いてもよい。シランカップリング剤としては、Si69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド)、Si75(ビス(3−トリエトキシシリルプロピルジスルフィド)、Si266などがあげられるが、シリカの分散性を向上させる効果が得られ、コストがかからないという理由から、Si75を用いることが好ましい。
【0055】
シランカップリング剤の配合量は、適正なコストでカップリング効果が得られ、よりいっそう良好な補強性や耐摩耗性が達成できる点から、シリカ100質量部に対して1〜15質量部が好ましく、4〜10質量部がより好ましい。
【0056】
本発明のゴム組成物の製造方法により製造されるゴム組成物において、カーボンブラックおよびシリカの配合量は、低発熱性、Hs(操縦安定性)、EB確保に優れるという理由から、全ゴム成分(B)100質量部に対して、20〜70質量部であり、好ましくは25〜65質量部、より好ましくは30〜60質量部である。
【0057】
次に、本発明の第2のゴム組成物の製造方法について説明する。
【0058】
本発明は、以下の(MB)、(X)および(F2)の工程、
(1)天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含むゴム成分(A)100質量部に対して、カーボンブラック3〜80質量部、ならびに酸化亜鉛10〜200質量部を添加して混練し、マスターバッチを調製する工程(MB)、
(2)天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含む全ゴム成分(B)100質量部に対して、シリカ10〜50質量部を添加して混練りする工程(X)、
(3)次に、前記工程(MB)により得られたマスターバッチと前記工程(X)により得られた混練物を、それぞれのゴム成分として5〜20:95〜80の質量比で添加し、
全ゴム成分(B)100質量部に対してさらに加硫促進剤を添加して混練する工程(F2)
を含むゴム組成物の製造方法であって、
天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含む全ゴム成分(B)100質量部に対してシリカを10〜50質量部含有し、かつカーボンブラックおよびシリカの配合量が全ゴム成分(B)100質量部に対して20〜70質量部であるゴム組成物の製造方法である。
【0059】
本発明の第2のゴム組成物の製造方法では、まずマスターバッチを調製する工程(MB)がある。マスターバッチを調製する工程(MB)では、天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含むゴム成分(A)100質量部に対して、カーボンブラック3〜80質量部、ならびに酸化亜鉛10〜200質量部を添加して混練する。
【0060】
本発明の第2のゴム組成物の製造方法では、混練りする工程(X)がある。混練りする工程(X)では、天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含む全ゴム成分(B)100質量部に対して、シリカ10〜50質量部を添加して混練りする。
【0061】
本発明の第2のゴム組成物の製造方法における、マスターバッチを調製する工程(MB)がおよび混練りする工程(X)の態様については、前述の本発明の第1のゴム組成物の製造方法と同じである。
【0062】
本発明の第2のゴム組成物の製造方法では、混練りする工程(F2)がある。混練りする工程(F2)では、前記工程(MB)により得られたマスターバッチと前記工程(X)により得られた混練物を、それぞれのゴム成分として5〜20:95〜80の質量比で添加し、さらに全ゴム成分(B)100質量部に対してさらに硫黄1〜10質量部を添加して混練する。
【0063】
前記工程(MB)により得られたマスターバッチと前記工程(X)により得られた混練物を混練りする割合は、配合される全成分の均一分散を目指す(MBが多すぎるとMB内のカーボンブラックや酸化亜鉛がXのポリマーと混ざり難い)という理由から、ゴム成分として5〜20:95〜80の質量比で添加し混練りし、10〜15:90〜85の質量比で添加し混練りすることが好ましい。
【0064】
混練りする工程(F2)では、加硫促進剤とともに硫黄あるいは加硫促進助剤(例えば、タッキロールV200などのアルキルフェノール・塩化硫黄縮合物)を用いても良い。なお、加硫促進助剤に硫黄成分が含まれている場合は、硫黄を配合しなくても良い。
【0065】
混練りする工程(F2)の混練温度は、ゴム焼けを防止し、最大限の分散を得るという理由から、80〜120℃が好ましく、90〜110℃がより好ましい。
【0066】
混練りする工程(F2)の混練時間は、特に制限されない。
【0067】
前記本発明の第2のゴム組成物の製造方法において、前記工程(F2)の混練温度は、ゴム焼けを防止し、分散を向上させるという理由から、110℃以下であることが好ましく、105℃以下であることがより好ましい。
【0068】
前記本発明の第1および第2のゴム組成物の製造方法において、前記マスターバッチを調製する工程(MB)において、ポリマーのバインダー効果が十分でなく、まとまりが悪い場合、オイルまたは粘着レジンを含む軟化剤を1〜80質量部添加することが好ましく、2〜50質量部を添加することがより好ましい。
【0069】
粘着レジンとは、非反応で粘着付与を目的とする、ポリマーより低分子量の炭化水素の軟化剤のことである。
【0070】
オイルまたは粘着レジンを含む軟化剤を配合することで、マスターバッチにバインダーという効果を与えることができる。
【0071】
オイルとしては、(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140などを使用することができる。
【0072】
粘着レジンとしては、三井化学(株)製のハイレッツG−100(C5粘着樹脂)、ストラクトール社製のストラクトール40MSなどを使用することができる。また、粘着レジンとしては、(株)日本触媒製のSP1068((非反応性)アルキルフェノール樹脂):
【化1】

