説明

ゴム組成物及びその製造方法

【課題】セルロース系繊維からなる補強材のゴム成分への親和性、分散性及び補強性を高めて十分な耐久性及び剛性を発揮するゴム組成物及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】ゴム成分中に、セルロースナノ繊維を含むゴム組成物において、該セルロース繊維は、モノマー若しくはポリマーをグラフト重合させた複合化セルロース繊維であることを特徴とし、その製造方法は、ゴムラテックスと水に分散させた上記繊維のスラリーとを混合した後、混合液を乾燥して水を除去して得ることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物及びその製造方法に関するものであり、より詳細には、補強充填材である繊維の分散性を高め、耐久性及び剛性に優れた補強ゴム及びそれを用いたタイヤ等のゴム製品を提供することのできるゴム組成物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤ製品等のゴムは一般に、カーボンブラック、シリカ等の粒状無機補強材を添加して、その強度及び剛性を高めている。しかし、このような粒状無機補強材はその形状に起因する理由でその補強性能に限界が見られる。そこで、ゴムの補強材として短繊維を選択して硬度やモジュラスなどを向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。また、0.5〜1000μmのアラミド短繊維を含むマスターバッチをタイヤゴムに利用することが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。更に、ゴムにセルロース繊維を複合化させたゴム組成物が提案されている(例えば、特許文献3を参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−7811号公報
【特許文献2】特開2001−164052号公報
【特許文献3】特開2006−206864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、繊維、例えばセルロース系繊維をゴム補強材とした場合、親水性のセルロースと疎水性のゴムを複合化させたものでは、補強材のゴムへの親和性、分散性が悪く十分な耐久性及び剛性を発揮できない。また繊維/ゴム界面の補強性も十分ではない。このため、ゴムが機械的応力を受けた場合に、繊維の離脱、或いは剥離が起こり、十分な強度及び耐久性が得られない。
従って、本発明は、セルロース系繊維からなる補強充填材のゴム成分への親和性及び補強性を高めて十分な耐久性及び剛性を発揮するゴム組成物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、セルロース系繊維として、平均繊維径がナノオーダのセルロースナノ繊維をゴムの補強材とすると共に、かかる補強材にモノマー若しくはポリマーをグラフト重合させた複合化セルロース繊維とすることにより、ゴム成分への親和性及び分散性を高め、更に、グラフト重合物をジエン系ポリマーとすることにより、加硫反応の際に、これらがゴム成分と架橋し、補強効果の増大することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明に係るゴム組成物及びその製造方法は、以下の(1)乃至(8)に記載される構成或いは手段を特徴とするものである。
【0007】
(1).ゴム成分中に、セルロースナノ繊維を含むゴム組成物において、該セルロース繊維は、モノマー若しくはポリマーをグラフト重合させた複合化セルロース繊維であることを特徴とするゴム組成物。
【0008】
(2).上記セルロースナノ繊維は、平均繊維径が1〜1000nmの範囲にあり、平均繊維長さが0.1〜100μmの範囲にある上記(1)記載のゴム組成物。
(3).上記セルロースナノ繊維はゴム成分100質量部に対して、1〜50の範囲で含まれる上記(1)又は(2)記載のゴム組成物。
(4).上記複合化セルロース繊維は、その繊維の水酸基(−OH基)からグラフト重合が開始されている上記(1)〜(3)の何れかの項に記載のゴム組成物。
(5).上記グラフト重合物がジエン系ポリマーである上記(1)〜(4)の何れかの項に記載のゴム組成物。
【0009】
(6).上記(1)〜(5)の何れかの項に記載のゴム組成物の製造方法において、ゴムラテックスと、水に分散させた上記繊維のスラリーとを混合した後、混合液を乾燥して水を除去して得ることを特徴とするゴム組成物の製造方法。
(7).上記水に分散された上記繊維をグラフト化した後に、該スラリーをゴムラテックスと混合することを特徴とする上記(7)記載のゴム組成物の製造方法。
(8).上記繊維のグラフト化の際に、上記繊維のセルロース水酸基に重合開始剤を付与した後に、モノマー又はポリマーをグラフト重合することを特徴とする上記(6)又は(7)記載のゴム組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明のゴム組成物は、親水性であるセルロースナノ繊維と疎水性であるゴム成分とにおいて、セルロースナノ繊維にグラフト重合鎖を導入したので、両者の親和性が高められ、ゴム成分中での繊維の分散性が良好となる。また、グラフトの導入に際してはラジカル反応などが簡単に導入でき、グラフト重合にジエン系ポリマーを使用すれば、補強効果が増大する。これにより、ゴム組成物は、十分な耐久性及び剛性を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る好ましい実施をするための最良形態を詳述する。尚、本発明は以下の実施形態及び実施例に限るものではない。