(式中、Rはオクチル基であり、nは1〜9の整数である)
や東ソー(株)製のペトコールXL(C9粘着樹脂)なども使用することができる。
【0073】
非反応性アルキルフェノール樹脂とは、鎖中のベンゼン環の水酸基のオルソ位およびパラ位(特にパラ位)において反応点を有さないアルキルフェノール樹脂をいう。すなわち、非反応性アルキルフェノール樹脂とは、鎖中のベンゼン環の水酸基を2つ有するレゾルシン樹脂のように、パラ位の位置で反応性が高い樹脂とは異なるものである。
【0074】
非反応性アルキルフェノール樹脂の具体例としては、式(2):
【化2】

および式(3):
【化3】

で示されるものがあげられる。式(2)におけるnは、1〜10が好ましく、2〜9がより好ましい。Rは、炭素数4〜15、好ましくは炭素数6〜10のアルキル基であり、具体的には、オクチル基、ヘキシル基、デカン基などがあげられる。
また、式(3)におけるmは、1〜10が好ましく、2〜9がより好ましい。
【0075】
また、本発明は、前記本発明の第1および第2のゴム組成物の製造方法により得られたゴム組成物に関する。
【0076】
本発明の製造方法により得られたゴム組成物は、Hs、tanδ、EBに優れているという理由により、タイヤにおいてベーストレッド、キャップトレッドあるいはブレーカークッションとして使用することが好ましく、なかでも、ベーストレッドとして使用することが好ましい。
【0077】
本発明のタイヤは、本発明の製造方法で製造されたゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、本発明の製造方法で製造されたゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤの各部材、好ましくはベーストレッドの形状にあわせて押出し加工し、タイヤ成形機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することにより本発明のタイヤを得る。
【実施例】
【0078】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0079】
<マスターバッチ>
以下、実施例および比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
天然ゴム(NR):TSR20
ブタジエンゴム(BR1250):日本ゼオン(株)製のBR1250(開始剤としてリチウムを用いて重合、ビニル結合量:10〜13質量%、Mw/Mn:1.5、スズ原子の含有量:250ppm)
カーボンブラック(N660):三菱化学(株)製のダイヤブラックG(N660)
シリカ(Z115Gr):ローディア社製のZ115GR(N2SA:112m2/g)
亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛
粘着レジン:三井化学(株)製のハイレッツG−100(C5粘着樹脂)
【0080】
<本配合>
以下、実施例および比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
天然ゴム(NR):TSR20
ブタジエンゴム(BR1250):日本ゼオン(株)製のBR1250(開始剤としてリチウムを用いて重合、ビニル結合量:10〜13質量%、Mw/Mn:1.5、スズ原子の含有量:250ppm)
カーボンブラック(N660):三菱化学(株)製のダイヤブラックG(N660)
シリカ(Z115Gr):ローディア社製のZ115GR(N2SA:112m2/g)
カップリング剤:デグッサ・ヒュルス(株)製のSi75(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛
粘着レジン:三井化学(株)製のハイレッツG−100(C5粘着樹脂)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
老化防止剤(6C):大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日本油脂(株)製の椿
アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
不溶性硫黄:日本乾溜工業(株)製のセイミサルファー(二硫化炭素による不溶物60%、オイル分10%)
加硫促進剤TBBS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジル・スルフェンアミド)
タッキロールV200:田岡化学工業(株)製のタッキロールV200(アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、xおよびy:2、R:C817のアルキル基、硫黄含有率:24質量%)
【化4】

(式中、nは0〜10の整数である)
PVI:サントガードPVI(N−シクロヘキシルチオフタルイミド)
【0081】
実施例1〜6および比較例1〜6
(マスターバッチの調製)
表1に示す配合処方にしたがい、バンバリーミキサーを用いて、ゴム成分(A)に対して、特定量のカーボンブラックおよび特定量の酸化亜鉛を添加して混練し、混練温度165℃、混練時間5分の条件でマスターバッチを調製した。
【0082】
マスターバッチを調製する際の各組成を表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
(X練り、Y練りおよびF練り)
表2に示す処方(配合剤、配合量)に従って、X練り、Y練り、F練りを行い、実施例1〜6および比較例1〜6の加硫ゴム組成物を製造した。
【0085】
X練りは、バンバリーミキサーを用いて、混練温度150℃、混練時間5分の条件で行い、混練物を得た。
【0086】
Y練りは、バンバリーミキサーを用いて、混練温度150℃、混練時間4分の条件で行い、混練物を得た。
【0087】
F練りは、オープンロールを用いて、得られた混練り物に不溶性硫黄、加硫促進剤、加硫促進助剤およびCTPを添加して混練温度95℃、混練時間4分の条件で行い、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、実施例1〜6および比較例1〜6の加硫ゴム組成物を製造した
X練り、Y練り、F練りを行う際の各組成を表2に示す。
【0088】
(粘弾性試験:複素弾性率(E*)および損失正接(tanδ))
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータVESを用いて、周波数10Hz、初期歪10%および動歪2%の条件下で、温度30℃における加硫ゴム組成物の複素弾性率E*(MPa)および損失正接tanδを測定した。なお、E*が大きいほど剛性が高く、操縦安定性が優れることを示し、tanδが小さいほど発熱性が低く、優れることを示す。
【0089】
(引張試験)
前記加硫ゴム組成物からからなる3号ダンベル型試験片を用いて、JIS K 6251「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて引張試験を実施し、破断時伸びEB(%)を測定した。なお、EBが大きいほど優れることを示す。
【0090】
前記評価結果を表2に示す。
【0091】
【表2】