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分に、平均繊維径がナノオーダのセルロースナノ繊維を含む。
【0012】
本発明に係るゴム組成物のゴム成分は特に限定されないが、タイヤ製品等に使用することができるものとしては、例えば、以下のゴム成分を挙げることができる。
ゴム成分は大別して、天然ゴム、及び合成ゴムから選択され、両者を混合使用しても良い。合成ゴムは、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、ジエン系ゴムが好ましく、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、及びブチルゴム等がある。
【0013】
本発明に係るゴム組成物に配合されるセルロースナノ繊維は、平均繊維径が1〜1000nmの範囲で、平均繊維長さが0.1〜100μmの範囲であることが好ましい。特に、セルロースナノ繊維の平均繊維径が1〜500nmの範囲で、平均繊維長さが5〜50μmの範囲であることが更に好ましい。平均繊維粒径及び平均繊維長さが上記範囲未満の場合はその分散性が低下し、また上記範囲を超えると補強性能が低下する。
ここで、平均繊維径及び平均繊維長さは、繊維をエチレングリコール溶液中に分散させ、細孔電気抵抗法(コールター原理法)により計測する。
また、上記セルロースナノ繊維はゴム成分100質量部に対して、1〜50質量部の範囲、特に、3〜20質量部の範囲で含まれることが好ましい。繊維の量が少ないと補強効果が十分でなく、逆に多いとゴムの加工性が悪くなってくる。
【0014】
上記セルロース繊維は、モノマー若しくはポリマーをグラフト重合した複合化セルロース繊維である。グラフト重合はセルロース繊維を幹と見た場合に、1)幹となる繊維上に開始基を付与し、そこから枝モノマーを重合し鎖成長させる方法、2)幹となる繊維への枝ポリマーの縮合、3)幹となる繊維への枝としてのマクロモノマーの結合、等の大きく3つの方法が考えられるが、もっとも容易に合成が可能な開始基からモノマーを成長させる方法が好適に用いられる。
また、上記グラフト重合物がジエン系ポリマーであることが好ましい。上記グラフト化に用いるモノマー若しくはポリマーとしては、イソプレン、ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン、クロロプレン等のジエン系モノマー、又はスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、及びポリブチル等のゴム系のジエン系ポリマー等を挙げることができる。更に、一般的な塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、塩化ビニリデン、無水マレイン酸、アクリルアミド等のモノマーやポリ塩化ビニル、ポリアクリルニトリル、ポリスチレン等のポリマーを挙げることができる。
中でも、ジエン系のモノマー若しくはポリマーのグラフト重合物では、そのグラフト化の制御が容易なリビングラジカル重合等手法を採用して導入することができる。
リビングラジカル重合は、重合末端のラジカル活性が維持されるラジカル重合であり、ブロモプロピオニル等でセルロースの水酸基をエステル化して開始基を導入することで、容易にリビングラジカル重合によるグラフト重合物を得ることができる。リビングラジカル重合においては、原子移動ラジカル重合(ATRP)法が最も好適に用いられる。
また、ジエン系ポリマーをグラフト化したセルロースナノ繊維では、加硫反応の際にセルロース繊維のポリマー鎖とゴムのポリマー鎖とが架橋することができる。このため、図2に示すように、ゴム間との補強層(バウンド ライバー層)を形成すると同様な効果を示し、補強性を高める。
【0015】
上記重合開始剤としては、特に制限はなく、種々のラジカル重合用の重合開始剤を用いることができ、その添加方法についても特に制限はない。一般に用いられる重合開始剤の例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化水素、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ヒドロクロライド、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等が挙げられる。また、リビングラジカル重合における重合開始剤は、過酸化ベンゾイルおよびその誘導体、ジスルフィド、ハロゲン化アルキルや2,2,6,6−tetramethylpiperidine−1−oxy(TEMPO)などの安定ラジカル種が好適に用いられる。これらの安定ラジカル種は、炭素中心ラジカルとカップリング反応し安定な生成物を得る。また、この生成物は熱を加えることで可逆的にもとのラジカルを生成することが可能である。
また、グラフト重合、特にATRP重合においては、重合触媒を適宜用いることができる。重合触媒としては、CuCl/2,2−ビピリジン、CuBr/2,2−ビピリジン、CuCl/4、4−ジ−n−へプチル−2,2−ビピリジン、CuBr/4,4−ジ−n−へプチル−2,2−ビピリジンなどが、ATRP法の重合触媒として好適に用いられる。
【0016】
なお、重合を制御、又は重合温度を低下させるためには、レドックス系の重合開始剤を用いることが好ましい。かかるレドックス系重合間始剤において、過酸化物と組み合せる還元剤としては、例えば、テトラエチレンペンタミン、メルカプタン類、酸性亜硫酸ナトリウム、還元性金属イオン、アスコルビン酸等が挙げられる。レドックス系重合開始剤における過酸化物と還元剤との好ましい組み合せとしては、tert−ブチルハイドロパーオキサイドとテトラエチレンペンタミンとの組み合せ等が挙げられる。
【0017】
また、本発明にあっては、上記複合化セルロース繊維は、その繊維の水酸基(−OH基)からグラフト重合が開始されていることが好ましい。即ち、図3に示すように、セルロース繊維のOH基部分に重合開始剤を付与した後、上記モノマー及びポリマーのグラフト化を行うことが好ましい。ここで言う重合開始基とは、ハロゲン化アルキルやハロゲン化アシル、ニトロキシド(TEMPO)が挙げられる。これらの重合開始基をセルロース繊維の−OH基とエステル化反応などにより反応させて開始基として導入することで、リビング性を持った反応活性末端が合成され、モノマーあるいはマクロモノマーと反応させることで容易にリビングラジカル重合によるグラフト重合が可能となる。
【0018】
次に、本発明においてゴム組成物を製造するには、先ず、上記繊維を水に分散させた後に、叩解させ、オリフィスを通過させ、適宜機械的せん断を加えて、高圧ホモジナイザーなどで分散させてスラリー化する。実際には各種繊維径の繊維が市販されており、本発明ではこれらを水中にスラリー化して用いる。かかる場合のスラリーにおける上記繊維の濃度は製造操作上、水100質量部に対して、0.1〜3質量部の範囲であることが好ましい。また本発明では分散剤等を添加することができ、これは上記スラリー状態で添加し、ラテックス状のゴムとウェットブレンドするか、あるいはスラリーを固化させた後にインテグラルドライブレンド法によりゴム混練時に直接添加して効果を発現させることが好ましい。
【0019】
本発明に従ってゴムラテックス及び繊維、分散剤のスラリーを混合する方法には特に限定はなく、例えばホモジナイザー、ロータリー撹拌装置、電磁撹拌装置、プロペラ式撹拌装置等の一般的方法によることができる。
本発明において、混合液から水を除去するのには、例えば、オーブン乾燥、凍結乾燥、噴露乾燥などの一般的方法によることができる。
本発明における上記混合液の固形分濃度には特に限定はないが、40質量%以下であるのが好ましく、更に5〜15質量部の範囲にあるのが好ましい。この固形分濃度が40質量%を超えると、混合液の粘度が高くなり過ぎ、繊維の分散性が低下する。
【0020】
上記一般的方法を採用するに際して、上記水に分散された上記繊維をグラフト化して複合化セルロースナノ繊維とした後に、そのスラリーをゴムラテックスを混合することが好ましい。特に、上述したように、上記繊維のグラフト化の際に、上記繊維のセルロース水酸基に重合開始剤を付与した後に、モノマー又はポリマーをグラフト重合することが好ましい。
この際、グラフト重合はリビングラジカル重合方法で行うことが好ましい。かかる方法を採用することによって、グラフト重合のポリマーの精密設計が可能となる。
【0021】
本発明のゴム組成物は、上記の配合成分の他に、ゴム工業で通常使用されている種々の成分を含むことができる。例えば、種々の成分として、充填剤(例えば、シリカ等の補強性充填剤;並びに炭酸カルシウム及び炭酸カルシウムなどの無機充填剤);加硫促進剤;老化防止剤;酸化亜鉛;ステアリン酸;軟化剤;及びオゾン劣化防止剤等の添加剤を挙げることができる。なお、加硫促進剤として、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)及びCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系加硫促進剤;TT(テトラメチルチウラムスルフィド)等のチウラム系加硫促進剤;並びにDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができる。
【0022】
具体的には、ゴム組成物はゴム成分100質量部に対して硫黄を7.0質量部以下に配合することができる。特に、3.0〜7.0質量部の範囲、更に好ましくは4.0〜6.0質量部の範囲である。ゴム組成物はゴム成分100質量部に対して有機酸コバルト塩を1.0質量部以下に配合することができる。特に、0.05〜1.0質量部の範囲、更に好ましくは0.3〜〜0.8質量部の範囲である。上記コバルト有機酸塩としては、ナフテン酸コバルト、ロジン酸コバルト、或いは炭素数が5乃至20程度の直鎖状或いは分岐鎖のモノカルボン酸コバルト塩等を挙げることができる。
またゴム組成物に、上記ゴム成分100質量部に対してカーボンブラックが40質量部以上、更には40乃至100質量部、特に、50乃至100質量部配合させることが好ましい。カーボンブラックは、通常ゴム業界で用いられるものから適宜選択することができ、例えば、SRF、GPF、FER、HAF、ISAF等を挙げることができるが、中でもGPF、HAFが物性とコストのバランスの面から好ましい。