【0092】
実施例1より、カーボンブラック、亜鉛華および天然ゴムからなるマスターバッチをF練りで、ゴム量比で17%用いた条件の製造方法により、剛性が高く、操縦安定性が優れ(E*が大きい)、発熱性が低く(tanδが小さい)、破断伸び(EB%)も向上させることができるゴム組成物を得ることができた。実施例1は、マスターバッチで酸化亜鉛をプリブレンドさせ、また、X練りで酸化亜鉛を入れない(シリカ反応を阻害しない)という理由から、亜鉛華の分散が良好であることがわかる。また、実施例1は、F練りでマスターバッチ(MB)を投入するため、混練工程の操作が簡単であった。実施例1はtanδおよびEBが良好であったことから、シリカの分散が良好であることが推測できる。
【0093】
実施例2より、マスターバッチに粘着レジンを配合することで、マスターバッチの生地のまとまりを良好に維持することができた。
【0094】
実施例3より、マスターバッチに多量のカーボンブラックと酸化亜鉛を配合することで、練り時間を短縮できた(排出165℃設定で3.5分間)。
【0095】
実施例5より、Y練りでマスターバッチ(MB)を投入しても、実施例1に近い物性を得られる(ただし、練り過多となりポリマー鎖が切断し、tanδが悪化している)。
【0096】
実施例6は、実施例1と同じMB手法で最終的に亜鉛華を半減したものである。実施例6はF練りでマスター14.83質量部配合しており、亜鉛華として5質量部配合されていることになる。バッチを実施例6は比較例1に比べて、tanδが13%、EBが20%優れているおり、混練り方法にメリットがあることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(MB)、(X)、(Y)および(F1)の工程、
(1)天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含むゴム成分(A)100質量部に対して、カーボンブラック3〜80質量部、ならびに酸化亜鉛10〜200質量部を添加して混練し、マスターバッチを調製する工程(MB)、
(2)天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含む全ゴム成分(B)100質量部に対して、シリカ10〜50質量部を添加して混練りする工程(X)、
(3)次に、前記工程(MB)により得られたマスターバッチと前記工程(X)により得られた混練物を、それぞれのゴム成分として5〜20:95〜80の質量比で添加し混練りする工程(Y)、
(4)次に、前記工程(Y)により得られた混練物に対して、全ゴム成分(B)100質量部に対してさらに加硫促進剤を添加して混練する工程(F1)
を含むゴム組成物の製造方法であって、
天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含む全ゴム成分(B)100質量部に対してシリカを10〜50質量部含有し、かつカーボンブラックおよびシリカの配合量が全ゴム成分(B)100質量部に対して20〜70質量部であるゴム組成物の製造方法。
【請求項2】
以下の(MB)、(X)および(F2)の工程、
(1)天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含むゴム成分(A)100質量部に対して、カーボンブラック3〜80質量部、ならびに酸化亜鉛10〜200質量部を添加して混練し、マスターバッチを調製する工程(MB)、
(2)天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含む全ゴム成分(B)100質量部に対して、シリカ10〜50質量部を添加して混練りする工程(X)、
(3)次に、前記工程(MB)により得られたマスターバッチと前記工程(X)により得られた混練物を、それぞれのゴム成分として5〜20:95〜80の質量比で添加し、
全ゴム成分(B)100質量部に対してさらに加硫促進剤を添加して混練する工程(F2)
を含むゴム組成物の製造方法であって、
天然ゴムおよび/またはジエン系合成ゴムを含む全ゴム成分(B)100質量部に対してシリカを10〜50質量部含有し、かつカーボンブラックおよびシリカの配合量が全ゴム成分(B)100質量部に対して20〜70質量部であるゴム組成物の製造方法。
【請求項3】
前記工程(F2)の混練温度が110℃以下である請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
前記マスターバッチを調製する工程(MB)において、
オイルおよび/または粘着レジンを含む軟化剤1〜80質量部を添加する請求項1、2または3記載の製造方法。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の製造方法により得られたゴム組成物。
【請求項6】
請求項5記載のゴム組成物をベーストレッドに用いたタイヤ。
【請求項7】
請求項5記載のゴム組成物をキャップトレッドに用いたタイヤ。
【請求項8】
請求項5記載のゴム組成物をブレーカークッションに用いたタイヤ。

【公開番号】特開2010−84102(P2010−84102A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257712(P2008−257712)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】