【0023】
以上の如く構成されるゴム組成物にあっては、複合化セルロースナノ繊維の配合により、スラリーでの分散性が均一となり、分散剤の配合によって、ゴムへの親和性及び分散性が高まる。特に水素結合能構造部分からグラフト化した複合化セルロースナノ繊維の配合では分散性及びゴムへの親和性、補強性が高まり、補強性が一層向上することができる。
【実施例】
【0024】
次に、実施例、比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに制約されるものではない。
【0025】
天然ゴムラテックス(固形分濃度:60質量%)200g、セルロース繊維スラリー(ダイセル化学社製「セリッシュ」:平均繊維径100nm、平均繊維長45μm、固形分濃度:5質量%)を以下の示す方法でグラフト化して複合化セルロース繊維とし、かかる繊維300g、水1000gを、高速混合ホモジナイザー中で毎秒3000回転で5分間混合し、セルロース・天然ゴム混合溶液を得た。
これをバットに展開し、温度100℃オーブン中にて乾燥固化させ、セルロース繊維複合天然ゴムを得た(繊維複合ゴム)。
繊維複合ゴムのゴム成分100質量部に対して、下記の表1に示す構成により、ラボ混練機により通常の混練を行い、得られた混合物を加圧プレス加硫し、厚さ2mmのゴムシートを得た。
【0026】
<評価試験>
ゴムシートを所定のダンベルにて打ち抜いてサンプル片を作成し、サンプル片についてASTM D412に準じた加硫ゴムの引張り試験を行い、破断応力と破断歪みを測定した。測定値は、比較例1の値を100として、それぞれの実施例の値をそのインデックス表示としたものである。
【0027】
<グラフト化>
セルロトース繊維へのグラフト重合は以下のようにして行った。
セルロース:100g、2−ブロモプロパノイルブロミド:0.04g、ピリジン:0.02g、THF:1000mLを攪拌反応容器で10℃に冷却しながらゆっくりと攪拌混合し、その後60℃で3時間反応させる。その後エーテルと水により抽出しながら中和洗浄し、エーテル分散液とした。
さらに、遷移金属化合物として、CuCl:0.5gと4,4’−ジ−(5−ノニル)2、2’−ビピリジン:3・0gを溶解させたのち、90℃に20時間加温して重合し、その後冷却して重合を完了した。得られた重合物のグラフト化率は12.5%であった。
【0028】
【表1】

【0029】
表中の注1;旭カーボン社製のファーネスブラックHAF、注2;大内新興化学社製のノクセラーDM、注3;大内新興化学社製のノクセラーNS。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のゴム組成物は、複合化セルロースナノ繊維からなる補強材により、その補強材のゴム成分への親和性、分散性及び補強性を高めて十分な耐久性及び剛性を発揮できる産業上の利用可能性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、一般的なセルロース分子構造を示す図である。
【図2】図2は、ゴム成分中での複合化セルロースナノ繊維の状態を示す模式図である。
【図3】図3はセルロース繊維表面へのグラフト重合の模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分中に、セルロースナノ繊維を含むゴム組成物において、
該セルロース繊維は、モノマー若しくはポリマーでグラフト重合させた複合化セルロース繊維であることを特徴とするゴム組成物。
【請求項2】
上記セルロースナノ繊維は、平均繊維径が1〜1000nmの範囲にあり、平均繊維長さが0.1〜100μmの範囲にある請求項1記載のゴム組成物。
【請求項3】
上記セルロースナノ繊維はゴム成分100質量部に対して、1〜50の範囲で含まれる請求項1又は2記載のゴム組成物。
【請求項4】
上記複合化セルロース繊維は、その繊維の水酸基(−OH基)からグラフト重合が開始されている請求項1〜3の何れかの項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
上記グラフト重合物がジエン系ポリマーである請求項1〜4の何れかの項に記載のゴム組成物。
【請求項6】
上記請求項1〜5の何れかの項に記載のゴム組成物の製造方法において、ゴムラテックスと、水に分散させた上記繊維のスラリーとを混合した後、混合液を乾燥して水を除去して得ることを特徴とするゴム組成物の製造方法。
【請求項7】
上記水に分散された上記繊維をグラフト化した後に、該スラリーをゴムラテックスと混合することを特徴とする請求項7記載のゴム組成物の製造方法。
【請求項8】
上記繊維のグラフト化の際に、上記繊維のセルロース水酸基に重合開始剤を付与した後に、モノマー又はポリマーをグラフト重合することを特徴とする請求項6又は7記載のゴム組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−263417(P2009−263417A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111394(P2008−111394)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】